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【発明の名称】 非線形補償回路と基地局装置および送信電力クリップ方法
【発明者】 【氏名】岩崎 玄弥
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内

【要約】 【課題】マルチキャリア増幅方式の場合にも、送信側高出力アンプの非線形特性に対して有効なクリップを行う。

【解決手段】電力変換回路101〜10nではn個の入力信号701〜70nの電力値をそれぞれ算出し、加算器40では、算出されたn個の電力値どうしを加算して合成電力値Pとする。除算器50では、予め定められた閾値Tを合成電力値Pにより除算する。判定回路60では、除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力し、除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および除算器50における除算値T/Pの平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された電力値どうしを加算することにより合成電力値を算出する加算手段と、前記合成電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判定し、算出された合成電力値が前記閾値以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、算出された合成電力値が前記閾値より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記複数の入力信号の合成電力値が前記閾値以下となるような係数をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記係数を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項2】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された電力値どうしを加算することにより合成電力値Pを算出する加算手段と、予め定められた閾値Tを、前記合成電力値Pにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T/Pとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値の平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値の平方根(T/P)1/2を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項3】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された複数の電力値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成電力値Pを算出する加算手段と、前記合成電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判定し、算出された合成電力値が前記閾値以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、算出された合成電力値が前記閾値より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記複数の入力信号の合成電力値が前記閾値以下となるような係数をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記係数を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項4】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された複数の電力値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成電力値Pを算出する加算手段と、予め定められた閾値Tを、前記合成電力値Pにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T/Pとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値の平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値の平方根(T/P)1/2を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項5】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された振幅値どうしを加算することにより合成振幅値を算出する加算手段と、前記合成振幅値が予め定められた閾値より大きいか否かを判定し、算出された合成振幅値が前記閾値以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、算出された合成振幅値が前記閾値より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記複数の入力信号の合成振幅値が前記閾値以下となるような係数をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記係数を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項6】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された振幅値どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出する加算手段と、予め定められた閾値T’を、前記合成振幅値Aにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T’/Aとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T’/Aが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T’/Aが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値T’/Aをクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値T’/Aを乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項7】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された複数の振幅値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成振幅値を算出する加算手段と、前記合成振幅値が予め定められた閾値より大きいか否かを判定し、算出された合成振幅値が前記閾値以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、算出された合成振幅値が前記閾値より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記複数の入力信号の合成振幅値が前記閾値以下となるような係数をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記係数を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項8】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された複数の振幅値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出する加算手段と、予め定められた閾値T’を、前記合成振幅値Aにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T’/Aとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T’/Aが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T’/Aが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値T’/Aをクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値T’/Aを乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えた非線形補償回路。
【請求項9】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して高出力アンプにより増幅して送信を行う基地局装置であって、請求項1から7のいずれか1項記載の非線形補償回路と、前記非線形回路によりクリップ処理が施された後の各入力信号にフィルタ処理をそれぞれ施す複数のフィルタと、前記各フィルタによりフィルタリングされた後の各信号をそれぞれ異なる周波数に変換する複数の周波数変換手段と、前記複数の周波数変換手段によりそれぞれ異なる周波数に変換された後の信号を合成するキャリア合成手段と、前記キャリア合成手段により合成されたマルチキャリア信号の増幅を行う増幅手段と、を備えた基地局装置。
【請求項10】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各電力値どうしを加算することにより合成電力値を算出するステップと、前記合成電力値と予め定められた閾値とを比較するステップと、前記合成電力値が前記閾値以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成電力値が前記閾値より大きい場合には前記複数の入力信号の合成電力値が前記閾値以下となるような係数を前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項11】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各電力値どうしを加算することにより合成電力値Pを算出するステップと、前記合成電力値Pと予め定められた閾値Tとを比較するステップと、前記合成電力値Pが前記閾値T以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成電力値Pが前記閾値Tより大きい場合には前記閾値Tを前記合成電力値Pにより除算した除算値の平方根(T/P)1/2を前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項12】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各電力値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力するステップと、予め設定された係数が乗算された後の前記各電力値どうしを加算することにより合成電力値を算出するステップと、前記合成電力値と予め定められた閾値とを比較するステップと、前記合成電力値が前記閾値以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成電力値が前記閾値より大きい場合には前記複数の入力信号の合成電力値が前記閾値以下となるような係数をを前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項13】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各電力値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力するステップと、予め設定された係数が乗算された後の前記各電力値どうしを加算することにより合成電力値Pを算出するステップと、前記合成電力値Pと予め定められた閾値Tとを比較するステップと、前記合成電力値Pが前記閾値T以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成電力値Pが前記閾値Tより大きい場合には前記閾値Tを前記合成電力値Pにより除算した除算値の平方根(T/P)1/2を前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項14】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各振幅値どうしを加算することにより合成振幅値を算出するステップと、前記合成振幅値と予め定められた閾値とを比較するステップと、前記合成振幅値が前記閾値以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成振幅値が前記閾値より大きい場合には前記複数の入力信号の合成振幅値が前記閾値以下となるような係数を前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項15】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各振幅値どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出するステップと、前記合成振幅値Aと予め定められた閾値T’とを比較するステップと、前記合成振幅値Aが前記閾値T’以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成振幅値Aが前記閾値T’より大きい場合には前記閾値T’を前記合成振幅値Aにより除算した除算値T’/Aを前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項16】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各振幅値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力するステップと、予め設定された係数が乗算された後の前記各振幅値どうしを加算することにより合成振幅値を算出するステップと、前記合成振幅値と予め定められた閾値とを比較するステップと、前記合成振幅値が前記閾値以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成振幅値が前記閾値より大きい場合には前記複数の入力信号の合成振幅値が前記閾値以下となるような係数を前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【請求項17】 複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための送信電力クリップ方法であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出するステップと、算出された前記各振幅値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力するステップと、予め設定された係数が乗算された後の前記各振幅値どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出するステップと、前記合成振幅値Aと予め定められた閾値T’とを比較するステップと、前記合成振幅値Aが前記閾値T’以下の場合には、前記複数の入力信号をクリップさせずにそのまま出力し、前記合成振幅値Aが前記閾値T’より大きい場合には前記閾値T’を前記合成振幅値Aにより除算した除算値T’/Aを前記複数の入力信号のそれぞれに乗算することによりクリップさせてから出力するステップと、を備えた送信電力クリップ方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベースバンドフィルタの手前で信号振幅を意図的にクリップすることにより、平均電力に対する瞬時電力の比率を抑え、増幅器に要求される線形性の上限レベルを低く抑えるための非線形補償回路および送信電力クリップ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のディジタル移動体通信においては、対干渉能力を高めるためCDMA通信方式が用いられることが多くなってきている。
【0003】CDMA通信方式では、平均電力に比して瞬時電力が高くなるため、送信スペクトルの広がりを抑え隣接チャネル漏洩電力を低減するためには、非常に高い出力レベルまで送信側高出力電力アンプの線型性を保つことが必要となる。このため、アンプの構成が大きくなり、高価で消費電力も大きくなってしまっている。
【0004】そこで、ベースバンドフィルタの手前で信号振幅を意図的にクリップすることにより、平均電力に対する瞬時電力の比率を抑え、増幅器に要求される線形性の上限レベルを低く抑える手法が用いられている。こうすることによって、線形性の悪いアンプでの送信スペクトルの広がりを抑えることができる。これにより、送信機の変調精度の特性は劣化するが、システムとしてこの劣化を許容するように設計することで、システムとしてのコストを低減している。図8にそのような構成の従来の非線形補償回路を示す。この従来の非線形補償回路は、電力変換回路110と、判定回路160と、クリップ回路120とから構成されている。
【0005】電力変換回路110は、入力信号70の電力値を算出して判定回路160に出力する。判定回路160では、電力変換回路により求められた電力値と、予め定められた閾値との比較を行い、電力値が閾値以上の場合にはクリップ動作をオンする旨をクリップ制御信号としてクリップ回路120に出力し、電力値が閾値より小さい場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号によりクリップ回路120に出力する。クリップ回路120では、電力値が閾値以上の場合、位相はそのままで振幅が閾値と等しくなるように入力信号70を変換し、電力値が閾値より小さい場合は入力信号70をそのまま出力する。
【0006】このような従来の非線形補償回路によれば、入力信号70の振幅は予め定められた閾値より大きくなることはなく、かならず閾値以下となるようなクリップ処理が行われる。
【0007】しかし、複数の周波数の信号を1つのアンプで増幅する、いわゆるマルチキャリア増幅方式に対しこの方式を適用すると、図9のような構成となるが、この場合には十分な効果が得られない。この手法ではベースバンドのフィルタの手前でクリッピングを行うため、キャリア毎にクリッピングを行うことになるが、キャリア多重後は信号がベクトル合成されるため、クリッピングの効果が失われてしまい、高出力アンプ5の非線形性の影響を十分回避できないためである。
【0008】例えば、図10に示すように、キャリア毎の信号の平均電力を0dBとし、各キャリア毎に瞬時電力が6dB以上の信号にクリップがかかるようにしたとする。これを2キャリア合成すると、合成後の信号の平均電力は3dBとなるが、クリッピングのかかった点の合成瞬時電力はベクトル合成となるため最大12dBとなり、合成後の平均電力に対して9dB高くなり、クリッピングの効果が低減されてしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の非線形補償回路では、各キャリア毎にクリッピングを行ってからキャリア多重を行うことになるため、マルチキャリア増幅方式を用いた場合に十分な効果を得ることができないという問題点があった。
【0010】本発明の目的は、マルチキャリア増幅方式の場合にも、送信側高出力アンプの非線形特性に対して有効なクリップを行うことができる非線形補償回路および送信電力クリップ方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の非線形補償回路は、複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された電力値どうしを加算することにより合成電力値を算出する加算手段と、前記合成電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判定し、算出された合成電力値が前記閾値以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、算出された合成電力値が前記閾値より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記複数の入力信号の合成電力値が前記閾値以下となるような係数をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記係数を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えている。
【0012】また、本発明の他の非線形補償回路は、複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された電力値どうしを加算することにより合成電力値Pを算出する加算手段と、予め定められた閾値Tを、前記合成電力値Pにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T/Pとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値の平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値の平方根(T/P)1/2を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えている。
【0013】本発明によれば、マルチキャリア合成後の電力に近い値であるマルチキャリアの各キャリアの合計電力に基づいてクリッピングを行うようにしているので、合成後の電力に対してより有効なクリッピングを行うことができ、送信スペクトルの広がりを抑えることができる。
【0014】また、本発明の他の非線形補償回路は、複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の電力値をそれぞれ算出する複数の電力変換手段と、前記複数の電力変換手段において算出された複数の電力値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成電力値Pを算出する加算手段と、予め定められた閾値Tを、前記合成電力値Pにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T/Pとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値の平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値の平方根(T/P)1/2を乗算して出力する複数のクリップ手段とを備えている。
【0015】本発明によれば、電力変換手段において算出された複数の電力値に予め設定された係数を乗算してから合成するようにしているので、増幅手段の増幅特性に周波数による変動がある場合でも、マルチキャリアの合成電力を求める際にキャリア毎に重み係数を乗算して、周波数による変動を吸収してより理想的なクリッピングを行うことができる。
【0016】さらに、本発明の他の非線形補償回路は、複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された振幅値どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出する加算手段と、予め定められた閾値T’を、前記合成振幅値Aにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T’/Aとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T’/Aが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T’/Aが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値T’/Aをクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値T’/Aを乗算して出力するクリップ手段とを備えている。
【0017】さらに、本発明の他の非線形補償回路は、複数の入力信号をそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段により増幅して送信を行う際に、前記増幅手段の非線形性を補償するための非線形補償回路であって、複数の入力信号の振幅値をそれぞれ算出する複数の振幅変換手段と、前記複数の振幅変換手段において算出された複数の振幅値に対して、予め設定された係数をそれぞれ乗算して出力する複数の乗算手段と、前記乗算手段からの出力どうしを加算することにより合成振幅値Aを算出する加算手段と、予め定められた閾値T’を、前記合成振幅値Aにより除算する演算を行い、該演算結果を除算値T’/Aとして出力する除算手段と、前記除算手段からの除算値T’/Aが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号として出力し、前記除算値T’/Aが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および前記除算値T’/Aをクリップ制御信号として出力する判定手段と、前記判定手段からのクリップ制御信号に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号をそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には前記複数の入力信号に前記除算値T’/Aを乗算して出力するクリップ手段とを備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】(第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態の非線形補償回路を用いた基地局装置の構成を示すブロック図である。
【0020】本実施形態における基地局装置は、非線形補償回路1と、フィルタ21〜2nと、周波数変換回路31〜3nと、キャリア合成回路4と、高出力アンプ5とから構成されている。
【0021】本実施形態の送信電力クリップ方法は、マルチキャリアとして同一の高出力アンプ5で増幅される複数の信号701〜70nを、ベースバンド信号の状態で独立にクリップするのではなく、各信号の関係を考慮してクリップをかけるものである。具体的には、ベースバンド領域でのフィルタ入力前の各信号を電力合成し、この合成電力に対して閾値を設け、閾値を越えた場合にクリップをかけるようにしたのもである。しかし、クリップとしての信号振幅制限は各信号毎に行う必要がある。そこで、合成信号電力と閾値との比を算出し、この比の平方根を各信号の振幅に乗ずることにより各信号に対し均等に振幅の制限をかけ、かつ合計電力に対しても一定のレベルで電力制限がかかるようにする。
【0022】この基地局装置では、入力信号701〜70nは、非線形補償回路1に入力されてクリップ処理が施された後にフィルタ21〜2nにおいて各信号毎にフィルタリングされた後、周波数変換回路31〜3nによりそれぞれ異なる周波数に変換され、その後キャリア合成回路4において互いに合成されてマルチキャリア信号となり、高出力アンプ5で増幅される。
【0023】この非線形補償回路1は、複数の入力信号701〜70nをそれぞれ異なる周波数に変換してから合成して増幅手段である高出力アンプ5により増幅して送信を行う際に、この高出力アンプ5の非線形性を補償するためのものである。
【0024】次に、図1中の非線形補償回路1の構成を図2に示す。本実施形態の非線形補償回路は、図2に示すように、n個の電力変換回路101〜10nと、加算器40と、除算器50と、判定器60と、n個のクリップ回路201〜20nとを備えている。
【0025】電力変換回路101〜10nは、n個の入力信号701〜70nの電力値をそれぞれ算出している。加算器40は、電力変換回路101〜10nにおいて算出された電力値どうしを加算することにより合成電力値Pの算出を行っている。除算器50は、予め定められた閾値Tを、加算器40により算出された合成電力値Pにより除算する演算を行い、その演算結果を除算値T/Pとして出力している。
【0026】判定回路60は、除算器50からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力し、除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および除算器50における除算値T/Pの平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力する。
【0027】本実施形態の非線形補償回路では、除算器50が除算値T/Pを算出し、判定回路60がその除算値T/Pに基づいてクリップ動作を行うか否かの判定を行っていたが、算出された合成電力値Pが予め定めれた閾値T以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号80として出力し、算出された合成電力値Pが予め定めれた閾値Tより大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および入力信号の合成電力値Pが閾値T以下となるような係数をクリップ制御信号80として出力するようにしてもよい。
【0028】クリップ回路201〜20nは、判定回路60からのクリップ制御信号80に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には入力信号701〜70nをそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には入力信号701〜70nに除算値T/Pの平方根(T/P)1/2を乗算して出力する。
【0029】次に、本実施形態の非線形補償回路によって行われる送信電力クリップ方法を図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0030】n波の入力信号701〜70nは、それぞれ同相成分と直交成分の2系列からなる信号として表される。この段階では各信号はチップ周波数の信号である。ここで、以下の説明では、n波のそれぞれ2系列の入力のうちk番目の信号を複素数によりPk+jQkと表現する。
【0031】入力信号701〜70nは、先ず電力変換回路101〜10nにそれぞれ入力されて電力値が算出される(ステップ301)。そして、電力変換回路101〜10nにおいて算出されたn個の電力値は、加算器40に入力されて加算されることにより1つの値である合成電力値Pとなる(ステップ302)。この合成電力値Pは以下に示す計算式により算出される。
【0032】
【数1】

【0033】次に、除算器50では、予め定められた閾値Tを、加算器40により算出された合成電力値Pにより除算する演算を行い、その演算結果を除算値T/Pとして出力している。そして、判定回路60では、除算器50からの除算値T/Pが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力し、除算値T/Pが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および除算器50における除算値T/Pの平方根(T/P)1/2をクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力する。つまり、合成電力値Pと閾値Tとを比較して、合成電力値Pが閾値Tより大きい場合には、クリップ動作が行われ、合成電力値Pが閾値T以下の場合にはクリップ動作は行われない(ステップ303)。
【0034】クリップ回路201〜20nでは、判定回路60からのクリップ制御信号80に従い、クリップ動作をオフする旨の指示を入力した場合には入力信号701〜70nをそのまま出力し、クリップ動作をオンする旨の指示を入力した場合には入力信号701〜70nに除算値T/Pの平方根(T/P)1/2を乗算して出力する(ステップ304)。
【0035】ここで、クリップ回路201〜20nからの出力をPk’+jQk’と表すと、このPk’+jQk’は以下の式のように表される。
【0036】
【数2】

【0037】以上のようにしてクリップ処理された信号は、図1のようにそれぞれ信号毎にフィルタリングされた後周波数変換され、その後互いに合成されてマルチキャリア信号となり高出力アンプ5で増幅される。
【0038】本実施形態の非線形補償回路では、マルチキャリアの各キャリアの合計電力に基づいてクリッピングを行う。従って、従来の非線形補償回路と比較してマルチキャリア合成後の電力に近い値を用いているので、合成後の電力に対してより有効なクリッピングを行うことができ、送信スペクトルの広がりを抑えることができる。
【0039】次に、本実施形態の非線形補償回路によって得られる効果を図4、図5を用いて説明する。クリッピングをかけることにより、送信信号の変調精度は劣化するが、従来技術の場合と本実施形態の場合では、図4のようにクリッピングの閾値と変調精度の関係が異なってくる。一般に送信機には変調精度の規格が定められているので、変調精度が同じとなるクリッピングの閾値としたときの送信スペクトルを比較する必要がある。図5に、変調精度の劣化が同様となるときのマルチキャリア信号の高出力アンプの出力におけるスペクトラムを、従来技術と本実施形態の場合についてそれぞれ示す。クリップ処理を行わない場合に比べ、従来技術ではスペクトラムの裾のレベルがあまり改善していないのに対し、本実施形態の場合では大きな改善が見られることがわかる。
【0040】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の実施形態の非線形補償回路について説明する。
【0041】本発明の第2の実施形態の非線形補償回路の構成を図6に示す。本実施形態の非線形補償回路は、図2に示した第1の実施形態の非線形補償回路に対して、電力変換回路101〜10nと加算器40との間に、n個の乗算器301〜30nをそれぞれ設けるようにしたのもである。
【0042】乗算器301〜30nは、電力変換回路101〜10nにおいて算出されたn個の電力値に対して、係数w1〜wnをそれぞれ乗算して出力している。本実施形態における加算器40は、乗算器301〜30nからの出力どうしを加算することにより合成電力値Pの算出を行っている。本実施形態における除算器50、判定回路60、クリップ回路201〜20nの動作は、上記で説明した第1の実施形態の非線形補償回路と同様であるためその説明は省略する。
【0043】本実施形態の非線形補償回路において算出される合成電力値Pは、以下のような式により表される。
【0044】
【数3】

【0045】ここで、乗算器301〜30nにおいて電力値のそれぞれに乗算される係数w1〜wnは、高出力アンプ5の増幅特性における周波数変動を打ち消すように設定される。このようにすることにより、本実施形態の非線形補償回路によれば、高出力アンプ5の増幅特性に周波数による変動がある場合でも、マルチキャリアの合成電力を求める際にキャリア毎に重み係数wkを乗算して、周波数による変動を吸収してより理想的なクリッピングを行うことができる。つまり、高出力アンプ5の周波数特性の逆の特性となるように、係数wkを設定することにより、高出力アンプ5の周波数特性を補正してフラットにすることができる。
【0046】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の実施形態の非線形補償回路について説明する。
【0047】本発明の第3の実施形態の非線形補償回路の構成を図7に示す。本実施形態の非線形補償回路は、上記で説明した第2の実施形態の非線形補償回路に対して、電力変換回路101〜10nを振幅変換回路901〜90nに置き換え、判定回路60を判定回路62に置き換えるようにしたものである。
【0048】振幅変換回路901〜90nは、n個の入力信号701〜70nの振幅値(電力値の平方根)をそれぞれ算出している。
【0049】乗算器301〜30nは、振幅変換回路901〜90nにおいて算出されたn個の振幅値に対して、係数w1〜wnをそれぞれ乗算して出力している。本実施形態における加算器40は、乗算器301〜30nからの出力どうしを加算することにより合成振幅値Aの算出を行っている。除算器50は、予め定められた閾値T’を、加算器40により算出された合成振幅値Aにより除算する演算を行い、その演算結果を除算値T’/Aとして出力している。
【0050】判定回路62は、除算器50からの除算値T’/Aが1以上の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号82によりクリップ回路201〜20nに出力し、除算値T’/Aが1より小さい場合にはクリップ動作をオンする旨および除算器50における除算値T’/Aをクリップ制御信号80によりクリップ回路201〜20nに出力する。
【0051】本実施形態の非線形補償回路では、除算器50が除算値T’/Aを算出し、判定回路62がその除算値T’/Aに基づいてクリップ動作を行うか否かの判定を行っていたが、算出された合成振幅値Aが予め定めれた閾値T’以下の場合にはクリップ動作をオフする旨をクリップ制御信号82として出力し、算出された合成振幅値Aが予め定めれた閾値T’より大きい場合にはクリップ動作をオンする旨および入力信号の合成振幅値Aが閾値T’以下となるような係数をクリップ制御信号82として出力するようにしてもよい。
【0052】ここで、クリップ回路201〜20nからの出力をPk”+jQk”と表すと、このPk”+jQk”は以下の式のように表される。
【0053】
【数4】

【0054】本実施形態の非線形補償回路では、入力信号701〜70nの振幅値に基づいてクリップ動作を行うか否かの判定を行っている以外は、上記で説明した第2の実施形態の非線形補償回路と同様であり、得られる効果もまた同様である。さらに、本実施形態は、第2の実施形態の非線形補償回路に対して振幅値を用いるようにしたものであるが、第1の実施形態の非線形補償回路に対しても同様な変更を行うことにより振幅値を用いてクリップ動作を行うか否かの判定を行うようにすることもできる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、マルチキャリア増幅方式の場合にも、送信側高出力アンプの非線形特性に対して有効なクリップ手段を提供することができるという効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号
【出願日】 平成13年12月5日(2001.12.5)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−174370(P2003−174370A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−371717(P2001−371717)