トップ :: G 物理学 :: G21 核物理;核工学




【発明の名称】 炉内目視検査装置
【発明者】 【氏名】妹尾 誠
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所電力・電機開発研究所内

【氏名】松井 哲也
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所電力・電機開発研究所内

【氏名】馬場 淳史
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所電力・電機開発研究所内

【氏名】志村 孝夫
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所原子力事業部内

【要約】 【課題】炉心容器内での操作性が良く安定性に優れ、画質の良い撮像が容易に得られるようにした炉心内目視検査装置を提供すること。

【解決手段】原子炉圧力容器40の上部から、錘昇降用ロープ20により炉底部に到達する錘10を吊り下げ、この錘昇降用ロープ20に垂直移動と回動移動ができるようにしてカメラ搭載機構30を支持させ、このカメラ搭載機能30に備え付けたTVカメラにより、圧力容器40内の任意の部分が撮像できるようにして、炉心内の画像による目視検査ができるようにしたもの。錘昇降用ロープ20がガイドになるので、安定した撮像が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉圧力容器内を撮像した画像により当該原子炉圧力容器の目視検査を行う方式の炉内目視検査装置において、前記圧力容器の上部から当該圧力容器内に錘を吊り下げ、当該錘を前記圧力容器の底部を含む所定の部分に着座させるロープと、前記ロープに沿って垂直に移動でき、当該ロープを軸として回動できるようにしたカメラ搭載機構と、前記カメラ搭載機構に搭載されたテレビジョンカメラとを設け、前記テレビジョンカメラで撮像した画像により原子炉圧力容器の目視検査を行うように構成したことを特徴とする炉内目視検査装置。
【請求項2】 請求項1に記載の発明において、前記カメラ搭載機構に、前記テレビジョンカメラの仰角を制御する手段が設けられていることを特徴とする炉内目視検査装置。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記錘に折り畳み式の支持手段を設け、当該錘が、前記原子炉圧力容器内にある構造物の上にも着座できるように構成したことを特徴とする炉内目視検査装置。
【請求項4】 請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記カメラ搭載機構が、光ポインタと2台のテレビジョンカメラを備え、前記光ポインタから検査対象面に照射した光点を前記2台のテレビジョンカメラで撮像することにより、検査対象面の距離を算出する手段と、該算出した距離と前記テレビジョンカメラの視野角により被写体の大きさを算出する手段とを設け、前記撮像した画像の表示面に、被写体の大きさを表わすスケールが表示されるように構成したことを特徴とする炉内目視検査装置。
【請求項5】 請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記カメラ搭載機構の規準位置における前記原子炉圧力容器の横断面及び縦断面における3次元座標を計測する手段と、前記カメラ搭載機構の規準位置における前記テレビジョンカメラの回転角及び仰角を測定する手段とを設け、前記テレビジョンカメラによる検査位置を原子炉圧力容器の横断面及び縦断面図上に表示すると共に、検査対象箇所の3次元位置座標を検査画像の標識として付与し記録保存することを特徴とする炉内目視検査装置。
【請求項6】 請求項4に記載の発明において、前記2台のテレビジョンカメラにより少なくとも2点以上の光点の画像を得、それらの3次元座標から検査対象の寸法を計測する手段と、前記2台のテレビジョンカメラの内の少なくとも1台のテレビジョンカメラで撮像した複数枚の検査対象画像から、検査対象の主要な部位の寸法又は3次元モデルを作成する手段とが設けられていることを特徴とする炉内目視検査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水が張られている容器内を目視して点検・検査する装置に係り、特に原子力発電プラントにおける原子炉圧力容器内の点検・検査に好適な目視検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば発電プラントなどで現用されている原子炉は、通常、ウランなどの核燃料を所定の加圧容器内に収納し、水中で加圧した状態で運転され、このときの圧力は数10パスカルから100パスカル以上にも達する。
【0003】そこで、この加圧容器には大きな耐圧性能と共に、極めて高い信頼性が要求され、従って、安全性確保のため、圧力容器内の点検・検査などの保守に必要な作業が欠かせない。
【0004】ところで、この原子炉における圧力容器の点検と検査は、通常、容器の中に水が張られている状態のままで行うのが通例で、しかも容器内は強い放射能環境にあるので、従来からTVカメラ(テレビジョンカメラ)を用いた遠隔目視監視方法が採用されていた。
【0005】図2は、このような目視監視方法で使用される簡易型水中カメラの一例で、水密に作られたカメラホルダ100の中にTVカメラ110と照明灯120を収容し、これに吊り下げ操作用の2本の紐130を取付けたもので、この紐130を用い、原子炉圧力容器の上部を開放した後、カメラ操作者が、炉心上部に設置された燃料取扱装置の横行台車からTVカメラ110を炉内に吊り降ろし、紐130を操ることにより原子炉圧力容器内の所定位置に対する点検・検査を実施していた。
【0006】このため、撮像管や固体撮像素子に水中での撮像に適合させたレンズを取付けてTVカメラ110とし、白熱灯や放電灯を光源とする照明灯120を用いて圧力容器の内壁面や容器内の構造物を撮像し、炉外にある画像モニタにより観察できるようにしてある。
【0007】ここで、このような従来技術に関しては、改良型として、特開平3−78697号公報では、TVカメラ収納体の水平面内での角度と垂直面内での角度を遠隔操作により任意に設定できるようにした装置について開示している。
【0008】また、特開2000−346976号公報では、燃料交換装置の2本のレールに一対の車輪式移動機構を配置し、この一対の車輪式移動機構の間に更にワイヤ水平に張る機構を設け、このワイヤにより吊り下げ式水中カメラ機構が移動するようにした装置について開示している。
【0009】一方、このような目視検査装置において検査対象となる欠陥や検査対象機器のサイジング(寸法計測)の観点からは、目視検査装置に2台の水中カメラを搭載させ、検査対象の立体視により検査対象表面の凹凸を目視で判別する方法が、例えば特開平8−146185号公報により開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、何れも容器の上部からTVカメラを吊り下げて検査箇所に位置決めする方式である点に配慮がされておらず、容器内におけるTVカメラの操作性と安定性に問題があった。
【0011】上記したように、従来技術は、何れも加圧容器の上部からTVカメラを吊り下げ、検査箇所に位置決めする方式であるが、このとき、加圧容器の上部は、炉心からかなりの高所(例えば20m以上)にあるのが通例である。
【0012】このとき、従来技術では、吊り下げ用のロープ又はチェーンでTVカメラを操作しており、このため、TVカメラの揺動が避けられず、更に位置や撮像方向の変更に伴ってもTVカメラに揺動が発生してしまう。
【0013】従って、従来技術では、TVカメラの位置決めが極めて困難で、カメラ操作に高度の熟練と多大の負担が必要で、撮像に多くの時間が掛かってしまう上、カメラ振れで撮像条件が悪化し適切な像が得られなくなってしまい、この結果、点検・検査に多くの労力と時間を要してしまう。
【0014】ここで、上記した特開2000−346976号公報による方式では、定期検査工程で細心の配慮が要求される燃料交換作業と平行した作業を可能にしているが、燃料交換作業を実施しながらの炉内検査には制約条件が多い上、作業の工程管理がかえって複雑化してしまうとうデメリット発生の問題もある。
【0015】また、炉内構造物の表面欠陥を検査する場合、従来技術では、水中カメラと検査対象面との距離が不明なため、たとえ表面欠陥が発見されたとしても、その欠陥の大きさがどの程度であるかを定量的に計測することはできなかった。
【0016】ここで、2台のカメラを用いた従来技術でも、立体視により欠陥の凹凸が判断できるだけであり、欠陥や検査対象機器の定量的な評価にまでは至っておらず、炉内構造物のアズビルトの寸法を計測することは困難であった。
【0017】本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、炉心容器内での操作性が良く安定性に優れ、画質の良い撮像が容易に得られるようにした炉心内目視検査装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は、原子炉圧力容器内を撮像した画像により当該原子炉圧力容器の目視検査を行う方式の炉内目視検査装置において、前記圧力容器の上部から当該圧力容器内に錘を吊り下げ、当該錘を前記圧力容器の底部を含む所定の部分に着座させるロープと、前記ロープに沿って垂直に移動でき、当該ロープを軸として回動できるようにしたカメラ搭載機構と、前記カメラ搭載機構に搭載されたテレビジョンカメラとを設け、前記テレビジョンカメラで撮像した画像により原子炉圧力容器の目視検査を行うようにして達成される。
【0019】このとき、前記カメラ搭載機構に、前記テレビジョンカメラの仰角を制御する手段を設けても良く、前記錘に折り畳み式の支持手段を設け、当該錘が、前記原子炉圧力容器内にある構造物の上にも着座できるようにしても良い。
【0020】本発明によれば、原子炉圧力容器上部に設置されている燃料取扱装置の一付属設備である横行台車に具備した、炉上部から炉底部に到達する錘付きの錘昇降用ロープを炉上部水平方向の任意の位置に設置する手段を設け、更に、この錘昇降用ロープに沿って上下方向に移動可能で且つ任意の位置で固定可能な撮像ユニット搭載手段(カメラ搭載機構)が設けられている。
【0021】この場合、撮像ユニット搭載手段には、該錘昇降用ロープの周方向に位置決め可能であると同時に、水平面に対して任意の角度から撮像可能な駆動手段が設けてある。
【0022】また、従来技術において、1台の撮像ユニット(例えばテレビジョンカメラ)による検査対象欠陥の実寸法の評価ができないという課題に対しては、2台の撮像ユニットを所定の間隔で設定し、その2台の撮像ユニット共通視野内の評価が必要な欠陥面に対して対応点を目印として投影する手段と、この対応点を含む欠陥検査面の2枚の画像を同時に画像化する手段を用いる。
【0023】更に、従来の簡易型目視検査装置では、炉内構造物のアズビルトの寸法を計測することも困難であったという課題に対しては、一つ又は二つ以上の寸法計測対象を1台又は2台の撮像ユニットによる画像をその画像を撮るのに用いた撮像ユニット毎に撮った画像をソーテイングする手段と、各撮像ユニットで撮像した寸法評価すべき対象画像上の対応点を指示する手段を設けている。
【0024】これにより、指示された対応点座標から撮像ユニットの光学的特性と寸法評価すべき対象画像撮像時の3次元座標を算出し、評価対象の3次元モデルを求めて炉内構造物のアズビルトの寸法が計測できるようにしている。
【0025】このように、本発明では、原子炉圧力容器の上部から錘昇降用ロープによって錘を炉底部に降下させ、炉底部に固定する手段を用いることと、その錘の重量を利用して錘昇降用ロープに錘による荷重以下の引っ張り力で炉上部の錘昇降用ロープ送出し機構での錘昇降用ロープ支持点と錘昇降用ロープと錘の固定点との間を直線で結ぶことができるようにしている。
【0026】このため、錘昇降用ロープに沿って設置する撮像ユニットの上下方向及び錘昇降用ロープ周方向の位置を長時間安定に保つことができるようになり、また、撮像ユニットの検査対象に対する正確な位置決めも可能になり、検査に要する時間の短縮が可能となる。
【0027】また、撮像ユニット搭載手段には、撮像ユニットの上下方向の位置を固定する手段や錘昇降用ロープ周方向及び鉛直方向に対して撮像ユニットを遠隔で位置決めする駆動手段を設けることができるので、撮像ユニット操作者に対する負担を軽減することができる。
【0028】更に、2台の撮像ユニットを搭載すれば、この2台の撮像ユニットの光軸間距離、撮像ユニットの視野角、取り込み画像の画素数、2枚の画像間の対応点視差画素数との関係から撮像ユニットと検査対象面までの距離が算出できるので、欠陥の実寸法評価が可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明による炉内目視検査装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態で、この図は、原子炉圧力容器40の頂部にある原子炉密封用のヘッドが取り外された状態を示したものである。
【0030】そして、圧力容器40の上には、建屋の中で圧力容器40の上に位置する床51があり、ここに、核燃料集合体や炉内機器の挿入取出しに際して水を張り、それらの移送経路用プールとなる原子炉ウェル52がある。
【0031】床51の上には燃料取扱機走行台車50が走行自在に設置され、これに燃料取扱機横行台車55が、これも走行自在に載置されている。そして、この燃料取扱機横行台車55に錘昇降機構80が取付けてある。
【0032】ここで、詳細は後述するが、この錘昇降機構80は一種の巻上機で、錘昇降用ロープ20は、この巻上機の巻胴(ドラム)に巻き付けた状態でが吊り下げられている。
【0033】そして、この錘昇降用ロープ20の先端には、所定の重量を持った錘10が吊り下げられた形で取付けてあり、従って、錘昇降機構80により錘昇降用ロープ20を巻き取ったり、巻き戻したりすることにより、このロープ20の下端に吊り下げられている錘10を容器内で昇降させることができる。
【0034】この図1では、錘10が錘昇降機構80により降ろされ、圧力容器40の底部に届いている状態が示されているが、ここで、この錘10を吊り下げているロープ20にはカメラ搭載機構30が上下移動可能に保持され、これにカメラ搭載機構昇降用ロープ21の先端が固定されている。
【0035】そして、このカメラ搭載機構昇降用ロープ21の上端も、図示してないが、錘昇降機構80と同じような構成のカメラ昇降機構により吊り下げられていて、上下に昇降移動できるようになっている。ここで、このカメラ昇降機構は、錘昇降機構80の上側又は下側で燃料取扱機横行台車55に取付けられている。
【0036】そこで、錘10の原子炉圧力容器40内における水平方向の位置は、錘昇降機構80が取付けられている燃料取扱機横行台車55と、この燃料取扱機横行台車55を支持してる燃料取扱機走行台車50によって任意に位置決められ、圧力容器40内での垂直方向の位置は、カメラ搭載機構昇降用ロープ21により任意に位置決めされる。
【0037】そこで、まず、錘吊り下げ用の錘昇降用ロープ20には、荷重付加時の伸びが全長約25mで約10mm以内となるような素材で作られ、且つ錘10による荷重付加時の撚り戻しができるだけ少ないものを用いる。例えば撚り線式の金属ワイヤを錘昇降用ロープ20として用いる場合には、長時間の荷重付加による伸びと撚り戻しが少ないものを用いる。
【0038】そして、まず、炉心シュラウド90内の上部格子板60や炉心支持板70内の炉心構造物を検査する場合には、これら上部格子板60の格子の孔や炉心支持板70の孔を通過して錘10を炉底部に着座させる。
【0039】このとき、上部格子板60の格子の孔や炉心支持板70の孔の中で、検査位置に最も近い座標にあるものを錘10が通過するように制御する。そして、このとき、錘10に連結された錘昇降用ロープ20の張力が、錘10の重さによる引っ張り力よりも低下し、所定の張力以下になったとき、錘10が着座したものと判断して下降動作を停止するように錘昇降機構80を制御する。
【0040】図3は、錘昇降機構80の詳細で、まず、錘昇降機構フレーム81は、燃料取扱横行台車55の原子炉が見下ろせる位置にボルトなどで固定されている。そして、錘昇降用ロープ20は、水平方向錘昇降用ロープ位置固定用プーリ88と錘昇降用ロープガイド機構86を介して錘昇降用ロープ巻取りドラム82に巻き付けられている。
【0041】このとき、錘昇降用ロープガイド機構86は、錘昇降用ロープの巻取り時又は繰り出し時における錘昇降用ロープ巻取りドラム82のローブの軸方向位置に同期して、錘昇降用ロープ巻取りドラム82の中心軸と平行に動き、これによりロープが順次並んでドラムに巻き取られるようにしてある。
【0042】このため、錘昇降用ロープガイド機構86には、ドラム回転用歯車84から遊び歯車とボールスクリュー回転用歯車85を介して駆動されるようにしたボールスクリュー機構が設けてあり、これにより錘昇降用ロープ巻取りドラム82の中心軸と平行に移動させられるようになっている。
【0043】ここで、錘昇降用ロープ20の巻取り時又は繰り出し時での錘昇降用ロープ巻取りドラム82の軸方向での位置変化により、錘昇降用ロープ20の吊り下げ位置が変化してしまうのを抑えるため、水平方向錘昇降用ロープ位置固定用プーリ88が設けてある。
【0044】また、錘昇降用ロープ巻取りドラム82は、このドラムに直結されたドラム回転用歯車84とこの歯車に連結されたエンコーダ回転用歯車83を介して機械的に連結された錘昇降用モータ87によって駆動される。
【0045】ここで、この図3には示されていないが、錘昇降用ロープ巻取りドラム82の回転軸とドラム回転用歯車84の回転軸との間には軸トルク検出用のセンサが設けてあり、これにより、上記した錘10の吊り降ろし時、軸トルクが所定の値以下になったことを検出して吊り降ろし動作を自動的に停止させる機能が持たせられ、反対に、錘10の巻き上げ時には、軸トルクが所定の値以上になったことを検出して吊り上げ動作を自動的に停止されられるようにしてある。
【0046】この機能は、錘の吊り降ろし時には、錘10が炉底部構造物に着座したことが自動的に検出でき、錘10の巻き上げ時には、錘10が炉内構造物に引っ掛かったなどの干渉が生じたことを自動的に検出するために付加したものである。
【0047】また、このときの錘10の燃料取扱横行台車55からの吊り降ろし距離は、エンコーダ回転用歯車83に直結されたエンコーダ(図示せず)によって計測するように構成してある。
【0048】次に、錘10とカメラ搭載機構30について、図4により説明する。まず、錘10は、単純に考えれば所定の重さの物体だけで良いが、この図4では、緩衝材11とストッパ12を設けた実施形態について示している。
【0049】このとき、まず緩衝材11は、例えば合成ゴムなどの弾性材で作られ、錘10が炉底部や炉内にある構造材に接触した際の衝撃を和らげる働きをし、次にストッパ12は、詳しくは後述するが、検査箇所が上部格子板60よりも上部にある場合や、炉心支持板70よりも上部など所定の場所だけに限定されたとき用いられる支持部材となる。
【0050】次にカメラ搭載機構30については、図4に加えて図5により説明する。ここで、この図5は、図4に示されているカメラ搭載機構30の平面図で、まずカメラ搭載機構30は、上記したように、燃料取扱機横行台車55の錘昇降機構80の上部又は下部に取り付けられた、錘昇降機構80と同様の機構から吊り下げられているカメラ搭載機構昇降用ロープ21に繋がれている。
【0051】これにより、カメラ搭載機構30は、錘昇降用ロープ20をガイドとして、カメラ搭載機構昇降用ロープ21により垂直方向の任意の位置に移動させられ、この後、錘昇降用ロープ20に固定されて使用されるのであるが、このため、まずカメラ搭載機構可動部35とカメラ搭載機構固定部36を備えている。
【0052】そして、このカメラ搭載機構可動部35にカメラホルダ200が取付けられ、カメラ搭載機構固定部36に設けてあるクランプ機構(図示せず)により、カメラ搭載機構30が錘昇降用ロープ20に固定されるようになっている。
【0053】カメラホルダ200にはTVカメラ210と照明(照明灯)230が収納されている。そして、このカメラホルダ200のチルト角度(仰角)は、カメラホルダチルト用モータ32、傘歯車240、ウオームギア250及びカメラホルダチルト用歯車33を介して制御される。
【0054】このとき、カメラホルダ200やカメラホルダチルト用モータ32の重量によるカメラ搭載機構30の左右のアンバランスを補正するため、カメラ搭載機構可動部35にバランスウエイト31が設けてある。
【0055】カメラ搭載機構可動部35は、カメラ搭載機構固定部36に取付けたモータ33と、このモータ33に直結した歯車32a及び歯車32bにより、カメラ搭載機構固定部36に対して回転し、これにより、TVカメラ210を、錘昇降用ロープ20を中心とした周方向の任意の位置に位置決めでき、このときの回転角度は、カメラパン角度測定用エンコーダ270により測定できる。
【0056】次に図6は、カメラホルダ200のTVカメラ210と照明230の配置の一例で、このとき、TVカメラ210と照明230は、各1台づつでも良いが、この実施形態では、TVカメラ210a、210b、照明230a、230bとして、それぞれ2台、カメラホルダ200の左右に所定の間隔で配置すると共に光ポインタ220を付加し、これにより、検査対象の欠陥についてのサイジングや寸法計測が得られるようにしてある。
【0057】この場合、光ポインタ220は、2台のTVカメラ210a、210bの中間位置でカメラホルダ200に取付けてあり、カメラホルダ200のパン角度とチルト角度が遠隔操作されたとき、光ポインタ220の光により、距離計測したい位置に位置合わせができるようにしてある。
【0058】次に、図7は、上記したストッパ12の詳細で、図の(a)は断面図で、(b)は平面図であり、これらの図において、ソレノイド15が励磁されていない場合、リンク16はバネ13によって引っ張られ、この結果、ストッパ12は、図示のように、下方に折り畳まれた状態にある。
【0059】そして、ソレノイド15が検査員の指令により励磁された場合には、リンク16に固定されている可動鉄心17がバネ13の引っ張り力に抗して下方に引き下げられるため、リンク16によりストッパ12が左右に展開して広がる。
【0060】このとき、ストッパ12は、補強リング18を中心軸として回動され、折り畳み状態と展開状態になり、ここで、展開された状態は、図8と図9に平面図として示され、このとき、図8は、上部格子板60の上でストッパ12が展開された場合で、図9は炉心支持板70の上で展開した場合である。
【0061】ここで、図8の場合、上部格子板60の格子目の中に錘10が入り込み、ストッパ12が格子板60の上に乗っている状態を表わし、図9では、錘10が炉心支持板70の孔71に入り込んでいる状態を表わしており、従って、このようなストッパ構造により、上部格子板60の上でも、炉心支持板70の上でも容易に錘10を着座させることができる。
【0062】このとき、ストッパ12は、錘10の中心位置が上部格子板60の格子目の中や炉心支持板70の孔71の中で最大限ずれても、両側のストッパ12が上部格子板60の上や炉心支持板70の上に乗るだけの長さが最低でも必要である。
【0063】次に、図10は、本発明の他の一実施形態で、この実施形態におけるカメラ搭載機構30の詳細を図11に示す。ここで、この実施形態の場合も、カメラ搭載機構30には、各々2台のTVカメラ210a、210bと照明230a、230bが搭載されているが、このとき、照明230a、230bについては、TVカメラ210a、210bの配列方向と直角方向に配列している。
【0064】一方、光ポインタ220は、図6の実施形態と同様、2台のTVカメラ210a、210bの中間位置でカメラホルダ200に固定され、カメラホルダ200のパン及びチルト角度を遠隔で操作したとき、この光ポインタ220の光により距離計測したい位置に位置合わせができる構成になっている。
【0065】TVカメラ210a、210bから夫々出力された映像信号は、検査員410からの指示により、燃料取扱機横行台車55に設置されているコンピュータ400に入力され、ここでデジタル化した画像として取り込まれる。
【0066】このとき、このコンピュータ400は、燃料取扱機走行台車50及び燃料取扱機横行台車55の座標データの読取り処理と、カメラホルダ200のカメラチルト角度測定用エンコーダ260及びカメラパン角度測定用エンコーダ270から取り込んだデータによるTVカメラ210a、210bの焦点位置の3次元座標の演算処理、2台のDVカメラ210a、210bから取り込んだ画像上の光点から抽出した画素アドレスのずれ量の算出処理、それに、この画素アドレスのずれ量から算出されるカメラ焦点位置から実際の検査対象上の光点までの距離の算出処理などが行われる。
【0067】このとき、TVカメラ210a、210bから出力された映像データは、検査員410からの指示により適宜コンピュータ400に取り込まれ、カメラの3次元座標データと共にコンピュータ400の記憶装置に格納されるように構成されている。
【0068】次に、カメラ搭載機構30の光ポインタ220による検査対象面までの距離の測定動作について説明すると、まず、ここで、各TVカメラ210a、210bの光軸は完全に平行になっていて、焦点も同一の平面上にあると仮定する。
【0069】そこで、検査対象面をPt、2台のTVカメラ210a、210bの視野角をα、これらTVカメラ210a、210bの光軸間の距離を2d、それに、各TVカメラのレンズによる焦点面をPfとして、光ポインタ220と、それによる光点も含めた相互関係を示すと、図12のようになる。
【0070】そして、この図12において、距離Lは、2台のTVカメラ210a、210bのレンズの主点を含む面Pfと、この面Pfと平行で光点が投影された点を含む面、つまり検査対象面Ptの間の距離で定義し、このとき、検査対象面Pt上でTVカメラ210a、210bにより撮像される検査対象の幅、つまりX方向の長さをWxとする。
【0071】そうすると、この図12において、2台のTVカメラ210a、210bの光軸間距離2dと水平方向視野角αは既知の値となり、画像のX方向の画素数Pxも、使用されている撮像素子などで決まる既知の値であるから、これらを予めコンピュータ400の記憶装置に格納しておく。
【0072】ここで、図13は、検査対象面Pt及びレンズの主点を含む面Pfと、カメラの焦点面Peの幾何学的な関係を示したもので、この場合、検査対象面Pt上の物体から出た光は、カメラレンズの主点を通ってカメラの焦点位置、つまり焦点面Peにある撮像素子で受光される。
【0073】従って、実撮影面での2次元方向の撮影範囲とカメラ撮像素子上で映像化される範囲、つまり検査対象面Pt上での2次元方向の長さと焦点面Pe上での2次元方向の長さは完全に相似関係になり、その比は、距離Lと焦点距離fの比となる。
【0074】また、2次元撮像素子の撮像面の範囲と画像の範囲も相似関係にあり、2次元的な実撮影面上の位置と、それを画像化した画像上の対応した画素アドレスとの間には完全に一対一の関係が成立する。
【0075】このことから、例えば、検査対象面で或る長さの欠陥が画像化された場合、カメラ焦点位置から検査対象面上の実欠陥を含む面までの距離が計測できれば、撮像した欠陥画像上の画素換算での長さから、実際の欠陥の長さが演算により求められることになる。
【0076】図14は、図12における2台のTVカメラ210a、210bで撮像された光点画像と、同画像上での光点重心のX、Y座標の関係を示したもので、このとき、コンピュータ400に取り込まれる画像は、X軸方向の画素数がPxで、Y軸方向の画素数をPyとし、左右のカメラ、つまりTVカメラ210a、210bによる画像上の光点重心座標は、夫々(X1,Y1)と(X2,Y2)であるとした。
【0077】ここで、このような画像処理の場合、通常、画像の左上隅のアドレスについては(0,0)で、右下隅のアドレスは(Px−1,Py−1)とするのが一般的である。そこで、コンピュータ400では、予め記憶してある既知のパラメータと、図14に示すX座標画素アドレスX1、X2から、次の(1)式により距離Lを算出する。
【0078】
L=d*Px/(X1−X2)*tan(α/2)……………(1)ここで、2dは2台のTVカメラ210a、210bの光軸間距離、αはカメラの水平方向視野角、Pxは画像のX方向の画素数Pxであることは、上記した通りである。
【0079】従って、この実施形態によれば、光ポインタ220により検査対象面上の任意の場所に投影した光点を2台のTVカメラ210a、210bで撮像することにより検査対象面までの距離Lを算出し、これにより検査対象面上での実寸法が算出でき、この結果、例えば検査対象面に欠陥があった場合、その欠陥の大きさを知ることができる。
【0080】ここで、図15は、このようにして算出した実撮影面の画像と実寸法の関係を表わすスケールを実撮像画像と共にコンピュータ400のモニタ画面に表示したときの表示画面の一例で、ここでは、検査対象面で抽出された欠陥の長さも同時に表示させた場合が示されている。
【0081】次に、図16は、上記実施形態において、図3及び図5に示した角度及び位置計測用の各種のエンコーダからパルス信号をコンピュータに取込み、カメラ搭載機構基準位置のX、Y、Z座標と検査対象面範囲の中心座標を演算し、コンピュータの表示装置に出力するまでのコンピュータ400による処理過程を示したものである。
【0082】このとき、カメラ搭載機構基準位置の平面的な座標であるX、Y座標は、燃料取扱走行台車50と横行台車55の座標データ燃料取扱機制御装置から読取り、所定の座標変換を施して求めることができる。
【0083】このカメラ搭載機構の基準位置は、同機構の何処に設定しても良いが、座標演算のし易さ等を考慮すると、垂直方向では同機構最上面に設定し、水平方向では錘昇降用ロープ20の中心位置に設定するのが望ましい。
【0084】ここで、図17は、この実施形態による検査に際して、原子炉圧力容器40を上から見た場合の水平面内での検査位置と、その3次元座標の一例であり、図18は、図17における水平方向角度90°と270°を結ぶ線に対して直角方向から見た原子炉断面における検査位置と、その3次元座標及びカメラのパン・チルト角度の一例である。
【0085】次に、この実施形態による検査対象の3次元モデリングと寸法計測の原理について、図19により説明すると、この図において、或るカメラで或るモデリング対象物を撮影した場合、得られる画像はP1のようになり、ここで、モデリング対象上の特徴点a、b、cなどは、画像P1上の対応点1、2、3にに対応することは判る。
【0086】しかし、画像P1による情報だけでは奥行きは判らない。ここでモデリング対象を別の角度から撮影した画像P2又はP3が得られれば、画像P1から奥行きを知ることができる。
【0087】そこで、この実施形態による3次元のモデリングでは、このように奥行きのある同一のモデリング対象から複数枚の画像を撮影し、各画像P1、P2、P3の画像上の特徴点が、相互の画像上のどの特徴点と一致するかを画像上で教示することにより、相対的な3次元形状がモデリングできるようにしたものである。
【0088】つまり、ここでは、複数のモデリング対象の画像P1、P2、P3において、モデリング対象画像上の各特徴点の位置を教示し、その特徴点にそれぞれ番号を割り当てるのである。
【0089】ここで、各画像に割り当てた番号の対応付けとは、例えば画像P1上の特徴点1が画像P2上のどの番号の特徴点と同一の点であるかを教示することを指し、図19の場合、モデリング対象上の特徴点aは、画像P1での特徴点番号1と画像P2上の特徴点番号28に対応することになる。
【0090】但し、このモデリングだけでは、各カメラとモデリング対象との距離は計測できない。このため、モデリングした特徴点で連結された複数の線分の内で一箇所でも寸法が判っている部分があれば、その値とモデリング対象の撮影に用いたカメラの焦点距離を用いることにより、カメラとモデリング対象との距離を計算することができる。
【0091】つまり、図19の場合、例えば、モデリング対象の特徴点a−b間の距離が判ったとすると、画像P1上の特徴点番号1と2の間の距離を教示することによって、他の特徴転点間の寸法が計測できることになる。
【0092】なお、このようにして、モデリング対象を光学的な特性が既知のカメラで多方向から撮像して得た画像から、各画像上における対応点を特定することによって検査対象の3次元モデルが構築でき、対応点間の距離が正確に計測できることは論文なでも公表されていて、最近では、それを実現することができるようにしたソフトウエアも存在する。
【0093】そこで、この実施形態の場合、検査員410は、2台のTVカメラ210a、210bで撮像した画像からカメラ毎に整理された画像リストを得、これから3次元モデリングに用いる複数の画像を選定することになる。
【0094】ここで、図20は、計測対象310をカメラ210で4方向から撮像した4枚の画像が選定されている場合の一例を示したもので、このとき撮像された4方向からのカメラ画像を300a、300b、300c、300dとし、検査対象310の代表的な対応点を320a、320b、320c、320d、320eとする。そして、検査員410は、更に、これらの対応点がどの画像の何処に存在するかを画像上で指定するのである。
【0095】これらの作業が完了すると、検査対象310を撮像した際のカメラの3次元座標が演算され、これと共に各画像300a、300b、300c、300d上で指示した検査対象310の各対応点の3次元座標が演算され、この結果から、測定したい各対応点間の実寸法を知ることができる。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、燃料取扱機に設置した錘上下機構と錘との間に連結された錘昇降用ロープを所定の引っ張り力で所定の位置に配置できるので、この錘昇降用ロープに沿って検査用のカメラが位置決めでき、従って、カメラの揺れによる映像の劣化が抑えられ、カメラ位置の調整作業に要する時間が短縮できることになる。
【0097】また、本発明によれば、遠隔操作により展開と折り畳みができるストッパを錘に設けることができ、原子炉圧力容器内の鉛直方向での所定の検査場所に応じて錘を上部格子板や炉心指示板等で着座させることができるため、炉内の目視検査の度に錘を炉底部まで吊おろす必要が無くなり、検査に要する時間が大幅に短縮できる。
【0098】更に、本発明によれば、2台のTVカメラを用い、検査対象までの距離の計測ができるようにしたので、距離計測結果による検査対象表面の欠陥サイジングと欠陥寸法を容易に知ることができる。
【0099】この結果、本発明によれば、2台のカメラで撮像した検査対象の画像をカメラ毎にソートすることにより、検査対象の3次元モデリングと寸法計測を同時に実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年12月20日(2001.12.20)
【代理人】 【識別番号】100093492
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 市郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−185783(P2003−185783A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−387778(P2001−387778)