トップ :: G 物理学 :: G05 制御;調整



【発明の名称】 マシニングセンター支援システム
【発明者】 【氏名】川合 忠雄

【氏名】岡本 保正

【氏名】大野 誠

【氏名】小杉 隆司

【要約】 【課題】マシニングセンターの機械本体で所望の部品を本加工する前の試作工程の効率を高め、製品の開発期間を短縮することができ、且つ既設のマシニングセンターにも容易に適用が可能なマシニングセンター支援システムを提供することを課題とする。

【解決手段】CAMデータに基づいてマシニングセンター2の機械本体3が部品を加工しているとき、加工情報処理モジュール1aは、機械本体3に装備された温度、振動等のセンサから出力された検知データを総合的に処理した加工時情報をホストコンピュータ5に伝送してホストコンピュータ5のディスプレイに当該部品の加工時情報をCADデータと対比可能に表示する。これによってマシニングセンターの担当者は、加工時情報とCADデータとの対比に基づいて当該部品の加工過程での改善情報を得ることができるため、試作工程の効率を高め、製品の開発期間を短縮することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホストコンピュータと、部品のCADデータを作成するとともに当該CADデータからCAMデータ及びNCデータを作成するCAD・CAMコンピュータと、前記ホストコンピュータにより管理されるとともに前記CAD・CAMコンピュータから転送されたNCデータにより動作されて前記部品の加工をする機械本体とを備えたマシニングセンターにおいて、前記機械本体の加工時の状態を検知する加工時状態検知手段と、前記加工時状態検知手段により検知された加工時状態検知データが前記ホストコンピュータからダウンロードされた処理プログラムに基づいて処理された加工時情報を通信網を介して前記ホストコンピュータに伝送する加工時情報出力手段と、前記加工時情報を前記CADデータと対比可能に前記ホストコンピュータのディスプレイに表示させる表示手段とを備えたことを特徴とするマシニングセンター支援システム。
【請求項2】 前記加工時情報をデータベース化して提示する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のマシニングセンター支援システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マシニングセンターにおける部品の加工を支援するマシニングセンター支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近来、一般に工業製品等の市場における寿命が短くなる傾向が強くなってきており、製品の開発競争が激化している。そのため、製品を構成する様々な部品の試作工程を効率化し、製品の開発期間を短くすることが市場競争に勝つための必須要件になっている。従来、マシニングセンターの機械本体によりワークを本加工して所望の部品を製作する前に、当該部品の試作加工が実施される。この場合、CAD・CAMコンピュータにより当該部品のCADデータが作成され、このCADデータからCAMデータが作成されると、このCAMデータに基づいて作成されたNCデータがマシニングセンター制御盤に伝送される。マシニングセンター制御盤は、当該NCデータに基づいて機械本体を制御し、当該部品の試作加工をする。この試作工程において、マシニングセンターの担当者は、加工時に発生した音を聞いて加工の良否を判断したり、加工終了後の試作部品の寸法形状等を計測することによって当該試作部品の加工が適正に行われたか否かを判断する。そして、その加工が適正でなければ、当該試作部品が適正に加工されるまで試行錯誤的に試作加工を繰り返す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、マシニングセンターの担当者は、加工時に発生した音を聞いて加工の良否を判断したり、加工終了後の試作部品の寸法形状等を計測することによって当該試作部品の加工が適正に行われたか否かを判断するため、加工の良否判断がマシニングセンターの担当者の経験や勘に基づいて行われることが多い。そのため、マシニングセンターの機械本体で所望の部品を本加工する前の試作工程で時間がかかり過ぎ、各部品を用いる製品の開発期間を短縮することができないという問題がある。
【0004】そこで本発明では、所望の部品を本加工する前の試作工程の効率を高め、部品を用いる製品の開発期間を短縮することが可能であり、且つ既設のマシニングセンターにも容易に適用することができるマシニングセンター支援システムを提供することを解決すべき課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載したマシニングセンター支援システムにより解決することができる。
【0006】請求項1に記載のマシニングセンター支援システムによれば、CAD・CAMコンピュータにより部品のCADデータが作成され、当該CADデータからCAMデータ及びNCデータが作成されると、NCデータにより機械本体が動作されて部品の加工が行われる。部品の加工が行われている過程で、機械本体の加工時の状態が加工時状態検知手段により検知されると、加工時情報出力手段は、加工時状態検知手段により検知された加工時状態検知データを、ホストコンピュータからダウンロードされた処理プログラムに基づいて処理する。そして処理プログラムに基づいて処理された加工時情報が通信網を介してホストコンピュータに伝送されると、表示手段は、この加工時情報をCADデータと対比可能にホストコンピュータのディスプレイに表示させる。このように、加工時情報をCADデータと対比可能にホストコンピュータのディスプレイに表示させることができるため、マシニングセンターの担当者は、加工時情報とCADデータとの対比により加工過程での改善情報を得ることができる。これによって、所望の部品を本加工する前の試作工程の効率を高めることができるようになり、製品の開発期間を短縮することができる。また、既設のマシニングセンターに、加工時状態検知手段と加工時情報出力手段と表示手段とを設けることにより、マシニングセンター支援システムを構成することができるため、マシニングセンター支援システムを容易に既設のマシニングセンターに適用することができる。
【0007】請求項2に記載のマシニングセンター支援システムによれば、加工時情報をデータベース化して提示することができるため、熟練した技術者が持つような加工ノウハウを電子化して提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、部品を本加工する前の試作工程の効率を高めるためのマシニングセンター支援システム1をマシニングセンター2の全体的な構成とともに示したシステム系統図である。尚、説明の便宜上、このシステム系統図中に、マシニングセンター支援システム1に関係するフローチャートを記載している。
【0009】図1において、マシニングセンター2の機械本体3は、マシニングセンター制御盤4により駆動制御されるNC工作機械であり、マシニングセンター制御盤4は、LAN(構内通信網)を介してホストコンピュータ5と接続されている。また、マシニングセンター2の機械本体3により部品に加工されるワークWのCADデータを作成するとともにCAMデータ及びNCデータを作成するためのCAD・CAMコンピュータ6が設けられており、CAD・CAMコンピュータ6はコンピュータオペレータ7により操作される。尚、このCAD・CAMコンピュータ6は、LAN(構内通信網)を介してマシニングセンター制御盤4に接続されているとともに、ホストコンピュータ5にも接続されており、CAD・CAMコンピュータ6で作成されたCADデータは、ホストコンピュータ5に伝送されるとともに、CAMデータからNCデータに変換されてマシニングセンター制御盤4に伝送される。
【0010】マシニングセンター2の機械本体3には、図示をしていないが、工具の刃先温度を検知するための工具温度センサ、駆動モータの温度センサ、加工中のワークWの振動を検知するワーク振動センサ、冶具の振動を検知する冶具振動センサ、及び切削負荷センサ等が取り付けられており、それぞれのセンサは、それぞれの検知データをマシニングセンター支援システム1の加工情報処理モジュール1aに出力する。即ち、それぞれのセンサは、マシニングセンター2の機械本体3の加工時状態を検知する加工時状態検知手段として機能する。尚、マシニングセンター支援システム1の加工情報処理モジュール1aは、LAN(構内通信網)を介してホストコンピュータ5と接続されている。
【0011】マシニングセンター支援システム1の加工情報処理モジュール1aは、例えば組み込み型CPUを中枢に用いており、データ入力インターフェース、ホストコンピュータ5から後述のようにダウンロードされる加工情報処理ソフトウエアプログラムを格納するプログラム記憶部、データ出力インターフェース、ネットワーク通信機能などを有し、前述の工具温度センサ、駆動モータの温度センサ、ワーク振動センサ、冶具振動センサ、及び切削負荷センサ等から出力された検知データをデータ入力インターフェースを介して入力する。
【0012】尚、ホストコンピュータ5から加工情報処理モジュール1aに上記の加工情報処理ソフトウエアプログラムがダウンロードされる場合、ホストコンピュータ5は、前述のマシニングセンター制御盤4から伝送された制御コード等に対応した加工情報処理ソフトウエアプログラムを加工情報処理モジュール1aにダウンロードする。
【0013】ホストコンピュータ5から加工情報処理モジュール1aに、前記制御コード等に対応した加工情報処理ソフトウエアプログラムがダウンロードされると、加工情報処理モジュール1aは、前述の工具温度センサ、駆動モータの温度センサ、ワーク振動センサ、冶具振動センサ、及び切削負荷センサ等から出力された検知データを総合的に処理した加工時情報をデータ出力インターフェース、ネットワーク通信機能、及びLAN(構内通信網)を介してホストコンピュータ5に伝送する。
【0014】加工情報処理モジュール1aから上記のように加工時情報がホストコンピュータ5に伝送されると、ホストコンピュータ5は、その加工時情報を前述のCADデータと対比可能にディスプレイに表示する。これにより、マシニングセンターの担当者は、加工時情報とCADデータとの対比により、例えば工具の回転速度の変更や工具パスの変更などの改善情報を得ることができるため、その改善情報に基づいてCAMデータ及びNCデータを補正することにより、試作部品の加工効率を上げることができる。
【0015】また、ホストコンピュータ5には、予め部品のCADデータや工具管理情報が格納されており、ホストコンピュータ5は、機械本体3の工具パスを部品の加工位置とともに表示することができる。
【0016】更に、ホストコンピュータ5は、前記加工時情報をデータベース化して提示することができる。これによって、熟練した技術者が持つような加工ノウハウを電子化して提供することができる。
【0017】次に、マシニングセンター支援システム1の作用をマシニングセンター2の稼動とともに説明する。図1のステップS1に示すように、コンピュータオペレータ7により操作されるCAD・CAMコンピュータ6により、前述のワークWを加工して得られる部品のCADデータが作成されると、作成されたCADデータは前述のようにホストコンピュータ5に伝送されるとともに、ステップS2に示すように当該CAD・CAMコンピュータ6においてCADデータに基づくCAMデータ及びNCデータが作成される。尚、このCAMデータが作成される場合、CAD・CAMコンピュータ6のデータベースとして格納されているマシニングセンター2の工具情報やワークWの材料情報が参照される。このようにして作成されたNCデータはマシニングセンター制御盤4に伝送されるため、機械本体3はマシニングセンター2の稼動開始指令を待つ。
【0018】以上のような準備作業が終了すると、ステップS3において、マシニングセンター2の動作が確認されたあと、ステップS4において、ワークWの加工が開始されて部品の試作が行われる。この部品の試作工程において、ホストコンピュータ5は、加工情報処理モジュール1aから出力された前述の加工時情報を入力したうえ、この加工時情報と予め格納されている当該部品のCADデータとに基づいて、その加工時情報を前述のCADデータと対比可能にディスプレイに表示する。
【0019】ステップS5において、マシニングセンターの担当者は、ホストコンピュータ5のディスプレイに表示された加工時情報とCADデータとを対比することによって試作部品が適正に加工されたと判断した場合、ステップS6に示すように本加工に移行する。反面、加工時情報とCADデータとの対比により試作部品が適正に加工されていないと判断した場合、上記ディスプレイの表示情報から部品の加工過程での改善情報を得たうえ、ステップS2に戻り、その改善情報に対応してCAMデータ、NCデータを補正し、部品の加工をさせる。このような手段によって、部品を本加工する前の試作工程の効率を高め、複数の部品を用いる製品の開発期間を短縮することができる。
【0020】尚、以上説明したマシニングセンター支援システム1は、機械本体3に前述の各種センサを取り付けるとともに、加工情報処理モジュール1aと、加工情報処理モジュール1aから出力された加工時情報を前述のCADデータと対比可能にホストコンピュータ5のディスプレイに表示するソフトウエアプログラム等を供給することによって、既設のマシニングセンターにも容易に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、マシニングセンターの機械本体で所望の部品を本加工する前の試作工程の効率を高めることができるため、複数の部品を用いる製品の開発期間を短縮することができる。また、既設のマシニングセンターにも適用することができる。
【出願人】 【識別番号】502048405
【氏名又は名称】株式会社ユニオン電子工業
【識別番号】598091860
【氏名又は名称】財団法人名古屋産業科学研究所
【識別番号】391002719
【氏名又は名称】株式会社エイ・ジイ
【識別番号】502094572
【氏名又は名称】株式会社アールテック
【出願日】 平成14年3月15日(2002.3.15)
【代理人】 【識別番号】100086520
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義久
【公開番号】 特開2003−271211(P2003−271211A)
【公開日】 平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願番号】 特願2002−72576(P2002−72576)