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【発明の名称】 回路シミュレーション方法
【発明者】 【氏名】原 敦
【住所又は居所】神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所内

【氏名】大坂 英樹
【住所又は居所】神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所内

【氏名】小松 豊彦
【住所又は居所】神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所内

【氏名】横田 等
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地 株式会社日立製作所インターネットプラットフォーム事業部内

【氏名】中村 篤
【住所又は居所】東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株式会社日立製作所半導体グループ内

【氏名】木村 光一
【住所又は居所】神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所内

【要約】 【課題】SPICEにおけるデバイスモデルにおいて高精度なシミュレーションモデルでの計算結果を提供しつつも、デバイス内部の回路情報やプロセス情報が外部に流出を防止しするシミュレーション方式を提供することである。

【解決手段】インターネット上のサーバにデバイスモデルや回路モデルの一部とシミュレータを格納し、利用者は、上記サーバに対して任意の回路データを送信させ、前記サーバではそのデータとデバイスモデルや回路モデルを用いて、演算を実行し、その演算結果を前記利用者に返信する構成を持つものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ネットワークを利用して、電子回路の動作のシミュレーションを実行する回路シミュレーション方法において、以下のステップを有する、前記ネットワークに接続された第1の情報処理装置から前記ネットワークを介して、前記電子回路の特性を示す回路データを送信するステップ、前記ネットワークに接続され、電子回路の動作を記述した回路モデルが記憶され、シミュレーションを実行可能な第2の情報処理装置において、送信された前記回路データを受信するステップ、前記第2の情報処理装置において、前記回路モデルおよび前記回路データを用いて、前記電子回路の動作のシミュレーションを実行するステップ、および前記第2の情報処理装置から前記ネットワークを介して、前記シミュレーションの結果を送信するステップ。
【請求項2】請求項1に記載の回路シミュレーション方法において、前記シミュレーションの結果を送信するステップは、前記シミュレーションの結果を前記第1の情報処理装置に送信する。
【請求項3】請求項1に記載の回路シミュレーション方法において、前記回路モデルには、回路を構成するデバイスの動作を示すデバイスモデルが含まれる。
【請求項4】請求項3に記載の回路シミュレーション方法において、前記デバイスモデルには、前記回路を構成するトランジスタの動作を示すトランジスタモデルが含まれる。
【請求項5】ネットワークを利用して、電子回路の動作のシミュレーションを実行する回路シミュレーション装置において、以下の構成を有する、前記ネットワークに接続された第1の情報処理装置から前記ネットワークを介して、前記電子回路の特性を示す回路データを受信する手段、電子回路の動作を記述した回路モデルを記憶する手段、前記回路モデルおよび前記回路データを用いて、前記電子回路の動作のシミュレーションを実行する手段、および前記ネットワークを介して、前記シミュレーションの結果を送信する手段。
【請求項6】請求項5に記載の回路シミュレーション装置において、前記シミュレーションの結果を送信する手段は、前記シミュレーションの結果を前記第1の情報処理装置に送信する。
【請求項7】請求項5に記載の回路シミュレーション装置において、前記回路モデルには、回路を構成するデバイスの動作を示すデバイスモデルが含まれる。
【請求項8】請求項7に記載の回路シミュレーション装置において、前記デバイスモデルには、前記回路を構成するトランジスタの動作を示すトランジスタモデルが含まれる。
【請求項9】記憶媒体に格納可能なプログラム製品であって、ネットワークを利用して、電子回路の動作のシミュレーションを実行する回路シミュレーション方法を実行するプログラム製品において、以下の処理を電子回路の動作を記述した回路モデルを記憶するコンピュータで実行する、前記ネットワークに接続された第1の情報処理装置から前記ネットワークを介して、前記電子回路の特性を示す回路データを受信する処理、前記回路モデルおよび前記回路データを用いて、前記電子回路の動作のシミュレーションを実行する処理、および前記ネットワークを介して、前記シミュレーションの結果を送信する処理。
【請求項10】請求項9に記載のプログラム製品において、前記シミュレーションの結果を送信する手段は、前記シミュレーションの結果を前記第1の情報処理装置に送信する。
【請求項11】請求項9に記載のプログラム製品において、前記回路モデルには、回路を構成するデバイスの動作を示すデバイスモデルが含まれる。
【請求項12】請求項7に記載のプログラム製品において、前記デバイスモデルには、前記回路を構成するトランジスタの動作を示すトランジスタモデルが含まれる。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路など電子製品の動作のシミュレーションを実行する回路シミュレーションに関する。このなかでも特に、ネットワーク利用してシミュレーションを行う技術に関する。また、本発明は、シミュレーションに限らず電子回路を含む電子製品の設計・製造にも関する。
【0002】
【従来の技術】シミュレーションに関する従来技術について、電子回路を例に説明する。パーソナルコンピュータやワークステーションのように高速な周波数で動作するディジタル回路や無線回路などのアナログ電子回路の設計では、半導体・電磁気に関しての高度な知識が要求される。特に、デバイスの挙動や伝送線路の反射・クロストーク・誘電体の影響による伝播遅延を予測することは、きわめて困難になっている。そのため、従来までの設計では、SPICE(L.W.Nagel,SPICE2:A Computer Program to Simulate Semiconductor Circuits, Electronics ResearchLaboratory,Rep. No. ERL-M520,University of California,Berkeley,1975.)などの回路シミュレータを設計支援ツールとして用いて、回路上の電磁波伝播挙動を解析し、最適な設計を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SPICEでディジタル回路を用いた伝送線の解析を行う場合、設計開発するセットメーカ毎に個別でシミュレーション環境やデバイスモデル・回路接続モデル、ノイズバジェットなどのデータベースをを構築して、実装仕様を作成している事が多い。また、このときにシミュレーションに用いるICやLSIなどのデバイスのモデルに関しては、汎用のIC以外はデバイスメーカから提供される場合が多い。このため、デバイスメーカ以外は、シミュレーションを行うこと難しい場合がある。
【0004】SPICEによる回路シミュレーションを行う場合、デバイスメーカから供給されるシミュレーションのデバイスモデルは、大きく大別すると、LSIの挙動を電圧と電流で記述したIBISモデルとLSIの挙動をトランジスタレベルで記述したトランジスタモデルに大別される。トランジスタモデルは、高精度なモデルが提供できる一方で、個々のトランジスタの動作を詳細に記述しているために、そのデバイス内部の回路情報やプロセス情報が外部に流出してしまう可能性がある。
【0005】こうした情報が流出するのを防止するために、トランジスタモデルを入手する際に、セットメーカとデバイスメーカ間で個別の守秘契約を交わす必要があるケースが多い。一方、IBISモデルは、LSIの挙動を電圧と電流による記述で表すために、LSI内部の回路情報やプロセス情報を隠蔽できるメリットがあるが、ダイナミックにインピーダンスが変化する回路の場合には、計算精度が出ない場合があるといった問題がある。以上のように、シミュレーションを行う上で、高精度モデルを用いる場合には、そこからの情報漏洩と、それを防止するための守秘契約を結ぶ手間が必要となり、また簡易モデルを用いる場合には、精度が出しにくいといった問題があった。
【0006】さらに、高速回路のシミュレーションを行う場合、伝送線路のモデル化には、モデルの妥当性を検証するために実験による事前検証やノウハウが必要となるため、その準備に時間と経験や勘が必要となる。
【0007】そこで本発明の目的は、SPICEにおけるデバイスモデルにおいて高精度なシミュレーションモデルでの計算結果を提供しつつも、デバイス内部の回路情報やプロセス情報が外部に流出を防止しするシミュレーション方式を提供することである。
【0008】また本発明のもう一つの目的は、ノウハウの蓄積や実測による検証が必要な線路モデルについて、第三者がノウハウ・知識が必要な回路モデルの構成を開示することなしにモデルを提供し、シミュレーションを実施する方式を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ネットワークに接続されたサーバにデバイスモデルや回路モデルの一部とシミュレータを格納し、シミュレーションを希望する利用者のクライアントから、上記サーバに対して任意の回路データを送信し、前記サーバでは送信されたデータとデバイスモデルや回路モデルを用いて、演算を実行し、その演算結果を前記クライアントに返信する構成を持つものである。なお、演算結果を受信するクライアントは、回路データを送信したクライアント以外のネットワークに接続されたクライアントであってもよい。受信するクライアントは、送信するクライアントにより指定されたものであってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、本発明の第1の実施例について説明する。図1を用いて、第1の実施例のシステム構成を説明する。第1の実施例で示したシステムは、設計者(セットメーカ)の端末装置1120とデバイスメーカの端末もしくはサーバ1130、回路シミュレーションを実行するサーバ1111で、主に構成されている。サーバ1111はインターネット1140を介して設計者(セットメーカ)の端末装置1120と接続されている。
【0011】また、サーバ1111は、インターネットのインターフェイス部1112を介して、インターネット1140やデバイスメーカの端末1130と接続されている。なお、このデバイスメーカの端末1130との接続は、インターネット1140を介して接続していても、ローカルなネットワークやサーバ自身が兼ねていても構わない。サーバ1111上には、シミュレーションに必要なデータを格納するデータ領域1115がある。
【0012】データ領域1115には、ノイズバジェットなどの実装規則を格納する領域1116とシミュレーションを行う回路の接続モデルの雛型を格納する領域1117、デバイスのトランジスタモデルを格納するモデル1118があり、これらはデバイス供給メーカからアクセスすることが出来るようになっている。
【0013】次に第1の実施例のデータの流れを図2〜図9を用いて説明する。図2は、システム上でのデータ処理の流れを示した概略である。図2において、サーバ側の処理1291でインターネット上に図3に示したようなウェブページ(ホームページ)1300をエントリ画面を公開する。設計者(セットメーカ)1120は、インターネット上のウェブページ1300にアクセスをすることで、本システムの環境に入ることができる。
【0014】設計者(セットメーカ)1120が使用する回路モデルを選定した段階で、図4に示したようにユーザアカウントやパスワードを入力し、回路モデル選定情報(リンク先情報)とユーザアカウントやパスワードをサーバ1291に送信する。このユーザアカウントやパスワードは、ユーザへの課金やシミュレーションの結果データやグラフを閲覧するときに使用する。回路モデル選定情報(リンク先情報)とユーザアカウントやパスワードを受け取ったサーバ1291では、ユーザの登録や照会を行った後に回路モデル選定情報(リンク先情報)を基に図5に示した回路の形状情報・電気定数・ドライバを選択するウェブページ1500を表示する。
【0015】図5において、まず、回路モデルの概形1501に従って、電気定数を入力していく。入力ボックス1502は、動作周波数を入力する。2番目の入力ボックス1503は、プルダウンメニューになっており、このリストの中からデバイスを選択する。次からの3つのボックス1504〜1506で、ダンピング抵抗や終端抵抗・受端デバイスの負荷容量を入力する。
【0016】また、下段の基板断面形状の中のボックスで、線路幅1501・線路の厚み1502・線路の長さ1503、誘電体の厚み1504、誘電体の誘電率1504・透磁率1505を入力し、基板形状や信号配線形状などから決まる定数を計算する。すべての条件を入力し終えた後、計算実行ボタン1510を押して計算実行命令を発行する。計算実行命令が発行した段階で、設計者(セットメーカ)側の端末において、インピーダンス計算や伝播速度の計算とデータ送信のためのデータ整形を実行する(図2のデータ整形と演算部1224)。
【0017】その後、これらのデータをサーバに送信する(図2の1225)。サーバ側は、インターネットを介してそのデータを受け取り(図2の1205)、その後、シミュレーションを行うために、データの加工や演算を実行する(図2の1206)。そして、前述の作業の後に、SPICEシミュレーションの起動コマンドをサーバに対して発行し、SPICEシミュレーションを実行させる(図2の1207)。
【0018】SPICEシミュレーションでは、インターネット介して入力した前述の電気定数やデバイス名、基板形状などの情報と、サーバ側に持っているデバイスモデルのトランジスタモデルや回路接続モデルの雛型、トランジスタモデルなどの回路モデル・デバイスモデルを格納するデータ1115を参照しながら計算を実行する。そして、シミュレーションと平行して、プログラムでは、計算が実行されたかどうかのステータス表示画面を作成する(図2の1208)。
【0019】ステータス画面の様子を、図6および図7に示す。本実施例では、計算実行ボタン(図3の1510)を押した段階で、図6に示した計算が正常に実行されたかの状態の画面を表示し、計算の終了状態を表示する部分は、計算結果表示ボタン1601に計算の状況(図7)を表示するようにしている。そして、次にSPICEシミュレーションが終了したかの判定を行い、シミュレーション終了まで待機する(図2の1209)。シミュレーションが終了した段階で、シミュレーション結果を基にグラフを作成する(図2の1210)。
【0020】そして、そのグラフとシミュレーション結果の数値データをWebページに登録できるようにデータを加工する(図2の1211)。なお、このとき図7の計算ステータスを表示するウェブページ1701をグラフ表示のページに書き換えることで、計算結果表示ボタン1601で、計算ステータスと計算結果を一つのボタンで表示することができる。これによって、設計者(セットメーカ)は、計算中の時間は本システムから切り離すことができるために、設計者(セットメーカ)の端末に負荷を与えることなく、別の仕事をすることができる。
【0021】さらに、設計者(セットメーカ)は、任意の時間にインターネットに接続して図6のステータス画面から図9に示したような計算結果のグラフや数値データを取り出すことが出来る。なお、これらのの結果にアクセスするときには、図9に示したように、再度ユーザ名とパスワードを要求するようにすることで、自分の計算結果を速やかに取り出すことができるとともに、第3者が計算結果を閲覧することを防止できる。
【0022】次に図1と図2、及び図9〜11を用いて本実施例の効果を説明する。まず、最初に設計者側からみた効果について図9と図10、及び図1を用いて説明する。図9は、従来の設計方法を示したものである。従来までの設計では、図9に示したように設計者側1221にシミュレータ1920があり、また、実装規則1916や回路接続モデル1917も設計者側1221で構築している。そのため、設計者側でシミュレータや実装規則・回路接続モデル・デバイスのシミュレーションモデルを準備しなければならない。そのため、図10(a)に示したような実装設計のフローになる。従来の設計では、まず、製品仕様を決めた後にディジタル回路の論理設計を行った後に配置・配線設計といった実装設計を行う。このとき、回路のインピーダンスミスマッチによる反射や線路での伝搬遅延、クロストーク、放射ノイズなどが問題にならないようにするためにシミュレーションを実行する。
【0023】ここで、モデルの適正化やシミュレーション結果を基にした配置・配線設計を繰り返し行い適正な実装設計を行う。その後、基板を製造し、実機による評価を実施し、仕様を満たさない場合には、再度実装設計やシミュレーションを繰り返し、この作業を仕様を満すまで繰り返す。設計時間の短縮を図るには、シミュレーションモデルの適正化やシミュレーション結果を基にした配置・配線設計を繰り返しや実機評価を基にした実装設計のやり直しを減らすことである。そのため、高速回路の実装設計において、適切な実装規則1916や回路接続モデル1917を作るためには、ノウハウの蓄積や実験による検証が必要となる。
【0024】さらに、従来までの設計手法の場合、設計者側1221にデバイスのトランジスタモデル1918を用意する必要がある。これらのモデルにおいて、高精度なシミュレーションモデルで計算を実施しようとした場合、実際のLSIのプロセス情報やトランジスタの特性などを忠実に表現するする必要がある。そのため、デバイスメーカ側1130の技術やノウハウが、こうしたモデルを解析することから、設計者側1221に漏洩してしまう可能性があった。
【0025】また、こうしたモデルから機密漏洩するのを防止するために、設計者側1221とデバイスメーカ側1130間で機密保持の契約を結ぶ必要があり、その契約を結ぶための手間や時間がかかる問題があった。また、機密漏洩するのを防止する手段として、LSIの挙動を電圧と電流の関係であらわした近似的なIBIS(I/Obuffer information specification)モデル1919を用いる場合があるが、計算精度がでないといった問題がある。
【0026】これに対して、本実施例を用いた場合、図1に示したように、トランジスタモデル1118は、サーバに管理されている。そのため、設計者(セットメーカ)側からは、直接トランジスタモデル1118にアクセスすることが出来ないようになっている。
【0027】次に、図2を用いて、設計者(セットメーカ)側が使用するデータの流れを説明する。図2において、一点差線を交差する矢印のところが相手に対して情報を開示するフローであるが、ここでは、設計者(セットメーカ)側にデータを受け渡されるのは、コンテンツ表示1201(図3)、ユーザ登録画面の表示1202(図4)、回路モデルの表示1203(図5)、計算ステータスの表示1208(図6)・計算結果1291(図8)である。このように、本発明のシステムでは、設計者(セットメーカ)側には、トランジスタモデルのデータを直接開示することがなく、計算結果の開示だけになるために、設計者(セットメーカ)が不当にデバイスのトランジスタモデルを解析することを防止できる。
【0028】次に、デバイスモデル供給側からみた効果について図11と図1を用いて説明する。図11(a)は、従来の設計方法で行った場合のデバイスモデル供給側の対応状況である。まず、半導体チップのプロセス情報から、チップのトランジスタモデルを作成する。また、これと平行してLSIパッケージの抵抗・容量・インダクタンスなどの電気特性に分解してモデル化を行う。しかし、この段階でモデルの場合、実際の動作を忠実に再現するために高精度だある一方で、プロセス情報がそのままモデルとして組み込まれてしまうため、シミュレーションモデルから、プロセス情報や回路情報・製造情報などの秘密が漏洩する可能性がある。そのために、この段階でのモデルを顧客に提供する場合には、守秘契約などを結んだ形でのリリースになる。シミュレーションモデルからの秘密漏洩を防止するために、デバイスの出力を電圧と電流の関係で表した近似的なIBISモデルに変換を行う。
【0029】しかしながら、このIBISモデルを作成するためには、電圧で電流の関係を実験等で定める必要があり、そうした手間が必要となる。また、高速な動作を行う回路の場合には、動作途中でインピーダンスが変化する回路方式を用いている場合があり、こうしたケースでは、条件わけをしたモデルを作成する必要がある。このように、簡易モデルを作成する場合には、実験や条件による場合わけなどの作業が必要となる。
【0030】さらに、図9に示したように従来のシステムでは、シミュレータは個々のユーザが独自に所有している。そのため、所有しているシミュレータのメーカやバージョンが異なると使用できないシミュレーションモデルができる場合がある。これを解消するため、デバイスメーカでは、シミュレータのメーカやバージョン毎に動作するモデルを作成する必要があり、こうした作業の手間必要となる。また、こうしたモデルが出来た後、顧客へのモデル配布が必要となるが、顧客数が多い場合には、モデルの配布に莫大な手間とコストを必要としてしまう。
【0031】一方、本実施例の場合、前述のようにモデル自身を顧客に公開する必要がないため、図11(b)に示したようにデバイスのトランジスタモデルとLSIパッケージの電気定数モデルを結合させたモデルをサーバに登録するだけでよい。そのため、新たな近似モデルの作成の手間や実験を行う手間を省略することができる。また、顧客数にかかわらず、モデルの登録は、サーバにのみ行ってもよいため、モデル配布のための手間やコストを削減することができる。
【0032】さらに、サーバ側にモデルのアクセス状況をカウントする機能やデバイスの使用のされ方を記録する機能を追加することで、顧客が使うモデルの傾向などの情報を得ることができる。
【0033】さらに、本シミュレーションの計算結果を表示する画面に対して、図14のように、選択したデバイスデータやデバイスの形状データ、データシート、計算に用いた回路の回路図情報、デバイスの発注申し込みなどの情報を書き込むことで、設計者からのデバイス発注作業を容易にすることで、デバイスの購入チャンスを拡大することができる。
【0034】次に、図12と13を用いて、第2の実施例のシステム構成を説明する。第2の実施例で示したシステムは、第1の実施例と同じく設計者(セットメーカ)の端末装置2120とデバイスメーカの端末もしくはサーバ2130、回路シミュレーションを実行するサーバ2111で、主に構成されている。サーバ2111はインターネット2140を介して設計者(セットメーカ)の端末装置2120と接続されている。また、サーバ2111は、インターネットのインターフェイス部2112を介して、インターネット2140やデバイスメーカの端末2130と接続されている。
【0035】サーバ2111上には、シミュレーションに必要なデータを格納するデータ領域2115がある。データ領域2115には、ノイズバジェットなどの実装規則を格納する領域2116とシミュレーションを行う回路の接続モデルの雛型を格納する領域2117、デバイスのトランジスタモデルを格納するモデル2118と設計者が送付するデバイスモデルを格納する領域2118がある。ここで、ノイズバジェットなどの実装規則を格納する領域2116とシミュレーションを行う回路の接続モデルの雛型を格納する領域2117に対しては、サーバの管理者がデータを変更できる権限が与えてある。変更できる権限をサーバの管理者もしくはサーバで情報処理を実行するプログラムにのみ与えてもよい。また、デバイスモデルに対しては、デバイス提供者にデータを変更できる権限が与えられる。この権限は、デバイス提供者もしくは提供者が管理する装置(プログラム)にのみ与えられてもよい。
【0036】そして、設計者が送付するデバイスモデルを格納する領域2118のデータは、データを送付した設計者(セットメーカ)にデータを変更できる権限が与えてある。以上のように、サーバのデータの管理領域には、任意のアクセス権がある領域と誰でもがアクセス可能な領域に分けられている。なお、シミュレーションを実行するシミュレータに対しては、どのデータに対してもアクセスができるようにしてある。
【0037】次に、第2の実施例のデータの流れを図13を用いて説明する。この、図13は、システム上でのデータ処理の流れを示した概略である。図13において、サーバ側の処理1201でインターネット上にウェブページ(ホームページ)2300をエントリ画面を公開する。設計者(セットメーカ)2120が使用する回路モデルを選定した段階で、図4に示したようにユーザアカウントやパスワードを入力し、回路モデル選定情報(リンク先情報)とユーザアカウントやパスワードをサーバ2291に送信する。このユーザアカウントやパスワードは、ユーザへの課金やシミュレーションの結果データやグラフを閲覧する場合やユーザ独自のシミュレーションモデルを登録しておくデータ領域の識別に使用する。回路モデル選定情報(リンク先情報)とユーザアカウントやパスワードを受け取ったサーバ2291では、ユーザの登録や照会を行った後に回路モデル選定情報(リンク先情報)を基に回路の形状情報・電気定数・ドライバを選択するウェブページ2500を表示する。
【0038】そして、回路モデルの概形に従って、第1の実施例と同様に電気定数を入力していく。また、独自のシミュレーションモデルが必要な場合には、そのデータファイルを指定しておく。そして、すべての条件を入力し終えた後、計算実行ボタン2510を押して計算実行命令を発行する。計算実行命令が発行した段階で、設計者(セットメーカ)側の端末において、インピーダンス計算や伝播速度の計算とデータ送信のためのデータ整形を実行する。その後、電気定数やデバイスモデルの選択情報のデータとユーザ独自のシミュレーションモデルをサーバに送信する(図2の1225)。サーバ側は、インターネットを介してそのデータを受け取り(図13の2205)、その後、シミュレーションを行うために、データの加工や演算を実行する(図13の2206)。
【0039】また、先ほど登録したユーザ名とパスワードを用いて、サーバ上にシミュレーションモデルを格納する。なお、このデータ領域は、ユーザとシミュレータ、そしてサーバ管理者がアクセスできるようにしている。このアクセスは、サーバ管理者のみに限定してもよい。前述の作業の後に、SPICEシミュレーションの起動コマンドをサーバに対して発行し、SPICEシミュレーションを実行させる(図13の2207)。SPICEシミュレーションでは、インターネット介して入力した前述の電気定数やデバイス名、基板形状などの情報と、サーバ側に持っているデバイスモデルのトランジスタモデルや回路接続モデルの雛型、トランジスタモデル・ユーザ独自のシミュレーションモデルなどを格納するデータ1115を参照しながら計算を実行する。そして、シミュレーションと平行して、プログラムでは、計算が実行されたかどうかのステータス表示画面を作成する(図13の2208)。
【0040】そして、次にSPICEシミュレーションが終了したかの判定を行い、シミュレーション終了まで待機する(図13の2209)。シミュレーションが終了した段階で、シミュレーション結果を基にグラフを作成する(図13の2210)。そして、そのグラフとシミュレーション結果の数値データをWebページに登録できるようにデータを加工し、Web情報をファイルに登録する(図13の2211)。設計者(セットメーカ)は、任意の時間にインターネットに接続して計算結果のグラフや数値データを取り出すことが出来る。
【0041】以上のように、本実施例では、ユーザ独自のシミュレーションモデルを、サーバに一時的に登録することで、サーバに登録してある既存のモデル以外のモデルの計算を可能としている。また、サーバに登録するデータに対してユーザ名とパスワードを付加させて、アクセスする人間を限定することで、ユーザのシミュレーションモデルの情報を第3者から保護できる。
【0042】以上の実施例によれば、インターネットに接続したサーバ上にシミュレータとデバイスモデル、回路接続モデルを登録し、シミュレーションを行う者に計算結果を受け渡すことで、設計者(セットメーカ)側には、トランジスタモデルのデータを直接開示することがなく、計算結果の開示だけになる。このために、設計者(セットメーカ)が不当にデバイスのトランジスタモデルを解析することを防止できる。また、デバイスモデルをサーバに登録することで、設計者にデバイスモデルを使用可能でき、デバイスモデルの更新ごとにユーザにモデルを配布する手間を省くできる。なお、計算結果は、シミュレーションを行う者(もしくはその者が使用する情報処理装置)にのみ開示する構成としてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、ネットワークを介して電子製品の回路シミュレーションを実現することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年11月15日(2001.11.15)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2003−150661(P2003−150661A)
【公開日】 平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願番号】 特願2001−349562(P2001−349562)