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【発明の名称】 被作業体の分配方法および配置方法
【発明者】 【氏名】勘定 義弘
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

【氏名】阿瀬 始
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

【要約】 【課題】作業区画上に同時配置するワーク、及びその配置位置の適正化を図る。

【解決手段】ワーク52を作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置し、それ以降は、配置された各ワーク52の作業終了後に、作業済のワーク52の代わりに、未作業のワーク52のうちの一部を、作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置し、この配置された各ワーク52の作業終了後に、作業済みの各ワーク52の代わりに、未作業のワーク52のうちの一部を、作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置する工程を繰り返すことによって、全ワーク52の作業を完了させる場合に、作業区画51に同時配置するワーク52の組み合わせを決定するためのワーク52の配置方法であって、同時配置されるワーク52の組み合わせから構成される各ワークグループの作業時間の合計が最短になるように、各ワークグループを構成するワーク52の組み合わせを決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の被作業体を、予め備えられた所定の作業区画に分配し、分配された各作業区画の作業時間の合計が最短となるように、かつ前記各作業区画毎の作業時間のバラツキが最小となるように、前記被作業体を分配する組合せを決定するようにしたことを特徴とする被作業体の分配方法であって、前記被作業体のそれぞれに、固有の被作業体番号と、各被作業体の配置方向を示す配置方向情報と、同一の所定の作業区画に配置することを意味する区画番号を付して、前記各被作業体の被作業体番号と配置方向情報と区画番号とからなる初期被作業体配置情報列を生成する初期被作業体配置情報列生成段階と、前記初期被作業体配置情報列生成段階において作成された初期被作業体配置情報列について、前記被作業体番号か前記配置方向情報かのいずれかを入れ替えることにより複数の被作業体親配置情報列を第1の所定個数生成する被作業体親配置情報列生成段階と、前記被作業体親配置情報列生成段階において生成された被作業体親配置情報列の中から、前記被作業体番号か前記配置方向情報かのいずれかをランダムに変更することにより、被作業体子配置情報列を第2の所定個数生成する被作業体子配置情報生成段階と、前記被作業体子配置情報生成段階において生成された各被作業体子配置情報列に基づいて、前記区画番号に対応する作業区画毎の作業時間を計算し、前記被作業体子配置情報列に含まれる全ての作業区画毎の作業時間の合計を求める総作業時間計算段階と、前記総作業時間計算段階において計算された各作業区画毎の作業時間のバラツキ度を示す分散係数を計算する作業時間分散度計算段階と、前記総作業時間計算段階において求められた各作業区間毎の作業時間と、前記作業時間分散度計算段階において計算された各作業区間毎の分散係数とからなる最適化度合いに基づき、前記最適化度合いの高い被作業体子配置情報列ほど高い確率で抽出する被作業体配置情報抽出段階と、前記被作業体配置情報抽出段階における抽出結果に基づいて、前記最適化度合いの改善が見られなくなった場合には、この被作業体子配置情報列を最終結果と判定し、前記最適化度合いの改善が見られる場合には、前記被作業体親配置情報列生成段階から前記被作業体配置情報抽出段階までの一連の処理を繰り返す最適化処理終了判定段階とからなることを特徴とする被作業体の分配方法。
【請求項2】 所定の作業区画に分配された複数の被作業体について、複数の機械あるいは作業員により作業する場合において、前記各機械あるいは作業員によってなされる作業量がほぼ均等になるように、前記各被作業体が配置される配置場所を、前記所定の作業区画に基づいて調整するようにしたことを特徴とする被作業体の配置方法であって、前記被作業体のならびと配置方向、配置位置座標からなる初期配置情報列を、配置可能な全ての組み合わせについて生成する初期配置情報列生成段階と、前記初期配置情報列生成段階において生成された初期配置情報列のうちのいずれか1つの初期配置情報列を取り出し、前記各被作業体の配置位置座標を配置初期値として設定する初期値設定段階と、前記被作業体に与えられている複数の作業を複数の機械あるいは作業員に分配する作業分配段階と、前記作業分配段階において機械あるいは作業員ごとに分配された作業量の合計、作業量の分散、最大作業量を求める作業量計算段階と、前記被作業体の配置位置を、特定の制約条件のもと、徐々に変化させながら、目的関数である作業量の分散が最小となる配置位置あるいは、もう一つの目的関数である最大作業量が最小となる最適な被作業体の配置位置を求めるべく、非線形計画問題式として定式化する非線形問題定式化段階と、前記初期配置情報列生成段階において生成された初期配置情報列に対して、前記非線形問題定式化段階において定式化された非線形計画式の解を、所定のアルゴリズムに基づいて求める非線形問題解法段階と、前記初期値設定段階から非線形問題解法段階までの各処理を全ての初期配置情報列について行った被作業体配置結果を記憶する記憶段階と、全ての初期配置情報列について前記各処理が完了したことを判定する完了判定段階と、前記記憶段階において記憶された前記被作業体配置結果の中から、いずれかの目的関数の値が最小になった被作業体配置結果を最適被作業体配置として選択する最適解選択段階とからなることを特徴とする被作業体の配置方法。
【請求項3】 各被作業体のそれぞれに被作業体固有の被作業体番号を付して、未決定被作業体集合として認識するとともに、作業区画を前記被作業体の数作成し、更に前記未決定被作業体集合を前記被作業体の数作成する第1の段階と、前記未決定被作業体として認識された前記各被作業体をそれぞれひとつずつ、前記作成された各作業区画に割付け、割付られた被作業体が、この作業区画に配置可能な場合には、前記被作業体番号とその被作業体の配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせから構成されてなる区画配列情報を作成し、作成した区画配列情報を初期の子個体として認識する第2の段階と、前記子個体毎に、それぞれの未決定被作業体集合からランダムに1つの被作業体を選択して前記作業区画に追加割り付けし、この割り付けられた被作業体がこの作業区画に配置可能な場合には、前記区画配列情報の配置可能な位置に前記被作業体番号と配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせを追加し新たな子個体として認識する、また配置可能でない場合には、前記区画配列情報を変更しないまま子個体として認識する、という前記未決定被作業体集合から前記作業区画への被作業体の追加を実施する第3の段階と、前記区画配列情報に基づいて前記作業区画毎の作業量を計算する第4の段階と、前記第4の段階において作業量が計算された区画配列情報に対応する子個体の中から、前記作業量の多いものほど高い確率で、第1の所定個数の子個体を抽出し、抽出した子個体を親個体とする第5の段階と、前記第5の段階において親個体とされた中で、その作業量が所定作業量以上である場合、あるいは前記第5の段階において抽出された回数が所定回数に達した場合には、前記第5の段階において親個体とされたもののうち、作業量が最も多い親個体に含まれる被作業体を1つの作業区画に割り付ける被作業体群とし、この被作業体群を全ての前記未決定被作業体集合から除外する第6の段階と、前記第5の段階において親個体として抽出されたもののいずれの作業量も前記所定作業量未満であるか、あるいは前記第5の段階において親個体として抽出された回数が所定回数未満である場合には、前記親個体に対応する区画配列情報を構成しているいずれかの1つあるいは複数の前記被作業体の前記作業体番号と配置方向情報とを、別の作業体番号と配置方向情報とに入れ替えること、あるいは前記親個体に対応する区画配列情報を構成しているいずれか1つあるいは複数の前記被作業体の配置方向情報のみを、別の配置方向情報とに入れ替えることにより、新たな区画配列情報を前記第1の所定個数よりも多い第2の所定個数作成し、作成した区画配列情報を子個体として認識する第7の段階と、前記第7の段階において作成された第2の所定個数の子個体の全てに対して、同一の作業区画に割付けられた前記被作業体を、当該作業区画に配置可能かを確認し、配置可能な場合には、前記第3の段階に移行する第8の段階と、前記第7の段階において作成された第2の所定個数の子個体のうち、同一の作業区画に前記被作業体が配置できない場合には、前記第7の段階において作成された子個体を構成する区画配列情報のうち、ランダムに選択した1つの被作業体番号を削除するとともに、対応する未決定被作業体集合の中からランダムに1つの被作業体番号を選択し、選択された被作業体番号に対応する被作業体がこの作業区画において配置可能な場合には、前記区画配列情報の配置可能な位置に前記被作業体番号と、配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせを追加する一方、配置可能でない場合には、前記区画配列情報を変更しないまま前記第4の段階に移行する第9の段階と、前記第6の段階において、全ての被作業体が前記未決定被作業体集合から除外された場合には終了し、そうでない場合には、前記第2の段階に移行する第10の段階とからなることを特徴とする被作業体の配置方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば溶接作業や加工作業のように、複数の被作業体を定盤と呼ばれる所定の作業平面上に配置して複数の機械や作業者により一斉に作業を行わせる場合において、それらの作業が繰り返し実施されるような繰り返し作業における被作業体を組合せて配置する被作業体の分配・配置方法に関するものである。
【0002】また、本発明は、例えば組立作業や加工作業のように、被作業体を工程から工程へ移動させる場合に、搬送用のパレットないしはこれに類する搬送機材を用いて搬送し、パレットないしは搬送機材に分配された被作業体群ごとに、複数の機械や作業者により作業が繰り返えされるような工程における被作業体を組合せて搬送機材に分配し、複数の機械や作業者が効率的に作業できるよう配置する被作業体の分配・配置方法に関するものである。
【0003】さらには、本発明は、例えば物品の搬送作業のように、物品を目的地に移動させる場合において、箱、ケース、パレットなど何らかの搬送機材を用いる場合に、物品を重量、容量、重心位置、その他何らかの制約に基づいて搬送機材内に分配する場合の被作業体の分配・配置方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】例えば、溶接作業や加工作業のように、複数の被作業体(以下「ワーク」と称する)の一部を作業平面上に配置し、配置したワークに対して複数の溶接機械や加工機械を用いて作業を行い、その作業終了後に、作業を完了したワークを取り除き、未実施のワークのうちの一部を作業平面上に配置して作業することを繰り返すことによって全てのワークの作業を完了させる場合において、複数の機械がいずれも均等の作業時間内に分担された作業を完了する場合において、それぞの被作業体の組合せを決定する方法、さらには、被作業体の配置位置関係においては、機械同士の干渉が発生するような場合における被作業体の配置方法に関しては、熟練作業者の経験にたよる部分が多かった。また、対応品種が限定されている場合には数理計画法などなんらかのスケジューリング技術が利用されてきた。しかしながら、社会ニーズの多様化により、組立あるいは加工業における多品種少量生産化は一段と進み、より汎用的な被作業体の組合せ方法、配置方法が望まれていた。本発明は、かかるニーズに基づくものである。
【0005】また、複数のワークを作業用のパレットに分配し、パレット単位で複数の加工機械に作業を分配する場合においても、多品種少量生産においては、分配に関する詳細な作業計画は立案出来ていないのが現実である。
【0006】その一例として、図7に示すように、作業区画51上の空き領域53が極力少なくなるように、できるだけ稠密に各ワーク52を配置し、しかる後に、同時に配置したワーク52について、複数の溶接機械や加工機械(ともに図示せず)を用いて溶接や加工などの所定の作業を行う。そして、作業区画51上に同時に配置した全てのワーク52についての作業が終了すると、図8に示すように作業区画51上に配置しているワーク52を作業区画51上から取り除き、図9に示すように、代わりに未作業のワーク52の一部が配置されている。
【0007】この未作業のワーク52の配置においても、上述同様に、作業区画51上の空き領域53が極力少なくなるように、図9にその一例を示すように、できるだけ稠密に配置され、しかる後に複数の溶接機械や加工機械による作業が行われている。
【0008】このような作業区画51上へのワーク52の配置、および配置されたワーク52に対する複数機械を用いた作業を繰り返すことによって、全てのワーク52に対する作業が行われる。このような場合に、ワーク52が多数ある場合であっても、ワークの組合せをうまく考慮すれば、作業区画51上へのワーク52の配置回数を最小限にすることができる。
【0009】また、このような作業平面が複数連続する場合には、各組合せにおける作業量のバラツキを最小限にすることが、ボトルネックを発生させない効率的生産に適していることは周知の事実である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法では、以下のような問題がある。
【0011】分配方法に関しては、形状、大きさの異なる様々な対象ワークの中から、作業区画(作業定盤あるいはパレット)の大きさの制約の基、トータルの作業時間が最小となる最適なワークの組み合わせを求めること、さらに、組み分けされた作業区画ごとの作業時間のバラツキを最小とすることは、繰り返し作業におけるボトルネックの発生の解消に効果があるが、このような組み合わせを求めることは一般的に困難とされている。
【0012】配置方法に関しては、複数の機械あるいは作業者が作業区画51に対して、それぞれの担当区域がある場合に、作業区画51に割り付けられた複数のワーク52に対して、全ての機械ができるだけ均等の作業負荷を持ち、すなわち、最大負荷となる機械の作業時間が最小となる複数のワーク52の配置方法を求めることは、一般的に困難とされている。
【0013】さらに加えて、上述したように作業区画51上に可能な限り稠密させてワーク52を配置させた状態において複数の機械を作動させると、ワーク52同士が接近しすぎているために、各機械同士の作業動作の干渉が頻繁に発生するようになる。このような各機械同士の作業動作の干渉が発生した場合には、一方の機械の作業動作が干渉エリアから出て行くまで、もう片方の機械はその作業動作を停止していなければならない。
【0014】パレットからワークを取り出す機械が複数あるような場合においても、同様の機械同士の相互干渉が発生する。
【0015】このような待ち時間の発生のために、作業区画51上に配置されたワーク52の全ての作業が終了するまでに要する時間が長引いてしまい、結果的に、全てのワーク52の作業を完了するまでに要する時間も長引いてしまうので作業効率が低下するという問題がある。
【0016】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、所定の作業区画へのワーク配置と、作業区画上に同時に配置されたワークに対する作業を複数機械あるいは作業者を用いて行う工程とを繰り返すことによって全てのワークに対する作業を行う場合、作業区画上に同時に配置するワークの組み合わせ、およびその配置位置の適正化を図り、もって、全てのワークの作業を完了するまでに要する時間を短縮し、作業効率の向上を図ることが可能な被作業体の分配方法および配置方法を提供することを目的とする。
【0017】さらには、本発明は、例えば物品の搬送作業のように、物品を目的地に移動させる場合において、箱、ケース、パレットなどなんらかの搬送機材を用いる場合に、搬送機材のひとつひとつを作業区画と考え、作業区画の有する制約である積載重量、容量、重心位置、その他なんらかの制約に基づいて機材内に分配する場合においても、搬送機材数の最小化と、積載重量、容量、重心位置などの均一化を図り、もって、搬送作業の効率化を図ることが可能な被作業体の分配方法および配置方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0019】すなわち、請求項1の発明は、複数の被作業体を、予め備えられた所定の作業区画に分配し、分配された各作業区画の作業時間の合計が最短となるように、かつ各作業区画毎の作業時間のバラツキが最小となるように、被作業体を分配する組合せを決定するようにしたことを特徴とする被作業体の分配方法であって、初期被作業体配置情報列生成段階と、被作業体親配置情報列生成段階と、被作業体子配置情報生成段階と、総作業時間計算段階と、作業時間分散度計算段階と、被作業体配置情報抽出段階と、最適化処理終了判定段階とからなる。
【0020】初期被作業体配置情報列生成段階では、被作業体のそれぞれに、固有の被作業体番号と、各被作業体の配置方向を示す配置方向情報と、同一の所定の作業区画に配置することを意味する区画番号を付して、各被作業体の被作業体番号と配置方向情報と区画番号とからなる初期被作業体配置情報列を生成し、被作業体親配置情報列生成段階は、初期被作業体配置情報列生成段階において作成された初期被作業体配置情報列について、被作業体番号か配置方向情報かのいずれかを入れ替えることにより複数の被作業体親配置情報列を第1の所定個数生成する。
【0021】また、被作業体子配置情報生成段階では、被作業体親配置情報列生成段階において生成された被作業体親配置情報列の中から、被作業体番号か配置方向情報かのいずれかをランダムに変更することにより、被作業体子配置情報列を第2の所定個数生成し、総作業時間計算段階では、被作業体子配置情報生成段階において生成された各被作業体子配置情報列に基づいて、区画番号に対応する作業区画毎の作業時間を計算し、被作業体子配置情報列に含まれる全ての作業区画毎の作業時間の合計を求め、作業時間分散度計算段階では、総作業時間計算段階において計算された各作業区画毎の作業時間のバラツキ度を示す分散係数を計算する。
【0022】更に、被作業体配置情報抽出段階では、総作業時間計算段階において求められた各作業区間毎の作業時間と、作業時間分散度計算段階において計算された各作業区間毎の分散係数とからなる最適化度合いに基づき、最適化度合いの高い被作業体子配置情報列ほど高い確率で抽出し、最適化処理終了判定段階では、被作業体配置情報抽出段階における抽出結果に基づいて、最適化度合いの改善が見られなくなった場合には、この被作業体子配置情報列を最終結果と判定し、最適化度合いの改善が見られる場合には、被作業体親配置情報列生成段階から被作業体配置情報抽出段階までの一連の処理を繰り返す。
【0023】請求項2の発明は、所定の作業区画に分配された複数の被作業体について、複数の機械あるいは作業員により作業する場合において、各機械あるいは作業員によってなされる作業量がほぼ均等になるように、各被作業体が配置される配置場所を、所定の作業区画に基づいて調整するようにしたことを特徴とする被作業体の配置方法であって、初期配置情報列生成段階と、初期値設定段階と、作業分配段階と、作業量計算段階と、非線形問題定式化段階と、非線形問題解法段階と、記憶段階と、完了判定段階と、最適解選択段階とからなる。
【0024】初期配置情報列生成段階では、被作業体のならびと配置方向、配置位置座標からなる初期配置情報列を、配置可能な全ての組み合わせについて生成し、初期値設定段階では、初期配置情報列生成段階において生成された初期配置情報列のうちのいずれか1つの初期配置情報列を取り出し、各被作業体の配置位置座標を配置初期値として設定する。
【0025】また、作業分配段階では、被作業体に与えられている複数の作業を複数の機械あるいは作業員に分配し、作業量計算段階では、作業分配段階において機械あるいは作業員ごとに分配された作業量の合計、作業量の分散、最大作業量を求め、非線形問題定式化段階では、被作業体の配置位置を、特定の制約条件のもと、徐々に変化させながら、目的関数である作業量の分散が最小となる配置位置あるいは、もう一つの目的関数である最大作業量が最小となる最適な被作業体の配置位置を求めるべく、非線形計画問題式として定式化する。
【0026】更に、非線形問題解法段階では、初期配置情報列生成段階において生成された初期配置情報列に対して、非線形問題定式化段階において定式化された非線形計画式の解を、所定のアルゴリズムに基づいて求め、記憶段階では、初期値設定段階から非線形問題解法段階までの各処理を全ての初期配置情報列について行った被作業体配置結果を記憶し、完了判定段階では、全ての初期配置情報列について各処理が完了したことを判定し、最適解選択段階では、記憶段階において記憶された被作業体配置結果の中から、いずれかの目的関数の値が最小になった被作業体配置結果を最適被作業体配置として選択する。
【0027】請求項3の発明による被作業体の配置方法は、各被作業体のそれぞれに被作業体固有の被作業体番号を付して、未決定被作業体集合として認識するとともに、作業区画を被作業体の数作成し、更に未決定被作業体集合を被作業体の数作成する第1の段階と、未決定被作業体として認識された各被作業体をそれぞれひとつずつ、作成された各作業区画に割付け、割付られた被作業体が、この作業区画に配置可能な場合には、被作業体番号とその被作業体の配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせから構成されてなる区画配列情報を作成し、作成した区画配列情報を初期の子個体として認識する第2の段階と、子個体毎に、それぞれの未決定被作業体集合からランダムに1つの被作業体を選択して作業区画に追加割り付けし、この割り付けられた被作業体がこの作業区画に配置可能な場合には、区画配列情報の配置可能な位置に被作業体番号と配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせを追加し新たな子個体として認識する、また配置可能でない場合には、区画配列情報を変更しないまま子個体として認識する、という未決定被作業体集合から作業区画への被作業体の追加を実施する第3の段階と、区画配列情報に基づいて作業区画毎の作業量を計算する第4の段階と、第4の段階において作業量が計算された区画配列情報に対応する子個体の中から、作業量の多いものほど高い確率で、第1の所定個数の子個体を抽出し、抽出した子個体を親個体とする第5の段階と、第5の段階において親個体とされた中で、その作業量が所定作業量以上である場合、あるいは第5の段階において抽出された回数が所定回数に達した場合には、第5の段階において親個体とされたもののうち、作業量が最も多い親個体に含まれる被作業体を1つの作業区画に割り付ける被作業体群とし、この被作業体群を全ての未決定被作業体集合から除外する第6の段階と、第5の段階において親個体として抽出されたもののいずれの作業量も所定作業量未満であるか、あるいは第5の段階において親個体として抽出された回数が所定回数未満である場合には、親個体に対応する区画配列情報を構成しているいずれかの1つあるいは複数の被作業体の作業体番号と配置方向情報とを、別の作業体番号と配置方向情報とに入れ替えること、あるいは親個体に対応する区画配列情報を構成しているいずれか1つあるいは複数の被作業体の配置方向情報のみを、別の配置方向情報とに入れ替えることにより、新たな区画配列情報を第1の所定個数よりも多い第2の所定個数作成し、作成した区画配列情報を子個体として認識する第7の段階と、第7の段階において作成された第2の所定個数の子個体の全てに対して、同一の作業区画に割付けられた被作業体を、当該作業区画に配置可能かを確認し、配置可能な場合には、第3の段階に移行する第8の段階と、第7の段階において作成された第2の所定個数の子個体のうち、同一の作業区画に被作業体が配置できない場合には、第7の段階において作成された子個体を構成する区画配列情報のうち、ランダムに選択した1つの被作業体番号を削除するとともに、対応する未決定被作業体集合の中からランダムに1つの被作業体番号を選択し、選択された被作業体番号に対応する被作業体がこの作業区画において配置可能な場合には、区画配列情報の配置可能な位置に被作業体番号と、配置可能な配置方向を示す配置方向情報との組み合わせを追加する一方、配置可能でない場合には、区画配列情報を変更しないまま第4の段階に移行する第9の段階と、第6の段階において、全ての被作業体が未決定被作業体集合から除外された場合には終了し、そうでない場合には、第2の段階に移行する第10の段階とからなる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図7から図9と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0030】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法について、図1から図3を用いて説明する。
【0031】本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法は、図7に示すように、まず一部のワーク52を、予め備えられた所定の作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置する。このように配置された各ワーク52について、複数の機械(図示せず)によって作業が行われると、図8に示すように、作業がなされた各ワーク52を作業区画51上から取り除き、代わりに、図9に示すように、未作業のワーク52のうちの一部のワーク52を、前述同様にして作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置する。
【0032】そして、この配置された未作業の各ワーク52についても、複数の機械を用いて所定の作業がなされた後には、前述同様に作業区画51上から取り除き、代わりに、未作業のワーク52のうちの一部のワーク52を、作業区画51の上に互いに重なり合わないように配置する。このような未作業のワーク52の作業区画51への配置、作業、作業済みのワーク52の取り除きからなる工程を繰り返すことによって、全てのワーク52の作業を完了させる。
【0033】本実施の形態では、作業区画51に同時に配置するワーク52の組み合わせ、および配置を、遺伝的アルゴリズムを用いて決定する。これによって、全てのワークの作業の完了までに要する時間を短縮する。さらには、作業区画の制約条件として考えられる作業区画ごとの作業時間のバラツキを最小にする。
【0034】図1は、上述したような、遺伝的アルゴリズムを適用した本実施の形態に係る被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法の流れを示すフローチャートである。
【0035】すなわち、本実施の形態に係る被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法は、図1のフローチャートに示す流れに従って、遺伝的アルゴリズムを用いて、作業区画51上に同時に配置するワーク52の組み合わせ、および配置場所を決定する。
【0036】以下、このような遺伝的アルゴリズムを用いた本実施の形態に係る被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法について説明する。
【0037】遺伝的アルゴリズムを用いて解を得るためには、数値解析を行うので、考慮する全ての情報を数値情報で表現した遺伝子表現を作成する必要がある。したがって、まず、作業区画51に配置されたワ−ク52を処理する複数(n台)の機械のおのおのにR・・・、Rと記号を付ける。一方、各ワ−クには番号W・・、Wを付ける。このI個のワ−クをいくつかの「組」(G・・・、G)に分け、各組単位で、組の中のすべてのワ−クを、横の長さLx、縦の長さLyの長方形の作業区画51の上に重ならないように配置する。すなわち、ここでいう「組」とは、作業区画51に同時に配置するワークの組み合わせのことである。
【0038】各ワ−クにはいずれかの機械(R・・、R)に処理させるいくつかの仕事であるタスクが含まれている。ここで、組Gの全ワ−クに含まれるこれらのタスクがすべて終了する時間をT(i)とする。仮に、N組存在する場合、全ワ−ク、すなわち全組(G・・・、G)の処理が完了する時間は、T(1)+・・・・・+T(N) となる。同様に、組Gのワークの配置および回収作業に要する段取り時間をS(i)とし、全組の段取り時間は、S(1)+・・・・・+S(N)となる。したがって、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法の目的は、T(1)+・・・・・+T(N) と S(1)+・・・・・+S(N) との総和が最小となるようなワークの組、および各組における作業区画51上のワーク配置を求めることである。さらには、作業区画51毎の作業時間のバラツキ度合いを(作業時間のバラツキでなくても、重量、容量、重心位置など、どのような制約条件のバラツキでもよい)D(i)とし、バラツキは、その総和であるD(1)+・・・・・+D(N)が最小となるようにすることも目的とする。
【0039】図2に、このようなワークの組、および各組における作業区画51上のワーク配置を求めるための遺伝子表現の一例を示す。
【0040】各ワークは、ワ−ク並びPと配置方向Dという2種類の遺伝子からなり、さらに組の区切り位置Kという情報を持っている。ワ−ク並びPは、作業区画51に配置するワ−ク番号W・・・、Wの数値(1、・・、I)を記載したものである。配置方向Dは、ワ−クを作業区画51の上に配置するときに、縦横が元の状態であれば「0」、90度回転して縦横の関係を入れ替える場合は「1」という値をとる。図2に示す組1(G)を例にとると、ワ−クWとワークWとワークW16とは縦横入れ替え、ワ−クWは縦横は元の状態で配置するということになる。
【0041】本実施の形態においては、説明を簡単にするために長方形に近似できるワークを対象としているが、複雑形状ワークの場合には、長方形の組み合わせからなるワークと考えれば、類似処理で対応できる。例えば、ワークの配置方向に関しても、0度、90度に加えて180度、270度の配置方向を加えることで、対称形状でない複雑形状ワークにも対応できる。
【0042】ワ−ク並びPの順番は、ワ−クを、以下に説明するワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51の上に配置することを意味する。ワ−ク配置ル−ルとは、ワ−クを作業区画51の左下隅側からできるかぎり詰めて配置するという考え方であり、その手順を以下に示す。ここで、長方形の作業区画51の横方向をx軸、縦方向をy軸とし、作業区画51の左下隅を原点(0,0)とする。
【0043】すなわち、ワーク配置ルールとは、1)ワ−クを各辺がx軸あるいはy軸に平行になるように配置する。
2)最初のワ−クは左下頂点が原点になるように配置する。
3)2番目以降のワ−クを配置する場合、ワ−クの左下頂点のx座標が最も小さくなるように配置する。なお、このような配置方法が1通りでない場合には、さらにそのy座標が最小になるように配置する。ただし、そのワ−ク52の左下頂点のx座標はこれまでに置いたワ−クの左下頂点のx座標より小さくはならないように配置する。
【0044】このようなワーク配置ルールにしたがって配置した組1(G)の配置例について図3を用いて説明する。図3(a)は、組1(G)に配置する4つのワーク52であるワークW、ワークW、ワークW、ワークW16である。
【0045】まず、ワーク並びPが1番目であるワークWを原点から配置する。このとき、ワークWの配置方向Dは「1」であるので90度回転させ、図3(b)のように配置する。次に、ワーク並びPが2番目であるワークWを、ワーク配置ルール3)にしたがって、その左下頂点のx座標が最も小さくなるように、すなわち、左端を作業区画51の左端にあわせ、かつ、ワークWの上に配置する。ワークWの配置方向Dもまた「1」であるので90度回転させて、図3(b)のように配置する。
【0046】次に、ワーク並びPが3番目であるワークWを配置する。この場合、その左下頂点のx座標が最も小さくなるように、すなわち、左端を作業区画51の左端にあわせ、かつ、ワークWの上に配置しようとすると、ワークWの上部が作業区画51から出てしまうので、ワーク配置ルール3)にしたがって、そのy座標が最小になるように、つまり、そのワークWの下端を作業区画51の下端にあわせ、かつ、ワークWの右側に配置する。ワークWの配置方向Dは「0」であるので、回転させること無くそのまま配置する。
【0047】そして、ワークの並びPが4番目であるワークW16を、ワーク配置ルール3)にしたがって、その左下頂点のx座標が最も小さくなるように、すなわち、左端をワークWの右端にあわせ、かつ、ワークWの上に配置する。ワークWの配置方向Dもまた「1」であるので90度回転させて、図3(b)のように配置する。
【0048】また、以下に、組の区切り位置Kについて説明する。図2に示す遺伝子表現の例では、4番目に配置されたワーク番号W16と5番目に配置されたワーク番号Wとの間、9番目に配置されたワーク番号Wと10番目に配置されたワーク番号Wとの間、・・・・、に組の区切り位置Kがあるという情報を持っている。したがって、ワ−ク並びPの1番目から4番目までが組1(G)、5番目から9番目までが組2(G)、・・・、と認識する。
【0049】このような遺伝子表現を用いて、遺伝的アルゴリズムによって、全てのワークの作業完了までに要する時間を短縮する「組」を求める手順について、図1に示すフローチャートを用いて説明する。
【0050】(ステップST1:初期個体生成)まず、初期個体の生成を行う。初期個体とは、各組を構成するワーク番号Wとその配置方向Dとの組み合わせからなる数値データのことである。このような初期個体は、ワ−クをワーク番号W順に並べ、組の区切り位置Kを1番目、2番目、3番目…とする。この場合、各組は、1つのワ−クのみから構成する。すなわち、ワ−クは全部でI(W・・・、W)個あるので、組もI個できる。配置方向Dはランダムに設定する。このように作成した初期個体を、世代数=1の初期個体として以下に示すステップST2の処理を行う。
【0051】(ステップST2:交叉)ステップST2では、入力された遺伝子表現である各親に対し交叉によって第2り所定個数の子を作る。交叉はワ−ク並びPか、または配置方向Dかのどちらかに対して行う。
【0052】ワ−ク並びPに対する交叉は、ワ−ク並びPに関する遺伝子データを1個ないしは複数個移動させる。移動させる遺伝子、およびその移動先はランダムに選ぶ。ワ−ク並びPに関する遺伝子が移動するときは、それに対応する配置方向Dの遺伝子も同じ所へ移動する。こうしていくつかの子ができる。一方、配置方向Dに対する交叉は、配置方向Dに関する遺伝子の部分列をランダムに選び、部分列の0/1デ−タを入れ替える。すなわち、0なら1に、1なら0に置き替える。
【0053】ワ−ク並びPに関する遺伝子の移動先は(組番号、挿入位置)をそれぞれランダムに選ぶ。交叉前の個体の遺伝子表現における組数がNのとき、組番号は(N+1)まで選ぶことができる。仮に、組番号として(N+1)を選んだ場合は、新しい組番号(N+1)を作ることを意味する。選ばれた移動先の組が今と同じ組なら組内での入れ替え、異なる組なら異なる組への移し替えになる。異なる組への移動により元の組にワ−クがなくなる場合は、その組から後の組の番号を1ずつ繰り下げる。同じ組内への移動で位置も全く変わらない場合は同一遺伝子表現になるので、そのような交叉は無効とする。また、新しい組(N+1)への移動で元の組のワ−クがなくなる場合も本質的に同じ遺伝子表現になるのでそのような交叉は無効とする。
【0054】(ステップST3:作業領域内の配置可能性のチェック)ここでは、ステップST2において交叉によって作られた子の遺伝子表現に対応するワ−クの組がすべて、上述したワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51に配置可能かどうかを調べる。配置可能な場合にはステップST4へ移行する。一方、配置できない場合にはその子は致死遺伝子として以降の処理は行わない。
【0055】(ステップST4:ワ−クの処理完了時間の計算)ステップST3によってチェックされた結果に基づいて、致死遺伝子を除く全ての遺伝子表現されたワーク配置に対し、作業動作シミュレーションを行い、作業完了時間を計算する。作業完了時間は、ワ−クの組がN個ある場合、まず、各々のワーク(1、・・・、N)の組毎の完了時間の総和T(1)+・・・+T(N)と段取り時間の総和S(1)+・・・・・+S(N)の合計により求める。
【0056】(ステップST5:作業完了時間のバラツキ度合いの計算)ステップST3によってチェックされた結果に基づいて、致死遺伝子を除く全ての遺伝子表現されたワーク配置に対し、作業動作シミュレーションを行い、作業完了時間を計算する。作業完了時間は、ワ−クの組がN個ある場合、まず、各々のワーク(1、・・・、N)の組毎の作業完了時間のT(i)と段取り時間S(i)の和を各組毎に求め、平均値との差の2乗した値、すなわち分散D(i)を、各組毎に求める。
【0057】なお、各遺伝子表現されたワーク配置の目的関数Fとしては、a((T(1)+・・・+T(N))+(S(1)+・・・・・+S(N)))+b(D(1)+・・・+D(N))の合計とする。ここで、a,bは重み付け係数であり、試行錯誤的、経験的に決定するパラメータとする。
【0058】(ステップST6:淘汰)ステップST4で計算された遺伝子表現毎の適応度の結果に基づいて、適応度の大きい順に順位をつける。この順位に従い、以下に示すようにして次の世代の親となる遺伝子表現を選ぶ。親の数の半数の遺伝子表現は順位1位から順番に選ぶ。一方、残りの半数の遺伝子表現は、順位が先のものほど選ばれやすいようにしながら、順位に従ってとびとびに選ぶ。
【0059】(ステップST7:終了判定)ステップST6で選ばれた順位が1位の遺伝子表現における処理完了時間が、指定された条件を満たしているか、あるいはステップST2からステップST6までの処理がなされた回数である世代数が、あらかじめ指定された上限値に達した場合(ST7:Yes)には、遺伝的アルゴリズムによる遺伝子表現のパターンサーチを終了する。一方、そうでない場合(ST7:No)には、ステップST8で世代数を1増やしてステップST2へ戻る。
【0060】上述したように、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法においては、上記のような作用により、所定の作業区画51上へのワークの配置と、作業区画51上に同時に配置されたワーク52に対する作業を複数の機械を用いて行う工程とを繰り返すことによって全てのワーク52に対する作業を行う場合、作業区画51上に同時に配置するワーク52の組み合わせを、遺伝的アルゴリズムを適用し、全てのワーク52の作業を完了するまでに要する時間を最小にし、かつ作業時間のバラツキを最小とするような目的関数の元、パターンサーチ、および動作シミュレーションによる各パターンにおける作業時間に基づく淘汰を繰り返すことによって決定することができる。
【0061】以上により、全てのワーク52の作業を完了するまでに要する時間を短縮し、かつ組ごとの作業時間バラツキも最小とすることができ、もって、作業効率の向上を図ることが可能な被作業体の分配方法および配置方法を実現することが可能となる。
【0062】なお、本実施の形態においては、作業区画51を平面とし、平面上にワーク52が重ならないように配置する作業方法についてのみ示したが、立体の作業区画に段積みする場合においても、あるいは、パレットのような搬送機材にワーク52をパッキングするような場合においても、全く同様の遺伝子表現を用いて、作業時間の最小化、作業時間のバラツキ最小化、段取り時間の最小化、作業区画数の最小化を実現することが可能となる。
【0063】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法について、図4から図5を用いて説明する。
【0064】第1の実施の形態では、遺伝的アルゴリズムで得られた遺伝子表現のパターンに基づいて動作シミュレーションを行い、処理完了時間を計算する必要がある。しかしながら、この動作シミュレーションには、相当の計算時間がかかる。もちろん、計算時間を十分かけることができる状況ではこれでよい。しかしながら、多少の厳密性には目をつぶって短時間で相当の解を得たいという状況もある。そのような場合には、動作シミュレーションを行わずとも処理完了時間を概算することが可能な本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法は効果的である。
【0065】本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法では、ワ−クの組(G、・・・、G)を、動作シミュレーションによる処理完了時間を求めること無く決定する。これは、あるワ−クの組Gを決めるとき、その時点でまだワ−クの組Gに入っていないワ−クWの中からいくつかのワ−クWを選び、与えられた作業区画51の上にそれらのワ−クWの仕事量の合計が最も多くなるようにワ−クの組Gを次々に決定する方法である。さらには、作業区画51毎の作業時間のバラツキを最小とする場合には、本処理方法において決定したワークの組み合わせ結果を初期固体として、第1の実施の形態に示す遺伝子操作を実施することで、バラツキの減少を図ることができる。
【0066】本実施の形態においてもワ−クの組Gは遺伝的アルゴリズムを応用して決定する。ワ−クの組Gに対応する個体の遺伝子表現の一例を図4に示す。図4に示すように、各個体はワ−ク並びPと配置方向Dという2種類の遺伝子からなる。
【0067】ワ−ク並びPは、作業区画51に配置するワ−ク番号Wを並べたものである。配置方向Dは、ワ−クを作業区画51の上に配置するときに、縦横が元の状態であれば0、90度回転して縦横の関係を入れ替える場合は1という値をとる。図4の例では、ワ−クWとワークWとは縦横入れ替え、ワ−クWとワ−クWとは縦横は元の状態で配置することを示している。ワ−ク並びPの順番は、ワ−クを第1の実施の形態で説明したワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51の上に配置する順序を意味している。
【0068】このような遺伝的アルゴリズムを応用した本実施の形態に係る被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法の動作手順は、図5のフローチャートに示す通りである。以下に、このフローチャートの流れに沿って、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法について説明する。
【0069】(ステップST11:未決定ワ−ク集合の初期設定)まず、未決定ワーク集合の初期設定を行う。ここでは、未決定ワ−ク集合S0={W・・・、W}とする。さらに、未決定ワ−クのそれぞれと対になるようにS0と同じ集合Si(S1,S2,・・・SI)を各初期個体と対となるように作成する。
【0070】(ステップST12:初期個体の生成)ステップST11で設定された未決定ワ−ク集合Siから、ランダムにワ−クを1つずつ取り出し、それをワ−ク並びPに入れて初期個体を生成する。したがって、初期個体は、未決定ワ−ク集合の中の要素の数Iだけできる。同時に未決定ワ−ク集合Si(S1,S2,・・・SI)から各初期個体として取り出したワークを除く。なお、ここで配置方向Dはランダムに設定する。
【0071】(ステップST13:ワーク追加)初期固体iについて未決定ワ−ク集合Siの中から、個体の遺伝子表現のワ−ク並びPにないワ−クをランダムに1つ選択する。更に、選択されたワ−クを、この個体のワ−ク並びPに挿入することができるかどうかを調べる。選ばれたワ−クをワ−ク並びPの1番目にする場合、2番目にする場合、・・・、と順番に全部のワ−クがワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51に入るかどうかを調べる。配置方向Dは2通りとも調べる。作業領域に入ることがわかった場合は、この調べはそこで打ち切り、そのワ−ク並びPおよび配置方向Dを新しい遺伝子表現とする個体を作る。最後まで調べてできないということがわかった場合は、新しい個体は作らずに元の個体を残す。このように作成した遺伝子表現の世代数を更新する。
【0072】(ステップST14:仕事量の和の計算)親と子の全ての個体に対し、表現するワ−ク組合せの仕事量の和を求める。
【0073】(ステップST15:淘汰)ステップST14で求められた仕事量の和について、大きい順にすべての個体に対し順位をつける。この順位に従い、次のようにして次の世代の親を第1の所定個数選ぶ。親の数の半数は順位1位から順番に選ぶ。残りの半数は、順位が先のものほど選ばれやすいように、順位に従ってとびとびに選ぶ。
【0074】(ステップST16:遺伝アルゴリズムの終了判定)順位1位の個体の仕事量の和が指定された条件を満たしている場合か、あるいは世代数があらかじめ指定された上限値に達した場合(ST16:Yes)には、ステップST21の処理を行う。そうでない場合(ST16:No)には、世代数を1増やして(ST17)、ステップS18の処理を行う。
【0075】(ステップST18:交叉)ここでは、各親の遺伝子表現に基づいて交叉処理を行い子の遺伝子表現を作成する。この交叉は、ワ−ク並びPの遺伝子か、あるいは配置方向Dの遺伝子かのどちらかに対して行う。ワ−ク並びPに対する交叉は、ワ−ク並びPの遺伝子の部分列の移動である。まず、部分列の先頭、最後および移動先を、ランダムに選択する。ワ−ク並びPの遺伝子の部分列を移動するときは、対応する配置方向Dも対応する部分列を同じ位置へ移動させる。配置方向Dに対する交叉は、配置方向Dの遺伝子の部分列をランダムに選択し、部分列の0/1デ−タを入れ替える。すなわち、0なら1に、1なら0にそれぞれ置き替える。
【0076】(ステップST19:作業領域内の配置可能性のチェック)ここでは、ステップST18の交叉処理によって作成された子に対応するワ−ク組合せが、第1の実施の形態で説明したワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51内に配置できるかどうかを調べる。作業区画51に配置することができる場合にはステップST13に移行し、作業区画51に配置することができない場合には、ステップST20の処理を行う。
【0077】(ステップS20:ワ−クの入れ替え)未決定ワ−ク集合Sの中から、個体の遺伝子表現のワ−ク並びPにないワ−クを1つランダムに選ぶ。同時に、個体の遺伝子表現の中のワ−ク並びPからワ−クを1つランダムに選び削除する。そして、削除されたワ−ク並びPに、先に選んだワ−クを挿入することができるかどうかを調べる。選ばれたワ−クをワ−ク並びPの1番目に挿入する場合、2番目に挿入する場合、・・・、と順番に全部のワ−クが、第1の実施の形態で説明したワ−ク配置ル−ルに従って作業区画51に入るかどうかを調べる。
【0078】一方、配置方向Dに関しては、「0」を「1」にする場合、「1」を「0」にする場合の2通りとも調べる。作業区画51に配置できることがわかった場合には、この調べはそこで打ち切り、そのワ−ク並びPおよび配置方向Dを新しい遺伝子表現とする個体を作成する。最後まで調べて、配置できないことがわかった場合には、個体は元のままとする。そして、上述した処理を行った後に、ステップST14に移行する。
【0079】(ステップST21:未決定ワ−ク集合の更新)ステップST16において、順位1位の個体の仕事量の和が指定された条件を満たしている場合か、あるいは世代数があらかじめ指定された上限値に達した場合には、未決定ワ−ク集合Si(S1,S2,・・・SI)から、順位1位の個体の遺伝子表現のワ−ク並びPにあるワ−クをすべて削除し、ステップST22の処理を行う。
【0080】(ステップST22:終了判定)未決定ワ−ク集合Siが空集合なら終了し、そうでない場合には、ステップST12へ戻る。
【0081】上述したように、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法においては、上記のような作用により、所定の作業区画51上へのワークの配置と、作業区画51上に同時に配置されたワークに対する作業を複数の機械を用いて行う工程とを繰り返すことによって全てのワークに対する作業を行う場合、作業区画51上に同時に配置するワークの組み合わせの結果、各組の仕事量が極力多くなるように、遺伝的アルゴリズムを適用し、パターンサーチを繰り返すことによって決定することができる。
【0082】この方法によって決定された作業区画51上に同時に配置されるワークの組み合わせは、同程度の作業量のワークを同一の作業区画51上に配置するものであるために、必ずしも全てのワーク52の作業完了までに要する作業時間を最短にするパターンとは限らないものの、動作シミュレーションを行う必要が無いので、短時間で解を得ることができる。
【0083】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法について、図6を用いて説明する。
【0084】本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法は、作業区画51に配置すべきワ−クW、・・・、Wが与えられた場合に、ワ−クW、・・・、Wの配置方向と配置場所とを最適に決めることにより、これらのワ−クW、・・・、Wを処理する複数の機械の作業量を平準化する。この場合、ワ−クW、・・・、Wの形状を長方形と見なし、一方、配置方向Dとしては、元の縦横の状態、90度回転した状態、180度回転した状態、270度回転した状態の4通りを考慮する。
【0085】このような本実施の形態に係る被作業体(ワーク)の分配方法および配置方法の動作手順は、図6のフローチャートに示す通りである。以下に、このフローチャートの流れに沿って、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法について説明する。
【0086】(ステップST31:初期値集合作成)ワ−クW、・・・、Wを、配置方向Dとして4通りを考慮して、第1の実施の形態で説明したワ−ク配置ル−ルに従って、配置可能なワーク並びPと配置方向Dとを全て求める。なお、このとき、各ワ−クの左下頂点の座標と、配置方向Dとを後述するステップST33における初期値とするので、これらを初期値の集合に入れる。ワ−ク並びP、・・・、Pで、配置方向D、・・・、Dが作業区画51に配置可能であったとすると、初期値はワ−クWの左下頂点の座標、・・・、ワ−クの左下頂点の座標、配置方向D、・・・、Dである。これが初期値集合の1つの要素となる。配置可能な組合せが全部でn通りあったとすると、初期値集合はこのような形の要素n個からなる。
【0087】(ステップST32:初期値設定)ステップST31で作成された初期値集合から要素を1つ取り出す。そして、その要素を初期値集合から除く。この取り出した要素である初期値に対応するI個のワ−クをずらして作業区画51内に置くとき、それらの左下頂点の座標を(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))と表すことにする。(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))の現在の値が初期値である。配置方向Dは仕事量の計算には用いるが一定とし、変数とはしない。
【0088】(ステップST33:非線形計画問題の作成)各ワ−クW、・・・、Wは複数の仕事を含み、それらはワ−ク内のどこにあるかはわかっている。作業区画51はn台の機械に対応してn個の領域に分割している。そこで、ワ−クを、その配置方向Dを変えないで平行移動だけでずらして配置位置を決めると、ワ−ク内の各仕事はどの機械の分割領域に属するかがわかる。ワ−ク内の仕事には仕事量が与えられているので、このとき各分割領域に属する仕事量の合計が計算可能となる。
【0089】ワ−ク内の仕事が複数の分割領域にまたがる場合には、按分して仕事量を求める。すなわち、機械kが処理すべき仕事量の合計をf(k)とすると、f(k)はI個のワ−クの左下頂点の座標(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))の関数ということになる。目的はワ−クを複数の機械各々の仕事量ができるだけ均等に近くなるように、あるいは複数の機械の中で最も仕事量が多くなる機械の仕事量ができるだけ少なくなるように、決められた作業領域の中に最適に配置することである。したがって、つぎのようにして目的関数を作る。
目的関数=f(1)、・・・、f(N) の分散、あるいは 目的関数=f(1)、・・・、f(N) の中で1番大きいものとする。
【0090】この場合、ワ−クを、その配置方向Dを変えないで平行移動だけでずらすのであるが、自由自在にずらすことができるとも限らない。どのワ−クも与えられた作業領域内に入っていなければならないし、どの2つのワ−クも重なってはいけない。これらは制約条件と呼ばれる。
【0091】よって、配置方向Dから決まる各ワ−クの横の長さをa(1)、・・・、a(I)、縦の長さをb(1)、・・・、b(I)、作業領域の横の長さをLx、縦の長さをLyとすると、これらの制約条件はつぎのように書ける。すべてのi=1、・・・、Iに対して0≦x(i)≦Lx−a(i)0≦y(i)≦Ly−b(i)iに等しくないすべてのjに対してU(|(x(i)+a(i)/2)−(x(j)+a(j))|−(a(i)+a(j))/2)+U(|(y(i)+b(i)/2)−(y(j)+b(j))|−(b(i)+b(j))/2)≧0上の不等式で用いた関数U=U(t)はt<0ではU(t)=t、t≧0ではU(t)=0という関数である。
【0092】(ステップST34:非線形計画問題を解く)上述したようにステップST33で作成した目的関数と制約条件とは、いずれもI個のワ−クの左下頂点の座標(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))の関数である。そして、その意味は制約条件のもとで目的関数を最小にするように変数(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))を決定することである。これは、数理計画法の分野でいう非線形計画問題である。そこで、非線形計画法の適当なアルゴリズムを使って答えを求める。
【0093】(ステップST35:解の格納)上記ステップST34で得た解のうち、目的関数値を目的関数値集合に入れる。また、変数(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))と配置方向D、・・・、Dを解集合に入れる。
【0094】(ステップST36:終了判定)ここでは、判定終了を行い、初期値集合が空集合の場合には次のステップST37へ移行し、初期値集合が空集合ではない場合には、ステップST32へ戻る。
【0095】(ステップST37:最適解抽出)ここでは、目的関数値集合の要素の中で最小のもの(目的関数)を見つける。その最小の目的関数に対応する変数(x(1),y(1))、・・・、(x(I),y(I))と配置方向D、・・・、Dを解集合から取り出す。これが目的とする最適解である。
【0096】上述したように、本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法においては、上記のような作用により、所定の作業区画51上へのワークの配置と、作業区画51上に同時に配置されたワークに対する作業を複数の機械を用いて行う工程とを繰り返すことによって全てのワークに対する作業を行う場合、作業区画51上に同時に配置するワークの組み合わせについての配置場所を、非線形計画問題の解法を適用して決定することができる。
【0097】本実施の形態に係る被作業体の分配方法および配置方法は、第1の実施の形態や、第2の実施の形態において、作業区画51上で同時に配置されるワークの組み合わせが遺伝的アルゴリズムを用いて決定された後段として用いる。つまり、第1の実施の形態および第2の実施の形態では、作業区画51上で同時配置可能という観点からワークの組み合わせが決定されている。そして、配置に関しては、他のワークとの隣接関係のみが定義されているだけであり、配置場所の詳細までは決定されない。したがって、本実施の形態を用いて作業区画51上におけるワークの詳細な配置場所を決定することによって、作業時間を更に短縮することが可能となる。
【0098】以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、所定の作業区画上へのワーク配置と、作業区画上に同時に配置されたワークに対する作業を複数機械を用いて行う工程とを繰り返すことによって全てのワークに対する作業を行う場合、作業区画上に同時に配置するワークの組み合わせ、およびその配置位置の適正化を図ることができる。
【0100】以上により、全てのワークの作業を完了するまでに要する時間を短縮し、もって、作業効率の向上を図ることが可能な被作業体の分配方法および配置方法を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号
【出願日】 平成13年11月5日(2001.11.5)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2003−140730(P2003−140730A)
【公開日】 平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願番号】 特願2001−339651(P2001−339651)