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【発明の名称】 ナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
【発明者】 【氏名】大森 靖也

【氏名】広沢 哲

【氏名】金清 裕和

【要約】 【課題】新規な組織構造を持つ鉄基硼化物/R2Fe14B系ナノコンポジットを提供し、保磁力や磁化を向上させる。

【解決手段】2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石を製造するに際して、急冷凝固合金に対する熱処理時間を従来よりも長くすることによって、新しい組織を形成する。その結果、硬磁性相の内部にFe微粒子が分散する組織を得て磁石特性を優れたものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 R2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石であって、内部にFe微粒子が分散している硬磁性相を含有するナノコンポジット磁石。
【請求項2】 前記硬磁性相の内部に分散しているFe微粒子の短軸方向サイズの平均値は、0.5nm以上10nm以下である請求項1に記載のナノコンポジット磁石。
【請求項3】 組成式がFe100-x-yxy、Fe100-x-y-zxyCoz、Fe100-x-y-uxyu、またはFe100-x-y-z-uxyCozuで表され、RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有し、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足する請求項1または2に記載のナノコンポジット磁石。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載のナノコンポジット磁石の粉末を含有するボンド磁石。
【請求項5】 R2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石の製造方法であって、原料合金の溶湯を急冷することにより、急冷凝固合金を作製する工程と、前記急冷凝固合金に対して熱処理を行うことにより、硬磁性相の内部にFe微粒子を分散させる工程と、を包含するナノコンポジット磁石の製造方法。
【請求項6】 前記硬磁性相の内部に分散しているFe微粒子の短軸方向サイズの平均値を0.5nm以上10nm以下にする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】 一般式がFe100-x-yxy、Fe100-x-y-zxyCoz、Fe100-x-y-uxyu、またはFe100-x-y-z-uxyCozuで表されるナノコンポジット磁石用合金であって、RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足するナノコンポジット磁石用原料合金の溶湯を用意する工程と、前記溶湯を冷却し、非晶質組織を含む急冷凝固合金を作製する工程と、前記急冷凝固合金に対して熱処理を施し、それによって、前記非晶質組織から鉄基硼化物およびFe−R−B系化合物を結晶化させる熱処理工程と、を包含するナノコンポジット磁石の製造方法であって、前記熱処理工程中に磁石の保磁力を熱処理時間の経過に伴って上昇させ、保磁力が最初のピークを超えて低下した後、再び保磁力を上昇させることを特徴とする、ナノコンポジット磁石の製造方法。
【請求項8】 前記熱処理工程において、前記急冷凝固合金が示す最高の温度を620℃以上800℃以下の範囲内に調節することを特徴とする請求項7に記載のナノコンポジット磁石の製造方法。
【請求項9】 請求項5から8のいずれかに記載の製造方法を用いて作製されたナノコンポジット磁石を用いてボンド磁石を作製することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
【請求項10】 請求項9に記載の製造方法によって製造されたボンド磁石を備えたモータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Fe3Bなどの鉄基硼化物の微結晶相とR2Fe14B系化合物の微結晶相とが混在するナノコンポジット磁石に関する。この磁石は、モータ、アクチュエータ、およびマグロール等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】鉄基硼化物/Nd2Fe14B系ナノコンポジット磁石は、Fe3Bなどの軟磁性相とNd2Fe14Bなど硬磁性相が同一金属組織内に均一に分布し、交換相互作用によって両者が磁気的に結合した永久磁石である。これらの構成相は、ナノメートル(nm)オーダーのサイズを持ち、複合化した組織(ナノコンポジット組織)を構成していることから「ナノコンポジット磁石」と呼ばれている。
【0003】ナノコンポジット磁石は、軟磁性相を含みながらも、硬磁性相との磁気的結合によって優れた磁石特性(保磁力)を発揮することができる。また、Ndなどの高価な希土類金属を含まない軟磁性相を含有することから、全体として希土類元素の含有量(濃度)が低く抑えられる。このことは、磁石の原料コストを低減し、磁石を安定的に供給するうえでも好都合である。
【0004】このようなナノコンポジット磁石は、溶融した原料合金を急冷し、それによって非晶質相を含む急冷凝固合金を形成した後、熱処理によって急冷凝固合金中に微結晶を析出させるという方法を用いて製造される。
【0005】上記の急冷凝固合金は、メルトスピニング技術やストリップキャスト法などの液体急冷技術を用いて作製される。液体急冷技術は、回転する冷却ロールの外周表面上に溶湯状原料合金短時間だけ接触させることにより、原料合金を急冷・凝固させるものである。この方法による場合、冷却速度の制御は冷却ロールの回転周速度や溶融金属の冷却ロールへの供給量を調節することによって行われる。
【0006】冷却ロール上で凝固し、冷却ロールから離れた合金は、周速度方向に薄く延びた薄帯形状(リボン)になる。この合金薄帯は破断機などによって破砕され、薄片化された後、粉砕装置によってより細かいサイズに粉砕されて粉末化される。
【0007】このようにして得られた急冷凝固合金(粉末)に対して、結晶化のための熱処理が行われる。この熱処理によって、非晶質相から軟磁性相である鉄基硼化物の微結晶と硬磁性相であるR2Fe14B相の微結晶が同一金属組織内に生成され、両者は交換相互作用によって磁気的に結合することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ナノコンポジット磁石の特性を向上させるには、製造工程の熱処理によってどのような金属組織を形成するかが重要である。しかし、この熱処理は制御性および再現性の観点で幾つかの問題点を有していた。すなわち、非晶質原料合金の結晶化反応で短時間に大きな熱が発生する結果、熱処理装置による合金温度の制御が困難であるという問題があった。特に、大量の原料合金粉末に対して熱処理を施そうとする場合、その温度制御が不能状態に陥りやすかったため、少量ずつの原料合金粉末に対してしか熱処理を施せなくなり、処理レート(単位時間あたりの粉末処理量)が低下してしまうという問題があった。このことは、磁石粉末の量産化にとって大きな支障となっていた。
【0009】このような問題を解決するため、本発明者らは、結晶化熱処理条件を最適化することにより、微細かつ均質な金属組織を持った鉄基硼化物/Nd2Fe14B系ナノコンポジット磁石の製造方法を発明し、特開2001−155913号公報に開示している。
【0010】このように熱処理条件によって磁石特性が大きく変動する鉄基硼化物/Nd2Fe14B系ナノコンポジット磁石については、従来から、結晶化熱処理時間が所定の範囲を超えて長くなると、各構成相の粗大化が進行するため、磁石特性が徐々に劣化するとの技術常識が存在していた。そのため、熱処理時間などの条件を狭い範囲内に設定する必要があり、また、得られた磁気特性も必ずしも充分ではないという問題があった。
【0011】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来とは異なる熱処理条件のもとで作製される、新規な結晶組織構造を備えた鉄基硼化物/Nd2Fe14B系ナノコンポジットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によるナノコンポジット磁石は、R2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石であって、内部にFe微粒子が分散している硬磁性相を含有する。
【0013】好ましい実施形態において、前記硬磁性相の内部に分散しているFe微粒子の短軸方向サイズの平均値は、0.5nm以上10nm以下である請求項1に記載のナノコンポジット磁石。
【0014】好ましい実施形態では、組成式がFe100-x-yxy、Fe100-x-y-zxyCoz、Fe100-x-y-uxyu、またはFe100-x-y-z-uxyCozuで表され、RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有し、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足する。
【0015】本発明によるボンド磁石は、上記のナノコンポジット磁石の粉末を含有することを特徴とする。
【0016】本発明によるナノコンポジット磁石の製造方法は、R2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石の製造方法であって、原料合金の溶湯を急冷することにより、急冷凝固合金を作製する工程と、前記急冷凝固合金に対して熱処理を行うことにより、硬磁性相の内部にFe微粒子を分散させる工程とを包含する。
【0017】好ましい実施形態では、前記硬磁性相の内部に分散しているFe微粒子の短軸方向サイズの平均値を0.5nm以上10nm以下にする。
【0018】本発明によるナノコンポジット磁石の製造方法は、一般式がFe100-x-yxy、Fe100-x-y-zxyCoz、Fe100-x-y-uxyu、またはFe100-x-y-z-uxyCozuで表され、RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足するナノコンポジット磁石用原料合金の溶湯を用意する工程と、前記溶湯を冷却し、非晶質組織を含む急冷凝固合金を作製する工程と、前記急冷凝固合金に対して熱処理を施し、それによって、前記非晶質組織から鉄基硼化物およびFe−R−B系化合物を結晶化させる熱処理工程と、を包含するナノコンポジット磁石の製造方法であって、前記熱処理工程中に磁石の保磁力を熱処理時間の経過に伴って上昇させ、保磁力が最初のピークを超えて低下した後、再び保磁力を上昇させる。
【0019】好ましい実施形態では、前記熱処理工程において、前記急冷凝固合金が示す最高の温度を620℃以上800℃以下の範囲内に調節することを特徴とする。
【0020】本発明によるボンド磁石の製造方法は、上記の製造方法を用いて作製されたナノコンポジット磁石を用いてボンド磁石を作製することを特徴とする。
【0021】本発明のモータは、上記の製造方法によって製造されたボンド磁石を備えていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明によるナノコンポジット磁石は、R2Fe14B系(Rは希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素)化合物の硬磁性相と、鉄基硼化物の軟磁性相とが同一組織内に混在するナノコンポジット磁石であって、内部にFe微粒子が分散する硬磁性相を含んでいる点に特徴を有している。
【0023】透過電子顕微鏡写真観察によると、R2Fe14B相の内部に存在しているFe微粒子の形状は完全な球状ではなく、長軸サイズ/短軸サイズ比(アスペクト比)が1を超える形状を有している。透過電子顕微鏡写真観察によると、Fe微粒子の短軸方向サイズの平均値は、0.5nm以上10nm以下である。
【0024】本発明によれば、従来の鉄基硼化物/R2Fe14B系ナノコンポジット磁石と比較して同等またはそれ以上の保磁力が得られる。一般に、ナノコンポジット磁石の保磁力は、硬磁性相と軟磁性相との間に生じる交換相互作用と異方性エネルギの比に強く依存するが、硬磁性相中に微細な軟磁性相が分散した状態にあるとき、最も高い保磁力が実現する。本発明によれば、一部の硬磁性相中にFe微粒子が分散し、その点で保磁力が従来構造のナノコンポジット磁石よりも向上している。
【0025】また本発明によれば、従来の鉄基硼化物/R2Fe14B系ナノコンポジット磁石よりも高い磁化および高いキュリー点を得ることも可能である。これは、本発明では、従来の鉄基硼化物/R2Fe14B系ナノコンポジット磁石に比較してNd2Fe233の量が少なく、その代わり、Nd2Fe233に比べて磁化およびキュリー点が高いNd2Fe14Bやα−Feの量が増加するためである。
【0026】本発明のナノコンポジット磁石は、適切な組成を有する原料合金の溶湯を急冷することにより、急冷凝固合金を作製した後、この急冷凝固合金に対する適切な熱処理を行うことにより得られる。
【0027】原料合金としては、一般式がFe100-x-yxy、Fe100-x-y-zxyCoz、Fe100-x-y-uxyu、またはFe100-x-y-z-uxyCozuで表される希土類合金を用いることが好ましい。なお、BはC(炭素)によって置換されていてもよく、また、Feの一部は遷移金属元素によって置換されててもよい。
【0028】ここで、RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元素である。上記一般式中の組成比x、y、zおよびuは、2≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足する。
【0029】従来、このような組成を有する原料合金の溶湯を急冷して作製した急冷凝固合金を熱処理によって結晶化させると、図1に示すようなカーブを描いて保磁力が増加すると考えられていた。このため、結晶化のための熱処理時間は保磁力が大きく低下しない時間範囲内に設定され、熱処理工程は保磁力が大きく低下する前に終了させられる。しかし、本発明者は、保磁力の熱処理時間依存性が図2に示すようなカーブではなく、実際は図2に示すようなカーブを描くことを見出し、本発明を想到するにいたった。
【0030】以下、図2および図3A〜3Fを参照しながら、本発明の特徴を詳しく説明する。
【0031】まず、図2を参照する。図2は、縦軸が保磁力HcJで横軸は熱処理の経過時間(対数表示)を示している。保磁力HcJは、図2に示すように、熱処理時間の経過に伴って上昇し、第1のピークを超えて低下した後、再び上昇を始め、第2のピークを迎える。保磁力の変化は、熱処理の進行に伴って組織が変化することを意味しており、保磁力HcJが第1のピークを超えて低下した後、再び上昇するのは、今まで知られていなかった組織構造の変化に起因している。
【0032】以下、熱処理の経過に伴って磁石の組織がどのように変化するかを説明する。
【0033】図3Aおよび図3Bは、図2のグラフにおける第1ステージ(Stage1)から第2ステージ(Stage2)への組織構造の変化を模式的に示している。第1ステージにおいては非晶質であった組織は、図3Bに示すように第2ステージにおいてFe3Bで示される鉄基硼化物が析出した状態に変化している。
【0034】次に図3Cを参照する。熱処理の進行に伴い、Fe3Bの表面にNd2Fe233が析出し始める。更に熱処理が進行すると、図3Dに示すように、今度はNd2Fe14Bが非晶質相から析出し、成長する。このような組織の変化に従って保磁力HcJは図2に示すように第1ピークに達する。この後、保磁力HcJは低下するが、この保磁力低下は、Nd2Fe233の再融解によって軟磁性相と硬磁性相との間の交換相互作用力と異方性エネルギとのバランスが崩れることによって生じるものと考えられる(図3E)。Nd2Fe233の再融解が進行し、図2に示すグラフの第5ステージにいたると、再び、保磁力の増大が開始する。この保磁力の増大は、図3Fに示すように、Nd2Fe233の分解によって微細Fe相が内部に分散したNd2Fe14B相が形成されるために生じると考えられる。このような組織が完成すると、保磁力は第2のピークを示すようになる(図2のグラフの第6ステージ)。このような保磁力の再上昇は、前述したように、硬磁性相中に微細な軟磁性相が分散した相が形成され、その部分の保磁力が増加するためである。熱処理を更に進めると、結晶組織が粗大化し、磁化反転が伝搬しやすくなる(すなわち、逆磁区が生成・成長しやすくなる)ことにより、保磁力は再び低下することになる。また、熱処理時間を極度に長くすると、系全体が熱平衡相であるα−FeとNd1.1Fe44に分解してゆき、Nd2Fe14Bが存在しなくなるため、保磁力はゼロに近い値にまで低下してしまう。
【0035】以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態における急冷合金の製造工程および結晶化熱処理工程を説明する。
【0036】[急冷合金の製造工程]本実施形態では、例えば図4(a)および(b)に示す装置を用いて原料合金を製造する。酸化しやすい希土類元素を含む原料合金の酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で合金製造工程を実行する。不活性ガスとしては、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスを用いることが好ましい。窒素は希土類元素と反応しやすいため、不活性ガスとして用いることは好ましくない。
【0037】図4の装置は、真空または不活性ガス雰囲気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金の溶解室1および急冷室2を備えている。
【0038】溶解室1は、所望の磁石合金組成になるように配合された原料20を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5を有する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8とを備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯え、その出湯温度を所定のレベルに維持できる加熱装置(不図示)を有している。
【0039】急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯21を急冷凝固するための回転冷却ロール7と、これによって急冷凝固された原料合金を急冷室2内で破砕する破断機10とを備えている。この装置によれば、溶解、出湯、急冷凝固、破断等を連続かつ平行して実行することができる。このような装置は、例えば特開平8−277403号公報に詳しく記載されている。
【0040】この装置においては、溶解室1および急冷室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御される。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、8b、および9bとガス排気口1a、2a、8a、および9aとが装置の適切な箇所に設けられている。
【0041】溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱される。
【0042】貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出湯ノズル5のオリフィス径は、例えば0.5〜2.0mmである。溶湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出湯ノズル5内を流れにくくなるが、溶解室1と急冷室2との間に適当な大きさの圧力差を形成することによって、溶湯21の出湯をスムーズに実行するこができる。
【0043】冷却ロール7の表面は例えばクロムめっき層で覆われており、冷却ロール7の直径は例えば300〜500mmである。冷却ロール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あたりの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
【0044】本装置によれば、例えば合計20kgの原料合金を20〜40分間で急冷凝固させることができる。こうして形成した合金は、破断前においては、厚さ:70〜150μm、幅:1.5〜6mmの合金薄帯(合金リボン)22であるが、破断装置10によって長さ2〜150mm程度の合金薄片23に破砕されたのち、回収機構部9によって回収される。図示している装置例では、回収機構部9に圧縮機11を備え付けており、それによって薄片23を圧縮することができる。
【0045】次に、図4の装置を用いた原料合金の製造方法を説明する。
【0046】まず、上述した組成を有する原料合金の溶湯21を作製し、溶解室1の貯湯容器4に貯える。
【0047】次に、溶湯21を出湯ノズル5から水冷ロール7上に出湯し、水冷ロール7との接触によって急冷し、凝固させる。
【0048】本実施形態では、溶湯21の冷却凝固に際して、冷却速度を5×104〜5×106K/秒とする。合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面ら合金が接触してから離れるまでの時間に相当し、本実施形態の場合は0.5〜2ミリ秒である。
【0049】急冷凝固合金の作製方法は、上記の方法に限定されず、他の急冷法、例えばストリップキャスト法などを用いても、上述の冷却速度、および、ロールと急冷合金との接触時間を満たすことができる。
【0050】なお、急冷室2内の絶対圧力は、2〜30kPaの範囲内に設定することが好ましく、3〜10kPaの範囲内に設定することが更に好ましい。このような減圧状態で溶湯21を冷却ローラ7上に流下すれば、溶湯21とローラ7の表面との間に雰囲気ガスがまき込まれるおそれがなくなり、溶湯21の冷却速度を従来より低くしても、冷却状態が均一化され、表面形状の優れた合金薄帯22が得られるからである。これに対して、常圧雰囲気中において、本実施形態のように遅い周速度で回転する冷却ローラ上に溶湯21を流下すると、合金薄帯22の表面形状が劣化してしまうおそれがある。
【0051】また、本実施形態のように、急冷凝固工程に引き続いて破砕装置による凝固合金の破砕工程を速やかに実行すれば、長い合金リボンとして冷却ロールから吐き出された急冷合金を比較的に狭い空間内でコンパクトに回収することができる。急冷凝固装置と破砕装置とを別構成にすると、いったん急冷合金を長い薄帯として、かさばった状態で収納する必要が生じる。
【0052】破断装置によって破砕された合金薄片を公知の機械的粉砕装置によって更に粉砕すれば、熱処理工程やその後の成形工程に適した大きさの合金粉末を作製することができる。本実施形態では、パワーミル装置で約850μm以下となるまで合金の粗粉砕を行った後、ピンディスクミル装置によって粒度が約150μm以下となるまで粉砕する。
【0053】[結晶化熱処理工程]以下に、図5を参照しながら、上記原料合金粉末に対して行う熱処理方法を説明する。
【0054】図5は、フープベルトを用いた粉末熱処理炉装置を示している。この装置は、本体28によって回転可能に支持された回転ロール24および25と、それらの回転ロール24および25の回転によって一方向に所定速度で駆動されるフープベルト26とを備えている。原料合金の粉末はフープベルト26上の原料フィード位置Aに供給され、図中左方に運搬される。フープベルト26上に供給された粉末は、摺切板27によって均され、それによって粉末の高さが一定レベル以下(例えば高さ2〜4mm)に調整される。その後、粉末は金属チューブに囲まれた加熱ゾーンに入り、そこで微結晶化のための熱処理を受ける。加熱ゾーン(例えば長さ1100mm)内には、例えば3ゾーンに分けて不図示のヒータが配置されている(1ゾーンの長さは例えば300mm)。粉末は加熱ゾーン内を移動しながら、熱処理を受けることになる。加熱ゾーンの後段には、例えば長さ800mmの冷却ゾーンCが存在し、粉末は水冷された金属筒内を通過することによって冷却される。冷却された粉末は、回転ローラ25の左下方で不図示の回収装置によって回収される。
【0055】この熱処理装置によれば、与えられた加熱ゾーンの長さに対して、フープベルト26の移動速度を調整することによって熱処理工程を制御することができる。
【0056】図6は回転するチューブを用いた粉末熱処理炉装置を示している。この装置は、本体31により回転可能に支持された回転チューブ32とを備えており、本体31の片端をジャッキ33によって上昇させることによって回転チューブ32に傾斜を与えることができる。回転チューブ32は、例えばステンレス鋼等の耐熱金属によって形成されており、その長さは3000mmのものが使用され得る。また、回転チューブ32には歯車が設けられており、この歯車は金属チェーンを介して不図示の動力モータに結合されている。動力モータが回転すると、その回転力が金属チェーンを介して歯車に伝達され、それによって回転チューブ32が回転することになる。
【0057】原料合金の粉末は、原料フィーダ34から回転チューブ32の内部へ供給され、傾斜配置された回転チューブ32内を図中右方向に運搬される。原料合金粉末は、チューブ32の回転にしたがって自重によりチューブ内壁を滑り、回転チューブ32の他端に設けられた排出口35に向かう。回転チューブ32の外周壁の一部は不図示のヒータによって囲まれ、加熱ゾーンを形成している。加熱ゾーン(例えば長さ1500mm)では、例えば3ゾーンに分けて不図示のヒータが配置されている。粉末は加熱ゾーン内を移動しながら、熱処理を受けことになる。
【0058】加熱ゾーンの後段部分には、例えば長さ500mmの冷却ゾーンが設けられていてもよい。冷却ゾーンを設ける代わりに、回転チューブ32の一部を大気中に剥き出しになるようにしていてもよい。粉末は、回転チューブ32内において加熱ゾーンを通りすぎた後、加熱ゾーンの後段部分おいて冷却される。冷却された粉末は、右下方で不図示の回収槽により回収される。
【0059】この熱処理装置によれば、加熱ゾーンの長さ、回転チューブの径、合金粉末の安息角に対する回転チューブの傾き、回転チューブの単位時間当たりの回転数などを変化させることによって、合金粉末のチューブ内移動速度を調整することができる。合金粉末のチューブ内移動速度を調整すれば、熱処理工程を制御することができる。
【0060】熱処理炉の制御としては、例えば、昇温レート100〜150℃/分にて熱処理温度550〜700℃にまで上昇させ、その状態を10〜60分程度のあいだ保持すればよい。その結果、粉末は結晶化発熱により、10〜50℃/秒の速さで昇温する。なお、この点の詳細は特開2001−155913号公報に記載されている。その後、合金温度を降温レート100〜150℃/分にて室温レベルまで低下させることが好ましい。
【0061】なお、熱処理の処理粉末量を増大させるには、例えば図5の装置の場合、フープベルト26の幅を広くし、フープベルト26の単位長さ当たりの粉末供給量を大きくする一方、加熱ゾーンの長さを長くし、回転ローラ24および25の回転周速度を早くすればよい。本発明による合金粉末によれば、熱処理に際して急激に大きな結晶化反応熱が生成されないため、熱処理工程における合金粉末の温度制御が容易である。その結果、粉末供給量を増加しても、安定した磁気特性を持つ磁石粉末を作製できる。
【0062】上記熱処理装置による熱処理を受けた原料粉末は、前述したように微結晶化し、ナノコンポジット磁石としての特性を発揮できるようになる。
【0063】熱処理工程における急冷凝固合金の最高到達温度は、硬磁性相であるR2Fe14B相の析出に影響する。最高到達温度が620℃未満の場合は、R2Fe14B相が析出せず、固有保磁力が発現しない。最高到達温度が800℃を超える場合、軟磁性相である鉄基硼化物の結晶粒が過度に成長するため、R2Fe14B相との交換相互作用が弱まり、0.5T以上の残留磁束密度が得られない。このため、最高到達温度は、620℃以上800℃以下であることが好ましい。また、特に優れた磁気特性を発揮させるには、650℃以上770℃以下であることが好ましい。
【0064】[磁石の製造方法]以下に、上記ナノコンポジット磁石合金粉末から磁石を製造する方法を説明する。
【0065】まず、前述のようにして得られたナノコンポジット磁石合金粉末にエポキシ樹脂からなるバインダーと添加剤とを加え、混練することによってコンパウンドを作製する。次に、コンパウドの所望形状の成形空間を持つ成形装置によってプレス成形した後、加熱硬化工程、洗浄工程、コーティング工程、検査工程、着磁工程を経て、最終的なボンド磁石を得ることができる。
【0066】成形加工は、上述の圧縮成形に限定されるわけではなく、公知の押出成形、射出成形、または圧延成形によってもよい。磁石粉末は、採用する成形法の種類に応じてブラスチック樹脂やゴムと混練されることになる。
【0067】なお、射出成形による場合、樹脂として広く使用されているポリイミド(ナイロン)の他、PPSのように高軟化点樹脂を使用することができる。これは、本発明の磁石粉末が低希土類合金から形成されているため、酸化されにくく、比較的に高い温度で射出成形を行っても磁石特性が劣化しないからである。
【0068】また、本発明の方法で製造された磁石は酸化されにくいため、最終的な磁石表面を樹脂膜でコートする必要もない。従って、例えば、複雑な形状のスロットを持つ部品のスロット内に射出成形によって本発明の磁石粉末および溶融樹脂を圧入し、それによって複雑な形状の磁石を一体的に備えた部品を製造することも可能である。
【0069】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0070】[実施例]
(実施例1)表1に示す組成を有する試料(No.1〜No.4)の各々について、純度99.5%以上のB、Fe、Cr、Ndの材料を用いて総量が30グラムとなるように秤量し、石英るつぼ内に投入した。
【0071】
【表1】

【0072】表1において、例えば「R」と表示している欄の「Nd4.5」は4.5原子%のNd(ネオジム)を含有していることを示し、「Cr」と表示している欄の「3」は3原子%のCrを添加したことを示している。
【0073】溶湯作製に用いた石英るつぼは、底部に直径0.8mmのオリフィスを有しているため、上記原料は石英るつぼ内で溶解された後、合金溶湯となってオリフィスから下方に滴下することになる。原料の溶解は、圧力が1.33kPaのアルゴン雰囲気下において高周波加熱法を用いて行った。本実施例では、溶湯温度を1500℃に設定した。
【0074】合金溶湯の湯面を26.7kPaのArガスで加圧することによって、オリフィスの下方0.7mmの位置にある銅製ロールの外周面に対して溶湯を噴出させた。ロールは、その外周面の温度が室温程度に維持されるように内部が冷却されながら高速(ロール周速度20m/s)で回転する。このため、オリフィスから滴下した合金溶湯はロール周面に接触して熱を奪われつつ、周速度方向に飛ばされることになる。合金溶湯はオリフィスを介して連続的にロール周面上に滴下されるため、急冷によって凝固した合金は薄帯状に長く延びたリボン(幅約1mm、厚さ:30μm〜50μm)の形態を持つことになる。
【0075】本実施例で採用する回転ロール法(単ロール法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間当たりの溶湯流下量によって規定される。この溶湯流下量は、オリフィス径(断面積)と溶湯圧力とに依存する。本実施例の流下レートは約0.5〜1kg/分であった。
【0076】試料No.1〜4について、得られた急冷凝固合金の組織をCuKαの特性X線により調べた。その結果、上記各試料の組織は、いずれも、アモルファス相であることを確認した。
【0077】次に、上記の急冷凝固合金を長さ10mm〜20mmの短冊状にし、Arガス中で30℃/分で昇温した後、表1に示す熱処理温度で8000秒間保持する等温熱処理を施した。
【0078】図7は、熱処理経過時間が60秒、300秒、600秒、1800秒、3600秒、7200秒間の各々の段階における固有保磁力を示す。図7の各曲線は、以下の条件で処理された試料に関するものである。
【0079】「□」:Cr濃度0原子%、熱処理温度750℃(試料No.0)
「○」:Cr濃度3原子%、熱処理温度700℃(試料No.1)
「△」:Cr濃度3原子%、熱処理温度750℃(試料No.2)
「▽」:Cr濃度20原子%、熱処理温度700(試料No.3)
「◇」:Cr濃度20原子%、熱処理温度750(試料No.4)
【0080】また、X線回折および透過型電子顕微鏡を用いてNo.0〜No.4の各試料の等温保持における構成相の変化を調査した。その結果、等温保持の初期段階においてアモルファス組織から軟磁性を有するFe3Bの結晶化が始まり、次いで同じく軟磁性を示すNd2Fe233が析出し、その後、硬磁性相であるNd2Fe14B相がFe3BおよびNd2Fe233の界面から析出することがわかった。これにより、図7における固有保磁力の第1ピークが表れる。
【0081】その後に、Nd2Fe233の再溶解に伴って軟磁性相と硬磁性相との間に働く交換相互作用の大きさが変化し、固有保磁力が減少した。更に等温保持を続けると、Nd2Fe233の再溶解後にα−FeとNd2Fe14Bが析出し、図7における固有保磁力の第2ピークが表れた。その後は、結晶組織が粗大化し、Nd2Fe14Bが分解することにより、固有保磁力が低下していった。
【0082】透過型電子顕微鏡を用いた解析の結果、No.1〜No.4のいずれの試料も図7における固有保磁力の第2ピーク付近における組織は、平均結晶粒径30nm以下のNd2Fe14B、α−FeおよびFe3Bから構成されていた。また、α−Feは、Nd2Fe233の再溶解後、Nd2Fe14Bと共析変態したように析出したものであることを観察した。図8は、この段階における試料No.0の透過型電子顕微鏡写真を示している。
【0083】なお、本実施例では、保磁力向上に効果的な添加元素としてCrを添加しているが、Crに代えて、あるいは、Crとともに他の金属元素を添加してもよい。
【0084】[組成限定理由]最後に、合金組成の限定理由を説明する。
【0085】希土類元素Rは、硬磁性相であるR2Fe14Bに必須の元素である。本発明でのRは、PrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%未満含有する。PrおよびNdのいずれか一方の元素は、一軸結晶磁気異方性を持つR2Fe14Bを生成するために不可欠である。PrおよびNd以外の希土類元素は、適宜任意に選択される。Rの組成比は、2原子%を下回ると保磁力発生の効果が少なすぎるので好ましくない。一方、Rの組成比が6原子%を超えると、Fe3B相およびNd2Fe14B相が生成されず、α−Fe相が主相となってしまうため、保磁力が著しく低下してしまうことになる。以上のことから、Rの組成比xについては、2≦x≦6であることが好ましい。
【0086】Bは、軟磁性相であるFe3Bおよび硬磁性相であるR2Fe14Bの両方にとって必須の元素である。Bの組成比yが16〜20原子%の範囲から外れると所要の保磁力が発揮されないため、Bの組成比yについては16≦y≦20であることが好ましい。Bがこの組成範囲を外れると、融点が上昇し、溶解温度および貯湯容器の保温温度を高める必要が生じ、また、非晶質生成能も低下するので所望の急冷合金組織が得られにくくなる。
【0087】Coは、キュリー温度を向上させることによって磁気特性の温度変化依存性を減少させ、その結果、磁気特性を安定化させるという機能を持つ。また、合金溶湯の粘性を改善するという機能もあり、溶湯流下レートの安定化にも寄与する。Coの添加割合が0.02原子%を下回ると上記機能が充分に発揮されず、7原子%を超えると磁化特性が低下し始める。Coの添加は、これらの機能を発揮させたい場合に行えば良く、本発明の効果を得る上でCoの添加が不可欠であるわけではない。Coを添加する場合は、上述の理由から、その組成比zについて0.2≦z≦7が成立することが好ましい。
【0088】Mは、保磁力をできるだけ増加させたい場合などに添加する。Mの添加割合が0.01原子%を下回ると、添加による保磁力増加の効果が充分に観察されず、Mの添加割合が7原子%を超えると、磁化が低下する。従って、Mを添加する場合は、その組成比uについて、0.1≦z≦7が成立することが好ましい。Mの中で、Crは保磁力増加の他に耐食性向上の効果も発揮する。また、Cu、Au、Agは結晶化熱処理工程での適正温度範囲を拡大する効果もある。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、従来よりも長い結晶化熱処理を行うとにより、新規な組織構造(R−Fe−B型硬磁性相の内部にFe粒子が分散した構造)を作製し、鉄基硼化物/R2Fe14B系ナノコンポジットの保磁力を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000183417
【氏名又は名称】住友特殊金属株式会社
【出願日】 平成13年8月21日(2001.8.21)
【代理人】 【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
【公開番号】 特開2003−59708(P2003−59708A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−249938(P2001−249938)