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【発明の名称】 コイル装置
【発明者】 【氏名】内山 貴広
【住所又は居所】三重県四日市市西末広町1番14号 住友電装株式会社内

【要約】 【課題】コイル装置の製造効率の向上を図る。

【解決手段】ボビンBは、2分割されており、第1分割ボビン10に設けた取付部12に第2分割ボビン20を外嵌することで一体化されている。コイル装置の製造手順は、第1分割ボビン10及び第2分割ボビン20に各巻き線30,31を巻回する作業と、各端子金具40,41に各巻き線30,31の端部を接続する作業とを並行して行った後、第1分割ボビン10に第2分割ボビン20を合体させることでボビンBを形成し、そのボビンBに外装体50をモールド成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボビンに複数の巻き線を巻回するとともに各巻き線に外部回路への連絡用の外部接続導体をそれぞれ接続したものに外装体をモールドしてなるコイル装置において、前記ボビンは、前記各巻き線を別個に巻回可能で、且つその巻き線に前記外部接続導体を別個に接続可能な複数の分割ボビンに分割して形成されていることを特徴とするコイル装置。
【請求項2】 前記複数の分割ボビンのうち、一の分割ボビンには、位置決め凸部が設けられ、この一の分割ボビンが合体される相手の分割ボビンには、前記位置決め凸部が嵌合されることで、前記一の分割ボビンを位置決め可能な位置決め凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコイル装置。
【請求項3】 前記外部接続導体が前記複数の分割ボビンにそれぞれ固定された端子金具とされるものであって、前記複数の分割ボビンを合体させるのに伴って所定の領域に集約される各前記端子金具と、各端子金具を取り囲むようにして前記外装体に形成されたコネクタハウジング部とによって外部コネクタと嵌合接続可能なコネクタが構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の巻き線を備えたコイル装置の一例として、実開平4−56315号公報に記載されたものが知られている。このものは、図9に示すように、1つのボビン1に3本の巻き線2,3,4をそれぞれ巻回したものに外装体5をモールド成形した構成とされており、各巻き線2,3,4は、外部回路に連絡される6本の電線6に対してその両端部がそれぞれ接続されている。このコイル装置の製造手順としては、まずボビン1に第1の巻き線2を巻回した後、その巻き線2の両端部にそれぞれ電線6を半田付けにより接続し、次に第2の巻き線3を巻回し、といった作業を繰り返し行い、全ての巻き線2,3,4の巻回作業及び電線6との接続作業が完了したら、そのボビン1をモールド用の金型内にセットして、外装体5をモールド成形する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記コイル装置では、ボビン1が単一部品であるため、3本の巻き線2,3,4を同時に巻回したり、3本の巻き線2,3,4を同時に各電線6に接続することができず、各巻き線2,3,4毎に順を追って巻回作業・接続作業を繰り返し行わなければならず、製造効率が芳しくないという問題があった。本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コイル装置の製造効率の向上を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ボビンに複数の巻き線を巻回するとともに各巻き線に外部回路への連絡用の外部接続導体をそれぞれ接続したものに外装体をモールドしてなるコイル装置において、前記ボビンは、前記各巻き線を別個に巻回可能で、且つその巻き線に前記外部接続導体を別個に接続可能な複数の分割ボビンに分割して形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記複数の分割ボビンのうち、一の分割ボビンには、位置決め凸部が設けられ、この一の分割ボビンが合体される相手の分割ボビンには、前記位置決め凸部が嵌合されることで、前記一の分割ボビンを位置決め可能な位置決め凹部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記外部接続導体が前記複数の分割ボビンにそれぞれ固定された端子金具とされるものであって、前記複数の分割ボビンを合体させるのに伴って所定の領域に集約される各前記端子金具と、各端子金具を取り囲むようにして前記外装体に形成されたコネクタハウジング部とによって外部コネクタと嵌合接続可能なコネクタが構成されているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】<請求項1の発明>各分割ボビンにそれぞれ巻き線を巻回する作業と、各巻き線に外部接続導体を接続する作業とを別個に行った後、分割ボビン同士を合体させたものに対して外装体をモールドすることでコイル装置が製造される。各分割ボビンに対する巻き線の巻回作業と、外部接続導体の接続作業とを並行して行うことができるから、製造効率の向上を図ることができる。
【0008】<請求項2の発明>分割ボビン同士を合体させる作業を簡単に行うことができ、製造効率のさらなる向上を図ることができる。
<請求項3の発明>外部接続導体である端子金具を所定の領域に集約してコネクタ化するようにしたから、従来のように外部接続導体である電線を外装体から導出させた場合に必要となる電線引き出し部分と比較して、省スペース化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1ないし図8によって説明する。本実施形態では、2分割したボビンを有するコイル装置について例示する。このコイル装置は、図1及び図2に示すように、大まかには、巻き線30,31を巻装したボビンBの周囲に外装体50をモールドすることで、全体が環形に形成されるとともに、その一部分には、外部回路に接続された外部コネクタ(図示せず)が嵌合接続可能とされるコネクタCが側方へ突出して設けられている。このうちボビンBは、太さの異なる2種類の巻き線30,31をそれぞれ巻回した第1分割ボビン10と第2分割ボビン20とを合体させた構成とされており、合体した両ボビン10,20が外装体50によって分離不能に保持されている。コネクタCは、外装体50の一部から突出して図2の左方に開口するフード状のコネクタハウジング部51と、コネクタハウジング部51内に突出するとともに幅方向に等間隔に並んだ4本の端子金具40,41とを備えている。
【0010】端子金具40,41は、略L字型に形成されており、そのタブ42,43がコネクタハウジング部51内に突出することで外部コネクタに導通接続可能とされるのに対し、屈曲部分から下端部側にかけては外装体50内に埋設されている。4本の端子金具40,41のうち、内側の2本の端子金具40は、その下端部が第1分割ボビン10に固定されるとともに第1分割ボビン10の巻き線30が接続されるフック部44を有する一方で、外側の2本の端子金具41は、その下端部が第2分割ボビン20に固定されるとともに第2分割ボビン20の巻き線31が接続されるフック部45を有している。
【0011】第1分割ボビン10は、図3及び図4に示すように、比較的太い巻き線30を巻回できるよう外周面の略中央部分が全周にわたって凹んで形成された環形の本体部11と、本体部11からその軸線方向に沿って図4の左方(図3の紙面手前側)へ突出するとともに第2分割ボビン20を外嵌可能な円筒状の取付部12とを備えている。本体部11のうち図4の左側外縁部には、径方向外側から端子金具40の下端部を圧入して固定可能な一対の圧入溝部13が互いに隣り合って配設されている。両端子金具40のフック部44は、共に図4の右側(第1分割ボビン10の巻き線30側)に突出する鉤型に形成され、両フック部44には、第1分割ボビン10に巻回した巻き線30の両端部がそれぞれ引っ掛けられて溶接によって溶着接続されている。取付部12の外周面には、円筒の一部を切り欠くことで平面に視て略C字型をなす張出部14が突設されており、この張出部14の切欠部分が第2分割ボビン20の位置決め凸部22を嵌合可能な位置決め凹部15とされている。この張出部14は、本体部11の図4の左側面に連結されるとともに、取付部12における軸線方向の長さ寸法の1/2弱程度の長さ寸法を有し、且つ、第2分割ボビン20における径方向の厚み寸法と同じ程度の厚み寸法を有している。位置決め凹部15は、その周方向の配設領域が両端子金具40の配設領域よりも広く設定されている。また本体部11と取付部12の内周面は、段差なく連続して形成されている。
【0012】第2分割ボビン20は、図5及び図6に示すように、取付部12に外嵌可能な内径寸法を有する環形の本体部21を備え、その外周面が比較的細い巻き線31を巻回できるように凹んだ形状とされている。なおこの第2分割ボビン20に巻回した巻き線31は、第1分割ボビン10に巻回した巻き線30において磁界が発生したか否かを検知するためのものである。本体部21のうち図6の右側面の一部からは、第1分割ボビン10の位置決め凹部15に嵌合可能な位置決め凸部22が本体部21の軸線方向に沿って突出して設けられている。位置決め凸部22が位置決め凹部15に嵌合されることで、第1分割ボビン10に対して第2分割ボビン20が周方向に関して正規の取付位置に位置決めされるようになっている。この位置決め凸部22の両端部(中央に第1分割ボビン10の両端子金具40の配設領域を空けた位置)には、径方向の外側から端子金具41の下端部を圧入して固定可能な一対の圧入溝部23が形成されている。両圧入溝部23の周縁には、端子金具41を取り囲む支持部24が径方向外側に突出して設けられている。両端子金具41のフック部45は、共に図6の左側(第2分割ボビン20の巻き線31側)に突出する鉤型に形成され、両フック部45には、第2分割ボビン20に巻回した巻き線31の両端部がそれぞれ引っ掛けられて溶接により溶着可能とされている。なお第2分割ボビン20が第1分割ボビン10に対してその軸線方向に関して正規深さに取り付けられると、両者の図8の左側面同士が面一状に配される。
【0013】次に、コイル装置の製造手順を説明する。図4に示すように、第1分割ボビン10の本体部11に巻き線30を巻回してから、巻回した巻き線30の両端部を径方向外側に引き出して、その両端部を両端子金具40のフック部44にそれぞれ引っ掛けつつ溶接により溶着接続する。これらの作業に並行して、図6に示すように、第2分割ボビン20の本体部21に巻き線31を巻回してから、同様に巻き線31の両端部を両端子金具41のフック部45にそれぞれ引っ掛けて溶接により溶着接続する作業を行う。このように第1分割ボビン10及び第2分割ボビン20における各巻き線30,31の巻回作業と、各端子金具40,41との接続作業とを同時進行して行うようにする。
【0014】続いて、第1分割ボビン10と第2分割ボビン20とを合体させる作業を行う。両ボビン10,20を互いの軸線が平行となる姿勢に保ちつつ、第1分割ボビン10を第2分割ボビン20の取付部12に外嵌していく。このとき、両ボビン10,20が正規の取付位置から周方向にずれていると、位置決め凸部22が張出部14に突き当たってその取り付け動作が規制されるので、位置決め凸部22が位置決め凹部15に整合するように両ボビン10,20を周方向に相対変位させつつ嵌合作業を行う。そして、図7及び図8に示すように、両ボビン10,20が正規に取り付けられると、位置決め凸部22が位置決め凹部15に嵌合することで、両ボビン10,20が周り止め状態に保持されて、正規の取付位置に位置決めされる。このとき、各端子金具40,41のタブ42,43が幅方向に等間隔に並んで配される。
【0015】上記のようにして合体されたボビンBを図示しないモールド成形用の金型内にセットした後、溶融状態の樹脂を金型内に充填する。充填した樹脂が固化した後に型開きを行うと、図1及び図2に示すように、ボビンBの周囲に外装体50がモールドされた製品が取り出される。これにより、各端子金具40,41のタブ42,43を取り囲むコネクタハウジング部51が形成されて、コネクタCを備えたコイル装置の製造が完了する。なお第1分割ボビン10と第2分割ボビン20は、外装体50によって合体した状態から分離不能に保持されている。
【0016】以上説明したように本実施形態によれば、ボビンBを第1分割ボビン10と第2分割ボビン20とに分割したから、第1分割ボビン10と第2分割ボビン20に対する巻き線30,31の巻回作業と、端子金具40,41の接続作業とを別個に並行して行うことができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0017】しかも、第1分割ボビン10と第2分割ボビン20とに互いに嵌合可能な位置決め凹部15と位置決め凸部22とを設けるようにしたから、第1分割ボビン10に第2分割ボビン20を合体させる際に、両ボビン10,20を周方向について位置決めすることができ、製造効率のさらなる向上を図ることができる。
【0018】さらには、4本の端子金具40,41をボビンBにおける一部分に集約して配設するとともに、その周りをコネクタハウジング部51によって取り囲むことでコネクタ化するようにしたから、従来のように電線を外装体から導出させた場合に必要となる電線引き出し部分と比較して、省スペース化を図ることができる。しかも、予め各巻き線30,31と各端子金具40,41との接続作業を行った後に、両ボビン10,20を合体させることで端子金具40,41を集約させているから、仮に全端子金具を集約した状態で接続作業を行う場合と比較して、接続作業の作業性が良好となる。
【0019】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、ボビンを2つに分割した場合を示したが、例えば巻き線が3種類ある場合には、ボビンを3つに分割してもよく、また必要に応じてボビンを4つ以上に分割するようにしてもよい。
【0020】(2)上記した実施形態では、端子金具がタブを有する雄型とした場合を示したが、雌型の端子金具についても本発明は適用可能である。
(3)上記した実施形態では、巻き線をボビンに固定した端子金具に接続するものを示したが、従来のように外部回路に接続された電線を直接に巻き線に接続するようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【出願人】 【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
【住所又は居所】三重県四日市市西末広町1番14号
【出願日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【代理人】 【識別番号】100096840
【弁理士】
【氏名又は名称】後呂 和男 (外1名)
【公開番号】 特開2003−59730(P2003−59730A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−244453(P2001−244453)