| 【発明の名称】 |
多層光記録媒体の製造方法および多層光記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】小巻 壮 【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内
【氏名】山家 研二 【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】各記録層を偏心させることなくスペーサ層を形成する。
【解決手段】装着用中心孔1aが形成された基材D1の上にスペーサ層を挟んで積層した2つの記録層を有する多層光記録媒体の製造方法であって、2番目の記録層L1と、1番目の記録層との間のスペーサ層を形成する際に、1番目の記録層を形成するためのスタンパ21に形成された嵌合用溝部21bに嵌合可能な嵌合用凸部D1aが装着用中心孔1aの周囲に形成されると共に装着用中心孔1aにターンテーブル12のセンターピン12cを挿通させるた状態で基材D1をターンテーブル12に固定し、基材D1の嵌合用凸部D1aよりも外周部寄りの所定位置に塗液Rを滴下した後に、嵌合用溝部21bと嵌合用凸部D1aとを嵌合させつつスタンパ21を基材D1に覆い被せ、ターンテーブル12を回転させて塗液Rをスピンコートする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中心部に装着用中心孔が形成された基材の上にスペーサ層を挟んで積層したN層(Nは2以上の自然数)の記録層を有する多層光記録媒体の製造方法であって、再生用レーザービームまたは記録用レーザービームの入射方向から数えて(M+1)番目(Mは(N−1)以下の自然数)の前記記録層と、M番目の前記記録層との間の前記スペーサ層を形成する際に、前記M番目の記録層を形成するためのスタンパに形成されたスタンパ側嵌合部に嵌合可能な基材側嵌合部が前記装着用中心孔の周囲に形成されると共に前記(M+1)番目の記録層が形成された前記基材の前記装着用中心孔にターンテーブルの中央部に立設された位置決め用ピンを挿通させた状態で当該基材を当該ターンテーブルに固定し、当該基材の上面における前記基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置に前記スペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、前記スタンパ側嵌合部と前記基材側嵌合部とを嵌合させつつ前記スタンパを当該基材に覆い被せ、前記ターンテーブルを回転させることによって前記塗液をスピンコートする多層光記録媒体の製造方法。 【請求項2】 中心部に装着用中心孔が形成された基材の上にスペーサ層を挟んで積層したN層(Nは2以上の自然数)の記録層を有する多層光記録媒体の製造方法であって、再生用レーザービームまたは記録用レーザービームの入射方向から数えて(M+1)番目(Mは(N−1)以下の自然数)の前記記録層と、M番目の前記記録層との間の前記スペーサ層を形成する際に、当該M番目の記録層を形成するためのスタンパに形成されたスタンパ側嵌合部に嵌合可能な基材側嵌合部が前記装着用中心孔の周囲に形成されると共に前記(M+1)番目の記録層が形成された前記基材の前記装着用中心孔にターンテーブルの中央部に立設された位置決め用ピンを挿通させることによって当該基材を当該ターンテーブルに固定し、当該基材の上面における前記基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置に前記スペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、前記ターンテーブルを回転させることによって前記塗液をスピンコートし、その後に前記スタンパ側嵌合部と前記基材側嵌合部とを嵌合させつつ前記スタンパを当該基材に覆い被せ、その状態で前記塗液を硬化させる多層光記録媒体の製造方法。 【請求項3】 前記スペーサ層形成用の塗液としてエネルギー線硬化型の樹脂塗液を用い、かつ前記スタンパとしてエネルギー線透過素材で形成されたスタンパを用いる請求項1または2記載の多層光記録媒体の製造方法。 【請求項4】 前記スタンパ側嵌合部および前記基材側嵌合部のいずれか一方は、その平面視形状が輪状の嵌合用凸部で構成され、いずれか他方は、前記嵌合用凸部が嵌合可能に形成された嵌合用溝部で構成されている請求項1から3のいずれかに記載の多層光記録媒体の製造方法。 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の多層光記録媒体の製造方法に従って製造された多層光記録媒体であって、前記基材側嵌合部が前記基材に形成されている多層光記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スペーサ層を挟んで複数の記録層が積層された多層光記録媒体の製造方法、および多層光記録媒体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種の多層光記録媒体として、出願人は、図14に示す多層光記録媒体31を開発している。この多層光記録媒体31は、中心部に装着用中心孔1aが形成された円板状の基材D11の上に、記録層L1、スペーサ層S、記録層L0およびカバー層Cが順に積層されている。この場合、記録層L1は、基材D11の表面に形成されたグルーブ上やランド上に、記録用レーザービームおよび再生用レーザービーム(以下、区別しないときには「レーザービーム」ともいう)を反射する反射膜や、記録用レーザービームを照射することによって光学的定数の変化に伴って光反射率が変化する相変化膜、および相変化膜を保護する保護膜などを積層して構成されている。また、スペーサ層Sは、その厚みが20μm程度となるように光透過性樹脂で薄膜状に形成されている。一方、記録層L0は、スペーサ層Sの表面に形成されたグルーブ上やランド上に、相変化膜や保護膜などを積層して構成されている。カバー層Cは、記録層L0の傷付きを防止すると共に光路の一部(レンズ)としての役割を有する層であって、光透過性樹脂で薄膜状に形成されている。この多層光記録媒体31では、同図の矢印Aの向きでレーザービームが照射されることにより、記録層L0,L1に対する記録データの記録、または記録層L0,L1からの記録データの読み出しが行われる。 【0003】この多層光記録媒体31の製造に際しては、まず、基材D11の上に例えばスパッタ法によって記録層L1を成膜する。次に、記録層L1の上にスピンコート法によって塗液Rを塗布することによりスペーサ層Sを形成する。この際には、図15に示すように、まず、記録層L1が成膜された面を上向きにして、その装着用中心孔1aにターンテーブル12のセンターピン12cが挿通するように基材D11を基台12aの上に載置する。この場合、基台12aは、上面が平坦な円板状に形成され、シャフト12bを介して図外のモータに連結されている。また、このターンテーブル12は、塗液Rの塗布時には、負圧によってその内周部(チャッキングエリア)が吸引された基材D11を載置した状態でモータによって回転させられる。さらに、センターピン12cは、基材D11の中心部とターンテーブル12の中心部とを位置合わせするための位置決め用ピンであって、基材D11の着脱を容易にすべく、装着用中心孔1aよりも若干細径の円柱状に形成されて、基台12aの中心部に立設されている。 【0004】次に、この状態のターンテーブル12を低速回転させた状態で、図16に示すように、ノズル14aの先端から基材D11の上に塗液Rを滴下する。この際には、装着用中心孔1aの周囲(基材D11の内周部)に塗液Rを滴下する。次いで、ターンテーブル12を高速回転させ、塗液Rを基材D11の外周部まで拡げる。この際には、ターンテーブル12の回転数や高速回転保持時間などを適宜制御することにより、塗液Rが、ターンテーブル12の回転によって生じる遠心力で基材D11の半径方向の向きで内周部から外周部に向けて移動する。また、基材D11の外周部に達した余分な塗液Rは、遠心力によって基材D11から飛散する。これにより、図17に示すように、基材D11の表面全域に亘って塗液Rがほぼ平坦に薄膜状に塗布される。 【0005】次に、図18に示すように、塗液Rの塗布が完了した基材D11の上に、その中心孔21aにターンテーブル12のセンターピン12cが挿通するようにしてスタンパ51を覆い被せる。この場合、スタンパ51は、後述するように塗液Rを硬化させるための紫外線を透過可能な材料で形成されている。また、中心孔21aは、装着用中心孔1aとほぼ同径に形成されている。さらに、このスタンパ51の下面には、記録層L0用のグルーブ、ランドおよびピット等を形成するための凹凸加工が施されている。この場合、基材D11上に塗布が完了した時点では、塗液Rが流動性を有している。このため、スタンパ51の凹凸形状、すなわちグルーブやランド等の形状に塗液Rが馴染みつつ、スタンパ51は、塗液Rの上に覆い被される。次いで、この状態の基材D11に紫外線を照射して塗液Rを硬化させることにより、スペーサ層Sが完成する。続いて、図19に示すように、基材D11からスタンパ51を取り外す。この後、スペーサ層Sの上に記録層L0を成膜し、その記録層L0の上に塗液Rをスピンコートして硬化させることによりカバー層Cを形成する。これにより、多層光記録媒体31の製造が完了する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した多層光記録媒体31の製造方法には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、この製造方法では、塗液Rのスピンコートが完了した基材D11上にスタンパ51を覆い被せた状態で塗液Rを硬化させて、スペーサ層Sを形成している。この場合、前述したように、ターンテーブル12のセンターピン12cは、基材D11およびスタンパ51の着脱を容易にすべく、基材D11の装着用中心孔1aおよびスタンパ51の中心孔21aよりも小径に形成されている。このため、ターンテーブル12上に載置した基材D11における装着用中心孔1aの口縁と、センターピン12cの周面との間、および基材D11上に覆い被せたスタンパ51における中心孔21aの口縁と、センターピン12cの周面との間に、それぞれ僅かな隙間が生じる。この場合、例えば図18に示すように、基材D11とスタンパ51とが、それぞれ異なる方向に片寄った状態でターンテーブル12上に載置された際には、記録層L0,L1のそれぞれのグルーブおよびランドがずれた状態でスペーサ層Sが形成されて、偏心が発生する。したがって、この点を改善するのが好ましい。 【0007】一方、偏心を小さくするための方法として、基材D11の装着用中心孔1aとスタンパ51の中心孔21aとにセンターピン12cがきつめに嵌り込むように、センターピン12cの外径を太く形成することも考えられる。この方法によれば、基材D11の装着用中心孔1aとスタンパ51の中心孔21aとが一致するように、その位置合わせが可能となる。しかし、この方法には、偏心を改善できるものの、基材D11およびスタンパ51のセンターピン12cへの着脱に問題が生じる。つまり、センターピン12cに対して基材D11等を嵌めにくく、かつ取り外しにくいことになる。このため、生産性が著しく低下して多層光記録媒体31の製造コストが高騰するという問題が発生する。 【0008】本発明は、かかる改善すべき点に鑑みてなされたものであり、各記録層を偏心させることなくスペーサ層を形成し得る多層光記録媒体の製造方法および多層光記録媒体製造装置を提供することを主目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、中心部に装着用中心孔が形成された基材の上にスペーサ層を挟んで積層したN層(Nは2以上の自然数)の記録層を有する多層光記録媒体の製造方法であって、再生用レーザービームまたは記録用レーザービームの入射方向から数えて(M+1)番目(Mは(N−1)以下の自然数)の前記記録層と、M番目の前記記録層との間の前記スペーサ層を形成する際に、前記M番目の記録層を形成するためのスタンパに形成されたスタンパ側嵌合部に嵌合可能な基材側嵌合部が前記装着用中心孔の周囲に形成されると共に前記(M+1)番目の記録層が形成された前記基材の前記装着用中心孔にターンテーブルの中央部に立設された位置決め用ピンを挿通させた状態で当該基材を当該ターンテーブルに固定し、当該基材の上面における前記基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置に前記スペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、前記スタンパ側嵌合部と前記基材側嵌合部とを嵌合させつつ前記スタンパを当該基材に覆い被せ、前記ターンテーブルを回転させることによって前記塗液をスピンコートする。 【0010】また、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、中心部に装着用中心孔が形成された基材の上にスペーサ層を挟んで積層したN層(Nは2以上の自然数)の記録層を有する多層光記録媒体の製造方法であって、再生用レーザービームまたは記録用レーザービームの入射方向から数えて(M+1)番目(Mは(N−1)以下の自然数)の前記記録層と、M番目の前記記録層との間の前記スペーサ層を形成する際に、当該M番目の記録層を形成するためのスタンパに形成されたスタンパ側嵌合部に嵌合可能な基材側嵌合部が前記装着用中心孔の周囲に形成されると共に前記(M+1)番目の記録層が形成された前記基材の前記装着用中心孔にターンテーブルの中央部に立設された位置決め用ピンを挿通させることによって当該基材を当該ターンテーブルに固定し、当該基材の上面における前記基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置に前記スペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、前記ターンテーブルを回転させることによって前記塗液をスピンコートし、その後に前記スタンパ側嵌合部と前記基材側嵌合部とを嵌合させつつ前記スタンパを当該基材に覆い被せ、その状態で前記塗液を硬化させる。 【0011】この場合、前記スペーサ層形成用の塗液としてエネルギー線硬化型の樹脂塗液を用い、かつ前記スタンパとしてエネルギー線透過素材で形成されたスタンパを用いるのが好ましい。 【0012】また、前記スタンパ側嵌合部および前記基材側嵌合部のいずれか一方を、その平面視形状が輪状の嵌合用凸部で構成し、いずれか他方を、前記嵌合用凸部が嵌合可能に形成された嵌合用溝部で構成するのが好ましい。 【0013】また、本発明に係る多層光記録媒体は、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法に従って製造された多層光記録媒体であって、前記基材側嵌合部が前記基材に形成されている。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法および多層光記録媒体の好適な実施の形態について説明する。 【0015】最初に、多層光記録媒体1の構成について、図1を参照して説明する。 【0016】多層光記録媒体1は、本発明における((M+1)番目(Mは値1)の記録層に相当する記録層L1、スペーサ層S、本発明におけるM番目(Mは値1)の記録層に相当する記録層L0、およびカバー層Cが基材D1上に順に積層され、カバー層C側から(同図の矢印Aの向きで)再生用レーザービームまたは記録用レーザービームが照射されることによって記録データの読出しまたは記録が可能に構成されている。基材D1は、射出成形によって全体の直径が120mm程度の円板状(平板形状)に形成されている。また、基材D1の中心部には、基材D1を記録再生装置に装着するための直径15mm程度の装着用中心孔1aが形成されている。また、基材D1には、装着用中心孔1aの外側に位置して、幅10mm程度のドーナッツ状のチャッキングエリアが形成され、このチャッキングエリアの上面(チャッキング面)がカバー層Cの上面と面一となるように形成されている。さらに、このチャッキング面の外縁部には、嵌合用凸部D1aが形成されており、この嵌合用凸部D1aは、本発明における基材側嵌合部に相当し、平面視形状が輪状(環状)となるように基材D1を突出して形成されている。また、嵌合用凸部D1aの外周部には、記録層L1用のグルーブ、ランドおよびピット等が形成されている。記録層L1は、基材D1の上に、反射膜、相変化膜および保護膜などをスパッタ法によって成膜することによって形成されている。スペーサ層Sは、記録層L1の上に光透過性の塗液Rで20μm程度の厚みに形成されている。また、スペーサ層Sの表面には、後述するように、記録層L0を形成するためのグルーブ、ランドおよびピット等がスタンパ21によって形成される。記録層L0は、スペーサ層Sの上に相変化膜や保護膜などをスパッタ法によって成膜することによって形成されている。また、カバー層Cは、光透過性の樹脂で90μm程度の厚みに形成されている。 【0017】一方、スタンパ21は、多層光記録媒体1の製造用専用治具として、その表面にフッ素処理またはシリコン処理などの撥水処理が施された樹脂スタンパまたはガラススタンパであって、図6に示すように、塗液Rを硬化させる紫外線(エネルギー線)を透過可能な材料で円板状に形成されている。また、また、スタンパ21の下面における内周部には、基材D1の嵌合用凸部D1aが嵌合する平面視が輪状(環状)の嵌合用溝部(スタンパ側嵌合部)21bが形成されると共に、その嵌合用溝部21bの外周部には、記録層L0用のグルーブ、ランドおよびピット等を形成するための凹凸加工が施されている。また、スペーサ層Sとの剥離性の点から、スタンパ21の表面のうち少なくともグルーブ、ランドおよびピット等が形成されている面が、フッ素処理等の表面処理が行われているのが好ましく、エネルギー線硬化型樹脂との剥離性が良好な非晶質環状ポリオレフィン樹脂から形成されるのがより好ましい。さらに、スタンパ21の中央部には、基材Dの装着用中心孔1aとほぼ同径の中心孔21aが形成されている。 【0018】次に、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法に従って多層光記録媒体を製造する多層光記録媒体製造装置の構成について、図2,3を参照して説明する。 【0019】塗布装置11は、多層光記録媒体1の製造に際して、基材D1に塗液Rを塗布して硬化させることによりスペーサ層Sを形成する多層光記録媒体製造装置であって、図2に示すように、ターンテーブル12、モータ13、塗液供給部14、上下動機構15、紫外線照射部16および制御部17を備えて構成されている。ターンテーブル12は、図3に示すように、基材D1を載置可能に上面が平坦に形成された円板状の基台12aと、基台12aの下面中央に連結されてモータ13の回転軸に連結されたシャフト12bと、基台12aの上面中央部に立設されたセンターピン(位置決めピン)12cとを備えている。この場合、センターピン12cは、その直径が基材D1の装着用中心孔1aよりも僅かに小径の円柱形に形成され、その頂部の外縁は、基材D1の装着用中心孔1aに容易に挿入できるように面取りされている。なお、ターンテーブル12としては、その上面が平坦な構成に限らず、最内周部分および最外周部分にその円周方向に沿って凸部を形成して、この凸部上に基材D1を載置することにより、接触などに起因する基材D1の傷付きを防止する構成を採用してもよい。また、ターンテーブル12には、基材D1のチャッキングエリアと対向する位置に複数の吸入口H,H・・が形成されている。したがって、塗液Rの塗布時には、基材D1の下方の空気が吸入口H,H・・を介してエアポンプ(図示せず)によって吸引されることで、基材D1がターンテーブル12に向けて吸い寄せられる。なお、基材D1を吸引するためのエアポンプなどについては公知のため、その図示および詳細な説明を省略する。 【0020】モータ13は、制御部17によって駆動制御されてターンテーブル12を回転させる。塗液供給部14は、ノズル14aと共に塗液滴下部を構成し、制御部17の制御下で、スペーサ層Sを形成するための塗液Rをノズル14aを介して基材D1上に滴下する。この場合、ノズル14aは、図示しない上下動機構によって、基材D1に対して上下動させられる。上下動機構15は、制御部17の制御下で、スタンパ21を基材D1上に載置する。紫外線照射部16は、制御部17の制御下で基材D1に向けて紫外線を照射することにより、基材D1の表面に塗布されている塗液Rを硬化させる。制御部17は、モータ13、塗液供給部14、上下動機構15および紫外線照射部16を駆動制御する。 【0021】次に、多層光記録媒体1の製造方法について、図面を参照して説明する。 【0022】まず、基材D1の上に例えばスパッタ法によって記録層L1を成膜する。次に、記録層L1の上に塗液Rを塗布することによってスペーサ層Sを形成する。具体的には、まず、図4に示すように、記録層L1が成膜された面を上向きにして基材D1をターンテーブル12の上に載置する。この場合、基材D1の装着用中心孔1aにセンターピン12cを挿通させる。この際に、前述したように、センターピン12cが、基材D1の装着用中心孔1aよりも小径の円柱形に形成されているため、装着用中心孔1aにセンターピン12cが容易に挿通される。次いで、制御部17が図外のエアポンプを駆動することにより、センターピン12cが挿通した状態の基材D1がターンテーブル12側に吸引される。これにより、基材D1がターンテーブル12上に固定される。 【0023】次に、制御部17は、モータ13を駆動制御することにより、例えば毎分50回転程度の回転速でターンテーブル12を回転させる。次いで、制御部17は、ノズル14aを下動させると共に、塗液供給部14を駆動制御してノズル14aに塗液Rを供給させる。この際に、ノズル14aの先端が、嵌合用凸部D1aの外周部に配置される。続いて、塗液供給部14が塗液Rを供給することにより、図5に示すように、ノズル14aの先端部から基材D1の上に塗液Rが滴下される。この際に、後にスタンパ21を重ねることで塗液Rが基材D1の内周側に自然に拡がって、その内周部分の空間(基材D1の上面、スタンパ21の下面、および嵌合用凸部D1aの側面によって形成される空間)を塗液Rで埋め尽くすのが可能な位置に、塗液Rを滴下する。このように滴下することで、空間が残るのを回避することができ、しかも、ターンテーブル12の高速回転に伴う塗膜の厚みムラの発生を有効に防止することができる。また、この状態では、塗液Rがある程度の粘度を有しているため、塗液Rは、ノズル14aから滴下された直後には、基材D1上の嵌合用凸部D1aの近傍に位置して、その上面視形状が輪状となる。この場合、嵌合用凸部D1aの平面視形状が輪状に形成され、この嵌合用凸部D1aによって装着用中心孔1aが囲われているため、基材D1上に滴下された塗液Rの装着用中心孔1a側への流れ込みが規制され、これにより、チャッキングエリア側への塗液Rの付着が防止される。 【0024】次いで、制御部17は、ノズル14aを上動させた後に、図6に示すように、上下動機構15を駆動制御して基材D1の上にスタンパ21を移動させる。続いて、図7に示すように、制御部17は、上下動機構15を駆動制御して基材D1の上にスタンパ21を覆い被せる。この際に、上下動機構15は、スタンパ21の中心孔21aにセンターピン12cが挿通するようにスタンパ21を位置決めしつつ、スタンパ21を下動させる。これにより、センターピン12cが中心孔21aに挿通させられると共に、基材D1の嵌合用凸部D1aが嵌合用溝部21bに嵌合させられる。この際に、嵌合用凸部D1aおよび嵌合用溝部21bの双方の平面視形状が輪状に形成されているため、スタンパ21を下動させるだけで嵌合用凸部D1aと嵌合用溝部21bとが容易に嵌合される。また、嵌合用凸部D1aと嵌合用溝部21bとが嵌合することにより、基材D1とスタンパ21とが平行状態に維持されつつ、基材D1の中心部とスタンパ21の中心部とが位置合わせされる。また、下動したスタンパ21と塗液Rとが接する際には、まず、塗液Rと、スタンパ21の下面とが線的に接し、その後、両者が徐々に面的に接する。また、スタンパ21がさらに押し下げられた際には、塗液Rは、スタンパ21の下面に馴染みつつ、基材D1の外縁部に向けて徐々に押し拡げられる。 【0025】次いで、制御部17は、モータ13の回転数を上昇させることにより、例えば毎分1000回転程度の回転速までターンテーブル12の回転を上昇させる。この際には、塗液Rに加わる遠心力が大きくなるため、図8に示すように、塗液Rが基材D1とスタンパ21との間を基材D1の外縁部に向けて急速に押し拡げられる。この際に、塗液Rは、基材D1の上面およびスタンパ21の下面に馴染みつつ、その輪郭の平面視形状をほぼ真円形に維持しながら急速に押し拡げられる(延伸される)。また、塗液Rの延伸に伴い、塗液Rの塗布厚がその分薄くなるため、スタンパ21も基材D側(下向き)にその分平行移動(下動)する。したがって、モータ13の回転数や高速回転保持時間、つまり塗液Rの振り切り量を制御することにより、塗液Rの塗布厚(スペーサ層Sの膜厚)が目標値となるように精度良く制御することができる。なお、この際に、基材Dおよびスタンパ21は、両者に及ぶ遠心力によって互いに平行な状態に維持される。同時に、基材D1の嵌合用凸部D1aがスタンパ21の嵌合用溝部21bに嵌合しているため、基材D1とスタンパ21とのそれぞれの中心部が位置合わせされた状態に維持される。この結果、基材D1の円周方向に沿った塗液Rの塗布厚が均一となる。 【0026】一方、基材D1の最外縁部に達した余分な塗液Rは、基材D1に加わる遠心力によって基材D1から飛散する。これにより、基材D1とスタンパ21との間において、その内周から外周に亘って目標塗布厚でほぼ均一に塗布された塗液Rの層が形成される。次に、紫外線照射部16が、制御部17の制御下で基材D1に対して紫外線を照射する。この際には、スタンパ21を透過して照射される紫外線によって塗液Rが硬化し、これにより、スペーサ層Sの成膜が完了する。次いで、制御部17は、モータ13を停止制御してターンテーブル12の回転を停止させる。次に、エアポンプを停止させた後、基材D1をターンテーブル12から取り外す。この際に、センターピン12cが装着用中心孔1aよりも小径に形成されているため、基材D1は容易に取り外される。次いで、図9に示すように、基材D1からスタンパ21を取り外す。この後、スペーサ層Sの上に記録層L0を成膜した後、その記録層L0の上に塗液をスピンコートして硬化させることによりカバー層Cを形成する。この場合、上記したように、チャッキングエリアの上面がカバー層Cの上面と面一となるように、記録層L0の上にカバー層Cを形成する。これにより、図1に示すように、多層光記録媒体1の製造が完了する。 【0027】このように、この塗布装置11によれば、スタンパ21に嵌合用溝部21bを設け、かつこの嵌合用溝部21bに嵌合可能な嵌合用凸部D1aを基材D1に設けたことにより、塗液Rが塗布された基材D1にスタンパ21を覆い被せた際に、嵌合用凸部D1aが嵌合用溝部21bに嵌合するため、基材D1の中心部とスタンパ21の中心部とを位置合わせした状態でスペーサ層Sを形成することができる。したがって、記録層L0,L1を偏心させることなく良品の多層光記録媒体を製造することができる。また、塗液Rの延伸時に、嵌合用凸部D1aおよび嵌合用溝部21bが嵌合しているため、基材D1およびスタンパ21が平行状態に維持される結果、基材D1の円周方向および半径方向に対する塗液Rの塗布厚を均一化することができる。さらに、この多層光記録媒体1によれば、チャッキングエリアの外縁部において嵌合用凸部D1aが僅かに突出するため、多層光記録媒体1を重ねた際のディスク面への傷付きを有効に防止することができる。 【0028】なお、本発明は、上記した発明の実施の形態に限らず、適宜変更が可能である。例えば、基材D1は円板状に限らず、各種形状の基材を用いることができる。また、本発明の実施の形態では、平面視形状が輪状の嵌合用凸部D1aおよび嵌合用溝部21bを有する基材D1およびスタンパ21を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば2本以上、好ましくは3本以上のピン状の嵌合用凸部を基材の上面およびスタンパの下面のいずれか一方に立設し、このピン状の嵌合用凸部が嵌合可能な嵌合用凹部を基材の上面およびスタンパの下面のいずれか他方に形成することにより、基材とスタンパとを位置決め可能に構成してもよい。また、ピン状の嵌合用凸部に代えて弧状の嵌合用凸部を基材の上面およびスタンパの下面のいずれか一方に立設し、この弧状の嵌合用凸部に嵌合する弧状の嵌合用溝部を基材の上面およびスタンパの下面のいずれか他方に形成してもよい。さらに、本発明の実施の形態では、スタンパ21側に嵌合用溝部21bを形成すると共に基材D1側に嵌合用凸部D1aを形成した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば図10に示すスタンパ22および基材D2のように、スタンパ22側に嵌合用凸部22bを形成すると共に基材D2側に嵌合用溝部D2aを形成してもよい。この構成を採用した場合、図11に示す多層光記録媒体が製造される。なお、図10,11に示す構成については、上記した多層光記録媒体1およびその製造装置の構成要素と同一のものに同一の符号を付して重複した説明を省略する。 【0029】また、図13に示す多層光記録媒体3のように、チャッキングエリア全域またはその一部を環状の嵌合用凸部(基材側嵌合部)D3aとして形成することもできる。この多層光記録媒体3を製造する際には、図12に示すように、中心孔21aの外縁部に嵌合用凹部(スタンパ側嵌合部)23bが形成されたスタンパ23を用いて、この嵌合用凹部23bと基材D3の嵌合用凸部D3aとを互いに嵌合させることにより、記録層L0,L1を偏心させることなく、チャッキングエリアおよびカバー層Cの各上面が面一となる良品の多層光記録媒体3を製造することができる。なお、図11〜13に示す構成については、上記した多層光記録媒体1およびその製造装置の構成要素と同一のものに同一の符号を付して重複した説明を省略する。 【0030】また、本発明の実施の形態では、塗液Rの滴下が完了した時点で基材D1にスタンパ21を覆い被せた後にターンテーブル12を高速回転させて、塗液Rをスピンコートする例を挙げて説明したが、基材D1の表面に対する塗液Rのスピンコートが完了した後に、嵌合用溝部21bと嵌合用凸部D1aとを嵌合させつつスタンパ21を基材D1に覆い被せることもできる。この製造方法であっても、上記した製造方法と同様にして、基材D1にスタンパ21を覆い被せる際に、嵌合用凸部D1aが嵌合用溝部21bに嵌合して基材D1とスタンパ21とが位置合わせされる結果、記録層L0,L1を偏心させることなく良品の多層光記録媒体を製造することができる。さらに、本発明の実施の形態では、2層の記録層L1,L0を有する多層光記録媒体1を例に挙げて説明したが、3層以上の記録層を有する多層光記録媒体を製造する際にも、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法を有効に適用することができる。また、本発明の実施の形態では、相変化膜を有する記録層L0,L1の製造を例に挙げて説明したが、本発明における記録層はこれに限定されず、例えば色素系樹脂の薄膜を有する記録層で構成することもできる。また、情報を記録層L0,L1に予め記録したピット形成によるROMの製造にも適用することができる。 【0031】 【発明の効果】以上のように、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、(M+1)番目の記録層と、M番目の記録層との間のスペーサ層を形成する際に、基材側嵌合部が装着用中心孔の周囲に形成された基材の装着用中心孔にターンテーブルの位置決め用ピンを挿通させることによって基材をターンテーブルに固定し、基材における基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置にスペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、スタンパ側嵌合部と基材側嵌合部とを嵌合させつつスタンパを基材に覆い被せ、ターンテーブルを回転させることによってスピンコートすることにより、基材にスタンパを覆い被せた際に、基材側嵌合部とスタンパ側嵌合部とが嵌合して基材の中心部とスタンパの中心部とを位置合わせした状態で塗液をスピンコートすることができるため、各記録層を偏心させることなく良品の多層光記録媒体を製造することができる。また、塗液の延伸時に、基材およびスタンパを平行状態に維持することができる結果、基材の円周方向および半径方向に対する塗液の塗布厚を均一化することもできる。 【0032】また、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、(M+1)番目の記録層と、M番目の記録層との間のスペーサ層を形成する際に、基材側嵌合部が装着用中心孔の周囲に形成された基材の装着用中心孔にターンテーブルの位置決め用ピンを挿通させることによって基材をターンテーブルに固定し、基材における基材側嵌合部よりも外周部寄りの所定位置にスペーサ層形成用の塗液を滴下した後に、ターンテーブルを回転させることによって塗液をスピンコートし、その後にスタンパ側嵌合部と基材側嵌合部とを嵌合させつつスタンパを基材に覆い被せた状態で塗液を硬化させることにより、基材にスタンパを覆い被せた際に、基材側嵌合部とスタンパ側嵌合部とが嵌合して基材の中心部とスタンパの中心部とを位置合わせした状態で塗液を硬化させることができるため、各記録層を偏心させることなく良品の多層光記録媒体を製造することができる。 【0033】さらに、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、スペーサ層形成用の塗液として紫外線硬化型の樹脂塗液を用い、かつスタンパとして紫外線透過素材で形成されたスタンパを用いることにより、例えば熱を加えて硬化させる熱硬化型塗液を用いる方法と比較して、スペーサ層を短時間で形成することができる結果、多層光記録媒体の製造コストを十分に低減することができる。 【0034】また、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、スタンパ側嵌合部および基材側嵌合部のいずれか一方を平面視形状が輪状の嵌合用凸部で構成し、いずれか他方を嵌合用凸部が嵌合可能に形成した嵌合用溝部で構成したことにより、基材にスタンパを覆い被せる際のスタンパ側嵌合部および基材側嵌合部の嵌合作業が容易となる。また、平面視形状が輪状の嵌合用凸部で基材側嵌合部を構成することにより、基材に滴下された塗液の装着用中心孔側への流れ込みを阻止することができる結果、チャッキングエリア側への塗液の付着を防止することもできる。 【0035】さらに、本発明に係る多層光記録媒体によれば、スペーサ層の形成に際してスタンパ側嵌合部に嵌合可能な基材側嵌合部を基材に形成したことにより、この多層光記録媒体の製造時に基材に対してスタンパを覆い被せた際に、基材側嵌合部がスタンパ側嵌合部に嵌合して基材の中心部とスタンパの中心部とが位置合わせされた状態でスペーサ層を形成することができるため、(M+1)番目の記録層とM番目の記録層とが偏心することのない良品の多層光記録媒体を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003067 【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
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| 【出願日】 |
平成13年10月4日(2001.10.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104787 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 伸司
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| 【公開番号】 |
特開2003−123331(P2003−123331A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月25日(2003.4.25) |
| 【出願番号】 |
特願2001−308111(P2001−308111) |
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