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【発明の名称】 追記型光ディスク基板の製造方法
【発明者】 【氏名】上田 昌哉
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社技術センター内
【氏名】丸山 博義
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社技術センター内
【氏名】黒川 晴彦
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社技術センター内
【課題】エステル交換法ポリカーボネートを使用した、基板の反りが小さく、基板の複屈折が小さく、明欠陥がなく、色素塗布不良がない迫記型光ディスク基板の製造方法及び迫記型光ディスクの製造方法の提供。

【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法によって製造される粘度平均分子量が10,000〜23,000のポリカーボネート樹脂を射出成形して、信号面にグルーブを形成した成形基板に、色素を塗布することにより色素記録層を形成してなる追記型光ディスク基板の製造方法であって、色素記録層形成前の信号面で測定される水滴接触角が77°以上85°以下であり、且つ色素塗布前に、正の極性のイオン化エアーを基板表面と平行方向に吹き付けることを特徴とする追記型光ディスク基板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法によって製造される粘度平均分子量が10,000〜23,000のポリカーボネート樹脂を射出成形して、信号面にグルーブを形成した成形基板に、色素を塗布することにより色素記録層を形成してなる追記型光ディスク基板の製造方法であって、色素記録層形成前の信号面で測定される水滴接触角が77°以上85°以下であり、且つ色素塗布前に、正の極性のイオン化エアーを基板表面と平行方向に吹き付けることを特徴とする追記型光ディスク基板の製造方法。
【請求項2】上記信号面に、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系のいずれかの有機色素を有機溶媒に溶解させた色素溶液を塗布して、色素記録層を形成することを特徴とする請求項1に記載の追記型光学ディスク基板の製造方法。
【請求項3】請求項1または2に記載の追記型光ディスク基板から得られる追記型光ディスクの製造方法であって、厚みが0.2mm以上0.6mm以下での成形基板2枚が、形成された色素記録層を内側にして貼り合わされた構造を有することを特徴とする追記型光ディスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記憶媒体である追記型光ディスク基板の製造方法に関するものである。特に有機色素を光記録層に用いた追記型光ディスク基板の製造方法及び有機色素を光記録層に用いた追記型光ディスクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ディスクは低価格で高密度記録容量の情報記録媒体として、ここ数年急激に生産量が増加している。特にCD−R(追記型コンパクトディスク)やDVD−R(追記型デジタル多用途ディスク)と呼ばれる追記型光ディスクは高容量でありかつ急速な普及に伴い低価格化が進んでいる。従って、その信号特性の向上や基板の生産性が重要視されるようになってきている。また、今後もさらなる高密度化が期待されている。
【0003】レーザーを用いる光学記録方式を採るCD−RやDVD−Rでは通常、データを一度だけ記録可能であり、反射バックグラウンドに対して高光学濃度のマークまたはピットの形態で、デジタル情報を保存し、収束レーザー光により読み取る。
【0004】光ディスク透明基板に一般的に用いられる熱可塑性非晶質樹脂は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、非晶質ポリオレフィン等であるが、強度、耐熱性、寸法安定性、低価格等の面から、ポリカーボネートが一般的に使用されている。特に、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法によって製造されるポリカーボネートは、従来から広く使用されてきた界面法で製造されるポリカーボネートに比べて、ホスゲンガスや有機溶媒を使用しないために環境への負荷が少ない。また界面法に比べて製造工程が簡素化されているために、安定した品質の製品が得られるという大きなメリットがある。さらにはエステル交換反応で生成した副生成物を原料モノマーの転換できるというメリットもあり、環境対応、安定品質、低価格といったメリットから、光ディスク基板用樹脂に適している。
【0005】芳香族ポリカーボネートの欠点として、溶融粘度が高いために、射出成形時の流動性に劣るという性質がある。従って信号の転写性に劣り、また基板内部の歪による複屈折が大きくなり、信号再生のエラーの原因となる。高密度の信号を基板に転写させたり、基板内部の歪によって発生する複屈折を低減させるために、ポリカーボネートの粘度平均分子量を下げることにより、成形時の溶融粘度が下がり流動性が向上することによって可能となる。しかし、ポリカーボネートの分子量を下げすぎると、基板の強度が低下するという別の弊害が発生する。また分子量を上げすぎると強度、耐熱性は向上するが、成形時の溶融粘度が高くなり、転写性の低下や複屈折の増加を招く原因となる。従って適切な分子量の芳香族ポリカーボネートが必要となる。
【0006】また界面法で製造されたポリカーボネートに比べて、エステル交換法で製造されたものの射出成形光ディスク基板は負の極性に帯電しやすいという性質があることは知られている(特開平11−279396)。該特許には、光ディスク基板表面が負に帯電すると、空気中の埃が付着しやすくなったり、追記型光ディスクの色素の濡れ性が低下することが述べられており、いくつかの種類の帯電防止剤を添加する工夫が提唱されている。しかしながら、ポリカーボネートに帯電防止剤を添加することにより、透明性が低下したり、長時間高温や高湿度にさらされたときには分解しやすいという欠点が生じるので望ましくはない。また、米国特許6,022,943、米国特許6,140,457には、ポリカーボネート樹脂の分子末端を変性することによって帯電を低減する方法が提唱されている。しかしながら、樹脂の末端構造を変性するだけでは、スタンパーからの離型時の剥離帯電が減少できても、基板製造工程中に発生する移送帯電を完全に除去するには不十分である。従来から、光ディスクの製造工程中での帯電を除去する方法はいくつか提案されている。特開平6−203414では基板をスタンパーから離型させる際に用いるエアーをイオン化させることが提案されているが、金型から取り出された後で発生する移送帯電は除去できない。また特開平6−60630では再生記録装置であるドライブ内部での基板上の帯電を除去するためにイオン化された空気を吹き出すことを提案しているが、色素を塗布する以前の帯電については効果が無い。特開平7−57307では金型から取り出された後で除電バーやイオナイザにて基板表面を除電することを提案しているが、色索の塗布性改良やエステル交換法ポリカーボネート特有の負に帯電することに対する処置については述べられていない。さらには特開平10−177744では基板表面の帯電の極性と逆の極性のイオンを含むエアーを吹き付けて除電させる方法が提乗されているが、エステル交換法ポリカーボネート特有の負に帯電することに対する処置や色素の塗布性改良については述べられていない,あるいは特開平5−298746では、ディスクの内穴にも帯電防止膜を塗布して、ディスクのストック部のスピンドルに静電気をリークさせる方法が提案されているが、基板表面に帯電防止膜を塗布する必要があるためコストが上がり、工程が煩雑になる。従ってエステル交換法ポリカーボネートを使用した基板の色素塗布前の帯電を完全に除去する方法は見出されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エステル交換法によって製造されるポリカーボネートからなる基板であり、その基板の反りが小さく、複屈折が小さく、明欠陥がなく、色素塗布不良がない、追記型光ディスク基板の製造方法及び追記型光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、光ディスク成形基板上の帯電現象は、基板表面の水滴接触角に依存し、ある水滴接触角以下であると帯電しやすくなり、その帯電が追記型光ディスクの色素溶液の滴下時の変形を発生させることを見出した。すなわち基板表面の水滴接触角をある値以上に調整することによって帯電を減少させ、色素溶液の滴下時の変形をなくすことを見出した。同時に追記型光ディスクの色素を塗布する直前に正の極性のイオン化エアーを基板表面と平行方向に吹き付けることによって移送中に発生する帯電も完全に除去することが可能になることを見出した。本発明者らは上記の知見に基づき、信号特性や生産性が良好な追記型光ディスク基板を発明した。
【0009】すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法によって製造される粘度平均分子量が10,000〜23,000のポリカーボネート樹脂を射出成形して、信号面にグルーブを形成した成形基板に、色素を塗布することにより色素記録層を形成してなる追記型光ディスク基板の製造方法であって、色素記録層形成前の信号面で測定される水滴接触角が77°以上85°以下であり、且つ色素塗布前に、正の極性のイオン化エアーを基板表面と平行方向に吹き付けることを特徴とする追記型光ディスク基板の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施形態】芳香族ポリカーボネート本発明においては、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が10,000〜23,000の範囲内であることが必要である。粘度平均分子量が10,000未満では、基板の強度が著しく低下し、また、23,000を超えると、射出成形時の複屈折が著しく増加するので望ましくはない。粘度平均分子量は好ましくは14,000〜18,000の間で選ばれるべきである。ここでいう粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用い塩化メチレンを溶媒とする溶液の20℃における極限粘度(η)を測定し、以下に示すSchnellの粘度式から算出される。
[η]=1.23×10-40.83従って、ポリカーボネートが重合体混合物である場合は、重合体混合物について粘度平均分子量を求める。
【0011】本発明で使用される芳香族ポリカーボネートは、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用い、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応によって得ることができる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、通常、下記式(1)で表される。
【0012】
【化1】

【0013】(式中、Aは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基並びに−O−、−S−、−CO−、−SO−及び−SO2 −で示される2価の基からなる群から選ばれるものであり、X及びYは、ハロゲン又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、p及びqは、0〜2の整数であり、XとY、pとqは、いずれも、同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が例示されるが、特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略す)が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独、でも2種以上の混合物でもよい。
【0014】炭酸ジエステルは下記式(2)で表される。
【化2】

【0015】(式中、A’は、炭素数1〜18の脂肪族基若しくは置換脂肪族基又は芳香族基であり、2つのA’は、同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の脂肪族カーボネート、ジフェニルカーボネート及びビフェニルフェニルカーボネート等の芳香族カーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネートであり、これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を混合してもよい。
【0016】本発明で使用される芳香族ポリカーボネートの製造は、エステル交換法、特に芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用い、かつ、ジフェニルカーボネート/ビスフェノールA1のモル比で、1.001〜1.3、好ましくは1.02〜1.2の量を用いたエステル交換法によることが好ましい。モル比が1.001より小さくなると、製造された芳香族ポリカーボネートの末端水酸基含有量が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化する傾向があり、また、モル比が1.3より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量の芳香族ポリカーボネートの製造が困難となる傾向がある。
【0017】上記の芳香族ポリカーボネートの製造には、エステル交換触媒が使用される。該触媒としてはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物の併用も可能であるが、物性面や取り扱いの面で、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が単独で使用されることが特に好ましい。
【0018】触媒量としては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-7〜9×10-7モルの範囲で用いられるのが好ましく、さらに好ましくは1.5×10-7〜8×10-7モルの範囲で、特に好ましくは2×10-7〜7×10-7モルの範囲で用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末端水酸基含有量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られない傾向があり、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、分岐が多くなりポリマーの成形性が損なわれる傾向がある。
【0019】アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
【0020】また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0021】塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。
【0022】塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、四級ホスホニウム塩等が挙げられる。塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0023】アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
【0024】エステル交換反応は、一般には2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は、93〜1.33kPaの減圧下に、120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で、0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間反応させる。ついで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高め、最終的には133Pa以下の減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う。
【0025】反応の形式は、バッチ式、連続式、又は、バッチ式と連続式の組み合わせのいずれでもよく、使用する装置は、槽型、管型又は塔型のいずれの形式の反応器であってもよい。
【0026】また、上記芳香族ポリカーボネートの製造に際し、エステル交換触媒を失活するために、失活剤として酸性化合物又はその前駆体、例えば、スルホン酸化合物又はその前駆体を添加することが好ましく、より具体的には、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ましい。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】これら酸性化合物又はその前駆体は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期は、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
【0028】本発明で使用される芳香族ポリカーボネートには、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加をしてもよい。
【0029】成形基板CD−RやDVD−R等の追記型光ディスクは、上記芳香族ポリカーボネートの射出成形により製造される、グルーブと言われる同心円状に配置された複数の案内溝を形成した成形基板を素材とする。この射出成形の際、所定のスタンパーにあらかじめ刻印されているサブミクロンの大きさのピットやグルーブの形状が、円盤状透明な成形基板の表面(本明細書では、「信号面」と言う。)に忠実に転写させて得られる。
【0030】本発明では、成形基板において、色素記録形成前の信号面で測定される水滴接触角、好ましくは、信号面上グルーブより内側に延在する平坦な部分(本明細書では「内周部」と言う。)で測定される水滴接触角が77°以上85°以下であることが必要である。この成形基板の水滴接触角が、77°未満であれば、負に大きく帯電し、色素塗布時にむらが発生する。また、85°を超えると、色素溶液と基板の濡れが悪くなり、部分的に塗布膜をはじくために起こる明欠陥が発生する。水滴接触角は好ましくは78〜79°である。
【0031】成形基板の水滴接触角を測定する方法の詳細は、次の通りである。まずマイクロシリンジを用いて、純水20μLを1滴、23℃、50%RHの環境下で、成形基板の内周部の表面に、好ましくは、グルーブの最内周縁から2〜3mm内方の位置に滴下し、ゴニオメーターにより、滴下30秒後の接触角θを5点測定し、平均値を算出する。
【0032】水滴接触角を増加させるためには下記の方法が挙げられる。
1.分子鎖末端に疎水基を導入する。
2.基板表面に存在しやすく疎水性が高い添加剤を添加する。
1の方法は、自由エネルギーが低い分子鎖末端が表面に凝縮しやすいことを利用する。特に末端のアルキル基成分濃度が高いと疎水化効果が高い。2の方法は、具体的には、芳香族ポリカーボネートと相溶性が悪くかつ疎水性が高い添加剤から選ばれる。例えば、ペンタエリスルトールテトラステアレートやポリオレフィン、ポリカプロラクトン等が望ましい。
【0033】水滴接触角を低減させるためには、上記方法の逆を行えば良い。すなわち、3.分子鎖末端に親水基を導入する。
4.基板表面に存在しやすく親水性が高い添加剤を添加する。
3の方法は、自由エネルギーが高い末端水酸基で親水化する方法が好ましい。4の方法は、具体的には、親水性が高い添加剤から選ばれる。例えば、グリセリン等が望ましい。
【0034】追記型光ディスク追記型光ディスクの代表的なものとしては、例えば、上記成形基板上に、色素記録層、反射層、そして保護層が、この順に積層された構成のCD−R型の光ディスクの他、上記成形基板上に、色素記録層、反射層、そして所望により設けられる保護層からなる積層体と円盤状基板(ダミー板)とを、記録層が内側となるように接着剤で貼り合わせた構成のDVD−R型の光ディスク、及び、上記積層体2枚をそれらの記録層がいずれも内側となるように接着剤で貼り合わせた構成のDVD−R型の光ディスクがある。本発明方法においては、上記追記型光ディスクで、信号の記録、読み取りを行う色素記録層は、色素を基板上の信号面に直接塗布することによって、形成される。また、色素塗布前、通常、射出成形された成形基板を冷却する間に、基板表面と平行方向に正の極性のイオン化エアーが吹き付けられる。本発明方法は、特に、色素記録層形成前の成形基板が、基板表面を実質的水平に保持して複数のクーリングステージを通過する間に、ダウンブローの冷却用エアーを基板表面と垂直方向に吹き付ける、冷却設備において適用するのが好ましい。
【0035】イオン化エアーの吹き付け基板表面と平行方向への正の極性のイオン化エアーの吹き付けは、通常、以下の方法によって行われる。図1に示す様に、成形機から取り出された成形基板はクリーンブース内部に設置されたクーリングステージに置き、基板表面が水平面方向あるいは垂直方向に、好ましくは水平面方向に保持される。図2に示す様に、基板表面が水平方向に保持されている場合は、クーリングステージ上の水平に保持されている基板表面と平行に、正に帯電したイオン化エアーをブローすることによって、基板のそりを悪化させずに効率的に除電が達成される。
【0036】以下、添付の図面に従って説明するが、図中1は、射出成形機、2は、金型(スタンパー装着)、31は、基板取り出し機、32は、基板反転機、33は、基板移送機、4は、クーリングステージ、5は、基板取り出し機、6は、空気供給機、7は、クリーンブース、8は、イオナイザー、9は、基板である。図1に示す様に、射出成形機(1)から、基板取り出し機(3)によって、取り出された成形基板は、クリーンブース(7)内に設置された複数のクーリングステージ(4)の、最初のステージに置かれ、最後のステージから、再び基板取り出し機(5)によって、該クーリングステージ(4)外へ取り出されるまでの間に、冷却及び除電が行われる。図示のクーリングステージ(4)のステージ数は16であるが、実際には、冷却速度、基板の移動速度等に応じて、適切な数が選択される。
【0037】本発明では、冷却・除電の工程を設計するに当たって、成形基板が、上記最初のステージから最後のステージまでの、複数のクーリングステージ(4)を通過する間、基板表面は実質的水平に維持されること、ダウンブローの冷却用エアーの流れを基板表面に垂直方向から受けること、及び、基板の上下両表面に沿う、正の極性の除電用イオン化エアーの流れを、基板表面と実質的に平行な方向から受けることが好ましい。クリーンブース(7)上方からのダウンブローの冷却用エアーは、除電された空気やイオン化された空気を用いてもよいが、基板表面の静電気を完全に除電する働きはなくてよい。ダウンブローの流れは、もっぱら基板の冷却の働きを持てばよく、この流れだけで除電を完全に行おうとすると、ダウンブローの風量を上げたり、エアーの吹き出し口を基板に近づけなければならなくなる。その結果、基板が不均一に冷却されて、基板のそりが悪化する。そこで、本発明では、クーリングステージ上の水平に保持されている基板(9)の上下両表面に沿う、正に帯電したイオン化エアーの流れを、基板表面と実質的に平行な方向からブローすることによって、基板のそりを悪化させずに、効率的に除電が達成される。ここで、正の極性のイオン化エアーを発生させるために、図中では、各ステージごとに設けた空気供給機(6)及びイオナイザー(8)を用いている。イオナイザー(8)の極性を正の適切な帯電圧の値に調節し、空気供給機(6)の風量を適切な値に調節することによって、成形基板の所望の除電が達成される。クーリングステージ(4)から取り出された成形基板は、通常、下記の色素記録層等の積層工程へ搬送される。
【0038】色素の塗布通常、スピンコート法を利用して、有機色素を有機溶媒に溶解させた色素溶液を、成形基板の信号面に形成されたグルーブを充満するように塗布することにより行われる。スピンコート法は、一般に、塗布液付与装置(ディスペンスノズル)、スピナーヘッド、飛散防止壁、そして排気装置から構成されてなるスピンコート装置を用い、下記の手順に従い実施される。まず、スピナーヘッド上に成形基板を載置し、次いで、スピナーヘッドを駆動モータにより回転させながら、該基板の内周部の表面に、好ましくは、グルーブの最内周縁より2〜3mm内方の位置に、塗布液付与装置のノズルから塗布液を供給する。基板上に供給された塗布液は遠心力により外周側に放射状に流延し、塗布膜を形成する。スピンコート操作の間、飛散防止壁の上方に設けた開口部(気体導入部)から空気等の乾燥気体を導入し、その気体を該塗布膜上に流通させ、スピンコート装置の下方から排気する。この気体の流通によって、塗布膜から溶媒が除去され、塗布膜は乾燥される。また必要に応じてベーキングと呼ばれる乾燥オーブンに基板を投入して残存溶媒をできるだけ完全に除去する。
【0039】追記型光ディスクの場合、色素としては、レーザー光波長域(300〜850nm)に吸収領域のある色素が選ばれる。具体的には、アゾ色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、アズレニウム色素、スクアリリウム色素、ポリメチン色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、インドアニリン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、トリアリルメタン色素、アミニウム色素、ジイモニウム色素、アゾ系配位子化合物と金属とからなる金属キレート系色素、金属錯体等、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系のいずれかの有機色素である。これらの色素は信号の感度に優れ、溶媒に溶解しやすく、耐光性が良好であり、高品質の追記型光ディスクを得ることを可能にする。
【0040】色素溶液用の有機溶媒としては、具体的には、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素、ジメチルホルムアミド等のアミド、シクロヘキサン等の炭化水素、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール等のフッ素系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。これらの溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して、単独または二種以上を適宜併用することができる。好ましくは、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール、オクタフロロペンタノール、ジブチルエーテル等のフッ素系溶剤である。
【0041】さらに、色素記録層表面にAgやAuといった反射膜がスパッタ法にて成膜されて反射層が、また必要に応じ、反射層表面に保護膜をコートすることによって保護層が形成された積層体が得られる。CD−Rの場合は単板で形成されるが、DVD−Rの場合は上記の基板を2枚貼り合わせることによって高密度化を達成できる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って述べるが、本発明は下記の実施例の範囲に限定されるわけではない。なお、実施例における、部、%、ppmは別段の指示のない限り、いずれも重量基準の値である。
【0043】[実施例1]
1.ポリカーボネートペレットの調製コンデンサーを具備したステンレス製20Lの竪型攪拌反応装置にビスフェノールA2283g(10.0モル)、ジフェニルカーボネート2290g(10.7モル)、4−t−ブチルフェノール58.5g(0.39モル、ビスフェノールAに対して、3.9モル%)、触媒として0.01N水酸化ナトリウム0.7mL(ビスフェノールA1モルに対して7×10-6モル)を仕込み窒素置換を行った。この混合物を第1槽にて220℃で40分かけて原料モノマーを溶融した後、第2槽で220℃/13.3kPaで60分、第3槽で240℃/2.00kPaで60分、第4槽で270℃/66.7Paで60分間反応を行い、さらにp−トルエンスルホン酸ブチル(触媒として使用した水酸化ナトリウムに対して2倍モル量)を触媒失活剤として添加し反応を終了させた。その結果、粘度平均分子量16,000の芳香族ポリカーボネートが得られ、カッターで切断してペレットとした。得られたペレットを用いて下記の条件にて光ディスク基板を成形した。
【0044】2.成形基板の製造得られたペレットを、下記の条件で射出成形し、成形基板を得た。
成形機: 住友重機DISK3金型: 12cmφCD、DVD用金型成形基板厚み: 1.2mmスタンパーのグルーブ深さ: 160nmスタンパーのグルーブのピッチ: 0.80μm成形機のシリンダーの最高設定温度: 360℃スタンパーが装着されている側の金型の設定温度: 130℃射出時間: 0.1秒冷却時間: 7.0秒スクリュー回転数: 360rpmスクリュー径: 25mmφ型締め力: 射出、保圧中20T、冷却中25T【0045】3.追記型光ディスクの調製上記条件にて成形された基板は、成形基板は金型から取り出した後、18個のクーリングステージにて冷却された。イオナイザー(ヒューグルエレクトロニクス MODEL 430 DC型イオナイザー)を図2に示される位置に設置し、ブローの方向は基板表面と平行になるように設置した。
極性: 正出力電圧: +6.0kvエアー流量: 130L/minエアー圧力: 0.1MPa基板端面とイオナイザーの距離: 20cm得られた基板を50rpmにて回転させながら、グルーブの最内周から3mm内方の内周部上に、アゾ系色素のオクタフロロペンタノール5%溶液をノズルから滴下した。基板上に供給された塗布液は、回転数を5000rpmに上げることにより、外周側に放射状に流延し、グルーブを充満した塗布液を形成した。コーターの上方に設けた開口部(気体導入部)から空気を導入し、スピンコート装置の下方から排気することによって溶媒を揮発させた。その後、95℃に保たれた乾燥オーブンに基板を投入して15分の乾燥を行い残存溶媒を除去し、色素記録層の形成を完結した。その後、色素記録層表面にAgをスパッタし、さらに保護膜をコートしてCD−R型の追記型光ディスクを得た。
【0046】4.評価方法得られた成形基板または追記型光ディスクについて、下記各項目の測定を基板5枚を用いて行った。結果は表−1に示した。
(1)水滴接触角本文中に記載されている方法により、測定を行った。
(2)複屈折オーク自動複屈折測定装置(オーク(株)製、商品名ADR−130N)を用い、基板の傾斜方向を2様に変えて、波長632.8nmのHe−Neレーザー光によって測定した。半径方向4点の絶対値の最大値を複屈折とした。
(3)タンジェンシアルチルトアドモンサイエンス社自動そり角測定装置を用い、色素塗布直前の基板について16点(直交する直径上にほぼ等間隔に各8点)、タンジェンシアル方向のそり角を測定し、絶対値の最大値をタンジェンシアルチルトとして表示した。
【0047】(4)滴下直後の液滴変形の有無表−1に記載されている色素記録層の色素を、オクタフロロペンタノールに溶解させて、5%溶液を調製した。調製した溶液は、冷却後素早く取り出した成形基板の内周部の表面に、マイクロシリンジで1滴(20μL)滴下し、液滴の形状を目視で観察し、液滴変形の有無(真円か変形)を調べた。
(5)明欠陥の有無色素塗布後の基板に形成された色素記録層を目視で観察し、部分的に色素が薄くなっている部分を明欠陥とし、その有無を調べた。
【0048】
【実施例2】実施例1において、p−t−ブチルフェノールを加えないでポリカーボネートを得、得られたポリマーペレットに対して6000ppmのペンタエリスリトールテトラステアレートを混合した以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【実施例3】実施例1において、アゾ系色素の溶液に代えてシアニン系色素の溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【実施例4】実施例1において、アゾ系色素の溶液に代えてフタロシアニン系色素の溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【実施例5】実施例1において、第4槽で290℃/32Paで60分間反応を行いた以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【実施例6】実施例5において、基板厚みを1,2mmの代わりに0.6mmとし、かつ得られた色素塗布及びAgスパッタ後の基板と色素塗布前の基板をアクリル系接着剤で貼り合わせた以外は、実施例5と同様にして、DVD−R型の追記型光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【0049】
【比較例1】実施例1において、p−t−ブチルフェノールを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【比較例2】実施例1において、第4槽で320℃/12Paで60分間反応を行った以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【比較例3】実施例1において、p−t−ブチルフェノールに代えてノニルフェノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【比較例4】実施例1において、ブローを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【比較例5】実施例1において、ブローの極性を負にしたこと以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【比較例6】実施例1において、ブローの方向を基板に対して垂直にした以外は、実施例1と同様にして、光ディスクを得た。評価結果を表−1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】上記の表に示す結果から、本発明所定の要件を満たした実施例1〜6においては、複屈折及び反り(タンジェンシアルチルト)が小さく、色素塗布不良(滴下直後の液滴変形)及び明欠陥のない、優れた光ディスク基板又は光ディスクが得られている。これは、基板の構成が単板であるCD−R型(実施例1〜5)でも、貼り合わせのDVD−R型(実施例6)でも同様である。さらに、水滴接触角を、添加剤によって適正な値まで低減しても、同様の結果が得られる(実施例2:比較例3)。しかし、所定の要件を欠く場合には、本発明の目的を達成できない。すなわち、使用するポリカーボネート樹脂については、粘度平均分子量が大きすぎる(比較例2)と、複屈折が著しく増大し、また、水滴接触角が小さすぎる(比較例1)と、色素塗布不良を生じ、大きすぎる(比較例3)と、明欠陥を生じる結果となる。イオン化エアーの吹き付けについては、これを全く行わない(比較例4)又は負の極性のイオン化エアーを使用する(比較例5)と、いずれも、色素塗布不良が避けられず、また、吹き付け方向を基板表面に対して垂直とする(比較例6)と、反りが増大する結果となる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、基板の反りが小さく、基板の複屈折が小さく、明欠陥がなく、色素塗布不良がなく、表面の埃付着がない追記型光ディスク基板の製造方法及び追記型光ディスクの製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋一丁目1番1号
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】 【識別番号】100068065
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 一 (外3名)
【公開番号】 特開2003−85835(P2003−85835A)
【公開日】 平成15年3月20日(2003.3.20)
【出願番号】 特願2001−273372(P2001−273372)