| 【発明の名称】 |
リサイクル対応型太陽電池モジュール |
| 【発明者】 |
【氏名】土井 卓也
【氏名】津田 泉
【氏名】作田 宏一
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| 【要約】 |
【課題】従来の太陽電池モジュールの構成においては、封止材であるEVAが太陽電池セルと強固に接着しているため、封止材に挟まれている太陽電池セルのみを取り出そうとすると、薄い太陽電池セルは亀裂が入ったり、割れてしまったりしていた。
【解決手段】本願発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セルと封止材との間に太陽電池セルには接着しない非接着シートを介在させ、二段封止型太陽電池モジュールとした。これにより、該モジュールを廃棄する際には、該セルの外周の該シートを切断することにより、簡易に該セルを回収することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 太陽電池セルの周囲を封止材で封止する太陽電池モジュールにおいて、該セルと該封止材の間に該セルには接着しない非接着フィルムを介在させたことを特徴とする太陽電池モジュール。 【請求項2】 上記セルが複数であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。 【請求項3】 一つの上記セルに対して、表裏一組の上記非接着フィルムを用いる場合には、該非接着フィルムの広さは、該セルより若干大きくし、該大きい部分を切断時における切り代としたことを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。 【請求項4】 複数の上記セルに対して表裏一組の上記非接着フィルムを用いる場合には、該非接着フィルムは、セルとセルの間の位置において、表裏の封止材が接着し得る開口を有することを特徴とする請求項2記載の太陽電池モジュール。 【請求項5】 請求項3記載の太陽電池モジュールにおいて、該モジュールを上記切り代において切断することにより、上記セルを回収することを特徴とする太陽電池セル回収方法。 【請求項6】 請求項4記載の太陽電池モジュールにおいて、該モジュールをセルとセルとの間において切断することにより、上記セルを回収することを特徴とする太陽電池セル回収方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本願発明は、太陽電池に関するものであり、特に、太陽電池をリサイクルして使用する技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 現在市販されている太陽電池モジュールのうち、最も一般的に用いられているスーパーストレートタイプの構成は、図1のようになる。図は太陽電池モジュールの断面を示しており、1は表面ガラス、2は封止材、3は太陽電池セル、4は裏面材、5は電極材である。このモジュールの構成部材は、太陽光線の入射側から順に、表面ガラス/封止材/太陽電池セル/封止材/裏面材となる。表面ガラスは透明基版として用いられており、光透過率や強度の点から白板強化ガラスが使用される。封止材としては、耐候性・耐湿性に優れるEVA(ethylene vinylacetate, エチレン酢酸ビニル)などが用いられる。裏面材には、PET(polyethylene terephthalate, ポリエステル)とPVF(polyvinyl fluoride, ポリフッ化ビニル)の複層構造のプラスティックフィルム(DuPont社のTedlarなど)が用いられる。なお、図1には3つの太陽電池セルが示されているが、実際の太陽電池モジュールにおいては、所定の電力を得るために、直列・並列の接続が組み合わせられる。 【0003】このような、現在市販されている太陽電池モジュールにおいては、リサイクルを意識せずに製造されているため、そこから太陽電池セルを回収するための手法が各種検討されている[下記参考文献参照]。しかしながら、これら手法においては、薬品処理や熱処理が必要であり、経済性や環境負荷等を考えると決して望ましいプロセスとは言えない。また、これら手法はまだ検討段階であり、実用化レベルには達していない。 [参考文献] (1) T M Bruton, et. al.: "Re-cycling of High Value, High Energy ContentComponents of Silicon PV Modules", Proc. of 12th EC-PVSEC (1994) 303-304.(2) J. R. Bohland, et. al.: "Possibility of Recycling of Silicon PV Modules", 26th IEEE PV Specialist Conf. (1997).(3) L. Frisson et. al.: "Cost Effective Recycling of PV Modules and theImpact on Environment, Life Cycle, Energy Payback Time and Cost", WCPEC-2, (1998) 2210-2213.(4) T. Doi, et.al.: “Experimental study on PV Module recycling with organic solvent method”, Solar Energy Materials & Solar Cells, Vol. 67, (2001), 397-403.【0004】 【発明が解決しようとする課題】 従来の太陽電池モジュールの構成においては、封止材であるEVAが太陽電池セルと強固に接着しているため、封止材に挟まれている太陽電池セルのみを取り出そうとすると、薄い太陽電池セルは亀裂が入ったり、割れてしまったりする。特に、多結晶シリコンの太陽電池セルでは、その結晶粒界における機械的強度が弱いため、単結晶シリコンの太陽電池セルに比べて、破損しやすい。これは、上述の薬品処理や熱処理を行う場合にも、EVAの膨潤や膨張がセル周辺で均一でない時にはセルの破損が起こることを意味している。このように、太陽電池モジュールから太陽電池セルを無傷で取り出すことが困難であり、その結果、太陽電池セルのリサイクルも困難にしているという課題があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本願発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セルと封止材との間に太陽電池セルには接着しない非接着シートを介在させ、二段封止型太陽電池モジュールとした。これにより、該モジュールを廃棄する際には、該セルの外周の該シートを切断することにより、簡易に該セルを回収することが可能となった。 【0006】 【本願発明の原理】 図2には、本願発明の原理を理解しやすいように、モジュール内に内包するセルを1枚とする単セルモジュールでの立体構成図と平面図を示している。このモジュールの構成部材は、太陽光線の入射側から順に、表面ガラス/封止材/非接着シート/太陽電池セル/非接着シート/封止材/裏面材となる。 【0007】これは、図1のような既存のスーパーストレートタイプの構成において、EVAと太陽電池セルの間に太陽電池セルに非接着なシートを一組2枚挿入したものであり、このシートは太陽電池セルより若干大きくし、セルからはみ出した部分を切り代とする。リサイクル時には裏面側から切り代を切開(図2下の一点鎖線)すれば、非接着シートに挟まれた太陽電池セルを取り出すことができる。 【0008】 【実施例】 図3は、多セルモジュールへの適用例として、6セルの場合について、平面図と断面図を示したものである。図2に示した単セルにおいては、電極材を示さなかったが、実際のモジュールでは多数のセルを直列・並列に接続するための電極材が存在し、図3には表から出た電極が隣の裏へ直列に接続される場合を示してある。多セルの場合もセル1枚毎に、表裏に一組の非接着シートを配置していけば、原理的に図2と同様の手法でセルの回収は可能である。しかしながら、組み立て時の位置合わせ等の手間が煩雑になり、現実的ではない。そこで、図3には解決策として、6セル全てを覆う表裏一組の非接着シートを配置し、このシートの一部、即ち、セルとセルの間の切り代になるところに複数の穴をあけ、ここにEVAが入り固定する構成を示してある。 【0009】さらに、リサイクル時におけるモジュール裏面側からの切削方法としては、図4に示すように、モジュール表面(ガラス)側からセルの位置を判定し、切削ラインを決定し切削する。これらの作業を自動で行うことも容易である。 【0010】本願発明のモジュール構成により実際に太陽電池セルを無傷で回収できることを確認するために、1セルモジュールの試作及びセル回収実験を通して、非接着シート材の探索を行った。実験に使用した各種シート材の特性を表1に記す。 【表1】
1セルモジュールの作成は以下のようにした。白板強化ガラス(山久特殊硝子工業(株)製,120mm×120mm×3.2mm)のエンボス加工のある側を上にして置き、この上にEVA(ハイシート工業(株)製ソーラーエバ,120mm×120mm×0.6mm)、試験シート(110mm×110mm)、太陽電池セル(多結晶100mm×100mm×0.4mm)、非接着シート、EVA、バックシート(Tedlar ,120mm×120mm×0.2mm)の順に重ね、真空袋法(50Torr程度)により、仮接着(100℃−1分間)、本接着(155℃−15分間)を行った。 【0011】このようにして作成した試料を1ヶ月以上、常温で保管した後、モジュール解体・セル回収実験を行った。モジュール解体は以下のように行った。まず、モジュールの表側より、太陽電池セルからはみ出している試験シートの切り代の位置を確認し、セルの外側約2mmのところをモジュール裏面より、カッターナイフで切れ目を入れていった。初めのうちは、セルの周りの1辺毎に切れ目を入れてはEVAを剥がし取っていた(試験シート#1及び#2)が、セルが回収できる場合は、裏面から4辺に切れ目を入れるだけで、バックシート/EVA/試験シートが一体になったものとセルが残りの部分から容易に分離できることが分かった。 【0012】セル回収実験の結果は、以下のとおりである。試験シート#1のシリコーンゴムは、セルの裏面のみはがれた。試験シート#2〜#4のポリエステル、フロログラス、ナフロンは、いずれもセルの回収に成功した。試験シート#5,#6のポリエチレン及び塩化ビニルは、セルの両面ともはがれなかった。 【0013】ここで、セルの回収に成功した3種のフィルムのうち、ポリエステルのみが透明であるため、本モジュール構成における最適な材料として、ポリエステルを選定して、次の回収成功率の検討を行った。非接着シートとして、ポリエステルを用い、上記手順と同様の手順で1セルモジュールを多数作成し、モジュールの解体・セル回収実験を行った。この実験の結果をまとめたものを表2に示す。なお、前述の実験では試作から解体まで1ヶ月ほど時間をあけたが、今回の実験においては、1週間ほどあけることとした。 【表2】
【0014】表2には、作成日、作成に要した時間、解体日、解体に要した時間、セル回収の成否が記してある。セル回収試験に使用したモジュールは、34枚であり、このうち、無傷でセルを回収できたのは、33枚であった。残りの1枚もほぼ回収していたが、記録のための写真撮影時にセルを破損してしまった。従って、若干厳しくはあるが、ここでは回収成功率は97.1%としておく。また、1枚のモジュールを作成するための平均所要時間は約3時間半、セル回収の平均所要時間は約6分であった。このことにより、本提案のモジュール構成法はリサイクル対応型太陽電池モジュールの構成法として有用性が高いと考えられる。 【0015】 【発明の効果】本願発明によれば、既存の太陽電池モジュール生産ラインを一部改造し、太陽電池セルの表裏両側に透明非接着シートを挟む工程を追加するだけで、リサイクル対応型の太陽電池モジュールを作成することが可能となる。さらに、リサイクル時には、太陽電池モジュールの裏面側より、カッターのような切削工具で切れ目を入れるのみで、太陽電池セルを無傷で回収することができる。従って、製造時・回収時ともにわずかなコスト増加でリサイクルを容易にする画期的な方法となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成13年11月6日(2001.11.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−142720(P2003−142720A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月16日(2003.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願2001−340407(P2001−340407) |
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