| 【発明の名称】 |
超電導材用シース材およびその製造方法並びに超電導線材 |
| 【発明者】 |
【氏名】西島 道彦 【住所又は居所】東京都千代田区鍛冶町二丁目9番12号 株式会社徳力本店内
【氏名】渡辺 治 【住所又は居所】東京都千代田区鍛冶町二丁目9番12号 株式会社徳力本店内
|
| 【要約】 |
【課題】伸線加工時の強加工に耐える十分な機械的強度を有する超電導材用シース材を実現する。
【解決手段】Cuを材料としたパイプの内面に、Agを材料としたパイプを嵌合して複合材とし、これに伸線加工を行うことによってシース材とし、酸化物系超電導材料との親和性に優れ、伸線加工時の機械的強度に優れた超電導材料の線材加工に用いるシース材を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超電導材の線材加工に用いる超電導材用シース材において、外側材をCuとし内側材をAgとした複合材によるパイプとすることを特徴とする超電導材用シース材。 【請求項2】 請求項1において、前記内側材を、Ag合金としたことを特徴とする超電導材用シース材。 【請求項3】 超電導材の線材加工に用いる超電導材用シース材の製造方法において、Cuを材料としたパイプの内側に、Agを材料としたパイプを嵌合して、複合材のパイプとすることを特徴とする超電導材用シース材の製造方法。 【請求項4】 請求項3において、前記Cuを材料としたパイプの内側に、Ag合金を材料としたパイプを嵌合することを特徴とする超電導材用シース材の製造方法。 【請求項5】 超電導材料を内側に包含する超電導線材において、超電導材料の周囲を、外側材をCuとし内側材をAgとした複合材からなるシース材で覆ったことを特徴とする超電導線材。 【請求項6】 請求項5において、前記内側材を、Ag合金としたことを特徴とする超電導線材。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超電導材料を内側に包含する線材に用いる超電導材用シース材およびその製造方法並びに超電導線材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、酸化物系超電導材料の線材を製造する場合は、材料としてAgもしくはAgの加工性を損なわない程度に添加元素を加えたAgを主体としたAg合金または酸素に対するAgの特性を活かした内部酸化型分散強化材等の材料をパイプ状に成形したシース材を製作し、そのシース材内部に酸化物系超電導材料の粉体を充填した後、それを段階的に伸線加工し、必要に応じてその前後に熱処理等を施し、粉体を融合させて酸化物系超電導線材とすることが行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の技術においては、AgもしくはAgを主体としたAg合金をシース材の材料として用いるために、Ag本来の特性である室温での経時軟化が発生し機械的強度が不足することによって、内部に充填した粉体の部分的な固化等により、伸線加工時に局所的な応力過大を生じ、シース材の亀裂等が発生し易く、時には断線に至るという問題があった。 【0004】この結果、生産時の歩留まりが低下するばかりか、伸線加工時に断面積減少率を大きくとる強加工が困難であり、生産効率が低く生産コストが上昇するという問題があった。そこで、本発明は、伸線加工時の強加工に耐える十分な機械的強度を有するシース材を実現することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、超電導材料の線材加工に用いる超電導材用シース材を、外側材をCuとし、内側材をAgまたはAg合金とした複合材によるパイプとしたことを特徴とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に、本発明による超電導材用シース材の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態を示す斜視図、図2はシース材の製造方法を示す説明図である。超電導材用シース材1は、外側材2をCuとし、内側材3をAgとした複合材によるパイプである。 【0007】4は酸化物系超電導材料であり、シース材1の内部に充填されている。シース材1の製造は、例えば図2に示すように外側材2であるCuを材料としたパイプを製作し、その内径と嵌合する外径を有する内側材3であるAgを材料とするパイプを製作する。その後これらを嵌合させ所望の太さのパイプに伸線加工しシース材1とする。 【0008】外側材2と内側材3のパイプを製作する方法は、塊状の素材を圧延または押出し成形する方法、板状の素材を曲げ加工により略円形断面としてその合せ面を鍛接または熔接等により接合する方法、幅の狭い板状の素材をらせん状に成形しその合せ面を接合する方法、実棒の内部を旋削等によってくり抜き成形する方法等がある。 【0009】複合材とする方法は、上記の如く各パイプを嵌合する方法の他に、板状のCu材にめっき技術を用いて両面または片面にAgめっきを施すか、または板状のCu材とAg材を重ね合わせ圧接等によって複合材による板材を成形し、これを上記と同様の方法でパイプ状に成形する等の方法がある。以上のようにして得られた複合材によるパイプを用いて超電導線材を製造する場合は、複合材によるパイプ内に酸化物系超電導材料を充填し、熱処理を施しながら段階的に伸線加工を行い所望の外径、長さに成形し、酸化物系超電導材料の線材とする。 【0010】この超電導線材は、束ねるかまたはより合せる等によって、例えば電力用ケーブルとして使用することができる。上述した超電導材用シース材1の作用について説明する。本発明の超電導材用シース材1は、外側材2をCuとし内側材3をAgとする複合材によるパイプであるため、内側材3であるAgが超電導材料である酸化物との親和性を維持する。 【0011】また、外側材2であるCuは、室温状態での経時軟化現象が極めて緩やかであるため、酸化系超電導材料の線材加工時の伸線加工に対して十分な機械的強度を確保することができる。これによって、加工性に優れた超電導材用のパイプ状のシース材1を得ることができる。 【0012】以上のような本発明のシース材1の加工性を調べるために、下記に示す試験を実施した。本発明のシース材1の加工性を調べるために、Cuを材料とした外径50mm、内径40mm、長さ500mmのCuパイプに、Agを材料とした外径40mm、内径30mm、長さ500mmのAgパイプを嵌合させ、これを伸線加工して外径20mm、内径16mm、肉厚2mmのパイプ状のシース材を製作した。 【0013】また、比較のために、Agを材料として外径20mm、内径16mm、肉厚2mmの従来例のパイプ状のシース材を製作した。このような両者にそれぞれ酸化物系超電導材料を充填し、熱処理を施しながら段階的に伸線加工を行い、外径0.5mmの酸化物系超電導材料の線材を製作した。 【0014】この伸線加工時の加工性の指標を断線または亀裂の発生として、両者の加工性を比較した結果を表1に示す。ここに、加工線径として示した、例えば20>d≧10は、外径20mmの線材を外径10mmに伸線加工する過程を示し、表中の回数を表す数字は、その過程で発生した断線または亀裂の回数を示す。 【0015】 【表1】
【0016】表1に示したように、本発明の超電導材用シース材1は、伸線加工による亀裂や断線の発生がなく、極めて良好な加工性を示した。なお、試料として用いた本発明のパイプ状のシース材1は、CuとAgの肉厚がほぼ同等であるが、肉厚の比率としてはこの例に限るものではない。以上は、内側材3をAgとして説明したが、0.2wt%Mg−Ag合金等のAg合金を内側材3として用いても本発明の効果を損なうものではない。また、従来から用いられているAg合金を内側材3として用いても同様の効果が得られる。 【0017】更に、外側材2としてのCuも、Cuとしての加工性を損なわない程度に添加元素を加えたCu合金であってもよい。 【0018】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、CuとAgの複合材によるパイプを超電導材用シース材とすることにより、内側に配置したAgによって酸化物系超電導材料との親和性を維持しつつ、外側に配置したCuによって伸線加工時の強度を確保し、伸線加工時の強加工に耐えるに十分な強度を有するようにしたため、シース材の亀裂や断線等の発生を防止することができるという効果が得られる。 【0019】また、この結果、生産時の歩留まりが向上し、伸線加工時に強加工が可能となるため、生産効率が向上するばかりか、Agの使用量を節約することができ、生産コストを低減できるという効果が得られる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000152158 【氏名又は名称】株式会社徳力本店 【住所又は居所】東京都千代田区鍛冶町2丁目9番12号
|
| 【出願日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069615 【弁理士】 【氏名又は名称】金倉 喬二
|
| 【公開番号】 |
特開2003−86031(P2003−86031A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月20日(2003.3.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−271136(P2001−271136) |
|