| 【発明の名称】 |
液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】延永 尚志 【住所又は居所】岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船株式会社玉野事業所内
【氏名】鎌田 勤也 【住所又は居所】岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船株式会社玉野事業所内
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| 【要約】 |
【課題】液体金属の溶解酸素濃度を上限と下限の管理範囲内に制御することにより、構造剤に対して高い腐食性を示す液体金属についても腐食抑制を図る。
【解決手段】液体金属1中の溶解酸素濃度を個体電解質酸素センサー13の電池起電力測定値と液体金属温度測定値から演算し管理する。そして、この溶解酸素濃度が予め設定された管理下限以下になった時、酸化処理により溶解酸素濃度を増加させ、予め設定された管理上限以上になった時、還元処理により溶解酸素濃度を減少させることにより液体金属中の溶解酸素濃度を制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体金属中の溶解酸素濃度を個体電解質酸素センサーの電池起電力測定値と液体金属温度測定値から演算し、その溶解酸素濃度が予め設定された管理下限未満になった時、酸化処理により溶解酸素濃度を増加させ、そして予め設定された管理上限を超えた時、還元処理により溶解酸素濃度を減少させることを特徴とする液体金属中の溶解酸素濃度制御方法。 【請求項2】 少なくとも液体金属、液体金属収容構造材、固定電解質酸素センサー、温度センサー、電池起電力測定装置、温度測定装置、データ処理装置、コントローラ、酸化処理装置、還元処理装置から構成され、前記液体金属収容構造材に収容させた液体金属中の固体電解質酸素センサーの電池起電力と液体金属温度を測定し、前記電池起電力測定装置と前記温度測定装置により数値化された電気起電力データと温度データとを前記データ処理装置で処理し、そこで得られた制御信号を前記コントローラに供給して、その制御信号に基づいて前記酸化処理装置、或いは前記還元処理装置により溶解酸素濃度を制御することを特徴とする液体金属中の溶解酸素濃度制御装置。 【請求項3】 前記液体金属が本質的に鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、鉛ビスマス合金(Pb−Bi)であることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項4】 前記液体金属収容構造材が低合金鋼、特殊鋼、炭素鋼であることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項5】 前記酸化処理装置の酸化剤が、主として酸化鉛からなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項6】 前記酸化処理装置の酸化剤が、主として酸化ビスマスからなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項7】 前記酸化処理装置の酸化剤が、少なくとも酸化ガスからなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項8】 前記還元処理装置の還元剤が、少なくとも水素ガスからなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項9】 前記還元処理装置の還元剤が、少なくとも炭素からなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項10】 前記還元処理装置の還元剤が、少なくともA1,Zr,Ti,Mgの中から選ばれた1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【請求項11】 前記液体金属の温度範囲が前記液体金属の融点〜650℃であることを特徴とする請求項1乃至2記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置に関するものであり、特に、原子炉冷却材、廃熱回収冷却材中の溶解酸素濃度制御方法及び装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】液体金属は、熱や放射線に対して安定であり、また、熱伝導性が優れていることから冷却材として使用されている。その代表的な例が、高速増殖炉の液体Na金属である。このような目的に用いられる金属は、主として、Na,Na−K,Li,Bi,Pbなどの低融点金属であるが、こうした液体金属を冷却材として使用する場合、液体金属による機器や配管の構造材の腐食が問題となる。 【0003】液体金属による腐食は、水溶液などの腐食にみられる電気化学過程ではなく、金属元素の液体金属中への溶解が主原因である。したがって、冷却材として使われる液体金属が、その熱回収のために、高温部と低温部を循環する場合、高温部で構造材から溶解した元素が低温部で過飽和となり析出する、いわゆる質量移動現象が生じる。この質量移動は、繰り返され、機器や配管などの構造材は、腐食され続け、低温部では不純物が析出し、小口径配管などの液体金属流路を閉塞させる恐れもある。 【0004】溶解速度を支配するのは、高温部での不飽和度によるが、ループの構成、形状などの装置の状況、流量、温度、温度差、表面粗さ、不純物濃度など、多種多様な条件で左右される。中でも液体金属中の不純物、特に、溶解酸素濃度は、腐食現象および速度に大きく影響を及ぼすことが知られている。 【0005】高速増殖炉のNa冷却材の場合、Naの酸化物標準生成自由エネルギー(酸素ポテンシャル)の絶対値は、鋼材の主要元素(Fe,Ni,Cr)や、一般的な合金元素の酸化物標準生成自由エネルギーの絶対値より大きい。すなわち、液体Naと接触している構造材表面は還元され、Naは酸化される傾向にある。 【0006】したがって、構造材の腐食条件は、本質的にそれら主要元素の液体Na中への溶解度によって決定される。構造材主要元素の液体Na中への溶解度は、比較的小さいことが知られているが、液体Na中の溶解酸素濃度の増加とともに腐食速度が増大することが分かっている。構造材がステンレス鋼の場合、成分元素のCr,Niが高温部で溶出し、低温部で析出する。そして、Na中の酸素濃度が高いと、Crの溶出が促進されると言われている。 【0007】したがって、構造材の腐食防止、質量移行現象の抑止などの観点から液体金属中の溶解酸素濃度を管理制御することは非常に重要となってくる。 【0008】従来の液体金属中の溶解酸素濃度の制御方法については、その方法の1つにコールドトラップ法がある。この方法は、金属液体中の不純物を除去する精製法の一種であり、不純物の溶解度が低温で小さくなる性質を利用して、金属液体中の酸素や、炭素などの不純物を低温下でいろいろな化合物の形(反応生成物)で析出除去し、分離回収する方法である。Naの場合、コールドトラップでNa中の溶解酵素濃度を10ppm以下程度まで低減でき、ステンレス鋼及びFe,Cr,Ni,Co,Moなどとの両立性を図っている。 【0009】また、別の方法として、ホットトラップ法がある。この方法は、コールドトラップで得られる純度よりも更に高い純度を得たい時に用いられ、高温で酸素などの不純物とよく結合する金属ゲッターに液体金属を通して、液体金属中の不純物を金属ゲッターと反応させてゲッター中に固定除去する方法である。例えば、液体Na中の酸素に対して、酸化ナトリウムよりも安定な酸化物を生成する金属として、Ti,Zr及びTi−Zr合金などが用いられ、約600℃の液体Na中の溶解酸素濃度を数ppm以下に管理できている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の液体金属中の溶解酸素濃度の制御方法は、液体金属中の溶解酸素濃度の上限を制御するものである。しかし、このような制御方法は、液体金属の種類によっては以下のような不都合を生じる。 【0011】例えば、液体金属にPb−Biを使用した場合、液体Pb−Biに対する構造材主要元素の溶解度が大きく、液体Pb−Bi中の溶解酸素濃度を上限以下に制御するだけでは構造材の腐食の進展を抑制することは困難であるという問題が生じる。すなわち、溶解酸素濃度が小さ過ぎても反って構造材の腐食を加速させるという問題がある。 【0012】上記の問題点を回避するため、構造材の溶解速度を減少させる方法として、インヒビターの添加により構造材表面に保護被膜を形成させる方法があるが、この場合、保護被膜が厚く成長し過ぎると、膜剥がれや熱衝撃によるクラックが発生し、こうした部分を基点に局部的に腐食が進行するといった問題があった。 【0013】したがって、Pb,Biのような、構造材の主要元素の溶解度が大きい液体金属や液体合金の冷却材への適用は、従来技術では十分な腐食抑制ができていなかった。 【0014】本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、液体金属中の溶解酸素濃度を上限と下限の管理範囲内に制御することにより、構造材に対して高い腐食性を示す液体金属においても腐食を抑制することが可能な液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置を提供するところにあり、また、上記の問題解決ばかりでなく新たなデバイスの創造に寄与するところにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(11)により達成される。 【0016】(1) 液体金属中の溶解酸素濃度を個体電解質酸素センサーの電池起電力測定値と液体金属温度測定値から演算し、その溶解酸素濃度が予め設定された管理下限未満になった時、酸化処理により溶解酸素濃度を増加させ、そして予め設定された管理上限を超えた時、還元処理により溶解酸素濃度を減少させることを特徴とする液体金属中の溶解酸素濃度制御方法。 【0017】(2) 少なくとも液体金属、液体金属収容構造材、固定電解質酸素センサー、温度センサー、電池起電力測定装置、温度測定装置、データ処理装置、コントローラ、酸化処理装置、還元処理装置から構成され、前記液体金属収容構造材に収容させた液体金属中の固体電解質酸素センサーの電池起電力と液体金属温度を測定し、前記電池起電力測定装置と前記温度測定装置により数値化された電気起電力データと温度データとを前記データ処理装置で処理し、そこで得られた制御信号を前記コントローラに供給して、その制御信号に基づいて前記酸化処理装置、或いは前記還元処理装置により溶解酸素濃度を制御することを特徴とする液体金属中の溶解酸素濃度制御装置。 【0018】(3) 前記液体金属が本質的に鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、鉛ビスマス合金(Pb−Bi)であることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0019】(4) 前記液体金属収容構造材が低合金鋼、特殊鋼、炭素鋼であることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0020】(5) 前記酸化処理装置の酸化剤が、主として酸化鉛からなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0021】(6) 前記酸化処理装置の酸化剤が、主として酸化ビスマスからなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0022】(7) 前記酸化処理装置の酸化剤が、少なくとも酸化ガスからなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0023】(8) 前記還元処理装置の還元剤が、少なくとも水素ガスからなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0024】(9) 前記還元処理装置の還元剤が、少なくとも炭素からなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0025】(10) 前記還元処理装置の還元剤が、少なくともA1,Zr,Ti,Mgの中から選ばれた1種または2種以上からなることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0026】(11) 前記液体金属の温度範囲が前記液体金属の融点〜650℃であることを特徴とする上記(1)乃至(2)記載の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置の実施の形態について説明する。 【0028】本発明の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置においては、液体金属中の溶解酸素濃度を固体電解質酸素センサーの電池起電力測定値と温度センサーの液体金属温度測定値から演算し、管理する。これらの測定した値をフィードバックし、その溶解酸素濃度が予め設定された管理下限未満になった時、酸化処理により溶解酸素濃度を増加させ、そして、予め設定された管理上限を超えた時、還元処理により溶解酸素濃度を減少させることにより液体金属中の溶解酸素濃度を制御する。 【0029】液体金属としては、Pb系金属、Bi系金属、Pb−Bi系合金が挙げられる。この場合、溶解酸素濃度の上限と下限の管理で腐食の抑制が可能な液体金属を使用することが好ましい。 【0030】次に、液体金属収容構造材については、低合金鋼、特殊鋼、炭素鋼が挙げられる。特殊鋼の代表的なものとしては、Cr−Mo系鋼、フェライトあるいはマルテンサイト系Cr含有鋼、オーステナイト鋼が好ましい。Pb,Biに対するNiの溶解度が高いため、Niを多く含んだ鋼材は好ましくない。 【0031】本発明で使用し得る固体電解質酸素センサーの固体電解質としては、イットリア(Y2 O3 ) 添加ジルコニア(ArO2 )、カルシア(CaO)添加ジルコニア、酸化ガドリニウム(Gd2 O3 ) 添加ジルコニア、酸化スカンジウム(Sc2 O3 ) 添加ジルコニア、酸化イッテルピウム(Yb2 O3 ) 添加ジルコニア、トリア・イットリア(ThO2 −Y2 O3 ) 、ハフニア・イットリア(HfO2−Y2 O3 ) などが挙げられる。 【0032】また、固体電解質センサーを構成する標準極には、In/In2 O3 、Pb/PbO系、Bi/Bi2 O3 系、Sn/SnO2 系、Ga/Ga2 O3 系などが挙げられ、標準極と液体金属のそれぞれに接続されるリード線は、Mo,Ta,Ir,Os,W,Cなどが挙げられる。 【0033】温度センサーは、測温用熱電対や放射温度計などの接触式、非接触式タイプのものが挙げられる。測温用熱電対を使用する場合、固体電解質酸素センサーを組み込んだ一体型の酸素プローブで構成してもよい。 【0034】溶解酸素濃度は、固体電解質センサーの起電力測定値と温度センサーの液体金属温度測定値から、いわゆるネルンストの式を基本にして決定することができる。 【0035】酸化処理装置の酸化剤としては、一つには、固体酸化剤で、これには使用液体金属である酸化鉛、酸化ビスマスの1種または2種を混合して用いることができる。また、固体酸化剤の形状、寸法などは、特に限定されず、例えば、形状に関しては、円柱状、角柱状、円筒状、平板状、ハニカム状、顆粒状、ペレット状、粉末状などのあらゆる形状のものが可能であり、その大きさもあらゆる大きさのものが可能である。二つには、気体酸化剤で、酸素ガス、Arガス−酸素ガスの混合ガス、Arガス−水蒸気の混合ガスなどの酸化性ガスが挙げられる。本発明における酸化処理方法としては、基本的には前記酸化剤により液体金属中の溶解酸素濃度を増加させれば良く、具体的には、例えば、次の4つの酸化処理方法が挙げられる。 【0036】(a) ロッド状等の固体酸化剤を金属中に出し入れする。 【0037】(b) 粉末状、顆粒状等の固定酸化剤を液体金属中に適量添加する。 【0038】(c) 酸化処理装置の液体金属流路内に予めボール状、ペレット状、ハニカム状等の固体酸化剤を配置しておき、液体金属を固体酸化剤に接触させながら通過させる。 【0039】(d) 液体金属中に気体酸化剤を注入する。 【0040】また、本発明の酸化処理の装置は、特に限定されず、例えば、ロッド状などの固体酸化剤を液体金属中に出し入れするような方法であれば、出し入れする機構などを具備すればよい。また、気体酸化剤を注入するような場合には、流量計、供給バルブなどを具備すればよい。更に、固体酸化剤を液体金属流路内に装入させておき、液体金属を通過する際に酸化させるような場合には、酸化処理装置自体に駆動系制御部品を具備しないで、酸化処理装置の前後に配置したバルブの調整のみで酸化処理を制御することも可能である。 【0041】還元処理の還元剤としては、気体還元剤として水素ガス、Arガス−水素ガスの混合ガス、Arガス−水素ガス−水蒸気の混合ガスなどの還元性ガスが挙げられる。また、固体還元剤として、炭素、Al,Zr,Ti,Mgなどが挙げられる。また、固体還元剤の炭素、Al,Zr,Ti,Mgなどの形状、寸法などは、特に限定されるもてはない。 【0042】また、還元方法としては、基本的には前記還元剤により液体金属中の溶解酸素濃度を減少させれば良く、具体的には3つの還元処理方法が挙げられる。 【0043】(a) ロッド状等の固体還元剤を金属中に出し入れする。 【0044】(b) 還元処理装置の液体金属流路内に予めボール状、ペレット状、ハニカム状等の固体還元剤を配置しておき、液体金属を固体還元剤に接触させながら通過させる。 【0045】(c) 液体金属中に気体酸化剤を注入する。 【0046】また、本発明の還元処理装置は、前記酸化処理装置と同様に特に限定されず、処理方法などに応じて装置構成を決定すればよい。その場合、必要に応じて還元処理装置に駆動系制御部品などを具備して制御すればよい。また、液体金属中に気体還元剤を注入する場合は、必要に応じて還元処理で生成した水蒸気をループ外に放出させる機構を具備しておくことが好ましい。 【0047】次に、本発明の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置において、ループ系における酸化処理装置と還元処理装置の配置は、例えば、以下のような配置が挙げられる。 【0048】(a) 主幹の液体金属ループラインの途中に直接酸化処理装置と還元処理装置を配置する。 【0049】(b) 主幹の液体金属ループラインに溶解酸素濃度調整タンクを配置し、このタンクに酸化処理装置と還元処理装置を配置する。 【0050】(c) 主幹の液体金属ループラインに分岐点を設けてそのバイパスラインに酸化処理装置と還元処理装置を配置する。 【0051】(d) 主幹の液体金属ループラインに分岐点を設けてそのバイパスラインを酸化処理ラインと還元処理ラインの2つに分岐し、配置する。 【0052】また、本発明の液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置において、ループ系における固定電解質酸素センサーと温度センサーの配置は、例えば、液体金属ループラインに直接挿入配置したり、液体金属ループラインに分岐点を設けてそのバイパスラインに挿入配置することが挙げられる。更に、複数の固体電解質酸素センサーと温度センサーを配置することも可能であり、この場合、溶存酸素濃度の制御がし易くなる。 【0053】静的条件下においては、特に限定されず、基本的には、酸化処理装置と還元処理装置及び固体電解質酸素センサーと温度センサーを液体金属収容構造材中に挿入配置すればよい。 【0054】本発明において、液体金属の温度範囲は、使用する液体金属の融点〜650℃であることが好ましく、Pb系は330℃〜600℃、Bi系及びPb−Bi系は300℃〜600℃がより好ましい。温度が低すぎると、固体電解質酸素センサーによる起電力の測定が困難となり、極端な場合には測定不能となる。また、温度が高すぎると、構造材の腐食が激しくなり、腐食防止制御が困難となる。 【0055】尚、液体金属冷却用構造材の内部には、カバーガスを用いておくことが好ましく、カバーガスとしては、十分、水分を除去した高純度のArガスなどの不活性ガスが好ましい。 【0056】 【実施例】以下、本発明に係る液体金属中の溶解酸素濃度制御方法及び装置について具体的に説明する。 【0057】図1は本発明に係る液体金属中の酸素濃度制御装置の一部断面を含む概略図である。図1に示すように、液体金属1は、主幹である液体金属ループライン3内を矢印方向に流れている。液体金属ループライン3は、液体金属収容構造材2により構成されている。 【0058】液体金属ループライン3は、その途中に配置させたバルブ4の上流で分岐し、液体金属供給ライン3aと、酸化処理ライン5および還元処理ライン9の3つに分かれている。 【0059】上記酸化処理ライン5は、バルブ7と、酸化処理装置6およびバルブ8をこの順に備え、再び、液体金属ループライン3に合流している。また、上記還元処理ライン9は、バルブ11と、還元処理ライン10およびバルブ12をこの順に備え、再び、液体金属ループライン3に合流している。 【0060】一方、固体電解質酸素センサー13と、温度センサーとしての測温用熱電対15は、各測定部が液体金属1に浸るように3つのライン3a,5および9の合流点の下流側に位置するように液体金属ループライン3に挿入配置されている。 【0061】固体電解質酸素センサー13は、電池起電力測定装置14と接続し、測温用熱電対15は、温度測定装置16と接続し、更に、電池起電力測定装置14と温度測定装置16は、データ処理装置17に接続され、得られた起電力データと温度データとをデータ処理装置17で処理するようになっている。 【0062】データ処理装置17で得られた制御信号は、コントローラ18に供給され、その制御信号に基づいて酸化処理装置6、あるいは還元処理装置10、および各ラインに配置した各バルブ4,7,8,11,12の開閉により、自動的に溶解酸素濃度を制御するようになっている。 【0063】図2は酸化処理装置の実施の形態を示す概略図である。配管5に容器20が配置され、容器20内にハニカム状の固体処理剤21が装入されている。 【0064】図3は還元処理装置の一実施の形態を示す概略図である。配管9に配設させた容器23内に、ガス導入口24から還元ガス27がコントローラ18により制御可能なバルブ26と流量計25を介して導入できるようになっている。 【0065】図1、図2、図3を用いて上記溶解酸素濃度制御装置の動作を説明する。 【0066】先ず、酸化処理ライン5のバルブ7及び8、並びに還元処理ライン9のバルブ11及び12を閉め、液体金属供給ライン3aのバルブ4を開ける。すると、液体金属1は、液体金属ループライン3を流れ、固体電解質酸素センサー13と測温用熱電対15が作動する。すなわち、固体電解質酸素センサー13により液体金属1の電池起電力が検知され、測温用熱電対15により液体金属1の温度が検知される。 【0067】これらの測定値は、電池起電力測定装置14と温度測定装置16により数値化され、得られた溶解酸素濃度データと温度データとをデータ処理装置17で演算処理し、溶解酸素濃度を求める。そして、得られる溶解酸素濃度が判定され、その判定結果に基づいた制御信号をコントローラ18に供給し、後記の制御の基となる。この判定結果は、連続的もしくは間欠的に行われ、液体金属1中の溶解酸素濃度が監視される。 【0068】溶解酸素濃度が予め設定した管理限界の下限付近になった場合、データ処理装置17から酸化処理実行の指令がコントローラ18に伝送される。そして、コントローラ18の制御信号により液体金属供給ライン3aのバルブ4が閉じ、酸化処理ライ5のバルブ7及び8が開状態となり、液体金属1が液体金属ループライン3から酸化処理ライン5に導かれる。 【0069】液体金属1は、酸化処理装置6を通過する間に固体酸化剤21と接触して酸化される。液体金属1中の溶解酸素濃度が管理限界内(正常値)に復帰すると、データ処理装置17から「正常」の指令がコントローラ18に伝送される。そして、コントローラ18の制御信号によりライン3aのバルブ4が開き、ライン5のバルブ7及び8が閉状態となる。しかして、液体金属1は、液体金属ループライン3に導かれ、正常時のループモードに復帰する。 【0070】一方、溶解酸素濃度が予め設定した管理限界の上限付近になった場合、固体電解質酸素センサー13と測温用熱電対15により溶解濃度の管理限界上限を検知し、データ処理装置17から還元処理実行の指令がコントローラ18に伝送される。そして、コントローラ18の制御信号で液体金属供給ライン3aのバルブ4が閉じ、還元処理ライン9のバルブ11及び12が開状態となり、液体金属1が液体金属ループライン3から還元処理ライン9に導かれる。 【0071】と同時に、コントローラ18の制御信号でバルブ26が作動し、還元ガス27が容器23内に導入され、液体金属1が還元される。液体金属1中の溶解酸素濃度が管理限界内(正常値)に復帰すると、データ処理装置17から「正常」の指令がコントローラ18に伝送される。そして、コントローラ18の制御信号でライン3aのバルブ4が開き、ライン9のバルブ11とバルブ12が閉状態となり、液体金属1は、液体金属ループライン3に導かれる。また、還元ガスの供給が、バルブ26の閉作動により停止され、正常時のループモードに復帰する。 (実施例1)液体金属としてPb−Bi共晶合金を、液体金属冷却材用構造材として18Cr−1Mo鋼を用い、液体金属の流速を0.5m/s、高温部550℃、低温部350℃の強制ループ装置における液体金属と構造材の健全性を評価した。 【0072】ループ内の溶解酸素濃度を増加させ、10-5mass%付近より多くなると、次第にスラグが析出し始め、低温部の構造材内部に付着し、流路を狭めた。スラグを分析したところ、PbOが主成分であった。 【0073】したがって、溶解酸素濃度の管理限界の上限は、約10-5mass%で、これより多くなると、Pb−Bi液体金属の鉛の酸化物が生成され、健全性が維持できなかった。 【0074】一方、ループ内の溶解酸素濃度を減少させ、10-7mass%付近より少なくなると、次第にスラグが析出し始め、低温部の構造材内部に付着し、流路を狭めた。スラグを分析したところ、Feを主成分とした構造材の構成元素であった。 【0075】したがって、溶解酸素濃度の管理限界の下限は、約10-7mass%で、これより少なくなるとPb−Bi液体金属中に構造材の構成元素である、Fe,Crなどが溶解され、液体金属と構造材との健全性を維持されなかった。 【0076】これに対し、溶解酸素濃度を10-7mass%〜10-5mass%に管理すると低温部でのプラグもなく、長期に亘って液体金属と構造材との健全性を維持することができた。 【0077】 【発明の効果】本発明は、上記のように構成されているので、以下に記載するような優れた効果を奏する。すなわち、液体金属中の固体電解質酸素センサーの電池起電力と液体金属温度をモニタリングし、測定した値をフィードバックさせ、溶解酸素濃度が低い場合は、酸化装置で増加させ、逆に高い場合は還元装置で減少させることにより溶解酸素濃度を、常時、コントロールすることができる。このように液体金属中の溶解酸素濃度を一定に保持することにより、これまで使用することがでできなかった腐食性の高いPb,Biの液体金属と構造材との健全性が確保できるようになる。 【0078】これにより、従来Na冷却材で問題とされた反応性(特に水との反応性)の高さに関して、より化学的不活性なPb,Bi系が使用できるようになるなど、その適用範囲は極めて広い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005902 【氏名又は名称】三井造船株式会社 【住所又は居所】東京都中央区築地5丁目6番4号
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| 【出願日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066865 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−185788(P2003−185788A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月3日(2003.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−388857(P2001−388857) |
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