トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 多層配線板の製造方法
【発明者】 【氏名】中村 正則
【住所又は居所】茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化成工業株式会社山崎事業所内

【氏名】田村 匡史
【住所又は居所】茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成工業株式会社下館事業所内

【要約】 【課題】貫通孔の接続抵抗を上昇させず、かつ孔の接続信頼性を良好なまま維持しつつ、微細な外層回路を形成することのできる多層配線板の製造方法を提供する。

【解決手段】少なくとも1層の表面導電層を含む2層以上の導電層と絶縁層を交互に積み重ねた多層基板に孔を形成し、該孔の内壁に極薄の導電性皮膜を形成し、次いで該孔に、硬化物が導電性を有するインクで孔埋めを行い、次いで該インクを硬化させ、該孔外の余分の該インクの硬化物を研磨除去し、次いで該表面導電層を回路形成する多層配線板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1層の表面導電層を含む2層以上の導電層と絶縁層を交互に積み重ねた多層基板に孔を形成し、該孔の内壁に極薄の導電性皮膜を形成し、次いで該孔に、硬化物が導電性を有するインクで孔埋めを行い、次いで該インクを硬化させ、該孔外の余分の該インクの硬化物を研磨除去し、次いで該表面導電層を回路形成することを特徴とする多層配線板の製造方法。
【請求項2】 該孔が貫通孔である請求項1記載の多層配線板の製造方法。
【請求項3】 該孔が非貫通孔である請求項1記載の多層配線板の製造方法。
【請求項4】 前記極薄の導電性皮膜が0.3〜3.0μm厚さの銅めっきである請求項1〜3いずれかに記載の多層配線板の製造方法。
【請求項5】 該導電層が、該多層基板の少なくとも片面上の表面導電層と、該多層基板中の少なくとも1層の内層回路層を含む請求項1〜4いずれかに記載の多層配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貫通孔に永久孔埋めする多層配線板、及び各種の半導体チップ部品を搭載するためのパッケージ基板等に用いられる多層配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の多層配線板の製造方法では、多層基板に貫通孔を形成し、貫通孔に厚さ約0.3μmの化学銅めっきを行った後、電気銅めっきにより厚さ12〜35μmの銅めっきを行い、更に硬化物が絶縁性の孔埋め材で、スクリーン印刷等により、孔埋めした後、余分な孔埋め材をベルトサンダー又はセラミックバフ等により研磨除去し、外層銅層をはんだ剥離工法又はテンティング工法等により銅をエッチングし、外層回路を形成することで、多層配線板が作製されている。この場合、外層銅(箔厚さ5〜18μm)は、貫通孔への銅めっきにより、総銅厚さが17〜53μmにも厚くなり、微細な外層回路形成が困難となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】多層配線板に於いて、外層回路形成を容易にするため、貫通孔への銅めっきを薄くする方法があるが、この場合、貫通孔の接続抵抗が高く、電気的特性に障害が発生する。更に冷熱サイクル等による接続の信頼性が悪化する等により、好ましくない。かかる状況に鑑み、本発明は、貫通孔の接続抵抗を上昇させないで、かつ孔の接続信頼性を良好なまま維持する方法で、微細な外層回路を形成する方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも1層の表面導電層を含む2層以上の導電層と絶縁層を交互に積み重ねた多層基板に孔を形成し、該孔の内壁に極薄の導電性皮膜を形成し、次いで該孔に、硬化物が導電性を有するインクで孔埋めを行い、次いで該インクを硬化させ、該孔外の余分の該インクの硬化物を研磨除去し、次いで該表面導電層を回路形成することを特徴とする多層配線板の製造方法に関する。また、本発明は、該孔が貫通孔である上記の多層配線板の製造方法に関する。また、本発明は、該孔が非貫通孔である上記の多層配線板の製造方法に関する。また、本発明は、前記極薄の導電性皮膜が0.3〜3.0μm厚さの銅めっきである上記の多層配線板の製造方法に関する。また、本発明は、該導電層が、該多層基板の少なくとも片面上の表面導電層と、該多層基板中の少なくとも1層の内層回路層を含む上記の多層配線板の製造方法に関する。
【0005】本発明の多層配線板の製造方法によれば、孔埋め材に硬化物が導電性を有するインクを用いているので、孔の接続抵抗の上昇を防ぐことができ、孔接続においては良好な接続信頼性が維持される。更に、孔埋め材に硬化物が導電性を有するインクを用いているので、孔内壁の導電性皮膜を極薄とすることができ、外層銅の総厚が銅箔厚さと同程度の薄い銅厚となり、微細回路形成が容易となる。
【0006】一般に硬化物が導電性であるインクは、導電性を持たせるために銀粉、又は銅粉に銀めっきしたものが混入されている。従って、孔内に導電性皮膜を形成する導電化処理をせずに、硬化物が導電性であるインクを直接孔埋め硬化した場合、孔間隔の狭い貫通孔間で銀のマイグレーションが発生し、ショート不良を発生することがある。本発明では、孔内壁に導電性皮膜を形成する導電化処理を行なっているため、そのマイグレーションを防止することが出来る。また、銅粉のみ混入した孔埋め材の場合は、貫通孔に覗いた内層回路の銅の表面積が少ないため、内層回路との接続不良が発生することがある。そのため内層回路銅の接続性を改善するため、貫通孔内壁を導電化処理することで、接続不良を無くすことが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】
【0008】本発明に用いられる多層基板は、少なくとも1層の表面導電層を含む2層以上の導電層と絶縁層を交互に積み重ねた構造を有するものであれば特に制限はない。例えば、絶縁層の両面に金属からなる導電層を有する両面金属張積層板であってもよく、また、導電層が、該多層基板の少なくとも片面上の表面導電層と、該多層基板中の少なくとも1層の内層回路層を含むものであってもよい。導電層としては、通常、銅、銀、ニッケル、金、チタン等からなる金属層や、カーボンからなる導電層などが挙げられる。絶縁層としては、多層配線板に通常用いられる絶縁層であれば特に制限はなく、例えば、補強基材と樹脂とで構成される層、セラミック層、エポキシ樹脂層、ポリイミド樹脂層、フェノール樹脂層、シリコン樹脂層、ポリエステル樹脂層、テフロン(登録商標)樹脂層、ポリブタジエン樹脂層、ビスマレイミドトリアジン樹脂層等が挙げられる。補強基材としては、紙基材、ガラスクロス、ガラスマット、ガラスペーパー、クォーツファイバー等のガラス基材、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維基材などが挙げられ、樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0009】硬化物が導電性を有するインクとしては、例えば、金属微粒子をバインダーポリマーとしての熱硬化性樹脂中に分散させたもの等を用いることができる。金属微粒子としては、銀の微粒子や、銅、カーボン、ニッケル、金、チタン、パラジウム等の微粒子や、これらの微粒子に銀めっきした微粒子等が挙げられる。微粒子の形状としては、異種多角形状や球形状等が挙げられ、平均粒径は、3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。バインダーポリマーとしての熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。
【0010】インク中の金属微粒子の量は、熱硬化性樹脂と金属微粒子との合計体積中、80〜98体積%であることが好ましく、92〜98体積%であることがより好ましい。
【0011】多層基板に形成される孔は、貫通孔もしくは非貫通孔のいずれであってもよく、通常、少なくとも1層の表面導電層と他の少なくとも1層の導電層とを接続させるために形成される。孔の形状は、円や方形の断面を有する形状等、特に制限はなく、孔径にも特に制限はなく、通常、φ0.06mm〜φ0.6mmであることが好ましい。孔の形成方法に特に制限はなく、ドリリングマシンを用いる方法、レーザー照射による孔形成、ウェットエッチングによる孔形成、プラズマによる孔形成等、孔径等に応じて適宜選択することができる。
【0012】孔の内壁に形成される極薄の導電性皮膜としては、導電性を有する皮膜であれば特に制限はなく、例えば、銅、銀、ニッケル、金、チタン、パラジウム等の金属皮膜、カーボンの皮膜などが挙げられる。導電性皮膜の厚みは、0.3〜3.0μmとすることが好ましく、0.3〜2.5μmとすることがより好ましく、0.3〜2.0μmとすることが更に好ましい。導電性皮膜の厚みが0.3μm未満では、孔の接続抵抗が高くなることがあり、3μmを超えると、化学めっき、電気メッキなどによって導電性皮膜を形成した場合に表面導電層の厚みが大きくなり、微細外層回路形成が困難となることがある。
【0013】導電性皮膜の形成方法は、例えば、金属皮膜の場合には、例えば、化学めっきを用いることができ、カーボン等の皮膜の場合には、物理吸着によるカーボン吸着等を採用することができる。
【0014】硬化物が導電性を有するインクによる孔埋めは、例えば、スクリーン印刷、圧入方式、ディスペンサー方式等により行なうことができる。孔埋め後のインクの硬化は、インクの成分に応じて、加熱、赤外線等により行なう。例えば、インクが熱硬化性樹脂からなるバインダーポリマーを含有する場合、70〜180℃で30〜120分間加熱することにより硬化させる。
【0015】インクの硬化後、孔外の余分のインクの硬化物を研磨除去する。研磨除去の方法としては、例えばベルトサンダー、コルクサンダー、セラミックバフ、繊維バフ、オビタルサンダー等を用いる研磨が好適である。
【0016】余分のインク硬化物を除去した後に、表面導電層を回路形成する。回路の形成方法としては特に制限はなく、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法等を用いることができる。
【0017】以下、本発明に係わる多層配線板の製造方法の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】図1(a)は、ガラス布基材エポキシ樹脂銅張り積層板(日立化成工業株式会社、商品名MCL−E−679)から形成された内層回路板1の両面に、厚さ0.06mm接着用のプリプレグ3(日立化成工業株式会社、商品名GEA−679N)1〜2枚を挟んで厚さ12μmの銅箔2を重ね、ラミネーション治具を用い、積層接着された4層多層基板に、NCドリルマシン(日立精工株式会社製、商品名MARK−100)でφ0.2〜0.3mmの貫通孔4を開けた多層基板を示す。
【0019】図1(b)に示すように、貫通孔4の内壁に化学銅めっき液(日立化成工業株式会社、商品名CUST100)により約0.3μm厚さの銅めっき膜5を形成する。この時、最外層の2枚の銅箔2上にも同様な厚さの銅めっき膜5が付着形成される。銅めっき膜5の厚みが0.3μm未満では、貫通孔の接続抵抗が高くなる傾向がある。3μm超では、外層銅総厚が15μmを超えてしまい、微細外層回路形成が困難となることがある。したがって0.3μm以上3μm以下の範囲が好ましい。より好ましくは0.3μm以上2.5μm以下の範囲が好ましく、更に好ましくは0.3μm以上2.0μm以下の範囲が好ましい。
【0020】次いで、図1(c)に示すように、導電性インク6(アサヒ化学研究所 商品名LS101S、バインダーポリマー:エポキシ樹脂、金属微粒子:Ag、平均粒径:6μm、バインダーポリマーと金属微粒子との合計体積中の金属微粒子の割合:96体積%)をスクリーン印刷機(ニューロング 装置型名LS24型)により孔埋めし、硬化装置により孔埋めした多層基板を150℃60分間加熱し、孔埋めされたインクを硬化させる。その後、図1(d)に示すように、#600の研磨布を装着したベルトサンダー研磨機(菊川鉄工 商品名T26MW型)により、孔内のインク6(硬化物)を残して、銅箔2上の銅めっき膜5上の余剰のインクを研磨除去する。
【0021】次に、図1(e)に示すように、はんだ剥離工法により銅めっき層5がめっきされた両面の銅箔2をエッチングし、外層回路7を形成する。この時、エッチングする銅厚さが、殆ど銅箔厚さと同程度の薄い銅となっているため、微細回路形成が比較的容易である。更に必要に応じて永久ソルダーレジストを所定のパターンに形成する。
【0022】多層化基板の貫通孔の場合について、実施例を説明したが、ビルドアップ多層化基板の場合の非貫通孔についても、前記と同様な手法が可能である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層配線板の製造方法によれば、貫通孔等の孔内の銅めっき等の導電性皮膜を0.3〜3.0μmと薄く出来ることにより、外層回路の導電層の厚みを薄く出来るため、微細な回路形成が可能である。更に、孔内に硬化後導電性を有すインクを孔埋めしたことにより、孔の導電抵抗が低く、かつ冷熱温度変化に対しても良好な接続の信頼性を維持できる。
【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目1番1号
【出願日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【代理人】 【識別番号】100086494
【弁理士】
【氏名又は名称】穂高 哲夫
【公開番号】 特開2003−174262(P2003−174262A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−374420(P2001−374420)