| 【発明の名称】 |
無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】岩崎 潤 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
【氏名】赤羽 正照 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】無線データが無制限に壁越えを行わないようにする。
【解決手段】UWB(Ultra Wide Band)は、超極細パルスを用いることから測距と通信が可能な無線通信システムである。UWBシステムを部屋内で使う場合に、まず測距により部屋の大きさを測定し、そこから推測した、部屋内はすべてカバーできるが、隣の部屋には届かないような送信出力で通常のデータ通信を行うことにより、隣の部屋へ電波を漏れさせないようにする。測距の際に別途指向性アンテナを用いることにより、ある方向には敢えて電波を届かせないようにすることも可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】壁で仕切られた部屋内に設置して用いられる無線通信装置であって、アンテナと、前記アンテナを介してパルスを放出する無線送信部と、前記アンテナを介してパルスを入力する無線受信部と、前記無線送信部から放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御部と、を具備することを特徴とする無線通信装置。 【請求項2】非常に細かいパルス幅のパルス列からなる信号を用いてベースバンド伝送を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 【請求項3】前記送信制御部は、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定して、Dmaxに届く最低限の送信出力に制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 【請求項4】前記アンテナは複数の指向性アンテナからなり、前記送信制御部は、各々の指向性アンテナがカバーするセクタ毎に部屋の壁までの距離を独立に推測して、その距離に合わせて各指向性アンテナからの送信出力を独立して制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 【請求項5】前記送信制御部は、壁越えをさせたくない方向を向いた指向性アンテナにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁越えをさせたくない壁までの距離Dundesiredを推定して、距離Dundesiredに届く最低限の送信電力に制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。 【請求項6】壁で仕切られた部屋内で無線通信に用いる送信信号の出力を制御する送信出力制御方法であって、アンテナを介してパルスを放出する無線送信ステップと、アンテナを介してパルスを入力する無線受信ステップと、前記無線送信ステップにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御ステップと、を具備することを特徴とする送信出力制御方法。 【請求項7】非常に細かいパルス幅のパルス列からなる信号を用いてベースバンド伝送を行う、ことを特徴とする請求項6に記載の送信出力制御方法。 【請求項8】前記送信制御ステップでは、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定して、Dmaxに届く最低限の送信出力に制御する、ことを特徴とする請求項6に記載の送信出力制御方法。 【請求項9】複数の指向性アンテナを用いてパルスの送受信を行い、前記送信制御ステップでは、各々の指向性アンテナがカバーするセクタ毎に部屋の壁までの距離を独立に推測して、その距離に合わせて各指向性アンテナからの送信出力を独立して制御する、ことを特徴とする請求項6に記載の送信出力制御方法。 【請求項10】前記送信制御ステップでは、壁越えをさせたくない方向を向いた指向性アンテナにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁越えをさせたくない壁までの距離Dundesiredを推定して、距離Dundesiredに届く最低限の送信電力に制御する、ことを特徴とする請求項9に記載の送信出力制御方法。 【請求項11】壁で仕切られた部屋内で無線通信に用いる送信信号の出力を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するように記述されたコンピュータ・ソフトウェアをコンピュータ可読形式で物理的に格納した記憶媒体であって、前記コンピュータ・ソフトウェアは、アンテナを介してパルスを放出する無線送信ステップと、アンテナを介してパルスを入力する無線受信ステップと、前記無線送信ステップにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御ステップと、を具備することを特徴とする記憶媒体。 【請求項12】壁で仕切られた部屋内で無線通信に用いる送信信号の出力を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するように記述されたコンピュータ・プログラムであって、アンテナを介してパルスを放出する無線送信ステップと、アンテナを介してパルスを入力する無線受信ステップと、前記無線送信ステップにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御ステップと、を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の無線局間で相互に通信を行う無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、無線データが無制限に壁越えを行わないように無線制御する無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムに関する。 【0002】 【従来の技術】コンピュータの高機能化に伴い、複数のコンピュータを接続してLAN(Local Area Network)を構成し、ファイルやデータなどの情報の共有化や、あるいはプリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータの転送などの情報の交換を行うことが盛んに行われている。 【0003】従来のLANでは、光ファイバーや同軸ケーブル、あるいはツイストペア・ケーブルを用いて、有線で各コンピュータが接続されている。ところが、このような有線によるLANでは、接続のための工事が必要であり、手軽にLANを構築することが難しいとともに、ケーブルが煩雑になる。また、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便であった。 【0004】そこで、従来の有線方式によるLANの配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。この種の無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの端末を比較的容易に移動させることができる。 【0005】近年、高速な無線伝送技術の検討・開発が進められており、その1つの例がUWB(ウルトラワイドバンド)と呼ばれる方式である。これは、例えば2GHzから6GHzという超広帯域において、データを1GHz程度の極めて広い周波数帯に拡散して送受信を行うことにより高速データ伝送を実現するものである。 【0006】UWBでは、非常に細かいパルス幅(例えば1nsec以下)のパルス列からなる信号を用いてベースバンド伝送を行う。その占有帯域幅は、占有帯域幅をその中心周波数(例えば1GHz〜10GHz)で割った値がほぼ1になるようなGHzオーダの帯域であり、いわゆるW−CDMAやcdma2000方式、並びにSS(Spread Spectrum)やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた、無線LANにおいて通常使用される帯域幅と比較しても超広帯域なものとなっている。 【0007】また、UWB通信方式は、信号電力密度が極めて低いという特性を持つ。すなわち、それぞれの周波数帯に送信されるデータは他の無線通信システムにとってはノイズ程度の強さしかないため、同じ周波数帯を使う無線機器と混信することがないので、他システムとの共存が容易である。また、送信パワーは非常に小さいので消費電力も少ない。 【0008】また、UWBは、超極細パルスを用いることにより高い時間分解能を持ち、この性質を使ってレーダーやポジショニングを行う「測距」をすることが可能である。すなわち、UWBは位置測定、レーダー、無線通信の3つの機能を合わせ持っており、極めて独特な無線応用技術と言える。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】広帯域無線通信に限らず、屋内で通信を用いる場合には壁越え通信が1つのネックとなる。壁の素材により電波が透過できるかどうかも不明であるし、通信環境によって区々である。 【0010】電波が壁を越えることは、例えば家庭内では単一の無線ネットワークですべての無線通信装置を網羅できるというメリットがある反面、各部屋毎に細かく無線ネットワークを構築したい場合はむしろ干渉の原因になる。また、意図せず無線データが壁越えしてしまうと、隣の部屋からでも傍受が容易となり、秘話性といったセキュリティの問題に関わる。中途半端に壁越え通信をするならば、一切壁越えをしない赤外線通信の方が隣部屋との干渉もなく、秘話性も保たれるのでよいという意見さえある。 【0011】特に上述したUWBの場合には、広帯域な周波数を単一のUWBシステムがすべて使ってしまうため、無関係なUWBシステムが隣に存在した場合には互いに通信を邪魔してしまうことになる。 【0012】本発明は、このような技術的課題を鑑みたものであり、その主な目的は、無線データが無制限に壁越えを行わないように無線制御することができる、優れた無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。 【0013】本発明のさらなる目的は、各部屋毎に干渉し合わずに無線通信ネットワークを構築することができる、優れた無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。 【0014】本発明のさらなる目的は、1つの部屋内に無線通信エリアを仕切り、壁という物理的なファイヤウォールを形成してセキュアな無線通信ネットワークを構築することができる、優れた無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、壁で仕切られた部屋内に設置して用いられる無線通信装置又は送信出力制御方法であって、アンテナと、前記アンテナを介してパルスを放出する無線送信部又はステップと、前記アンテナを介してパルスを入力する無線受信部又はステップと、前記無線送信部又はステップで放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部又はステップにおける送信出力を制御する送信制御部又はステップと、を具備することを特徴とする無線通信装置又は送信出力制御方法である。 【0016】ここで、無線通信装置は、非常に細かいパルス幅のパルス列からなる信号を用いてベースバンド伝送を行う、いわゆるUWB(ウルトラワイドバンド)通信方式を採用していてもよい。UWBは、例えば2GHzから6GHzという超広帯域において、データを1GHz程度の極めて広い周波数帯に拡散して送受信を行うことにより高速データ伝送を実現するものであり、信号電力密度が極めて低いという特性を持つ。また、UWBは、超極細パルスを用いることにより高い時間分解能を持ち、この性質を使ってレーダーやポジショニングを行う「測距」をすることが可能である。 【0017】前記送信制御部又はステップは、このようなUWBの特徴を利用して、前記無線送信部又はステップで放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定することができる。例えば、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定して、Dmaxに届く最低限の送信出力となるように前記無線送信部又はステップを制御することにより、隣の部屋へ電波を漏れさせないようにする。 【0018】したがって、本発明の第1の側面に係る無線通信装置又は送信出力制御方法によれば、壁を越えない通信が可能になり、隣の部屋で方式の異なる通信が行われていても干渉を起こすことはない。このような場合、部屋の間で無線ネットワークを仕切るための壁という物理的なファイヤウォールを形成することができ、セキュリティ対策にもなる。 【0019】また、無線データの壁越えを制限することにより、各部屋毎に異なった通信方式を配置して、各部屋間は有線などで接続することにより、家全体をカバーする無線ホームネットワークを構築することができる。 【0020】また、無線データの送受信に用いるアンテナを複数の指向性アンテナで構成するようにしてもよい。このような場合、前記送信制御部又はステップは、各々の指向性アンテナがカバーするセクタ毎に部屋の壁までの距離を独立に推測して、その距離に合わせて各指向性アンテナからの送信出力を独立して制御することができる。 【0021】すなわち、指向性アンテナを適用して通信エリアをセクタ化することにより、部屋を囲う各壁ごとに壁越えを制御して、ある方向には敢えて電波を届かせないようにするなど、さらに精度の高い送信制御を行うことができる。 【0022】例えば、前記送信制御部又はステップは、壁越えをさせたくない方向を向いた指向性アンテナにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁越えをさせたくない壁までの距離Dundesiredを推定して、距離Dundesiredに届く最低限の送信電力に制御することができる。 【0023】また、本発明の第2の側面は、壁で仕切られた部屋内で無線通信に用いる送信信号の出力を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するように記述されたコンピュータ・ソフトウェアをコンピュータ可読形式で物理的に格納した記憶媒体であって、前記コンピュータ・ソフトウェアは、アンテナを介してパルスを放出する無線送信ステップと、アンテナを介してパルスを入力する無線受信ステップと、前記無線送信ステップにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御ステップと、を具備することを特徴とする記憶媒体である。 【0024】本発明の第2の側面に係る記憶媒体は、例えば、さまざまなプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ・ソフトウェアをコンピュータ可読な形式で提供する媒体である。このような媒体は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)やFD(Flexible Disk)、MO(Magneto-Optical disc)などの着脱自在で可搬性の記憶媒体である。あるいは、ネットワーク(ネットワークは無線、有線の区別を問わない)などの伝送媒体などを経由してコンピュータ・ソフトウェアを特定のコンピュータ・システムに提供することも技術的に可能である。 【0025】本発明の第2の側面に係る記憶媒体は、コンピュータ・システム上で所定のコンピュータ・ソフトウェアの機能を実現するための、コンピュータ・ソフトウェアと記憶媒体との構造上又は機能上の協働的関係を定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係る記憶媒体を介して所定のコンピュータ・ソフトウェアをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る無線通信装置又は送信出力制御方法と同様の作用効果を得ることができる。 【0026】また、本発明の第3の側面は、壁で仕切られた部屋内で無線通信に用いる送信信号の出力を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するように記述されたコンピュータ・プログラムであって、アンテナを介してパルスを放出する無線送信ステップと、アンテナを介してパルスを入力する無線受信ステップと、前記無線送信ステップにおいて放出されたパルスの部屋の壁からの反射波の振幅と遅延の関係を基に壁までの距離を推定して、該推定結果を基に前記無線送信部における送信出力を制御する送信制御ステップと、を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。 【0027】本発明の第3の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第3の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る無線通信装置又は送信出力制御方法と同様の作用効果を得ることができる。 【0028】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。 【0030】図1には、本発明の実施に供される無線通信装置100のハードウェア構成を模式的に示している。この無線通信装置100は、データを広い周波数帯域に拡散して送受信を行うとともに、超極細パルスを用い高い時間分解能を持つことから測距が可能なUWB(ウルトラワイドバンド)通信方式を採用しているものとする。 【0031】同図に示すように、この無線通信装置100は、アンテナ101と、アンテナ切換スイッチ106と、無線受信部107と、無線送信部108と、中央制御部109と、推定テーブル102を備えている。 【0032】アンテナ101は、ここでは無指向性とし、送信・受信を兼用しており、中央制御部109からの指示によりアンテナ切換スイッチ106を使って時分割に送信・受信を自在に切り替えることが可能である。勿論、兼用アンテナではなく、測距用に送信、受信と独立したアンテナであっても構わない。 【0033】中央制御部109は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を内蔵したマイクロプロセッサで構成され、オペレーティング・システムの制御下でさまざまなプログラム・コードを実行することができる。 【0034】無線送信部108は、中央制御回路109の制御下で動作し、測距及びデータ送信という各動作モードを持つ。測距を行う場合には、測距用のUWBパルスを生成し、また通常の通信の場合には、送信情報を変調し無線データ信号にアップコンバートして送信する。 【0035】また、無線受信部107は、アンテナ101から入力されたUWB信号を受信してベースバンド信号にダウンコンバートし復調及びA/D変換する回路であり、その受信処理結果は中央制御部109において適切な処理が行われる。 【0036】本実施形態では、無線通信装置100最初に部屋内に設置してUWBシステムを構築しようとする場合には、その無線通信環境を知るために、部屋の四方にある壁までの測距を行い、その測距結果を基に、無線データが壁越えしないように以後の通信時における送信出力の制御を行う。この結果、部屋の間で無線ネットワークを仕切るための壁という物理的なファイヤウォールを形成することができる。 【0037】図2には、無線通信装置100を部屋内に設置したときに行われる通信制御の手順をフローチャートの形式で示している。このような制御動作は、中央制御部109が所定のプログラム・コードを実行するという形態で実現される。以下、このフローチャートを参照しながら、無線通信装置100上での通信制御について説明する。 【0038】まず、中央制御部109は、アンテナ切換スイッチ106に対して送信側に切り換えるよう指示するとともに、無線送信部108に対してUWBパルスを放射するように指示し、アンテナ101から測距用のUWBパルスが放射される(ステップS1)。 【0039】放射されたUWBパルスは部屋の四方で反射され、それと同時にアンテナ切換スイッチ106は受信側に切り替えられる。部屋の壁で反射されたパルスはそれぞれ異なった遅延と振幅を持ってアンテナ101から入力され、アンテナ切換スイッチ106を介して、無線受信部107に入力される(ステップS2)。 【0040】中央制御部109は、UWBパルスの反射波の受信結果を判断し、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定する(ステップS3)。距離Dmaxの推定にはさまざまな方法が考えられる。本実施形態では、反射波の振幅と遅延の関係をあらかじめ実験的又は経験的に調べておくとともに、この関係を記述した推定テーブル102を装備する。中央制御部109は、この推定テーブル102を参照することにより、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定する。 【0041】無線通信を行う場合には、最も遠いと推定された距離Dmaxが部屋の最も遠い壁であると推定し、中央演算制御部109は、Dmaxに届く最低限の送信出力を推定テーブル102から計算して、無線送信部108における送信出力を制御する(ステップS4)。 【0042】これによって、部屋内では充分通信ができ、且つ、隣の部屋には壁の減衰のために通信ができないという環境を形成することができる。 【0043】図3には、Bi−phase方式を採用した場合の無線送信部108の構成を模式的に示している。同図に示すように、無線送信部108は、時間ベース201と、PNパルス発生器202と、乗算器204と、情報ソース205と、出力段207とを備えている。 【0044】時間ベース201は、周期タイミング信号を発生する。ここではピコ秒程度の高いタイミング精度を有する電圧制御発生器回路を持つ。この周波数タイミング信号はPNパルス発生器202、並びに情報ソース205に入力される。 【0045】PNパルス発生器202は、ピコ秒程度の非常に細いパルスを発生することが可能であり、時間ベース201から供給される周期タイミング信号をモニタして、それに同期して信号を発生する。 【0046】乗算器204は、PNパルス発生器202において発生される超極細パルスを情報ソース205の出力とタイミングを合わせて乗算する。そして、出力段107が送信出力を制御して、アンテナ101から空中に放射する。 【0047】PNパルス発生器202は、中央制御部109からの指示により異なったPNパルスを発生することが可能である。出力段207の制御は、入力端208から入力されるが、これは図1における中央制御部109からの出力制御信号に対応する。 【0048】なお、測距の場合には、情報ソースには意味のあるデータを乗せる必要はなく、送信出力も任意で構わない。 【0049】また、図4には、Bi−phase方式を採用した場合の無線受信部107の構成を模式的に示している。 【0050】アンテナ101から入力されたUWB信号は、バンドパス・フィルタ部302を通って、乗算器323、303及び304に入る。乗算器323及びローパス・フィルタ324はサーチャー320を形成し、それ以外は受信信号のデータ復調を行う復調部330を構成する。 【0051】無線通信装置100を所定の無線通信環境に設置した直後は、まず無線受信部107は測距モードで動作する。このとき、無線送信部108のPNパルス発生器202及び無線受信部107のPNコード・ソース307はそれぞれ測距用のPNを発生する。これにより無線通信装置100自身で発射した信号の反射波を識別して受信することができる。 【0052】無線送信部108側では、データを例えば0などに固定して、PNを測距用PNに変えてアンテナ101から電波を放出する。また、無線受信部107側では、アンテナ101から入力された電波はバンドパス・フィルタ部302を通って、サーチャー320内部の乗算器323において、測距用PNと乗算され、その結果はローパス・フィルタ324で積分され、出力端325に出力される。出力端325は中央制御部109に入力されている。これで入力された信号の遅延が判別できるのであるが、この仕組みについては別途図5を参照しながら説明する。 【0053】図5(a)には、アンテナ端から入ってきた受信信号を時間軸上に示してある。縦軸は信号強度であり、同図に示す例では3つのマルチパスが受信できている。 【0054】無線受信部107側のサーチャー320は、無線送信部108側で使用したPNを時間をずらして受信信号と逐次掛け合わせていく。この時間ずらし幅が時間分解能となる。図5(b)にはPNに受信信号を逐次かけ合わせていく様子を示している。同図において、PNに簡易的に番号を付けて表してある。例えば、PN信号1のタイミングで受信信号と掛け合わせれば、PNが一致するので高い相関値が得られるが、PN信号2のタイミングで掛け合わせればまったくタイミングが合わないので、相関はほぼ0である。このような手順で順次時間をずらしながらスキャンを行うと、そのタイミングで入力された信号の場所で相関値が現れる。 【0055】図5(c)には、各PN信号において相関値を求めた結果を示しているが、理想的には図5(a)とまったく同じ分布が得られる。この相関値は、時間遅れと信号強度をそのまま示しており、送信側がパルスを放射してからタイマを作動させて、相関が得られた時間をカウントしさえすれば遅延時間は判る。同図に示す例でいけば、4、10、17μsecであることが判り、ここから電波が反射した壁までの距離を推定することができる。推定の際に受信強度を合わせてさらに詳細な推定をすることができる。 【0056】通常の受信の場合には、このサーチャー320で大まかなタイミングを同様の方法で検出して、その結果をDLL回路305に伝え、その後は復調部330でそのタイミングを基に詳細な同期維持を行う。復調部330における動作を以下に説明する。 【0057】まず、受信信号は乗算器303において、Punctual回路308から出力される信号と乗算され、されに逆拡散されて、ローパス・フィルタ312で積分されて、復調データとして出力される。また、受信信号は、乗算器304にも入力されており、ここではセレクタ311から出力される信号と乗算されて、その結果はローパス・フィルタ305に入力され積分され、その出力はDLL回路306に入力される。 【0058】DLL回路306の出力は、受信信号と無線受信部107内部で発生した信号とのタイミング差に対応した信号が出力され、このタイミング信号は信号を発生するPNコード・ソース307に入力される。 【0059】PNコード・ソース307から出力される信号は、この信号の時間間隔(チップレート)の半分だけ早めた信号を生成するEarly回路309と遅めた信号を生成するLate回路310と、正しいタイミングを生成するPunctual回路308に入力される。 【0060】同図に示す例では、Early回路309とLate回路310の出力は、セレクタ311に入力され、時分割に制御されて乗算器304に入力される。このフィードバック回路により正しいタイミングに同期を維持することが可能であり、ローパス・フィルタ312の出力は復調データとなる。 【0061】図6には、四方が壁で仕切られている部屋の中に無線通信装置100を設置している様子を示している。 【0062】既に述べたように、無線通信装置100は、測距モード下では、アンテナ101からUWBパルスを四方八方に発射する。同図に示す例では、発射したパルスはa,b,c,dの4つであるとする。 【0063】ここで、最も壁までの距離があるのはdであり、壁に跳ね返ってくる時間とパルスの振幅により判別が可能で、ここから距離を類推することができる。例えば、この距離を4mとすると、以後、無線通信装置100は4mだけ確実に届くように無線送信部108における送信出力を制御する。 【0064】図7には、無線送信部108から送出されたUWBパルスが壁で反射して無線受信部107に戻ってくるまでのパルスのイメージを模式的に示している。壁までの距離が長いと、その分だけ遅延も大きく、振幅も小さくなる、という点を充分理解されたい。 【0065】また、図8には、図6に示したような部屋内に無線通信装置100を設置した場合に想定される反射波パルスの遅延と振幅の幅を示している。同図に示すように、距離に応じて受信パルスは遅く、そして振幅は小さくなる。この例では、放出波aでは遅延1μsec、振幅は無次元で10となっている(この単位は例えば回路内の1digitである)。 【0066】既に述べたように、本実施形態では、反射波の振幅と遅延振幅の関係をあらかじめ実験的又は経験的に調べておくとともに、この関係を記述した推定テーブル102を装備する。そして、中央制御部109は、この推定テーブル102を参照することにより、最も遠いと思われる壁までの距離Dmaxを推定するようになっている。以下の表1には、この推定テーブル102の構成例を示している。 【0067】 【表1】
【0068】例えば、図6で示した場合において、無線波の放出方向がaであれば、遅延と振幅から、壁までの距離は1mであると推定され、通常の無線通信時には50μWで送信すればよいことが判る。同様に、放出方向がbであれば、遅延が5μsecで振幅が8であるから、壁までの8mと推測され、送信は100μWで送信すればよいことが判る。このように対応させて、壁越えが起きないような送信出力を決めることができる訳である。 【0069】図1に示した無線通信装置100の応用例として、測距のための指向性アンテナを別途備えるような構成も考えられる。例えば図6に示したような使用環境下において、ユーザがどうしてもaの方向には通信したいがcの方向には電波を届かせたくないという場合には、各方向毎に指向性アンテナを向けてそれぞれの壁までの距離を推定して、各方向毎に送信出力の制御を行うようにすればよい。 【0070】また、図9には、本発明の他の実施形態に係る無線通信装置100−2のハードウェア構成を模式的に示している。この無線通信装置100−2を構成する機能モジュールのうち、無線受信部107、無線送信部、中央制御部109、及び推定テーブル102の機能構成は図1に示したものと略同一なので、個々では説明を省略する。 【0071】無線通信装置100−2は、アンテナ101及びアンテナ切換スイッチ106に代えて、複数の指向性アンテナ111〜114、並びに各指向性アンテナ111〜114毎に設けられたハイパワー・アンプ(HPA)115〜118が設けられており、アンテナ切換スイッチ119は、指向性アンテナ111〜114を切り換える機能を持つ。 【0072】各ユニットは、セルラーの基地局のように部屋内をセクター化することが可能である。例えば図6を用いて説明するならば、aからdまでの各方向をセクター化することができる。 【0073】図10には、無線通信装置100−2が部屋内をセクター化している様子を示している。同図において、楕円で示されている部分が各指向性アンテナのカバーするエリアである。つまり、無線通信装置100−2の周囲360度を指向性アンテナ111〜114によって幾つかの領域にセクター化し、そのエリアはその方向に関してのみ測距と通信を担当するのである。 【0074】最初に測距モードでは、無線送信部108が測距用PNを使って各指向性アンテナ・モジュール111〜114からパルスを発射する。このとき、各HPA115〜118の送信電力はすべて同じ値で統一されている。各指向性アンテナ111〜114は、自分のセクターエリア方向に向けてパルスを放射し、それが各方向の壁に向けて反射して戻ってくる。それを各セクターアンテナ毎に拾い、その方向の壁の位置をそれぞれ独立に推測し、その距離に合わせて、それぞれ独立してHPA115〜118の送信電力制御を行うことができる。これにより、図10に示したように各セクタ毎の送信出力制御が可能になる。 【0075】図11には、無線通信装置100又は100−2を部屋内に設置したときに、どこか特定の壁を越えさせないように送信出力を制御するための通信制御の手順をフローチャートの形式で示している。このような制御動作は、中央制御部109が所定のプログラム・コードを実行するという形態で実現される。以下、このフローチャートを参照しながら、無線通信装置100又は100−2上での通信制御について説明する。 【0076】ユーザが壁越えをさせたくない壁がある場合には、指向性アンテナをその壁の方向に向けるか、又はアンテナ切換スイッチ119に対して所望の指向性アンテナ111〜114に切り換えるよう指示するとともに、無線送信部108に対してUWBパルスを放射するように指示し、アンテナ101から測距用のUWBパルスが放射される(ステップS11)。 【0077】指向性アンテナから放射されたUWBパルスは指定された方向の壁で反射され、それと同時にアンテナ切換スイッチ119は受信側に切り替えられる。そして、壁から反射されたパルスは同じ指向性アンテナから入力され、アンテナ切換スイッチ119を介して、無線受信部107に入力される(ステップS12)。 【0078】中央制御部109は、UWBパルスの反射波の受信結果を判断し、壁越えをさせたくない壁までの距離Dundesiredを推定する(ステップS13)。距離Dundesiredの推定にはさまざまな方法が考えられる。本実施形態では、反射波の振幅と遅延振幅の関係をあらかじめ実験的又は経験的に調べておくとともに、この関係を記述した推定テーブル102を装備する。中央制御部109は、この推定テーブル102を参照することにより、壁越えをさせたくない壁までの距離Dundesiredを推定する。 【0079】無線通信時において、壁越えをさせたくない方向に向けて電波を送出するときには、中央演算制御部109は、距離Dundesiredに届く最低限の送信電力を推定テーブル102を使って計算して、無線送信部108における送信出力を制御する(ステップS14)。 【0080】これによって、部屋内では充分通信ができ、且つ、壁越えをさせたくない壁までは電波が届くが、その壁に面した隣の部屋には壁の減衰のために通信ができないという環境を形成することができる。 【0081】[追補]以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。 【0082】 【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、無線データが無制限に壁越えを行わないように無線制御することができる、優れた無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。 【0083】本発明に係る無線通信装置、送信出力制御方法、記憶媒体、並びにコンピュータ・プログラムによれば、壁を越えない通信が可能になり、隣の部屋で方式の異なる通信が行われていても干渉を起こすことはない。このような場合、部屋の間で無線ネットワークを仕切るための壁という物理的なファイヤウォールを形成することができ、セキュリティ対策にもなる。 【0084】UWB通信方式の場合には、1つの通信システムで広帯域の周波数を使用してしまうので、コーディネートされていない他のUWBシステムが近くに存在する場合には干渉の問題がある。本発明によれば、無線データの壁越えを制限することにより、各部屋毎に異なった通信方式を配置して、各部屋間は有線などで接続することにより、家全体をカバーする無線ホームネットワークを構築することができる。 【0085】また、本発明に係る無線通信装置に指向性アンテナを適用して通信エリアをセクタ化することにより、部屋を囲う各壁ごとに壁越えを制御するなど、さらに精度の高い送信制御を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
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| 【出願日】 |
平成13年12月6日(2001.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101801 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 英治 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−174368(P2003−174368A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月20日(2003.6.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−373246(P2001−373246) |
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