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【発明の名称】 |
硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法 |
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【氏名】服部 康志 【住所又は居所】神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 【氏名】脇 幸吉 【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真フイルム株式会社内 |
【課題】有毒な0価の卑な金属の化合物を用いる事無く、硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属を還元した後、前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法。また、CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属と、前記酸化還元電位が貴な金属の一部と、を還元した後、残りの前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属を還元した後、前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法。 【請求項2】 CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属と、前記酸化還元電位が貴な金属の一部と、を還元した後、残りの前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体、MRAM等に用いる事が可能な磁性粒子の製造方法であって、特に、硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】粒子サイズを小さくする事は磁気記録密度を高くする上で必要である。たとえば、ビデオテープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体では、強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズを小さくしていった方がノイズは下がる。CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金は、規則化時に発生する歪みのために結晶磁気異方性が大きく、粒子サイズを小さくしても硬磁性を示す事から、磁気記録密度向上に有望な素材である。 【0003】CuAu型合金の代表的なものとしては、FePt合金が挙げられる。FePt合金は、結晶磁気異方性定数が最も高い素材である。従って、粒子サイズを小さくする上で有利である。FePt合金は種々の方法で調製することができるが、例えば、液相で調製する方法としては、Science vol.287 1989(2000)に記載の鉄カルボニルを鉄の前駆体として用いる方法がある。この方法によれば、単分散のFePt合金を得る事が可能で、粒子が自己配列するなど特性的に有望である。しかし、鉄カルボニルは致死性の毒物であり、これを前駆体としてFePt合金を調製するには、排気設備や排気処理工程等の安全上の種々の設備や工程を設ける必要があり、生産性に劣るという問題点がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明は、鉄カルボニルのように有毒な0価の卑な金属の化合物を用いる事無く、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金を形成する事ができる硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明者は、以下に示す本発明により上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明は、<1> CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属を還元した後、前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法である。 <2> CuAu型あるいはCu3Au型の硬磁性規則合金相を有するナノ粒子の製造方法であって、液相中で、酸化還元電位が卑な金属と、前記酸化還元電位が貴な金属の一部と、を還元した後、残りの前記酸化還元電位が貴な金属を還元する還元工程、を有することを特徴とする硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法である。 上記いずれかの製造方法によって製造される硬磁性規則合金相ナノ粒子は、磁気記録媒体の磁性層等に使用することが好ましい。 【0006】 【発明の実施の形態】<硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法>本発明の硬磁性規則合金相ナノ粒子(以下、単に「ナノ粒子」ということがある)の製造方法は、少なくとも、酸化還元電位(標準電極電位)が卑な金属(以下、単に「卑な金属」ということがある)と、酸化還元電位が貴な金属(以下、単に「貴な金属」ということがある)と、を液相中で還元剤などで還元する還元工程を有する。当該還元工程では、まず、卑な金属を還元した後に貴な金属を還元するか、または卑な金属および一部の貴な金属を還元した後に残りの貴な金属を還元する。上記の様に、始めに卑な金属を還元することで、貴な金属を卑な金属が還元し、卑な金属が酸化されることで両者が1つの粒子に比較的均一に取り込まれ、組成が均一となる。一方、貴な金属を先に還元した場合は、貴な金属がコアで卑な金属がシェルのいわゆるコア/シェル構造となる。また、卑な金属を先に還元し貴な金属の全量を後で還元した場合、コアに卑な金属濃度が高い領域が形成されることがあった。そこで、始めに卑な金属および一部の貴な金属を還元することで、組成がより均一となる。以上より、組成を均一とすることで、組成に敏感な保磁力などの磁気特性が、安定して得られることとなる。 【0007】CuAu型強磁性規則合金の組成としては、FeNi、FePd、FePt、CoPt等が挙げられ、なかでもFePd、FePt、CoPtであることが好ましい。特に、FePtが最も磁気異方性定数が大きい事から最も好ましい。 【0008】Cu3Au型強磁性規則合金としては、Ni3Fe、FePd3、Fe3Pt、FePt3、CoPt3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが挙げられ、なかでもFePd3、FePt3、CoPt3、Fe3Pd、Fe3Pt、Co3Ptを使用することが好ましい。 【0009】貴な金属(酸化還元電位が、−0.2V以上の金属)としては、Pt、Pd、Rh等が好ましく、H2PtCl6・6H2O、Pt(CH3COCHCOCH3)2、RhCl3・3H2O、Pd(OCOCH3)2、PdCl2、Pd(CH3COCHCOCH3)2等を溶媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属濃度は、0.1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜100μmol/mlがより好ましい。 【0010】また、卑な金属(酸化還元電位が、−0.2V以下の金属)としては、Co、Fe、Ni、Crが好ましく、Fe、Coがより好ましい。これらの金属は、FeSO4・7H2O、NiSO4・7H2O、CoCl2・6H2O、Co(OCOCH3)2・4H2O等を溶媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属濃度は、0.1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜100μmol/mlがより好ましい。 【0011】また、2元系合金にSb、Pb、Bi、Cu、Ag、Zn等の第三元素を加える事で硬磁性規則合金への変態温度を下げる事が好ましい。添加量としては、全体(2元系合金+第三元素)の1〜20at%とすることが好ましく、5〜15at%とすることがより好ましい。 【0012】液相として使用する溶媒は、有機溶剤でも水でもよく、また有機溶剤と水の混合液を用いてもかまわない。有機溶剤としては、アルコール、ポリアルコール等を使用することが可能で、アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、ポリアルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。 【0013】還元工程において、還元剤を用いて卑な金属と貴な金属とをこの順に析出させるには、−0.2V(vs.N.H.E)より卑な酸化還元電位を持つ還元剤を用いて卑な金属あるいは卑な金属と一部の貴な金属を還元し、還元後の溶液を貴な金属を含有する溶液に加え、還元電位が−0.2V(vs.N.H.E)より貴な酸化還元電位と持つ還元剤を用いて還元を行うことが好ましい。また、その後必要に応じて、−0.2V(vs.N.H.E)より卑な酸化還元電位を持つ還元剤を添加してもよい。 【0014】還元剤を用いて卑な金属と貴な金属とをこの順に析出させる他の方法としては、少なくとも卑な金属を含有する溶液に、貴な酸化還元電位と持つ還元剤を予め多く添加しておいて、卑な金属だけ、もしくは卑な金属と一部の貴な金属を還元し、その後、再び貴な酸化還元電位と持つ還元剤を添加して、貴な金属を還元してもよい。ここで、「一部の貴な金属」とは、還元すべき貴な金属の全体量の1/2以下(好ましくは、1/2〜1/10)をいう。かかる量にするには、卑な金属および貴な金属の原料の量を処方量とする、等により調整することができる。 【0015】酸化還元電位は系のpHに依存するが、酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.E)より貴な還元剤には、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−ドデカンジオール等のアルコール類、グリセリン類、H2、HCHO等が好ましく用いられる。−0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元剤にはS2O62-、H2PO2-、BH4-、N2H5+、H2PO3-等が好ましく用いられる。 【0016】なお、卑な金属の原料(前駆体)として、Feカルボニル等を始めとした0価の卑な金属の化合物を用いた場合は、還元剤を使用する必要が無いため、好ましいともいえる。しかし、当該0価の卑な金属のカルボニル化合物は、一般に、人体や環境に有害であり、排気設備や排気処理工程を新たに設ける必要があり、生産性の低下を招いてしまう。従って、本発明の製造方法のような還元工程を設ければ、人体や環境に対する影響をほとんど考慮する必要が無く、高い生産性を維持することができる。 【0017】貴な金属を還元析出させる際に吸着剤を存在させる事でナノ粒子を安定に形成させることができる。吸着剤としてはポリマーや界面活性剤を使用することが好ましい。該ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリN−ビニル−2ピロリドン(PVP)、ゼラチンである。特に好ましくはPVPである。分子量は2万〜6万が好ましく、より好ましくは3万〜5万である。ポリマーの量は生成する硬磁性ナノ粒子の質量の0.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜5倍のがより好ましい。 【0018】吸着剤として好ましく用いられる界面活性剤は、一般式:R−X、で表される長鎖有機化合物である「有機安定剤」を含むことが好ましい。上記一般式中のRは、直鎖または分岐ハイドロカーボンまたはフルオロカーボン鎖である「テール基」であり、通常8〜22の炭素原子を含む。また、上記一般式中のXは、ナノ粒子表面に特定の化学結合を提供する部分(X)である「ヘッド基」であり、スルフィネート(−SOOH)、スルホネート(−SO2OH)、ホスフィネート(−POOH)、ホスホネート−OPO(OH)2、カルボキシレート、およびチオールのいずれかであることが好ましい。 【0019】前記有機安定剤としては、スルホン酸(R−SO2OH)、スルフィン酸(R−SOOH)、ホスフィン酸(R2POOH)、ホスホン酸(R−OPO(OH)2)、カルボン酸(R−COOH)、チオール(R−SH)等のいずれかであることが好ましい。これらのなかでも、オレイン酸が特に好ましい。 【0020】オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄系ナノ粒子の保護に好適である。オレイン酸は18炭素鎖を有し、その長さは〜20オングストローム(〜2nm)である。また、オレイン酸には脂肪族ではなく二重結合が1つ存在する。そして、オレイン酸の比較的長い鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える。エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられてきたが、オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。 【0021】前記ホスフィンと有機安定剤との組合せ(トリオルガノホスフィンと酸との組み合わせなど)は、粒子の成長および安定化に対する優れた制御性を発揮する。ジデシルエーテルおよびジドデシルエーテルも用いることができるが、フェニルエーテルまたはn−オクチルエーテルは、低コストおよび高沸点のため溶媒として好適に用いられる。 【0022】還元工程における還元反応は、必要なナノ粒子および溶媒の沸点等の条件により異なるが、40℃〜360℃の範囲の温度で行うことができる好ましく、80℃〜240℃がより好ましい。温度が40℃より低いと粒子が成長しないことがある。温度が360℃より高いと粒子は制御されないで成長し、望ましくない副産物の生成が増加することがある。 【0023】得られるナノ粒子の保持力は、95.5〜398kA/m(1200〜5000Oe)が好ましく、磁気記録媒体に適用した場合、記録ヘッドが対応できるという観点から95.5〜278.6kA/m(1200〜3500Oe)が好ましい。ナノ粒子の粒径は1〜100nmが好ましく、より好ましくは3〜20nmであり、さらに好ましくは3〜10nmである。粒子サイズ(体積平均粒径)を大きくする方法としては、種晶法が有効である。磁気記録媒体として用いるには硬磁性ナノ粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましく、そのためには、本発明の硬磁性ナノ粒子のサイズの変動係数は10%未満が好ましく、より好ましくは5%以下である。 【0024】粒子サイズが小さすぎると超常磁性となり好ましくない。そこで粒子サイズを大きくするために種晶法を用いることが好ましい。その際、粒子を構成する卑な金属が貴な金属を還元析出させるケースが出てくる。この時、粒子の酸化が懸念され、予め粒子を水素化処理することが好ましい。 【0025】硬磁性ナノ粒子の最外層は酸化防止の観点から貴な金属にすることが好ましいが、凝集しやすいため、本発明では貴な金属と卑な金属の合金であることが好ましい。なお、本発明のように、卑な金属と貴な金属とを段階的に還元することで、最外層を貴な金属と卑な金属の合金の状態とすることができる。 【0026】硬磁性ナノ粒子合成後に溶液から塩類を除くことは、粒子の分散安定性を向上させる意味から好ましい。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こし、自然沈降あるいは遠心沈降させ、塩類を上澄みと共に除去する方法があるが、これらの方法でも凝集が生じやすい場合は、必要に応じ、限外濾過法を適用することが好ましい。 【0027】<磁気記録媒体>本発明の製造方法で得られたナノ粒子は、ビデオテープ、コンピューターテープ等の磁気テープ;フロッピー(R)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク;等の少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体に好ましく用いることができる。以下、当該ナノ粒子が好ましく用いることができる磁気記録媒体の作製方法について詳述する。 【0028】ナノ粒子を用いた磁気記録媒体は、調製したナノ粒子を含有するナノ粒子分散液を支持体(非磁性支持体)表面に塗布してなる磁性層を有し、必要に応じて他の層を有してなる。即ち、前記磁気記録媒体は、支持体表面に、ナノ粒子を含有する磁性層を有し、必要に応じて磁性層と支持体との間に非磁性層が設けられる。ここで、前記ナノ粒子分散液とは、本発明の製造方法により製造された直後のナノ粒子が分散した溶液、またはこの溶液に既述の溶媒等を添加してナノ粒子の濃度を0.01〜0.1mg/mlとした溶液をいう。 【0029】磁気ディスクとした場合は、支持体の反対側の面にも同様に磁性層、必要に応じ磁性層と非磁性層とを設けることが好ましい。磁気テープの場合は、磁性層の反対側の支持体上にバック層を設けることが好ましい。以下、本発明の製造方法により製造されたナノ粒子を使用した磁気記録媒体の製造方法について説明する。 【0030】まず、ナノ粒子分散液を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成する。磁性層の乾燥後の層厚は、それぞれ、5nm〜5μmであることが好ましく、5nm〜0.2μmであることがより好ましい。ここで、複数の磁性層塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。上層に高いHc(保磁力)、下層に低Hcの磁性層を持ってきた方がオーバーライト適性が改善される。ナノ粒子分散液を塗布する方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 【0031】非磁性支持体には無機物と有機物とがある。無機物の非磁性支持体としては、Al、Mg合金(Al−Mg、Mg−Al−Znなど)、ガラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックス等が用いられる。これらの支持体は耐衝撃性に優れ、薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物の支持体と比較すると熱に強い特徴を有している。 【0032】有機物の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類や、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾール等が用いられる。 【0033】溶液(液相)から調製したナノ粒子は、不規則相である。かかる不規則相を規則相とするためには、アニール処理をする必要がある。アニール処理は、ナノ粒子の融着防止のため、ナノ粒子分散液を支持体上に塗布した後、該支持体をも含めて行うことが好ましい。アニール処理の温度は、予め示差熱分析装置(DTA)を用い規則不規則変態温度を求めておき、その温度より上の温度で行う事が必要であり、通常は400℃以上である。なお、有機物支持体を用いる場合は、支持体の耐熱性が問題となるため、レーザー光で磁性層のみ加熱する事が必要である。 【0034】形成した磁性層上に非常に薄い保護膜を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護膜上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができる。 【0035】保護膜の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン);等があげられるが、特に好ましくは、一般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質のカーボンである。 【0036】カーボンからなるカーボン保護膜は、非常に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付きを生じ難いため、保護膜の材料としては好適である。カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにおいては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。従って、これらの方法を適用することが好ましい。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。 【0037】このカーボン保護膜は、ビッカース硬度で1000Kg/mm2以上であることが好ましく、2000Kg/mm2以上であることがより好ましい。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性であることが好ましい。そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析によって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下する。 【0038】このカーボン保護膜を形成するための炭素原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。 【0039】カーボン保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚は、2.5〜30nmとすることが好ましく、5〜10nmとすることがより好ましい。また、この保護膜の基板と磁性層の密着性を改善するために、あらかじめ磁性層表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質する事が好ましい。 【0040】磁性層は電磁変換特性を改善するため重層構成としたり、磁性層の下に公知の非磁性下地層や中間層を有していてもよい。走行耐久性および耐食性を改善するため、既述のように、上記磁性層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。 【0041】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。 【0042】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等である。 【0043】また、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が、摩擦力を低減する効果が高く好適である。さらに、この分子量は、500〜5000、好ましくは1000〜3000である。500未満では揮発性が高く、また潤滑性が低いなることがある。また、5000を超えると、粘度が高くなるため、スライダーとディスクが吸着しやすく、走行停止やヘッドクラッシュなどを発生しやすくなることがある。このパーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTOXなどの商品名で市販されている。 【0044】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類;亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類;トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類;二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤;などが挙げられる。 【0045】前記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。 【0046】防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体;等が挙げられる。 【0047】既述のように、磁気記録媒体が磁気テープ等の場合は、非磁性支持体の磁性層が形成されていない面にバックコート層(バッキング層)が設けられていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁性層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを公知の有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けられる層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。 【0048】また、ナノ粒子分散液の塗布面およびバックコート層が形成される面には、公知の接着剤層が設けられていてもよい。 【0049】以上のようにして製造される磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて、好ましくは0.1〜5nm、より好ましくは1〜4nmの範囲とする。このように、極めて優れた平滑性を有する表面とすることが、高密度記録用の磁気記録媒体として好ましいからである。このような表面を得る方法として、磁性層を形成した後にカレンダー処理を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施してもよい。 【0050】得られた磁気記録媒体は、適宜、打ち抜き機で打ち抜いたり、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。 【0051】 【実施例】本発明を以下に示す実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0052】(ナノ粒子分散液の調製) (1)FePtナノ粒子分散液(I液)の調製:高純度Arガス中で下記の操作を行った。まず、鉄(III)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]3Feを0.64mmolと、1,2−ヘキサデカンジオール(貴な還元剤)を1.5mmolと、ジオクチルエーテルを20mlと、を混合し100℃で加熱した。オレイン酸0.5mmolとオレイルアミン0.5mmolとを加え200℃で30分間還流した(A液)。 【0053】プラチナ(II)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Ptを0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を混合し100℃で加熱した。この液に、100℃に冷却したA液を加え、297℃で30分間還流した。冷却後、エタノールを40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に25mlのヘキサンを加え分散した。再びエタノールを20ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0054】また、オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散した。その後、エタノールを15ml加え,析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。さらに、オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散し、FePtナノ粒子分散液(I液)を調製した。 【0055】(2)FePtナノ粒子分散液(II液)の調製:高純度Arガス中で下記の操作を行った。プラチナ(II)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Ptを0.1mmolと、鉄(III)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]3Feを0.64mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を混合し100℃で加熱した。オレイン酸0.5mmolとオレイルアミン0.5mmolを加え200℃で30分間還流した(B液)。 【0056】プラチナ(II)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Ptを0.4mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を混合し100℃で加熱した。この液に100℃に冷却したB液を加え、297℃で30分間還流した。冷却後、エタノールを40ml加え,析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に25mlのヘキサンを加え分散した。再びエタノールを20ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0057】また、オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散した。その後、エタノールを15ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。さらに、オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散し、FePtナノ粒子分散液(II液)を調製した。 【0058】(3)FePtナノ粒子分散液(III液)の調製:高純度Arガス中で下記の操作を行った。プラチナ(II)アセチルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Ptを0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を混合し100℃で加熱した。 【0059】オレイン酸0.5mmolとオレイルアミン0.5mmolとFe(CO)51mmolとを加え297℃で30分間還流した。冷却後、エタノールを40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。なお、Fe(CO)5の添加は、排気系にスクラバー処理装置が付いたグローボックス中で行った。 【0060】オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に25mlのヘキサンをさらに加え分散した。再びエタノールを20ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散した。また、エタノールを15ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。オレイン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散し、FePtナノ粒子分散液(III液)を調製した。 【0061】(ナノ粒子である事の確認)調製したナノ粒子分散液をTEM観察用のメッシュに乗せ乾燥する事でTEMサンプルを作製した。加速電圧300KVの日立製作所製透過電子顕微鏡(TEM)を用い粒子サイズを調べた。この結果、Fe−Ptのナノ粒子であることが確認され、調製したナノ粒子分散液(I)〜(III)中のナノ粒子の体積平均粒径は、いずれも5nmであることが確認された。 【0062】ICP(セイコー社製、SPS1200A)を用い、ナノ粒子全体中のPtのat%を求めた。結果を下記表1に示す。 【0063】(実施例1および2、比較例1)N2雰囲気下で下記の操作を行った。SiO2/Si基板の両面に、調製したナノ粒子分散液(I)〜(III)(ナノ粒子含有量0.04mg/ml)を各0.5g/m2塗布し乾燥した。その後、電気炉550℃の温度で30分間加熱して、それぞれ、厚さ0.1μmの磁性層を形成して、磁気記録媒体を作製した。 【0064】(特性評価) (1)X線回折:基板上で加熱処理した上記サンプルでX線回折用サンプルを作製した。理学電機製のX線回折装置で管電圧50KV 管電流300mAの条件でCuKα線を発生させゴニオメータを用いた粉末法でX線回折を行なった。結晶構造から不規則相、規則相(正方晶)を区別した。結果を下記表1に示す。 (2)磁気特性:磁気特性は、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、各磁気記録媒体について、印加磁場790kA/m(10kOe)で保磁力を測定した。結果を下記表1に示す。 【0065】 【表1】
【0066】実施例1および2では、比較例1と同様に、高い保磁力を得ることができた。また、実施例1および2では、比較例1のような毒性の強いFe(CO)5を用いなかったため、排気設備等を必要とせず、高い生産性が維持できることが示唆された。 【0067】 【発明の効果】以上、本発明によれば、鉄カルボニルのように有毒な0価の卑な金属の化合物を用いる事無く、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金を形成する事ができる硬磁性規則合金相ナノ粒子の製造方法を提供することができる。そして、かかる製造方法によれば、排気設備や排気処理工程等の安全上の種々の設備や工程を設ける必要がないため、高い生産性維持することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社 【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
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| 【出願日】 |
平成14年2月27日(2002.2.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−257719(P2003−257719A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月12日(2003.9.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−51766(P2002−51766) |
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