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【発明の名称】 ユニット設計装置およびユニット設計方法
【発明者】 【氏名】竹田 信裕
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】気田 亨嘉
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】大草 一彦
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】ユニットの設計において、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積を生かし、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮することである。

【解決手段】ユニット設計装置1においてCPU3は、与えられた設計目標に基き基本構造を設計する基本構造設計部21、対象エンジンに適用される機能ブロックの設計例を検索する機能ブロック検索部23を含み、機能ブロック貼付部25が、検索された機能ブロックの外形形状を基本構造図に貼付け、粗形材形状を設計する。また、各機能ブロックに適用される生産加工情報を検索する生産加工情報検索部29を含み、加工形状貼付部31が、検索された生産加工情報から各機能ブロックの加工形状を粗形材形状設計図に貼付け、製品形状を設計する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計装置であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ、前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロック記憶手段と、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索手段と、ユニットの基本構造図に、前記検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計手段と、を備えることを特徴とするユニット設計装置。
【請求項2】 請求項1に記載のユニット設計装置において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される、加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報記憶手段と、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索手段と、前記ユニットの粗形材形状に、前記検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計手段と、を備えることを特徴とするユニット設計装置。
【請求項3】 複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計方法であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロックデータベースから、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索工程と、ユニットの基本構造図に、前記検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計工程と、を備えることを特徴とするユニット設計方法。
【請求項4】 請求項3に記載のユニット設計方法において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報データベースから、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索工程と、前記ユニットの粗形材形状に、前記検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計工程と、を備えることを特徴とするユニット設計方法。
【請求項5】 複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計装置であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ、前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロック記憶手段と、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索手段と、前記検索された設計例を参照しつつ新たに設計された機能ブロックを前記機能ブロック記憶手段に新たに登録する登録手段と、ユニットの基本構造図に、前記新たに登録された機能ブロックを含めて検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計手段と、を備えることを特徴とするユニット設計装置。
【請求項6】 請求項5に記載のユニット設計装置において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される、加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報記憶手段と、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索手段と、前記検索された生産加工情報を参照しつつ前記新たに設計された機能ブロックに適用される生産加工情報を前記生産加工情報記憶手段に登録する登録手段と、前記ユニットの粗形材形状に、前記新たに設計された機能ブロックの生産加工情報を含めて検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計手段と、を備えることを特徴とするユニット設計装置。
【請求項7】 複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計方法であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロックデータベースから、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索工程と、前記検索された設計例を参照しつつ新たに設計された機能ブロックを前記機能ブロックデータベースに新たに登録する登録工程と、ユニットの基本構造図に、前記新たに登録された機能ブロックを含めて検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計工程と、を備えることを特徴とするユニット設計方法。
【請求項8】 請求項7に記載のユニット設計方法において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報データベースから、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索工程と、前記検索された生産加工情報を参照しつつ前記新たに設計された機能ブロックに適用される生産加工情報を前記生産加工情報データベースに登録する登録工程と、前記ユニットの粗形材形状に、前記新たに設計された機能ブロックの生産加工情報を含めて検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計工程と、を備えることを特徴とするユニット設計方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計装置およびユニット設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のエンジンのように、複数の機能ブロックを含むユニットの設計においては、エンジンの性能面のみならず、エンジンの車両への搭載性や組付け性、各機能ブロックの性能や強度等の検討、生産設備や生産工数等の生産性の検討が必要で、エンジン設計部門のみならず、各機能ブロックの生産加工技術を含めた生産技術部門との連携が重要である。従来は、エンジンの設計目標が設定されると、エンジン全体の基本形状の設計が設計部門によりなされ、基本形状がほぼ固まり、エンジン全体の見通しがついた時点で、生産技術部門の検討がなされることが多い。図9は、かかる複数の機能ブロックを含むユニットの設計における、従来の手順の一例として、エンジン設計のフローチャートを示す。
【0003】S1は、基本諸元設定工程で、エンジンの設計目標がエンジン規格で与えられると、その基本諸元を設定する工程である。例えば、エンジン形式として、V型6気筒ガソリンエンジン、排気量として3.5リットル、目標出力が所定値、と設計目標が与えられると、その設計目標に基き、エンジンの各部の主な寸法が設定される。
【0004】S3は、基本断面図設計工程で、基本諸元に基き、エンジンの基本断面図が設計、作成される。S5は、基本骨格図設計工程で、基本断面図から、各機能ブロックの配置位置を含めたスケルトン図が設計作成される。このスケルトン図の上に、各機能ブロックの詳細を盛り込んで以後の設計を進める。S3,S5の工程は、上述以外のさまざまな手法をとることが可能である。
【0005】S7は、基本形状設計工程で、基本骨格図の上に、各機能ブロックの詳細を設計する工程である。この工程においては、各機能ブロック自体の外形、配置位置および、機能ブロック間の関係等を考慮しつつ、エンジン全体が設計目標を満足するよう、さまざまな面から設計が行われる。S7までの工程において、設計に必要な生産技術的要件は必要に応じ設計部門から各生産技術部門に求められる。しかし、設計部門以外の外部に対し、エンジンの全貌を十分に表示するのが困難な段階であるので、設計部門と生産技術部門間の系統立った検討は行われない。したがって、S7までの工程においては、設計部門がほとんどを担当し、設計目標ごとに新しい個別のエンジンを設計し、基本形状をほぼ固め、エンジン全体の見通しをつける。
【0006】S9は、生産技術検討段階で、基本形状設計が完了すると、エンジンの全貌が外部に対し表示されるので、基本形状設計に基き、生産技術的な要件の検討が集中的になされる工程である。
【0007】S11は、粗形材形状設計工程で、機械加工前のエンジン全体の粗形材形状が設計される。この際に、基本形状設計に基いてなされた生産技術的要件のうち、設計部門の考慮が不十分の部分について、粗形材形状設計上で盛り込めるものは盛り込まれる。この粗形材形状設計に基き、エンジンフレームおよび各機能ブロックの金型、木型等の型が設計される。
【0008】S13は、製品形状設計工程で、粗形材形状設計に基き、機械加工後のエンジン全体の製品形状が設計される。S11と同様に、生産技術的要件のうち盛り込めるものは盛り込まれる。この製品形状設計に基き、各機械加工の手順、工程、治工具、設備等の設計がなされる。
【0009】S15は、製作工程で、粗形材形状設計に基いた型、製品形状設計に基いた機械加工により、エンジンが製作される。
【0010】S17は、評価工程で、製作されたエンジンが、設計目標を満たしているか、また、エンジンが車両に取付ける際の搭載性、取付け性、各部分の強度等が評価される。この評価の結果、課題がある場合には、必要な工程まで戻り、課題解決がなされる。
【0011】このように、従来技術においては、設計部門により、設計目標ごとに個別の新しいエンジンが設計され、基本形状がほぼ固まり、エンジン全体の見通しがついた時点で、生産技術部門の検討がなされる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術において、エンジン設計部門と生産技術部門との連携がなされ、エンジンの性能面のみならず、生産技術的な面の検討が行われる。しかし、従来技術においては、設計部門により、設計目標ごとに個別の新しいエンジンが設計され、基本形状がほぼ固まり、エンジン全体の見通しがついた時点で、生産技術部門の検討がなされる。そのため、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積が生かされない。また、生産技術的要件の盛り込みが時期的に困難となり、搭載性や組込み性、強度等の評価が後追いとなって設計上対応が困難になることがある。これらのことから、従来技術においては設計のやり直しのため、開発に時間がかかるという課題があった。
【0013】そこで本発明の目的は、複数の機能ブロックを含むユニットの設計において、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積を生かし、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮することである。また他の目的は、ユニットの基本形状が固まる前に生産技術的な面の検討を行い、搭載性や組込み性、強度等の評価が事前に十分に行え、設計部門と生産技術部門とが同席して設計することを可能とすることである。また、さらなる目的は、かかる設計の結果を新しく設計例として追加し、よりいっそうユニット設計の標準化の水準を向上させることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係るユニット設計装置は、複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計装置であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ、前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロック記憶手段と、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索手段と、ユニットの基本構造図に、前記検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】また、本発明に係るユニット設計装置において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される、加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報記憶手段と、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索手段と、前記ユニットの粗形材形状に、前記検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】また、本発明に係るユニット設計方法は、複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計方法であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロックデータベースから、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索工程と、ユニットの基本構造図に、前記検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】また、本発明に係るユニット設計方法において、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報データベースから、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索工程と、前記ユニットの粗形材形状に、前記検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】本発明に係るユニット設計装置は、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ、各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する。そこでそのデータベースから、前記ユニットの規格値をキーとして、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、適用される設計例を検索し、ユニットの基本構造図に、検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する。したがって、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積を生かすことができ、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮できる。また、順次設計例を記憶するので、よりいっそうユニット設計の標準化の水準を向上させることができる。
【0019】また、本発明に係るユニット設計装置において、さらに、各機能ブロックに適用される、加工形状を含む生産加工情報を記憶する。そこで、そのデータベースから、ユニットの粗形材形状の各機能ブロックに適用される加工形状を含む生産加工情報を検索し、粗形材形状に、検索された各加工形状をさらに割付けて、ユニットの製品形状を設計する。ここで加工形状とは機械加工等の加工形状を含むことができる。したがって、過去に生産技術的な面の検討がなされた機能ブロックの蓄積を生かすことができ、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮できる。また、ユニットの基本形状は、加工形状を割付けるまで固まらないので、その前に必要な生産技術的な面の検討を行い、搭載性や組込み性、強度等の評価が事前に十分に行え、設計部門と生産技術部門とが同席して設計することが可能となる。さらに、かかる設計の結果を新しく設計例として追加し、よりいっそうユニット設計の標準化の水準を向上させることができる。
【0020】また、本発明に係るユニット設計装置は、複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計装置であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ、前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロック記憶手段と、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索手段と、前記検索された設計例を参照しつつ新たに設計された機能ブロックを前記機能ブロック記憶手段に新たに登録する登録手段と、ユニットの基本構造図に、前記新たに登録された機能ブロックを含めて検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】また、本発明に係るユニット設計装置は、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される、加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報記憶手段と、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索手段と、前記検索された生産加工情報を参照しつつ前記新たに設計された機能ブロックに適用される生産加工情報を前記生産加工情報記憶手段に登録する登録手段と、前記ユニットの粗形材形状に、前記新たに設計された機能ブロックの生産加工情報を含めて検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】また、本発明に係るユニット設計方法は、複数の機能ブロックを含むユニットを設計するユニット設計方法であって、前記ユニットの主要諸元を含む規格値に関連づけ前記各機能ブロックの外形形状を含む設計例を記憶する機能ブロックデータベースから、前記複数の機能ブロックのそれぞれにつき、前記ユニットの規格値に対応して適用される設計例を検索する検索工程と、前記検索された設計例を参照しつつ新たに設計された機能ブロックを前記機能ブロックデータベースに新たに登録する登録工程と、ユニットの基本構造図に、前記新たに登録された機能ブロックを含めて検索された各機能ブロックの外形形状を割付け、ユニットの粗形材形状を設計する粗形材形状設計工程と、を備えることを特徴とする。
【0023】また、本発明に係るユニット設計方法は、さらに、前記各機能ブロックの設計例に適用される加工形状を含む生産加工情報を記憶する生産加工情報データベースから、前記粗形材形状の各機能ブロックのそれぞれにつき、加工形状を含む生産加工情報を検索する生産加工情報検索工程と、前記検索された生産加工情報を参照しつつ前記新たに設計された機能ブロックに適用される生産加工情報を前記生産加工情報データベースに登録する登録工程と、前記ユニットの粗形材形状に、前記新たに設計された機能ブロックの生産加工情報を含めて検索された各機能ブロックの加工形状をさらに割付け、ユニットの製品形状を設計する製品形状設計工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】ユニットの開発においては、製品競争力向上のために絶え間なく新規技術を盛り込んでゆくことが必要である。上記構成により、このような新規技術を含む機能ブロックについても、すでに機能ブロックデータベースに記憶されている設計例を参照し、あるいは参考にして、新しい機能ブロックを設計し、機能ブロック記憶部に新たに登録する。その新しい機能ブロックに適用される生産加工情報についても、すでに生産加工情報データベースに記憶されている生産加工データを参照し、あるいは参考にして、新しい機能ブロックに適用される生産加工情報を作成し、生産加工情報データベースに新たに登録する。したがって、新規技術を盛り込んだユニットの粗形材形状を設計でき、新規技術を盛り込んだユニットの製品形状を作成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。複数の機能ブロックを含むユニットの例として、車両用のエンジンにつき説明するが、それ以外のユニットでも良い。図1は、ユニット設計装置1のブロック図である。一般的なコンピュータであるユニット設計装置1は、CPU3と、入力部5、出力部7、内部記憶装置9とが内部バスで接続される。入力部5と出力部7を介し、外部のデータベース等とネットワークで接続することもできる。
【0026】CPU3は、与えられた設計目標に基き基本構造を設計する基本構造設計部21、対象エンジンに適用される機能ブロックの設計例を検索する機能ブロック検索部23を含み、機能ブロック貼付部25が、検索された機能ブロックの外形形状を基本構造図に貼付け、粗形材形状設計部27において粗形材形状を設計する。また、各機能ブロックに適用される生産加工情報を検索する生産加工情報検索部29を含み、加工形状貼付部31が、検索された生産加工情報から各機能ブロックの加工形状を粗形材形状設計図に貼付け、製品形状設計部33において製品形状を設計する。
【0027】内部記憶装置9は、さまざまなエンジンと各機能ブロックとの対応をマトリクスとして記憶するマトリクス記憶部41、各機能ブロックの設計例を記憶する機能ブロック記憶部43、各機能ブロックに適応される生産加工情報を記憶する生産加工情報記憶部45を含む。
【0028】図2は、内部記憶装置のマトリクス記憶部、機能ブロック記憶部、生産加工記憶部にそれぞれ記憶されるマトリクスデータ51、機能ブロックデータ53、生産加工情報データ55の、データ構造を説明する図である。新しいエンジン設計に際し、設計目標として、V型6気筒ガソリンエンジンといったエンジンの形式、排気量3.5リットルといったエンジンの主要諸元を代表する規格値、目標出力等が与えられる。したがって、エンジン形式、排気量に代表される規格値等からエンジン設計に必要なデータが検索できるデータ構造で、内部記憶装置内にデータが記憶される。
【0029】マトリクスデータ51は、エンジンの形式ごとのデータ構造を有し、エンジン形式データは、排気量で代表される規格値データと、機能ブロック設計例データを含む。例えば、エンジン形式をV型6気筒ガソリンエンジンとして入力すると、そのエンジンについて蓄積された過去の設計例が、排気量データと、各機能ブロックとのマトリクスで検索できる。このマトリクスにおいて、排気量を3.5リットルとすれば、その排気量のエンジンに適用される各機能ブロックの設計例がそれぞれ検索できる。図2の例では、ボアがボアC、ライナがライナC、他の機能ブロックについて、イ−C、ロ−D、ハ−C、ニーFの組合せで、排気量3.5リットルのV型6気筒ガソリンエンジンが構成されることが検索できる。
【0030】機能ブロックデータ53は、機能ブロックごと、機能ブロックは設計例ごとのデータ構造を有し、設計例ごとのデータには、その設計例における機能ブロックの外形形状を含む設計データが含まれる。例えば、機能ブロックをボアとして入力すると、ボアについて蓄積された過去の設計例が、一覧表示され、設計例をボアCと特定すれば、ボアCの外形形状、詳細図、寸法諸元等のデータとして検索できる。
【0031】生産加工情報データ55は、機能ブロックの設計例ごとのデータ構造を有し、設計例ごとのデータは、機械加工等の加工形状、標準加工手順、標準加工条件、標準工具、標準治具、標準設備等の生産加工データを含む。例えば、機能ブロックの設計例をボアCと入力すると、ボアCについてのこれらの生産加工データが検索できる。
【0032】かかる構成の作用に付き、図3のフローチャートと、図4から図8のエンジン設計過程の各状態を示す図を用いて説明する。
【0033】図3のS21は、設計規格設定工程で、エンジンの設計目標から、排気量等、エンジンの主要諸元を含む規格値を設定する工程である。例えばV型6気筒ガソリンエンジンにおいて、排気量3.5リットルと設定する。
【0034】S23は、基本構造設計工程で、CPU3の基本構造設計部21が、新しいエンジンの設計概念に基き、機能ブロックの配置関係等をしめす基本骨格図、基本構造図を設計する工程である。図4に、V型6気筒ガソリンエンジンの基本構造図の例を示す。
【0035】S25は、機能ブロック検索工程で、機能ブロック検索部23が、内部記憶装置9のマトリクス記憶部41と機能ブロック記憶部43から、各機能ブロックのそれぞれにつき、エンジンの規格値に対応して適用される外形形状を含む設計例を検索する工程である。検索は、エンジンの規格値をキーとして行うことができる。V型6気筒ガソリンエンジンと入力し、そのエンジンに対応するマトリクスを読出し、エンジンの規格値である排気量3.5リットルから、設計対象のエンジンを構成する機能ブロックの設計例の組合せを読み出す。図2のデータに従えば、ボアC、ライナC、イ−C、ロ−D、ハ−C、ニ−Fの組合せが得られる。次に、ボアC、ライナC等の外形形状等を読み出す。図5に、このようにして検索されたボアC、ライナC等の斜視図を示す。
【0036】S27は、機能ブロック貼付工程で、機能ブロック貼付部25が、S23で得られた基本構造図に、S25で検索された各機能ブロックの外形形状を貼付ける工程である。
【0037】S29は、粗形材形状設計工程で、粗形材形状設計部27が、S27で得られた、基本構造図に各機能ブロックの外形形状を貼り付けたものに基き、機械加工前の、エンジン粗形材形状を設計する工程である。S25において、エンジンを構成するすべての機能ブロックにつきデータが得られない等データが不足のときは、本工程において必要な部分を設計する。また、データに盛り込みきれない部分につき、設計部門と生産技術部門とが同席設計を行うこともできる。図6に、基本構造図に各機能ブロックの外形形状を貼付けたものに基き設計された、エンジンの粗形材形状の斜視図を示す。
【0038】ユニットの開発においては、製品競争力向上のために絶え間なく新規技術を盛り込んでゆくことが必要である。このような新規技術を含む機能ブロックについても、粗形材形状設計工程等において、すでに機能ブロック記憶部43に記憶されている設計例を参照し、あるいは参考にして、新しい機能ブロックを設計する。
【0039】具体的には次の手順で新しい機能ブロックを設計し、設計された新しい機能ブロックを機能ブロック記憶部43に登録する。
【0040】まず、対象のエンジンの規格値を定め、新規技術を盛り込む対象の機能ブロックを特定する。そして、エンジンの規格値を検索キーとして機能ブロック記憶部43から適用される設計例を検索する。ここまでは、上記のS23の基本構造設計工程およびS25の機能ブロック検索工程と同じである。例えば、エンジンの排気量3.5リットルのエンジンにおいて、そのボアについて新規技術を盛り込みたい場合は、上記の例では、ボアCの外形形状、詳細図、寸法諸元等が検索される。そこで、検索されたボアCの外形形状等が、対象の新規技術を織り込む条件を満たしているか否かを判断する。
【0041】検索されたボアCの外形形状等が、対象の新規技術を織り込む条件を満たしているときは、ボアCにそのまま新規技術を織り込み、S27の機能ブロック貼付工程以下を進める。
【0042】検索されたボアCの外形形状等が、対象の新規技術を織り込む条件を満たしていないときは、検索されたボアCの外形形状、詳細図、寸法諸元等のデータおよび、他の登録されているボア、例えばボアA、ボアB等の外形形状等をも検索して参照し、これらの設計例を参考にして、新しいボアNを設計する。設計にあたっては、設計例を参照しつつ、現在保有する生産技術、設備で製造可能な形状であるか否かを十分に検討しながら進め、新しいボアNの外形形状、詳細図、寸法諸元等を定義する。新しい機能ブロックの設計に際しては、設計部門と生産技術部門との同席設計が好ましい。
【0043】機能ブロック記憶部43に登録されている設計例の参照については、参照の結果、既存の設計例の編集設計ですむ場合と、参照の結果、既存の設計例とは異なる新規の外形形状となる場合とを含む。
【0044】このようにして、既存の設計例を参照しつつ新規技術を盛り込んで設計された新しい機能ブロックは、エンジンの規格値と関連付けて機能ブロック記憶部43に登録される。その後は、S25の機能ブロック検索工程以降の工程を適用でき、新規技術を盛り込んだ機能ブロックを用いたユニットの粗形材形状を設計することができる。
【0045】S31は、生産加工情報検索工程で、生産加工情報検索部29が、生産加工情報記憶部45から、各機能ブロックの設計例に対応する、加工形状を含む生産加工情報を検索する。例えば、ボアCと入力することで、ボアCの加工形状、標準加工手順、標準加工条件、標準工具、標準治具、標準設備等の生産加工データが検索できる。図7に、検索された各機能ブロックの加工形状を合成した状態の斜視図を示す。
【0046】S33は、加工形状貼付工程で、加工形状貼付部31が、S29で得られた粗形材形状図に、検索で得られた各加工形状を貼り付ける。各機能ブロック加工形状を個々に貼付けても良く、図7に示す合成された機械加工等の加工形状を貼付けても良い。
【0047】S35は、製品形状設計工程で、製品形状設計部33が、S33で得られた、粗形材形状図に各機能ブロックの加工形状を貼り付けたものに基き、機械加工後の、エンジン製品形状を設計する工程である。S31において、エンジンを構成するすべての機能ブロックにつきデータが得られない等データが不足のときは、本工程において必要な部分を設計する。また、データに盛り込みきれない部分につき、設計部門と生産技術部門とが同席設計を行うこともできる。図8に、粗形材形状図に各機能ブロックの加工形状を貼付けたものに基き設計された、エンジンの製品形状の斜視図を示す。
【0048】S29の粗形材形状設計工程の説明に関連して述べたように、新規技術を絶えず盛り込むために、新しい機能ブロックが設計され、その外形形状等のデータが機能ブロック記憶部43に登録される。上記の例では、ボアNが機能ブロック記憶部43に新しく登録される。新しい機能ブロックに対応する生産加工が新しいときは、この製品形状設計工程において、加工形状を含む生産加工情報を作成する。
【0049】すなわち、生産加工情報記憶部45から既存の生産加工情報を検索して参照し、あるいは参考にして、新しい機能ブロックに対応する生産加工情報を作成する。もちろん、新しい機能ブロックの設計に引き続いて、その生産加工情報を作成する手順でもよい。上記の例では、ボアNの加工形状、加工手順、加工条件、工具、治具、設備等の生産加工データを作成する。新しい機能ブロックの生産加工情報の作成に際しては、設計部門と生産技術部門との同席設計が好ましい。
【0050】作成されたデータは、新しい機能ブロックに関連付けて、生産加工情報記憶部45に登録される。もっとも、既存の生産加工情報を検索して参照した結果、新しい機能ブロックに対応する生産加工情報が既存の生産加工情報で十分のときは、その既存の生産加工情報を新しい機能ブロックに関連付ける。その後は、S31の生産加工情報検索工程以降の工程を適用できる。このようにして、新規技術を盛り込んだ機能ブロックを用いたユニットの製品形状を設計することができる。
【0051】S37は、データ記憶工程で、入力部5から、新しいエンジンの設計が完了するごとに、そのデータを、マトリクス記憶部41、機能ブロック記憶部43、生産加工情報記憶部45に記憶する工程である。
【0052】このようにマトリクスデータ、機能ブロックデータ、生産加工情報データは、設計の都度そのデータが蓄積される。したがって、これらのデータに基いてユニットの設計を行うことで、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積を生かし、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮できる。
【0053】また、ユニットの基本形状が固まる前に、例えば粗形材形状設計前、製品形状設計以前において、生産技術的な面の検討を行うことができ、搭載性や組込み性、強度等の評価が事前に十分に行える。また、設計部門と生産技術部門とが同席して設計することが可能となる。
【0054】さらに、かかる設計の結果を新しく設計例として追加し、よりいっそうユニット設計の標準化の水準を向上させることができる。
【0055】
【発明の効果】本発明に係るユニット設計装置は、過去に生産技術的な面の検討がなされた設計例の蓄積を生かすことができ、設計のやり直しを防ぎ、開発期間を短縮できる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年11月21日(2002.11.21)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外1名)
【公開番号】 特開2003−242181(P2003−242181A)
【公開日】 平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願番号】 特願2002−337619(P2002−337619)