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【発明の名称】 セラミックヒータの製造方法及びグロープラグの製造方法
【発明者】 【氏名】谷口 雅人
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内

【氏名】原口 史彦
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内

【要約】 【課題】金属リード部によるヒータ本体と金属軸との接合状態を良好に保つことができるセラミックヒータを精度高く製造し得る製造方法、及びそれを用いたグロープラグの製造方法を提供する。

【解決手段】ヒータ本体2の軸線O方向において先端部にセラミック抵抗体10を埋設させる一方、通電経路部12,15を、該セラミック抵抗体10に先端を導通させ、後端を該ヒータ本体2の後端面2rに露出させるように軸線O方向に埋設させる形にてヒータ本体を形成するヒータ本体形成工程を行う。そして、そのヒータ本体形成工程により形成されたヒータ本体2の後端面上に、活性ろう材に基づくろう材層36,37をスクリーン印刷により形成するスクリーン印刷工程を行い、その印刷されたろう材層を介した面接触形態により前記通電経路部12,15に対し電極取出部材をろう付け接合する電極取出部材接合工程を行うこととなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性セラミックからなるセラミック基体(13)中に、抵抗発熱体(11)と、その抵抗発熱体(11)に通電するための通電経路部(12,15)とが埋設された棒状のヒータ本体(2)を形成する工程であって、前記ヒータ本体(2)の軸線(O)方向において先端部に前記抵抗発熱体(11)を埋設させる一方、前記抵抗発熱体(11)に前記通電経路部(12,15)の先端を接合させ、後端を該ヒータ本体(2)の後端面(2r)に露出させるように前記軸線(O)方向に埋設させる形にて前記ヒータ本体(2)を形成するヒータ本体形成工程と、そのヒータ本体形成工程により形成されたヒータ本体(2)の後端面上に、活性ろう材に基づくろう材層(210,210)をスクリーン印刷により形成するスクリーン印刷工程と、前記ヒータ本体(2)の前記後端面(2r)において、その印刷されたろう材層を介した面接触形態により前記通電経路部(12,15)に対し電極取出部材を導通させる電極取出部材接合工程と、を含むことを特徴とするセラミックヒータ(1)の製造方法。
【請求項2】 前記電極取出部材接合工程は、前記通電経路部(12,15)の露出領域を包含する形で前記ヒータ本体(2)の前記後端面(2r)の一部に対し、金属層を介して面接触形態にて接合することにより、電極取出部材(26,27,126)を前記通電経路部(12,51)と導通させる一方、当該電極取出部材(26,27,126)を前記ヒータ本体(2)の周側面部(2s)と非接合とする請求項1に記載のセラミックヒータ(1)の製造方法。
【請求項3】 前記ヒータ本体形成工程において、前記抵抗発熱体(11)に通電するための前記通電経路部(12,15)を対をなす形で設けつつ、それら通電経路部(12,12,15,15)の各後端が該ヒータ本体(2)の後端面(2r)に露出するように埋設し、前記スクリーン印刷工程において、それら通電経路部の各々の露出位置に対応させて一対のろう材層印刷領域をそれぞれ個別に設けるとともに、それらろう材層印刷領域を互いに分離させて形成し、さらに、前記電極取出部材接合工程において、互いに分離させて形成した前記ろう材層印刷領域の各々に対応させて、一対の前記電極取出部材(26,27)を互いに絶縁させた状態にて前記ろう材層を介して前記後端面(2r)にそれぞれ接合する請求項1又は2に記載のセラミックヒータ(1)の製造方法。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されたセラミックヒータ(1)に対し、前記ヒータ本体(2)を周方向に取り囲むとともに、軸線(O)方向において前記ヒータ本体(2)の先端部を突出させる形にて金属外筒(3)を取り付け、その取り付けられた金属外筒(3)の軸線(O)方向後端部に、外周面に内燃機関への取付部(5)が形成された主体金具(4)を結合することを特徴とするグロープラグ(50)の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックヒータとそれを用いたグロープラグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなグロープラグとして、筒状の主体金具の先端部内側に、棒状のセラミックヒータの先端部を突出させる形で配置したものが広く使用されている。セラミックヒータへの通電は、主体金具の後端部に設けられた金属軸(電源に接続される)と、該金属軸及びセラミックヒータを接続する金属リード部を介して行われる。従来のグロープラグにおいてセラミックヒータと金属リード部との接続は、以下のような種々の形態によりなされてきた。
■特開平10−205753号公報:金属リード部の先端部を巻きまわしてコイル状の接続部を形成し、ヒータ端子が露出形成されたセラミックヒータの後端部をその内側に挿入して、両者をろう付けする。
■特開平4−268112号公報、特開昭62−141423号公報、実公昭60−30608号公報:セラミックヒータの後端部に、ヒータ後端面と周側面部とを覆うキャップ状の接続金具を被せてろう付けし、この接続金具に金属リードの末端を接続する。
■特開2000−356343号公報:セラミックヒータの後端面において金属リードの末端部を埋設する。
【0003】しかし、上記各従来技術には、以下のような問題がある。まず、近年、ディーゼルエンジンの多バルブ化及び部品の軽量化を図るために、グロープラグ用のセラミックヒータに関しても細径化の要請が高まりつつある。■に開示された構成では、セラミックヒータの外周面にコイル状の接続部がろう付けされることから、セラミックヒータを細径化しても該接続部が径方向にスペースを消費するために、コンパクト化の要請を必ずしも満たしきれない難点がある。また、主体金具とセラミックヒータとの周方向のクリアランスは一般に小さく、ここに導体で構成された接続部を配置することは短絡等の不良発生につながりやすい懸念もある。■に開示された構成の場合も、キャップ状の接続金具を使用するため、そのヒータ側周面部を覆う部位の存在により、同様の問題を生じうる。また、ヒータ端面を覆う部位と側周面部を覆う部位とが一体化されているために、熱応力に由来した拘束力がセラミック製のヒータに対して強く作用しやすく、割れ等の不具合につながりやすい問題がある。他方、■に開示された構成では、金属リードのセラミックヒータに対する接続部を別焼結体とする分だけ工数が余分にかかり、また、接続面積が不足しやすいため強度上の問題も生じやすい。
【0004】本発明の課題は、加熱/冷却のサイクルが加わった場合でも、金属リード部によるヒータ本体と金属軸との接合状態を良好に保つことができるセラミックヒータを精度高く製造し得る製造方法、及びそれを用いたグロープラグの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記のような課題を解決するために、本発明は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体(13)中に、抵抗発熱体(11)と、その抵抗発熱体(11)に通電するための通電経路部(12,15)とが埋設された棒状のヒータ本体(2)を形成する工程であって、前記ヒータ本体(2)の軸線(O)方向において先端部に前記抵抗発熱体(11)を埋設させる一方、前記通電経路部(12,15)を、前記抵抗発熱体(11)に先端を導通させ、後端を該ヒータ本体(2)の後端面(2r)に露出させるように前記軸線(O)方向に埋設させる形にて前記ヒータ本体を形成するヒータ本体形成工程と、そのヒータ本体形成工程により形成されたヒータ本体(2)の後端面上に、活性ろう材に基づくろう材層(210,210)をスクリーン印刷により形成するスクリーン印刷工程と、前記ヒータ本体(2)の前記後端面(2r)において、その印刷されたろう材層を介した面接触形態により前記通電経路部(12,15)に対し電極取出部材を導通させる電極取出部材接合工程と、を含むことを特徴とするセラミックヒータ(1)の製造方法を提供する。
【0006】上記方法によれば、電極取出部材をろう付け接合等により簡単に接合することができて工数も少なくて済み、さらに、スクリーン印刷によりろう材層を形成するようにしているため、ろう材層の位置決めに関しヒータ本体の後端面における適切な位置に正確に配置することができる。また、後端面に複数の電極部材を取り付ける場合には、ろう材層の配置ずれにより導通してしまうといったことがなく、電極部材同士の絶縁を確実に行うことができ、ひいては素子の高精度化に寄与することとなる。また、電極取出部材を、ヒータ後端面において面接触形態により導通接合することができるので、接触面積を比較的大きく取ることができ、接合部の強度を確保しやすい。
【0007】また、通電経路部(12,15)の露出領域を包含する形でヒータ本体(2)の後端面(2r)の一部に対し、金属層を介して面接触形態にて接合することにより、電極取出部材(26,27,126)を通電経路部(12,51)と導通させる一方、当該電極取出部材(26,27,126)をヒータ本体(2)の周側面部(2s)と非接合とするように電極取出部材接合工程を行ってもよい。
【0008】上記方法により得られるグロープラグは、電極取出部材が、通電経路部の露出領域を包含する形でヒータ本体の後端面の一部に対し、金属層を介して面接触形態にて接合されることにより、通電経路部と導通する。そして、該電極取出部材はヒータ本体の周側面部とは非接合とされているので、径方向に余分なスペースを消費せず、セラミックヒータひいてはグロープラグのコンパクト化、特に細径化に寄与する。また、主体金具とセラミックヒータとの周方向のクリアランスが小さい場合でも、該クリアランスからは電極取出部材を構成する導体部分が排除されているので、短絡等の心配がない。さらに、電極取出部材において側周面部と接合される部位を設けておらず、ヒータ端面と接合される部位に側周面部と接合される部位が一体化されていないため、加熱/冷却が繰り返された場合でもセラミックヒータの周側面に強い応力が集中しにくく、ひいてはヒータの割れ等を効果的に防止することができる。また、このような電極取出部材の場合、側周面部と接合される部分が一体化されていないため、ヒータ端面に関しその面方向に当該電極取出部材がずれ易く、ろう材層を単に端面上に載置するだけではろう材層の正確な位置決めが難しい。しかしながら、上記のごとく、スクリーン印刷によってろう材層を正確な位置に設けておけば、その正確に位置決めされたろう材層と対応させて電極取出部材も精度高く位置合わせし易く、通電経路部、ろう材層、及び電極取出部材の接合位置を容易にかつ精度高く設定することができる。
【0009】なお、本明細書の特許請求の範囲において各要件に付与した符号は、添付の図面の対応部分に付された符号を援用して用いたものであるが、あくまで発明の理解を容易にするために付与したものであり、特許請求の範囲における各構成要件の概念を何ら限定するものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の適用対象となるセラミックヒータを使用したグロープラグの一例を、その内部構造とともに示すものである。該グロープラグ50はセラミックヒータ1を有する。具体的には、筒状の主体金具4と、主体金具4の軸線O方向における先端部内側に、自身の先端部を突出させる形で配置された棒状のヒータ本体2と、該ヒータ本体2に通電するために、主体金具4の後端部内側に軸線O方向に挿入された金属軸6とを備えている。また、金属軸6の先端部と、ヒータ本体2の後端部に設けられた通電経路部12,12の一方の端部とを接続するリード部17が設けられている。本実施形態では、ヒータ本体2の先端部が突出するようにその外周面を覆う金属外筒3が設けられ、主体金具4は、その金属外筒3を外側から覆うものとされている。
【0011】主体金具4の外周面には、図示しないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するための、取付部としてのねじ部5が形成されている。なお、主体金具4は金属外筒3に対し、例えば両者の内外周面の隙間を充填する形でろう付けするか、あるいは主体金具4の先端側開口内縁と金属外筒3の外周面とを全周レーザー溶接する形で固定される。
【0012】図2に示すように、ヒータ本体2は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に抵抗発熱体11が埋設された棒状のセラミックヒータ素子として構成されている。抵抗発熱体11はヒータ本体2に対し、軸線O方向において先端部に埋設される。また、通電経路部12,12は、抵抗発熱体11に先端が導通し、後端が該ヒータ本体2の後端面2rに露出する形で軸線O方向に埋設される。そして、金属製の電極取出部材26,27が、通電経路部12,12の露出領域を包含する形でヒータ本体2の後端面2rの一部を覆い、かつヒータ本体2の周側面部2sは覆わない形で、該後端面2rにおいて通電経路部12,12に対し面接触形態により導通接合されてなる。
【0013】抵抗発熱体11は通電経路部12,12が対をなす形で設けられ、それら通電経路部12,12の各後端が該ヒータ本体2の後端面2rに露出してなり、電極取出部材26,27は、該通電経路部12,12のそれぞれに対応するものが、互いに絶縁された状態にて後端面2rに接合されてなる。このうち一方のものに電極取出部材27が接合され、リード部17を介して金属軸6に電気的に接続されている。また、他方のものには電極取出部材26が接合され、リード部16を介して金属外筒3に電気的に接合されている。
【0014】電極取出部材26,27はいずれも板状に構成されてなる。本実施形態では、いずれも通電のためのリード部17,16が一体化された単一の板状部材として構成され、部品点数の削減が図られている。さらに、電極取出部材26,27はいずれも半月状に形成され、その外形線の一部なす直線状の弦部26y,27y間に一定の間隔を形成した状態にて対向配置されてなる。そして、電極取出部材27は、その円弧状の外縁部に長い板状のリード部17の先端部が一体化され、電極取出部材27との接続位置にて後方側に曲げ返されるとともに、軸線O方向に沿って延び、図1に示すように末端が金属軸6の前端部に抵抗溶接等により接合されている。
【0015】他方、電極取出部材26の円弧状の外縁部からは、リード部16が半径方向外向きに延出し、金属外筒3にその末端部が抵抗溶接等により接合されている。本実施形態では金属外筒3は、内周面が後端部において拡径されることにより、ヒータ本体2の後端部外周面と金属外筒3の後端部内周面との間にはクリアランスGが形成されている。そして、リード部16はこのクリアランスGを経て側方に延び、後方側に曲げ返された末端部の外周面にて金属外筒3の内周面に固着されている。
【0016】次に、ヒータ本体2は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体ユニット10が埋設されている。セラミック抵抗体ユニット10は、第一導電性セラミックからなり、ヒータ本体2の先端部に配置される第一抵抗体部分11と、各々該第一抵抗体部分11の後方側において、ヒータ本体2の軸線O方向に延伸する形で配置され、先端部が第一抵抗体部分11の通電方向における両端部にそれぞれ接合されるとともに、第一導電性セラミックよりも抵抗率が低い第二導電性セラミックからなる1対の第二抵抗体部分12,12とを有する。そして、第一抵抗体部分11が抵抗発熱体を、第二抵抗体部分12,12が通電経路部をそれぞれ構成する。
【0017】セラミック基体13を構成する絶縁性セラミックとして、本実施形態では窒化珪素質セラミックが採用されている。他方、セラミック抵抗体ユニット10を構成する第一抵抗体部分11及び第二抵抗体部分12,12は、前記した通り電気抵抗率の異なる導電性セラミックにて構成されている。両導電性セラミックの電気抵抗率を互いに異なるものとする方法は特に限定されず、例えば、■同種の導電性セラミック相を用いつつ、その含有量を互いに異ならせる方法;
■電気抵抗率の異なる異種の導電性セラミック相を採用する方法;
■と■の組合せによる方法;
等、種々例示できるが、本実施形態では■の方法を採用している。導電性セラミック相としては、例えば、炭化タングステン(WC)、二珪化モリブデン(MoSi)及び二珪化タングステン(WSi)等、周知のものを採用できる。
【0018】本実施形態においてセラミック抵抗体ユニット10は、第一抵抗体部分11がU字形状をなし、そのU字底部がヒータ本体2の先端側に位置するように配置され、第二抵抗体部分12,12は、該U字形状の第一抵抗体部分11の両端部からそれぞれ軸線O方向に沿って後方に延伸する、互いに略平行な棒状部とされている。第一抵抗体部分11は、動作時に最も高温となるべき先端部11aに対して電流を集中するために、該先端部11aを両端部11b、11bよりも細径としている。そして、第二抵抗体部分12,12との接合面15は、その先端部11aよりも径大となった両端部11b、11bに形成されている。第二抵抗体部分12,12の後端面はヒータ本体2の後端面2rに露出して、露出端子部12a,12aを形成している。
【0019】次に、図1に示すように、主体金具4の内側において金属軸6は主体金具4と絶縁状態にて配置されている。本実施形態では、金属軸6の後端側外周面と主体金具4との間に絶縁ブッシュ8を配置して、金属軸6と主体金具4との絶縁を保持している。また、工具係合部33とねじ部5との間に、絶縁性高分子材料の気密保持部材32を配設し、主体金具4の外周側から加締めることによって、加締め部34を形成することで気密性を確保し、金属軸6の保持を行っている。また、金属軸6の気密保持部材32と接触する外周面部分には、ローレット加工等による凹凸が施されている(図では網掛けを描いた領域)。さらに、金属軸6の後端部は主体金具4の後方に延出し、その延出部に絶縁ブッシュ8を介して端子金具7がはめ込まれている。該端子金具7は、周方向の加締め部9により、金属軸6の外周面に対して導通状態で固定されている。
【0020】電極取出部材26,27は、ヒータ本体2の後端面に対しろう材層36,37を介して接合されている。なお、本実施例では、ろう付け前のろう材層を210,210として表しており、ろう付け後のろう材層を36,37として表している。このろう付けは、金属/セラミック接合のため、これに適した活性ろう材を用いるか、あるいはその活性金属成分を蒸着等によりセラミック側に付着させてメタライズし、その後通常のろう材を用いて接合する手法を採用することが望ましい。ろう材としてはAg系あるいはCu系の公知のものが使用でき、活性金属成分としてはTi、Zr及びHfの1種又は2種以上を使用することができる。例えば、Cu系活性ろう材の組成としてCu―5質量%Si−3質量%Pd−2質量%Tiを例示できる。
【0021】上記グロープラグ50は、ねじ部5においてディーゼルエンジンのエンジンブロックに取り付けられる。このときに、ヒータ本体2の発熱部となる先端部は、例えばエンジンの燃焼室に連通する渦流室内に位置決めされる。そして、端子金具7をバッテリーに接続することにより、金属軸6→リード部17→ヒータ本体2→リード部16→金属外筒3→主体金具4→エンジンブロック(→接地)の経路により通電され、抵抗発熱体11が赤熱して渦流室の暖機を行なう。
【0022】以下、上記グロープラグ50におけるセラミックヒータ1の製造方法について説明する。
【0023】なお、ヒータ本体形成工程は以下のように行うことができる。セラミック抵抗体ユニット10となるべき抵抗体粉末成形部84(図4)を、射出成形、具体的にはインサート成形により作成する。図3はその工程の一例を示すものである。成形に使用する金型は、抵抗体粉末成形部84の射出空間を分割面DPにより分割して第一金型50A,50Bと第二金型51とに割り振った分割金型を用いる。
【0024】このうち、第二金型51としては、第一抵抗体部分11(図1)を成形するための空間55と、第二抵抗体部分12,12(図1)を成形するための空間56とが一体化された、第二側一体射出空間57を有するものを用意する。他方、第一金型としては、図3(a)に示す予備成形金型50Aと、同図(b)に示すインサート成形用金型50Bとを用意する。予備成形金型50Aは、第二抵抗体部分12,12を予備成形体84b、84bとして成形するための部分射出空間58を有するとともに、該部分射出空間58との隣接面59が分割面DPと垂直であり、かつ第二金型51と型合わせされた際に、第二側一体射出空間57のうち予備成形体84b,84bの成形に使用されない空間部分55を充填する充填部90が、金型分割面から突出形成されたものである。他方、インサート成形用金型50Bは、第一抵抗体部分11(図1)を成形するための空間91と、第二抵抗体部分12,12(図1)を成形するための空間92とが一体化された第一側一体射出空間93を有するものである。
【0025】まず、図3(a)に示すように、第二金型51と予備成形金型50Aとを型合わせして、成形用材料CP1を射出することにより予備成形体84b,84bを製造する。成形用材料CP1は、第二導電性セラミックの組成が得られるように配合された炭化タングステン粉末、窒化珪素粉末及び焼結助剤粉末とからなる原料セラミック粉末に対し、有機バインダと混練したコンパウンドを加熱により溶融流動化させたものである。予備成形体84b,84bの射出成形が終われば、金型を型開きする。
【0026】次いで、図3(b)に示すように、その予備成形体84b,84bを、第一側一体射出空間93と第二側一体射出空間57との対応する空間部56,92にインサートとして配置した状態で、第二金型51とインサート成形用金型50Bとを型合わせする。そして、残余の空間部55,91に成形用材料CP2を射出することにより、該射出成形部分84a(図4)を予備成形体84b,84bに一体化して抵抗体粉末成形部84を得る。成形用材料CP2は、成形用材料CP1と同様のコンパウンドであるが、原料粉末は第一導電性セラミックの組成が得られるように配合されたものである。このとき、図3(a)の工程で得られた予備成形体84b,84bを第二金型51内に残した状態で、予備成形金型50Aをインサート成形用金型50Bに交換し、引き続きインサート成形を行なうようにすれば一層能率的である。
【0027】なお、第一抵抗体部分11と第二抵抗体部分12との成形の順序は入れ替えてもよいが、予備成形金型として、第二側一体射出空間57の空間部分56を充填する充填部を形成したものが必要である。なお、本実施形態では、図1に示すように、ヒータ本体2の軸線O方向において、第一抵抗体部分11の寸法が第二抵抗体部分12の寸法よりも小とされているが、このような場合は、抵抗体粉末成形部84の製造に際し、図3のように、第二抵抗体部分12,12に相当する部分を予備成形体84b,84bとなすことで、以下のような利点を生ずる。すなわち、第二抵抗体部分12,12に相当する部分を射出成形する場合、図3(a)に示すように、キャビティの長手方向後端部に材料射出用のスプルSP1を形成することが、成形用材料CP1をキャビティ内に均等に射出する観点において有利である。このとき、第二抵抗体部分12,12が長いと、成形用材料CP1の流動距離は相当長くなり、接合面位置に到達するまでに、溶融したバインダの温度がある程度低下することが避けがたい。しかし、第一抵抗体部分11は寸法が小さいために、成形用材料CP2の流動距離は短く温度低下も起こりにくい。従って、インサート成形で2つの成形体部分を接合面にて一体化する場合、第二抵抗体部分12,12をインサートとして、第一抵抗体部分11を後で形成するようにすれば、接合面に到達する時の成形用材料CP2の温度をより高くすることができ、強固で欠陥の少ない接合状態を得ることができる。
【0028】上記のようにして抵抗体粉末成形部84を作成したら、セラミック基体13を形成するための原料粉末を予め金型プレス成形することにより、図4(a)に示すような、上下別体に形成された基体成形体としての分割予備成形体86,87を用意しておく。これら分割予備成形体86,87は、上記抵抗体粉末成形部84に対応した形状の凹部87a(分割予備成形体86側の凹部は図面に表れていない)がその合わせ面に形成されている。次いで、この凹部に抵抗体粉末成形部84を収容し、分割予備成形体86,87を上記合わせ面において嵌め合わせる。そして、図5(a)に示すように、その状態でこれら分割予備成形体86,87及び抵抗体粉末成形部84の組立体を金型91のキャビティ91a内に収容し、パンチ92,93を用いてプレス・圧縮することにより、図4(b)に示すように、これらが一体化された複合成形体89とする。
【0029】こうして得られた複合成形体89は、まずバインダ成分等を除去するために所定の温度(例えば約900℃)で仮焼され、図5(b)に示す仮焼体89’とされる(なお、仮焼体は、広義の意味において複合成形体であるとみなす)。続いて図5(b)に示すように、この仮焼体89’が、グラファイト等で構成されたホットプレス用成形型95,95のキャビティ95a,95aにセットされる。上記のように成形型95にセットされた仮焼体89’を、図5(b)に示すように、焼成炉94(以下、単に炉94という)内で両成形型95及び95の間で加圧しながら所定の焼成保持温度(1700℃以上:例えば約1800℃前後)及び雰囲気で焼成することにより焼結体が得られる。
【0030】上記焼成により、仮焼体89’は、分割予備成形体86及び87の合わせ面89aに沿う方向に圧縮されながら焼結体となる。このとき、軸状に形成される抵抗体粉末成形部84の第二抵抗体部分用の成形部(予備成形体)84bは、各々の軸線が互いに接近する向きにおいて、その円状断面が上記圧縮方向につぶれるように変形することにより、楕円状断面を有した第二抵抗体部分12となる。こうして得られた焼結体は、外周面に研磨等の加工を施すことにより、図2のような断面が円形に整形されたセラミック基体13を有する最終的なヒータ本体2となる。このようにして、軸線O方向において先端部に抵抗発熱体11が埋設され、その抵抗発熱体11に通電経路部12,15の先端が導通され、かつその通電経路部12,15の後端が該ヒータ本体2の後端面2rに露出するようにして軸線O方向に埋設された形態のヒータ本体2が形成されることとなる。
【0031】そして、そのヒータ本体形成工程により形成されたヒータ本体2の後端面上に、活性ろう材に基づくろう材層210,210(図7参照)をスクリーン印刷により形成するスクリーン印刷工程を行う。スクリーン印刷工程はプリント配線基板等の製造において用いられる手法と同様に行うことができるが、ここではその概要のみ説明する。図6の概念図に示すように被印刷対象物たるヒータ本体2を所定位置に位置決めした後、そのヒータ本体2の端面2rの上部にスクリーン版303を配置する。スクリーン版303は、最終的に図7のような印刷形状となるように形状調整しておき、そのスクリーン版303の上部をスキージ301が摺動、又は移動して、ろう材からなる、又はろう材を主体としてなる活性ろう材ペースト305を端面上部に印刷し、図7のようなろう材層印刷領域が形成されることとなる。ろう材層印刷領域は、通電経路部の各々の露出位置に対応して個別に設けられ、それら印刷領域が互いに電気的に絶縁されることとなる。
【0032】そして、ヒータ本体2の後端面2rにおいて、その印刷されたろう材層210,210を介した面接触形態により通電経路部12,15に対し電極取出部材をろう付け接合する電極取出部材接合工程を行うことにより、以下、この電極取出部材接合工程について説明する。まず、図7(a)に示すように、各々電極取出部材26,27となるべき電極予定部位26’,27’を、連結部201,201により電気的に短絡させる形で一体化した一体電極体200を用意する。本実施形態では、一体電極体200には、さらにリード部16,17となるべきリード予定部16’,17’も一体化されている。
【0033】これを用いた電極取出部材26,27の接合工程の概略は以下の通りである。まず、図7(b)に示すように、一体電極体200の各電極予定部位26’,27’を、1対の露出端子部12a,12aのそれぞれに導通する形にてヒータ本体2に、前記した活性ろう材を用いてろう付け接合する。そのろう付け接合の終了後に、一体電極体200を連結部201,201において分断することにより、電極予定部位26’,27’を、互いに絶縁された電極取出部材26,27となす(分断工程)。また、リード予定部16’,17’はそれぞれリード部16,17となる。
【0034】上記のような工程を採用することにより、2つの電極取出部材26,27は、電極予定部位26’,27’の形で一体化された状態でヒータ本体2に接合されるから、小型化した場合でもハンドリングがきわめて容易である。また、電極予定部位26’,27’が一体化されることで両部位間の相対的な位置ずれが生じず、接合時の位置決めミスに原因した電極取出部材26,27の短絡に関しても心配する必要がなくなる。特に、本実施形態では、ヒータ本体2が細長い棒状形態をなし、面積的に限られたその後端面2rに露出端子部12a,12aが形成されているから、電極取出部材26,27の寸法が極めて小さく、通常の方法ではその接合は容易ではない。しかしながら、本発明では、上記の一体電極体200を用いることにより、小面積の後端面2rへの接合も簡単に行なうことができる。
【0035】以下、さらに詳しく説明する。図7(a)に示すように、一体電極体200は、連結部201,201と電極予定部位26’,27’(さらにはリード予定部16’、17’)とを、板面方向に結合した一体の板状部材として形成している。このようにすると、一体電極体200を板金素材からの打抜加工等により簡単に製造できる利点がある。
【0036】一体電極体200は、電極予定部位26’,27’が隙間203を挟んで対向配置され、連結部201,201は、各電極予定部位26’,27との結合位置に、電極予定部位26’,27’の隙間203に臨む対向縁26y’,27y’の長さよりも狭幅となる狭幅部を有している(本実施形態では、連結部201,201の全体が狭幅部となっている)。そして、図7(c)に示すように、その狭幅部を切断することにより各電極予定部位26’,27’が分離され、それぞれ電極取出部材26,27となる。連結部201,201に狭幅部を形成しておき、そこで電極予定部位26’,27’を分断するための切断を行なうようにすることで、切断距離が短くなり、分断工程の能率化を図ることができる。
【0037】また、本実施形態の一体電極体200においては、1対の連結部201,201が、隙間203の長手方向における各端部において、電極予定部位26’,27’をそれぞれ連結する形で形成されている。このようにすると、電極予定部位26’,27’が隙間両端の比較的距離の離れた2ヶ所にて連結部201,201により結合されるから、結合状態が安定でありハンドリングを一層容易に行なうことができる。また、隙間203の両側が連結部201,201によりふさがれるので、電極予定部位26’,27’の対向縁26y’,27y’の両端に鋭い角部が形成されることが防止され、ハンドリング時に引っ掛かり等の不具合が生じにくいほか、打抜加工も容易に行なうことができる。
【0038】図7(a)に示すように、一体電極体200の電極予定部位26’,27’は電極取出部材26,27に対応してそれぞれ半月状に形成され、その弦部をなす外縁が対向縁26y’,27y’とされて両者の間に隙間203が形成される。また、リード予定部17’及び16’は、弧部をなす外縁の各中間位置から半径方向に延出する直線状の板状部とされている。図7(b)に示すように、リード予定部17’を各々電極予定部位27’との接続位置にて略直角に曲げ返し、リード予定部16’は末端部をリード予定部17’と同方向に曲げ返す。
【0039】また、上述したスクリーン印刷工程によりヒータ本体2の後端面2rは、各露出端子部12a,12aを包含し、かつ互いに絶縁された形でろう材層210,210により被覆されており、そのろう材層210,210の形成されたヒータ本体2の後端面2rに、リード予定部16’及び17’に上記曲げ加工を施した一体電極体200の各電極予定部位26’,27’が、それぞれろう材層210,210に重なるように配置する。その状態でろう付け熱処理を施すことにより、ヒータ本体2への一体電極体200の接合がなされる。
【0040】接合が終了すれば、連結部201,201を切断して除去する。この切断は、例えばカッター切断により行なってもよいが、部品寸法が小さいため、微細加工に適した加工方法、例えばレーザービームあるいはウォータージェットにより行なうことが能率的であり、周囲の部分に加工の影響が及ぶ不具合も生じにくい。また、本実施形態においては、連結部201,201の少なくとも一部が、棒状のヒータ本体2の後端面2rに沿う向きにおいて外側に延出した形態にて配置されている。そして、分断工程においては、その延出部にて該連結部201,201の切断を行なうことにより、切断の影響が下地をなすヒータ本体2に及びにくくなる。以上の工程が終了すれば、ヒータ本体2に対し図1に示す各部分を組み付けることにより、グロープラグ50が完成する。
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号
【出願日】 平成13年8月28日(2001.8.28)
【代理人】 【識別番号】100095751
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 正倫
【公開番号】 特開2003−68433(P2003−68433A)
【公開日】 平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願番号】 特願2001−258137(P2001−258137)