| 【発明の名称】 |
基板吸着方法およびその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 修也 【住所又は居所】京都府京都市南区久世殿城町575番地 日新イオン機器株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】基板の吸着時間の長短や基板処理を行うタイミング等に拘わらず、基板吸着中に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板の離脱が容易になる方法および装置を提供する。
【解決手段】この基板吸着装置は、基板4を静電気によって吸着する静電チャック6と、この静電チャック6に直流の吸着電圧VC を印加する直流電源14とを備えている。そして、基板4の吸着開始後、吸着電圧VC の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させるようにした。この制御をこの例では制御装置20が行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁体内に電極を有していて、基板を静電気によって吸着する静電チャックと、この静電チャックの電極に直流の吸着電圧を印加する直流電源とを備える基板吸着装置において、前記基板の吸着開始後、前記吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させることを特徴とする基板吸着方法。 【請求項2】 絶縁体内に電極を有していて、基板を静電気によって吸着する静電チャックと、この静電チャックの電極に直流の吸着電圧を印加する直流電源とを備える基板吸着装置において、前記基板の吸着開始後、前記吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させる制御装置を備えていることを特徴とする基板吸着装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えばイオン注入装置、イオンドーピング装置、イオンビームエッチング装置、プラズマCVD装置、薄膜形成装置等に用いられるものであって、被処理物である基板を静電気によって吸着して保持する静電チャックを備える基板吸着装置に関し、より具体的には、基板吸着中に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板の離脱が容易になる手段に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の基板吸着装置の従来例を図4に示す。この基板吸着装置は、基板(例えば半導体ウェーハ)4を静電気によって吸着する双極型の静電チャック6と、この静電チャック6の二つの電極10、12に互いに逆極性で同値の直流の吸着電圧VC をそれぞれ印加する双極出力型の直流電源14とを備えている。 【0003】静電チャック6は、この例では、例えばアルミナ等のセラミックスから成る絶縁体8中の表面近くに、例えば共に半円形をした二つの電極10、12が相対向して円形を成すように埋め込まれた構成をしている。 【0004】直流電源14は、この例では、正極性の吸着電圧VC (+VC )を出力する出力電圧可変の正電源16と、負極性の吸着電圧VC (−VC )を出力する出力電圧可変の負電源18から成る。以下、極性を意識する必要のない場合は、単に吸着電圧VC と呼ぶことにする。図においても同様である。 【0005】直流電源14から静電チャック6に上記吸着電圧VC を印加すると、基板4と電極10、12間に正負の電荷が溜まり、その間に働く静電気力によって基板4が静電チャック6に吸着され保持される。その状態で、基板4に例えばイオンビームを照射する等して、イオン注入等の所望の処理を施すことができる。 【0006】このような静電チャック6に基板4を吸着させた際の、吸着電圧VC が一定の場合の、吸着開始からの吸着力の時間依存性(カーブA)、残留吸着力(吸着時間は1800秒)の吸着オフ後の経過時間依存性(カーブB)および残留吸着力の吸着時間依存性(吸着オフ後5秒の時点。カーブC)の一例を図5に示す。 【0007】カーブAは、吸着開始直後に吸着力が急激に上昇し、その後徐々に飽和することを示している。カーブBは、吸着オフ(即ち吸着電圧VC をオフ)しても、残留吸着力が存在し、それは指数関数的に減少することを示している。カーブCは、吸着時間が長くなるほど(略言すれば吸着時間にほぼ比例して)、吸着オフ後の一定時間(例えば5秒後)で見た場合、残留吸着力が大きくなることを示している。 【0008】なお、吸着電圧VC の大きさを変えた場合、簡単に言えば、吸着電圧VC をより大きくすれば、吸着力および残留吸着力はより大きくなり、吸着電圧VC をより小さくすれば、吸着力および残留吸着力はより小さくなる。また、図1や図4に示した静電チャック6以外の静電チャックも、通常、図5に似た特性を有している。 【0009】上記のような静電チャック6においては、吸着電圧VC をオフした後も、上記のように残留吸着力が存在するために、基板4を静電チャック6から離脱させにくいという課題がある。 【0010】このような課題を解決するものとして、特開平4−213854号公報には、例えば図6に示すように、吸着電圧VC を所定のタイミングで2段階で切り換えて印加する技術が提案されている。 【0011】これは、静電チャック6への基板4の吸着開始時(時間0〜t1 )には大きな値(V1 )の吸着電圧VC を印加し、その後基板4に処理を施す際は吸着電圧VC を低い値(V2 )に切り換え(時間t2 〜)、その後はその値V2 を処理終了(時間t3 )まで維持するものである。吸着電圧VC は、時間t1 (例えば10秒)と時間t2 (例えば15秒)との間で徐々に低下させる場合もあるし、2点鎖線Dで示すように時間t2 で一気に降下させる場合もある。 【0012】このような技術によれば、基板4の処理時に必要以上の吸着力が発生しないようにして、残留電荷の発生を抑制することができ、処理後の基板4の離脱が容易になる、とされている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】基板処理プロセスの多様化等に伴って、静電チャック6による基板4の吸着時間が長くなったり、基板4への処理開始タイミングが変わったりする場合があるけれども、上記公報に記載の技術のように吸着電圧VC を所定のタイミングで2段階に切り換えるだけでは、上記のような状況の変化に柔軟に対応することは困難である。 【0014】なぜなら、状況によっては、処理開始前に静電チャック6に基板4を吸着している時間が短くなったり長くなったりすることがあるので、上記電圧を切り換える時間t2 のタイミングを定めるのは難しい。当該タイミングの切り換え制御を行うにしても面倒である。 【0015】しかも、時間t2 が長く(大きく)なると、吸着時間が長くなり、しかも高い方(V1 )の吸着電圧VC での吸着時間が長くなり、それに伴って、図5のカーブCを参照して説明したように、残留吸着力も大きくなるので、吸着オフ後の基板4の離脱は難しくなる。 【0016】また、状況によっては、基板処理時間が長くなる(即ち上記時間t3 が長くなる)ことがあり、その場合も、低い方の電圧V2 ではあっても、一定の吸着電圧VC での吸着時間が長くなるので、図5のカーブCを参照して説明したように、やはり残留吸着力は大きくなり、吸着オフ後の基板4の離脱が難しくなる。 【0017】そこでこの発明は、基板の吸着時間の長短や基板処理を行うタイミング等に拘わらず、基板吸着中に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板の離脱が容易になる基板吸着方法およびその装置を提供することを主たる目的とする。 【0018】 【課題を解決するための手段】この発明に係る基板吸着方法は、前記のような基板吸着装置において、前記基板の吸着開始後、前記吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に(換言すれば、指数関数状に。以下同じ)減少させることを特徴としている。 【0019】この発明に係る基板吸着装置は、前記のような基板吸着装置において、前記基板の吸着開始後、前記吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させる制御装置を備えていることを特徴としている。 【0020】先に図5のカーブAで示したように、静電チャックの基板に対する吸着力は、吸着開始直後に急激に上昇してその後徐々に飽和する。従って、これとは反対に、吸着開始後に吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させても、基板を保持するのに必要十分な吸着力を発生させることのできることが分かった。 【0021】しかも、吸着電圧の大きさを指数関数的に減少させることによって、基板の吸着時間が長くなっても、図5のカーブCに示した吸着オフ後の残留吸着力の上昇を抑制することができるので、吸着終了後の基板の離脱が容易になる。 【0022】また、吸着電圧の大きさを、従来例のように所定のタイミングで2段階に切り換えるのではなく、吸着時間に対して指数関数的に、即ち吸着時間の経過と共に連続的に指数関数的に減少させるので、吸着電圧切り換えのタイミングを考慮する必要は全くない。即ち、基板処理前の吸着時間や、基板処理に入るタイミング等を考慮する必要はなく、単に吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させるだけで良い。従って、制御も非常に簡単である。 【0023】以上の結果、基板の吸着時間の長短や基板処理を行うタイミング等に拘わらず、基板吸着中に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板の離脱が容易になる。 【0024】 【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る基板吸着方法を実施する基板吸着装置の一例を示す図である。図4に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。 【0025】この基板吸着装置においては、前記静電チャック6による基板4の吸着開始後、例えば図2に示す例のように、吸着電圧VC の大きさを吸着時間TC に対して(即ち吸着時間TC の経過と共に)指数関数的に滑らかに減少させるようにしている。基板4の吸着開始とは、静電チャック6に基板を載せて吸着電圧VC の印加を開始した時点を言い、その時点から吸着電圧VC を指数関数的に滑らかに減少させる。吸着時間TC とは、静電チャック6によって基板4を吸着している時間のことである。吸着終了後は、即ち基板4を取り外すときは、吸着電圧VC をオフ(0V)にする。 【0026】例えば枚葉処理のように、静電チャック6に対して複数枚の基板4を1枚ずつ順次着脱して処理するような場合は、図2のような吸着電圧VC の印加パターンを必要回数だけ繰り返せば良い。 【0027】上記のように吸着電圧VC を指数関数的に減少させる制御を、この例では制御装置20が行う。即ち制御装置20は、直流電源14(より具体的にはその正電源16および負電源18。以下同じ)から吸着電圧VC をオンした信号を受けて吸着時間TC を計測(カウント)すると共に、その吸着時間TC の経過に応じて吸着電圧VC の大きさを指数関数的に滑らかに減少させる制御を行う信号を直流電源14に与える。 【0028】先に図5のカーブAで示したように、静電チャック6の基板4に対する吸着力は、吸着開始直後(即ち吸着時間が短い領域)に急激に上昇してその後徐々に飽和する。従って、これとは反対に、吸着開始後に吸着電圧VC の大きさを吸着時間TC に対して指数関数的に減少させても、基板4を保持するのに必要十分な吸着力を発生させることができる。 【0029】しかも、吸着電圧VC の大きさを指数関数的に減少させることによって、基板4の吸着時間が長くなっても、図5のカーブCに示した吸着オフ後の残留吸着力の上昇を抑制することができるので、吸着終了後の基板4の離脱が容易になる。 【0030】また、吸着電圧VC の大きさを、従来例のように所定のタイミングで2段階に切り換えるのではなく、吸着時間TC の経過と共に連続的にかつ滑らかに指数関数的に減少させるので、吸着電圧切り換えのタイミングを考慮する必要は全くない。吸着開始後、図2のカーブのどの時点で基板処理を開始しても良く、また吸着時間TC が予定より長くなっても短くなっても構わない。即ち、基板処理前の吸着時間や、基板処理に入るタイミング等を考慮する必要はなく、単に吸着電圧VC の大きさを吸着時間TC に対して指数関数的に減少させるだけで良い。従って、制御も簡単である。 【0031】以上の結果、基板4の吸着時間TC の長短や基板処理を行うタイミング等に拘わらず、基板吸着中に基板保持に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板4の離脱が容易になる。 【0032】図2のような特性の吸着電圧VC を決定する方法の一例を図3を参照して説明する。 【0033】例えば、実際のイオン注入装置等に使用する図1に示すような基板吸着装置を用いて、ある吸着時間TC ごとに(即ち吸着時間TC をパラメータとして)、基板4の吸着が不十分な吸着電圧VC の値(図中の×印)、基板4の吸着が十分な吸着電圧VC の値(図中の●印)、基板4の吸着が十分でしかも離脱が容易な吸着電圧VC の値(図中の○印)、基板4の吸着は十分だが離脱が困難な吸着電圧VC の値(図中の△印)、基板4の吸着は十分だが離脱が不可能な吸着電圧VCの値(図中の□印)を求め、このような測定を吸着時間TC を変えて複数回行うことによって、図中の複数の●点間を結んだカーブEおよび複数の○点間を結んだカーブFを得る。 【0034】そして、このカーブEよりも上かつカーブFよりも下の領域に吸着電圧VC を設定すれば良い。図3中のカーブGはその一例を示す。これによって、任意の吸着時間TC に対して、基板4の吸着が十分でしかも離脱も容易な吸着電圧VC を得ることができる。そのような特性を、例えば、上記制御装置20に設定(記憶)しておいて、上記のような吸着電圧VC の制御を行えば良い。 【0035】上記とは反対に、吸着電圧VC の値をパラメータとして、上記吸着不十分、吸着十分、離脱容易、離脱困難、離脱不可になる吸着時間TC を求めることによっても、図3と同様の特性を得ることができる。 【0036】なお、この発明は、上記例のような双極型の静電チャック6に限られるものではなく、電極が一つの単極型の静電チャックにも勿論適用することができる。その場合は、直流電源14も、正または負のいずれか一方の吸着電圧VC を出力する単極出力型のもので良い。 【0037】 【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、吸着開始後に吸着電圧の大きさを吸着時間に対して指数関数的に減少させても、基板保持に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着電圧の大きさを指数関数的に減少させることによって、基板の吸着時間が長くなっても吸着オフ後の残留吸着力の上昇を抑制することができるので、吸着終了後の基板の離脱が容易になる。また、吸着電圧の大きさを、従来例のように所定のタイミングで2段階に切り換えるのではなく、吸着時間に対して指数関数的に滑らかに減少させるので、吸着電圧切り換えのタイミングを考慮する必要が無く、制御も簡単になる。 【0038】その結果、基板の吸着時間の長短や基板処理を行うタイミング等に拘わらず、基板吸着中に必要十分な吸着力を発生させることができ、しかも吸着終了後の基板の離脱が容易になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社 【住所又は居所】京都府京都市右京区梅津高畝町47番地
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| 【出願日】 |
平成13年8月13日(2001.8.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088661 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 惠二
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| 【公開番号】 |
特開2003−60018(P2003−60018A) |
| 【公開日】 |
平成15年2月28日(2003.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2001−245227(P2001−245227) |
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