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【発明の名称】 光ディスク記録媒体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】堀米 秀嘉
【住所又は居所】神奈川県横浜市港北区新横浜2−5−1 日総第13ビル7階 株式会社オプトウェア内

【氏名】木下 昌治
【住所又は居所】神奈川県横浜市港北区新横浜2−5−1 日総第13ビル7階 株式会社オプトウェア内

【氏名】田中 善喜
【住所又は居所】茨城県真壁郡明野町宮後2193 メモリーテック株式会社内

【氏名】高谷 佳弘
【住所又は居所】茨城県真壁郡明野町宮後2193 メモリーテック株式会社内

【要約】 【課題】高い再生効率で且つ高い記録密度でホログラムを記録することができる光ディスク記録媒体を提供する。

【解決手段】一方の面に物理的なプリフォーマットが施された第1の基板11と、この第1の基板11のプリフォーマットが施された面上に形成された反射膜12と、反射膜12の上に形成された厚さが50μm〜430μmの透明層13と、この透明層13との間に所定の間隔を空けて配置された透明体からなる第2の基板15と、透明層13と第2の基板15との間に充填されたホログラム記録用の記録層14とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の面に物理的なプリフォーマットが施された第1の基板と、この第1の基板のプリフォーマットが施された面上に形成された反射膜と、前記反射膜の上に形成された厚さが50μm〜430μmの透明層と、この透明層との間に所定の間隔を空けて配置された透明体からなる第2の基板と、前記透明層と前記第2の基板との間に充填されたホログラム記録用の記録層とを備えたことを特徴とする光ディスク記録媒体。
【請求項2】 一方の面に物理的なプリフォーマットが施された厚さが50μm〜430μmの透明フィルムと、この透明フィルムのプリフォーマットが施された面上に形成された反射膜と、前記反射膜を介して前記透明フィルムを保持する第1の基板と、前記透明フィルムとの間に所定の間隔を空けて配置された透明体からなる第2の基板と、前記透明層と前記第2の基板との間に充填されたホログラム記録用の記録層とを備えたことを特徴とする光ディスク記録媒体。
【請求項3】 前記透明層の厚さは、約200μmであることを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク記録媒体。
【請求項4】 前記第1および第2の基板の厚さは、0.5mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光ディスク記録媒体。
【請求項5】 第1の基板の一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記第1の基板のエンボスピットが形成された面に反射膜を形成する工程と、前記第1の基板の前記反射膜が形成された面上に厚さ50μm〜430μmの透明層を形成する工程と、前記透明層が内側に配置されるように、前記第1の基板と所定の間隔を空けて透明な第2の基板を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録用の記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする光ディスク記録媒体の製造方法。
【請求項6】 前記透明層を形成する工程は、透明フィルムを前記第1の基板の前記反射膜が形成された面上に接着する工程であることを特徴とする請求項5記載の光ディスク記録媒体の製造方法。
【請求項7】 50μm〜430μmの透明フィルムの一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記透明フィルムのエンボスピットを形成した面に反射膜を形成する工程と、前記透明フィルムを前記反射膜を介して第1の基板に接着する工程と、前記透明フィルムが内側に配置されるように、前記第1の基板と所定の間隔を空けて透明な第2の基板を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録用の記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする光ディスク記録媒体の製造方法。
【請求項8】 前記記録材料を充填する工程は、前記第1および第2の基板の間の空間を減圧して前記記録材料を充填する工程であることを特徴とする請求項5または7記載の光ディスク記録媒体の製造方法。
【請求項9】 第1の基板の一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記第1の基板のエンボスピットが形成された面に反射膜を形成する工程と、厚さ50μm〜430μmの透明板をホルダの上面に固定してその上に液体状の記録材料を塗布し、その上から透明な第2の基板を押し付けて前記透明板と第2の基板との間に前記記録材料からなる記録層を形成してなる三層構造体を形成する工程と、前記反射膜が形成された第1の基板と前記三層構造体とを前記反射膜および透明板を内側にして張り合わせる工程とを備えたことを特徴とする光ディスク記録媒体の製造方法。
【請求項10】 前記反射膜を形成する工程で形成された反射膜の上に、保護膜を形成する工程を更に含むことを特徴する請求項5,7または9記載の光ディスク記録媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ホログラムを記録するための記録層を有する光ディスク記録媒体およびその製造方法に関し、特にデフォーカス用の透明層を介して記録層とプリフォーマットされた反射層とが対向する光ディスク記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ホログラムによって光ディスク記録媒体に情報を超高密度で記録するホログラフィック記録方式が知られている。このホログラフィック記録方式では、イメージ情報を担持する情報光と記録用参照光とを光ディスク記録媒体の内部の記録層内で重ね合わせて干渉縞パターンを生成し、この干渉縞パターンを光ディスク記録媒体の記録層に記録することによってイメージ情報の書き込みが行われる。記録された干渉縞パターンから情報を再生する場合には、その光ディスク記録媒体中に記録された干渉縞パターンに書込時と同様の再生用参照光を照射し、干渉縞パターンによって回折を生じさせてイメージ情報を再生する。
【0003】近年では、光ディスク記録媒体の記録層の厚み方向も利用して、干渉縞パターンを3次元的に書き込むことにより、記録密度を更に増加させるようにしたボリュームホログラフィの開発が注目されている。このボリュームホログラフィによる記録方式を利用し、更に多重記録を行うことによって情報の記録容量を飛躍的に増大させることができる。
【0004】このようなボリュームホログラフィによる光ディスク記録媒体への情報記録及び再生に係る装置及びその方法が、国際公開番号WO99/44195号に開示されている。本発明を理解するために、同公開公報に記載のボリュームホログラフィを記録する光ディスク記録媒体について簡単に説明する。図13に示すように、光ディスク記録媒体101は、円形の透明基板101a,101bの間にホログラム記録用の記録層101cを設けると共に、透明基板101bの記録層101cとは反対側の面に反射膜101dを形成し、これらを基板101eと貼り合わせて構成され、反射膜101dには、光ディスク記録媒体101の半径方向に複数のアドレスサーボ領域が所定の角度間隔で配列され、周方向に並ぶこれらアドレスサーボ領域間には、情報記録領域が設けられている。アドレスサーボ領域には、フォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御を行うためのサーボ情報及び情報記録領域に対するアドレス情報が、予めエンボスピット101fによって記録(プリフォーマット)してある。
【0005】光ディスク記録媒体の具体的な構成としては、透明基板101a,101bが、例えば500μm程度の厚みを有し、記録層101cが、例えば200μmの厚みを有している。記録層101cは、レーザ光で所定時間照射されたときに、レーザ光の強度に応じて屈折率、誘電率及び反射率等の光学特性が変化するホログラム記録材料によって形成されている。
【0006】ボリュームホログラフィによる記録層101cへの記録の一例としては、図示のように、記録すべき情報を担持する情報光111と記録用参照光112とが記録層101c内において、厚み方向の干渉縞を生成するように、透明基板101a側から情報光111と記録用参照光112とを同時に所定時間照射して、記録層101c内に干渉縞パターンを立体的に定着させることにより情報を立体的なホログラムとして記録する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録層101cに記録すべき情報は、図14に示すような空間光変調器113により与えられる二次元的に配列された情報パターンである。この情報パターンは、空間光変調器を構成する二次元配列された各ドット114の光の透過・非透過を制御することにより得られる。この場合、ホログラム面上にはドット114の配列ピッチpDとレンズの焦点距離fおよび記録光の波長λで決定される周期でスパイク状の光強度分布が得られ、これが線形的記録を阻害する。このため従来は、ホログラム面を焦点距離から若干ずらすことにより光強度分布を平均化するデフォーカス法が用いられる。また特にエンボスピット101fが形成された記録媒体の場合、記録層101cとエンボスピット101fとがあまり近いと、ホログラム記録再生上不都合を生じる。このため、記録層101cと反射膜101dとの間には、所定の厚さの透明基板101bが挿入される。
【0008】しかしながら、透明基板101bの厚みが厚すぎると、記録されるホログラムの径Dが大きくなりすぎてしまい、記録密度が低下してしまう。また記録密度を高めようとすると、隣接するホログラム同士のオーバーラップが生じる。100%の回折効率が得られるホログラムをいくつ多重化できるかを示す数値をMナンバーと呼び、このMナンバーは記録材料によって決定される。ホログラムの多重化数をMとすれば、再生効率ηは、Mナンバーを多重化数Mで割った値の二乗に比例する。このため、再生効率を高めるためには、極力多重化数Mを減らすことが必要である。このためには透明基板101bが適切な厚みであることが必要である。
【0009】本発明は、このような点に鑑みなされたもので、高い再生効率が得られ、且つ高い記録密度での記録が可能な光ディスク記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の光ディスク記録媒体は、一方の面に物理的なプリフォーマットが施された第1の基板と、この第1の基板のプリフォーマットが施された面上に形成された反射膜と、前記反射膜の上に形成された厚さが50μm〜430μmの透明層と、この透明層との間に所定の間隔を空けて配置された透明体からなる第2の基板と、前記透明層と前記第2の基板との間に充填されたホログラム記録用の記録層とを備えたことを特徴とする。
【0011】また本発明に係る第2の光ディスク記録媒体は、一方の面に物理的なプリフォーマットが施された厚さが50μm〜430μmの透明フィルムと、この透明フィルムのプリフォーマットが施された面上に形成された反射膜と、前記反射膜を介して前記透明フィルムを保持する第1の基板と、前記透明フィルムとの間に所定の間隔を空けて配置された透明体からなる第2の基板と、前記透明層と前記第2の基板との間に充填されたホログラム記録用の記録層とを備えたことを特徴とする。
【0012】ここで、透明層の厚さが50〜430μmに規定されているのは、以下の理由による。すなわち、いま、図14に示された空間光変調器113の各ドットの直径をdDとすると、1つの円形ドットが与える回折パターンは、次式で与えられる。
【0013】
【数1】
E(θ)=J1(dDθr/λ)/(dDθr/λ)
【0014】ここで、図15に示すように、J1(x)/xは、Airy関数と呼ばれ、sinx/xと波形的には類似するが最初の零点がx=±1.22に現れる関数である。従って、ホログラムが少なくとも回折パターンの最初の零点間の情報は全部収めるものと仮定すると、その最小径dHは、次式で与えられる。
【0015】
【数2】dH=2.44fλ/dD【0016】但し、fはレンズの焦点距離、λは記録光の波長である。ここで、波長λとして現在利用可能なものは、390nm〜650nmである。また、レンズの焦点距離としては3mmが平均的である。更に、空間光変調器113のドットの直径dDとしては、13.7μmまたは17μmが使用されている。従って、λ=650nm、dD=13.7μmとすると、【0017】
【数3】
H=2.44×3×10-3×650×10-9/13.7×10-6 ≒347μm【0018】となる。同様に、λ=390nm、dD=17μmとすると、【0019】
【数4】
H=2.44×3×10-3×390×10-9/17×10-6 ≒168μm【0020】となる。光ディスク記録媒体の内部の屈折率n≒1.52とすると、媒体内では波長が1/1.52倍になるので、【0021】
【数5】■λ=650nm、dD=13.7μmの場合dH≒228μm■λ=390nm、dD=17μmの場合dH≒110μm【0022】となる。ここで、図16に示すように、レンズ115のNA(開口数)=0.5とすると、θ0=30°である。ただし、媒体内部では、スネルの法則により、【0023】
【数6】n0sinθ0=n1sinθ10=1.0(空気),n1=1.52(ガラス)
【0024】であるから、【0025】
【数7】
θ1=sin-1(sinθ0/n1
=sin-1(NA/n1
≒19.2°【0026】ここで、2ε≒dHという経験則に従うと、【0027】
【数8】■λ=650nm、dD=13.7μmの場合2ε≒228μm■λ=390nm、dD=17μmの場合2ε≒110μm【0028】従って、焦点面からホログラム形成面までの距離Δfは次のように求められる。
【0029】
【数9】■λ=650nm、dD=13.7μmの場合Δf=(228/2)(1/tan19.2°)
≒327μm■λ=390nm、dD=17μmの場合Δf=(110/2)(1/tan19.2°)
≒158μm【0030】通常、記録層の厚みは、200μmであるから、ホログラム面(焦点位置からΔfだけ離れた位置)を記録層の中心当たりに位置させるとすれば、透明層の厚みは、50μm〜430μmとなる。また、ベストモードをλ=532nm、dD=13.7μmとすると、【0031】
【数10】
2ε=dH =2.44×3×10-3×532×10-9 /(1.52×13.7×10-6
≒187μm【0032】従って、Δfは、【0033】
【数11】
Δf=(187/2)(1/tan19.2°)
≒268μm【0034】となる。よって、透明層の厚みは、約200μmがベストモードである。また、記録層を安定に保持するためには、第1および第2の基板の厚さは、0.5mm以上であることが望ましい。
【0035】本発明に係る第1の光ディスク記録媒体の製造方法は、第1の基板の一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記第1の基板のエンボスビットが形成された面に反射膜を形成する工程と、前記第1の基板の前記反射膜が形成された面上に厚さ50μm〜430μmの透明層を形成する工程と、前記透明層が内側に配置されるように、前記第1の基板と所定の間隔を空けて透明な第2の基板を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録用の記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0036】ここで、透明層を形成する工程は、例えば透明フィルムを、第1の基板の反射膜が形成された面上に接着する工程である。
【0037】また、本発明に係る第2の光ディスク記録媒体の製造方法は、50μm〜430μmの透明フィルムの一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記透明フィルムのエンボスピットを形成した面に反射膜を形成する工程と、前記透明フィルムを前記反射膜を介して第1の基板に接着する工程と、前記透明フィルムが内側に配置されるように、前記第1の基板と所定の間隔を空けて透明な第2の基板を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録用の記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0038】なお、これらの光ディスク記録媒体の製造方法において、記録材料を充填する工程は、例えば第1および第2の基板の間の空間を減圧して記録材料を充填する工程である。
【0039】本発明の光ディスク記録媒体の製造方法によれば、透明層と第2の基板との間に先ず記録層を充填するのではなく、透明層が第1の基板上に形成されてから、第1の基板と第2の基板との間に記録材料の充填がなされるため、透明層を50〜430μmと薄くした場合でも、第1の基板の存在により、記録材料の充填を支障なく行うことができる。
【0040】また、本発明の第3の光ディスク記録媒体の製造方法は、第1の基板の一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、前記第1の基板のエンボスピットが形成された面に反射膜を形成する工程と、厚さ50μm〜430μmの透明板をホルダの上面に固定してその上に液体状の記録材料を塗布し、その上から透明な第2の基板を押し付けて前記透明板と第2の基板との間に前記記録材料からなる記録層を形成してなる三層構造体を形成する工程と、前記反射膜が形成された第1の基板と前記三層構造体とを前記反射膜および透明板を内側にして張り合わせる工程とを備えたことを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る光ディスク記録媒体を説明するための図である。図1に示すように、円板状の光ディスク記録媒体1は、周方向に分割された複数のフレーム2(この例では、フレーム#00〜#97)を備え、これら各フレーム2は、更に周方向に分割された複数のセグメント3(この例では、セグメント#00〜#13)から構成されている。各セグメント3は、サーボ領域6と、一部の隣接するサーボ領域6間を除いてはホログラム記録領域7とを備え、一部の隣接するサーボ領域6間(この例では、セグメント#00のサーボ領域6とセグメント#01のサーボ領域6間)には、アクセス位置を示すアドレス情報が記録されたアドレス領域8が形成されている。
【0042】各サーボ領域6には、光ディスク記録・再生装置における各種の動作のタイミングの基準となるサーボクロックピットと、例えばサンプルド・サーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うためのサーボピットとが予めエンボスピットにより記録されている。アドレス領域8には、プリ・アンブル、同期マーク、アドレスパート、エンドアドレスマーク、ポスト同期マーク及びポスト・アンブルが予めエンボスピットにより記録されている。ホログラムの記録の際には、このアドレス領域8にプリフォーマットされている情報を利用して、各ホログラム記録領域7の情報記録位置に対する光ヘッドからの情報光、記録用参照光及び再生用参照光の照射位置の位置合わせを行う。光ディスク記録・再生装置は、サーボ領域6に記録されているサーボクロックピット及びサーボピットを利用してフォーカシングやトラッキングを行うと共に、アドレス領域8に記録されているアドレス情報を検出して各ホログラム記録領域7における情報光、記録用参照光及び再生用参照光の照射位置を合わせている。ホログラム記録領域7は、エンボスビットによる物理フォーマットが施されていないミラー領域である。
【0043】図2は、この光ディスク記録媒体1の拡大した部分断面図である。光ディスク記録媒体1は、図中下から順に、円形の第1の基板11、反射膜12、透明層13、記録層14および第2の基板15を積層して構成されている。第1の基板11と透明層13の間の反射膜12の部分には、アドレス情報やサーボ情報等を示すエンボスピット16が形成されている。第1の基板11としては、厚さ0.6〜1.2mmのガラスまたはポリカーボネート等の樹脂が使用される。反射膜12は、例えばAlの蒸着層である。透明層13は、厚さ50〜430μm、好ましくは200μmで、透明度が高く、複屈折が少なく、吸水率が小さいポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス等が用いられる。記録層14はレーザ光で所定時間照射されたときに、レーザ光の強度に応じて屈折率、誘電率及び反射率等の光学特性が変化するホログラム記録材料によって形成されており、例えばデュポン(Dupont)社製のフォトポリマ(Photopolymers)HRF−600(製品名)等が使用される。この記録層14は、厚さ約200μmに設定されている。第2の基板15としては、厚さ0.5mmのガラスまたはポリカーボネート等の樹脂が使用される。
【0044】次に、このように構成された光ディスク記録媒体1の製造方法について説明する。図3は、第1の実施形態に係る光ディスク記録媒体1の製造工程を示すフローチャート、図4および図5は、同実施形態における光ディスク記録媒体1の製造工程に沿った部分拡大断面図である。先ず、図4(a)に示すように、第1の基板11上にエンボスピット16を形成する(S11)。第1の基板11がガラス基板である場合には、例えばガラス基板の上にUV(紫外線)硬化樹脂をエンボスピットの凹凸の深さに相当する厚み分だけ塗布し、図示しないスタンパをUV硬化樹脂に押し当てながら、反対側からUVを照射することによりエンボスピットを形成することができる。また、第1の基板11がポリカーボネート等の樹脂の場合には、直接モールド成形によってエンボスピット付きの基板を形成することができる。
【0045】次に、図4(b)に示すように、第1の基板11のエンボスピット16が形成された面にAlの蒸着などによって反射膜12を形成する(S12)。続いて、図4(c)に示すように、第1の基板11の反射膜12が形成された面に、厚さ200μmの樹脂フィルムを透明な接着剤17を用いて接着することにより透明層13を形成する。なお、透明層13は、膜厚が制御可能であれば、スピンコート等により形成することもできる。続いて、図5(a)に示すように、透明層13が形成された第1の基板11と約200μmの間隔を空けて、第2の基板15を配置する(S14)。そして最後に、図5(b)に示すように、透明層13と第2の基板15との隙間に、記録材料を充填して記録層14を形成する(S15)。
【0046】図6および図7は、記録材料の具体的な充填方法を説明するための図である。図6(a),(b)に示すように、透明層13が形成された円形の第1の基板11と円形の第2の基板15との間は、その外周部および内周部に挿入されたスペーサ17によって所定の隙間18を確保する。外周部のスペーサ17の一部は開口部19となっており、この開口部19を介して隙間18と外部とが連通している。
【0047】このように形成されたディスク1´を真空チャンバ21内に収容する。真空チャンバ21内には、更に記録材料である液体感光剤22を満たした容器23が配置される。この状態で真空ポンプを駆動して真空チャンバ21内を減圧する。この場合、第1の基板11と第2の基板15に挟まれた隙間18も開口部19を介して外部と同圧となるので、圧力による反り等は発生しない。
【0048】真空チャンバ21内を所定圧まで減圧したら、ディスク1´の開口部19を液体感光剤22の液面よりも少し沈める。そして、真空チャンバ21内の圧力を常圧に戻す。この場合、ディスク1´の隙間18は、減圧されたままなので、液体感光剤22は隙間18に吸い上げられる。隙間18に液体感光剤22が行き渡ったら、ディクス1´を真空チャンバ21内から取り出し、接液部に付着している感光剤を拭き取る。ここで、開口部19と反対側に小さい気泡が残る可能性がある。その場合には、開口部19を上にして、暫く放置する。これにより気泡が開口部19を介して外部に放射される。最後に、開口部19のみに強い紫外線を照射し、感光剤を硬化させて開口部19を防ぐ。
【0049】図8は、第2の実施形態に係る光ディスク記録媒体1の製造工程を示すフローチャート、図9は、同実施形態における光ディスク記録媒体1の製造工程に沿った部分拡大断面図である。先ず、図9(a)に示すように、200μmの樹脂フィルム31の下面にエンボスピット32を形成する(S21)。例えば、樹脂フィルム31の下面にUV硬化樹脂33を塗布し、スタンパ34を押し当てて、エンボスピット32を形成する。続いて、図9(b)に示すように、透明フィルム31のエンボスピット32を形成した面に、反射膜12をAl蒸着などにより形成する(S22)。そして、エンボスピット16が形成された樹脂フィルム31を、接着剤35を介して第1の基板11上に接着する(S23)。以後の工程は先の実施形態と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0050】図10は、第3の実施形態に係る光ディスク記録媒体1の製造工程を示すフローチャート、図11および図12は、同実施形態における光ディスク記録媒体1の製造工程に沿った部分拡大断面図である。先ず、第1の実施形態と同様の方法で、第1の基板11上にエンボスピット16を形成する(S31)。次に、第1の実施形態と同様の方法で、第1の基板11のエンボスピット16が形成された面にAlの蒸着などによって反射膜12を形成する(S32)。
【0051】次に、50〜430μmの透明層13と第2の基板15との間に記録層14が形成された三層構造体を作成する(S33)。この三層構造体は、例えば次のように作成することができる。すなわち、図11(a)に示すように、上下に対向するホルダ41,42のうち、下側ホルダ41の上に、50〜430μm、好ましくは200μmの透明層13を形成する円板状で中心孔43aを有するガラス等からなる透明板43を配置し、エアーの吸引力によって透明板43を保持する。また、上側ホルダ42の下面に厚さ500μm程度の円板状で中心孔15aを有する第2の基板15を配置し、第2の基板15をエアーの吸引力によって保持する。透明板43の内周部と外周部には、約200μmの厚みを有するスペーサ44を装着しておく。記録層14を形成する液体状の記録材料45を透明板43の所定の半径位置にリング状に塗布し、上側ホルダ42に保持された第2の基板15を透明板43に押し付けて、記録材料45を第2の基板15と透明板43の間の200μmの隙間に記録材料45を薄く伸ばして充填する。このようにして三層構造体46が形成される。
【0052】次に、図12に示すように、エンボスピット16および反射膜12が形成された第1の基板11を、反射膜12を上にして回転テーブル51の上に中心位置決めして装着し、反射膜12側の最内周部と最外周部とに両面接着テープ47を貼り付け、反射膜12側の最内周部に、例えばエポキシ系接着剤や嫌気性瞬間接着剤等の液体状の接着剤48をリング状に塗布する。次に、接着剤48が塗布された第1の基板11の上に、上側ホルダ51に保持されていた三層構造体46を透明層13が下になるように乗せ、回転テーブル51を回転させると、接着剤48は遠心力により外側に流れて行き、反射膜12の全面に広がる。そして、接着剤48が固化することにより、反射膜12が形成された第1の基板11と三層構造体46とが張り合わされる。
【0053】なお以上の各実施形態では透明層13を200μmとしたが50〜430μmの間で任意の厚さとすることができる。また、第1の基板11や樹脂フィルム31の表面に反射膜12を形成する場合、製造過程で反射膜12の表面が腐食したり反射膜12の表面に傷などが付かないように、反射膜12の表面に保護膜を形成するようにしても良い。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、記録層と反射膜との間の透明層の厚みを適切な値に設定したので、高い再生効率が得られ、且つ高い記録密度での記録が可能になるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】500112179
【氏名又は名称】株式会社オプトウエア
【住所又は居所】神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目5番1号 日総第13ビル7階
【識別番号】595047020
【氏名又は名称】メモリーテック株式会社
【住所又は居所】茨城県真壁郡明野町宮後2193
【出願日】 平成14年5月7日(2002.5.7)
【代理人】 【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
【公開番号】 特開2003−331464(P2003−331464A)
【公開日】 平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願番号】 特願2002−131861(P2002−131861)