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【発明の名称】 条鋼製品の生産方法
【発明者】 【氏名】北條 成人
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

【要約】 【課題】歩留や作業性等の目的に応じた取り合わせを実施できる、【解決手段】 本発明の条鋼製品の生産方法は、製品の数量及び寸法が互いに異なる複数の注文を鋼片上に取り合わせて、全ての注文に必要な複数の鋼片を設計する鋼片設計工程S1と、この鋼片設計工程で設計された複数の鋼片の製造計画を作成する製造計画作成工程S2と、この製造計画作成工程で作成された製造計画に基づいて鋼片を製造する製造工程S3とを有する。

【解決手段】本発明の条鋼製品の生産方法は、製品の数量及び寸法が互いに異なる複数の注文を鋼片上に取り合わせて、全ての注文に必要な複数の鋼片を設計する鋼片設計工程S1と、この鋼片設計工程で設計された複数の鋼片の製造計画を作成する製造計画作成工程S2と、この製造計画作成工程で作成された製造計画に基づいて鋼片を製造する製造工程S3とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製品の数量及び寸法が互いに異なる複数の注文を鋼片上に取り合わせて、全ての注文に必要な複数の鋼片を設計する鋼片設計工程と、この鋼片設計工程で設計された複数の鋼片の製造計画を作成する製造計画作成工程と、この製造計画作成工程で作成された製造計画に基づいて鋼片を製造する製造工程とを有することを特徴とする条鋼製品の生産方法。
【請求項2】 前記鋼片設計工程は、前記複数の注文を取り込むデータ入力工程と、このデータ入力工程で得られた注文を仮想の鋼片上で取り合わせた複数のパターンを作成する注文取り合わせパターン作成工程と、この注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから所定の評価基準に基づいて1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用するパターン採用工程と、このパターン採用工程で採用された取り合わせのパターンを前記鋼片の設計値として保存する設計値保存工程とを有することを特徴とする請求項1記載の条鋼製品の生産方法。
【請求項3】 前記所定の評価基準は、前記各注文が仮想の鋼片上で取り合わせられた状態における鋼片の歩留であることを特徴とする請求項2記載の条鋼製品の生産方法。
【請求項4】 前記所定の評価基準は、複数のパターンを順番に採用していく場合に各パターンの取り合わせにおいて同一注文がパターン間で連続することの作業性であることを特徴とする請求項2記載の条鋼製品の生産方法。
【請求項5】 前記鋼片設計工程は、前記複数の注文を取り込むデータ入力工程と、このデータ入力工程で得られた注文を仮想の鋼片上で取り合わせた複数のパターンを作成する注文取り合わせパターン作成工程と、この注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから、前記各注文が仮想の鋼片上で取り合わせられた状態における鋼片の歩留を優先して1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用する歩留優先パターン採用工程と、前記注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから、複数のパターンを順番に採用していく場合に各パターンの取り合わせにおいて同一注文がパターン間で連続することの作業性を優先して1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用する作業性優先パターン採用工程と、前記歩留優先パターン採用工程で採用された歩留優先の取り合わせのパターンと前記作業性優先パターン採用工程で採用された作業性優先の取り合わせのパターンとを表示する取り合わせのパターン表示工程と、このパターン表示工程で各取り合わせのパターンが表示された後に、操作指定された歩留優先又は作業性優先の取り合わせのパターンを前記鋼片の設計値として保存する設計値保存工程とを有することを特徴とする請求項1記載の条鋼製品の生産方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄工場において、顧客からの製品の注文に基づいて鋼片を設計し、製造する条鋼製品の生産方法に係わり、特に各注文が指定する各製品を鋼片に対して取り合わせを行う条鋼製品の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、製鉄工場においては、顧客からの製品の注文に基づいて鋼片を設計し製造し、この製造された鋼片から注文の製品を切出す。この顧客の注文は種々雑多であり、一定幅を有したコイル状の条鋼の場合、各注文で要求される製品の長さ(注文長)、製品数(注文数)が一定していない。一方、条鋼の1つの製造単位である鋼片の長さにも、製造設備や、取り扱いや、搬送上の制約から、一定の制限がある。したがって、これから製造しようとする各鋼片上にいかに効率的に顧客の注文が指定する寸法及び数量の製品を取り合わせるかが重要な課題となる。
【0003】そして、一般的に、顧客からの注文を製品長等の属性で分類した上で長さ方向に1次元的に配置して製造ロットである鋼片の長さ設計(算定)し、各注文を取り合わせた状態の鋼片の歩留を高くすること目指している。
【0004】歩留の高い鋼片を生産するための手段は主として二つのアプローチに分けられる。第1のアプローチは、鋼片設計時点での歩留向上を狙った注文取り合わせ方法の開発である。第2のアプローチは、実際に製造された鋼片の予定長と実績長との較差を製造直後に把握し、注文を再取り合わせすることにより在庫の削減と歩留の向上を目指す方法の開発である。
【0005】第1のアプローチの代表例は、特開平5―138432号公報に記述されている注文種類別の一括取り合わせである。すなわち、第1のアプローチにおいては、注文の製品の種類(製品長)毎にまとめて注文(製品)を鋼片に取り合わせする。
【0006】また、第2のアプローチに関して、同じ特開平5―138432号公報では、余長[=(鋼片採取長)一(採片指示に基づく注文品長)]を最小化することを目的とした製品採取方法を提案している。この方法は、実材料の延び長さに基づいて製品採取長を決定し、この結果に基づいて余長を算出し、充当可能な未採取の注文品を余長部分に割り当てる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した取り合わせ手法を採用した条鋼製品の生産方法においてもまた改良すべき次のような課題があった。
【0008】まず、歩留という観点から上記二つのアプローチを検証する。第1のアプローチは、注文種類(製品長)毎にまとめて、注文(製品)を鋼片に取り合わせするものであるが、同一製造ロットに所属する各鋼片の圧延長(鋼片長)の上限が一定であるため、取り合わせの歩留の向上には限界がある。
【0009】また、第2のアプローチは、あくまでも実際に製造された鋼片の寸法測定結果に基づく処理であり、歩留の取り戻しには上限がある。その上限を規定するのが、第1のアプローチの結果である鋼片設計段階での歩留である。よって、鋼片の設計段階で歩留が良好な鋼片を設計しておくことが必要となる。
【0010】次に、鋼片から製造された後の製品に対する作業性という観点から上記二つのアプローチを検証する。第1のアプローチは、注文の製品の種類(製品長)毎にまとめて鋼片に取り合わせするものであり、各鋼片から各注文の製品を切出した後は、同一注文の製品をまとめて移動、保管、出荷できる長所がある。
【0011】それに対して、第2のアプローチは実際に各鋼片を製造した後に、実際にこの製造された各鋼片の長さを測定して、この実測結果に基づいて注文の取り合わせを変更する方法である。しかしながら、この方式は、注文種類毎のまとまりの一部を解体して他の注文を割り当てる方式であり、歩留を追求するために、前述した、同一注文の製品をまとめて移動、保管、出荷することを目指した初期の高い作業性を低下させる短所がある。
【0012】以上をまとめると、第1のアプローチは鋼片から製造された後の製品の作業性に、第2のアプローチは鋼片の歩留においてそれぞれ長所を有するものの、双方ともに作業性と歩留の両方の評価指標を満足する方法ではないことになる。
【0013】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、鋼片の設計段階で取り合わせを実施することにより、歩留や作業性等の目的に応じた取り合わせが実施できる条鋼製品の生産方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するために、本発明の条鋼製品の生産方法は、製品の数量及び寸法が互いに異なる複数の注文を鋼片上に取り合わせて、全ての注文に必要な複数の鋼片を設計する鋼片設計工程と、この鋼片設計工程で設計された複数の鋼片の製造計画を作成する製造計画作成工程と、この製造計画作成工程で作成された製造計画に基づいて鋼片を製造する製造工程とを有する。
【0015】このように構成された条鋼製品の生産方法においては、製鉄工場における1製造単位である鋼片の設計段階において、各注文を各鋼片上に取り合わせている。そして、全ての注文に必要な複数の鋼片の設計が終了した段階で、各鋼片に対する製造計画が作成され、この作成された製造計画に基づいて各鋼片が製造される。
【0016】また、別の発明においては、上述した発明の条鋼製品の生産方法における鋼片設計工程は、複数の注文を取り込むデータ入力工程と、このデータ入力工程で得られた注文を仮想の鋼片上で取り合わせた複数のパターンを作成する注文取り合わせパターン作成工程と、この注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから所定の評価基準に基づいて1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用するパターン採用工程と、このパターン採用工程で採用された取り合わせのパターンを鋼片の設計値として保存する設計値保存工程とを有する。
【0017】このように構成された条鋼製品の生産方法においては、データ入力工程を介して取込まれた各注文に基づいて、仮想の鋼片上で取り合わせた複数のパターンが作成される。そして、この複数の取り合わせのパターンから1つ又は複数のパターンを実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用すればよいが、この取り合わせのパターンを採用するときの基準(評価基準)を歩留や作業性等の目的に応じて任意に設定可能である。
【0018】そして、別の発明は、上述した発明の条鋼製品の生産方法における所定の評価基準を、各注文が仮想の鋼片上で取り合わせられた状態における鋼片の歩留と設定している。
【0019】さらに、別の発明は、上述した発明の条鋼製品の生産方法における所定の評価基準を、複数のパターンを順番に採用していく場合に各パターンの取り合わせにおいて同一注文がパターン間で連続することの作業性と設定している。
【0020】このように、設計者の目的や工場における生産性に配慮して、歩留や作業性等を評価基準として、取り合わせのパターンが採用されていく。
【0021】さらに、別の発明は、上述した発明の条鋼製品の生産方法における鋼片設計工程は、複数の注文を取り込むデータ入力工程と、このデータ入力工程で得られた注文を仮想の鋼片上で取り合わせた複数のパターンを作成する注文取り合わせパターン作成工程と、この注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから、各注文が仮想の鋼片上で取り合わせられた状態における鋼片の歩留を優先して1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用する歩留優先パターン採用工程と、注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから、複数のパターンを順番に採用していく場合に各パターンの取り合わせにおいて同一注文がパターン間で連続することの作業性を優先して1つ又は複数のパターンを、実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用する作業性優先パターン採用工程と、歩留優先パターン採用工程で採用された歩留優先の取り合わせのパターンと作業性優先パターン採用工程で採用された作業性優先の取り合わせのパターンとを表示する取り合わせのパターン表示工程と、このパターン表示工程で各取り合わせのパターンが表示された後に、操作指定された歩留優先又は作業性優先の取り合わせのパターンを鋼片の設計値として保存する設計値保存工程とを有する。
【0022】このいように構成された条鋼製品の生産方法においては、注文取り合わせパターン作成工程で作成された複数のパターンのなかから実際の注文に対する取り合わせのパターンとして歩留優先で採用した各パターンと作業性優先で採用した各パターンとの2種類のパターンが表示されるので、設計者又は工場の生産管理者は、そのときの状況判断に基づいて歩留優先又は作業性優先を選択できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態に係る条鋼製品の生産方法を示す流れ図である。この実施形態の条鋼製品の生産方法は、製鉄工場において、顧客からの注文に応じて、鋼片を製造して、この製造した鋼片を切断して注文に応じた製品を得る生産方法に適用される。
【0024】注文ファイル1内には、一人又は複数の顧客がそれぞれ指定した製品の数量及び寸法(製品長)が互い異なる顧客毎の複数の注文が記憶されている。具体的には、注文毎に、注文商品の長さ(注文長)と本数(数量)とが記憶されている。
【0025】鋼片設計工程(S1)においては、注文ファイル1内に記憶された各注文を鋼片上に取り合わせて、全ての注文に必要な複数の鋼片を設計して、鋼片取り合わせファイル2へ格納する。製造計画作成工程(S2)においては、鋼片取り合わせファイル2に記憶された鋼片における鋼片長や数量等の設計に基づいて、該当鋼片の製造計画を作成して、鋼片製造計画ファイル3へ格納する。
【0026】製造工程(S3)においては、鋼片製造計画ファイル3に記憶された製造計画に基づいて、各鋼片を製造する。さらに、この製造工程(S3)においては、製造した各鋼片を鋼片取り合わせファイル2に記憶された取り合わせに従って切断して、注文が指定する寸法を有した各製品を同じく注文が指定した数量だけ生産する。
【0027】図1における鋼片設計工程S1を、図2の流れ図、表1、表2、表3を用いて、さらに詳細に説明する。
【0028】図2の流れ図において、まず、注文を取り込むデータ入力処理(Q1)を実行する。このデータ入力処理においては、注文ファイル1から各注文を取り込んで、各注文を属性(製品長、注文長)毎に分類する。表1は、製品長(注文長)毎に分類された複数の注文の例を示す。この例においては、製品長(注文長)が互いに異なる5種類の製品が合計36本要求されている。
【0029】
【表1】

【0030】次に、図2の流れ図のデータ入力処理(Q1)において製品長(注文長)毎に分類された複数の注文に対して、注文取り合わせパターン作成処理(Q2)を実行する。この注文取り合わせパターン作成処理(Q2)においては、鋼片の圧延長(製造可能限界長)内の上限以下の長さで、異なる製品長(注文長)の組合せ上の制約を考慮した上で、数種類の注文の製品を各1枚以上取り合わることによって得られる複数の取り合わせパターンを作成する。
【0031】この第1実施形態では、鋼片の圧延長の上限(製造可能限界長)を98.5mと設定し、組合せ上の制約として1つの鋼片当たり注文の製品は4種類以下の条件を設定した。
【0032】次いで、注文取り合わせパターン作成処理(Q2)において作成された複数の注文取り合わせパターンが存在することを確認し(Q3)、この複数の注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理(Q4)において、所定の評価基準が最大のパターンを採用する。すなわち、実際に注文(製品)を割り付けるパターンを決定する。パターンを1つ採用する毎に、注文の残数を修正し、注文の残数から採用できなくなった注文取り合わせパターンを削除する。
【0033】残りの注文取り合わせパターンに対して(Q5)、未取り合わせの注文の製品に対するパターン採用処理(Q4)を繰り返す。未取り合わせの注文の製品がなくなるまで、パターン採用処理を繰り返し実行する。取り合わせの結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】ここでは、所定の評価基準として注文取り合わせ長(取り合わせ商品の合計長)を設定している。まず、鋼片1として、製品長(注文長)20.0m×1本、製品長(注文長)14.0m×3本、製品長(注文長)12.5m×1本、及び製品長(注文長)12.0m×2本からなる、注文取り合わせ長(注文取り合わせ商品の合計長)98.5mのパターンを採用する。
【0036】残りの注文から判断して、この取り合わせパターンはもう1本作成できるので、鋼片2も同じパターンを採用する。ここで取り合わせ長(取り合わせ合計長)98.5mのパターンがなくなったので、鋼片3以降は取り合わせ長(取り合わせ合計長)98.0mのパターンなどを順次採用している。そして、最終的に鋼片6ですべての注文(商品)を取り合わせている。
【0037】図2の流れ図において、最後に、パターン採用処理(Q4)において採用した複数の注文取り合わせパターンに対して、結果保存処理(Q6)において、採用結果を鋼片取り合わせファイル2に存する。
【0038】表3には、同上の条件で、製品長(注文長)が最大の注文(製品)から順番に取り合わせていった場合の結果を示す。すなわち、製品長(注文長)20.0mの注文(製品)から、最短の製品長(注文長)12.0mの注文(製品)まで順番に取り合わせている。
【0039】
【表3】

【0040】この表3の取り合わせを、表2の取り合わせと比較すると、鋼片数が1本増加している。すなわち、鋼片を7本圧延(製造)する毎に、注文に当てられない非定常部が発生して歩留を低下させるので、同じ注文量を取り合わせるなら鋼片数は少ない方が好ましい。よって、歩留では、表2で示す注文取り合わせ(注文取り合わせ商品の合計長)を、各パターンを採用するときの評価基準に採用した方が勝っていることが理解できる。すなわち、表2においては、評価基準として歩留を採用している。
【0041】このように構成された第1実施形態の条鋼製品の生産方法においては、データ入力処理(Q1)を介して取込まれた各注文に基づいて、注文取り合わせパターン作成処理(Q2)にて、鋼片上で複数種類の注文(製品)を取り合わせた複数のパターンが作成される。そして、この複数の取り合わせのパターンから1つ又は複数のパターンを実際の注文に対する取り合わせのパターンとして採用すればよいが、この取り合わせのパターンを採用するときの評価基準を歩留に設定している。
【0042】したがって、自動的に製造される鋼片の歩留を向上できる。
【0043】(第2実施形態)本発明の第2実施形態に係わる条鋼製品の生産方法を説明する。なお、この第2実施形態の生産方法における全体の処理工程は図1に示した第1実施形態の流れ図と、鋼片設計工程以外は、ほぼ同一であるので、説明を省略する。
【0044】そして、ここでは、第2実施形態に組込まれた鋼片設計工程について、図3、表4、表5、表6、表7を用いて、詳細に説明する。
【0045】図3の流れ図のデータ入力処理(R1)において、注文ファイル1から各顧客の各注文を取り込んで、各注文を製品長(注文長)毎に分類する。表4に、製品長(注文長)毎に分類された複数の注文の例を示す。この第2実施形態においては、5種類の製品(注文)の注文が合計38本要求されている。そして、総注文長は550mである。
【0046】
【表4】

【0047】次いで、図3のデータ入力処理(R1)にて分類された複数の注文に対して、注文取り合わせパターン作成処理(R2)において、鋼片の圧延長の上限以下の取り合わせ長(取り合わせ合計長)で、異なる製品長(注文長)同士の組合せ上の制約を考慮した上で、数種類の製品(注文)をそれぞれ1枚以上取り合わせることによって得られる複数の取り合わせパターンを作成する。
【0048】表5に作成された複数の取り合わせパターンの一覧を示す。この例では鋼片の圧延長の上限を80.0mと設定し、組合せ上の制約として1鋼片当たり注文(製品)の種類数は4以下という条件を設定した。表5には、注文取り合わせ長(取り合わせ合計長)が上限である80.0mであるパターンが19個存在することを示す。
【0049】なお、パターンは、製品長(注文長)の降順でかつ取り合わせ本数の降順で並べ替えてある。ここで、総注文長550mと鋼片圧延長上限80.0mとから、必要鋼片の最小数は7であることが判明する。
【0050】
【表5】

【0051】次いで、図3の流れ図の注文取り合わせパターン作成処理(R2)において作成された表5に示す複数の注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理(R4)において、所定の評価基準が最大の注文取り合わせパターンを採用する。ここでは評価基準として、注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)、及び複数の鋼片にまたがる同一製品(注文)の連続性を設定している。すなわち、歩留と作業性とを評価基準としている。
【0052】表5のパターンはすべて取り合わせ長が80.0mであり、鋼片圧延長の上限80.0mを満足しており、すべてのパターンの歩留と作業性を示す評価基準が最大であるのでどのパターンを採用してもよい。ここでは鋼片1としてパターン1、すなわち、表6の最上段に示すように、製品長(注文長)20.0m×4本のパターンを採用する。
【0053】
【表6】

【0054】パターンを1つ採用する毎に、注文の残数を修正し、採用できなくなった注文取り合わせパターンを削除する。残パターンがなくなるまで、残りの注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理を繰り返し実行する(R3、R4、R5)。
【0055】2本目以降の鋼片に対するパターンを探索する場合には、鋼片から製品を切出した後における該当製品の作業性を考慮するために、鋼片の注文取り合わせ状況も合わせて考慮する必要がある。
【0056】まず、前の鋼片のパターンが繰り返し使用できないかを調べる。この例では、同じパターンをもう1本作成できるので、表6に示すように、鋼片2もパターン1を採用する。この時点で未取り合わせの製品長(注文長)20,0mは2本しか残らないので、3本目の鋼片に対するパターンの採用の前にパターン1、パターン2を削除する。
【0057】3本目の鋼片に対するパターンの採用においては、前の鋼片すなわち鋼片2の注文取り合わせ状況を参照する。鋼片2では製品長(注文長)20,0mが使用されているので、作業性を重視するためには製品長(注文長)20,0mが取り合わされているパターン3からパターン10のなから採用するのが好ましい。ここではパターン3を採用している。
【0058】この時点で製品長(注文長)20,0mはすべて使用されたので、4本目の採用の前にパターン3からパターン10までを削除する。また製品長(注文長)12mの注文残との関係で採用不可能になったパターン19も削除する。
【0059】4本目の鋼片に対するパターンの採用においては、前の鋼片すなわち鋼片3の注文取り合わせ状況を参照する。パターン11から18までのなかで、鋼片3に取り合わされ、かつ注文残がある製品長(注文長)14mと製品長(注文長)12mのパターンの両方を取り合わせているパターンはパターン12、13、15、16である。さらに、注文残と比較して、パターンの繰り返しが可能なのはパターン12,13、16である。
【0060】また、パターン繰り返し後の注文残まで考慮する。必要最小鋼片数は7であるので、鋼片5までに取り合わせ中の注文を取りきらないと、鋼片6でいったん当該注文が取り合わされなくなり、作業性重視の点から不都合である。この観点からパターン12、13、16を検証すると、パターン12は不適当である。パターン13、16では注文の連続性が保たれる。したがって、ここでは鋼片4として、表6に示すように、パターン13を採用する。
【0061】鋼片4.5としてパターン13を繰り返し採用した結果、注文残との関係からまだ採用可能なのはパターン15、16のみである。したがって、次の鋼片6としてここではパターン15を採用する。鋼片6としてパターン15を繰り返し採用した結果、残注文を合わせて鋼片7が作成される。
【0062】図3の流れ図において、最後に、パターン採用処理(R4)において採用した注文取り合わせパターンに対して、結果保存処理(R6)において、採用結果を鋼片取り合わせファイル2に存する。
【0063】表7には、同上の条件で、製品長(注文長)が最大の製品(注文)から順番に取り合わせていった場合の結果を示す。
【0064】
【表7】

【0065】表6と比較すると、必要な鋼片数が1本増加している。すなわち、鋼片を7本圧延(製造)する毎に、注文に当てられない非定常部が発生して歩留を低下させるので、同じ注文量を取り合わせるなら鋼片数は少ない方が好ましい。よって、歩留では、表6の注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)及び複数の鋼片にまたがる同一製品(注文)の連続性を評価基準として採用した方が勝っていることが理解できる。
【0066】他方で、作業性重視の点からは鋼片相互間で同一注文を連続して採用することが望ましいが、表6、表7共に同一注文の連続性が保たれており、作業性においては同等であることが理解できる。
【0067】このように、注文取り合わせパターンを採用していくときの評価基準として、歩留を第1優先とし、作業性を第2優先とすることによって、製造後の製品の作業性を確保しつつ、鋼片の歩留まりの高い生産方法を実現することが可能となる。
【0068】(第3実施形態)本発明の第3実施形態に係わる条鋼製品の生産方法を説明する。なお、この第3実施形態の生産方法における全体の処理工程は図1に示した第1実施形態の流れ図と、鋼片設計工程以外は、ほぼ同一であるので、説明を省略する。
【0069】そして、ここでは、第3実施形態に組込まれた鋼片設計工程について、図4、表8、表9、表10、表11を用いて、詳細に説明する。
【0070】図4の流れ図において、データ入力処理(P1)において、注文ファイル1から各顧客の各注文を取り込んで、各注文を製品長(注文長)毎に分類する。表8に、製品長(注文長)毎に分類された複数の注文の例を示す。5種類の製品(注文)の注文が合計36本要求されている。そして、総注文長は568mである。
【0071】
【表8】

【0072】以降の処理は、歩留優先の評価基準で注文取り合わせパターンを採用する処理(P2a〜P5a)と、作業性優先の評価基準で注文取り合わせパターンを採用する処理(P2b〜P5b)とを並行的に実施される。以下、それぞれの処理について説明する。
【0073】まず、歩留優先で注文を取り合わせる処理(P2a〜P5a)について説明する。
【0074】図4のデータ入力処理(P1)にて分類された製品長(注文長)毎の表8の注文に対して、注文取り合わせパターン作成処理(P2a)において、鋼片の圧延長の上限(製造可能長)以下の取り合わせ長(取り合わせ合計長)で、異なる製品長の製品(注文)同士の組合せ上の制約を考慮した上で、製品長が異なる数種類の製品(注文)をそれぞれ1枚以上取り合わることによって得られる複数の取り合わせパターンを作成する。この作成された複数の取り合わせパターンを表9に示す。
【0075】
【表9】

【0076】この表9の例では、鋼片の圧延長の上限を82.5mと設定し、組合せ上の制約として1つの鋼片当たりの製品(注文)の種類を4以下という条件を設定した。表9に示すように、注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)が82.5mである6個のパターンを作成する。なお、各パターンは、製品長(注文長)の降順かつ取り合わせ本数の降順で並べ替えてある。
【0077】次いで、図4の流れ図における、注文取り合わせパターン作成処理(P2a)において作成された複数の注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理(P4a)において、所定の評価基準が最大である注文取り合わせパターンを採用する。
【0078】ここでは、評価基準として、注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)、すなわち、歩留を採用している。表9のパターンはすべて注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)が82.5mであり、鋼片の圧延長(鋼片長)の上限を満足しており、全ての注文取り合わせパターンの評価基準が最大であるので、どの注文取り合わせパターンを採用してもよい。ここでは、表10の最上段に示すように、鋼片1としてパターン1、すなわち製品長(注文長)21.0m×1本、製品長(注文長)19.0m×2本、製品長(注文長)9.5m×1本、製品長(注文長)7.0m×2本のパターンを採用する。
【0079】
【表10】

【0080】パターンを1つ採用する毎に、注文の残数を修正し、採用できなくなった注文取り合わせパターンを削除する。残パターンがなくなるまで(P5a)、残りの注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理(P4a)を繰り返し実行する。
【0081】2本目以降の鋼片に対する注文取り合わせパターンを探索する場合には、前の鋼片の注文取り合わせパターンが繰り返し使用できないかを調べる。表10の例では、注文残りから同じパターンはもう1本作成できるので、鋼片2もパターン1を採用する。
【0082】この時点で製品長(注文長)が7.0mの注文は2本しか残らないので、鋼片の3本目に対する注文取り合わせパターンの採用処理を実施する前に、表9におけるパターン1からパターン6までのすべてのパターンを削除する。
【0083】そして、表9には記載していない、取り合わせ長(取り合わせ合計長)が82.5mより短い取り合わせパターンから順次採用を繰り返す。
【0084】次に、作業性優先で注文を取り合わせる処理(P2b〜P5b)について説明する。
【0085】図4のデータ入力処理(P1)において分類された製品長(注文長)毎の表8の注文に対して、注文取り合わせパターン作成処理(P2b)において、鋼片の圧延長の上限(製造可能長)以下の取り合わせ長(取り合わせ合計長)で、異なる製品長の製品(注文)同士の組合せ上の制約を考慮した上で、製品長が異なる数種類の製品(注文)をそれぞれ1枚以上取り合わることによって得られる複数の取り合わせパターンを作成する。この作成された複数の取り合わせパターンを表9に示す。ここまでは、上述した歩留優先処理と同等である。
【0086】次いで、注文取り合わせパターン作成処理(P2b)において作成された複数の注文取り合わせパターンに対して、パターン採用処理(P4b)において、所定の評価基準が最大となる注文取り合わせパターンを採用するのも、最初の鋼片1に対する注文取り合わせパターンの採用についても、表11に示すように、歩留優先処理の場合と同等である。2本目の鋼片に対する注文取り合わせパターンの採用についても同等である。
【0087】
【表11】

【0088】そして、表11に示すように、表2には記載していない、取り合わせ長(取り合わせ長合計長)が82.5mより短い注文取り合わせパターンから順次採用を繰り返した過程が異なる。
【0089】すなわち、鋼片2に対する注文取り合わせパターンを採用(割付けた)した時点で、本数を取り合わせ中の注文が3種類ある。製品長(注文長)21.0m、製品長(注文長)19.0m、及び製品長(注文長)9.5mである。
【0090】作業性優先の取り合わせにおいては、製造される鋼片相互間で同一注文を連続して採用することが必要である。よって、鋼片3に対する注文取り合わせパターンは、前記の3種類の注文がすべて含まれる注文取り合わせパターンから探す必要がある。結果的に、表11の鋼片3のパターンが採用されている。
【0091】但し、鋼片3に採用した注文取り合わせパターンの取り合わせ長(取り合わせ合計長)が80.0mとなっており、表3の同一鋼片と比較すると短いパターンである。すなわち、歩留まりにおいて不利である。
【0092】鋼片3に採用した注文取り合わせパターンは、残りの注文から、もう2回採用可能であるので、鋼片4、5に対しても、連続して採用する。その結果、製品長(注文長)9.5mの残り注文本数がなくなり、製品長(注文長)21.0m、製品長(注文長)19.0m、そして製品長(注文長)13.0mの3種類の注文だけが残る。
【0093】以降、同一製品長(注文長)の注文を鋼片相互間で連続して採用する制約下で処理した結果を表11に示す。
【0094】以上の二つの異なるパターン採用処理(P4a、P4b)において採用したそれぞれ複数の注文取り合わせパターンに対して、結果保存処理(P6)において、両結果を保存する。
【0095】最後に、歩留優先と作業性優先との二つの注文取り合わせパターンの結果を表示して、意志決定者が操作部を介して最終的に採用する取り合わせを決定する(P7)。この歩留優先と作業性優先とのいずれか選択された注文取り合わせパターンを鋼片取り合わせファイル2へ格納する。
【0096】ここで、表11の作業性優先のパターンの採用結果と、表10の歩留優先のパターンの採用結果とを比較すると、表11の方が鋼片数が1本増加している。これは、表11の結果が作業性を優先した取り合わせであるため、鋼片3以降の採用で十分な取り合わせ長(取り合わせ合計長)を確保できなかったのが原因である。
【0097】すなわち、鋼片を7本圧延(製造)する毎に、注文に当てられない非定常部が発生して歩留を低下させるので、同じ注文量を取り合わせるなら鋼片数は少ない方が好ましい。よって、歩留では、表10の注文取り合わせ長(注文取り合わせ合計長)及び複数の鋼片にまたがる同一製品(注文)の連続性を評価基準として採用した方が勝っていることが理解できる。
【0098】他方で、表10の注文取り合わせパターンの採用結果において、製品長(注文長)が19.0mの製品(注文)に着目すると、鋼片3、4で採用されておらず、同一製品長(注文長)の注文を鋼片相互問で連続して採用する条件を満足していない。
【0099】すなわち、表10注文取り合わせパターンの採用結果と表11の注文取り合わせパターンの採用結果は、歩留と作業性という二つの評価基準に関して互いに相反する。最終判断のための条件が日々変化することを考慮すると、あえてどちらか一方の解を固定的に選択するよりも、歩留優先と作業性優先との二つの処理の結果を表示して、設計者や生産管理者等の意志決定者が最終的に採用する取り合わせを決定することが望ましいといえる。この第3実施形態の生産方法は、このような意志決定の枠組みを与えるものである。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の条鋼製品の生産方法によれば、鋼片の設計段階で取り合わせを実施している。したがって、歩留や作業性等の目的に応じた取り合わせが実施できる。
【0101】さらに、各鋼片に対して各注文取り合わせパターンを採用(割当)する際に、パターン採用の評価基準として、歩留優先と作業性優先との二つを採用し、鋼片に対して二種類の取り合わせ結果を比較可能としている。
【0102】したがって、意志決定者が、歩留優先の取り合わせと製造後における製品の作業性優先の取り合わせとどちらか優先度の高い取り合わせを得られる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号
【出願日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2003−140727(P2003−140727A)
【公開日】 平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願番号】 特願2001−333092(P2001−333092)