| 【発明の名称】 |
座標入力装置および座標入力装置における座標補正方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】重田 大助 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】安井 鉄也 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ノイズの影響を抑えた正確な座標ベクトルを筆記速度に追従して応答性よく出力する。
【解決手段】演算処理部4は、検出部5からの検出座標ベクトルdiと前座標ベクトル格納部6からの前座標ベクトルdi-1との距離ΔLiに基づいて、パラメータ関数f(di,di-1)を決定する。その際に、パラメータ関数を「di-1(E−P)+diP」と仮定し、パラメータ行列Pとして0≦Pn,n≦1からなる値の対角要素のみを有する行列を与えると、補正後の座標ベクトルd'iをdiとdi-1とを対角線上の2つの頂点とする長方形内の点として与えることができる。こうして、距離ΔLiの各成分中のノイズ成分の割合を無視できるレベルに低減し、入力ペンの移動に追従して正確な座標データを応答性良く出力させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力手段によって入力された座標空間上の座標を取得して補正する座標入力装置であって、取得された上記座標の座標データと前に取得あるいは出力された前座標データとの間の相関関係と、上記座標データ中に含まれるノイズ成分との関係に基づいて、予め作成された、少なくとも上記座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数が格納された第1メモリと、既に取得あるいは出力された前座標データが格納される第2メモリと、上記入力手段からの信号に基づいて、上記座標の座標データを所定の時間間隔で検出する検出部と、上記検出部で検出された座標データを取得して上記第2メモリから得られた前座標データとの間の相関関係を求め、この相関関係に基づいて上記第1メモリから該当するパラメータ関数を求め、このパラメータ関数と上記取得された座標データとに基づいて上記補正座標データを演算して上記座標空間上の入力座標として出力する演算処理部を備えたことを特徴とする座標入力装置。 【請求項2】 入力手段によって入力された座標空間上の座標を取得して補正する座標入力装置における座標補正方法であって、取得された上記座標の座標データと前に取得あるいは出力された前座標データとの間の相関関係と、上記座標データ中に含まれるノイズ成分との関係に基づいて、少なくとも上記取得された座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数を予め作成して第1メモリに格納しておき、既に取得あるいは出力された前座標データを第2メモリに格納しておき、演算処理部によって、所定の時間間隔で入力された上記座標の座標データを取得し、前に取得あるいは出力された前座標データを上記第2メモリから読み出し、上記取得された座標データと読み出された前座標データとの間の相関関係を求め、上記相関関係に基づいて、少なくとも上記取得された座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を表すパラメータ関数を、上記第1メモリから求め、上記パラメータ関数に上記取得された座標データを与えて演算を行い、得られた補正座標データを上記座標空間上の入力座標であるとして出力することを特徴とする座標入力装置における座標補正方法。 【請求項3】 請求項2に記載の座標入力装置における座標補正方法において、上記入力手段による座標の入力は、入力ペンによって2次元の入力面を押圧することによって行われ、上記2つの座標データ間の相関関係は上記入力面上の2次元座標における一軸方向への距離と上記一軸に直交する他軸方向への距離であり、上記パラメータ関数は、上記座標データの上記一軸方向への成分とその補正座標データの上記一軸方向への成分との関係を第1パラメータで表す一方、上記座標データの上記他軸方向への成分とその補正座標データの上記他軸方向への成分との関係を第2パラメータで表す関数であることを特徴とする座標入力装置における座標補正方法。 【請求項4】 請求項2に記載の座標入力装置における座標補正方法において、上記パラメータ関数は、整数をパラメータとする演算のみで表現されていることを特徴とする座標入力装置における座標補正方法。 【請求項5】 請求項2に記載の座標入力装置における座標補正方法において、上記前座標データは、過去の複数回に亙って取得あるいは出力された前座標データであり、上記パラメータ関数は、上記座標データおよび前座標データと上記座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すようになっていることを特徴とする座標入力装置における座標補正方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えばタブレット等の座標入力部に入力された座標データを補正変換する座標入力装置、および、座標入力装置における座標補正方法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開平9‐101853号公報には、ノイズ等の影響を少なくする座標入力装置のデータ処理方法が開示されている。この座標入力装置のデータ処理方法においては、座標入力装置によって直接収集された今回の座標データ[di]と前回の座標データ[di-1]との間の距離に応じてパラメータ係数Pを求め、このパラメータ係数Pを用いて今回の出力すべき座標データ[di']を次式によって算出することにより誤差を補正している。 [di']=[di-1]*(1−P)+[di]*P【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の座標入力装置のデータ処理方法には、以下のような問題がある。例えば、タブレット等の座標入力装置においては、様々な要因によってノイズが発生するために、検出された座標データに誤差が生じる。したがって、座標入力装置で検出された座標データを用いて直線を描こうとするとギザギザの線が描画されてしまうことになる。 【0004】上記従来の座標入力装置のデータ処理方法を適用してこの問題を解決する場合には、座標入力装置からの今回の座標データ[di]と前回の座標データ[di-1]とを結ぶ線分上の座標データしか出力することができない。そのために、今回の座標データ[di]と前回の座標データ[di-1]とを結ぶ線分上に無い点に出力座標データを補正すべき場合には、先ず、出力座標データとは異なる座標データを中間的な座標データとして生成する。そして、次のステップにおいて上記中間的な座標データと再度座標入力装置から収集した座標データとで上述の計算を行い、目的の値に近い座標データを生成する。この操作を繰り返して初めて目的とする出力座標データを得ることができるのである。この場合、非常に高速に計算を行うことが可能なシステムであれば問題とはならないが、低速なシステムの場合には応答性の低下を引き起こすという問題がある。 【0005】また、上記前回の座標データ[di-1]上の点および今回の座標データ[di]上の点以外の点に補正を行う場合には、パラメータ係数Pの値は必ず0<P<1となり、その値Pに基づいて線分の分割点を求める必要がある。したがって、小数点演算を行う必要があり、計算時間の増大、つまりは応答性の低下を招くという問題がある。 【0006】そこで、この発明の目的は、あらゆる筆記条件下においてノイズの影響を極力抑えた正確な座標ベクトルを筆記速度に追従して応答性よく出力することができる座標入力装置、および、座標入力装置における座標補正方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、第1の発明は、入力手段によって入力された座標空間上の座標を取得して補正する座標入力装置であって、取得された上記座標の座標データと前に取得あるいは出力された前座標データとの間の相関関係と,上記座標データ中に含まれるノイズ成分との関係に基づいて,予め作成された,少なくとも上記座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数が格納された第1メモリと、既に取得あるいは出力された前座標データが格納される第2メモリと、上記入力手段からの信号に基づいて上記座標の座標データを所定の時間間隔で検出する検出部と、上記検出部で検出された座標データを取得して上記第2メモリから得られた前座標データとの間の相関関係を求め,この相関関係に基づいて上記第1メモリから該当するパラメータ関数を求め,このパラメータ関数と上記取得された座標データとに基づいて上記補正座標データを演算して上記座標空間上の入力座標として出力する演算処理部を備えたことを特徴としている。 【0008】また、第2の発明は、入力手段によって入力された座標空間上の座標を取得して補正する座標入力装置における座標補正方法であって、取得された上記座標の座標データと前に取得あるいは出力された前座標データとの間の相関関係と,上記座標データ中に含まれるノイズ成分との関係に基づいて,少なくとも上記座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数を予め作成して第1メモリに格納しておき、既に取得あるいは出力された前座標データを第2メモリに格納しておき、演算処理部によって、所定の時間間隔で入力された上記座標の座標データを取得し,前に取得または出力された前座標データを上記第2メモリから読み出し,上記取得された座標データと読み出された前座標データとの間の相関関係を求め、上記求めた相関関係に基づいて,少なくとも上記取得された座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を表すパラメータ関数を上記第1メモリから求め、上記パラメータ関数に上記取得された座標データを与えて演算を行い,得られた補正座標データを上記座標空間上の入力座標であるとして出力することを特徴としている。 【0009】上記第1の発明および第2の発明の構成によれば、少なくとも取得された座標データとその補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数に、上記取得された座標データが与えられて演算が行われ、上記取得された座標データが補正される。このように、複数のパラメータを用いることによって、上記取得された座標データと前座標データとを結ぶ線分上にない座標が上記補正座標データとして出力される。したがって、上述した従来の技術のごとく、一旦出力座標データとは異なる中間的な座標データを生成し、次に上記中間的な座標データと再度収集した座標データとで補正計算を行って目的の値に近い座標データを生成する等の無駄な計算処理を繰り返して行う必要がなくなる。 【0010】さらに、変化量の多い軸成分は補正せずに変化量の少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数の場合には、変化量の多い軸成分のパラメータを「1または0」に設定しても、他のパラメータの存在によって、上記取得された座標データをこの座標データおよび前座標データとは異なる座標データに補正することが可能になる。したがって、上記パラメータ関数の一部を整数をパラメータとする演算のみで表現することが可能になり、上記パラメータ関数を用いた演算が簡単に短時間に実効可能になる。 【0011】さらに、変化量の多い軸成分は補正せずに変化量の少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数を用いる場合であって、上記パラメータ関数の変数として上記前座標データを用いる場合には、各軸方向成分毎に、補正する場合は上記取得された座標データおよび前座標データを上記パラメータ関数に代入する一方、補正しない場合は上記取得した座標データのみを上記パラメータ関数に代入することが可能である。こうすることにより、さらに補正演算を短時間に実行可能になる。すなわち、ノイズの影響が極力抑えられた正確な補正座標ベクトルが、筆記速度に追従して応答性よく得られるのである。 【0012】また、1実施例においては、上記第2の発明の座標入力装置における座標補正方法において、上記入力手段による座標の入力は,入力ペンによって2次元の入力面を押圧することによって行われ、上記2つの座標データ間の相関関係は上記入力面上の2次元座標における一軸方向への距離と上記一軸に直交する他軸方向への距離であり、上記前座標データは直前に取得あるいは出力された座標データであり、上記パラメータ関数は,上記座標データの上記一軸方向への成分とその補正座標データの上記一軸方向への成分との関係を第1パラメータで表す一方,上記座標データの上記他軸方向への成分とその補正座標データの上記他軸方向への成分との関係を第2パラメータで表す関数である。 【0013】この実施例によれば、上記取得された座標データと直前に取得あるいは出力された前座標データとの2次元座標上における一軸方向への距離とこの一軸に直交する他軸方向への距離とに基づいて、上記座標データとその補正座標データとの関係を第1と第2との2つのパラメータで表すパラメータ関数を用いて、上記取得された2次元空間上の座標データが補正される。 【0014】また、1実施例においては、上記第2の発明の座標入力装置における座標補正方法において、上記パラメータ関数は整数をパラメータとする演算のみで表現されている。 【0015】この実施例によれば、上記パラメータ関数は、整数をパラメータ係数とする和演算あるいは和積演算のみで表現されているため、上記パラメータ関数を用いた上記取得された座標データの補正が、少数をパラメータ係数とする場合よりも簡単に短時間で行われる。 【0016】また、1実施例においては、上記第2の発明の座標入力装置における座標補正方法において、上記前座標データは,過去の複数回に亙って取得あるいは出力された前座標データであり、上記パラメータ関数は,上記座標データおよび前座標データと上記座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すようになっている。 【0017】この実施例によれば、過去複数回に亙って取得あるいは出力された前座標データを用いて、上記取得された座標データが補正される。こうして、過去複数回の取得あるいは出力の履歴に基づいて、補正演算の精度が高められる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本実施の形態の座標入力装置における座標補正方法が適用された座標入力装置の機能ブロック図である。この座標入力装置1は、ペン等による座標入力媒体となっているタブレット等の座標入力部2と、演算処理部4から与えられる制御信号に基づいて座標入力部2を駆動する駆動部3と、座標入力部2から出力される信号に基づいて座標データを検出する検出部5とで構成されている。そして、演算処理部4は、検出部5によって検出された座標データを用いて後述する座標補正処理を行い、その結果得られた補正後の座標データを、対象機器であるコンピュータ7等に出力するのである。 【0019】尚、上記座標入力部2によって収集される座標データとしては、一定の時間間隔によってサンプリングされる座標ベクトルの他に、その時の入力ペン(図示せず)の状態(入力ペンのアップ/ダウン)を表す情報等が必要となるが、本実施の形態においては、説明の便宜上、座標ベクトルのみを取り扱うものとする。また、同様に説明の便宜上、座標ベクトルは2次元座標のみであり、過去の座標ベクトルは直前の座標ベクトルのみを取り扱うものとして説明する。 【0020】図2は、上記座標ベクトルが2次元表現の場合において、入力時にサンプリングされた座標ベクトルの移動軌跡を示す模式図である。図2において、検出部5によって検出された1番目の座標ベクトルをd1,2番目の座標ベクトルをd2,3番目の座標ベクトルをd3とし、一番新しいi番目の座標ベクトルをdi,その一つ前の座標ベクトルをdi-1,2つ前のベクトルをdi-2とする。そして、座標ベクトルdiの要素であるx成分及びy成分を、夫々(xi,yi)とする。また、座標ベクトルd1と座標ベクトルd2との間の距離をΔL2とし、座標ベクトルの各成分に注目して、上記距離のx成分をΔLx2とし、y成分をΔLy2とする。さらに、座標ベクトルdi-1と座標ベクトルdiとの間の距離をΔLiとし、その距離のx,y成分をΔLxi,ΔLyiとする。 【0021】以下、上記演算処理部4によって実行される座標補正処理動作を、図3のフローチャートに従って説明する。尚、本実施の形態においては、座標入力時に、座標入力部2によって所定のサンプリング速度で時系列的に収集される座標ベクトルのうち、図2における一番新しい座標ベクトルdiを直前に検出された検出座標ベクトルとし、その検出座標ベクトルdiを取得し、その座標を補正して出力する際の座標補正処理手順の一例を説明する。 【0022】先ず、ステップS1で、上記検出部5によって検出された検出座標ベクトルdiが取得される。ステップS2で、前回取得されて前座標ベクトル格納部6に格納されている前座標ベクトルdi-1が読み出される。そして、上記取得された検出座標ベクトルdiと読み出された前座標ベクトルdi-1とから、上記相関関係としての入力ペンの移動距離ΔLiが求められる。ステップS3で、上記求められた距離ΔLiから検出座標データdiと前座標データdi-1と補正後の座標データd'iとの関係を2つのパラメータで表すパラメータ関数f(di,di-1)が求められる。 【0023】ここで、上記検出部5から送出されてくる座標ベクトルは、その殆どが様々な要因によってノイズ等の影響を受けている。そして、二つの座標ベクトル間の距離ΔLiが小さい程、検出座標ベクトルdiに含まれるノイズ成分の割合は高くなる。ところが、距離ΔLiが一定以上に大きくなると、検出座標ベクトルdiに含まれるノイズの割合は夫々の軸成分について殆ど無視できるレベルになる。したがって、パラメータ関数f(di,di-1)の設定に当っては、上記ステップS2において求めた各成分の距離ΔLxi,ΔLyiが大きくなるに連れて、見かけ上ノイズの影響が少なくなるように設定するのである。具体的には、図4に例示すように、距離ΔLiのx成分ΔLxi及びy成分ΔLyiの増加と共に、出力する座標ベクトルが検出座標ベクトルdiに近づくようにパラメータ関数f(di,di-1)を設定し、ΔLxi,ΔLyiと対応付けてROM(リード・オンリ・メモリ:図示せず)等に格納しておくのである。 【0024】ステップS4で、求められたパラメータ関数f(di,di-1)に基づいて検出座標ベクトルdiを補正して、出力すべき座標ベクトルd'iが求められる。その際における検出座標ベクトルdiの補正は、検出座標データdiと前座標データdi-1とを次式(1)に代入することによって行う。 d'i=f(di,di-1) …(1) 【0025】ここで、例として、「f(di,di-1)=di-1(E−P)+diP」(Eは単位行列)を取り上げる。尚、Pはパラメータ行列であり、上述したように、ΔLxi,ΔLyiの値に応じて要素値が決定されるものとすると、上記式(1)は次式(2)で書き表すことができる。 d'i=di-1(E−P)+diP …(2) 【0026】上記式(2)において、パラメータ行列Pが対角要素「P0,0」,「P1,1」のみで構成されている場合には、上記式(2)は式(3)および式(4)のように展開される。 x'i=xi-1(1−P0,0)+xi×P0,0 …(3) y'i=yi-1(1−P1,1)+yi×P1,1 …(4) 上記2つの式(3),式(4)は、パラメータ行列Pによって前座標ベクトルdi-1と検出座標ベクトルdiとを結ぶ線分を分割する比を各x,y成分毎に決定できることを示している。 【0027】ステップS5で、上記式(3)および式(4)による演算によって求められ補正後の座標ベクトルd'iが、出力すべき座標ベクトルとしてコンピュータ7等の対象機器に出力される。そうした後、上記ステップS1において取得された検出座標ベクトルdiで前座標ベクトル格納部6の内容が更新されて、座標補正処理動作を終了する。 【0028】その結果、上記演算処理部4からの出力データを受け取ったコンピュータ7側では、補正後の座標ベクトルd'iを入力ペンによって指示された座標入力部2上の座標ベクトルとして認識するのである。この座標ベクトルd'iは、距離ΔLiの各成分から適切に導き出されたパラメータ関数f(di,di-1)に応じて、座標入力部2のノイズ特性が補正された値なのである。 【0029】また、上記パラメータ関数f(di,di-1)は、取得された検出座標ベクトルdiおよび前に取得された前座標ベクトルdi-1と検出座標ベクトルdiの補正後の座標ベクトルd'iとの関係を2つのパラメータ「P0,0」,「P1,1」で表している。したがって、検出座標ベクトルdiと前座標ベクトルdi-1とを結ぶ線分上にない座標を補正後の座標ベクトルd'iとして出力することができる。したがって、上述した従来の技術のごとく、一旦出力座標データとは異なる中間的な座標データを生成し、次に上記中間的な座標データと再度収集した検出座標データとで補正計算を行って目的の値に近い座標データを生成する等の無駄な計算処理を繰り返して行う必要がなくなる。 【0030】さらに、図4に例示するように、変化量が多い軸成分は補正せずに変化量が少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数の場合には、変化量の多い軸成分のパラメータを「1」に設定しても、他のパラメータの存在によって、取得された座標ベクトルd'iをこの座標ベクトルd'iおよび前座標ベクトルdi-1とは異なる座標データに補正することが可能になる。したがって、上記変化量が多い軸成分側のパラメータ関数を、整数をパラメータ係数とする和積演算のみで表現することが可能になり、上記パラメータ関数を用いた演算を非常に簡単に且つ短時間に実効することができる。 【0031】さらに、図4に例示するように、変化量の多い軸成分は補正せずに変化量の少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数を用いる場合には、各軸方向成分毎に、補正する場合は検出座標ベクトルdiおよび前座標ベクトルdi-1を上記パラメータ関数に代入する一方、補正しない場合は前座標ベクトルdi-1の係数は「0」となるから検出座標ベクトルdiのみを上記パラメータ関数に代入することが可能にある。こうすることにより、補正パラメータ関数の演算時間をさらに短縮することが可能になる。すなわち、ノイズの影響を極力抑えられた正確な補正座標ベクトルを、筆記速度に追従して応答性よく得ることができるである。 【0032】尚、上記式(2)は、乗算を含むパラメータ関数を用いた例であるが、本実施の形態によれば、以下のように整数値を用いた加算および減算のみを行うことも可能である。すなわち、図4に示すパラメータ関数を用いることによって、・+1<ΔLxi<+4の場合x'i=xi−1・−4<ΔLxi<−1の場合x'i=xi+1・ΔLxi≦−4,ΔLxi=0,4≦ΔLxiの場合x'i=xi・+1<ΔLyi<+2の場合y'i=yi−1・−2<ΔLyi<−1の場合y'i=yi+1・ΔLxi≦−2,ΔLxi=0,2≦ΔLxiの場合y'i=yiのごとく、整数値をパラメータ係数とする加算および減算のみを行えばよい。したがって、特開平9‐101853号公報に開示された従来例のごとく小数値のパラメータ係数を用いた乗算を行う場合に比較して、高速に補正演算を行なうことが可能になるのである。 【0033】このように、本実施の形態においては、上記検出座標ベクトルdiと前座標ベクトルdi-1との間の距離ΔLiと距離ΔLiに含まれるノイズ成分の特性とに応じて、パラメータ関数f(di,di-1)を決定するようにしている。ここで、f(di,di-1)=di-1(E−P)+diPと仮定し、パラメータ行列Pとして、0≦Pn,n≦1なる値の対角要素「P0,0」,「P1,1」のみを有するパラメータ行列Pを与えた場合には、上記式(3)および式(4)に示すように、diとdi-1とを対角線上の2つの頂点とする長方形内の点としてd'iが与えられることになる。したがって、速い速度で文字等を描いた場合には、その間に検出される座標データがノイズを含んだものであっても、距離ΔLiの各成分に含まれるノイズ成分の割合が無視できるレベルとなるため、上記入力ペンの移動に追従して正確な座標データを応答性良く出力させることができるのである。 【0034】特に、x座標あるいはy座標に平行な直線を描こうとする場合には、x,y成分毎に比率を決定できるために、上記パラメータ関数を整数表現にしたり検出座標ベクトルdiのみをパラメータ関数に代入したりして、効果的にノイズの補正を行うことが可能なのである。 【0035】尚、本実施の形態においては、上記検出座標ベクトルdiとその直前に検出された前座標ベクトルdi-1との間の距離ΔLiからパラメータ関数f(di,di-1)を求めるようにしている。しかしながら、それ以外にも、検出座標ベクトルdiとその直前に出力した前出力座標ベクトルd'i-1との間の距離ΔL'iからパラメータ関数f(di,d'i-1)を求めるようにしてもよい。その場合には、次式(5)によって検出座標ベクトルdiの補正を行うのである。 d'i=f(di,d'i-1) …(5) 【0036】その場合、パラメータ関数f(di,d'i-1)を「d'i-1(E−P)+diP」と仮定し、パラメータ行列Pとして0≦Pn,n≦1からなる要素値の対角要素「P0,0」,「P1,1」のみを有する行列と定義することによって、上述の場合と同様に、図5に示すように、検出座標ベクトルdiと前出力座標ベクトルd'i-1とを対角線上の2つの頂点とする長方形内の点としてd'iが与えられることになる。 【0037】因みに、上記検出座標ベクトルdiの補正に際して、前座標ベクトルとして、直前に検出した前座標ベクトルdi-1を用いるか、直前に出力した前出力座標ベクトルd'i-1を用いるかは、座標検出時のノイズレベルやサンプリング速度等に応じてパラメータ行列Pを適宜選択することによって行えばよい。尚、より安定した座標ベクトルを出力させるためには、ノイズの影響が少ない直前に出力した前出力座標ベクトルd'i-1を前座標ベクトル格納部6に格納して用いることが望ましい。 【0038】尚、上記実施の形態においては、上記検出座標ベクトルdiの補正に際して、前座標ベクトルとして、直前に検出した唯1つの前座標ベクトルdi-1あるいは直前に出力した唯1つの前出力座標ベクトルd'i-1を用いるようにしている。しかしながら、前に検出した複数の前座標ベクトルdi-1あるいは前に出力した複数の前出力座標ベクトルd'i-1を用いるようにしても差し支えない。その場合には、補正の精度を高めることができる。 【0039】例として、2次元座標空間において2つの前回座標ベクトルdi-1,di-2を用いる場合を考えてみる。この場合、唯1つの前回座標ベクトルdi-1を用いた場合における上記式(1)に対応する式は、次式(1')で表すことができる。 d'i=f(di,di-1,di-2) …(1') この場合、パラメータ関数f(di,di-1,di-2)を「di-2(E−Q)+{di-1(E−P)+diP}Q」と仮定する。そして、パラメータ行列P,Qを、0≦Pn,n≦1,0≦Qn,n≦1なる値の対角要素「P0,0」,「P1,1」,「Q0,0」,「Q1,1」のみで構成されている行列と定義する。そうすることによって、検出座標ベクトルdiおよび前回座標ベクトルdi-1を対角線上の2つの頂点とする長方形内の点と、前々回座標ベクトルdi-2とを、対角線上の2つの頂点とする長方形内の点として、補正後の座標ベクトルd'1が与えられることになる。したがって、唯1つの前回座標ベクトルdi-1を用いて補正を行う場合に比較して多くの入力情報を持つことができ、より精度の高い補正を行なうことが可能になるのである。 【0040】また、上記実施の形態においては上記座標空間を2次元の座標空間とした場合を例に説明しているが、3次元の座標空間に適用しても一向に差し支えない。 【0041】 【発明の効果】以上より明らかなように、第1の発明の座標入力装置および第2の発明の座標入力装置における座標補正方法は、演算処理部によって、少なくとも取得された座標データとこの座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すパラメータ関数を用いて、取得した座標データを補正して出力するので、上記複数のパラメータを用いることによって、上記取得された座標データと前座標データとを結ぶ線分上にはない補正座標データを、出力座標データとは異なる中間的な座標データを用いた繰り返し演算を行うことなく、ごく簡単に作成することができる。 【0042】さらに、変化量の多い軸成分は補正せずに変化量の少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数の場合には、変化量の多い軸成分のパラメータを「1または0」に設定しても、他のパラメータの存在によって、上記取得された座標データをこの座標データおよび前座標データとは異なる座標データに補正することが可能になる。したがって、上記パラメータ関数の一部を整数をパラメータとする演算のみで表現することが可能になり、上記パラメータ関数を用いた補正演算を簡単に短時間に行うことができる。 【0043】さらに、変化量の多い軸成分は補正せずに変化量の少ない軸成分のみを補正するという方針のパラメータ関数を用いる場合であって、上記パラメータ関数の変数として前座標データをも用いる場合には、各軸方向成分毎に、補正する場合は上記取得された座標データおよび前座標データを上記パラメータ関数に代入する一方、補正しない場合には上記取得した座標データのみを上記パラメータ関数に代入することが可能になる。したがって、さらに補正演算を短縮することができる。すなわち、あらゆる筆記条件下においても、ノイズの影響を極力抑えた正確な補正座標ベクトルを、筆記速度に追従して応答性よく得ることができるのである。 【0044】また、1実施例の座標入力装置における座標補正方法は、上記2つの座標データ間の相関関係を入力面上の2次元座標における互いに直交する2軸方向への距離とし、上記前座標データを直前に取得あるいは出力された座標データとし、上記パラメータ関数を、上記座標データの一軸方向への成分とその補正座標データの上記一軸方向への成分との関係を第1パラメータで表す一方、上記座標データの上記一軸に直交する他軸方向への成分とその補正座標データの上記他軸方向への成分との関係を第2パラメータで表す関数としたので、上記パラメータ関数を用いて、上記取得された座標データを2次元空間上で補正することができる。 【0045】また、1実施例の座標入力装置における座標補正方法は、上記パラメータ関数は整数をパラメータとする演算のみで表現されているので、上記パラメータ関数を用いた上記取得された座標データの補正を、少数をパラメータとする場合よりも簡単に短時間に行うことができる。 【0046】また、1実施例の座標入力装置における座標補正方法は、上記前座標データを過去の複数回に亙って取得あるいは出力された前座標データとし、上記パラメータ関数を、上記座標データおよび前座標データと上記座標データの補正座標データとの関係を複数のパラメータで表すようにしたので、過去複数回に亙る取得あるいは出力の履歴に基づいて、補正演算の精度を高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
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| 【出願日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−216317(P2003−216317A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月31日(2003.7.31) |
| 【出願番号】 |
特願2002−9858(P2002−9858) |
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