| 【発明の名称】 |
配線転写用基板とこれを用いた配線基板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】樋口 和人 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新磯子町33番地 株式会社東芝生産技術センター内
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| 【要約】 |
【課題】熱プレスによる配線転写工程に適用でき、しかも反復使用回数を伸ばし、半永久的に使用可能な配線転写用基板を提供する。また、前記配線転写用基板を用い、高い製造歩留りと短縮された工程で製造される、微細な配線を有する配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線パターンを絶縁樹脂基材上に転写するための配線転写用基板において、表面が導電性を有する基材21上にめっきマスクパターン25を形成し、この配線転写用基板に対してめっき処理することにより配線パターンを形成する。めっきマスク25は、マスク表面に露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子23を含有した金属膜で構成され、さらに露出した粒子を含む四弗化エチレン皮膜24で表面が覆われている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】配線基板の製造工程において、配線を基板上へ転写するための配線転写用基板であって、前記配線転写用基板は、表面が導電性を有する基材上にパターン化されためっきマスクを具備し、該めっきマスクは、少なくともマスク表面に露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子を含有した金属膜で構成され、マスク表面が前記表面に露出した粒子を含み四弗化エチレン皮膜で覆われたことを特徴とする配線転写用基板。 【請求項2】前記金属膜に含まれる四弗化エチレン粒子の含有量が10ないし40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の配線転写用基板。 【請求項3】前記金属膜が少なくともニッケル,クロム,銅,銀,金,白金,パラジウムから選択される金属から構成されることを特徴とする請求項2に記載の配線転写用基板。 【請求項4】少なくとも絶縁基材上に配線を具備した配線基板の製造方法であって、表面が導電性を有する基材上にパターン化されためっきマスクを具備し、該めっきマスクは、マスク表面に露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子を含有した金属膜で構成され、マスク表面が前記表面に露出した粒子を含み四弗化エチレン皮膜で覆われた配線転写用基板を用い、前記配線転写用基板の基材上の導電性を有する表面層を陰極として、パターン化されためっきマスクにより形つくられる開口部にめっき金属を析出させ配線パターンを形成する工程と、前記配線転写用基板上に絶縁層を形成し、前記配線パターンと絶縁層とを密着せしめる工程と、前記配線パターンを絶縁層に保持しつつ、前記絶縁層を配線転写用基板から剥離する工程とを具備したことを特徴とする配線基板の製造方法。 【請求項5】前記めっき金属の厚みが、配線転写用基板上の前記めっきマスクの厚みよりも大きくなるようめっきすることを特徴とする請求項4に記載の配線基板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は回路配線を有する配線基板の製造方法に係り、特に高密度な回路配線を形成するための配線転写用の原板となる、多数回の反復使用が可能な配線転写用基板に関する。また、本発明はこの配線転写用基板を用いて配線基板を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体集積回路技術の発達により電子機器の小型化、薄型化、高性能化が進められており、これにともなって半導体チップ内の配線はもとより、インターポーザなどの配線基板の内部の配線も高密度化の方向にある。特に、数百MHzの周波数で動作し演算処理を行うようなマイクロプロセッサユニットや集積度が高くI/O数が多いゲートアレイ等のLSIチップを搭載するパッケージおよびモジュール基板に用いられる配線基板においては、配線収容能力が100本/cm以上の高密度な仕様が求められている。この様な要求に応えるため、従来から広く用いられてきたプリプレグを熱プレスで積層し、スルーホールで層間接続を行って形成する多層プリント配線板に代わり、これら従来のプリント配線板上に、めっき法等により形成した配線層と、未硬化状の樹脂を塗布、ラミネート、プレス等の方法で形成し、層間接続ビアを露光・現像やレーザー加工等により形成した絶縁性樹脂層を交互に積層した微細な多層配線基板(ビルドアップ配線基板)が使用されつつある。ビルドアップ配線基板では、高密度な配線やビア接続を実現できる一方、一層づつ作りこんでは積層していく製造プロセスであるため、総工程が長大化するとともに製造歩留りも低下する問題を抱えていた。換言すれば、例えばビルドアップ層におけるある一層でビアの形成工程に不良を生じた場合、既に形成した他の層を含む基板全体が不良品となってしまい極めて効率が悪い。この問題は、特に基板寸法が大きくなる程顕著である。 【0003】これに対し、配線層ないし層間接続部を層毎に独立した工程で形成でき、尚且つ従来のスルーホール接続よりも層間接続密度を向上させた配線基板の製造方法がいくつか提案されている。例えば、第6回マイクロエレクトロニクス シンポジウム論文集、p.155−158(1995)に公開された方法では、図7(a)に示す如く、先ず銅箔71上に印刷法により導電ペーストで円錐状バンプ72を形成し、続いて図7(b)に示すようにエポキシ含浸ガラスクロスであるプリプレグ36をこの銅箔に積層すると同時に導電ペーストバンプ72でプリプレグ36を貫通させる。さらに、図7(c)に示す如く、この積層体のバンプが突出した側にさらに銅箔75を積層プレスし、図7(d)に示すようにエッチング法により銅箔をエッチングし配線パターンを形成することで、高密度な層間接続部を有する両面配線基板を得ている。さらに多層化する場合には、図7(e)に示す如く、この両面配線基板を核として、その上下に図7(a)ないし(b)と同様な工程で別に形成した積層体を積層プレスし、図7(f)に示すようにエッチングで配線パターンを形成することで配線4層基板が形成できる。図7(e)ないし(f)の工程を繰り返し行なうことでさらなる多層化も可能である。 【0004】また、第6回マイクロエレクトロニクス シンポジウム論文集、p.163−166(1995)に公開された方法では、先ず、プリプレグにレーザー加工により層間接続用貫通ビア孔を形成し、続いてこのビア孔に導電体を埋め込み、このプリプレグを銅箔で上下に挟み込むように積層プレスし、この後、表層の銅箔をエッチングして配線パターンを形成することで、図7(d)と同様な層間接続ビアが導電体で埋め込まれた両面板を得ている。さらに図7(e)乃至(f)に示す工程と同様に、両面配線板を核に、層間接続ビアを有するプリプレグと銅箔とを順に積層してプレスし、表層の銅箔をエッチングすることで微細な層間接続部を有する多層配線基板を形成できる。これらの方法では積層させる前にビアを形成しておくため、ビルドアップ配線基板の製造方法に比すると、基板の製造工程においてビアの形成工程を別工程として処理できる都合上、製造歩留りを高くすることが可能となる。さらに、特開平10−27959号公報には、上記した製造方法において、あらかじめ転写用基板上で配線を形成しておき、これを銅箔の代わりにプレスして配線を転写する方法が開示されている。この方法によれば、配線形成工程をも別工程として処理できるため、製造歩留りはさらに高くなる。 【0005】この特開平10−27959号公報で開示された転写用基板はフィルムであり、このフィルムは積層プレス後に容易に剥離できるように銅箔との接着強度が設定される。配線形成は、この銅箔上にレジストパターンを形成し、エッチングして形成される。しかしながら、エッチングによる配線形成では、原理的に配線の厚みよりも幅が小さい配線を形成することは出来ず、たとえ配線幅が厚みよりも大きくても、エッチングの不均一性に起因する不安定要素により広い面積で安定的に微細な配線を形成することは困難である。同様に配線を転写する配線基板の製造方法において、微細な配線を形成するうえでより好ましい例として、図8にはめっき法により配線を形成する工程を有する製造方法を示した。この方法では、導電性基板81を転写用基板として採用し、先ず、図8(a)に示すように、この表面上にめっきマスク材82となるレジストパターンを形成する。この後、図8(b)に示すように電気めっき法によりめっきマスク材82の開口部83に配線となるめっき膜84を成長させる。さらに、図8(c)に示すように、めっきマスク材82を剥離・除去する。続いて、図8(d)に示すように、転写用基板とプリプレグなどの半硬化樹脂85とを熱プレスし、樹脂を硬化させる。さらに、図8(e)に示すように、転写用基板81と樹脂85とを剥離し配線だけを樹脂側へ転写した配線基板86を得る。 【0006】この剥離工程において、導電性基板とめっき膜とは剥離し易い組み合わせの材料を選択しており、配線だけを積層プレスなどで基板上に転写することができる。これらの方法によれば、配線幅が厚みと同程度あるいは小さい配線であっても、安定的にその形成が可能となる。この方法では、転写前にめっきマスク材を除去しているが、除去をしなかった場合には転写時にめっきマスク材も基板側へ部分的に転写されてしまう。したがって、めっきマスクは配線を形成する毎に形成する必要がある。これに対して特開平11−68294号公報に開示される方法では、めっきマスクに剥離性を有する材料であるシリコーン樹脂を用いて形成しているため、めっきマスクを剥離しなくとも配線を転写する場合にめっきマスクが転写されること無く、配線だけを転写できるとしている。すなわち、めっきマスクを剥離しないため、マスクを毎回形成する必要が無く、転写用基板を反復使用でき工程短縮に非常に効果的で優れている。しかしながら、この方法をもってしても、熱プレスを使用した積層工程では転写用基板を繰り返し使用できる回数には限りがある。すなわち、めっきマスク材にシリコーン樹脂等の剥離性を有する樹脂を用いた場合、表面を平滑にしたステンレス鋼、ニッケルなどの金属ないしその酸化物からその表面がなる転写用基板と剥離性を有する樹脂の密着力は一般的に低く、熱プレスによる積層工程における例えば180℃、50kgf/cm2で1時間といった高温・高圧・長時間条件下では樹脂の劣化、熱膨張によるマスクパターン端部への応力集中などが著しいためマスク材と転写用基板との界面で剥離が生じやすくなる。したがって、転写用基板を反復使用できる回数は減少してしまう。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上述のように、配線を転写用基板上で形成し、熱プレスで配線のみを基板上に転写することにより、配線基板の製造歩留りを向上することが可能となる。さらに、転写用基板上に配線を形成する際、エッチング法に代わりめっき法で配線を形成することにより、微細な配線を安定的に製造することができる。また、めっき法におけるめっきマスク材として、剥離性を有する材料を用いることにより、めっきマスクが形成された転写用基板を反復使用することが可能となり、工程の大幅短縮が可能となる。しかしながら、前記めっきマスク材として、シリコーン樹脂などの剥離性を有する材料を用いた場合には、転写工程として熱プレスを用いると、プレス中の高温・高圧・長時間の環境で、マスク材である樹脂の劣化、応力などにより、樹脂と転写用基板との間で剥離が生じ易くなる。本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、熱プレスによる配線転写工程に適用でき、しかも反復使用回数を伸ばし、半永久的に使用可能な配線転写用基板を提供することを目的とする。また、本発明は前記配線転写用基板を用い、高い製造歩留りと短縮された工程で製造される、微細な配線を有する配線基板の製造方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明は、配線基板の製造工程において、配線を基板上へ転写するための配線転写用基板であって、前記配線転写用基板は、表面が導電性を有する基材上にパターン化されためっきマスクを具備し、該めっきマスクは、少なくともマスク表面に露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子を含有した金属膜で構成され、マスク表面が前記表面に露出した粒子を含み四弗化エチレン皮膜で覆われたことを特徴とする配線転写用基板を提供する。このとき、前記金属膜に含まれる四弗化エチレン粒子の含有量が10ないし40重量%であることが好ましい。また、このとき、前記金属膜が少なくともニッケル,クロム,銅,銀,金,白金,パラジウムから選択される金属から構成されることが好ましい。 【0009】また本発明は、少なくとも絶縁基材上に配線を具備した配線基板の製造方法であって、表面が導電性を有する基材上にパターン化されためっきマスクを具備し、該めっきマスクは、マスク表面に露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子を含有した金属膜で構成され、マスク表面が前記表面に露出した粒子を含み四弗化エチレン皮膜で覆われた配線転写用基板を用い、前記配線転写用基板の基材上の導電性を有する表面層を陰極として、パターン化されためっきマスクにより形つくられる開口部にめっき金属を析出させ配線パターンを形成する工程と、前記配線転写用基板上に絶縁層を形成し、前記配線パターンと絶縁層とを密着せしめる工程と、前記配線パターンを絶縁層に保持しつつ、前記絶縁層を配線転写用基板から剥離する工程とを具備したことを特徴とする配線基板の製造方法を提供する。このとき、前記めっき金属の厚みが、配線転写用基板上の前記めっきマスクの厚みよりも大きくなるようめっきすることが好ましい。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明は、配線を熱プレス工程によりプリプレグなどの絶縁樹脂基材上に転写するための配線転写用基板について、導電性を有する表面にめっきマスクパターンを形成し、めっきによってマスクパターンを埋めることにより配線を形成するアディティブ法を採用する。これにより、配線転写用基板による微細な回路配線の形成を可能としている。また、本発明は、めっきマスクパターンを象るマスク表面を、露出した粒子を含む四弗化エチレン粒子を含有した金属膜で構成し、さらに露出した粒子を含む四弗化エチレン皮膜でマスク表面を覆う構成とすることで、熱プレスにより配線を樹脂上に転写する際、樹脂とめっきマスクとが容易に剥離し、熱プレスによる、高温・高圧下の条件に長時間曝されてもめっきマスクが劣化せず配線転写用基板との密着を維持する。この結果、反復使用回数を飛躍的に伸ばし、半永久的に使用可能な配線転写用基板を提供することが可能となった。以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、種々変更・または組み合わせて実施することができる。 【0011】(実施例1) 図1に本発明の配線転写用基板の一実施形態を示す。図中の11は少なくとも表面が導電性である基材であり、例えばニッケルから構成されている。15の部分はめっきマスクであり、配線パターンを象るように開口16が形成され、導電性を有する基材表面が露出している。めっきマスク15は四弗化エチレン(PTFE)粒子13を含む例えばニッケルやクロムを主体とする金属膜12から構成され、その粒子の粒径は0.5〜1.0μmで金属膜の厚みは2.0μm程度である。また、めっきマスク15表面はPTFE皮膜14で均一に覆われており、皮膜の厚みは0.05〜0.5μm程度である。ここで、PTFE皮膜14は粒子状のPTFEが溶けて再び固化したものであり、PTFE皮膜14と表面に露出したPTFE粒子13とは一体で互いに連続しており、この粒子が部分的に金属膜12に潜り込んでいるためにPTFE皮膜のアンカーとなり物理的に強い密着を確保できる構造となっている。図2(a)〜(c)に本発明の配線転写用基板の製造方法について実施例を示す。先ず、図2(a)に示す如く、基材となるニッケル板21を用意し、配線を形成する位置にレジストパターン22を形成する。レジスト材料は特に限定されないが、解像度が高く耐めっき性に優れているポジ型の液状レジストが好適である。レジストの厚みは3μm程度となる。なお、レジストの材料としては、ネガ型のドライフィルムレジスト等も用いることが出来る。 【0012】露光・現像によりレジストパターン22を形成した後、図2(b)に示す如く、PTFE粒子を含有したニッケルめっき液を用いた電気めっき法を施す。他方の電極にはニッケル板(図示せず)を陰極として用いて通電し、ニッケル板21の表面にPTFE粒子23を含有したニッケル膜25を形成する。ニッケルめっき液としては例えば以下の組成の水溶液を用いることが出来る。 【0013】 スルファミン酸ニッケル 300〜500g/L塩化ニッケル 30〜100g/Lホ ウ 酸 30〜100g/LPTFE粒子 10〜 50g/L光 沢 剤 適 量界 面 活 性 剤 適 量【0014】めっきに際しては、ニッケル板21の表面を充分に脱脂し、直前に希塩酸に浸漬して表面の活性化を行う。また、めっき条件としては、めっき液のpHを4程度に制御し、液温を40〜50℃、陰極電流密度を1〜6A/dm2として、空気攪拌ないし機械攪拌によりめっき液を攪拌しながら通電する。攪拌を均一且つ充分行うことで、PTFE粒子が均一に分散し、表面に均一に露出しためっき膜が得られる。本実施例では電流密度を4.0A/dm2に設定し、約2μmの厚さのめっき膜を得た。 【0015】次にレジスト22を剥離し、350℃〜400℃で1時間程度熱処理を行う。この熱処理により、めっき膜表面に露出したPTFE粒子23が溶融し、図2(c)に示すようにめっき膜表面に薄いPTFE皮膜24が形成される。このPTFE皮膜は、めっき膜表面に露出したPTFE粒子23と連続的であるため、粒子部分が物理的アンカーとして作用し、めっき膜との密着力は非常に強固なものとなる。また、ニッケルめっき膜表面は完全にPTFE皮膜で覆われるために、絶縁性が付与され、電気めっきのめっきマスクとして機能する。 【0016】(実施例2) 本発明による配線基板の製造方法を図3(a)〜(c)を参照して説明する。先ず、図3(a)に示す如く、実施例1で示した配線転写用基板38を用い、その基材であるニッケル板21を陰極として電気めっきにより銅めっき膜35を形成する。この際、配線転写用基板のPTFE皮膜24で覆われたニッケルめっき膜25はめっきマスクとして機能するために、このめっきマスクパターンの開口部において銅めっき膜が成長する。電気めっき工程においては、電気めっき装置の電流源(図示せず)の陰極に、配線転写用基板の基材21を接続し、電流源の陽極には含リン銅板(図示せず)を接続する。なお、めっき液としては、例えば下記の組成の水溶液を使用することができる。 【0017】 硫酸銅5水和物 50〜150g/L硫酸(比重1.84) 50〜200g/L塩酸(34%) 0.05〜0.2mL/L界 面 活 性 剤 適 量光 沢 剤 適 量【0018】めっき条件は、液温25℃、電流密度1〜5A/dm2とし、空気吹き出しによりめっき液を攪拌することにより、銅イオンの供給を十分に行う。めっき膜厚が10μmに達する時間を予め求めておき、その時間になったら通電を止め、ニッケル板21をめっき装置から取り出し十分に水洗する。ここで形成する銅めっき膜35厚は10μmであるため、約2μm厚のめっきマスクを超えてめっき膜35横断面はマッシュルーム状となる。(便宜上、図面での比率は実際と異なっている。) 【0019】銅めっき膜35による配線パターンを形成した後、続いて形成する絶縁層となる樹脂との密着性を高める目的で、この時点で銅めっき膜35の表面を粗面化する。粗面化処理は銅を酸化させるいわゆる黒色化処理やこれをさらに還元する還元処理、あるいは無電解銅めっきにより針状結晶を析出させる処理などを用いることができるが、本実施例では黒色化処理の後に還元処理を行う工程を用い、配線表面の平均粗さを約2μm(図示せず)にした。この後、検査を行い、配線の短絡ないし欠損などの欠陥の有無を確認する。ここで配線に欠陥が確認された場合には銅めっき膜35を完全に溶解し、再び銅めっき処理を行なう。 【0020】続いて、熱プレス装置の上下の定盤間にエポキシ含浸ガラスクロスの絶縁材料であるプリプレグ36と上述した銅めっき膜による配線が形成されている配線転写用基板38を重ねて設置する。この後、定盤でこれらを挟み込み120℃、20kg/cm2で30分、続いて180℃、50kgf/cm2で1時間プレスし、プリプレグ36のエポキシ樹脂を熱硬化させる。エポキシ樹脂は硬化前に軟化して流動的になるため、図3(b)に示すように銅めっきで形成されたマッシュルーム状断面を有する配線パターンを完全に包み込む。さらに、プリプレグ36と接する銅めっき膜35の表面は粗面化されているため、熱プレス時にエポキシ樹脂がその粗面に沿って流動し強固なアンカーを形成するため、プレス後の樹脂と配線との密着力は高く、1kgf/cm程度のピール強度を有する。一方、PTFE皮膜で表面を覆われためっきマスクとエポキシ樹脂との密着力は極めて低く、ピール強度で0.01kgf/cm以下しかない。 【0021】図3(c)に示すように配線を硬化したプリプレグ36に保持しつつ配線転写用基板38だけを銅めっき膜35から剥離する。この際、配線と樹脂との間の密着力は1kgf/cm程度であり、転写用基板とめっきマスクとの密着力の100倍以上であるため、転写用基板38はめっきマスクの表面から容易に剥離し、配線パターンだけが絶縁材料に転写される。尚、剥離後の転写用基板のめっきマスク表面はPTFE皮膜が強固に形成されているため、熱プレス工程による欠陥は無く、転写用基板は、図3(a)に示すめっき工程から再度使用することができる。 【0022】以上のようにして形成された配線基板37は、配線の表面が基板表面から約2μm突出し、残りの8μmの部分が絶縁樹脂内に埋め込まれた構造となる。この方法で形成される配線基板は単層基板でありながら、配線幅/間隔が50/50μm未満の配線も安定的に形成可能であるため、場合によっては配線層の多層化を行わずとも充分な配線収容能力を有し、高密度配線基板としての目的を達成できる。 【0023】例えば、図4ないし図5に示すような応用ができる。図4のBGAパッケージでは、上記した工程により形成した単層の配線基板37’の配線形成面に背向する裏面から、レーザ加工法により配線パターンの裏面に達する孔をプリプレグ36に形成し、この孔に配線パターンである銅めっき膜35と電気的に接続されるようにはんだボール49を搭載し、LSIパッケージであるボールグリッドアレイ(BGA)用の基板として用いる例を示している。この場合、図4に示す如く、LSIチップ41は入出力パッド43が形成されている面に対する背面を基板側に向け、この背面とプリプレグ36とを接着剤45により接着・固定し、チップの入出力パッド43と基板上の銅めっき膜35とを例えば金細線44などでワイヤボンディングし、樹脂46でチップ上面部を封止してある。 【0024】また、図5に示すBGAパッケージのように、図3(a)から(c)の工程において、転写用基板の基材21にLSIチップの入出力パッド43に対応した配置の凹状の窪みを予め形成することにより、その表面にバンプ51が形成された単層基板37’’が得られる。この基板を同様にBGA基板として応用した場合、図5に示す如く、LSIチップ41は入出力パッド43形成面をプリプレグ36側に向け、接着剤52により接着・固定することにより、バンプ51によってLSIチップ41と配線パターンである銅めっき膜35とを直接接続することができる。 【0025】(実施例3) 本発明による他の配線基板の製造方法を図6(a)〜(f)を参照して説明する。先ず、図6(a)では図3(a)に示した銅めっき膜の形成工程により、配線パターン35’が表面に形成された配線転写用基板38’を示している。図6(b)に示すように、前記配線パターン35’上に必要に応じて層間接続に用いる導電ペーストによるバンプ72を立設する。このバンプ72は銀ペーストを用いて錐形状に形成されており、スクリーン印刷法により転写している。形成されたバンプ72の高さは約300μmであった。(便宜上、図面上では比率は再現していない。)図6(c)に示すように、エポキシ含浸ガラスクロスのプリプレグ36を銀ペーストバンプ72が形成された配線転写用基板38’表面に、加熱しながら積層させ、すべての銀ペーストバンプ72についてプリプレグ36を貫通させた状態に成形する。この時のプロセス温度は樹脂が軟化はするが流動はしないような温度条件である90℃〜120℃の範囲に設定する。 【0026】さらに、図6(d)に示す如く、図3(a)に示した工程により、他の配線パターン35’’が表面に形成された別の配線転写用基板38’’を、前記の配線転写用基板38’上のプリプレグ36から突出するバンプ72の頂点にに対して位置合わせし、熱プレスして積層させる。熱プレスに際しては、120℃、20kg/cm2で30分、続いて180℃、50kgf/cm2で1時間プレスし、エポキシ樹脂を硬化させる。エポキシ樹脂は、硬化前に軟化して流動的になるため、図6(d)に示すように銅めっきで形成されたマッシュルーム状断面を有する配線パターン35’’を完全に包み込む。さらに、樹脂と接する配線表面は粗面化されているため、プレス後のプリプレグ36と配線パターン35’’との密着力は高い。さらに、銀ペーストバンプ72は、バンプと銅配線との硬度差によりプレス時に押し潰されプリプレグ36中に埋め込まれると同時に、粗面化された銅配線に銀ペーストが隙間無く接触し、かつ配線パターン35’、35’’との電気的な接合も確保されるため機械的・電気的に安定的に接続される。 【0027】続いて、配線を硬化したプリプレグ36に保持しつつ転写用基板63ないし64だけを剥離することにより、図6(e)に示すような両面配線基板61を得る。剥離に際し、配線と樹脂との間の密着力は、転写用基板とめっきマスクとの密着力に比べ極めて大きいため、転写用基板はめっきマスクの表面から容易に剥離し、配線パターンだけが絶縁樹脂に転写される。なお、剥離後の転写用基板38’ないし38’’のめっきマスク表面はPTFE皮膜が強固に形成されているため、熱プレス工程による欠陥は無く、転写用基板は、配線形成工程から再度使用することができる。 【0028】以上のようにして形成された配線基板は、図6(e)に示されるように、微細な配線がガラスクロスを支持体とする絶縁樹脂を挟んで両面に形成され、さらに絶縁樹脂に埋め込まれた銀ペーストバンプにより表裏の配線が電気的に接続された両面配線基板となる。さらに多くの配線層を必要とする場合には、さらに以下の工程を行う。すなわち、図6(a)〜(c)に示した一連の工程と同様に形成した二つの別の配線転写用基板とプリプレグとの積層体を、図6(e)に示した両面配線基板を核として、これを挟み込むように位置合わせを行ったうえで熱プレスを図6(d)と同様な方法で行う。続いて、配線をガラスクロスを支持体とする絶縁樹脂に保持しつつ転写用基板だけを剥離することにより、図6(f)に示すような4層配線基板が得られる。 【0029】以上のようにして形成された配線基板は、図6(f)に示されるように、4層の配線層を有し、これら配線層が絶縁樹脂に埋め込まれた銀ペーストバンプにより電気的に接続されている。図6(f)と同様な工程を繰り返すことにより、さらに多層の配線層を有する配線基板が形成可能である。また、これら一連の工程においては、配線ないし層間接続部の形成を、層毎に別々に行っているために、ビルドアップ基板のように層を直列的に形成する工程に比べ、配線基板の製造歩留りは飛躍的に高くなっている。さらに、配線形成がめっき法によるために、エッチング法に比べ微細な配線を安定的に形成でき、しかも、配線転写用基板は、めっきマスクの耐久性が向上し、ほぼ半永久的に使用できるため、マスク材料などの節約・マスク形成工程の省略が可能となり、製造コストも大幅に減じることができた。 【0030】なお、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更して実施し得る。例えば、転写用基板基材、配線、絶縁性樹脂、めっき液はその材質、寸法、構成などに関して種々変更して用いることができ、さらに、電気めっきあるいは熱プレスにおける条件も前記例示に限定されないことはむろんである。また、本発明の要旨は配線転写用基板のめっきマスク部の構造およびこれを使用した配線基板の製造方法に係るものである。したがって、本実施例では、多層配線基板を形成するにあたって、その層間接続に銀ペーストバンプを例として用いているが、少なくとも、本発明における配線転写用基板を用い、配線を転写する工程を有していれば、特に層間接続の構造ないし製造方法により限定されるものではない。 【0031】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、熱プレスによる配線転写工程に適用でき、しかも反復使用回数を伸ばした、繰り返し使用可能な配線転写用基板を提供できる。また、本発明は前記配線転写用基板を用い、高い製造歩留りと短縮された工程で製造される、微細な配線を有する配線基板の製造方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月7日(2002.2.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083161 【弁理士】 【氏名又は名称】外川 英明
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| 【公開番号】 |
特開2003−234565(P2003−234565A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月22日(2003.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−30314(P2002−30314) |
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