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【発明の名称】 多層フレキシブルプリント基板の積層構造及びこの構造を適用した電気接続箱
【発明者】 【氏名】▲崎▼山 興治
【住所又は居所】千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジクラ佐倉事業所内

【氏名】百田 敦司
【住所又は居所】千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジクラ佐倉事業所内

【氏名】照沼 一郎
【住所又は居所】千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジクラ佐倉事業所内

【要約】 【課題】多層構造からなる可撓性基板の温度上昇による弊害を低減する。

【解決手段】多層構造のフレキシブルプリント基板(多層FPC)1は、回路部3が形成されたFPC4a,4cと非回路部9が形成されたFPC4b,4dとをそれぞれ交互に隣接するように重ね合わせた構造からなる。FPC4a,4cの回路部3で発生した熱は、FPC4b,4dの非回路部9を通じて分散され放熱されるため、多層FPC1の温度上昇は軽減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベース材の上に銅箔からなる導体パターンが形成された複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層フレキシブルプリント基板の積層構造であって、前記多層フレキシブルプリント基板の一部を前記導体パターンに電流を流す通電層、残りを前記通電層と隣接し前記導体パターンに電流を流さない非通電層としたことを特徴とする多層フレキシブルプリント基板の積層構造。
【請求項2】 前記フレキシブルプリント基板は、一部で折り返され、折り返し部の一方の側を前記通電層、他方の側を前記非通電層としたことを特徴とする請求項1記載の積層構造。
【請求項3】 複数の被接続電装部品と接続されて前記複数の被接続電装部品間を接続する配線分岐回路を筐体の内部に収容してなる電気接続箱において、前記配線分岐回路は、ベース材の上に銅箔からなる導体パターンが形成された複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層フレキシブルプリント基板からなり、前記多層フレキシブルプリント基板の一部を前記導体パターンに電流を流す通電層、残りを前記通電層と隣接し前記導体パターンに電流を流さない非通電層としたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項4】 前記フレキシブルプリント基板は、一部で折り返され、折り返し部の一方の側を前記通電層、他方の側を前記非通電層としたことを特徴とする請求項3記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多層フレキシブルプリント基板及び多層フラットケーブルの積層構造に関し、特に高い放熱特性を備える多層フレキシブルプリント基板及び多層フラットケーブルの積層構造並びにこの構造を適用した電気接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術】多層構造からなる可撓性基板のうち、図4に示すように、多層フレキシブルプリント基板100の各フレキシブルプリント基板100a〜100dは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリイミド(PI)等の絶縁フィルムからなるベース材101の上に、銅箔をパターン形成してなる複数の導体パターンから構成される回路部102を形成した構造からなる。これら各フレキシブルプリント基板100a〜100dのベース材101及び回路部102上には、必要に応じてカバーレイ(図示せず)が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構造で形成された各フレキシブルプリント基板100a〜100dを積層してなる多層フレキシブルプリント基板100は、回路部102とベース材101とを交互に重ね合わせた構造からなるため、多層フレキシブルプリント基板100を構成する各フレキシブルプリント基板100a〜100dの回路部102に電流を流した場合、この通電による発熱に伴う温度上昇によって通電電流が制限されたり、各フレキシブルプリント基板100a〜100dの耐熱温度を超えて温度上昇が起こり、回路が破壊されたりする場合がある。また、図5に示すように、多層フレキシブルプリント基板100にヒューズ106,107等の発熱性の高い素子(発熱性電子部品)を実装した場合(この場合、ヒューズ106はフレキシブルプリント基板100bに、ヒューズ107はフレキシブルプリント基板100cにそれぞれ接続)、同様に各フレキシブルプリント基板100a〜100dの回路部102が発熱するだけでなく、ヒューズ106,107の発熱による温度上昇も加わり、更に通電電流が制限されたり、回路が破壊されたりする場合がある。このように多層構造の可撓性基板では、熱の逃げ場がなくなると、信頼性が著しく低下してしまうという弊害がある。
【0004】この発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、多層構造からなる可撓性基板の温度上昇による弊害を低減することができる多層フレキシブルプリント基板の積層構造及びこの構造を適用した電気接続箱を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る多層フレキシブルプリント基板は、ベース材の上に銅箔からなる導体パターンが形成された複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層フレキシブルプリント基板の積層構造であって、前記多層フレキシブルプリント基板の一部を前記導体パターンに電流を流す通電層、残りを前記通電層と隣接し前記導体パターンに電流を流さない非通電層としたことを特徴とする。
【0006】この発明に係る電気接続箱は、複数の被接続電装部品と接続されて前記複数の被接続電装部品間を接続する配線分岐回路を筐体の内部に収容してなる電気接続箱において、前記配線分岐回路は、ベース材の上に銅箔からなる導体パターンが形成された複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層フレキシブルプリント基板からなり、前記多層フレキシブルプリント基板の一部を前記導体パターンに電流を流す通電層、残りを前記通電層と隣接し前記導体パターンに電流を流さない非通電層としたことを特徴とする。
【0007】この発明によれば、複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層構造の多層フレキシブルプリント基板を構成するに際し、多層フレキシブルプリント基板の一部を通電層、残りを通電層と隣接する非通電層とした積層構造を実現する。このため、通電層の回路部で発生した熱が非通電層に分散され、多層フレキシブルプリント基板の放熱効率を高めることができると共に、回路の温度上昇による通電電流制限や回路破壊等の各種の弊害を低減させることができる。
【0008】なお、フレキシブルプリント基板は、一部で折り返され、折り返し部の一方の側を通電層、他方の側を非通電層としたものであることが好ましい。このようにすれば、通電層と非通電層とを一つのフレキシブルプリント基板で構成することができるため、非通電層にのみ用いられるフレキシブルプリント基板を削減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る多層フレキシブルプリント基板の積層構造を説明するための図である。図1に示すように、多層構造の可撓性基板としての多層フレキシブルプリント基板(以下、「多層FPC」と略記)1は、各フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と略記)4a〜4dを重ね合わせた構造からなる。各FPC4a〜4dのうち、FPC4a及び4cは、PET、PEN又はPI等の絶縁フィルムからなるベース材2の上に、銅箔等の導電材をパターン形成してなる複数の導体パターンから構成される回路部3を形成し、必要に応じてこれらベース材2及び回路部3の上に合成樹脂等からなるカバーレイ(図示せず)を形成した構造からなり、回路部3に電流を流す通電層として利用される。一方、FPC4b及び4dは、ベース材2の上に銅箔等の導電材を、例えばベタパターンで貼り付けた非回路部9を形成した構造からなり、非回路部9に電流を流さない非通電層として利用される。この例では、多層FPC1は、通電層のFPCと非通電層のFPCとを交互に重ね合わせた構造からなる。
【0010】このように、多層FPC1の一部を回路部3に電流を流す通電層、残りを通電層と隣接して回路部3に電流を流さない非通電層とする。こうして多層FPC1を構成する各FPC4a〜4dのうち、例えば通電層として用いられ通電により発熱する回路部3を備えるFPC4a及び4cの少なくとも一方の面を、非通電層として用いられるFPC4b及び4dと隣接するように配置して重ね合わせることにより、FPC4a及び4cの回路部3で発生した熱がFPC4b及び4dの非回路部9に伝わり効率良く放熱することが可能となり、多層FPC1の回路全体の温度上昇を軽減することができる。これにより、温度上昇に伴う通電電流の制限や回路破壊等を低減することができ、多層FPC1の信頼性を向上させることができる。なお、この例では、通電層と非通電層とを交互に配置した多層FPC1を用いて説明したが、常に交互に配置されなくても良く、回路毎の発熱量の違い等に基づき発熱の少ない通電層と隣接する部分の非通電層を省略して積層したりするようにしても良い。
【0011】図2は、この発明の一実施形態に係る電気接続箱を説明するための一部断面図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する説明は割愛する。図2に示すように、電気接続箱10は、ヒューズ6,7をFPC4a,4cに接続して実装した多層FPC1´を、合成樹脂等を成型してなる筐体11内に収容した構造からなる。これにより、FPC4a及び4cで発生した熱をFPC4b及び4dや、筐体11と多層FPC1´との間の空間12等を介して効率良く放熱することができるため、多層FPC1´の回路全体の温度上昇を軽減し、上記と同様の効果を得ることができる。
【0012】図3は、この実施形態の他の多層フレキシブルプリント基板の積層構造を説明するための断面図である。多層FPC20は、通電回路3a及び非通電回路3bからなる回路部3が形成された各FPC21a〜21dの非通電回路部分をベース材2が対向するように折り曲げて、各FPC21a〜21dの通電回路3a間に介挿して重ね合わせた構造からなる。これにより、各FPC21a〜21dの通電回路3aで発生した熱は、密着したカバーレイ8を介して介挿されている非通電回路3bに伝わり分散される。通電回路3aには、接続端子22が接続されているため、同一回路上の図示しない他の接続端子との間で通電部分が構成され、通電回路3aと非通電回路3bとが連続した状態で形成された回路部3においても、電流が非通電回路3bに流れることはない。一方、例えば通電回路3aと非通電回路3bとが非連続な状態で回路部3が形成さている場合は、通電回路3a上にのみカバーレイ8を形成して多層FPC20を構成するようにしても良い。このようにすれば、非通電回路3b上にカバーレイ8が形成されていない分、通電回路3aで発生した熱がより非通電回路3bに伝わり易くなる。
【0013】この多層FPC20では、先の例の多層FPC1のように非通電層として通電層の他に1枚のFPCを利用することなく多層FPC20の回路全体の温度上昇を軽減することができるため、温度上昇に伴う通電電流の制限や回路破壊等を低減し、多層FPC20の信頼性を向上させることができるという上記と同様の効果を得ることができる。
【0014】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、複数のフレキシブルプリント基板を重ね合わせてなる多層構造の多層フレキシブルプリント基板を構成するに際し、多層フレキシブルプリント基板の一部を通電層、残りを通電層と隣接する非通電層とした積層構造を実現する。このため、通電層の回路部で発生した熱が非通電層に分散され、多層フレキシブルプリント基板の放熱効率を高めることができると共に、回路の温度上昇による通電電流制限や回路破壊等の各種の弊害を低減させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号
【出願日】 平成14年1月30日(2002.1.30)
【代理人】 【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
【公開番号】 特開2003−224368(P2003−224368A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−22042(P2002−22042)