| 【発明の名称】 |
軽量なセメント系電波吸収体およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋田 俊之
【氏名】佐藤 源之
【氏名】宮外 清貴
【氏名】高島 博之
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| 【要約】 |
【課題】水硬性セメントにして且つ軽量の電波吸収体を提供する。
【解決手段】繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有し、硬化後の比重が0.8〜1.8で、周波数2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上である水硬性セメント系電波吸収体。水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなる水硬性セメントマトリックス中に繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有する水硬性セメント組成物を押出成形して得られる上記の電波吸収体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有し、硬化後の比重が0.8〜1.8で、周波数2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上である水硬性セメント系電波吸収体。 【請求項2】 電波吸収量が20dB以上である請求項1に記載の電波吸収体。 【請求項3】 水硬性セメントマトリックス中に繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有する水硬性セメント組成物を押出成形して得られる請求項1または2に記載の電波吸収体。 【請求項4】 水硬性セメントマトリックスが、水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなる請求項3に記載の電波吸収体。 【請求項5】 水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなる水硬性セメントマトリックス中に繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有する水硬性セメント組成物を押出成形し、これを硬化して得られる比重が0.8〜1.8で、周波数2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上である水硬性セメント系電波吸収体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、軽量な電波吸収体およびその製造方法に関する。特にセメント系の電波吸収体に関する。 【0002】 【従来の技術】ワイヤレス通信技術とその利用における便利さから現在では多くの電波が生活空間に放出されている。そのためこれらの電波は他の通信機器の正常な作動を妨害する状況が発生している。建物の内部で発生した電波が外部へ多量に流れるのを防止したり、外部からの電波の侵入を防止することが必要となってきており、そのための電波の遮蔽材や吸収材が求められている。このような要求に応える技術として、特開平5-75288号公報には、外壁材としてのコンクリートの中に炭素繊維を混合した電波吸収体の製造方法が開示されている。この発明では、電波吸収体は導電性繊維を含む水硬性組成物(たとえば、モルタル)等を薄い電波吸収体として押出成形し、これを積層一体化して形成する方法が開示されている。しかし、このような水硬性組成物を使用したものは比重が高く、且つ押出成形体の複数体を積層するという面倒な工程を必要とする。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】水硬性セメント系材料は安価で種々の形状の成形できるため、材質面では好ましいものであるが、重いという欠点がある。本発明は、水硬性セメントにして且つ軽量の電波吸収体およびそのための簡単な製造方法を提供することを目的としてなされたものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有し、硬化後の比重が0.8〜1.8で、周波数2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上である水硬性セメント系電波吸収体に関する。特に、本発明は、水硬性セメントマトリックス中に繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有する水硬性セメント組成物を押出成形して得られる上記の電波吸収体に関する。詳しくは、本発明は、水硬性セメントマトリックスが、水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなる上記電波吸収体に関する。 【0005】また、本発明は、水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなる水硬性セメントマトリックス中に繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmの炭素繊維を硬化後の成形体における体積混合率が2〜6%となる量で含有する水硬性セメント組成物を押出成形し、これを硬化して得られる比重が0.8〜1.8で、周波数2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上である水硬性セメント系電波吸収体の製造方法に関する。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明は、近時無線LAN等で使用される2.4〜2.6GHz(ギガヘルツ)の周波数の電波を高効率に吸収する水硬性セメント系電波吸収体を提供するものであり、この電波吸収体は、硬化後の成形体中に炭素繊維を特定の割合で含有し且つ硬化後の比重が0.8〜1.8と軽量であることを特徴とする水硬性セメントで形成されていることを特徴とする。本発明の電波吸収体は、周波数が2.4〜2.6GHzの電波の電波吸収量が10dB以上、特に20dB以上の能力を有するものである。 【0007】本発明では、炭素繊維は繊維長1〜100mm、繊維径5〜40μmのものを使用する。好ましくは繊維長は3〜10mmであり、また繊維径は10〜30μmである。繊維長が1mm以下のものを使用する場合は目的とする電波の吸収能が不十分であり、また100mmより長いと押出成形において繊維同士の絡まりが生じて良好な押出成形体が得られがたくなる。繊維径は5μmより細くなると成形時の繊維の損傷を生じることとなり、一方40μmより太くなるとセメント中での炭素繊維の存在が粗となり電波の吸収効率が低下する。炭素繊維は、上記の条件を満足するものであれば各種のものが使用でき、例えばレーヨン系、ポリアクリロニトリル系、フェノール樹脂系、石炭ピッチ系、石油ピッチ系等がいずれも使用できる。 【0008】炭素繊維は、電波吸収体、すなわち硬化後の水硬性セメント成形体中に、体積混合率として2〜6%の範囲で含有される。炭素繊維の体積混合率が2%より小さいと電波吸収率が不十分となり、一方6%より大きいと良好な押出成形が困難となる。 【0009】本発明の電波吸収体の比重は0.8〜1.8である。0.8より小さい場合は保形性が低下し製造が困難となる。また、1.8より大きい場合は流動性が低下し、押出できなくなる。 【0010】本発明の水硬性セメント系電波吸収体を押出成形法によって成形する場合は、炭素繊維を含有する水硬性セメントを構成するセメントマトリックスは、水硬性セメント100重量部に対して、シリカ質原料40〜100重量部、軽量骨材0〜100重量部、鉱物繊維0〜40重量部、パルプ0〜80重量部、水溶性セルロース0.1〜10重量部配合されてなるものが好ましい。 【0011】本発明において、「水硬性セメント」とは水との反応により硬化体を形成することのできるセメントまたはこのようなセメントが硬化した硬化体をいう。本発明で使用する水硬性セメントは特に限定されず、各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、シリカセメント、マグネシアセメント、硫酸塩セメント等をすべて含む。 【0012】本発明のセメント系押出成形材料に用いることのできるシリカ質原料としては、珪石粉、高炉スラグ、珪砂、フライアッシュ、珪藻土、シリカヒューム、非晶質シリカ等を使用することができる。好ましくは、成形体の強度向上および寸法安定性に寄与する点から、珪石粉、珪砂である。これらのシリカ質原料として好ましくは比表面積(JIS R 5201に記載の方法による)が3000〜15000cm2/gのものを使用する。シリカ質原料は水硬性セメント100重量部に対して40〜100重量部、好ましくは50〜80重量部の割合で配合される。シリカ質原料が40重量部より少ないと成形体の強度が低下する上に、エフロレッセンスが発生し易くなり、100重量部より多くても成形体の強度が低下する。より好ましくは50〜80重量部である。 【0013】本発明で配合されるパルプは、綿パルプまたは木材パルプ等の天然パルプが好ましい。天然パルプであれば特に限定されず、バージンパルプのみならず古紙からの再生パルプも使用できる。また木材パルプの場合、木材の組織からリグニンを化学的に取り除いた化学パルプ、木材を機械的に処理した機械パルプのいずれも使用できる。パルプは繊維長が0.05〜10mmのものが好ましい。パルプは水硬性セメント100重量部に対して80重量部以下、好ましくは2〜30重量部の割合で配合される。80重量部より多いと分散不良となり、成形体の表面平滑性が悪化したりする。 【0014】本発明で配合される水溶性セルロースとしては、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を例示することができる。水溶性セルロースは押出組成物の各成分を混合、押出成形する場合に、混練物に粘性を付与し、成形性を向上させるものである。水溶性セルロースは水硬性セメント100重量部に対して0.1〜10重量部で配合される。0.1重量部より少ないと可塑性がなく成形できない。一方10重量部より多い場合にはコストの上昇を招くだけであり、これ以上の効果の向上は期待できない。 【0015】本発明で配合される鉱物繊維としては、セピオライト、ウォラストナイト、タルク、アタパルジャイト、ロックウール等を例示することができる。鉱物繊維は水硬性セメント100重量部に対して0〜40重量部、好ましくは3〜25重量部の割合で配合される。鉱物繊維が40重量部より多いと成形体の強度が低下する。 【0016】本発明で使用する軽量骨材としては、火山れきなどの天然軽量骨材、焼成フライアッシュなどの人工軽量骨材、真珠岩パーライト、黒曜石パーライト、バーミキュライトなどの超軽量骨材、膨張スラグなどの副産物軽量骨材を使用することができる。好ましくは、比重を0.06〜0.5に設定できる真珠岩パーライト、黒曜石パーライト、バーミキュライトである。例えば、特許第3040144号の特許公報に記載されているようなパーライトが例示できる。 【0017】本発明のセメント系押出成形材料には、上記以外の添加剤として、必要に応じて、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム等のシリカ以外の無機質材料、減水剤、界面活性剤、増粘剤等を配合することもできる。 【0018】以下、実施例により本発明をより詳細に且つ具体的に説明する。 実施例 1、2表1に記載した配合で押出成形用セメント組成物を調製し、これを幅W=60mm、厚さh=8mm、ランド長L=70mmの矩形断面金型からプランジャータイプ押出機によって押出成形してセメント系電波吸収体を作製した。使用した炭素繊維は、呉羽化学工業社製「クレカチョップ」であり、長さ3mm、径18μmの均一なものである。 【0019】比較例 1表1に記載したように、炭素繊維の混合量および水の量を違えた以外は実施例1と同様の配合の組成物を調製し、同様に押出成形によってセメント系電波吸収体を作製した。 【0020】こうして得られた実施例1、2および比較例1の押出成形体について、下記の方法によってその電波吸収量を測定した。周波数2.4〜2.6GHzの範囲における最高および最低電波吸収量を表1に記載した。また電波の入射周波数と吸収量の関係を示す測定データを図1に示した。 【0021】 【表1】
【0022】〔電波吸収量の測定法〕電波吸収量の測定は、自由空間法により行なう。自由空間法は、電波吸収体に対して直接電波を送信し、これからの反射レベルを測定し、これと幾何学的に同面積の金属板からの反射レベルを同様に測定し、両者の差から反射係数を測定する方法である。即ち、電波暗室に設置した平板に対して、アンテナから垂直に電波を送信し、その反射波を同じアンテナで受け、この電波吸収体の反射係数を求め、この反射係数から、電波吸収体の吸収量を求めた。 【0023】 【発明の効果】本発明は、軽量で、2.4〜2.6GHzの周波数に対し効果的な電波吸収能を有するセメント系電波吸収体を提供するものであり、押出成形により製造できるため長尺の製品を安価且つ容易に製造することができる。またこの電波吸収体はセメント製品であるため、建築物の外壁材を兼ねて建築物内外の電波を遮断することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001096 【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−218579(P2003−218579A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月31日(2003.7.31) |
| 【出願番号】 |
特願2002−10231(P2002−10231) |
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