| 【発明の名称】 |
付着物除去方法および付着物の除去装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】日塔 光一 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】小田 直敬 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】東海林 裕一 【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株式会社東芝浜川崎工場内
【氏名】阪本 弘志 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内
【氏名】松山 慎一郎 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内
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| 【要約】 |
【課題】壁面に損傷を与えることなくグローブボックスの壁面内側の付着物を除去する。
【解決手段】本発明では、レーザ光を照射するレーザ光照射装置5を用い、グローブボックス1の透明な壁面2の外側からレーザ光を内部に照射する。壁面2の内面には塵埃や蒸気などの付着物Sが付着しているが、レーザ光の照射によって付着物の付着に寄与する電子にエネルギーを与えて振動させ、その結合力を奪うことにより容易に剥離させることができる。剥離した付着物は吸引装置4によって回収される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザ光を透過する性質を有し付着物が付着する部材に対して、この付着物と当該部材との境界面からレーザを照射し、当該付着物を前記部材から剥離させることを特徴とする付着物の除去方法。 【請求項2】 レーザ光を透過する性質を有し付着物が付着した部材を用意するステップと、前記部材に対して、この付着物と当該部材との境界面からレーザ光を照射するステップと、レーザ光の照射によって剥離した付着物を回収するステップと、を有することを特徴とする付着物の除去方法。 【請求項3】 レーザ光を透過する性質を有する部材に対してレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記レーザ光照射手段からレーザ光が照射される際に、この付着物と当該部材との境界面から剥離する付着物を回収する付着物回収手段と、を有することを特徴とする付着物の除去装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、壁面に付着した付着物の除去方法および付着物の除去装置、および密閉空間からの付着物除去方法に係り、例えば原子力産業、放射線医療などの放射性物質または核燃料(核原料)物質を取り扱う産業において、これらの物質の取り扱いを容易にするための付着物除去方法および付着物の除去装置、および密閉空間からの付着物除去方法に関する。 【0002】 【従来の技術】放射性物質、核燃料物質、劇物、毒物などを取り扱う場合、周囲の環境や人体に対する悪影響を極力防止するために、外部と密閉された空間の中で作業を行う必要がある。このような作業を行うために、グローブボックスと呼ばれる装置が知られている。グローブボックスの大きさや設置方法は、取り扱う物質や状況によって異なるが、一般的には図6に示す構造となっている。 【0003】同図に示すようにグローブボックス1は、周囲を壁面2で規定された密閉空間である。壁面2はその全体が樹脂やガラスなどの透明な材料からなっているか、あるいは壁面2の一部に樹脂やガラスなどの覗き窓(図示せず)が形成されている。また、壁面2の一部に穴が開けられてゴム製のグローブ3が固定されている。なお、壁面2とグローブ3との間は気密となるように適切なシールがなされている。 【0004】グローブボックス1内では、その作業内容に応じて塵埃が発生したり、あるいは化学反応によって蒸気が発生したりする。このような塵埃や蒸気などを吸引除去するために吸引装置4が配置されており、塵埃や蒸気はグローブボックス1の外部に排出され処理される。吸引装置4は、吸い込み口である吸引ヘッド4aと、湾曲自在な吸引ホース4bと、吸引した塵埃や蒸気を捕集する捕集ユニット4cとを備えている。 【0005】このような構成のグローブボックス1においては、作業者がこのグローブ3に手を挿入することにより、グローブボックス1の内部で放射性物質、核燃料物質、劇物、毒物などを用いた所定の手作業を行うことができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】グローブボックス1を利用した作業においては、放射性物質、核燃料物質、劇物、毒物などを扱う都合上、作業により発生した塵埃や蒸気をその都度吸引装置4によって除去する必要がある。しかし、これらを完全に除去することは不可能である。そのため、グローブボックス1による作業を長期間に亘って行った場合、発生した塵埃や蒸気が徐々に壁面2に付着し堆積することになる(図7参照)。こういった付着物Sは作業者Wの視界を低下させる原因になり好ましくない。そのため、壁面2の内壁は定期的にクリーニングされている。具体的には、グローブ3を介してウエスや布をつかみ、薬液等を用いて手作業で付着物Sを除去したり、あるいはグローブ3の届かない場所については棒やブラシなどの長尺な用具を利用して除去している。 【0007】しかし、グローブ3はその基部が壁面2に対して頑強に固定されており、また気密性を重視して破けにくい素材から製作されている。したがって、上述のようなクリーニング作業には向かず、その作業性を向上させることは困難であった。特に、視認性に影響する手前側壁面の上部(作業者Wの視界付近)をクリーニングするためには、手を逆向きにひねって伸ばすといった無理な姿勢で行わなければならず、拭き残しが発生するなどの不具合があった。 【0008】このような状況の中、グローブボックス内をクリーニングする方法として、壁面に液体や粒子を吹き付けて付着物を研磨し除去する方法(例えば特開平5−87983号公報)などが知られている。しかし、こういった方法では付着物を除去することができる反面、壁面自体も研磨されてしまう。したがって、クリーニングを繰り返すに従い壁面が徐々に曇りガラスのようになってしまい、壁面の視認性が低下し作業効率の悪化を招く要因となる。 【0009】こういった問題は放射性物質などを扱うグローブボックスに限ったものではなく、壁面を挟んで作業者と反対側に位置する面をクリーニングする用途に共通する問題である。例えば、水槽などの容器内面やビルの窓外面などをクリーニングする場合などに相当する。 【0010】本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、壁面に損傷を与えることなく壁面の付着物を除去する付着物除去方法および付着物の除去装置の提供を目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明においては、レーザ光を透過する性質を有し付着物が付着する部材に対して、この付着物と当該部材との境界面からレーザを照射し、当該付着物を前記部材から剥離させる付着物の除去方法とした。 【0012】また、レーザ光を透過する性質を有し付着物が付着した部材を用意するステップと、前記部材に対して、この付着物と当該部材との境界面からレーザ光を照射するステップと、レーザ光の照射によって剥離した付着物を回収するステップとを有する付着物の除去方法とした。 【0013】さらに、レーザ光を透過する性質を有する部材に対してレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記レーザ光照射手段からレーザ光が照射される際に、この付着物と当該部材との境界面から剥離する付着物を回収する付着物回収手段とを有する付着物の除去装置とした。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、図6,7に示した従来技術と同一構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。 【0015】図1は、本発明に係る付着物除去方法を説明するための一例として示されたグローブボックスの模式図である。同図に示されるようにグローブボックス1は壁面2により気密に形成されていて、壁面2の内側でグローブ3の周囲には付着物Sが付着している。一方、この壁面2において付着物Sの付着する面とは反対の面、つまりグローブボックス1の外部には、レーザ光照射装置5が配置されている。レーザ光照射装置5はそのベースに位置するレーザ発振ユニット5aにレーザ光源を備え、多関節アームからなる伝送ユニット5b内に敷設した光ファイバによりレーザ光Lを導き、照射ユニット5cから外部にレーザ光Lを照射するよう構成されている。 【0016】なお、照射ユニット5c内には、照射状態を監視するためのモニターカメラや、レーザ光を走査するためのスキャンミラーなどを設けることができる。 【0017】一般に、樹脂やガラスなどの透明な材料であれば、照射されたレーザ光は透過する。そのため、図示のように壁面2に対してレーザ光Lを照射した場合、レーザ光Lは壁面2を透過してグローブボックス1の内部に到達する。もちろん、壁面の視認性がそれ程良くなくてもレーザ光が透過する材料も存在するため、壁面2の材料としては種々のものが選択できる。 【0018】図2(a)は、本発明による付着物除去の原理を説明するためのものであり、図2(b)は本発明を説明するための参考図である。本発明に基づく付着物除去の基本的な原理は、塵埃や蒸気などの付着物が静電力やファンデルワールス力等で他の物質(ここでは壁面)に付着していることに着目している。そして、付着に寄与する電子にエネルギーを与え、付着物もしくは壁面を振動させて結合力を奪い脱離させるのである。付着物の剥離の際に、壁面2にはキズや擦れなどは形成されない。 【0019】一方、同図(b)に示すように付着物Sにレーザ光Lを直接照射した場合、付着物Sが直接励起されて除去される。しかし、この場合には付着物Sの表面部分に対してのみレーザ光Lの影響が及ぶに留まる。つまり、付着物Sに堆積むらがある場合、低く堆積している部分については短時間で除去できるのに対して、高く堆積している部分についてはレーザ光Lの繰り返し照射が必要となり、結果として作業時間の短縮に支障が生じる。 【0020】これに対して本発明では、図2(a)に示したように、壁面2の反対側からレーザ光Lを透過させ、レーザ光を付着物Sに対して間接的に照射している。この方法を用いることにより、付着物Sの堆積むらに拘らず、付着物Sの壁面2側の面から均一に結合力が奪われ剥離することになる。このように、付着物の裏面から付着物に対してレーザ光を照射することにより、短時間で効果的に壁面をクリーニングすることができる。 【0021】ここでレーザ光の光源としては、パルス発振のレーザを用いることができる。特に、照射時間を10ns以下に短くすることで、瞬間的に非常に強いエネルギーが発生し、電子を確実に励起して振動させることが可能になる。また、付着物が壁面に均一に付着している場合には、レーザ光の1パルス目の照射位置と2パルス目の照射位置をレーザビーム径の1/2以上重なるようにスキャンさせることで、壁面を均一にクリーニングできる。なお、付着物の粒径によって付着力が異なるため、レーザ光の強度とスキャン速度(レーザ光の1パルス当たりの移動距離)を変化させてクリーニングの状態をコントロールすることも可能である。 【0022】図1に示すように、グローブボックス1内には各種の構造部材が配置されており、その中にはレーザ光Lによりダメージを受けてしまうものあると考えられる。そういった構造部材に対しては、本発明に係る作業を行う際に遮光布7で保護することができる。遮光布7として例えば金属繊維、セラミックシート、あるいは表面がポーラスな状態の樹脂などが用いられる。特に、グローブボックスの種類によっては背面が透明なものもあり、照射したレーザ光がそのまま背面を透過し、グローブボックスの外部に出射してしまうことも考えられる。このような危険を回避するために、図1に示したように、グローブボックス1の外部から背面2aに対して遮光布7aを敷設し、レーザ光Lの終端処理を施すことも大切である。また、グローブボックス周囲の作業者に保護メガネを着用させることも大切である。 【0023】また、本発明の方法により剥離した付着物Sは、単に付着部分から剥がれただけであって不要な運動エネルギーを得ていない。したがって、吸引ヘッド4aと遊離付着物との距離を適当に保っておけば極めて小さな吸引力のみで遊離付着物を確実に回収することができる。 【0024】なお、一般的にグローブボックスはその内部が負圧管理されており、内部圧力が外部圧力よりも小さく設定されているため、剥離した付着物がそのまま落下してしまう恐れもある。そこで、グローブボックス内にファン等を設置して強制的に空気対流を発生させることにより、吸引ヘッドによる付着物捕捉を一層確実にすることができる。 【0025】図3は、本発明に係る付着物除去方法を実現するための付着物除去装置6を示す斜視図である。同図に示すように、付着物除去装置6は前述のレーザ光照射装置5と吸引装置4とを一体化した構造をなしている。具体的には、レーザ発振ユニット5a,伝送ユニット5b,照射ユニット5cと、吸引ヘッド4a,吸引ホース4b,捕集ユニット4cと、さらに電力供給のための電源ユニット6aと装置冷却のための冷却ユニット6bを備えている。このような形態の付着物除去装置6は、各部が着脱自在に構成されているが、これは作業環境や運搬方法などを考慮したものである。なお、付着物除去装置6の下部には運搬を容易に行うためのキャスターが取り付けられている。 【0026】図4は、図3に示した付着物除去装置6を分離し付着物の除去作業を行っている場面を模式的に示したものである。作業場所まで運搬された付着物除去装置6は、レーザ光照射装置5と吸引装置4とが分離され互いに壁面2の両側に移動される。付着物Sと反対側に移動したレーザ光照射装置5は、壁面2を透過し付着物質Sにレーザ光を照射する。一方、付着物Sの側に移動した吸引装置4は、遊離付着物を吸引し回収する。 【0027】図5は本発明に係る付着物除去方法の他の実施形態を示す模式図である。同図に示すように、手前の壁面2にはレーザ光が直接照射され、グローブボックス1の奥の背面2aに対しては壁面2を透過したレーザ光が照射される。そのため、壁面2の付着物Sについては図2(a)に示した原理に基づく剥離が生じるとともに、背面2aの付着物Sについては図2(b)に示した原理に基づく剥離が生じる。 【0028】また、グローブボックス1の側面内側の付着物を除去する場合には、グローブボックス内に反射ミラーを設置し、壁面2を透過したレーザ光をこの反射ミラーで側面内壁に照射するように構成すればよい。なお、反射ミラーはグローブボックス1の外部から遠隔操作できるようにすることが好ましい。これにより、グローブボックス1の側面内側の付着物についても、図2(a)に示した原理に基づく剥離が可能となる。 【0029】以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。 【0030】例えば、上記の説明では、本発明をグローブボックスに適用した場合について説明したが、周囲が樹脂やガラスからなる水槽の容器内面を外部からクリーニングする場合や、ビルの窓外面を内部からクリーニングする場合などにも同様の効果が期待できる。 【0031】ここで、水槽をクリーニングする場合において内部に水が存在する場合には、レーザ光の基本波長が1064nmであるNd:YAGレーザを用いたのでは水中を透過しないことが知られている。したがって、水槽内部に魚などの生物がいたとしても外壁を透過して藻などの付着物は取れるが、魚などには影響を及ばさずに済む。一方、レーザ波長を第2高調波を発生する結晶を用いて532nmにすると水中でもレーザ光が透過するようになるため、レーザ光の照射を避けるべきものについては適当な遮光を行い、かつ水槽内に反射ミラーを配置することにより、水槽の各壁面をクリーニングすることが可能になる。 【0032】また、レーザ光としては可視光ばかりでなく近赤外から赤外光のレーザや紫外光のレーザを利用する場合もある。このような場合には作業の進捗状況が目視により把握しづらい。したがって、作業部位をCCDカメラなどでモニターして画像処理を施し、この結果をディスプレイに表示することによって作業員に進捗状況を把握させるよう構成することもできる。 【0033】さらに、付着物が剥離するとレーザ光照射音が小さくなることを利用し、この発生音を検出することにより作業の進捗状況を把握することもできる。特に、付着物の厚みにムラのある領域をクリーニングする場合には、検出されたレーザ照射音をフィードバック制御することにより、付着物が存在する部位についてはスキャン速度を遅くするなどの手法を用いることができる。 【0034】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、壁面に損傷を与えることなく壁面の付着物を除去することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083161 【弁理士】 【氏名又は名称】外川 英明
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| 【公開番号】 |
特開2003−185793(P2003−185793A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月3日(2003.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−380900(P2001−380900) |
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