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【発明の名称】 ワイヤボンディング方法、および半導体装置
【発明者】 【氏名】藤本 仁士
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】複数のICチップのボンディングパッド間をワイヤを用いて相互に結線する場合の接続手順の自由度を確保してICチップの組み合わせが変更された場合にも容易に対応できるようにするとともに、安定したステッチボンドを行うことができるワイヤボンディング方法。

【解決手段】複数のICチップ11,12のボンディングパッド11a,12a間をワイヤ14を用いて相互に結線する場合において、ICチップ12の一つのボンディングパッド12a上にスタッドバンプ15を形成し、引き続いて、ICチップ11の一つのボンディングパッド11a上にボールボンドを施し、このボールボンドされたワイヤ14の他端を引き出して一方のICチップ12のスタッドバンプ15上にステッチボンドを行うことで、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を一度に形成する工程を単位ボンディング工程とし、これを繰り返す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のICチップのボンディングパッド間をワイヤを用いて相互に結線するワイヤボンディング方法であって、互いに電気的接続が必要とされる一対のICチップの内、いずれか一方のICチップの一つのボンディングパッド上にスタッドバンプを形成し、引き続いて、他方のICチップの一つのボンディングパッド上にボールボンドを施し、このボールボンドされたワイヤの他端を引き出して一方のICチップの前記スタッドバンプ上にステッチボンドを行うことで、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を一度に形成する工程を単位ボンディング工程として設定し、この単位ボンディング工程を各ICチップのボンディングパッド間で繰り返して行うことを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項2】 請求項1記載の方法により複数のICチップのボンディングパッド間が結線されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のICチップのボンディングパッド間をワイヤを用いて相互に結線するワイヤボンディング方法、およびこの方法により製造される半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体装置は、大容量化、高機能化、高集積化等が益々要求されており、これらの要請に応えるために、一つのパッケージ内にそれぞれ回路機能の異なる複数のICチップを一度に封止した、いわゆるマルチチップパッケージされた半導体装置が注目されている。
【0003】このようなマルチチップパッケージされた半導体装置を製作するには、各ICチップをリードフレームに接続するだけでなく、各ICチップ同士を互いに電気的に接続することが必要となる。そして、このようなICチップ間の相互の接続には、通常、ワイヤボンディング法が適用される。このワイヤボンディング法によって一対のICチップ間を直接に接続する場合、一方のICチップのボンディングパッド上にボールボンドした後、他方のICチップのボンディングパッド上にはステッチボンドをすることになる。
【0004】ここで、ICチップのボンディングパッド上に直接にステッチボンドを施すと、キャピラリツールの先端部が直接にICチップの表面に接触して衝撃を与え、ICチップにダメージを与えるなどの不具合が生じる。
【0005】そのため、従来技術では、予めボンディングパッド上にスタッドバンプ(突起電極)を予め形成し、このスタッドバンプ上にステッチボンドを施すことで、ICチップに対する衝撃荷重を軽減するようにしている。
【0006】図3は、このような技術を用いて2つのICチップ間をワイヤボンディングする場合の説明図である。すなわち、この例では、アラインド1上に2つのICチップ2,3が搭載され、一方のICチップ2の各々のボンディングパッド2a上に予めスタッドバンプ5が形成されている。そして、他方のICチップ3のボンディングパッド3a上にボールボンドを施した後、このボールボンドされたワイヤ6の他端を引き出して一方のICチップ2のスタッドバンプ5上にステッチボンドすることで、ICチップ2,3間を電気的に接続する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図3に示したように、2つのICチップ2,3間をワイヤボンディングする場合には、一方のICチップ2の全てのボンディングパッド2a上にスタッドバンプ5を予め形成しておき、そのスタッドバンプ5上にステッチボンドを施すことが可能であるが、ICチップが3つ以上になると、予め一つのICチップにスタッドバンプのみを形成しておくことが困難になる。
【0008】たとえば、図4に示すように、アラインド10上に第1、第2、第3の3つのICチップ11,12,13を搭載する場合、第1のICチップ11のボンディングパッド11aにはワイヤ14でボールボンドのみを行い、第2のICチップ12のボンディングパッド12aには、スタッドバンプ15を介してステッチボンドのみを行うように設定した場合、残りの第3のICチップ13のボンディングパッド13には、ボールボンドすべき接続箇所と、スタッドバンプ15を介してステッチボンドすべき接続箇所とが必然的に混在するようになる。つまり、第3のICチップ13は、他の第1、第2のICチップ11,12のように、ステッチボンドのみ、あるいはボールボンドのみを行うことができなくなる。
【0009】このように、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とが混在することになる第3のICチップ13に対しては、たとえばステッチボンドする予定箇所のボンディングパッド13a上に予めスタッドバンプ15を形成しておくことが考えられる。
【0010】しかし、そのような構成を採用した場合には、各ICチップの組み合わせに応じてワイヤボンディングを行う場合の一連の接続手順を予め厳密に設定しておく必要がある。すなわち、図4に例示したものの場合には、たとえば、最初に第1のICチップ11の右側上下4つのボンディングパッド11aにボールボンドをした後、第2のICチップ12の左側上下4つのボンディングパッド上12aのスタッドバンプ15にステッチボンドを行う。次に、第1のICチップ11の下側左右3つのボンディングパッド11aにボールボンドをした後、第3のICチップ13の左側上下3つのボンディングパッド13a上のスタッドバンプ15にステッチボンドを行う。続いて、第3のICチップ13の上側左右3つのボンディングパッド13a上にボールボンドをした後、第2のICチップ12の下側左右3つのボンディングパッド13a上のスタッドバンプ15にステッチボンドを行う、とっいったように一連の接続手順を予め設定し、これらの接続手順をプログラムしてコンピュータ等に登録しておく必要がある。
【0011】ところが、せっかくこのような接続手順を決めておいても、マルチチップパッケージされた半導体装置全体として各種の回路機能を発揮させるためには、各ICチップの組み合わせが変更されることがあり、そのような場合には、ICチップの組み合わせに応じて各ICチップ11,12,13の一連の接続手順を決める制御プログラムも全面的に変更する必要が生じる。
【0012】つまり、従来は、ワイヤボンディングを行う際の一連の接続手順をICチップの組み合わせに応じて予め厳密に設定しておく必要があるため、接続手順に自由度がなかった。このため、ICチップの組み合わせが変更された場合には、その都度、接続手順を規定する制御プログラムも組み直す必要が生じて余分な労力と時間がかかっていた。
【0013】しかも、従来のように、ICチップのステッチボンドされる予定箇所のボンディングパッド上に最初からスタッドバンプを形成しておくと、ステッチボンドするまでの間にスタッドバンプの酸化が進んで、ステッチボンドする際の接合強度が低下するなどの不都合も生じていた。
【0014】本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、複数のICチップのボンディングパッド間をワイヤを用いて相互に結線する場合の接続手順の自由度を確保してICチップの組み合わせが変更された場合にも容易に対応できるようにするとともに、安定したステッチボンドを行うことができるワイヤボンディング方法、およびこの方法により製造される半導体装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために、次のようにしている。すなわち、請求項1記載の発明におけるワイヤボンディング方法は、複数のICチップのボンディングパッド間をワイヤを用いて相互に結線する場合において、互いに電気的接続が必要とされる一対のICチップの内、いずれか一方のICチップの一つのボンディングパッド上にスタッドバンプを形成し、引き続いて、他方のICチップの一つのボンディングパッド上にボールボンドを施し、このボールボンドされたワイヤの他端を引き出して一方のICチップの前記スタッドバンプ上にステッチボンドを行うことで、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を一度に形成する工程を単位ボンディング工程として設定し、この単位ボンディング工程を各ICチップのボンディングパッド間で繰り返して行うことを特徴としている。
【0016】また、請求項2記載の発明における半導体装置は、請求項1記載の方法により複数のICチップのボンディングパッド間が結線されていることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の要部を示す平面図であり、図4に示した従来技術と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0018】この実施の形態1の半導体装置は、アラインド10上に第1、第2、第3の3つのICチップ11,12,13が搭載されており、各ICチップ11,12,13に設けられているアルミニュウム電極からなるボンディングパッド11a,12a,13aは、図示しないリードフレームに接続されるとともに、ボンディングパッド11a,12a,13a間が金線などのワイヤ14を用いて相互に結線され、さらに、これらの各ICチップ11,12,13の全体が図示しないエポキシ樹脂などでモールドされてマルチチップパッケージが構成されている。
【0019】そして、この実施の形態1の場合、各々のICチップ11,12,13のボンディングパッド11a,12a,13a上には、スタッドバンプ15を介してステッチボンドされた接続部と、ボールボンドされた接続部とが混在している。
【0020】次に、このような複数のICチップ11,12,13間を直接にワイヤボンディングする場合の方法について、図2を参照して説明する。ここでは、一例として、最初に第1、第2のICチップ11,12の一つのボンディングパッド11a,12a間を接続するものとし、その際、第1のICチップ11のボンディングパッド11aにはボールボンドをし、第2のICチップ12のボンディングパッド12aにはスタッドバンプ15を介してステッチボンドをするものとする。
【0021】そのためには、まず、ワイヤ14がキャピラリツール18を通って供給され、そのワイヤ14の先端部を加熱することでボール14aを形成する(図2(a)参照)。次に、キャピラリツール18が降下してボール14aを第2のICチップ12上の一つのボンディングパッド12aに押し付け、同時にキャピラリツール18に超音波振動を与えることでボール14aを変形させてボンディングパッド12aと接合する(図2(b)参照)。そして、キャピラリツール18とともにワイヤ14を上方に引き上げて、ボール14aを根元部で切断することでボンディングパッド12a上にスタッドバンプ15が形成される(図2(c)参照)。
【0022】続いて、キャピラリツール18を第2のICチップ12と電気的接続が必要となる第1のICチップ11の一つのボンディングパッド11a上に移動させた後、ワイヤ14の先端を電気トーチ19等で加熱することでキャピラリツール18の先端にボール14bを形成する(図2(d)参照)。次に、キャピラリツール18が降下して、ボール14bをボンディングパッド11aに押し付ける(図2(e)参照)。その際、キャピラリツール18に超音波振動を与えることでボール14bを変形させてボール14bとボンディングパッド11aとを接合する(図2(f)参照)。
【0023】こうして、ワイヤ14の一端がボールボンドされると、ワイヤ14の他端側を引き出しつつ、キャピラリツール18をその直前にスタッドバンプ15を形成した第2のICチップ12上に移動させる(図2(g)参照)。そして、キャピラリツール18を降下させてワイヤ14の先端をスタッドバンプ15上に押し付ける(図2(h)参照)。その際、キャピラリツール18に超音波振動を与えることでワイヤ14をスタッドバンプ15に接合してステッチボンドを行う(図2(i)参照)。
【0024】ここでは説明の便宜上、第1のICチップ11のボンディングパッド11a上にボールボンドを、第2のICチップ12のボンディングパッド12a上にスタッドバンプ15を介してステッチボンドを行ったが、その逆に、第2のICチップ12のボンディングパッド12a上にボールボンドをし、第1のICチップ11のボンディングパッド11a上にスタッドバンプ15を介してステッチボンドをしてもよい。
【0025】つまり、この実施の形態1では、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を一度に形成する工程を単位ボンディング工程として設定し、この単位ボンディング工程を用いて第1、第2のICチップ11,12のボンディングパッド11a,12a間のみならず、第1と第3のICチップ11,13のボンディングパッド11a,13a間、および、第2と第3のICチップ12,13の各ボンディングパッド12a,13a間を相互に接続する。
【0026】その場合、各ICチップ11,12,13間は確実にワイヤ14を介して電気的に接続されればよいので、従来のように、第1のICチップ11のボンディングパッド11aにはボールボンドのみ、第2のICチップ12のボンディングパッド12aにはステッチボンドのみを行うといったことは取り決めないで、ICチップの任意のボンディングパッド上にスタッドバンプ15を形成した後、このICチップと電気的接続が必要とされる他方のICチップにボールボンドをしてから、このスタッドバンプ15を形成した側のICチップにステッチボンドを行う。このため、たとえば、第1のICチップ11に着目したときには、このICチップ11のボンディングパッド11a上には、他のICチップから引き出されたワイヤ14がスタッドバンプ15を介してステッチボンドされた接続部と、ワイヤ14が直接ボールボンドされた接続部とが混在することになる。
【0027】このように、本発明のワイヤボンディング方法は、各ICチップ11,12,13を電気的に接続する場合、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を形成するための単位ボンディング工程の手順のみを予め設定しておけばよく、従来のように、各ICチップ11,12,13をワイヤボンディングを行う場合の一連の接続手順を厳密に決めておく必要がない。
【0028】したがって、マルチチップパッケージされた半導体装置全体として所要の回路機能を発揮させるために各ICチップの種類や組み合わせが変更されたような場合にも、各ICチップの接続手順を決める制御プログラムも全面的に変更する必要がなく、接続手順を決める自由度が極めて大きくなり、余分な労力と時間を削減することができる。
【0029】しかも、上記の単位ボンディング工程ごとに一対のボンディングパッド間の結線が完了するので、スタッドバンプ15を形成してからその上にステッチボンドするまでの期間が短時間ですむ。このため、スタッドバンプ15の酸化が進んでステッチボンドする際の接合強度が低下するなどの不都合を回避することができる。
【0030】なお、上記の実施の形態1では、3つのICチップ11,12,13をワイヤボンディングする場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、2つのICチップ間、あるいは4つ以上のICチップ間を接続してマルチチップパッケージした半導体装置を製作する場合にも適用することができる。
【0031】
【発明の効果】請求項1記載に係る本発明のワイヤボンディング方法によれば、ステッチボンドされた接続部とボールボンドされた接続部とからなる一組の接続部分を一度に形成する工程を単位ボンディング工程として設定し、この単位ボンディング工程を用いて複数のICチップのボンディングパッド間を相互に結線するので、その場合の接続手順の自由度を確保することができる。このため、ICチップの組み合わせが変更された場合にも容易に対応することができる。
【0032】また、上記の単位ボンディング工程ごとに一対のボンディングパッド間の結線が完了するので、スタッドバンプを形成してからその上にステッチボンドするまでの期間が短かくなって酸化が防止されるため、安定したステッチボンドを行うことが可能になる。
【0033】請求項2記載に係る本発明の半導体装置は、上記の方法により各ICチップのボンディングパッド間が接続されるので、配線の引き回しの自由度を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成13年8月16日(2001.8.16)
【代理人】 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾 (外3名)
【公開番号】 特開2003−59961(P2003−59961A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−246969(P2001−246969)