| 【発明の名称】 |
電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 隆 【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
【氏名】山之口 勝己 【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】化合物半導体電界効果トランジスタにおいて、高周波特性を劣化させることなく、微細ゲートの剥がれを防止する。
【解決手段】リセス構造をワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造とし、ゲート電極7をY型(あるいはT型)のマッシュルーム型に形成し、そのゲート電極7の付け根部をゲート庇下残り絶縁体9(典型的には酸化膜SiO2)で両側から挟んで支持する構造を形成する。更に、そのゲート庇下残り絶縁体9がゲート庇下14とも、ワイドリセス側壁15とも接せず、更にナローリセス側壁11にも接しない(完全には埋め込まない)構造とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化合物半導体基板上にリセス構造が形成される電界効果トランジスタにおいて、前記リセス構造をワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造とし、ゲートをT型あるいはY型のマッシュルーム型に形成し、該ゲートの付け根部を絶縁体で両側から挟んで支持する構造を形成し、更に、該絶縁体が前記ゲートの庇部にも、前記ワイドリセス側壁にも接せず、更に前記ナローリセス側壁にも接しない構造であることを特徴とする電界効果トランジスタ。 【請求項2】 前記ワイドリセス面から前記ゲートの庇部までのゲート庇下高さHgと、前記ゲートの左右のゲート庇長の平均値であるゲート片側庇長Hwとのアスペクト比Hw/Hgが、0.7≦Hw/Hg≦1.4の構造である、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。 【請求項3】 前記絶縁体をゲート幅方向あるいはゲート長手方向に繰り返しパターンを持つレジストパターンで保護し、該絶縁体を有効ゲート幅内でゲート長方向に延在した構造である、請求項1または請求項2に記載の電界効果トランジスタ。 【請求項4】 化合物半導体基板上に、ワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造が形成される電界効果トランジスタの製造方法において、前記化合物半導体基板上に、バッファ層である第1の化合物半導体層、デバイスチャネルとなるキャリヤ活性層を層構造として内に有する第2の化合物半導体層、前記ワイドリセスを形成する際のスペーサ層である第3の化合物半導体層、オーミックコンタクトのためのキャップ層である第4の化合物半導体層を順次エピタキシャル成長させる第1の工程と、前記第4の化合物半導体層を面上で部分的に除去することによって前記第3の化合物半導体層を表面に露出させて前記ワイドリセスを形成する第2の工程と、前記ワイドリセスの上から絶縁体を堆積し、リセス内にゲートを形成するために前記絶縁体にゲート形成用開口を形成する第3の工程と、前記第3の化合物半導体層におけるゲート形成用絶縁体開口下の部分をエッチング除去し、更に、前記第3の化合物半導体層をゲート長方向にもサイドエッチングした形で前記ナローリセスを形成する第4の工程と、前記ナローリセスの上からゲート金属を堆積した後、該ゲート金属をT字型あるいはY字型のマッシュルーム型に加工する第5の工程と、前記絶縁体をゲート長方向に部分的に除去し、該絶縁体を前記ゲートの庇部にも、前記ワイドリセス側壁にも接せず、更に、前記ナローリセス側壁にも接しないように前記ゲートの付け根部に部分的に残す第6の工程とを含むことを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。 【請求項5】 前記第1の工程で、前記第2の化合物半導体層をエピタキシャル成長させた後、前記ナローリセス形成の際のエッチングストッパ層となる第5の化合物半導体層をエピタキシャル成長させてから、前記第3の化合物半導体層及び前記第4の化合物半導体層を順次エピタキシャル成長させ、前記第4の工程で、前記第3の化合物半導体層及び前記第5の化合物半導体層におけるゲート形成用絶縁体開口下の部分をエッチング除去し、更に、ゲート長方向にも前記第3の化合物半導体層をサイドエッチングした形で前記ナローリセスを形成する、請求項4に記載の電界効果トランジスタの製造方法。 【請求項6】 前記第1の工程で、前記第3の化合物半導体層をエピタキシャル成長させた後、前記ワイドリセス形成の際のエッチングストッパ層となる第6の化合物半導体層をエピタキシャル成長させてから、前記第4の化合物半導体層をエピタキシャル成長させ、前記第2の工程で、前記第4の化合物半導体層及び前記第6の化合物半導体層を面上で部分的に除去することによって前記第3の化合物半導体層を表面に露出させて前記ワイドリセスを形成する、請求項5に記載の電界効果トランジスタの製造方法。 【請求項7】 前記ワイドリセス面から前記ゲートの庇部までのゲート庇下高さHgと、前記ゲートの左右のゲート庇長の平均値であるゲート片側庇長Hwとのアスペクト比Hw/Hgを、0.7≦Hw/Hg≦1.4の範囲とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。 【請求項8】 前記絶縁体をゲート幅方向あるいはゲート長手方向に繰り返しパターンを持つレジストパターンで保護し、該絶縁体を有効ゲート幅内でゲート長方向に延在する、請求項4から7のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法に関し、特に、マイクロ波・ミリ波を用いた通信装置及びセンシング装置(レーダ)用の電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電界効果トランジスタ(FET)を能動素子として用いる場合、ミリ波帯でも高い利得を有し、利用を可能とするためには、第1に、エピタキシャル・ウエハ(以下、エピウエハとも称する)として、チャネルにおいて低電界での電子移動度や高電界での電子飽和速度が高い等の理由で、砒化ガリウム(GaAs)系、燐化インジウム(Inp)系等の化合物半導体電界効果トランジスタを採用する必要がある。また、第2に、FETのゲート長を、通常のマイクロ波帯用のFETのゲート長よりも細くする必要がある。特に、FETを60GHz帯や76GHz帯で利用可能とするためには、FETのゲート長は一般的に0.15μm以下であることが必要となる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、FETのゲート長を0.15μm以下程度まで細くすると、ゲートや、ゲートとの接続面(化合物半導体電界効果トランジスタの場合は、リセス底面のショットキー層表面)で、微細ゲートの剥がれが生じてしまうという問題があった。 【0004】図8を参照すると、従来は、上記問題を解決するために、ゲート電極7や、ゲート電極7との接続面(図8の場合は、ショットキー層2上のスペーサ層3の表面)の周辺部を比較的広い範囲にわたって絶縁体(誘電体;SiO2、SiN等)8で覆うことでゲート電極7を支持する方法が採用されてきた。なお、図8において、1は化合物半導体エピウエハ、4はストッパ層、5はキャップ層、6はオーミック電極である。 【0005】しかしながら、上記の方法では、ゲート電極7を絶縁体(誘電体)8で支持するために不要な寄生容量成分が付加され、その寄生容量成分により、FETの高周波特性が劣化してしまうという問題があった。 【0006】本発明の目的は、高周波特性を劣化させることなく、微細ゲートの剥がれを防止することができるゲート及びリセス構造を持つ電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法は以下の点に特徴がある。 (1)化合物半導体基板上にリセス構造が形成される電界効果トランジスタにおいて、前記リセス構造をワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造とし、ゲートをT型あるいはY型のマッシュルーム型に形成し、該ゲートの付け根部を絶縁体で両側から挟んで支持する構造を形成し、更に、該絶縁体が前記ゲートの庇部にも、前記ワイドリセス側壁にも接せず、更に前記ナローリセス側壁にも接しない構造であることを特徴とする。 【0008】上記のように、ゲートの付け根部を絶縁体で両側から挟む構造とすることによって、微細なゲートでも剥がれないようにゲートを支持することができる。更に、その絶縁体がゲートの庇部にも、ワイドリセス側壁にも接せず、更に、ナローリセス側壁にも接しない構造とすることによって、不要に付加される寄生容量成分を最小限に抑えることができるため、ゲート剥がれがなく、かつ、高周波特性も良好な電界効果トランジスタを得ることができる。 (2)更に、上記(1)の電界効果トランジスタにおいて、前記ワイドリセス面から前記ゲートの庇部までのゲート庇下高さHgと、前記ゲートの左右のゲート庇長の平均値であるゲート片側庇長Hw(Hw={(庇全長Gw)−(ゲート長Lg)}/2を採用)とのアスペクト比Hw/Hgが、0.7≦Hw/Hg≦1.4の構造であることを特徴とする。 【0009】これにより、ゲートの付け根部を両側から挟んで支持する絶縁体を、等方的エッチングによって絶縁体を部分的に除去する方法により形成しやすくなる。 【0010】なぜならば、アスペクト比Hw/Hg<0.7とすると、ゲートがΓ型傾向の形状になった場合に、左右どちらかの庇が小さい側では絶縁膜が全部除去されてしまうことになり、ゲート剥がれをもたらす危険性があるからである。また、アスペクト比Hw/Hg>1.4とすると、絶縁膜除去の際に絶縁膜が取り切れずにゲート周りのリセス面に残存することになり、ゲート容量Cgs,Cgdの増加につながってRF特性を劣化させる危険性があるからである。 (3)更に、上記(1)または(2)の電界効果トランジスタにおいて、前記絶縁体をゲート幅方向あるいはゲート長手方向に繰り返しパターンを持つレジストパターンで保護し、該絶縁体を有効ゲート幅内でゲート長方向に延在した構造であることを特徴とする。 【0011】これにより、絶縁体でゲートを更に強固に支持できることになるため、更に効果的にゲート剥がれを防止できる。 (4)化合物半導体基板上に、ワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造が形成される電界効果トランジスタの製造方法において、次の第1〜第6の工程を含むことを特徴とする。 【0012】まず、前記化合物半導体基板上に、バッファ層である第1の化合物半導体層と、デバイスチャネルとなるキャリヤ活性層を層構造として内に有する第2の化合物半導体層(あるいは前記第2の化合物半導体層とその上層にナローリセス形成の際のエッチングストッパ層となる第5の化合物半導体層)と、前記ワイドリセスを形成する際のスペーサ層である第3の化合物半導体層(あるいは前記第3の化合物半導体層とその上層にワイドリセスの際のエッチング・ストッパ層となる第6の化合物半導体層)と、オーミックコンタクトのためのキャップ層である第4の化合物半導体層とを順次エピタキシャル成長させる(第1の工程)。 【0013】次に、前記第4の化合物半導体層(あるいは前記第4の化合物半導体層と前記第6の化合物半導体層)を面上で部分的に除去することによって前記第3の化合物半導体層を表面に露出させて前記ワイドリセスを形成する(第2の工程)。 【0014】次に、前記ワイドリセスの上から絶縁体を堆積し、リセス内にゲートを形成するために前記絶縁体にゲート形成用開口を形成する(第3の工程)。 【0015】次に、前記第3の化合物半導体層(あるいは前記第3の化合物半導体層と前記第5の化合物半導体層)におけるゲート形成用絶縁体開口下の部分をエッチング除去し、更に、前記第3の化合物半導体層をゲート長方向にもサイドエッチングした形で前記ナローリセスを形成する(第4の工程)。これにより、ゲートとナローリセス側壁とが接しないような間隙が形成される。 【0016】次に、前記ナローリセスの上からゲート金属を堆積した後、該ゲート金属をT字型あるいはY字型のマッシュルーム型に加工する(第5の工程)。 【0017】最後に、前記絶縁体をゲート長方向に部分的に除去し、該絶縁体を前記ゲートの庇部にも、前記ワイドリセス側壁にも接せず、更に前記ナローリセス側壁にも接しないように前記ゲートの付け根部に部分的に残す(第6の工程)。これにより、絶縁体が、ゲートの庇部にも、ワイドリセス側壁にも接せず、更にナローリセス側壁にも接しないようにゲートの付け根部に部分的に残される。 【0018】上記のような製造プロセスを用いることにより、ゲートの付け根部を絶縁体で両側から挟む構造となるため、微細なゲートでも剥がれないようにゲートを支持することができる。更に、その絶縁体がゲートの庇部にも、ワイドリセス側壁にも接せず、更にナローリセス側壁にも接しない構造となるため、不要に付加される寄生容量成分を最小限に抑えることができるため、ゲート剥がれがなく、かつ、高周波特性も良好な電界効果トランジスタを得ることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 【0020】図1は、本発明の電界効果トランジスタのリセス及びゲート構造の実施の一形態を示す図である。 【0021】図1に示すように本発明の電界効果トランジスタは、リセス構造をワイドリセス及びナローリセスからなる二段リセス構造(ダブルリセス構造)とし、ゲート電極7をY型(あるいはT型)のマッシュルーム型に形成し、ゲート電極7の付け根部をゲート庇下残り絶縁体9(典型的にはSiO2膜)で両側から挟んで支持する構造を形成する。更に、ゲート庇下残り絶縁体9がゲート電極7の庇部(図1におけるゲート庇下14)にも、ワイドリセス側壁15にも接せず、更に、ナローリセス側壁11にも接しない(完全には埋め込まない)構造とする。 【0022】二段リセス構造に対応するエピウエハとしては、図2(a)に示すようなエピ構造が一般化されている。 【0023】図2(a)に示したエピウエハは、半絶縁性基板(図1における化合物半導体エピウエハ1に該当)上に、化合物半導体層バッファ層である第1の化合物半導体層(図1では不図示)と、デバイス・チャネルとなるキャリヤ活性層を層構造として内に有する第2の化合物半導体層(図1におけるショットキー層2を含む層に該当)と、ワイドリセスを形成するスペーサ層である第3の化合物半導体(図1におけるスペーサ層3に該当)と、オーミック・コンタクトのためのキャップ層である第4の化合物半導体(図1におけるキャップ層5に該当)とが順次積層された構造である。なお、第2の化合物半導体層と第3の化合物半導体層との間に、ナローリセス形成の際のエッチング・ストッパ層となる第5の化合物半導体層を積層しても良く、また、第3の化合物半導体層と第4の化合物半導体層との間に、ワイドリセス形成の際のエッチング・ストッパ層となる第6の化合物半導体層(図1におけるストッパ層4に該当)を積層しても良い。 【0024】 【実施例】以下に、本発明の電界効果トランジスタ及び電界効果トランジスタの製造方法の実施例について説明する。なお、本発明は、その目的を達成する範囲内であれば、以下に記載する実施例に限定されるものではない。 【0025】本発明のリセス及びデバイス構造を持つ電界効果トランジスタを実際に試作した。試作用エピウエハとしては、図2(b)に示すようなGaAs系化合物半導体エピウエハを用いた。図2(b)に示した試作用エピウエハには、図2(a)におけるナローリセス形成の際のエッチング・ストッパ層となる第5の化合物半導体層はない。第2の化合物半導体層には、図2(b)のショットキー層からチャネルまでの積層構造が対応している。本エピウエハはAlGaAs/InGaAsヘテロ接合をチャネル構造として有するHEMT構造となっており、最上部のオーミック・コンタクトのためのキャップ層5としてn+−GaAsを、その下層のワイドリセス形成の際のドライ・エッチング用のエッチング・ストッパ層4としてi−AlGaAsを、その下層のスペーサ層3としてi−GaAsを、更にその下層のゲート接続面を形成するショットキー層2としてi−AlGaAsを用いている。 【0026】以下に、本実施例における電界効果トランジスタのリセス及びゲート構造の製造工程について図3を参照して説明する。 【0027】図3(a)〜(j)は、本発明の電界効果トランジスタの全製造工程のうち、リセス及びゲート構造を形成する工程について、順番に示したものである。 【0028】まず、化合物半導体エピウエハ1(不図示)上に、第1の化合物半導体層であるバッファ層(不図示)と、ショットキー層2を含む第2の化合物半導体層と、第3の化合物半導体層であるスペーサ層3と、第6の化合物半導体層であるストッパ層4と、第4の化合物半導体層であるキャップ層5とを順次エピタキシャル成長させ、更に、ドライエッチング等により、ワイドリセス面(本実施例ではファーストリセス面)となるスペーサ層3の表面(図1におけるワイドリセス面12に該当)を露出させる(図3(a))。 【0029】次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、絶縁体として酸化膜(SiO2)16を全面に堆積し、更に、ゲート形成用酸化膜開口のために、レジスト開口パターン17を形成する(図3(b))。この酸化膜16が、後に図1におけるゲート庇下残り絶縁体9となる。 【0030】次に、RIE(reactive ion etching)により、酸化膜16を層途中までエッチングし(図3(c))、更に、ECR(Electric Cyclotron Resonance)により、酸化膜16を半導体表面(スペーサ層3の表面)が露出するところまで抜き切る(図3(d))。このとき、図3(b)で形成されたレジスト開口パターン17は等方的にエッチングされつつ除去されるため、出来上がった酸化膜16の開口はY字型の抜きの形状を有することになる。この形状は、後にゲート電極7の下層部と上層部(庇部)が良好に接続して形成されることに寄与する。 【0031】更に、塩素系ガスによるRIEにより、スペーサ層3をエッチングし、下のナローリセス面(本実施例ではセカンドリセス面)となるショットキー層2の表面を露出させる。なお、ショットキー層2を構成するAlGaAsは、塩素系ガスではほとんどエッチングされない。この際、酸化膜16の開口に対して左右のスペーサ層3に少々サイドエッチングを施す。このようなプロセスを採用することでゲート電極7とナローリセス側壁11との間に間隙(図1におけるゲートとナローリセス側壁間の間隙13に該当)が形成されることになる(図3(e))。 【0032】次に、メタル金属として、WSi/TiN/Pt/Auのゲートメタル18を堆積し(図3(f))、更に、ゲート上層加工用にレジストでパターニングすることでゲート上層加工用レジストパターン19を形成する(図3(g))。このゲートメタル18が、後に図1におけるゲート電極7となる。 【0033】次に、ドライエッチングにより、ゲートメタル18をエッチングしてゲート上層加工用レジストパターン19を除去することで、酸化膜16により両側が支持されたゲート構造が出来上がる(図3(h))。 【0034】ただし、このままでは、ゲート剥がれは防止できるが、ゲートメタル18周りの酸化膜16に付加された不要な寄生容量成分のために、ゲート容量成分であるゲート・ソース間容量Cgsやゲート・ドレイン間容量Cgdが増大しているため、良好な高周波特性は望めない。 【0035】そのため、続いて、酸化膜16をバッファード弗酸(BHF)等でゲート長方向に部分的に除去し(完全には除去し切らずにゲート付け根部周りには残す)、酸化膜16がゲートメタル18の庇部(図1におけるゲート庇下14)にも、ワイドリセス側壁15(図1参照)にも、ナローリセス側壁11(図1参照)にも接しないようにする(図3(i))。なお、参考のために、図3(j)には、図3(i)に示した構造にオーミック電極6を設けた構造を示す。 【0036】上記のような構造とすることによって、ゲート容量Cgs,Cgdが低減され、良好な高周波特性を有するようになるとともに、ゲート電極7はゲート庇下残り絶縁体9に付け根部を支持されているので、ゲート剥がれも防止される。特に、ゲート電極7とナローリセス(セカンドリセス)側壁11間に間隙(図1におけるゲートとナローリセス側壁間の間隙13)が空いている構造となっているため、絶縁体を完全には除去し切らなくとも、ゲート容量Cgs,Cgdは十分に低減されることになる。ゲート電極7とナローリセス(セカンドリセス)側壁11間が何らかの材料で完全に埋め込まれている場合は、少なくともゲート容量Cgs,Cgdは十分に低減できず、良好な高周波特性を望めない。 【0037】以下に、ワイドリセス(ファーストリセス)面12からゲート庇下14までのゲート庇下高さHgと、ゲート電極7の左右のゲート庇長の平均値であるゲート片側庇長Hw(Hw={(庇全長Gw)−(ゲート長Lg)}/2を採用する)とのアスペクト比Hw/Hgの最適値について図4を参照して説明する。 【0038】アスペクト比Hw/Hgを約1(0.7≦Hw/Hg≦1.4の範囲)とすると(図4(a))、図3(i)の等方的エッチングによる酸化膜除去の工程において、ゲート電極7を両側から挟んでゲート電極7を支持するゲート庇下残り絶縁体9を形成しやすくなる。なお、図4(a)においては、ゲート電極7のゲート庇長が左右対称となっている。 【0039】なぜならば、アスペクト比Hw/Hg<0.7とすると(図4(b))、ゲート電極7がΓ型傾向の形状になった場合に、左右どちらかの庇が小さい側では酸化膜が全部除去されてしまうことになり、ゲート剥がれをもたらす危険性があるからである。また、アスペクト比Hw/Hg>1.4とすると(図4(c))、図3(i)の酸化膜除去の工程において、酸化膜が取り切れずにゲート周りのリセス面に残存することになり、ゲート容量Cgs,Cgdの増加につながってRF特性を劣化させることが実験から判明したからである。 【0040】以下に、図3(i)の酸化膜除去の工程におけるBHFエッチング時間の最適値について図5及び図6を用いて説明する。 【0041】ゲート庇高さHg=250nm、ゲート庇片側長Hw=240〜260nmのFETにおいて、ゲート庇下の酸化膜16をバッファード弗酸(BHF)でゲート長方向に部分的に除去する(完全には除去し切らずゲート付け根部周りに残す)際に、酸化膜16がゲート庇下14にも、ワイドリセス側壁15にも接しないようなBHFエッチング時間の最適値を求めたところ、50秒であった。 【0042】図5に、図3(i)に示した酸化膜除去の工程において、BHFエッチング時間に最適値50秒を適用した場合のFETのゲート断面のSEM写真を示す。 【0043】BHFエッチング時間として最適値50秒を適用した場合、ゲート庇下酸化膜は、ゲート長方向に部分的に除去され、残った酸化膜がゲート付け根部でゲートを支持していることが分かる。また、ゲート庇下酸化膜は、ゲート庇下にも、ワイドリセス(ファーストリセス)側壁にも接していない。更に、ゲートとナローリセス(セカンドリセス)側壁間には空隙が形成されている様子が見て取れる。 【0044】図6に、ゲート剥がれ率[%]と代表的RF特性である電流利得遮断周波数fT[GHz]のBHFエッチング時間依存性を示す。測定試料は、本実施例での標準的FETであり、ゲート長Lg=0.14μm、ゲート幅Wg=50μm×2フィンガ、ゲート上層出来寸0.62μm、ソース側リセス長Lgrs=0.45μm、ドレイン側リセス長Lgrd=0.55μmのものを用いた。 【0045】BHFエッチング時間を0秒(エッチングなし)とした場合は、ゲート剥がれは全く見られないが、電流利得遮断周波数fTの値は57.3GHzとあまりふるわない。これは、ゲート庇下酸化膜が広くリセス面を覆っており、このゲート庇下酸化膜によってゲート容量Cgs,Cgdが増大しているからである。 【0046】また、BHFエッチング時間を最適値である50秒とした場合は、ゲート剥がれ率は0.025%以下(8000ゲート中2本以下)と十分に低い値であった。また、酸化膜が部分的(ゲート長方向)に除去されることで、電流利得遮断周波数fTの値は75.9GHzと向上した。 【0047】従って、化合物半導体電界効果トランジスタにおいては、高周波特性を劣化させることなく微細ゲートの剥がれを防止するためには、BHFエッチング時間の最適値が50秒であることが分かる。 【0048】一方、ゲート庇下酸化膜は、本実施例での標準的FETでは約80秒で取り切れる。そこで、BHFエッチング時間として、これよりも20秒オーバーエッチングとなる100秒を適用してみた。すると、ゲート剥がれのない試料では高周波特性はfT=78GHzと向上したが、ゲート剥がれ率は35%にも達し、FETの製造歩留まりは極めて悪くなってしまうことが分かった。 【0049】本発明の電界効果トランジスタは、上述したリセス及びゲート構造とすることで、ゲート剥がれを十分に防止できる(ゲート剥がれ率が0.025%以下)。ただし、電界効果トランジスタの諸特性をこれより少々下げてもゲート剥がれ率を更に低減させて信頼性向上を図りたい場合には、ゲート長手(ゲート幅)方向に繰り返しパターンを持つレジストパターンで絶縁体(酸化膜)を保護し、この絶縁体をゲート長方向に延在する構造が適用できる。 【0050】図7は、本発明の電界効果トランジスタにおいて、ゲート長手(ゲート幅)方向に繰り返しパターンを持つレジストパターンで絶縁体を保護したものの一構造例を示す要部平面図である。 【0051】図7に示した構造は、図3に示した工程フローにおいて、図3(h)の状態から絶縁体(図3における酸化膜16)にエッチングを施す前に、ゲート長手(ゲート幅)方向の繰り返しパターンとして列島状のパターンを持つレジストパターン(「図7における27」)で絶縁体を保護し、この絶縁体をゲート長方向に延在して有効ゲート24内に形成した構造である。絶縁体(ゲート幅方向)部分除去率に依存して高周波特性も変化するが、この構造を適用すれば絶縁体でゲートを強固に支持できることになるため、更に効果的にゲート剥がれを防止でき、ゲート剥がれ率をほぼゼロにできることが実験により分かった。なお、図7において、20はゲートフィンガ、21はゲートパッド、23は活性層パターン、25はソース電極オーミックコンタクト用キャップ層パターン、26はドレイン電極オーミックコンタクト用キャップ層パターン、28はリセスである。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように本発明においては、ゲートの付け根部を絶縁体で両側から挟む構造としたため、微細なゲートでも剥がれないようにゲートを支持することができる。更に、その絶縁体がゲートの庇部にも、ワイドリセス側壁にも接せず、更にナローリセス側壁にも接しない構造としたため、不要な寄生容量成分を最小限に抑えることができ、これにより、高周波特性を良好とすることができる。 【0053】このように、高周波特性を劣化させることなく、微細ゲートの剥がれを防止する電界効果トランジスタを得ることができるため、ミリ波を用いた通信装置やセンシング装置(レーダ)の性能の安定化を大幅に図ることができる。また、歩留まりも良好となるため、ミリ波を用いた通信装置やセンシング装置のコスト低減を大幅に図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004237 【氏名又は名称】日本電気株式会社 【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号
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| 【出願日】 |
平成13年8月20日(2001.8.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088328 【弁理士】 【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−59949(P2003−59949A) |
| 【公開日】 |
平成15年2月28日(2003.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2001−248902(P2001−248902) |
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