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【発明の名称】 コンクリートキャスク
【発明者】 【氏名】酒井 幹夫
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリングセンター内

【要約】 【課題】キャニスタの偏心を防止し、且つ上部側における熱の影響を軽減する。

【解決手段】開口部9を有する有底筒状のキャスク本体2と、キャスク本体2内に挿入されたキャニスタ1を保持して位置決めするガイド部材8とを備える。ガイド部材8をキャスク本体2の底部2aから開口部9へ向けて漸次拡径して形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口部を有する有底筒状のキャスク本体と、該キャスク本体内に挿入されたキャニスタを保持して位置決めするガイド部材とを備えるコンクリートキャスクであって、前記ガイド部材は、前記キャスク本体の底部から前記開口部へ向けて漸次拡径して形成されることを特徴とするコンクリートキャスク。
【請求項2】 請求項1記載のコンクリートキャスクにおいて、前記ガイド部材は、前記キャニスタの周囲に間隔をあけて複数配置されることを特徴とするコンクリートキャスク。
【請求項3】 請求項1または2記載のコンクリートキャスクにおいて、前記キャニスタは断面円形の外形輪郭を有し、前記ガイド部材は前記円形の接線と略平行な断面外形輪郭を有することを特徴とするコンクリートキャスク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所などで生じる使用済み燃料の保管等に用いて好適なコンクリートキャスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子力発電所などで発生する使用済み燃料は、キャニスタと呼ばれる金属製の容器に装荷された状態でキャニスタ輸送キャスクにより貯蔵施設まで輸送される。そして、貯蔵施設においてキャニスタは、コンクリートキャスクと呼ばれるコンクリート製貯蔵容器に移し替えられることで、所定の期間使用燃料を貯蔵することになっている。
【0003】図3に、従来のコンクリートキャスクの一例を示す。このコンクリートキャスクは、使用済み燃料を装荷、封入したキャニスタ1が図3中上方から内部へ挿入される鉄筋コンクリート構造のキャスク本体2と、キャスク本体2の上端開口部9に嵌入される蓋体3とを備えている。
【0004】キャスク本体2は有底筒状をなしており、外部から空気を取り入れる4方位に設けられた給気口4と、この給気口4から給気され、キャスク本体2内部を通過した空気を外部に排気する排気口6とを備えている。また、キャスク本体2の内壁にはライナ7が環状に内装されており、ライナ7よりも内側にはガイドレール8が突設されている。
【0005】ガイドレール8は、キャニスタ1がキャスク本体2内に偏心配置されて局所的な温度上昇が生じないように、キャニスタ1の位置を矯正するものであり、キャスク本体2及びキャニスタ1の軸方向に沿って、且つ図4に示すように、周方向に一定の間隔で環状に複数(ここでは8つ)配設されている。
【0006】上記の構成では、詰め替えによりキャニスタ1を開口部9からキャスク本体2に挿入する際には、キャニスタ1がガイドレール8に保持されて位置決めされるため、キャスク本体2に対して偏心がほぼ補正された状態で収納される。そして、コンクリートキャスク内に収納されたキャニスタ1は、給気口4から取り入れられキャスク本体2の内壁(ライナ7)とキャニスタ1の側面との間を通過する空気によって、使用済み燃料の崩壊熱で生じた熱が自然空冷で徐熱されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来のコンクリートキャスクには、以下のような問題が存在する。キャニスタ1は、ガイドレール8と線接触した状態で収納される可能性があるが、この場合、接触面積が大きくなることでコンクリート温度が著しく上昇するという問題が生じる。特に、キャニスタ1は、軸方向高さに関して中央よりも上部において表面温度が高くなる傾向があり、また給気口4から取り入れられた空気は上昇するのに従ってキャニスタ1が生じた熱で温度が高くなり、偏心して狭くなった冷却空気流路(図3中、Iで示す)からの入熱が偏心していない場合に比べて大きくなるため、キャニスタ1の上部側におけるコンクリートの温度上昇が一層顕著になるという問題があった。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、キャニスタの偏心を防止し、且つ上部側における熱の影響を軽減できるコンクリートキャスクを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。請求項1記載のコンクリートキャスクは、開口部を有する有底筒状のキャスク本体と、該キャスク本体内に挿入されたキャニスタを保持して位置決めするガイド部材とを備えるコンクリートキャスクであって、前記ガイド部材は、前記キャスク本体の底部から前記開口部へ向けて漸次拡径して形成されることを特徴とするものである。
【0010】従って、本発明のコンクリートキャスクでは、底部においてキャニスタを保持する径にガイド部材を形成することで、ガイド部材を案内にして開口部からキャニスタを挿入して、偏心することなくキャスク本体内で位置決めすることができる。このガイド部材は開口部へ向けて漸次拡径しているため、上部側に向かうにつれてキャニスタとの間の隙間が大きくなり接触することがない。そのため、表面温度の高い中央部より上部においても、熱の影響を軽減することが可能になる。
【0011】請求項2記載のコンクリートキャスクは、請求項1記載のコンクリートキャスクにおいて、前記ガイド部材は、前記キャニスタの周囲に間隔をあけて複数配置されることを特徴とするものである。
【0012】従って、本発明のコンクリートキャスクでは、冷却用空気の流れが速くなりコンクリートへの入熱が大きくなることを防止できる。
【0013】請求項3記載のコンクリートキャスクは、請求項1または2記載のコンクリートキャスクにおいて、前記キャニスタは断面円形の外形輪郭を有し、前記ガイド部材は前記円形の接線と略平行な断面外形輪郭を有することを特徴とするものである。
【0014】従って、本発明のコンクリートキャスクでは、キャニスタとガイド部材とが接触する場合でも、キャニスタ本体の底部における点接触のみとなり、ガイド部材への入熱を抑えることができ、結果としてキャスク本体の温度上昇を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のコンクリートキャスクの実施の形態を、図1及び図2を参照して説明する。図1は、キャスク本体内に断面円形の外形輪郭を有するキャニスタが収納された断面正面図であり、図2は図1におけるA−A線視断面図である。これらの図において、従来例として示した図3及び図4と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0016】本実施形態に係るコンクリートキャスクでは、図1に示すように、ガイドレール8は、キャスク本体2の底部から開口部9にかけてほぼ高さ方向(キャニスタ1及びキャスク本体2の軸方向)全体に亘って延設され、図2に示すように、有底筒状のキャスク本体2の内部(キャニスタ1の周囲)に周方向に一定の間隔で環状に複数(ここでは8つ)配設されている。なお、ライナ7は、これらガイドレール8の間に配設されている。
【0017】各ガイドレール8は、キャスク本体2の内部に半径方向に沿って突設された支持部8aと、この支持部8aのキャニスタ1側先端に溶接等の固定手段により接合・固定された保持部8bとから構成されている。保持部8bは、キャスク本体2の中心側に、半径方向と略直交する方向、すなわちキャニスタ1の円形輪郭の接線と略平行な断面外径輪郭を有しており、図1に示すように、キャスク本体2の底部2aにおいてキャニスタ1を保持して位置決めし、且つ底部2aから開口部9へ向けて漸次拡径するテーパ状に形成されている。
【0018】上記の構成のコンクリートキャスクにキャニスタ1を移し替える際には、開口部9からキャスク本体2の内部にキャニスタ1を挿入し、ガイドレール2の保持部2bに沿って移動させて底部2aに載置する。このとき、キャニスタ1は、保持部2bの下端部で保持されることで、キャスク本体2に対して偏心することなく位置決めされる。また、キャニスタ1と保持部2bの下端部との間のクリアランスの範囲でキャニスタ1が偏心した場合でも、キャニスタ1と保持部2bとはほぼ点でしか接触しないため、接触面積を最低限に抑えることができる。そして、キャスク本体2の開口部9を蓋体3で閉塞することにより、キャニスタ1を密封収納することができる。
【0019】上記コンクリートキャスク内に収納されたキャニスタ1は、給気口4から取り入れられライナ7(及びガイドレール8)とキャニスタ1の側面との間を通過する空気によって、使用済み燃料の崩壊熱で生じた熱が自然空冷で徐熱される。
【0020】このように、本実施の形態では、ガイドレール8の保持部8bが底部2aから開口部9へ向けて漸次拡径しており、保持部8bとキャニスタ1との間の隙間が徐々に大きくなるため、キャニスタ1の偏心を防止しつつ、表面温度が高い中央部より上部側においてもこれらの接触を防ぐことが可能になり、コンクリートの著しい温度上昇を未然に防ぐことができる。加えて、本実施の形態では、ガイドレール8とキャニスタ1とが接触しても底部2aにおける点接触のみなので、ガイドレール8への入熱を抑えてキャスク本体2の温度上昇を防止することが可能になる。
【0021】また、本実施の形態では、ガイドレール8とキャニスタ1との間の隙間が徐々に大きくなることで冷却用空気が流通しやすくなり、冷却効率が向上する。特に、ガイドレール8が周方向に間隔をあけて配置されるため、コンクリートへの入熱を低減させることが可能になっている。
【0022】なお、上記実施の形態で説明したガイドレール8の形状は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るコンクリートキャスクは、ガイド部材がキャスク本体の底部から開口部へ向けて漸次拡径して形成される構成となっている。これにより、このコンクリートキャスクでは、キャニスタの偏心を防止しつつ、表面温度が高い中央部より上部側においてもこれらが接触することを防ぐことが可能になり、コンクリートの著しい温度上昇を未然に防ぐことができるという効果を奏する。
【0024】請求項2に係るコンクリートキャスクは、ガイド部材がキャニスタの周囲に間隔をあけて複数配置される構成となっている。これにより、このコンクリートキャスクでは、コンクリートへの入熱を低減できるという効果を奏する。
【0025】請求項3に係るコンクリートキャスクは、ガイド部材がキャニスタの円形外径輪郭の接線と略平行な断面外形輪郭を有する構成となっている。これにより、このコンクリートキャスクでは、ガイド部材への入熱を抑えてキャスク本体の温度上昇を防止できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年12月28日(2001.12.28)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2003−194985(P2003−194985A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−398729(P2001−398729)