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【発明の名称】 多層配線基板の製造方法
【発明者】 【氏名】川島 敏行
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【氏名】田原 伸治
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【氏名】池田 健一
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【要約】 【課題】絶縁層を形成するためのギャップの制御が容易なため量産化に有利であり、しかも基板全体の薄層化が可能で、基板表面の平坦化にも有利な多層配線基板の製造方法、並びに、その製法で得られうる多層配線基板を提供する。

【解決手段】絶縁層11の両面に配線パターン12が形成された複数の両面配線基板10を、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ1を介して積層した状態で、その積層物を加熱加圧して一体化させる工程を含む多層配線基板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁層の両面に配線パターンが形成された複数の両面配線基板を、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを介して積層した状態で、その積層物を加熱加圧して一体化させる工程を含む多層配線基板の製造方法。
【請求項2】 前記両面配線基板の絶縁層は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたものである請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項3】 前記一体化させた積層物に、複数層の配線パターンを貫通するビアホールを形成した後、少なくともそのビアホール内に金属のメッキを行う工程を含む請求項1又は2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の製造方法により製造することができる多層配線基板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを用いて、複数の両面配線基板を積層一体化する工程を含む多層配線基板の製造方法、並びに、その製法で得られうる多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子機器などに使用される多層配線基板のコア基板や絶縁層等の形成工程には、熱硬化性樹脂をガラス繊維織物や高分子不織布などに含浸させて半硬化させたプリプレグ等が使用されてきた。当該プリプレグは、例えば両面に積層した銅箔と共に熱プレスすることによって両面銅箔積層板が得られ、その銅箔に配線パターンを形成することにより、多層配線基板を製造するための両面配線基板(コア基板を含む)として使用することができる。
【0003】近年、上記のような多層配線基板は、配線の高集積化のために、配線パターンがより微細化すると共に、多層構造化や各層の薄層化が行われている。このため、上記のようなプリプレグとして、薄層化が可能で、レーザービア加工がより容易に行える高分子不織布を補強相に使用したプリプレグが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高分子不織布を補強相に使用したプリプレグでは、製造上の理由などから薄層化に限界があり、また、表面に繊維の凹凸が生じ易く、平坦な絶縁層が形成しにくくなる。このため、特に各層の薄層化された多層配線基板では、プリプレグを積層する代わりに熱硬化性樹脂を塗布したり、熱硬化性樹脂のシートを積層して絶縁層を形成する方法がとられていた。しかし、これらの方法では補強相が存在しないため、絶縁層を形成するためのギャップの制御が困難になるなど、量産化の面から有利な方法とは言えなかった。
【0005】なお、高分子不織布の代わりに、芳香族ポリアミド等からなる多孔質フィルムを用いたプリプレグも知られているが(特開平9−324060号公報等)、このようなプリプレグは、通常、その両面に銅箔を積層一体化した両面銅箔積層板を製造するために使用されていた。
【0006】そこで、本発明の目的は、絶縁層を形成するためのギャップの制御が容易なため量産化に有利であり、しかも基板全体の薄層化が可能で、基板表面の平坦化にも有利な多層配線基板の製造方法、並びに、その製法で得られうる多層配線基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。すなわち、本発明の多層配線基板の製造方法は、絶縁層の両面に配線パターンが形成された複数の両面配線基板を、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを介して積層した状態で、その積層物を加熱加圧して一体化させる工程を含むことを特徴とする。
【0008】上記において、前記両面配線基板の絶縁層は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたものであることが好ましい。
【0009】更に、前記一体化させた積層物に、複数層の配線パターンを貫通するビアホールを形成した後、少なくともそのビアホール内に金属のメッキを行う工程を含むことが好ましい。
【0010】一方、本発明の多層配線基板は、上記いずれかに記載の製造方法により製造することができる多層配線基板である。
【0011】[作用効果]本発明の多層配線基板の製造方法によると、複数の両面配線基板を樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを介して積層した状態で、その積層物を加熱加圧して一体化させるため、高分子不織布を含むプリプレグを用いる場合と比較して、樹脂多孔質膜が変形してより平坦な絶縁層を形成することができ、しかもその薄層化が可能となる。また、樹脂多孔質膜がスペーサ的な機能を有するため、加圧力によって容易に絶縁層のギャップ制御が行えるので、量産化に有利な製造方法を提供することができる。
【0012】前記両面配線基板の絶縁層は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたものである場合、両面配線基板の絶縁層も薄層化が図れ、基板全体をより薄くすることができる。
【0013】前記一体化させた積層物に、複数層の配線パターンを貫通するビアホールを形成した後、少なくともそのビアホール内に金属のメッキを行う工程を含む場合、ビアホール内のメッキによって複数層の配線パターンを導電接続することができる。
【0014】一方、本発明の多層配線基板によると、上記の如き作用効果を有するプリプレグを介して積層された積層構造を有するため、基板全体の薄層化が可能で、基板表面の平坦度が良好になり、電子部品の実装などの後工程に有利になる。しかも絶縁層を形成するためのギャップ制御が容易となるため量産化に有利な多層配線基板とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら第1実施形態から第3実施形態、プリプレグの順で説明する。図1〜図3は本発明の多層配線基板の製造方法の第1実施形態〜第3実施形態に対応する工程図である。
【0016】(第1実施形態)本発明の多層配線基板の製造方法は、図1に示すように、絶縁層11の両面に配線パターン12が形成された複数の両面配線基板10を、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ1を介して積層した状態で、その積層物を加熱加圧して一体化させる工程を含むものである。プリプレグ1については後に詳細に説明する。
【0017】本発明における両面配線基板10の絶縁層11は、補強相を有しない耐熱性樹脂や、高分子不織布を補強相とするものでもよいが、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグ1と同様のものを使用するのが好ましい。また、絶縁層11が熱硬化性樹脂を含有する場合、半硬化物又は硬化物などの何れも使用することができる。なお、本発明では、絶縁層11に形成された配線パターン12が凸状の場合に、特に基板全体を平坦化するのに有利となるが、絶縁層11に配線パターン12が埋設されて、表面が平坦な両面配線基板10を使用することも可能である。
【0018】配線パターン12の形成は、例えばエッチング液を用いて両面に接着した金属箔をパターンエッチングしたり、あるいはパターンメッキ等すればよい。エッチングは金属の種類に応じたエッチング液が使用され、パターンエッチング等には、ドライフィルムレジスト等が使用できる。配線パターン12を形成する金属としては、銅、白銅、青銅、黄銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、金、銀、白金等の各種のものを使用できるが、銅が好ましい。配線パターン12の厚みは、基板全体の薄層化を図る上で、1〜35μmが好ましい。配線パターン12の表面には、プリプレグ1との密着性を高めるために、粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を行ってもよい。
【0019】第1実施形態では、図1(a)に示すように、2枚の両面配線基板10と1枚のプリプレグ1を一度に積層する例を示す。プリプレグ1は、例えばその両面に離型性の樹脂フィルムが積層されたものを準備して、樹脂フィルムを剥離して使用すればよい。積層は、単に積層配置するだげでもよいが、プリプレグ1の粘着力を利用して、上下何れかの両面配線基板10に圧着しておいてもよい。
【0020】次に、図1(b)に示すように、積層物を加熱加圧して一体化させる。加熱加圧には真空プレス装置、熱プレス装置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、また、熱プレスの温度、圧力は、従来公知の条件が何れも適用できる。但し、本発明においては、プリプレグ1に含浸された熱硬化性樹脂の種類によって適宜設定されるが、例えば温度100〜200℃、圧力0.5〜5MPaが好ましい。
【0021】加熱加圧により、絶縁層11上の配線パターン12が、多孔質膜に含浸された熱硬化性樹脂が硬化してなる複合絶縁層1a(硬化後のプリプレグ1)に埋入した状態で積層一体化された積層構造をとなる。本発明の多層配線基板は、当該積層構造を有する。
【0022】次に、図1(c)に示すように、一体化した積層物に、複数層の配線パターン12を貫通するビアホール20を形成する。図の例では全層を貫通するビアホール20が形成されているが、全層を貫通するものでなくてもよい。
【0023】ビアホール20を形成する部分の配線パターン12は、線幅又は径の大きいパターン部(ランド)を形成するのが好ましい。ビアホール20の開口方法としては、ドリリング、パンチ、YAGレーザ等の各種レーザを用いたレーザ加工が挙げられる。
【0024】次に、図1(d)に示すように、少なくともそのビアホール20内に金属のメッキを行う。これにより、配線パターン12間を層間で導電接続するメッキ層22が形成される。金属のメッキは、通常、銅を用いて行われ、例えば表面活性化、無電解銅メッキ、電解銅メッキ等が順に行われる。その際、図の例のように、ビアホール20内とその開口21付近のみにメッキを行う場合、メッキしない部分には、メッキレジスト(図示省略)が被覆される。メッキレジストとしては、ドライフィルムレジスト等が用いられ、所望の露光、現像により、レジスト部分のみが残存するように形成される。このようなビアホール20内のメッキ方法としては、従来公知の方法が何れも使用できる。
【0025】(第2実施形態)第2実施形態では、図2に示すように、予めプリプレグ1を何れかの両面配線基板10に仮着しておく例を示す。このように予めプリプレグ1を仮着しておくことで、全体の製造工程が簡易化できる場合がある。以下、第1実施形態との相違部分について説明する。
【0026】まず、図2(a)〜(b)に示すように、両面配線基板10の片方の配線パターン12に対し、離型性の樹脂フィルム2が付着したプリプレグ1を仮着する。仮着は、比較的低温低圧(例えば温度100℃以下、圧力0.1〜1MPa)で行うことができ、樹脂フィルム2のみが剥離し易いようにする。
【0027】次に、図2(c)に示すように、仮着後にフィルム2を剥離したものの複数と、プリプレグ1を仮着していない両面配線基板10とを積層する。この積層物を第1実施形態と同様にして、図2(d)に示すように加熱加圧して一体化させる。層間の導電接続も第1実施形態と同様にして行うこともできる。
【0028】(第3実施形態)第3実施形態では、積層一体化後に層間の導電接続構造を形成するのではなく、図3に示すように、予めプリプレグ1の貫通孔1b内に導電性ペースト23を充填しておき、両面配線基板10の積層一体化と同時に導電接続構造を形成する例を示す。以下、第1実施形態との相違部分について説明する。
【0029】この実施形態では、図2(a)に示すように、予め形成した貫通孔1b内に導電性ペースト23を充填したプリプレグ1と、予め導電接続構造24を形成した両面配線基板10とを使用する。
【0030】プリプレグ1に貫通孔1bを形成する方法としては、ドリリング、パンチ、YAGレーザ等の各種レーザを用いたレーザ加工が挙げられるが、配線基板を高密度化する上で、レーザ加工を行うことが好ましい。導電性ペースト23としては、銀、銅、カーボン、ハンダ等の微粒子からなる導電性フィラーをバインダー樹脂や溶剤に分散させたものが挙げられる。バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂が好適に使用され、後述する加熱加圧によって、硬化反応が進行するものが好ましい。
【0031】導電性ペースト23の充填には、スクリーン印刷、オフセット印刷、パッド印刷、イックジェット印刷、バブルジェット印刷等の印刷や、スクイーズによる充填などの方法が使用できる。導電性ペースト23の微粒子の平均粒径としては、0.05〜10μmが一般的であり、これより孔径の小さい多孔質膜をプリプレグ1に使用することで、微粒子の貫通孔1b外部への拡散を防止して、圧密化による信頼性の高い層間接続を行うことができる。
【0032】一方、両面配線基板10に導電接続構造24を形成する方法としては、上記と同様にしてビアホール内に導電性ペーストを充填する方法、ビアホール内にメッキを行う方法など何れでもよい。
【0033】この実施形態では、特に、複数の両面配線基板10とプリプレグ1とを積層する際の位置合わせを精度良く行う必要があるが、例えばガイド孔とガイドピンなどを用いて、積層物の位置合わせを容易に行うことができる。
【0034】次に、図3(b)に示すように、この積層物を第1実施形態と同様にして、加熱加圧して一体化させる。このとき、絶縁層11に形成された配線パターン12が凸状である場合は、配線パターン12の厚みの2倍分だけ、導電性ペースト23が圧密化される。従って、ある程度、導電性ペースト23の微粒子が外部へ拡散する場合でも、信頼性の高い層間接続を行うことができる。
【0035】(プリプレグ)本発明におけるプリプレグは、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたものである。本発明に用いられる多孔質膜の材質としては、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好ましく、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン等の各種樹脂を採用することができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶縁性、耐熱性が良好であり、また金属層との密着性も良好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好ましい。
【0036】多孔質膜の形成は、湿式凝固法、乾式凝固法、延伸法など種々の製膜法が挙げられるが、スポンジ構造を得る上で湿式凝固法が好ましい。湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。
【0037】ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするするものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含むものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであり、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の極限粘度(30℃での測定値)有している高分子であることが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜となる。
【0038】ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはその前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができるが、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。なお、重合体としては、完全にイミド化しているものがよいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0039】ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解させる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0040】一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆるパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部をジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
【0041】パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニレンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーのように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用いる芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少なくとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与する成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとして、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解性が高くなる。
【0042】芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
【0043】また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0044】湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0045】製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0046】孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1重量%から10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成される。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得ることができる。
【0047】ドープは一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸積して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸積するなどして、脱溶剤され多孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出した後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、200℃以下での乾燥が望ましい。
【0048】ポリイミド系樹脂の多孔質膜を形成する際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリアミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0049】本発明における多孔質膜は、熱硬化性樹脂を含浸させる上で、多孔質膜の裏面又は表面の平均孔径は、0.05μm以上が好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。多孔質膜の空孔率については、プリプレグとしての機能を好適に発現する上で、30〜98%が好ましく、40〜70%がより好ましい。
【0050】多孔質膜の厚さは特に限定されないが、あまり厚みが厚すぎると脱溶剤に時間がかかる傾向があり、また、最近の多層配線基板では薄くて軽くさらに機械強度のある物が望まれるため、その厚さとしては好ましくは5〜100μmである。
【0051】本発明では、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグとするが、これは多孔質膜の孔内に熱硬化性樹脂の原料組成物を含浸させることで得ることができる。
【0052】当該原料組成物の含浸方法としては、各種コーター等によって、多孔質膜の表面に、直接熱硬化性樹脂の原料液を塗布する方法でもよいが、基材シートの表面に原料液を塗布して乾燥させた固形塗膜を多孔質膜の表面に積層して、加熱・加圧により含浸させる方法が好ましい。この方法によると、プリプレグが薄い場合でも、硬化性樹脂の原料液に含まれる溶剤により、芳香族ポリアミドが膨潤等して多孔質膜が変形するのを抑制できる。
【0053】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられるが、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と他の樹脂の混合物などが価格や取り扱い易さの点から好ましい。熱硬化性樹脂の原料液には、溶剤の他に、触媒、硬化剤、難燃剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。熱硬化性樹脂の原料液に含まれる溶剤としては、熱硬化性樹脂の種類によるが、ケトン類、酢酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられる。
【0054】基材シートとしては樹脂、金属などが何れも使用できるが、樹脂フィルムが好ましい。塗布方法としては、直接塗布又は間接含浸の何れの場合も、ブレードコーター、コンマコーター、ロールコーター、カレンダコーター、バーコーターによる塗布方法が挙げられる。なお、塗布厚みが均一なほど固形塗膜の厚みも均一となり、含浸量もより均一化できる。
【0055】溶剤の乾燥では、完全に溶剤を除去する必要はなく、非流動化する程度でもよい。乾燥方法としては、効率の点から加熱乾燥や熱風乾燥が好ましい。加熱温度としては、熱硬化性樹脂の硬化反応が進行し過ぎない温度が選択される。
【0056】加熱・加圧を行う方法としては、各種の熱プレス装置や熱ラミネーター、それらに真空排気装置を付加した装置などを用いる方法が挙げられる。本発明では、熱ラミネーターを用いるのが好ましい。この加熱・加圧によって、多孔質膜に熱硬化性樹脂の半硬化物(完全硬化してないものであればよい)が含浸されたプリプレグが製造できる。
【0057】本発明におけるプリプレグは、プリプレグとしての機能を維持しながら基板全体を薄層化する上で5〜150μmが好ましく、5〜75μmがより好ましい。また、両面配線基板の絶縁層を当該プリプレグで形成する場合にも、この範囲と同じ厚みの範囲とするのが好ましい。
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
【出願日】 平成13年7月2日(2001.7.2)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外4名)
【公開番号】 特開2003−17862(P2003−17862A)
【公開日】 平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願番号】 特願2001−200332(P2001−200332)