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【発明の名称】 金属管被覆コード状ヒータの製造方法
【発明者】 【氏名】影山 真也
【住所又は居所】静岡県浜松市高塚町4830番地株式会社クラベ内

【氏名】長谷 康浩
【住所又は居所】静岡県浜松市高塚町4830番地株式会社クラベ内

【要約】 【課題】例えば、冷蔵庫の霜取用ヒータなどとして好適に使用される金属管被覆コード状ヒータを連続して製造することにより、製造コストを大幅に低減することの可能な製造方法を提供すること。

【解決手段】ヒータ線上に絶縁被覆が施されたコード状ヒータ1本又は複数本を束ねたものの外周に、金属管造管機を用いて連続的に金属外皮を被覆した後、直ちに連続して該金属外皮が蛇腹状又は螺旋状となるように絞り加工を施したことを特徴とする金属管被覆コード状ヒータの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒータ線上に絶縁被覆が施されたコード状ヒータ1本又は複数本を束ねたものの外周に、金属管造管機を用いて連続的に金属外皮を被覆した後、直ちに連続して該金属外皮が螺旋状又は蛇腹状となるように絞り加工を施したことを特徴とする金属管被覆コード状ヒータの製造方法。
【請求項2】 上記金属外皮は、式1の条件を満足する螺旋構造又は蛇腹構造を有していることを特徴とする請求項1記載の金属管被覆コード状ヒータの製造方法。
【式1】

【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、冷蔵庫の霜取用ヒータなどとして好適に使用される金属管被覆コード状ヒータの製造方法に係り、特に、螺旋構造又は蛇腹構造を有する金属外皮で被覆された長尺のコード状ヒータを連続して生産することにより、製造コストの大幅な低減を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種機器の保温用ヒータ、加熱用ヒータ、凍結防止用ヒータなどとして様々な構成のコード状ヒータが知られているが、それらの中でも、例えば、冷蔵庫の霜取用ヒータなどとして使用されるコード状ヒータの一例として、ガラス繊維からなる芯糸上に電熱線が螺旋状に巻装され、その上にガラス繊維の編組又は横巻きによる絶縁層が形成されたコード状ヒータが、金属管内に収容配置された構成のものがある。
【0003】この種のコード状ヒータは、最外層となる金属管が、機械的保護材、熱的保護材及び熱伝導部材として機能することから、内部に収容されるコード状ヒータのヒータ線の種類や絶縁被覆の種類を適宜に変更することによって、冷蔵庫の霜取用ヒータ以外にも幅広い用途で使用することが可能である。
【0004】尚、この種のコード状ヒータが冷蔵庫の霜取用ヒータとして使用される場合には、例えば、蛇行形状等に折り曲げ加工された状態で所定の位置に配設されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のコード状ヒータにおいては、次のような問題点があった。まず、従来のコード状ヒータは、予め所定の長さに切断された金属管の中に、用意しておいたコード状ヒータを挿入して製造するものであるため、長尺のものを連続的に生産することができず、製造コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0006】又、この種のコード状ヒータは、金属管内へのコード状ヒータの挿入加工性を良好なものにするために、金属管の内径をコード状ヒータの外径よりも大きく設計してあるため、金属管の内壁とコード状ヒータとの間に部分的に空隙が発生してしまい、加熱効率が低下してしまうという問題点があった。ここで、このような問題に対しては、例えば、金属管内にコード状ヒータを挿入した後、該金属管に絞り加工を施して、金属管とコード状ヒータとの空隙を減少させる方法が考えられる。しかしながら、この場合には、製造工程数が更に増加して製造コストが大幅に上昇してしまうとともに、金属管の全長が絞り加工の種類や絞りの程度によって変化してしまい、金属管の寸法が安定しないといった不具合を発生させる恐れがあった。
【0007】本発明者らは、このような従来技術の問題点を解決するべく種々検討した結果、従来のように、予め成形された金属管の中にコード状ヒータを挿入するのではなく、コード状ヒータの外周に金属管造管機を使用して金属外皮を溶接しながら被覆した後、直ちに連続して絞り加工を施せば、金属外皮の内面とコード状ヒータの表面とが近接又は密接した構造の長尺ヒータを連続的に生産することができることを見い出した。又、絞り加工を施す際、金属外皮の形状を、ある特定の条件を満足する螺旋形状又は蛇腹形状となるように設計することにより、金属外皮の放熱面積が増加して、被加熱物に対する加熱効率が著しく向上することも見い出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明による金属管被覆コード状ヒータの製造方法は、ヒータ線上に絶縁被覆が施されたコード状ヒータ1本又は複数本を束ねたものの外周に、金属管造管機を用いて連続的に金属外皮を被覆した後、直ちに連続して該金属外皮が螺旋状又は蛇腹状となるように絞り加工を施したことを特徴とするものである。
【0009】この際、上記金属外皮は、式1の条件を満足する螺旋構造又は蛇腹構造を有していることが考えられる。
【0010】
【式1】

【0011】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるコード状ヒータは、ヒータ線上に絶縁被覆が施された構成のものであれば何でも良く、特に限定されない。使用本数も特に限定されず、1本又は複数本を引き揃えるか、撚り合わせるかして束ねたものを使用しても良い。
【0012】ヒータ線としては、ニッケルクロム合金線、鉄クロム合金線、銅ニッケル合金線、ステンレス線等の金属抵抗線の単線、撚り線をそのまま、或いは、それらの金属抵抗線を、ポリエステル繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の繊維材料からなるヒータ芯、若しくは、前記の繊維材料の周上にシリコーンゴム等の弾性体被覆が設けられたヒータ芯の上に巻装したものなどを用いることができる。これらは、本発明によって得られる金属管被覆コード状ヒータの使用条件等を考慮して適宜に選択すれば良いが、例えば、ヒータ芯上に金属抵抗線をスパイラル状に巻装したものを使用した場合には、金属抵抗線の種類や巻ピッチを調整することにより、高ワット密度のコード状ヒータを容易に得ることができる。
【0013】絶縁被覆は、公知の絶縁材料を用いて、公知の方法によって形成すれば良い。絶縁材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等の電気絶縁組成物や、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ・シリカ繊維等の繊維材料などが挙げられる。絶縁材料として、電気絶縁組成物を用いた場合には、押出加工などによって形成することが考えられ、又、繊維材料を用いた場合には、編組又は横巻きによって形成することが考えられる。これらの絶縁被覆は、ヒータ線上に単層に形成しても良いし、二層以上の多層に形成しても良い。
【0014】上記構成のコード状ヒータの外周には、コード状ヒータの機械的保護及び熱的保護と、コード状ヒータから発せられる熱を被加熱物側に良好に伝導させることを目的として金属外皮が被覆される。本発明においては、この金属外皮をコード状ヒータの長手方向にわたって連続的に被覆することを特徴としており、これによって、製造コストの大幅な低減という所期の効果を実現している。
【0015】金属外皮をコード状ヒータの長手方向にわたって連続的に被覆する手段として、本発明では、金属リボンを溶接しながら連続的に管状物に成型することの可能な金属管造管機を採用している。この金属管造管機を用いることによって、コード状ヒータの外周に近接又は密接した状態で金属外皮を連続して被覆することができる。
【0016】金属外皮を構成する金属材料としては、上述した金属管造管機によって管状物に成型することが可能な金属材料、つまり、溶接によって管状物に成型することが可能な金属材料であれば何でも良く、特に限定されない。一例として、ステンレス、ニッケル合金、銅合金、アルミ合金などを例示することができる。これらの金属材料の中でもアルミ合金は、耐熱性及び耐腐食性に優れた金属材料であるとともに、絞り加工がし易く、更に、熱伝導性に優れていることから、例えば、本発明によって得られるコード状ヒータが冷蔵庫の霜取用ヒータなどとして使用される場合には、特に好ましい。
【0017】本発明においては、コード状ヒータの外周に金属外皮を被覆した後、直ちに、連続して該金属外皮が螺旋状又は蛇腹状になるように絞り加工を施す。絞り加工を施す手段としては、例えば、スウェージング、ドローイング、プレス、ローリング、かしめ等の方法が挙げられるが、特に限定されない。絞り加工は、金属外皮の長さ方向の一部に施しても良いし、全部に施しても良い。
【0018】絞り加工を施すことにより、金属外皮の内面とコード状ヒータの表面とが近接又は密接した状態になるとともに、その形状を螺旋状又は蛇腹状とすることにより金属外皮の放熱面積が増加する。従って、被加熱物に対する加熱効率が著しく向上する。又、金属外皮を螺旋状又は蛇腹状とすることにより、得られるコード状ヒータの可とう性が向上するため、例えば、実使用時に使用用途に合わせて任意の形状(例えば、蛇行形状等)に折り曲げ加工する際の作業性が向上する。更に、従来のように、別工程で絞り加工を施す必要がなくなるため、製造工程数が減って製造コストが大幅に低減する。
【0019】尚、本発明において絞り加工を施す際、金属外皮の螺旋構造又は蛇腹構造は、図1及び図2に示すように、螺旋又は蛇腹の溝の深さをa、螺旋又は蛇腹の平均内径をb、螺旋又は蛇腹の肉厚をc、螺旋又は蛇腹のピッチをdとした際、次式1の条件を満足するように成形することが望ましい。
【0020】
【式1】

【0021】ここで、式1における(a×b)/(c×d)の値が2未満である場合には、金属外皮の形状が円筒管形状に近づいてしまうため、金属外皮の放熱面積が減少して被加熱物に対する加熱効率が低下してしまうとともに、可とう性が低下してしまう。一方、式1における(a×b)/(c×d)の値が30以上である場合には、螺旋又は蛇腹の溝が内部(コード状ヒータ側)に突出した状態になるため、金属外皮の放熱面積は増加するものの、金属外皮の内面とコード状ヒータの表面との密接状態が低下することによって返って被加熱物に対する加熱効率が低下してしまう。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示し本発明の内容を詳細に説明する。
【0023】実施例1まず、Eガラス繊維束からなる外径0.7mmのヒータ芯上に、外径0.05mmのニッケルクロム合金線を、ヒータ芯1m当たり100Ωとなるように所定のピッチでスパイラル状に巻装してなるヒータ線上に、絶縁被覆として、75番手のEガラスヤーン6本を引き揃えたガラス繊維束からなる4重の横巻層、ガラス繊維からなる編組層、130番手のアルミナ長繊維からなる編組層を順次形成して、外径2.8mmのコード状ヒータを得た。
【0024】次に、このコード状ヒータの外周に、市販の金属管造管機(カンタル社製)を用いて幅12mm、厚さ0.2mmのSUS304からなる金属リボンを溶接しながら連続的に被覆して金属外皮を形成し、更に連続して、ロータリー式のスウェージングマシンを使用して該金属外皮の長さ方向全体が螺旋状になるように絞り加工を施し、仕上外径3.2mmの金属管被覆コード状ヒータを製造した。絞り加工は、金属外皮の螺旋構造が(a×b)/(c×d)=5となるように設定した。
【0025】比較例1金属外皮の螺旋構造が(a×b)/(c×d)=1.8となるように設定した他は、実施例1と同様の材料、同様の工法で金属管被覆コード状ヒータを製造した。
【0026】比較例2金属外皮の螺旋構造が(a×b)/(c×d)=32となるように設定した他は、実施例1と同様の材料、同様の工法で金属管被覆コード状ヒータを製造した。
【0027】ここで、このようにして得られた3種類の金属管被覆コード状ヒータを試料とし、以下に示すような評価試験を行った。
【0028】可とう性可とう性を評価するために金属管被覆コード状ヒータの最小曲げ半径を測定し比較した。又、その時の最大曲げ応力も測定した。
【0029】加熱効率加熱効率を評価するために、以下のような方法で昇温時間を測定し比較した。まず、被加熱物としてSUS304からなり、縦及び横の長さがそれぞれ300mmで厚さが2mmの板を用意した。次に、その片側の表面に試料を配設した後、試料を配設していない裏面の中央の位置に熱電対を設置した。そして、金属管被覆コード状ヒータに電圧を印加して熱電対が100℃に達するまでの時間を測定した。
【0030】得られた結果を表1に示した。
【表1】

【0031】表1によれば、まず、可とう性については、螺旋構造が(a×b)/(c×d)=5である実施例1の金属管被覆コード状ヒータと螺旋構造が(a×b)/(c×d)=32である比較例2はともに最小曲げ半径が3mmと小さい値を示したのに対し、螺旋構造が(a×b)/(c×d)=1.8である比較例1の金属管被覆コード状ヒータは11mmと大きな値であった。又、最大曲げ応力も最小曲げ半径と同様の傾向となり、実施例1と比較例2は可とう性に優れ比較例1は可とう性に劣る結果となった。
【0032】加熱効率については、実施例1、比較例2、比較例1の順に昇温時間が長くなり、実施例1が最も加熱効率が良いという結果となった。
【0033】このように、十分な可とう性及び加熱効率を兼ね備えた金属管被覆コード状ヒータは、その螺旋構造又は蛇腹構造が2≦(a×b)/(c×d)<30の条件を満足する本実施例のもののみであることが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の製造方法は、コード状ヒータの外周に、金属管造管機を用いて金属外皮を連続的に被覆した後、直ちに連続して金属外皮が螺旋状又は蛇腹状になるように絞り加工を施したことを特徴としたものである。この方法を採用することによって、長尺での連続生産が可能になるとともに、従来のように、別工程で絞り加工を施さなくても、金属外皮の内面とコード状ヒータの表面が近接又は密接した状態となる。従って、従来に比べて製造コストが大幅に低減するるとともに、その特性面においても加熱効率が著しく向上したものとなる。よって、冷蔵庫の霜取用ヒータをはじめ、各種機器の保温用ヒータ、加熱用ヒータ、凍結防止用ヒータなどとして幅広い分野で好適に使用することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
【住所又は居所】静岡県浜松市高塚町4830番地
【出願日】 平成13年7月18日(2001.7.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−36958(P2003−36958A)
【公開日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願番号】 特願2001−218721(P2001−218721)