| 【発明の名称】 |
作業要員の配置方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】東 征治 【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内
|
| 【要約】 |
【課題】生産量を調整することなく経済的でしかも効率的な作業要員の配置方法を提供する。
【解決手段】生産計画に従って、複数の作業工程を経て製品を製造するに際し、各作業工程の仕事量に応じて作業要員をそれぞれ配置する作業要員の配置方法において、生産計画から各作業工程における仕事量をシミュレーションすると共に、各作業工程に予め設定した作業要員で各作業工程の仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行い、このシミュレーションによって複数の作業工程のうちの第1の作業工程16における仕事量が処理できないと判断された場合は、仕事量を処理できると判断された複数の作業工程のうちの第2の作業工程14の作業要員を削減し、削減した作業要員を第1の作業工程16に加える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生産計画に従って、複数の作業工程を経て製品を製造するに際し、各作業工程の仕事量に応じて作業要員をそれぞれ配置する作業要員の配置方法において、前記生産計画から前記各作業工程における仕事量をシミュレーションすると共に、該各作業工程に予め設定した作業要員で前記各作業工程の仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行い、このシミュレーションによって前記複数の作業工程のうちの第1の作業工程における仕事量が処理できないと判断された場合は、仕事量を処理できると判断された前記複数の作業工程のうちの第2の作業工程の作業要員を削減し、削減した作業要員を前記第1の作業工程に加えることを特徴とする作業要員の配置方法。 【請求項2】 請求項1記載の作業要員の配置方法において、前記第2の作業工程は、前記複数の作業工程のうち、最も仕事量の少ない作業工程であることを特徴とする作業要員の配置方法。 【請求項3】 請求項1又は2記載の作業要員の配置方法において、前記仕事量のシミュレーションが経時的な仕事量であり、かつ、前記第2の作業工程で削減した作業要員を前記第1の作業工程に加える期間が、予め設定した作業要員で仕事量を処理できない時間帯であることを特徴とする作業要員の配置方法。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業要員の配置方法において、削減対象となった前記第2の作業工程の作業要員を前記第1の作業工程に加えてそれぞれの作業工程の作業要員を変更した後、再度前記第1の作業工程及び前記第2の作業工程の各仕事量が、変更後の各作業要員で処理できるか否かのシミュレーションを行うことを特徴とする作業要員の配置方法。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業要員の配置方法において、前記仕事量とは前記各作業工程で作業を行うことを予定している自工程に既に到着している製品と、今後新たに前記自工程に到着予定の製品とを処理するに必要な仕事量であることを特徴とする作業要員の配置方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の作業工程を備えた製品製造工場の操業を所定の作業要員で行うに際し、各作業工程における作業要員の配置方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、複数の作業工程を備えた作業現場である例えば製鉄所における厚板の精整ライン(精整現場)は、予め決められた所定人数の作業要員を抱えており、この作業要員を搬送ラインの各作業工程(例えば、厚板表面に生じた疵の除去工程、厚板の切断工程等)にそれぞれ配置することで操業が行われている。しかし、各作業工程の仕事(作業)量は、例えば注文内容(量、品質等)によって変動し易く、各作業工程が常時一定の仕事量を有するものでないため、各作業工程にそれぞれピーク作業時の仕事量に合わせた人数の作業要員を配置することは効率的でなかった。そこで、ある作業工程に従事している作業要員だけでは、その作業工程における仕事量を処理できなくなった場合、作業工程の仕事量を十分に処理できている他の作業工程に従事した作業要員の応援により、その作業工程の仕事量の処理能力を高め、作業を処理していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した作業要員の配置方法には以下の問題がある。作業工程の仕事量が、その作業に従事している作業要員だけでは処理できないことが分かった後、他の作業工程の作業に従事している作業要員を応援させる場合、どの作業工程の仕事量が十分に処理されているのか、またどの作業要員が応援できるのかを容易に判断することができない。また、他の作業工程への応援を直前になって指示され、その作業を行った場合、作業要員がその作業内容を十分把握していない可能性もあり、例えば製造する製品と寸法が異なる作業ミスを招く可能性もある。 【0004】そして、仕事量が処理できない量となってから、他の作業工程の作業に従事している作業要員の応援を受けていたのでは、短期的な作業においては略対応できるが、例えば長期的な作業や、各作業工程が連続(連鎖)している作業等では、十分な対応がとれず、設備の作業能率の低下を招いたり、また製品の製造が納期に間に合わない恐れがある。更に、各作業工程の仕事量を下げることで製品の生産量を調整し、各作業工程における仕事量を処理することもできるが、この場合、注文量を基に製品を経済的に製造するために作成した生産計画を見直す必要があり、例えば生産コストが上昇したり、納期が守れない可能性もあるので、生産時における不利益が生じる可能性がある。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、生産量を調整することなく経済的でしかも効率的な作業要員の配置方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に係る作業要員の配置方法は、生産計画に従って、複数の作業工程を経て製品を製造するに際し、各作業工程の仕事量に応じて作業要員をそれぞれ配置する作業要員の配置方法において、生産計画から各作業工程における仕事量をシミュレーションすると共に、各作業工程に予め設定した作業要員で各作業工程の仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行い、このシミュレーションによって複数の作業工程のうちの第1の作業工程における仕事量が処理できないと判断された場合は、仕事量を処理できると判断された複数の作業工程のうちの第2の作業工程の作業要員を削減し、削減した作業要員を第1の作業工程に加える。このように、各作業工程における仕事量と、各作業工程に予め設定した作業要員とでこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行うので、各作業工程の仕事量に対して、各作業工程に割り振られた作業要員が適切か否かの判断を容易に行うことが可能となる。 【0006】ここで、本発明に係る作業要員の配置方法において、第2の作業工程は、複数の作業工程のうち、最も仕事量の少ない作業工程であることが好ましい。これにより、仕事量に多少の変動が生じた場合でも、各作業工程は各作業工程の仕事量を処理する十分な作業要員を有しているので、各作業工程の設備の作業能率の低下を抑制できる。本発明に係る作業要員の配置方法において、仕事量のシミュレーションが経時的な仕事量であり、かつ、第2の作業工程で削減した作業要員を第1の作業工程に加える期間が、予め設定した作業要員で仕事量を処理できない時間帯であることが好ましい。これにより、予め設定した作業要員で経時的な仕事量を処理できない時間帯のみ、作業要員を移動させれば良いので、各作業工程に作業要員を効率的に配置することが可能となる。 【0007】本発明に係る作業要員の配置方法において、削減対象となった第2の作業工程の作業要員を第1の作業工程に加えてそれぞれの作業工程の作業要員を変更した後、再度第1の作業工程及び第2の作業工程の各仕事量が、変更後の各作業要員で処理できるか否かのシミュレーションを行うことが好ましい。このように、作業要員が余剰となっている作業工程の作業要員を、作業要員が不足している作業工程へ移動させて再度シミュレーションを行うことで、各作業工程に割り振られた変更後の作業要員が適切か否かを容易に判断することが可能となる。本発明に係る作業要員の配置方法において、仕事量とは各作業工程で作業を行うことを予定している自工程に既に到着している製品と、今後新たに自工程に到着予定の製品とを処理するに必要な仕事量であることが好ましい。これにより、各作業工程における仕事量を確実に把握できるので、作業要員の配置を的確にしかも効率的に行うことが可能となる。 【0008】 【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る作業要員の配置方法の説明図、図2は同作業要員の配置方法を適用した厚板工場の説明図、図3は本発明の他の実施に係る作業要員の配置方法の説明図である。 【0009】図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る作業要員の配置方法は、生産計画に従って、製鉄所の厚板工場10内で、所定の作業要員(例えば、5〜50人程度)が配置された精整ライン11が有する複数の作業工程を経て製品を製造するに際し、各作業工程の仕事量に応じて、各作業工程に所定の作業要員をそれぞれ割り振り、各作業要員をそれぞれ配置する方法である。以下、詳しく説明する。 【0010】図2に示すように、厚板工場10は、製造されたスラブ(図示しない)の圧延を行う圧延機12と、圧延機12で圧延された圧延板の切断を行う剪断機13と、この剪断機13で処理された厚板の各種処理を行う精整ライン11とを有している。この精整ライン11には、例えば剪断機13で切断できなかった圧延板を切断するガス切断工程14、厚板を加熱する熱処理工程15、厚板表面に生じた疵を除去する疵除去工程16、厚板表面に塗装を施す塗装工程17、曲がった厚板を真直ぐにする矯正工程18等の複数の作業工程が備えられている。なお、厚板は、例えば厚みが4.5〜90mm、巾が900〜5500mm、長さが3〜30m程度のものである。ここで、精整ライン11の各作業工程、並びに圧延機12、剪断機13を結ぶ搬送路には、搬送品が通過したことを認識するセンサーやカメラ(図示しない)がそれぞれ設置され、現時点で搬送品(対象物)がどこを通過しているのかをリアルタイム(瞬時)に検知できる構成となっている。 【0011】図1に示すように、精整ライン11の所定の作業要員を各作業工程に配置する前に、まず予定されている製品の注文から、製品の納期を守ると共に製品を経済的に製造(例えば、製品の品種や鋼種が同じ物を溶鋼や圧延で同時に製造)するための生産計画を、コンピュータを用いて作成する。この生産計画から、今後新たに各作業工程(自工程)に到着予定の製品の生産量、即ち予定の生産量を、各作業工程でそれぞれ決定する。次に、各作業工程における予定の生産量と、中間品(現在の仕掛)とを処理するに必要な各作業工程における仕事量を、各作業工程の処理能力を計算する詳細能力シミュレータを連動して作動させる工場シミュレータによってシミュレーションする。なお、この中間品とは、予め設定した作業要員で仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行う時点で、各作業工程で作業を行うことを予定している各作業工程(自工程)に既に到着している製品を意味する。従って、自工程では中間品であっても、自工程の下流側に位置する次工程では新たな製品となる。また、この仕事量は、各作業工程に予め割り振った作業員(通常の仕事量に対して100%の処理能力を発揮できる作業員)の人数、及び製品の出荷予定(納期)と共にコンピュータに入力される。 【0012】そして、前記工場シミュレータを用いて、前記したように仕事量をシミュレーションすると共に、各作業工程に予め設定した作業要員で各作業工程の仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行う。これにより、現在の仕掛と注文の内容から将来の各作業工程の処理能力、即ち仕掛推移の予測を行うことで、この作業要員で仕事量を処理できるか否かの予測をそれぞれ行う(作業現場稼動計画)。なお、詳細能力シミュレータ及び工場シミュレータは、上記したコンピュータで起動される。 【0013】ここで、作業員の人数と各作業工程における仕事量との間に何らかの関係がある作業工程が複数存在し、作業員が複数の作業工程の作業を行うことができるとすれば、各作業工程間の作業員を相互に移動させ各作業工程の処理能力の調整を行うことで、所定の人数の作業員を増員することなく最大の生産効率を得ることが可能となる。なお、各作業工程における作業員の処理能力は、各作業工程の例えば過去の実績データ、作業内容等により決定されるもので、必ずしも作業員の人数に比例するものではない。従って、ある作業工程では、通常の仕事量に対して、作業員4人で100%の処理能力を発揮し、3人では60%、2人では30%の処理能力をそれぞれ発揮できるというように、予め各作業工程における作業要員による処理能力を設定しておくことが好ましい。 【0014】前記したシミュレーションによって、複数の作業工程のうちの例えば疵除去工程(第1の作業工程)16における仕事量が、疵除去工程16の作業に従事する作業要員の処理能力をオーバー、即ち疵除去工程16の予め設定された作業要員で処理できないと判断された場合は、仕事量を処理できると判断された複数の作業工程のうち、最も仕事量が少ない作業工程である例えばガス切断工程(第2の作業工程)14の作業要員を削減し、削減した作業要員を疵除去工程16に加える。このようにして、削減対称となったガス切断工程14の作業要員を疵除去工程16に加えてそれぞれの作業工程の作業要員を変更した後、再度疵除去工程16及びガス切断工程14の各仕事量が、変更後の各作業要員で処理できるか否かのシミュレーションを、前記した工場シミュレータによって行う。なお、このシミュレーションは、ガス切断工程14の作業要員を、例えば1人ずつ削減して再シミュレーションしていくことが好ましい。これにより、ガス切断工程14の作業要員の過剰な削減、及び疵除去工程16の過剰な増加を防止できるので、不必要な再シミュレーションを行う必要がなく作業性が良好となる。 【0015】このとき、各作業工程の仕事量が、各作業工程の作業に従事する作業要員の処理能力範囲内となれば、工場シミュレータによる作業現場稼動計画を終了する。一方、いずれかの作業工程で、仕事量が作業要員の処理能力を超える場合、精整ライン11における所定の作業要員の配置を変えたとしても、精整ライン11が抱える所定の作業要員では仕事量を処理できないということが分かるので、前記した生産計画を見直し、仕事量が作業要員の処理能力範囲内となるように調整できる。しかし、例えば交代勤務のように、作業要員の応援が可能な操業態勢を採用している場合においては、他の作業工程の前番又は後番から応援して貰うことが好ましい。これにより、生産計画の見直しを行う必要が無くなるので、例えば生産コストを上昇させることなく、納期を守ることができ、更に生産時における不利益を抑制することが可能となる。なお、シミュレーションによって、各作業工程における作業要員が過剰であることが予め解れば、作業員に休暇を与えることも勿論可能である。 【0016】次に、他の実施に係る作業要員の配置方法について、図3を参照しながら説明する。これは、複数の作業工程の1つであるガス切断工程14の作業に従事している作業要員を、例えば5〜20分程度の短期(部分)的な作業を行う連続操業に直結した複数の作業工程の1つであるクレーン作業工程に従事させるものである。ここでは、前記した工場シミュレータが、連続操業を行っている圧延機12の圧延スケジューラ(例えば、現在の圧延進度、将来的な圧延計画等の時間的推移)と、この圧延機12に直結したクレーン作業工程とを基にシミュレーションを行う構成となっている。このため、圧延スケジューラは、将来的にガス切断工程14のガス切り作業を行う時間的推移を設定したガス切り作業スケジューラと共に、前記したコンピュータに入力されている。なお、クレーン作業工程においてクレーン作業を行う対象材の位置は、前記したセンサー、カメラ等によって検知され、この情報は逐一コンピュータに送られている。 【0017】まず、圧延スケジューラの情報を基に、クレーン作業工程における仕事量及び対象材の到着予定時刻を求め、この仕事量をコンピュータに入力する。一方、対象材の到着予定時刻はガス切り作業スケジューラに送られ、その時刻のガス作業工程の仕事量と作業に従事する作業要員の人数がコンピュータに入力される。この仕事量をシミュレーションすると共に、各作業工程の処理能力を計算する詳細能力シミュレータを連動して作動させる工場シミュレータにより、仕掛推移の予測を行うことで、この作業要員で仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行う。このとき、処理できると判断されれば、その情報がガス切り作業スケジューラに入力される。一方、処理できない判断されれば、他の作業工程の作業に従事する作業要員によって、再度工場シミュレータによるシミュレーションを行う。そして、対象材の到着予定時刻とガス切り作業スケジューラに入力された情報、例えば作業の変更が行われる作業要員の情報を基に、各作業員に携帯端末(例えば、携帯電話、ポケットベル(登録商標)等)を用いて作業変更(移動)の指示を行う。なお、この予測は、予測精度を高めるため、作業に間に合う時間の範囲で、可能な限り作業を行う時間に近づけて行うことが好ましい。 【0018】 【実施例】本発明に係る作業要員の配置方法を適用し、試験を行った結果について説明する。なお、第1の実施例は前記した一実施の形態に係る作業要員の配置方法を、また第2の実施例は前記した他の実施に係る作業要員の配置方法をそれぞれ使用している。 (第1の実施例)製鉄所の厚板工場10内の精整ライン11において、6人の作業要員を抱えた熱処理工程15、疵除去工程16における3日後からの仕掛量(各作業工程の仕事量と作業要員の処理能力とを基に求められる各作業工程の処理能力)の推移を予測した結果を表1に示す。なお、熱処理工程15、疵除去工程16は、常時作業要員の人数が4人、2人とそれぞれ設定されている。また、仕事量のシミュレーションは経時的な仕事量を計算している。 【0019】 【表1】
【0020】表1に示すように、複雑な物流を伴う熱処理工程15と疵除去工程16は、それぞれ3シフト(8時間毎の甲番、乙番、丙番)で24時間稼動しているとする。なお、3日目の乙番においては、作業員の1人が休みをとっているため、所定の作業要員は5人となっている。熱処理工程15は、通常の仕事量に対して、作業員4人で100%の処理能力が発揮され、3人では60%、2人では30%の処理能力で操業できるものとする。なお、5人では120%の処理能力が発揮される。一方、疵除去工程16では、通常の仕事量に対し、作業員2人で100%の処理能力が発揮され、1人でも60%の処理能力が発揮されるものとする。なお、3人では110%の処理能力が発揮される。従って、仕事量と作業要員とを基に、この作業要員でこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行った結果、この予測値である予測仕掛は、仕事量の変動及び作業要員により変動する。ここで、各作業員は多能工化されており、熱処理工程15及び疵除去工程16のどちらの作業も行えるものとする。 【0021】まず、熱処理工程15において、3日目の甲番では作業員4人が作業に従事することとなっており、この作業要員とこの甲番における仕事量とから、この作業要員でこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行った結果、予測仕掛が120%となって処理できないことが分かる。次に、乙番では作業員が3人作業に従事することとなっているが、乙番で作業要員が減少したことと、甲番での予測仕掛の超過分20%とがあり、予測仕掛が120%となってやはり処理できないことが分かり、丙番まで予測仕掛を作業要員の処理能力範囲内にできないことが分かる。この超過分は、4日目の甲番における仕事量が減少することで処理され、その後、乙番、丙番と作業要員の処理能力の余剰が発生する。 【0022】一方、疵除去工程16において、3日目の甲番では作業員2人が作業に従事することとなっており、この作業要員とこの甲番における仕事量とから、この作業要員でこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行った結果、予測仕掛が70%となって処理できることが分かる。その後、4日目の甲番まで作業要員が2人作業に従事しているが、予測仕掛は作業要員の処理能力範囲内である。しかし、4日目の乙番における疵除去工程16では、2人の作業員とこの乙番の仕事量とから、作業要員でこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行った結果、予測仕掛が110%となり、仕事量が増え処理できなくなったことが分かる。しかし、この超過分(10%)は、丙番における仕事量が減少することで解消され、丙番における予測仕掛は作業要員の処理能力範囲内となる。 【0023】このように、熱処理工程15の作業員の人数では、3日目において、予測仕掛が100%を超えることで仕事量が作業要員の処理能力を超えることを示している。また、4日目においては、予測仕掛が100%以下となり、仕事量に対する作業要員の処理能力の余剰が発生する。一方、疵除去工程16の作業員の人数では、3日目から4日目の甲番にかけて、予測仕掛が100%以下となり、仕事量に対する作業要員の処理能力の余剰が発生し、乙番において、予測仕掛が100%を超え仕事量が作業要員の処理能力を超えていることが分かる。即ち、予測仕掛を予測した結果、3日目の3シフトで仕掛量の推移が表1のようであれば、予測仕掛が100%を超えてしまうと、通常人数の作業要員がいても仕事量の処理効率が著しく低下し、納期遅れが発生する。従って、処理能力に余剰がある3日目の疵除去工程16の作業要員の人数を削減し、この削減した作業要員を熱処理工程15の作業に従事させ、また4日目の熱処理工程15の作業要員の人数を削減し、この作業要員を疵除去工程16の作業に従事させ、再度シミュレーションを行う。このシミュレーションした結果を表2に示す。 【0024】 【表2】
【0025】表2のように作業要員を移動させ、熱処理工程15、疵除去工程16の仕事量を調整することなく、作業要員の処理能力を調整することで、予測仕掛が100%を超えない操業を行うことが可能となった。このシミュレーションした結果を基に、3日目の疵除去工程16で削減した作業要員を熱処理工程15に加える時期を、予め設定した作業要員で仕事量が処理できない時間帯、即ち3日目の乙番とし、一方、4日目の熱処理工程15で削減した作業要員を疵除去工程16に加える時期を、予め設定した作業要員で仕事量が処理できない時間帯、即ち4日目の乙番とする。 【0026】(第2の実施例)常時は、複数の作業工程の1つであるガス切断工程14の作業に従事している作業要員を、例えば5〜20分程度の短期的な作業を行う連続操業に直結した作業工程の1つであるクレーン作業工程に従事させるものである。このクレーン作業工程は、連続操業を行っている圧延機12に直結した作業であるため、作業要員がタイミング良くクレーンに乗務し作業を行わなければ、圧延機12を止めてしまう。しかし、対象材(圧延板)が通板されるタイミングは、他の様々な要員により数時間オーダーで予定とずれる可能性があるので、作業要員はクレーンに乗務するタイミングをつかめず、クレーン作業工程、ガス作業工程14の両方に作業ロスが生じている。これを防止するために、工場シミュレータによる詳細な物流予測により、略リアルタイム(例えば10分毎)に、対象材の到着予定時刻を予測し、作業要員の移動時間を決定する。このように、仕事量のシミュレーションを経時的に求めることで、到着予定時刻を基に、各作業要員に携帯端末(例えば、携帯電話、ポケットベル等)を用いて作業変更(移動)の指示を行うことで、クレーン作業工程、ガス切断工程14の両方の作業を効率的に行うことが可能となる。 【0027】以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記実施の形態においては、複数の作業工程を備えた作業現場として、製鉄所における厚板工場内の精整ラインを使用し、その操業を所定の作業要員によって行う場合について説明した。しかし、複数の作業工程を備えた製品製造工場の操業を、所定の作業要員によって行う場所であれば、他の作業現場、例えば工場、事務所等の作業要員の配置にも本発明を適用することが可能である。 【0028】また、前記実施の形態においては、各作業工程における作業の処理能力を、作業要員の能力毎にではなく作業要員の人数によってそれぞれ設定していた。しかし、各作業工程における各作業要員の処理能力を予め設定しておき、各作業工程の作業にどの作業要員を従事させれば効率的に処理できるかをシミュレーションすることも可能である。これにより、各作業工程における更なる作業の効率化を図ることができる。そして、前記実施の形態においては、作業要員は複数の作業工程の作業を行うことができると仮定し、作業要員の配置を行っていた。このとき、作業要員が必ずしも複数の作業工程の作業を全て行うことができることなく、例えば2つの作業工程の作業のみを行うことができればよく、この場合は各作業工程に従事できる作業要員の情報を予めコンピュータに入力しておくことが好ましい。 【0029】 【発明の効果】請求項1〜5記載の作業要員の配置方法においては、各作業工程における仕事量と、各作業工程に予め設定した作業要員とでこの仕事量を処理できるか否かのシミュレーションを行うので、各作業工程の仕事量に対して、各作業工程に割り振られた作業要員が適切か否かの判断を容易に行うことが可能となる。このように、各作業工程の仕事量と、この仕事量に対する必要な作業要員が予め解るので、これに応じて各作業工程の応援態勢を、応援する作業要員及びその作業工程の他の作業要員に予め了解して貰える。従って、各作業工程の作業に従事する作業要員は、各自が行うべき作業内容や仕事量を予め把握できるので、作業ミスの可能性を低減でき効率的である。また、限られた所定の作業要員を増員することなく各作業工程に作業要員を効率的に配置できるので、各作業工程の設備の作業能率の低下を抑制でき経済的である。 【0030】特に、請求項2記載の作業要員の配置方法においては、仕事量に多少の変動が生じた場合でも、各作業工程は各作業工程の仕事量を処理する十分な作業要員を有し、しかも各作業工程の設備の作業能率の低下を抑制できるので、経済的である。請求項3記載の作業要員の配置方法においては、予め設定した作業要員で経時的な仕事量を処理できない時間帯のみ、作業要員を移動させれば良いので、各作業工程に作業要員を効率的に配置することが可能となる。従って、ある作業工程から他の作業工程への突然の作業要員の移動を無くすことができるので、移動時まで作業要員が従事している作業工程の作業のみを行えばよく、例えば作業ミスの可能性を低減でき効率的である。 【0031】請求項4記載の作業要員の配置方法においては、作業要員が余剰となっている作業工程の作業要員を、作業要員が不足している作業工程へ移動させて再度シミュレーションを行うことで、各作業工程に割り振られた変更後の作業要員が適切か否かを容易に判断することが可能となる。従って、生産計画を見直すことなく、即ち製造量を調整することなく作業要員による各作業工程の仕事量の処理能力を調整するので、製造量の低減を抑制できると共に納期も厳守でき経済的である。請求項5記載の作業要員の配置方法においては、各作業工程における仕事量を確実に把握でき、作業要員の配置を的確にしかも効率的に行うことができるので、所定の作業要員を更に有効に活用することが可能となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
|
| 【出願日】 |
平成13年10月29日(2001.10.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090697 【弁理士】 【氏名又は名称】中前 富士男
|
| 【公開番号】 |
特開2003−140722(P2003−140722A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月16日(2003.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願2001−331299(P2001−331299) |
|