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【発明の名称】 磁気吸着シート
【発明者】 【氏名】松村 伸一
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内

【氏名】須藤 美貴
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内

【氏名】川又 和人
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内

【氏名】太田 栄治
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内

【要約】 【課題】磁性層の面内方向に磁化容易軸を有する面内配向・面内着磁の磁気吸着シートであって、磁性層の被吸着面への粘着が抑制された磁気吸着シートを提供する。

【解決手段】非磁性支持体上に、強磁性粉末と結合剤を主成分とする磁性塗料を塗布し、乾燥させて磁性層が形成される磁気吸着シートであって、磁性塗料は結合剤としてTg ≧80(℃)の樹脂、好適にはセルロースアセテート系樹脂を、全結合剤のうちのほぼ5〜60%含有し、磁性塗料はTg ≧80(℃)の樹脂を含む全結合剤を、強磁性粉末100重量部に対し、ほぼ15.4〜18重量部含有する磁気吸着シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】非磁性支持体上に、強磁性粉末と結合剤を主成分とする磁性塗料を塗布し、乾燥させて磁性層が形成され、前記磁性層は面内方向に磁化容易軸を有し、かつ磁化容易軸に沿って面内で磁化が交互に反転するように多極着磁されている磁気吸着シートであって、前記磁性塗料は結合剤としてTg ≧80(℃)の樹脂を、全結合剤のうちのほぼ5〜60%含有する磁気吸着シート。
【請求項2】前記Tg ≧80(℃)の樹脂は、セルロースアセテート系樹脂を含む請求項1記載の磁気吸着シート。
【請求項3】前記磁性塗料は、前記Tg ≧80(℃)の樹脂を含む全結合剤を、前記強磁性粉末100重量部に対し、ほぼ15.4〜18重量部含有する請求項1記載の磁気吸着シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気吸着シートに関し、特に、磁性層と被吸着面との粘着が抑制された磁気吸着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、永久磁石の磁気吸着を利用した磁気吸着シートは各種表示具として幅広く使われており、特に事務用品としての用途が拡大しつつある。近年、パーソナルコンピュータの急速な普及に伴い、プリンター等の周辺機器の性能が著しく向上している。例えば、一般用プリンターによる印刷の品質は、業務用印刷の品質に匹敵しつつある。同時に、それらの印刷物を自在に利用したいという欲求も高まっている。
【0003】印刷物の第一の使用目的は、表示することである。提示場所に表示物を固定するために、各種接着剤、接着テープ、画鋲、キャップマグネット等の固定材が使用されている。磁気吸着シートは表示物自体が磁気吸着性を有する固定材であるため、提示場所が強磁性体である場合は、別の固定材を必要とせず、単独で表示することが可能である。また、掲示場所からの脱着が自在である。
【0004】磁気吸着シートは、シート状のボンド磁石であり、用途が拡大するに従って、加工を容易に行えるようにするための薄膜化が進んでいる。近年、押出成形によって製造される磁性層厚0.1mm程度、全厚0.2mm程度の磁気吸着シートが実用化されている。
【0005】また、特開2001−76920号公報には、磁性塗料の塗布により磁性層が形成され、磁性層の面内方向に磁化容易軸が配向し、面内方向に着磁された可撓性磁石シートが提案されている。このシートによれば、磁性層が押出成形等でなく、磁性塗料の塗布により形成されるため、シートを均一に薄膜化することが可能となる。また、磁化容易軸の方向に沿ってN極とS極が交互に並ぶように着磁されることから、膜厚が同等である垂直配向・垂直着磁の磁気吸着シートに比較して、強い磁気吸着力が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開2001−76920号公報には、磁性層を形成するための磁性塗料に用いることができる結合剤として、各種の樹脂が挙げられている。しかしながら、好適な結合剤や、結合剤を選択する際の基準等については記載がない。特に、結合剤のガラス転移点Tg が磁気吸着シートの粘着性に与える影響については、検討されていない。
【0007】従来の磁気吸着シートは、一般に磁性層の粘着性が高い。したがって、磁性層を長期間、強磁性面に磁気吸着させたり、あるいは、熱湯の入ったポットの表面等、加温されている強磁性体に磁性層を磁気吸着させたりした後、磁気吸着シートを強磁性体から剥離すると、磁性層の少なくとも一部が強磁性体の表面に付着することがある。この場合、磁気吸着シートの磁性層が破壊されるだけでなく、強磁性体の表面も汚れる。
【0008】特に、磁性塗料にTg の低い結合剤を用いた場合には、このような問題が顕著となりやすい。本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、磁性層の粘着性が適切に制御され、磁気吸着シートを被吸着面から剥離する際に、磁性層が被吸着面に残りにくい磁気吸着シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の磁気吸着シートは、非磁性支持体上に、強磁性粉末と結合剤を主成分とする磁性塗料を塗布し、乾燥させて磁性層が形成され、前記磁性層は面内方向に磁化容易軸を有し、かつ磁化容易軸に沿って面内で磁化が交互に反転するように多極着磁されている磁気吸着シートであって、前記磁性塗料は結合剤としてTg ≧80(℃)の樹脂を、全結合剤のうちのほぼ5〜60%含有することを特徴とする。
【0010】好適には、前記Tg ≧80(℃)の樹脂は、セルロースアセテート系樹脂を含む。好適には、前記磁性塗料は、前記Tg ≧80(℃)の樹脂を含む全結合剤を、前記強磁性粉末100重量部に対し、ほぼ15.4〜18重量部含有する。
【0011】これにより、磁性表面の粘着性が抑制される。したがって、磁気吸着シートを被吸着面から剥離した際に、被吸着面に磁性層の一部が付着して残留するのを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の磁気吸着シートの実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の磁気吸着シートの断面図である。図1に示すように、磁気吸着シート1は一方の面に磁性層2を有する。
【0013】磁性層2は、強磁性粉末と結合剤樹脂を主成分とする磁性塗料を非磁性支持体3上に塗布し、乾燥させて形成される。本実施形態の磁気吸着シートによれば、磁性塗料には結合剤樹脂として、Tg が80℃以上である樹脂またはセルロースアセテート系樹脂が添加される。これにより、磁性層2の粘着性が適切に制御される。磁性層2は面内方向に磁化容易軸を有し、面内方向に磁化容易軸に沿って、磁化が交互に反転するように一定のピッチで多極着磁されている。
【0014】非磁性支持体3としては、一方の面に塗布される磁性塗料、特に磁性塗料中の溶剤が他方の面に向かって浸透しないように、表面に樹脂コートが施されたコート紙、合成紙、または合成フィルムを用いることが好ましい。合成フィルムとしては例えば、表面に易接着処理が施された白色ポリエステルフィルム等が挙げられる。また、白色以外に着色された非磁性支持体3を用いることもできる。
【0015】非磁性支持体3の一方の面には磁性層2が形成され、他方の面には必要に応じて、各種の印刷が可能な印刷受容層4が設けられる。印刷受容層4としては、例えば感熱層、熱転写インク受容層、インクジェット受容層、バブルインクジェット受容層、ドットインパクト受容層、レーザープリンタートナー受容層等が挙げられる。印刷受容層4の種類は、印刷方法や印刷物の表示目的に応じて適宜選択する。また、非磁性支持体3の材質や表面状態によっては、必ずしも印刷受容層4を設けなくてもよい。
【0016】磁性層2を形成するための磁性塗料には、強磁性粉末として、例えばSrフェライト粉末やBaフェライト粉末等の強磁性酸化鉄を分散させることが好ましい。磁性塗料に、例えばSm−Co粉末、Sm−Fe−N粉末、Nd−Fe−B粉末のような保磁力Hcの高い希土類強磁性粉末を用いた場合、着磁が難しくなる。
【0017】強磁性粉末の保磁力は700〜4000Oe程度が好ましい。保磁力が4000Oeを超えると、保磁力が高すぎて着磁が難しくなる。一方、保磁力が700Oeより低い場合には、十分な磁気吸着力が得られない。磁気吸着力には、強磁性粉末をシート状にしたときの残留磁束密度も影響する。残留磁束密度が1500G以上であれば、高い磁気吸着力を得やすい。
【0018】Srフェライト粉末およびBaフェライト粉末の平均粒径は、0.5〜5μm程度が好ましい。平均粒径が0.5μmより小さいと、磁性塗膜における磁性粉末の密度が大きくなり過ぎて磁性塗膜にカールが発生し、最終的にはクラックが発生する。また、平均粒径が5μmより大きいと、磁性塗膜の密度が粗くなり、塗膜強度が低下する。
【0019】上記のような強磁性粉末を分散させる高分子結合剤としては、熱可塑性および熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニルブロック共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートとの共重合体、もしくはブロック共重合体ポリエチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機高分子材料が挙げられる。これらは単独で、あるいは数種類の樹脂を組み合わせて使用できる。
【0020】磁性塗料中の結合剤の割合は、通常の磁気吸着シートを作製する場合、強磁性粉末100重量部に対して、8〜18重量部であることが好ましい。結合剤の割合がこれより小さいと、磁気吸着力を大きく出来る反面、塗膜が脆弱になる。したがって、磁気吸着シートの着脱時の変形により、粉落ちやクラック等の塗膜破壊が起こりやすくなる。一方、結合剤の割合が大き過ぎると、磁束密度が不足して、十分な磁気吸着力が得られない。
【0021】また、強磁性粉末に対する結合剤の割合が8〜18重量部の範囲内であっても、約15.4重量部より小さくなると、磁性塗料中で強磁性粉末の沈殿が起こりやすくなる。磁気吸着シートに用いられる強磁性粉末の平均粒径は例えば1.5μm程度であり、塗布型の磁気テープ等に用いられる強磁性粉末の粒径に比較すると大きい。したがって、強磁性粉末に対する結合剤の割合が低くなると、強磁性粉末の沈殿が特に起こりやすくなる。
【0022】沈殿が微量である場合は、磁性塗料の再攪拌により強磁性粉末を分散させることができる。しかしながら、磁性塗料中で沈殿した強磁性粉末は、自重で圧縮固化してしまうため、磁性塗料の調製から塗布までの時間が長い場合等には、再攪拌による強磁性粉末の分散が非常に困難となる。
【0023】したがって、塗布前に磁性塗料を長時間放置する場合には、磁性塗料中の結合剤の割合を、強磁性粉末100重量部に対して15.4〜18重量部程度にすることが好ましい。結合剤の割合を15.4〜18重量部にした場合、強磁性粉末の沈降が遅く、磁性塗料の再攪拌が容易である。また、磁性塗料の塗布中に強磁性粉末が沈降せず、一定の組成の磁性塗料を塗布できる。
【0024】磁性層の粘着を防止する目的で、結合剤に添加されるTg ≧80(℃)の樹脂としては、ポリエステルポリウレタン系樹脂(例えば、東洋紡製 UR1400 Tg=83(℃))、アクリル系樹脂(例えば、呉羽化学社製 バイヨンTg =80(℃))、アセタール系樹脂(例えば、積水化学社製 KS-10 Tg =106(℃)、KS-5 Tg =110(℃)、KX-5 Tg =86(℃))、ポリイミドアミド(例えば、東洋紡製 T100NR Tg =175(℃))、ニトロセルロース(例えば、旭化成製 NC-H301 、HIG-1 、SL-1、HI-1000 全てTg ≧150(℃))等が挙げられる。
【0025】また、Tg ≧80(℃)の樹脂として、特願平11−308153号の磁気記録媒体に用いられるものと同様のポリウレタン樹脂を用いることもできる。このポリウレタン樹脂によれば、鎖延長剤の選択に応じて、Tgの上限を通常のポリウレタン樹脂の70〜90℃から、110〜120℃程度まで上昇させることができる。
【0026】特に、セルロースアセテートブチラート(例えば、イーストマンケミカル社製CAB-381-0.1 Tg =123(℃)、CAB-381-0.5 Tg =130(℃)、CAB-551-0.2 Tg =101(℃))やセルロースアセテートプロピオネート(例えば、イーストマンケミカル社製 CAP-482-0.5 Tg =142(℃)、CAP-482-20 Tg =147(℃))等のセルロースアセテート系樹脂を結合剤として用いた場合には、磁性層の粘着が効果的に防止される。
【0027】これらの樹脂のTg が80℃より低い場合は、十分な粘着防止効果が得られない。本実施形態において、ガラス転移点Tg は熱分析のJIS規格(JISK7121)または熱分析のISO規格(ISO11357-1/-2)に規定されるものとした。
【0028】上記のTg ≧80(℃)の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂が結合剤中に占める割合は、全結合剤を100%とした場合に5〜60%が好ましい。この割合が5%より小さいと、磁性層の粘着を防止する効果が十分に得られない。一方、この割合が60%より大きいと、塗膜強度が極端に低下してしまう。
【0029】非磁性支持体の膜厚は0.05〜0.15mmの範囲が好ましい。本実施形態の磁気吸着シートが印刷受容層を有する場合には、印刷受容層を含む非磁性支持体の膜厚が0.05〜0.15mmであることが好ましい。非磁性支持体の膜厚が0.05mm未満の場合、印刷受容層または非磁性支持体の表面に印刷を施して表示する際に、磁性層の色が非磁性支持体の表面に透けてしまい、表示外観が悪くなることがある。
【0030】磁性層の膜厚は0.03〜0.1mmの範囲が好ましい。磁石の磁気的エネルギーは磁石の体積に比例するため、磁性層の膜厚が0.03mm未満の場合、十分な磁気吸着力を得られないことがある。例えば、磁気吸着シートを壁面のような地面に垂直な被吸着面に固定したいとき、磁性層の膜厚が薄すぎると、磁性層と非磁性支持体を合わせた磁気吸着シートの重量を、磁性層の磁気吸着力で支持できず、磁気吸着シートが落下することがある。
【0031】一方、磁性層の膜厚が0.1mmを超える場合、磁気吸着力は十分に得られるが、長期間使用時に、着脱時のシートの繰り返し変形で、機械的疲労による塗膜破壊が起こりやすくなる。また、磁性層の膜厚が厚くなり過ぎると、磁気吸着力が過剰となる。したがって、磁気吸着シートを積層したときにシートが互いに吸着し、プリンター等により印刷を行うのが困難となる。また、磁気吸着シートの全厚は0.08〜0.25mmの範囲が好ましい。磁性層を含む磁気吸着シートの全厚が0.25mmを超えた場合、一般家庭用印刷機で対応可能な範疇を逸脱してしまう。
【0032】本実施形態の磁気吸着シートは、磁性層の面内方向に磁化容易軸が配向され、磁化容易軸に沿って面内方向に着磁されるため、磁極間距離は磁性層の膜厚に依存しない。したがって、磁性層の膜厚を薄くしても、磁極間距離を十分に確保でき、反磁界が増大せずに減磁し難い。これにより、前述したような普通印刷用紙と同等の薄さを実現できる。
【0033】図2は、多極着磁された磁性層を模式的に示す斜視図である。磁性層2は面内方向に磁化容易軸を有し、磁性層2には磁化容易軸に沿って(N−S)(S−N)(N−S)・・・のような多極着磁が一定のピッチPで施される。磁性層2からは磁力線5で示すような磁界が発生する。
【0034】S極とS極、またはN極とN極が対向する磁極面からは、磁性層面に対して垂直方向に極大となるような漏れ磁束が発生する。これにより、磁性層2と被吸着体6である鋼板等との間に、効果的に磁気吸着力が作用する。磁気吸着時には被吸着体6がヨークとなり、ほぼ完全に磁気回路が閉じ、漏れ磁束は極小である。
【0035】本実施形態の磁気吸着シートの磁性層は、強磁性粉末を高分子結合剤および溶剤に十分に分散させて得られた磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布して形成される。磁性塗料の塗布には、例えばグラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0036】磁性塗料が塗布された非磁性支持体は、配向磁場中を通過する。これにより、強磁性粉末の磁化容易軸が磁性塗膜の面内方向へ配向される。さらに、非磁性支持体が熱風乾燥機を通過することにより、磁性塗料中の溶剤が蒸発して磁性塗膜が乾燥固化する。これにより、押出成形のような高温高圧設備を使用せずに、薄膜の磁性層が連続的に形成される。
【0037】磁性塗膜中の強磁性粉末の磁化容易軸を磁性塗膜の面内方向に連続的に配向させるには、磁性塗料を塗布した直後の非磁性支持体に、非磁性支持体の進行方向と平行な磁束の磁界を印加すればよい。例えば、図3に示すように、1対の永久磁石7a、7bを同極が対向するように配置して、磁力線8で示すような磁界を発生させる。永久磁石7a、7b間の磁気的反発により、非磁性支持体3の進行方向に磁束が発生する。この空間を非磁性支持体3が通過することにより、磁性塗膜9中の強磁性粉末が配向する。
【0038】あるいは、図示しないが、1対のソレノイドコイルを対向するように配置して磁界を発生させてもよい。この場合も、磁性塗料を塗布された非磁性支持体が、ソレノイドコイル間を通過することにより、磁性塗膜中の強磁性粉末が配向する。磁気吸着シートにおいて、高い磁気吸着力を安定に得るためには、磁場中で強磁性粉末の磁化容易軸を配向させながら、同時に磁性塗膜を乾燥(磁場中乾燥)させてもよい。
【0039】上記のように強磁性粉末の磁化容易軸を配向させた後、磁性層の面内方向に多極着磁が施される。図4は、本実施形態の磁気吸着シート1に着磁を行う方法の一例を示す概略図である。図4に示すように、長尺方向に交互に多極着磁を施した1対の角柱状の磁石バー11a、11bを同極対向するように平行に配置する。これらの磁石バー11a、11bの間隙に、磁気吸着シート1を通過させて着磁を行う。
【0040】このとき、磁性層2の磁化容易軸と磁石バー11a、11bの長尺方向とが平行となり、かつ磁化容易軸と磁気吸着シート1の進行方向とが直交するように、磁気吸着シート1を移動させる。磁石バー11a、11bとしては例えば希土類の永久磁石を用いる。希土類の永久磁石として、例えばSm−Co磁石、Sm−Fe−N磁石あるいはNd−Fe−B磁石等を用いることにより、例えば6000Oe以上の磁界が発生する。したがって、着磁対象であるSrフェライト粉末等の強磁性酸化鉄に十分着磁を行うことができる。
【0041】以上の構成を有する本実施形態の磁気吸着シートにおいて、磁気特性の一つである磁気吸着力は、ほぼ0.4gf/cm2 以上が好ましい。磁気吸着力が0.4gf/cm2 未満の場合は、磁気吸着シートを壁面のような地面に垂直な被吸着面に固定しても、磁気吸着シートの自重で落下したり、振動、衝撃あるいは室内空調の風圧等の外乱によって磁気吸着シートが容易に剥離したりする。また、磁気吸着シートの表面磁束密度は、ほぼ40G以上が好ましい。表面磁束密度がほぼ40G未満の場合、十分な磁気吸着力を得るのが難しい。
【0042】上記の本実施形態の磁気吸着シートは、磁性層がTg ≧80(℃)の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂を所定の割合で含有するため、長期間にわたって磁気吸着シートを磁気吸着させた場合や、被吸着面が加温される場合等にも、磁気吸着シートを被吸着面から剥離する際の塗膜破壊が防止される。
【0043】本実施形態の磁気吸着シートには、汎用されている複写機や、インクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターおよびレーザープリンター等の各種プリンターを用いて印刷を行うことが可能である。したがって、例えばデジタルカメラ等で撮影した画像や、スキャナーで取り込んだ画像等を印刷して掲示したり、ユーザーが独自に編集したカレンダーや料理のレシピ、スケジュール表等を印刷して、例えば冷蔵庫等の被吸着面に固定したりできる。また、磁気吸着シートの固定には、各種接着剤、接着テープ、画鋲、キャップマグネット等の固定材が不要である。したがって、例えば店舗内のポスター等としても好適に用いることができる。
【0044】以下、本実施形態の磁気吸着シートを、実際に作製した実験例に基づいて説明する。但し、本発明の実施形態は下記の実験例に限定されない。
(実験例1)下記の組成に従って強磁性粉末、結合剤および溶剤をボールミルで混合し、強磁性粉末を均一に分散させ、磁性塗料を調製した。磁性層の粘着を防止する目的で、結合剤にはセルロースアセテート系樹脂を添加した。
【0045】
磁性塗料材料 磁性粉末 Srフェライト粉末 100重量部 結合剤 ポリエステルポリウレタン樹脂 10.8重量部 セルロースアセテートブチラート 4.6重量部 溶剤 メチルエチルケトン 66重量部【0046】Srフェライト粉末としては平均粒径1.2μm、飽和磁化量σS =59(emu/g)、Hc=2800(Oe)の等方性粒子(戸田工業(株)製)を用いた。ポリエステルポリウレタン樹脂としては、数平均分子量Mn=30000、Tg =10(℃)のものを用いた。セルロースアセテートブチラート(以下、必要に応じてCABまたは樹脂Aとする。)としては、Tg =101(℃)のもの(イーストマンケミカル社製、CAB-551-0.2 )を用いた。
【0047】この塗料に硬化剤(日本ポリウレタン社製 コロネートHL)を0.3重量部添加した後、グラビアコーターを用いて、非磁性支持体であるインクジェット対応受容層付き白色合成紙(膜厚0.08mm)の印刷面の裏面に塗布した。続いて、図3に示すように、永久磁石の同極対向による面内配向磁場2kG中を通過させて、磁化容易軸の面内配向を行った。
【0048】次に、塗膜を乾燥させて磁性層厚0.05mm、全厚0.13mmの原反を得た。得られた原反を、50℃環境中に20時間以上保存して硬化処理した。その後、図4に示すような着磁機を用いて、面内方向に磁化が交互に反転するように、ピッチ幅2.0mmで多極着磁を施し、磁気吸着シートを得た。
【0049】(実験例2)結合剤のCABをセルロースアセテートプロピオネート(以下、必要に応じてCAPまたは樹脂Bとする。)に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。CAPとしては、Tg =140(℃)のもの(イーストマンケミカル社製 CAP-482-0.5 )を用いた。
【0050】(実験例3)結合剤のCABをポリエステルポリウレタン系樹脂に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。ポリエステルポリウレタン系樹脂としては、Tg =80(℃)のもの(東洋紡(株)製 UR1400、以下、必要に応じて樹脂Cとする。)を用いた。
【0051】(実験例4)結合剤のCABをアセタール系樹脂に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。アセタール系樹脂としては、Tg =85(℃)のもの(積水化学(株)製 BX-5、以下、必要に応じて樹脂Dとする。)を用いた。
【0052】(実験例5)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を14.6重量部に変更し、CABの添加量を0.8重量部に変更した。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から5%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0053】(実験例6)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を6.2重量部に変更し、CABの添加量を9.2重量部に変更した。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から60%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0054】(実験例7)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を5.6重量部に変更し、CABの添加量を2.4重量部に変更した。これにより、全結合剤中のCABの割合を30%としたまま、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部から8重量部に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0055】(実験例8)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を12.6重量部に変更し、CABの添加量を5.4重量部に変更した。これにより、全結合剤中のCABの割合を30%としたまま、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部から18重量部に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0056】(実験例9)強磁性粉末をHc =700(Oe)のBaフェライト粉末に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
(実験例10)Srフェライト粉末のHc を4000Oeに変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0057】(実験例11)Srフェライト粉末の平均粒径を0.5μmに変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
(実験例12)Srフェライト粉末の平均粒径を5μmに変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0058】(実験例13)結合剤のCABをポリエステル樹脂に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。ポリエステル樹脂としては、Tg =50(℃)のもの(東洋紡(株)製 バイロン600 、以下、必要に応じて樹脂Eとする。)を用いた。
【0059】(実験例14)結合剤のCABをポリエステルポリウレタン樹脂に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。ポリエステルポリウレタン樹脂としては、Tg =30(℃)のもの(日本ポリウレタン(株)製 ニッポラン2301、以下、必要に応じて樹脂Fとする。)を用いた。
【0060】(実験例15)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を4.2重量部に変更し、CABの添加量を1.8重量部に変更した。これにより、全結合剤中のCABの割合を30%としたまま、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部から6重量部に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0061】(実験例16)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を14.0重量部に変更し、CABの添加量を6.0重量部に変更した。これにより、全結合剤中のCABの割合を30%としたまま、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部から20重量部に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0062】(実験例17)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を15.4重量部に変更し、CABを添加しなかった。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から0%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0063】(実験例18)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を15.09重量部に変更し、CABの添加量を0.31重量部に変更した。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から2%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0064】(実験例19)実験例1におけるポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))の添加量を4.6重量部に変更し、CABの添加量を10.8重量部に変更した。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から70%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0065】(実験例20)実験例1においてポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))を添加せず、CABの添加量を15.4重量部に変更した。これにより、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量を15.4重量部としたまま、全結合剤中のCABの割合を30%から100%に変更した。これ以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0066】(実験例21)強磁性粉末をHc =300(Oe)のBaフェライト粉末に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
(実験例22)強磁性粉末をHc =5000(Oe)の希土類粉末に変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。希土類としてはSm−Co粉末を用いた。
【0067】(実験例23)Srフェライト粉末の平均粒径を0.1μmに変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
(実験例24)Srフェライト粉末の平均粒径を8μmに変更した以外は実験例1と同様にして、磁気吸着シートを得た。
【0068】上記の実験例1〜24において、ポリエステルポリウレタン樹脂(Tg =10(℃))とともに結合剤として用いられる樹脂の種類(樹脂A〜Fのいずれか)およびそのTg 、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量、樹脂A〜Eのいずれかの全結合剤中での割合(全結合剤の添加量を100%としたときの割合であり、表1の※樹脂添加量に対応する)、強磁性粉末の種類、保磁力および平均粒径を表1にまとめた。
【0069】
【表1】

【0070】上記の実験例1〜24の磁気吸着シートについて、ブロッキング(耐粘着性)、磁気吸着力、表面磁束密度および接着強度を評価した。ブロッキングの評価は、以下のように行った。各磁気吸着シートを8cm×8cmに切り出して金属に対して磁気吸着させた。その上に同形に切り出した磁気吸着シートを磁気吸着させ、45℃、湿度75%に維持された恒温槽の中に7日間放置した。その後、重ねられた磁気吸着シートを剥離し、シート間の粘着の有無を確認した。シート間の粘着が見られなかった場合を○、シート間の粘着が見られた場合を×と判定した。
【0071】磁気吸着力の評価は、以下のように行った。各磁気吸着シートを5cm×5cmに切り出し、磁気吸着面の裏側にシートと同形の樹脂板を粘着剤で貼り付けた。それを水平に固定した0.5mm厚鋼板上に磁気吸着させて、鋼板から垂直上方に剥離する際の最小剥離力をばね秤により測定した。ここで、{最小剥離力−(シート重量+粘着剤重量+樹脂板重量)}/シート面積=磁気吸着力とした。
【0072】表面磁束密度の評価は、以下のように行った。ベル社製ガウスメーター(4048型)およびトランスバース型プローブ(T−4048−001)を使用し、磁性層面に対して垂直方向の磁束密度の極大値を、磁性層の表面の任意の5点で測定した。これらの測定値を平均して、表面磁束密度とした。
【0073】接着強度の評価は、以下のように行った。各磁気吸着シートの磁性面上にシリコンテープを貼り付けた。30分後、シリコンテープを剥離して、磁性層の剥離の有無を確認した。磁性層の剥離がなく、シリコンテープ上で磁性層片が見られなかった場合を○、磁性層の少なくとも一部が剥離し、シリコンテープ上に磁性層片が見られた場合を×と判定した。なお、シリコンテープ貼付直後にシリコンテープを剥離した場合の磁性層の剥離についても試験したが、貼付直後と30分後で結果に違いは見られなかった。上記の各項目の評価結果を表2にまとめた。
【0074】
【表2】

【0075】表2に示すように、実験例1〜12では、ブロッキング特性と接着強度が○と判定され、磁気吸着力も0.4gf/cm2 以上となった。それに対し、実験例13〜20および実験例24はブロッキング特性と接着強度の一方が×と判定された。また、実験例21〜23はブロッキング特性と接着強度は○と判定されたが、磁気吸着力が不足した。
【0076】表1に示すように、実験例1〜12は保磁力700〜4000Oe、平均粒径0.5〜1.5μmの強磁性粉末を用い、Tg ≧80(℃)の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂を全結合剤の5〜60%添加した場合に対応する。この場合、磁性層表面の粘着が抑制された。
【0077】実験例13および14では、強磁性粉末は実験例1〜11と同様のものを用い、結合剤樹脂としてTg ≧80(℃)の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂のかわりに、Tg =50(℃)のポリエステル樹脂またはTg =30(℃)のポリウレタン樹脂を添加した。この場合、磁気吸着シートを長期間にわたって磁気吸着させた場合や、例えばポット等の加温される被吸着体に磁気吸着シートを磁気吸着させた場合、粘着が起こる。
【0078】また、実験例15に示すように、強磁性粉末に対する全結合剤の添加量の割合を減らした場合、強磁性粉末を分散させることができず、塗膜の形成が困難である。塗膜が形成された場合にも、強磁性粉末の粉落ちが起こりやすい。一方、実験例16に示すように、全結合剤が過剰に添加されている場合、磁気吸着シートを長期間にわたって磁気吸着させた場合や、加温される被吸着体に磁気吸着シートを磁気吸着させた場合、粘着が起こった。また、表面磁束密度も低かった。以上から、全結合剤の割合は強磁性粉末100重量部に対して、8〜18重量部の範囲が好ましいことがわかる。
【0079】実験例17および18では、Tg ≧80℃の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂を添加していないか、添加量が極めて少ない。したがって、全結合剤中でTg の低い樹脂が占める割合が多く、それらの樹脂によって粘着が起こりやすい。例えば、磁気吸着シートを長期間にわたって磁気吸着させた場合や、加温される被吸着体に磁気吸着シートを磁気吸着シートを磁気吸着させた場合、粘着が起こる。
【0080】一方、実験例19および20では、Tg ≧80(℃)の樹脂またはセルロースアセテート系樹脂が全結合剤に対して占める割合が60%を超えている。この場合、磁性層表面の粘着は抑制されたが、磁性塗膜が脆くなり、接着強度が低下して印刷時に粉落ちが起きた。以上のように、全結合剤に対するTg ≧80(℃)およびセルロースアセテート系樹脂の割合を5〜60%にすることにより、適切な塗膜強度を保ちつつ、磁性層面の粘着を防止することができる。
【0081】実験例21では保磁力300Oeの強磁性粉末を用いた。保磁力700Oe未満の強磁性粉末を用いた場合、表面磁束密度が低く、磁気吸着シートに要求される磁気吸着力が得られなかった。一方、実験例22では保磁力5000Oeの希土類強磁性粉末を用いた。保磁力が4000Oeを超える強磁性粉末を用いた場合、十分に着磁することができなかった。したがって、表面磁束密度が低く、磁気吸着シートに要求される磁気吸着力が得られなかった。以上のように、強磁性粉末としては保磁力がほぼ700〜4000Oeの範囲にあるSrフェライト粉末やBaフェライト粉末が好ましいといえる。
【0082】実験例23では平均粒径0.1μmの強磁性粉末を用いた。平均粒径0.5μm未満の強磁性粉末を用いた場合、磁性塗膜中の強磁性粉末の密度が高くなり過ぎる。これにより、磁性塗膜にカールが発生し、最終的にはクラックが発生する。これにより、表面磁束密度が低くなり、磁気吸着シートに要求される磁気吸着力が得られなかった。
【0083】一方、実験例24では平均粒径8μmの強磁性粉末を用いた。平均粒径が5μmを超える強磁性粉末を用いた場合、磁性塗膜中の強磁性粉末の密度が粗くなり、塗膜強度が極端に低下する。以上のように、使用する強磁性粉末の平均粒径は0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0084】図5は、強磁性粉末の保磁力と磁気吸着力の関係を示す図である。図5のデータは表1および表2から実験例1、9、10、21および22のデータを抽出したものである。これらの実験例において、全結合剤中のCABの割合は30%で一定である。また、強磁性粉末100重量部に対する全結合剤の添加量も15.4重量部で一定である。強磁性粉末の平均粒径も1.5μmで一定であり、強磁性粉末の種類および保磁力のみ互いに異なる。図5に示すように、強磁性粉末の保磁力が700〜4000Oeのとき、磁気吸着力が0.4gf/cm2 以上となり、磁気吸着シートに適した磁気吸着力が得られる。
【0085】図6は、磁気吸着シートの表面磁束密度と磁気吸着力の関係を示す図である。図6のデータは実験例1〜24のすべてについての表面磁束密度と磁気吸着力の関係を示す。表1および表2に示すように、例えば結合剤の添加量や強磁性粉末の粒径等が異なる場合であっても、表面磁束密度が同じであれば、磁気吸着力は同じとなった。図6に示すように、磁気吸着シートの磁気吸着力は表面磁束密度にほぼ比例した。
【0086】上記の本発明の実施形態の磁気吸着シートによれば、結合剤中にTg ≧80(℃)またはセルロースアセテート系樹脂を所定量含有する磁性塗料を用いて磁性層を形成することにより、磁性層の粘着を抑制することが可能となる。したがって、強磁性体に磁気吸着した磁気吸着シートを剥離した際に、磁性層の一部が剥離して、強磁性体に付着するのを防止できる。また、本実施形態の磁気吸着シートは、磁性層面に対して面内方向に磁化容易軸を有し、面内方向に着磁されるため、薄膜化が可能であり、一般の複写機およびプリンターでの印刷に適している。
【0087】一般家庭用のプリンター等を用いて、本実施形態の磁気吸着シートに画像、写真または文字等を印刷すれば、例えば自作のカレンダーやレシピ、スケジュール表を作製することが可能であり、これらの印刷物は例えば冷蔵庫の壁面等の強磁性体に任意に着脱可能である。
【0088】磁気吸着シートの大きさは任意に変更できるため、例えばポスター等の大判の磁気吸着シートを提供することも可能である。また、印刷インク等に耐水性・耐光性の高いものを用いることにより、例えば車等の外壁に表示を行うという応用も可能である。
【0089】本発明の磁気吸着シートの実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、上記の実験例以外のTg ≧80(℃)の樹脂を結合剤に添加してもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0090】
【発明の効果】本発明の磁気吸着シートによれば、磁性層の粘着性が適切に制御されるため、磁気吸着シートを被吸着面から剥離したとき、磁性層の一部が被吸着面に付着して残るのを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
【出願日】 平成13年8月8日(2001.8.8)
【代理人】 【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
【公開番号】 特開2003−59714(P2003−59714A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−240620(P2001−240620)