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【発明の名称】 シート状電池の製造方法
【発明者】 【氏名】岡田 聖司
【住所又は居所】兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線工業株式会社伊丹製作所内

【氏名】丹野 昌吾
【住所又は居所】兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線工業株式会社伊丹製作所内

【氏名】厨子 敏博
【住所又は居所】兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線工業株式会社伊丹製作所内

【氏名】丸本 光弘
【住所又は居所】兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線工業株式会社伊丹製作所内

【氏名】御書 至
【住所又は居所】兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線工業株式会社伊丹製作所内

【要約】 【課題】ショートの発生や電池特性の低下を抑止しつつ両極シート及びセパレータとの密着性を向上させるシート状電池の製造方法を提供する。

【解決手段】複数の小片とした負極シート及び正極シートの間に、同じく小片としたセパレータをそれぞれ挟んで積層して積層素子を作製する。次に、アルミ箔を中間に挟んだ積層フィルムからなる外装フィルムをブリスター包装容器として、これを用いて上記積層素子を密封し、密封積層素子10とする。この密封積層素子10を充電した後、加圧チャンバー11に入れて、50℃、0.5MPaで加圧処理を行い、この後に密封積層素子10のガス抜きを行ってシート状電池を完成させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 負極シートと正極シートとを該両極シートの間にセパレータを挟んで積層して積層素子を作製する積層素子作製工程と、上記積層素子を外装フィルムにより密封する密封工程と、上記密封された積層素子を、未充電状態を保持しつつ0.1〜1.5MPaの気圧により加圧する加圧工程とを包含するシート状電池の製造方法。
【請求項2】 負極シートと正極シートとを該両極シートの間にセパレータを挟んで積層して積層素子を作製する積層素子作製工程と、上記積層素子を外装フィルムにより密封する密封工程と、上記密封された積層素子を充電する充電工程と、上記充電工程の後に上記密封された積層素子を0.1〜1.5MPaの気圧により加圧する加圧工程とを包含するシート状電池の製造方法。
【請求項3】 請求項1又は2において、上記加圧工程は、20〜100℃で行うことを特徴とするシート状電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やノート型コンピュータ等のような携帯型電子機器の小型化、高機能化が進み、これらを長時間使用したいという要望も大きくなっている。そのため、こういった電子機器に用いられる電源にも小型、軽量、薄型、大容量、高電圧といった特性が求められている。このような特性を有する電池としては、シート状リチウム電池を挙げることができる。
【0003】シート状リチウム電池は、基本的には、正極シート及び負極シートの間にセパレータと電解質を介在させた状態で適当な外装シートや外装フィルムにて封止した構造を有している。セパレータと電解質には、両者の機能を一つに兼ね備えている固体あるいはゲル状電解質と、セパレータに液体電解質を含浸させたものとがある。シート状リチウム電池はこのような構造をしているので、薄くできる、積み重ねられる、缶が不要なので軽い、形状を自由にできる、といった特長を有している。
【0004】このようにシート状リチウム電池は優れた特性を有しているが、特開平10−172565号公報に示されているような正負両極シートをそれぞれ1枚ずつ積層した電池では、容量を大きくするためには正負両極シートの面積を大きくする必要があり、製品電池自体も面積が大きくなってしまう。製品電池自体は小さな面積のままで大容量とするためには正負両極シートを複数枚積層すれば良く、このようなやり方としては、1)小片に打ち抜いた正負両極シートを複数枚交互に積層する方法、2)一方のシートを長尺とし、他方のシートを小片に打ち抜いて長尺シートの上に並べて折り畳んで重ねる方法とが知られている。
【0005】上記の正負両極シートを複数枚積層した積層素子は、特開2001−52659号公報に示されるように、内面側に熱融着性フィルムを有するラミネートフィルムを用いたブリスターパッケージとして外装及び固定され、外気と遮断される。ブリスターパッケージとは、プラスチックフィルムに凹部(ブリスター)を形成して、そこに収容物を入れ、プラスチックフィルムや紙等で蓋をする包装容器である。シート状電池の場合は、蓋部分もブリスターと同じ素材であることが好ましく、取り扱いの容易さから蓋部分とブリスターとを一体に形成したものが多く用いられている。この場合は、蓋部分をブリスター近傍で折り返して、ブリスターに蓋をして熱圧着を行う。
【0006】けれども、ブリスターパッケージされた電池では、従来の金属缶ケースに比べてプラスチックフィルム自体が両極シート及びセパレータのずれや離間を抑止する力が小さく、内部でのガスの発生等でこのようなずれや離間が生じるという問題点があった。
【0007】この問題点を解決するため、特開2001−35523号公報にはフィルム外装電池を二枚の板で挟んで、あるいは静水圧により圧力を加えながら充電をする電池の製造方法に関して開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公開公報に開示された技術では、加圧しながら充電するため、両極シートの端部に切断時に生じたバリが存しているとその部分に圧力と電圧が集中してショートするおそれがあり、特に板で挟んで加圧すると場所により加圧にむらがあるため、ショートのおそれが高かった。さらに、両極シートやセパレータに水分があると、充電によりガスが発生するが、圧がかかっていると逃げ場所がなく、そのまま発生場所にとどまってしまい、製品電池となったときに、両極シートやセパレータの密着性を低下させ電池容量や電池寿命等の電池特性を低下させる原因となっていた。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ショートの発生や電池特性の低下を抑止しつつ両極シート及びセパレータとの密着性を向上させるシート状電池の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、充電をしないまま、あるいは充電を終えてからシート状電池を加圧する製造方法とした。
【0011】具体的には、請求項1の発明は、負極シートと正極シートとを該両極シートの間にセパレータを挟んで積層して積層素子を作製する積層素子作製工程と、上記積層素子を外装フィルムにより密封する密封工程と、上記密封された積層素子を、未充電状態を保持しつつ0.1〜1.5MPaの気圧により加圧する加圧工程とを包含するシート状電池の製造方法である。
【0012】ここで、未充電状態を保持しつつ加圧するとは、密封工程後の未充電の密封された積層素子を未充電のまま充電を行わないで加圧するということである。
【0013】請求項1の発明であれば、未充電状態で外装フィルムに密封された積層素子を気圧により加圧するので、積層素子は全方向から均一に圧縮されて、両極シート、特に正極シートの端部にバリがあったとしてもそこに圧が集中せず、加圧工程においてショートが生じるおそれがない。また、電圧もかかっていないのでバリ部分に高電圧がかかってショートさせるおそれもない。そして、0.1〜1.5MPaの気圧で加圧されるので、両極シート及びセパレータを互いに均一に且つ適度に密着させて、電池特性を向上させる。すなわち、気圧が0.1MPa未満であると加圧が不十分で密着が充分ではない一方、1.5MPaよりも大きいとセパレータが潰れてしまい電池特性が悪化する。なお、0.1〜0.5MPaの気圧で加圧すると、加圧装置が簡単で済み且つ充分に密着させられるため好ましい。
【0014】次に、請求項2の発明は、負極シートと正極シートとを該両極シートの間にセパレータを挟んで積層して積層素子を作製する積層素子作製工程と、上記積層素子を外装フィルムにより密封する密封工程と、上記密封された積層素子を充電する充電工程と、上記充電工程の後に上記密封された積層素子を0.1〜1.5MPaの気圧により加圧する加圧工程とを包含するシート状電池の製造方法である。
【0015】請求項2の発明であれば、請求項1の発明の効果に加えて、充電工程で発生したガスを加圧により容易に積層素子から抜き出すことができるとともに、充電により電解液が両極シート表面に拡がってなじみ、その後に加圧して密着性を上げるため、電池特性が向上する。なお、加圧工程は、充電状態を保持したまま行ってもよいし、放電してから行ってもよい。
【0016】次に、請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記加圧工程は、20〜100℃で行うことを特徴とするシート状電池の製造方法である。
【0017】請求項3の発明であれば、両極シートとセパレータの接触面におけるなじみが良くなり、密着性が向上し、従って電池特性が向上する。すなわち、20℃未満では密着性が不十分であるおそれがある一方、100℃よりも高いとセパレータが軟化して微細な孔が潰れて電池特性が悪化する。なお、45〜60℃であると、短時間に加圧を行うことができ、装置も簡単なものになって製造コストが下がるので、好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】(第一の実施の形態)図1は、本実施形態のシート状電池1の斜視図である。シート状電池1は、積層素子が外装フィルム21に包まれていて、外部には二つの電極タブ22,22のみが突き出している。図1のA−A線断面図の一例が図2であり、他の例が図3である。図2は、積層素子作製工程において、複数の小片とした負極シート2と正極シート3との間に複数の小片としたセパレータ4を挟んで積層した積層素子を有するシート状電池1の断面図であり、図3は、積層素子作製工程において、複数の小片とした負極シート2と正極シート3との間に一枚の帯状のセパレータ4をジグザグ状にして挟んで積層した積層素子を有するシート状電池1の断面図である。
【0020】上記積層素子を示した図が図4,図5である。図4は、両極シート2,3とセパレータ4とを積層し終えた状態であり、積層素子5には、各両極シート2,3から一つずつ電極端子23が突き出している。これらの電極端子23を正極と負極とに分けてまとめてそれぞれ電極タブ22を取り付けたものが図5である。
【0021】上記負極シート2は、負極集電体の両面あるいは片面に負極活物質を塗工したものであり、上記正極シート3は、正極集電体の両面あるいは片面に正極活物質を塗工したものである。
【0022】負極集電体としては、銅、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属の、厚さ5〜100μm、特に8〜50μmの箔や穴あき箔、厚さ20〜300μm、特に25〜100μmのエキスパンドメタルやメッシュメタルなどが好ましい。負極活物質は、炭素質材料であって、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば、繊維状黒鉛、鱗状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類を好ましく挙げることができる。このような黒鉛類にポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどの結着剤を混合して負極集電体の両面に塗工する。負極活物質の層厚みは、20〜500μmが好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。また、製品電池となったときの負極活物質層の密度は、3.0〜3.3g/cm2であると、高密度のため電池特性が優れるので好ましい。
【0023】次に上記正極集電体を構成する材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなどの導電性金属の、厚さ10〜100μm、特に15〜50μmの箔や穴あき箔、厚さ25〜300μm、特に30〜150μmのエキスパンドメタルやメッシュメタルなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0024】上記正極活物質としては、負極との電位差が少なくとも1Vであるもの、例えば、V25、MnO2、LiMn24、LiCoO2、LiNi0.5Co0.52、LiNiO2、Li−Co−P系複合酸化物(LiCo0.50.52、LiCo0.40.62、LiCo0.60.42、LiCo0.3Ni0.30.42、LiCo0.2Ni0.20.62など)、TiS2、MoS2、MoO3などが挙げられる。これらのうちでも電池の起電力や充放電電圧を特に高くすることができるLi−Co系複合酸化物が特に好ましい。正極活物質は、粒子径が15〜50μmであると、電池特性が向上するので好ましい。このような正極活物質にポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどの結着剤を混合して塗工する。正極活物質の層厚みは、20〜500μmが好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。また、製品電池となったときの正極活物質層の密度は、3.0〜3.3g/cm2であると、高密度のため電池特性が優れるので好ましい。
【0025】負極活物質及び正極活物質の塗工方法は、特に限定されないが、ロールコーティング法やダイコーティング法などを挙げることができる。
【0026】また、セパレータは、正極と負極の短絡を防いで、イオン電導性を有しているものであればどのようなものでも構わないが、取り扱い易さ、電気特性や電解液に対する安定性の観点などからポーラスなポリマフィルムであることが好ましい。セパレータとして用いられるポリマフィルムを構成するポリマとしては、例えば、ポリスチレン、ポリブタジエンおよびそれらの共重合体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、前記誘導体を含むポリマ、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などを挙げることができる。このようなポリマを適当な溶剤に溶解させて、成膜、乾燥させてフィルムとする。なお、フィルム成膜用の溶液に可塑剤等の添加剤を加えても良い。このようにしてポーラスなセパレータを作製する。セパレータの厚みは5〜100μmが好ましく、20〜60μmであると電池特性が良好となり、さらに好ましい。
【0027】なお、電池として完成したときには、セパレータには非水系の電解液が含浸されている。このような電解液には、塩類を有機溶媒に溶解させた電解液を使用することできる。このような塩類としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、Li(CF3SO22Nなどが例示され、これらの一種あるいは二種以上の混合物が使われる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが例示され、これらの一種あるいは二種以上の混合物を使用することができる。
【0028】また、セパレータとして、正極シート3と負極シート2とを実質的に隔離している公知の固体電解質層を用いてもよい。
【0029】次に、密封工程について説明する。
【0030】図7に、外装フィルム21に絞り成形加工を施したブリスター包装容器6を示す。この外装フィルム21は、厚さ30〜50μmのアルミ箔の一面に樹脂よりなる外部保護層が積層され、アルミ箔の他面に樹脂よりなる耐電解液層とさらにその上に熱可塑性樹脂よりなる接着層が積層された四層構造となっている。外部保護層の樹脂としては、ナイロン樹脂やポリエステル樹脂等を挙げることができ、接着層の樹脂としては、変性ポリオレフィン樹脂等ヒートシール性を有する樹脂を挙げることができる。外装フィルム21の厚みは、80〜200μmであることが好ましい。上記ブリスター包装容器6は矩形のフィルムに、積層素子5外形よりやや大きい矩形のブリスター(窪み)7が形成されている。ブリスター7の各辺はブリスター包装容器6の各辺に略平行であって、ブリスター7の一つの辺(外縁)から外方へ蓋部8が延びている。また、残りの三辺には、フランジ部9が形成されている。このように、少なくともブリスター7外縁の蓋部8以外の部分にフランジが形成されている。この蓋部8がある側のブリスター7の辺は、蓋部8を折り返す直線(折り返し線35)の一部である。この折り返し線35はブリスター包装容器6を二分割しているので、折り返し線35で蓋部8がブリスター7の開口部を覆うように折り返すと、蓋部8はブリスター7開口部全面を覆い隠すとともにフランジ部9にも重なる。
【0031】密封工程では、後述の熱圧着を容易に行うために、まず上記ブリスター包装容器6の折り返し線35で、蓋部8をブリスター7の方に折り返して折り目をつける。すなわち、蓋部8がブリスター7の方に倒れかかっている状態にする。このときに、外装フィルム21の接着層及び耐電解液層にクラックが発生しないよう、折り曲げ補助具を用いて折り返し線35の部分を加熱しながら折り返す。この折り曲げ補助具は、内蔵のヒータにより先端近辺が加熱され、外装フィルム21の少なくとも折り返し部分をその先端で40〜120℃に加熱し、少なくとも接着層及び耐電解液層を軟化させる。折り曲げ補助具自体の温度は、外装フィルム21の設定加熱温度よりも5〜10℃高く設定しておけば、短時間の接触で外装フィルム21を所定温度にまで充分加熱できる。それから、外装フィルム21を折り返して、折り目がついたら折り曲げ補助具を取り外す。折り目は、蓋部8を90度以上折り返した状態が好ましく、より好ましくは120度以上である。折り返しすぎると、この後積層素子5をブリスター7に挿入しにくいので、折り返しは165度以下であることが好ましい。
【0032】こうしてブリスター包装容器6に折り目をつけたら、ブリスター7に積層素子5を挿入する。図8は挿入状態をわかりやすくするために、折り目がついていない状態での挿入を示している。ブリスター7は、挿入された積層素子5がブリスター7内で移動しないよう、積層素子5外形とほぼ同程度の大きさであり、深さも積層素子5の厚みとほぼ同じである。積層素子5の電極タブ22,22は、フランジ部9よりも長く、フランジ部9から外方に突き出している。
【0033】積層素子5の挿入後、蓋部8を完全に折り返して積層素子5表面とフランジ部9に重ね合わせて、図9に示すように、ブリスター7周囲の二辺のフランジ部9a,9bを蓋部8と熱圧着する。熱圧着された部分はクロスハッチングで示す。熱圧着するフランジ部9a,9bは、電極タブ22が突き出しているフランジ部9aと、図の奥側のフランジ部9bである。熱圧着しないフランジ部9cは、熱圧着されているフランジ部9a,9bよりもブリスター7外縁から幅広く延びている。
【0034】この熱圧着されていないフランジ部9cと蓋部8との間から積層素子5に電解液を供給する。それから図10に示すように、フランジ部9cの外端の辺を熱圧着して、密封し密封積層素子10とする。
【0035】次に、加圧工程について説明する。
【0036】上記密封積層素子10を、図6に示す加圧チャンバー11に入れて一定温度に保って圧をかけ、電解液をセパレータ4にしみ込ませ且つ両極シート2,3及びセパレータ4を互いに密着させる。この加圧チャンバー11は、扉13を開けると棚14,14,・・・,14が五段並んでいて、各棚14にはそれぞれ引出12が収められるようになっている。各引出12には密封積層素子10が立てられて並べられる。このように密封積層素子10を並べて入れることにより、一度に大量の密封積層素子10を加圧処理することができる。
【0037】上記加圧チャンバー11は、内部の温度を20〜100℃の範囲で一定温度に保つことができる。20〜100℃で加圧を行うと、両極シート2,3及びセパレータ4の接触面におけるなじみが良くなって密着性が向上するので、電池特性が向上する。さらに、45〜60℃であると、短時間に加圧を行うことができ、装置も簡単なものになって製造コストが下がるので、好ましい。また、加圧チャンバー11内部の気圧は、0.1〜1.5MPaの範囲で調節し一定に保つことができる。0.1〜1.5MPaの気圧で加圧を行うと、両極シート2,3及びセパレータ4が互いに均一に且つ適度に密着するので、電池特性が向上する。さらに、0.1〜0.5MPaの気圧で加圧すると、電池を個々に板で挟み込む必要がなく加圧装置が簡単で済み且つ充分に密着させられるため好ましい。
【0038】上記の加圧定温処理は、1〜24時間行うことが好ましい。3〜6時間であれば、短時間で充分な電池特性が得られる処理ができるためより好ましい。
【0039】この加圧低温処理が終了したら、密封積層素子10を加圧チャンバー11から取り出して、フランジ部9cの熱圧着部分を切り取って、積層素子5内に残存していた空気を抜き出す。
【0040】この後に、図11に示すようにフランジ部9cを再度熱圧着して、シート状電池1が完成する。
【0041】これまで説明してきたように、本実施の形態では、密封積層素子10を加圧定温処理しているので、両極シート2,3及びセパレータ4が互いに全ての部分で均一に密着して電池特性が向上するとともに、両極シート2,3にバリがあっても加圧工程によってショートが生じるおそれがない。また、加圧チャンバー11を用いることにより多数の密封積層素子10を一度に処理できるので、製造効率が上がりコストが下がる。
【0042】(第二の実施形態)第二の実施形態は、第一の実施形態において密封工程と加圧工程との間に充電工程が加わったものである。充電工程以外の工程は、第一の実施形態と同じである。
【0043】充電工程では、上記密封工程終了後の密封積層素子10の電極タブ22,22より112mAの定電流で4.2Vまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で合計10時間充電を行った。
【0044】それから、充電状態を保持したまま、加圧工程で加圧定温処理を行い、これ以降は第一の実施形態と同様に行って、シート状電池1を完成させた。
【0045】これまで説明したように、本実施の形態では、第一の実施形態の効果に加えて、充電工程で発生したガスを加圧により容易に積層素子5から抜き出すことができて密着性が上がるとともに、充電により電解液が両極シート2,3表面に拡がってなじんだ後に加圧して密着性を上げるため、電池特性が向上する。
【0046】(他の実施の形態)上記の実施形態は例であり、本発明は本例に限定されない。即ち積層素子5の製法はセパレータを袋状にしてそこに負極及び正極シートを挿入して積層するやり方などでもよいし、電極タブの取り出し方や形状等もどのようなものであっても構わない。また、外装フィルム21の構成ももっと多層としても構わないし、2層や3層でも構わない。密封工程も、最初に折り目をつける工程を省いてもよいし、別の工程を入れても良い。フランジ部の形状も三辺ほぼ同じでも構わないし、別の形状構成でも構わない。折り返し部分の加熱も、超音波やレーザ等を用いても良いし、所定の温度にできればどのような方法でも構わない。さらに、一つのブリスター包装容器6に複数のブリスター7を設けて、複数のシート状電池1を同時に作製しても構わない。また、折り返し線35とブリスター7との間にフランジ部分を有していても良い。加圧チャンバー11の形状もどのようなものでも構わないし、加圧機器を恒温槽の中に入れる形式でも構わない。また、第二の実施形態において、充電後に放電してから加圧を行っても構わない。
【0047】
【実施例】−実施例−負極集電体として厚み13μmの銅箔に、負極活物質として炭素系活物質、バインダー(ポリビニリデンフルオライド)、有機溶剤とを混合しペースト状にしたものをロール転写法で両面にコーティングして乾燥し、活物質層の厚みが210μmの負極シートを得た。また、正極集電体として厚み17μmのアルミ箔に、正極活物質としてLiCo2、バインダー(ポリビニリデンフルオライド)、有機溶剤とを混合しペースト状にしたものをロール転写法で両面にコーティングして乾燥し、活物質層の厚みが210μmの正極シートを得た。セパレータとしては、厚み23μmのPE/PP/PE三層構造材を用い、外装フィルムとしては、厚み40μmのAl箔の外面に25μmのナイロン樹脂層(外部保護層)を、内面に15μmの耐電解液層、さらにその上に30μmのポリプロピレン層(接着層)を積層したものを用いて、第二の実施形態に示す方法で、シート状電池を作製した。なお、加圧工程は、50℃、0.5MPaで5時間行った。
【0048】このようにして作製したシート状電池の放電特性を図12のBに、サイクル特性を図13のBに示す。
【0049】−比較例−実施例と同じ材料を用い、製造方法は第二の実施形態に示す方法のうち、加圧工程をシート状電池を二枚の板で挟んで上下面から圧力をかける方法により行った。加圧条件は、50℃、0.5MPa、5時間であった。
【0050】このようにして作製したシート状電池の放電特性を図12のCに、サイクル特性を図13のCに示す。
【0051】図12に示すように放電特性は、比較例Cでは電池容量が0.6A・hを越えると電圧が3.7Vから急激に下がってしまう特性であるのに比べて、実施例Bは、0.65A・h付近まで電圧3.7Vを保持している。また、図13に示すようにサイクル特性は、比較例では、充放電約390回で放電容量DGが80%に下がるが、実施例では、充放電500回でもDGが約82%である。このように、放電特性、サイクル特性ともに実施例が比較例よりも優れていた。
【0052】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に述べる効果を奏する。
【0053】外装フィルムにより密封された積層素子を、未充電のままあるいは充電後に0.1〜1.5MPaの気圧で加圧する加圧工程を備えた製造方法であるので、積層素子全体が均一に加圧され、両極シート及びセパレータが互いに密着して電池特性が向上する。また、両極シート端部にバリがあっても加圧工程でその部分にショートが生じるおそれはない。
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東向島西之町8番地
【出願日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2003−123844(P2003−123844A)
【公開日】 平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願番号】 特願2001−311875(P2001−311875)