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【発明の名称】 スクリーンポインタ位置制御装置およびその方法
【発明者】 【氏名】ジェフリー・デイヴィス

【要約】 【課題】表示画面を含む携帯用電子装置を操作する際にユーザーの使い勝手がよいスクリーンポインタ位置制御装置およびその方法を提供する。

【解決手段】携帯電話10に、表示画面14のハイライトバー16の位置を制御するための運動検出装置20を設けた。この装置20は、指22を置く撮像面38を含むプッシュボタン23と該ボタン23を取り囲むインジケータリング21とを有する。内蔵の光源72が撮像面38を裏側から照明し、その反射像は光検出素子アレイ77に収束し、その出力値から運動センサ76がデジタルデータを生成する。ユーザーが指22を任意方向に擦るように動かすと、デジタルデータに基づいて指22の指紋等の画像を追跡し、XY増分信号を生成し、これによりハイライトバー16を表示画面で移動させる。プッシュボタン23やインジケータリング21が可視光を発することで、ユーザーに所定の通知がなされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表示画面を含む電子装置のスクリーンポインタの位置を制御する為の装置であって、前記表示画面に表示されるアイテムを選択する為のプッシュボタンであって、人の指先を置くことが出来る撮像面を含むプッシュボタンと、前記撮像面に置かれた指先を照明し、これにより反射像を生成する為の光源と、運動変換器と、前記反射像を受け、それを前記運動変換器上に向ける為のレンズとを具備し、前記運動変換器が、反射像のデータを生成するとともにそれに基づいて移動データセットを生成し、該移動データセットが指先の撮像面での動きを表すものであることを特徴とするスクリーンポインタ位置制御装置。
【請求項2】 前記プッシュボタンは、ユーザーに通知を行う為の可視光を発するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーンポインタ位置制御装置。
【請求項3】 前記プッシュボタンは、触れられた場合に可視光を発するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーンポインタ位置制御装置。
【請求項4】 前記プッシュボタンを実質的に取り囲むように設けられた、可視光を発して通知を行う為のインジケーター装置を更に具備した請求項1に記載のスクリーンポインタ位置制御装置。
【請求項5】 表示画面を含む電子装置のスクリーンポインタの位置を制御する為の方法であって、前記表示画面に表示されるアイテムを選択する為のプッシュボタンを設けるステップと、人の手の付属肢の一部分を前記プッシュボタンに置くステップと、前記プッシュボタンに置かれた付属肢の一部分を照明するステップと、前記付属肢の一部分から反射された像を光検出素子アレイに収束するステップと、前記光検出素子の出力値をデジタル化することにより反射像のデジタルデータを生成するステップと、最初のデジタルデータの少なくとも1つの類型を次のデジタルデータの少なくとも1つの類型と相関することにより、前記プッシュボタン上における付属肢の動きを直交軸で表す第一の移動データセットを生成するステップと、前記スクリーンポインタの位置を、前記第一の移動データセットに基づいて調節するステップとを含むスクリーンポインタ位置制御方法。
【請求項6】 前記プッシュボタンから可視光を発するステップを更に含む請求項5に記載のスクリーンポインタ位置制御方法。
【請求項7】 可視光を発することにより通知を行う為のインジケーター装置を、前記プッシュボタンを実質的に取り囲むように設けるステップを更に含む請求項5に記載のスクリーンポインタ位置制御方法。
【請求項8】 複数の選択可能アイテムと該選択可能アイテムの所定の1つを指定する為にユーザーが移動させることが出来るポインタとを表示する為の表示画面と、その上における被撮像面の動きを感知する運動感知式プッシュボタンであって、前記被撮像面のプッシュボタン上での第一の動きを示す第一の移動データセットを生成するように、かつユーザーがこれを押した場合には選択信号を生成するように構成されたことを特徴とするプッシュボタンと、第一の選択可能アイテムを識別する為に前記第一の移動データセットに基づいて前記ポインタを移動させるように、かつプッシュボタンによって生成された選択信号に基づいて第1メニューアイテムを選択するように構成されたコントローラとを具備した携帯用電子装置。
【請求項9】 前記プッシュボタンが、可視光を発するように構成されたことを特徴とする請求項8に記載の携帯用電子装置。
【請求項10】 前記プッシュボタンを実質的に取り囲むように設けられた、可視光を発して通知を行う為の表示装置を更に具備した請求項8に記載の携帯用電子装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般にポインティングデバイスとも呼ばれる、表示画面上のカーソルを制御する為の装置およびその方法に関するものである。より具体的には、本発明はプッシュボタン式の光学式ポインティングデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ及びそのディスプレイと共に利用する手動操作のポインティングデバイスは広く普及している。様々な従来の装置における機械式マウスの中でも、最も一般に普及しているのは、マウスパッドを使用するマウスである。マウス底面の中心部には穴があいており、この穴から、ゴムで表面を覆ったスチールボールの下の部分が出ている。マウスパッドとしては、独立気泡ゴム製のパッドを適当な繊維で覆ったものが一般的である。マウス底面の低摩擦パッドはこの繊維上を容易に滑るが、ゴムボールは滑らない。マウスを動かすと、ゴムボールは繊維上を滑らずに回転する。マウスの内部には、ボールの「赤道部分」で接触する複数のローラー、即ち車輪があり、これらが、ボールの回転を、マウスの動きの直交成分を表す電気信号に変換している。電気信号はコンピュータに送られ、これにソフトウエアが反応し、マウスの動きに基づいてポインタ(カーソル)の表示位置をΔX及びΔY分変化させる。ユーザーは、表示されたポインタが所望の位置に移動するようにマウスを動かす。画面上のポインタを、意図したオブジェクト又は位置に移動させた後、マウスをつかんでいる手の指でマウスのボタンを押す。この動作は、コンピュータ中のソフトウエアにより定義される何らかの機能を実行する命令となる。
【0003】従来型マウスのような機械式ポインティングデバイスの他にも、参照特許および参照特許出願、すなわち、位置移動の追跡技術に関する米国特許第5,578,813号、第5,644,139号および第5,786,804号、並びに、スクリーンポインティングデバイスに関する米国特許第6,057,540号及び第6,151,015号、および米国特許出願第09/052,046号“Seeing Eye Mouse for a Computer System”(1998年3月30日出願)に記載されているような光学式ポインティングデバイスも開発されて来た。光学式ポインティングデバイスの一形態においては、従来型マウスのボール等の機械的可動部品を使用する代わりに、指や机等の被撮像面と光学式ポインティングデバイス内の光検出器との間の相対的な動きが光学的に検出され、移動情報に変換される。
【0004】例えば携帯電話やPDA、デジタルカメラ、ポータブルゲーム機、ポケットベル(登録商標)、ポータブル音楽プレーヤー(例えばMP3プレーヤー)等のような携帯用の電子装置では、これに接続して使用する機械式マウス又は光学式マウスのような外部ポインティングデバイスは望ましくない。余分な装置を持ち歩くことに不便を感じることが多い。更に、マウスのような機械式ポインティングデバイスの場合、マウスを動かす為の好適な面を見つけることが難しい場合も考えられる。
【0005】携帯用電子装置の中には、内蔵型画面ポインティングデバイスを含むものもある。例えば、一部の携帯電話は矢印キーを含んでおり、これを利用して表示画面でハイライトバーを移動させることにより、名前や電話番号等のメニューアイテムをハイライトすることが出来る。そのメニューアイテムを選択する場合、それをハイライトした後に携帯電話上の他のキーを押すことで選択することが一般的である。メニューアイテムをハイライトさせてそれを選択する為に複数のキーを使用することは非効率的であり、時間がかかる。マウスやトラックボール、或いは光学式ポインティングデバイス等、異なる種類の画面ポインティングデバイスの操作に慣れたユーザーにとっては、特にそう感じられるものである。
【0006】携帯用電子装置の中には、ユーザーにEメールやボイスメールの着信等を知らせる為に、表示灯の点滅や音声等による通知手段を更に含むものもある。例えば、電話機の中には、表示灯を点滅させることによりボイスメールメッセージを着信した旨をユーザーに知らせるものがある。このような通知手段は、代表的にはその装置上又は表示画面上に設けられたスタンドアローンのLED、或いは音声サブシステム等は、画面ポインティングデバイスとは別個に構成されていることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】携帯用電子装置に用いる光学式画面ポインティングデバイスとして、スクリーンポインタ運動制御機能、選択機能および通知機能を1つの小型装置中に併せ持つものが望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の一形態は、表示画面を有する電子装置においてスクリーンポインタの位置制御を行う装置を提供するものである。この装置は、表示画面上に表示されたアイテムを選択する為のプッシュボタンを含んでいる。プッシュボタンは、人の指先を置くことが出来る撮像面を含んでいる。光源により撮像面に置かれた指先の一部分を照明することで反射像が形成される。装置は運動変換器を含む。レンズはこの反射像を受け、それを運動変換器へと向ける。運動変換器は反射像のデジタル表現データを生成するものである。運動変換器は、このデジタル表現データに基づいて第一の移動データセットを生成する。第一の移動データセットは、撮像面における指先の動きを表すものである。
【0009】本発明の他の態様は、表示画面を有する電子装置においてスクリーンポインタの位置制御を実施する為の方法を提供するものである。表示画面上に表示されるアイテムを選択する為のプッシュボタンが設けられる。このプッシュボタンに人の手の指の一部分を置く。プッシュボタンに置かれた指のその部分が照明される。指のその部分から反射した像は、光検出素子アレイ上に集束される。光検出素子の出力値がデジタル化され、これにより反射像のデジタル表現データが生成される。最初のデジタル表現データの少なくとも1つの類型が、第二のデジタル表現データの少なくとも1つの類型と相関され、これによりプッシュボタン上の指の動きを直交軸で表す第一の移動データセットが生成される。第一の移動データセットに基づいてスクリーンポインタの位置が調整される。
【0010】本発明の他の形態は、複数の選択可能アイテムを表示する為の表示画面と、その選択可能アイテムのうち特定の1つを識別する為にユーザーが動かすことが出来るポインタとを含む携帯用電子装置を提供するものである。動きを検出するプッシュボタンは、その上での被撮像面の第1の動きを検出するものである。このプッシュボタンは、その上での被撮像面の動きを表す第一の移動データセットを生成するように、そしてユーザーがこのボタンを押した場合に選択信号を生成するように構成されている。コントローラは、第一の移動データセットに基づいてポインタを移動させ、第一の選択可能アイテムを指定するように構成されている。このコントローラは更に、プッシュボタンにより生成された選択信号に基づいて第一のメニューアイテムを選択するように構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下の実施形態の詳細説明においては添付図を参照するが、これらは本発明を実施し得る特定の実施形態を説明する為に示したものである。他の実施形態を利用することも可能であり、構造的或いは論理的変更が加えられたとしても、本発明の範囲から外れるものではない。従って、以下の詳細説明は限定的なものではなく、本発明の範囲は請求項により定義される。
【0012】図1は、本発明の一実施形態に基づくプッシュボタン式光学スクリーンポインティングデバイスないしは運動検出装置20を含む携帯用電子装置10の斜視図である。図1に示した実施形態においては、携帯用電子装置10は携帯電話である。他の実施例として、装置10は、例えばPDAやデジタルカメラ、ポータブルゲーム機、ポケットベル、或いはポータブル音楽プレーヤー等の表示画面付き携帯用電子装置のいずれでも良い。
【0013】携帯電話10は電源ボタン12、表示画面14、ハイライトバー16、メニューアイテム18A、18B、18C(全体を「メニュー18」と呼ぶ)、運動検出装置20及び複数のプッシュボタン24を含んでいる。プッシュボタン24はキーパッド24と呼ぶものとする。運動検出装置20は、インジケータリング21及びプッシュボタン23を含む。ユーザーは、電源ボタン12を使って携帯電話10の電源を入れたり切ったりする。複数のメニューアイテム18A、18B、18Cを含むメニュー18は、表示画面14に表示されている。一実施形態においては、メニューアイテム18A、18B、18Cは名前又は電話番号である。メニューアイテム18A、18B、18Cが名前である場合、携帯電話10にはそれらの名前に対応する電話番号が記憶されている。本発明の一実施形態は、メニュー18及びハイライトバー16を使用することを前提として説明するが、他の実施形態では、動かすことが出来るスクリーンポインタ(例えば矢印)と選択可能アイテム(例えばアイコン)を用いてスクリーンポインタを所望のアイテム上に置くことにより個々に指示する等、他の表示構成とすることも出来る。
【0014】ユーザーは、ハイライトバー16を移動することによりメニューアイテム18A、18B、18Cのうちの特定の1つをハイライトさせる。一実施形態においては、ハイライトバー16は指22を運動検出装置20、より具体的にはプッシュボタン23に当てて擦ることにより移動する。指22を運動検出装置20に対して上方向に動かした場合、ハイライトバー16はメニューアイテム18A、18B、18C中で上方向に移動する。指22を運動検出装置20に対して下方向に動かした場合、ハイライトバー16はメニューアイテム18A、18B、18C中で下方向に移動する。メニューアイテム18A、18B、18Cのうち、所望の1つをハイライトバー16によりハイライトした後、このハイライトされたメニューアイテムを選択する。一実施形態においては、ハイライトされたメニューアイテムの選択は、プッシュボタン23を指22で押し下げることにより実行される。本発明の一態様においては、ユーザーがハイライトされたメニューアイテムを選択すると、携帯電話10は選択された電話番号、又は選択された名前に対応する電話番号を自動的にダイアルするようになっている。
【0015】運動検出装置20は、アイテムを選択する機能に加え、それが使用される携帯用電子装置の特定の種類に応じて他の様々な機能を実施する目的で利用することが出来る。それらの目的とは、実際にいずれかの種類の装置において、スクリーンポインタを表示画面上で移動させ、表示されているアイテムを選択することにより、その電子装置がポータブルカメラであれば撮影を実行したり、レコーダであれば動画や音声の録画/録音を開始すること等であるが、これらに限られない。
【0016】一実施形態においては、ユーザーが触れた時にプッシュボタン23が点灯するようになっている。本発明の一形態においては、プッシュボタン23は、更にEメールやボイスメール、或いは電話等を着信したことをユーザーに知らせる為に点灯する場合もある。一実施形態においては、運動検出装置20は、プッシュボタン23を囲むインジケータリング21を含んでおり、これがユーザーに対して何らかの表示を行う為に使用される。運動検出装置20では、プッシュボタン23及びインジケータリング21を同時に点滅させたり、別々に点滅させたり、異なる速度で点滅させたり、或いは異なる色の可視光を発光させることにより、これらを用いて異なる様々な表示を行うように構成することが出来る。一実施形態においては、プッシュボタン23及びインジケータリング21により提供される視覚表示タイプは、各々に特定種類の事柄の通知に対応している。例えば、インジケータリング21が速い速度で続けて2回点滅し、わずかな間隔をあけて更に続けて2回点滅した場合はユーザーが2つのボイスメールを着信していることを示す等である。また、着信したEメールの数を示す場合はプッシュボタン23を同様の形式で点滅させることも出来る。
【0017】図2は、本発明に基づく運動検出装置20の一実施形態における主要部品を描いた分解斜視図である。運動検出装置20は、外部機械構造フレーム23、レンズ組み立て部品40、内部機械構造フレーム50及び回路組み立て部品70を含んでいる。外部機械構造フレーム23は以下に詳細を説明するようにプッシュボタンとして働くものであり、プッシュボタン23とも呼ぶものとする。外部機械構造フレーム23は、円筒形のフレーム32及び突起部36A、36Bを含む。突起部36A、36Bは、円筒フレーム32の外表面に取り付けられており、概ね下方向へと伸びている。円筒フレーム32の上面は、図3を参照するとよりわかり易いが、凹状の形状を持ち、上部カバー38により覆われている。円筒フレーム32には、フレームの中心付近に穴34が形成されている。
【0018】レンズ組み立て部品40は、上部42、下部44及び中間部46を含む。レンズ組み立て部品40の上部42は、概ね円形の形状を持っており、組立てられた場合に円筒フレーム32の穴34内に嵌め込まれることになる。レンズ組み立て部品40の中間部46は、実質的に空洞であり、図3を参照するとわかり易いが、下部44に対して角度を持っている。レンズ組み立て部品40の下部44は、ほぼ円筒形の形状をしている。
【0019】内部機械構造フレーム50は、開口52、支柱54、窪み56及びレンズ58を含む。窪み56は、内部機械構造フレーム50の上面に形成されており、円筒フレーム32の外表面と部分的に一致する形状に作られている。開口52は、内部機械構造フレーム50の上面の中心付近に形成されており、レンズ組み立て部品40の外表面に一致する形状を持っている。組立てた場合、図3からわかるように、レンズ組み立て部品40は開口52内に配置され、そして外部機械構造フレーム23は窪み56上に配置されることになる。レンズ58は内部機械構造フレーム50の開口52内にある。4本の支柱54は、内部機械構造フレーム50の底面に取り付けられており、これらは、内部機械構造フレーム50を回路組み立て部品70に取り付ける為に使用されるものである。
【0020】回路組み立て部品70は、発光ダイオード(LED)72、運動センサ76、プリント回路基板(PCB)80及び支持チップ82を含む。LED72、運動センサ76及び支持チップ82は、PCB80に取り付けられている。穴74はPCB80の中心付近に形成されており、レンズ組み立て部品40の下部44の外表面と一致するようにほぼ円筒形の形状を持っている。窪み78はPCB80の角付近に設けられており、内部機械構造フレーム50の支柱54の外表面に一致するように略円筒形の形状を持っている。組立てた場合、図3に示したように、内部機械構造フレーム50の支柱54が回路組み立て部品70の窪み78内に配置され、レンズ組み立て部品40の下部44が穴74内に配置されることになる。
【0021】インジケータリング21(図1)は図2及び図3には図示していないが、一実施形態においては、円筒フレーム32の外周に沿って設けられており、回路組み立て部品70と電気的に結合している。
【0022】図3は、図2に示した運動検出装置20を組み立てた後に図2の線2B−2Bに沿って切断した場合の断面図である。図3に示されるように、プッシュボタン23は図2に示した向きから、円筒形の軸を中心に180度回転されている。運動検出装置20は、プッシュボタン23の上部カバー38へ押し当てられた人の指22等のような作業面、即ち被撮像面の動きを追跡するものである。
【0023】LED72が発した光は、レンズ組み立て部品40により集光、収束され、レンズ組み立て部品40の上部42及び上部カバー38を照明する。上部カバー38は、プッシュボタン23の上部に設けられたガラス又は他の耐磨耗性材料から成る層である。指先22が面38に押し当てられると、指紋や他の微小な皮膚の特徴が、面38の平面において、あたかも面38の一部であるかのように見える。レンズ58はこれらの特徴を有する光を、運動センサ76の一部である光検出素子アレイ77上に収束する。運動センサ76は好適な画像を自動的に取得し、追跡する。画像を追跡する場合、運動センサ76は増分(X,Y)信号を生成する。
【0024】一実施形態においては、LED72は、動きを検出する為に指22等の撮像面、即ち作業面を照明することに加え、ユーザーに対して何らかの表示、即ち通知を行う為に面38を通じて可視光を発する。他の実施形態においては、異なる色のLEDを含む1つ又は複数の追加LEDが設けられており、これらが面38を介して可視光を発することにより表示、即ち通知が行われる。
【0025】たとえ百分の数ミリメートル(千分の数インチ)でも指先を面38から離した場合、画像の焦点がぼけて追跡が続行出来なくなる。この状態の発生は運動検出器76内で検出され、そして一実施形態においては、増分(X,Y)信号の生成が停止する。この結果、ハイライトバー16は現在の位置に留まることになるが、これはユーザーがマウスから手を離した場合と全く同じ状態である。その後、指先が再度面38に置かれると、運動検出器76は画像の取得を検知し、そして一実施形態においては、この取得はリセットが実行されたものとして取り扱われる。即ち、新たな取得の後に続いて新たな動きが生じるまでは、増分座標(X,Y)は値(0,0)を持つことになる。この状態においては、ハイライトバー16の現在の位置は指の動きにより意図的に移動させられるまでは変わることがなく、これはユーザーがマウスに手を戻し、動かす前の状態と全く同じである。
【0026】運動センサ76は、参照特許に記載されている撮像・ナビゲーション構成と全く、或いは実質的に同じ技術を利用したものである。この参照特許に記載される特定の作動設定においては、撮像し、追跡すべき特徴(例えば紙の繊維)が微小である為に、センサに至る前の時点で何らかの拡大処理を行うことが望ましいとされている。これと比較した場合、本願における指先の特徴は大きく、従って一実施形態においては拡大処理は行われない。参照特許には撮像・ナビゲーション機構の一形態についての記載はあるが、以下にその技術の概要を説明する。
【0027】LED72(一実施形態においては赤外線LED)は光を発し、この光はレンズ組み立て部品40によりナビゲーション用に撮像されるべき作業面の一部である領域38へと投射される。本発明の一形態においては、運動センサ76は、光検出素子アレイ77と、メモリと、本願及び参照特許に記載される画像相関・追跡機能を実現するように構成された演算回路とを含む集積回路(IC)である。例えば指先22等の被照明領域の画像は、光学窓を介してIC76のパッケージへと、そして光検出素子アレイ77へと投射される。レンズ58は、光検出素子への画像の投射を助けるものである。
【0028】推奨される本発明に基づく光ナビゲーション技術の1つは、人の視覚がそうすると信じられているように、面38に見える特定の様々な光学的特徴の画像を直接的に画素アレイとして形成することで動きを光学的に検出するものである。面38に押し当てられたテクスチャを持つ作業面から反射する赤外線(IR)光は、適正なサイズ(例えば16×16又は24×24)の光検出素子アレイ77上に収束される。個々の光検出素子からの応答は、好適な分解能(例えば6ビット又は8ビット)でデジタル化され、フレームとしてメモリアレイの対応位置へと記憶される。一実施形態においては、フレーム中の画素の各々は光検出素子の各々に対応している。
【0029】光検出素子アレイ77の全体的なサイズは、幾つかの特徴部分(例えば指紋の稜線等)の画像を受容するに充分な大きさであることが望ましい。このように、指先の動きに従って空間的特徴の画像が画素情報の転位パターンを生成するのである。アレイ中にある光検出素子の数と、これらの内容のデジタル化及び取り込み処理のフレームレートは、共に面38上での追跡可能な指先の最高移動速度に影響を与えるものである。追跡は、新たに取得したサンプルフレームを以前に取得した基準フレームと比較し、移動の方向及び量を確定することにより実施される。
【0030】一実施形態においては、1つのフレームの内容全体に対して1画素ずらし試行シフトで可能な8方向の各々に連続的に1画素分のシフトが実行される(横に1画素、横に1画素下に1画素、下に1画素、上に1画素、上に1画素横に1画素、反対方向で横に1画素・・)。合計8回の試行シフトとなる。更に、動きが無い場合も想定される為、9番目の試行シフトである「ヌルシフト」も実施される。各試行シフトの後、これらのフレーム中で相互に重なり合う部分を画素毎に引き算し、この結果得られた相違の和を(望ましくは二乗した後に)とることにより、重なり合った領域における類似の程度(相関度)が得られる。より大きい試行シフト(例えば横に2画素下に1画素・・・等)を実施することも勿論可能であるが、あるレベルに至ると複雑になり過ぎてその利点が損なわれる為、単純に小さな試行シフトで充分に高いフレームレートを得たほうが望ましい。最も相違が小さい(最も大きい相関度を示す)試行シフトが2フレーム間の動きを示すものとして採用される。即ち、これにより生の移動情報が得られ、これを変倍及び(又は)累積すれば手ごろな粒度のハイライトバー移動情報(ΔX,ΔY)を適正な情報交換速度で提供することが出来る。
【0031】センサ76は、画像中の全て又は大部分の画素が「暗くなったこと」を感知することにより、指先が面38から離れたことを自動的に検出する。このプロセスは以下に説明するように実際にはより複雑なものである。
【0032】指先が面38から離れると、照明LED72からは以前と同じ量のIR光が光検出素子へ届かなくなる。全く届いていない場合は、反射面が遠過ぎる位置にあるか、或いは単に視野に無いかのいずれかである。しかしながら、指先が離れた結果、面38がさらされることになる周囲環境が強く照明されたものであった場合、光検出素子の出力はどのようなレベルにでもなり得る。ここで重要なのは、この場合の光検出素子の出力が完全に、或いは概ね均一となる点である。出力が均一になる最大の理由は、ここに焦点の合った画像が既に存在しない為である。像の特徴は全て判別不能であり、各々が光検出素子群全体にわたって広がった状態になっている。従って光検出素子の出力は均一に、ある平均レベルへと落ち着くことになる。これは焦点の合う画像が存在する場合とは明確に異なっている。焦点が合っている場合、フレーム間の相関性(横に1画素、横に1画素下に1画素・・・)は明確な現象を呈するのである。
【0033】作動中、画像の取得は、連続する画像の相違がアレイ幅の4分の1、即ち16×16の光センサーアレイの場合は4画素分以内の距離に収まるように充分な速度で行われなければならない。実験結果から、毎秒50mmの指の移動速度はある程度妥当な速さであることがわかっている。1:1で撮像する場合、これは毎秒800画素の速度に相当する。1サイクルあたりの移動を4画素分以内とする条件を満たす為には、毎秒200サンプルという測定速度が必要である。この速度は充分に実用的な値であり、出来ればこの何倍かの速度で作動させることが望ましい。
【0034】図3に示したように、プッシュボタン23は内部機械構造フレーム50の窪み56中に位置しており、プッシュボタン23の突起部36AはPCB80を貫通して伸びている。一実施形態においては、PCB80は、携帯用電子装置10のメインプリント回路基板(図示せず)に取り付けられており、そして突起部36Aはメインプリント回路基板上のボタン又はドームの上に位置している。ユーザーがプッシュボタン23を押した場合、窪み56がある為にプッシュボタン23は曲がり、その突起部36AはPCB80中を通って下に移動し、メインプリント回路基板上のボタンを押すことになる。
【0035】図4は、携帯電話等の携帯用電子装置10の主要部品を描いた電気的なブロック図である。携帯用電子装置10は、アンテナ196、通信回路198、運動検出装置20、ディスプレイ14、入出力(I/O)インターフェース200、202、キーパッド24、プロセッサ204およびメモリ206を含んでいる。運動検出装置20、ディスプレイ14及びキーパッド24は、それぞれI/Oインターフェース202に結合している。I/Oインターフェース202は更にプロセッサ204にも接続している。プロセッサ204は、I/Oインターフェース202を介して運動検出装置20、ディスプレイ14及びキーパッド24に通じている。プロセッサ204は更にメモリ206にも接続している。一実施形態においては、メモリ206中にドライバ208が記憶されている。プロセッサ204は、ドライバ208を使うことにより、運動検出装置20内の運動センサ76(図2または図3参照)から受ける移動データに基づいてディスプレイ14上のハイライトバー16を制御する。
【0036】装置10はアンテナ196を介して送受信を行う。アンテナ196は通信回路198に結合している。通信回路198は、増幅器やA/D変換器、D/A変換器、変調器、復調器等のような、当業者に周知の標準的な通信部品を含んでいる。プロセッサ204は、I/Oインターフェース200を介して通信回路198と接続している。
【0037】本発明の一形態においては、プロセッサ204は、運動検出装置20内の運動センサ76から、運動検出装置20と作業面との間の相対的な動きを表す増分(X,Y)信号を受信する。プロセッサ204は、更に運動検出装置20から、ユーザーがプッシュボタン23を押したことを表す選択信号も受信する。プロセッサ204はドライバ208を利用することにより、受信した増分(X,Y)信号及び選択信号を処理し、適切な動作を発生させる。例えば、指22が運動検出装置20に対して上方向に移動した場合、プロセッサ204はこの上方向への動きを表す増分(X,Y)信号を運動センサ76から受ける。そしてプロセッサ204はこれに応答してディスプレイ14上のハイライトバー16をメニューアイテム18A、18B、18C中で上方向に移動させる。指22が運動検出装置20に対して下方向に移動した場合、プロセッサ204はこの下方向への動きを表す増分(X,Y)信号を運動センサ76から受ける。そしてプロセッサ204はこれに呼応してディスプレイ14上のハイライトバー16をメニューアイテム18A、18B、18C中で下方向に移動させる。運動検出装置20から受けた選択信号が、ユーザーがプッシュボタン23を押したことを示すものであった場合、プロセッサ204は通信回路198を制御し、現在ハイライトされているメニューアイテムに対応した電話番号をダイアルさせる。一実施形態においては、ユーザーがハイライトバー16又は他のスクリーンポインタの移動速度をプログラムすることが出来る。
【0038】プロセッサ204は更に、I/Oインターフェース202を介して表示灯制御信号を運動検出装置20に送る。この表示灯制御信号は、ユーザーに様々な通知を提供する為に、インジケータリング21及びプッシュボタン23の点・消灯を制御するものである。
【0039】本発明の一形態においては、ユーザーは運動検出装置20に指22を当てて移動させることにより、携帯用電子装置10にフリーハンドで描画することが出来る。入力した描画は注釈やファクシミリ書類の作成、或いは電子商取引の認証に使用可能なユーザー署名として利用することが出来る。更に、文字認識ソフトウエアを利用して、ユーザーが運動検出装置20に指22を当てて移動させることにより入力した英数字記号を認識させることも可能である。
【0040】当業者には明らかなように、携帯用電子装置10が実行する機能は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア又はこれらのいずれかの組み合わせにより実現可能である。これはマイクロプロセッサ、プログラマブル論理素子、又は状態機械(state machine)により実現出来る。本発明の構成要素は、1つまたはそれ以上のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたソフトウエア中に存在するものであっても良い。本願におけるコンピュータ読み取り可能媒体という語の定義には、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CD−ROM、フラッシュメモリ、ROM及びRAM等のような揮発性又は不揮発性のいずれの種類の記憶媒体も含まれる。
【0041】本願においては、推奨される実施例を説明する目的で特定の実施形態を記載したが、本発明の範囲から離れることなく、ここに説明及び図示した実施例に代わる、及び(又は)これに相当する様々な他の実施形態を採用することが可能であることは当業者には明らかである。化学、機械、電子機械、電気及びコンピュータ分野の当業者であれば、本発明が様々な種類の形態で実施可能であることは明らかである。本発明は、ここに記載した実施形態のいかなる変更形態及び改変形態をも包含することを意図したものである。よって本発明の範囲は、請求項及びこれに相当するものによってのみ画定されるものである。
【出願人】 【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−5903(P2003−5903A)
【公開日】 平成15年1月10日(2003.1.10)
【出願番号】 特願2002−137520(P2002−137520)