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【発明の名称】 自動プログラミング装置
【発明者】 【氏名】福井 宗一郎
【住所又は居所】奈良県大和郡山市北郡山町106番地 株式会社森精機製作所内

【要約】 【課題】精度の高いNCプログラムを効率良く作成することができる自動プログラミング装置を提供する。

【解決手段】製品の形状データと許容精度データとを相互に関連付けて記憶する製品形状データ記憶部11、素材諸元データを記憶する素材データ記憶部52、工具諸元データを記憶する工具データ記憶部53、素材諸元,工具諸元及び許容精度に応じて設定された加工条件データを記憶する加工条件データ記憶部14、CLデータを生成するCLデータ生成処理部15、CLデータをNCプログラムに変換するNCプログラム生成処理部58を備える。CLデータ生成処理部15は、形状データと関連付けられた許容精度データ、素材諸元及び工具諸元の各データを基に、加工条件データ記憶部14に格納の加工条件データを参照して、工具送り速度を設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製品の形状を定義する形状データであって、3次元空間内の座標値で表される頂点データ、2つの頂点を結んで構成される稜線の方程式データ、前記稜線と前記2つの頂点とを関連付ける稜線データ、稜線により囲まれて形成される面の方程式データ、及び前記面と前記稜線とを関連付ける面データを少なくとも含んで構成される形状データと、前記製品の許容精度に関するデータとを相互に関連付けて記憶する製品形状データ記憶部と、素材の形状,材質といった諸元に関するデータを記憶する素材データ記憶部と、工具の種別,寸法や材質といった諸元に関するデータを記憶する工具データ記憶部と、前記素材諸元,工具諸元及び許容精度に応じて設定された加工条件に関するデータを記憶する加工条件データ記憶部と、前記製品形状データ記憶部,加工条件データ記憶部,素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、ワーク座標系における工具の移動位置,その送り速度及び回転速度を少なくとも含んで構成されるCLデータを生成する処理部であって、前記送り速度の設定に当たり、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータ、並びに前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定するように構成されたCLデータ生成処理部と、前記CLデータ生成処理部において生成されたCLデータの前記ワーク座標系の移動位置を絶対座標系の移動位置に変換してNCプログラムを生成するNCプログラム生成処理部とを設けて構成したことを特徴とする自動プログラミング装置。
【請求項2】 前記許容精度を、その精度の高低に応じて段階的に設定された等級に分類するための基準データを記憶した基準データ記憶部を更に備えるとともに、前記加工条件データ記憶部が、前記素材諸元,工具諸元及び等級に応じて設定された加工条件に関するデータを記憶するように構成され、前記CLデータ生成処理部が、前記送り速度の設定に当たり、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータを基に、前記基準データ記憶部に格納された基準データを参照して、該許容精度に関するデータを前記等級別に分類し、分類した等級、並びに前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定するように構成されてなる請求項1記載の自動プログラミング装置。
【請求項3】 前記加工条件データ記憶部が、前記許容精度と無関係に設定された加工条件データを記憶するように構成されるとともに、前記CLデータ生成処理部が、前記送り速度の設定に当たり、前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照し、参照した加工条件データを、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータに応じて変更し、変更した加工条件データを基に前記送り速度を設定するように構成されてなる請求項1記載の自動プログラミング装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、NC工作機械の動作を制御するNCプログラムを自動的に生成するための自動プログラミング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上述の自動プログラミング装置の一例として、図8に示すような自動プログラミング装置が知られている。この自動プログラミング装置50は、CPU,RAM,ROMやハードディスクなどから構成され、同図8に示すように、製品形状データ記憶部51,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,加工条件データ記憶部54,CLデータ生成処理部55,CLデータ記憶部56,工作機械データ記憶部57,NCプログラム生成処理部58,NCプログラム記憶部59などの各部からなる。
【0003】そして、前記製品形状データ記憶部51及び素材データ記憶部52には、CAD装置61が接続され、前記素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,加工条件データ記憶部54及び工作機械データ記憶部57には、入力装置62が接続され、前記NCプログラム記憶部59には、出力装置63が接続されている。
【0004】前記製品形状データ記憶部51には、前記CAD装置61を用いて生成された製品の形状データが格納される。この形状データは、製品の形状を定義するためのデータであり、3次元空間内の座標値で表される頂点データ、2つの頂点を結んで構成される稜線の方程式データ、前記稜線と前記2つの頂点とを関連付けた稜線データ、稜線により囲まれて形成される面の方程式データ、前記面と前記稜線とを関連付けた面データなどから構成される。
【0005】また、前記素材データ記憶部52には、素材の諸元に関するデータが格納される。この素材諸元データは、素材の上記形状データや材質などに関するデータであり、前記CAD装置61を用いて生成されたものや、前記入力装置62を介して入力されたものが、前記素材データ記憶部52に格納される。
【0006】また、前記工具データ記憶部53には、工具の諸元に関するデータが格納される。この工具諸元データは、ドリル,エンドミル,フェイスミルといった工具の種類,呼び寸法や材質などに関するデータであり、前記入力装置62を介して前記工具データ記憶部53に格納される。
【0007】また、前記加工条件データ記憶部54には、加工条件に関するデータが格納される。この加工条件データは、工具の送り量(例えば、フェイスミルやエンドミルの場合には一刃当たりの送り量、ドリルなどの場合には一回転当たりの送り量)や切削速度などに関するデータであり、荒加工,仕上加工といった加工工程、前記素材材質や前記工具材質に応じて工具毎に設定され、前記入力装置62を介して前記加工条件データ記憶部54に格納される。
【0008】前記CLデータ生成処理部55は、前記製品形状データ記憶部51,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53及び加工条件データ記憶部54に格納された各データを基にCLデータを生成する。このCLデータは、少なくともワーク座標系における工具の移動位置、その送り速度及び回転速度を含むデータからなる。
【0009】具体的には、前記CLデータ生成処理部55は、まず、前記製品形状データ記憶部51に格納された製品の形状データ、及び前記素材データ記憶部52に格納された素材形状データを基に、加工を要する部位の形状を抽出,認識し、認識した各加工部位についてその加工順序を決定する。
【0010】次に、決定した加工順序に従って、各加工部位毎に、その形状及び前記素材データ記憶部52に格納された素材材質データを基に、前記工具データ記憶部53に記憶されたデータを参照して、当該加工で使用する工具を設定する。
【0011】ついで、前記加工条件データ記憶部54に格納されたデータを参照して、各加工部位毎に、設定工具に応じた加工条件を設定し、設定した加工条件を基に、当該工具の回転速度及び送り速度に関するデータを生成するとともに、ワーク座標系における工具の移動位置データを生成して、前記CLデータとする。
【0012】そして、前記CLデータ記憶部56には、上記のようにして、CLデータ生成処理部55により生成されたCLデータが格納される。
【0013】前記工作機械データ記憶部57には、工作機械の諸元に関するデータが格納される。このデータは、例えば、マシニングセンタ,旋盤といった工作機械の種類や工作機械の構造などに関するデータであり、前記入力装置62を介して前記工作機械データ記憶部57に格納される。
【0014】前記NCプログラム生成処理部58は、前記CLデータ記憶部56に格納されたCLデータをNCプログラムに変換する処理を行う。より具体的には、前記工作機械データ記憶部57に格納されたデータを基に、CLデータの前記ワーク座標系に係る移動位置を絶対座標系の移動位置に変換して、NCプログラムを生成する。
【0015】そして、このNCプログラム生成処理部58によって生成されたNCプログラムが、前記NCプログラム記憶部59に格納され、前記出力装置63から適宜出力される。
【0016】尚、前記絶対座標系は、工作機械に対して設定される固有の座標系であり、前記ワーク座標系は、工作機械上で固定された素材に対し設定される座標系である。
【0017】斯して、以上の構成を備えた従来の自動プログラミング装置50によると、上記のように、前記製品形状データ記憶部51,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53及び加工条件データ記憶部54に格納された各データを基に、前記CLデータ生成処理部55において、ワーク座標系におけるCLデータが生成され、生成されたCLデータを基に、前記NCプログラム生成処理部58において、NCプログラムが生成される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、必ずと言っていい程、前記製品には、その設計過程で、その性質に応じ、寸法特性,幾何特性に関する公差や面精度など、加工精度に対する許容精度が規定される。
【0019】ところが、上記従来の自動プログラミング装置50では、このような許容精度について何ら考慮されておらず、生成されるNCプログラムは、その工具送り速度が、荒加工,仕上加工といった工程に応じ設定されたものに止まる。したがって、自動生成されたNCプログラムをそのまま用いて加工すると、多くの場合、上記許容精度を満たさない製品が出来上がることになる。そこで、従来、上記自動プログラミング装置50で生成されたNCプログラムの工具送り速度を、要求される許容精度に応じて適宜修正するようにしていた。
【0020】しかしながら、このような修正作業を要したのでは、非効率であり、当該NCプログラムの作成に長時間を要することになり、また、人為的なミスも起こり得る。
【0021】本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、精度の高いNCプログラムを効率良く作成することができる自動プログラミング装置の提供を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を達成するための本発明は、製品の形状を定義する形状データであって、3次元空間内の座標値で表される頂点データ、2つの頂点を結んで構成される稜線の方程式データ、前記稜線と前記2つの頂点とを関連付ける稜線データ、稜線により囲まれて形成される面の方程式データ、及び前記面と前記稜線とを関連付ける面データを少なくとも含んで構成される形状データと、前記製品の許容精度に関するデータとを相互に関連付けて記憶する製品形状データ記憶部と、素材の形状,材質といった諸元に関するデータを記憶する素材データ記憶部と、工具の種別,寸法や材質といった諸元に関するデータを記憶する工具データ記憶部と、前記素材諸元,工具諸元及び許容精度に応じて設定された加工条件に関するデータを記憶する加工条件データ記憶部と、前記製品形状データ記憶部,加工条件データ記憶部,素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、ワーク座標系における工具の移動位置,その送り速度及び回転速度を少なくとも含んで構成されるCLデータを生成する処理部であって、前記送り速度の設定に当たり、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータ、並びに前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定するように構成されたCLデータ生成処理部と、前記CLデータ生成処理部において生成されたCLデータの前記ワーク座標系の移動位置を絶対座標系の移動位置に変換してNCプログラムを生成するNCプログラム生成処理部とを設けて構成したことを特徴とする自動プログラミング装置に係る。
【0023】この発明によれば、まず、前記製品形状データ記憶部に、製品の形状を定義する形状データであって、3次元空間内の座標値で表される頂点データ、2つの頂点を結んで構成される稜線の方程式データ、前記稜線と前記2つの頂点とを関連付ける稜線データ、稜線により囲まれて形成される面の方程式データ、及び前記面と前記稜線とを関連付ける面データを少なくとも含んで構成される形状データと、前記製品の許容精度に関するデータとを相互に関連付けて格納される。
【0024】また、素材データ記憶部に、素材の形状,材質といった諸元に関するデータが格納され、工具データ記憶部に、工具の種別,寸法や材質といった諸元に関するデータが格納され、加工条件データ記憶部に、前記素材諸元,工具諸元及び許容精度に応じ設定された加工条件に関するデータが格納される。
【0025】尚、前記許容精度は、寸法特性,幾何特性に関する公差や面精度など、加工精度に対し許容される範囲を示すものである。また、素材の諸元データは、素材の形状データや材質などに関するデータであり、工具の諸元データは、ドリル,エンドミル,フェイスミルといった工具の種類,呼び寸法や材質などに関するデータである。また、加工条件データは、工具の送り量(例えば、フェイスミルやエンドミルの場合には一刃当たりの送り量、ドリルなどの場合には一回転当たりの送り量)や切削速度などに関するデータであり、前記許容精度の他、荒加工,仕上加工といった加工工程、前記素材材質や前記工具材質に応じて、工具毎に設定される。
【0026】そして、上記各記憶部内にそれぞれ上記データが格納された状態で、前記CLデータ生成処理部は、製品形状データ記憶部,素材データ記憶部,工具データ記憶部及び加工条件データ記憶部に格納された各データを基にCLデータを生成する。このCLデータは、少なくともワーク座標系における工具の移動位置、その送り速度及び回転速度を含むデータからなる。
【0027】具体的には、前記CLデータ生成処理部は、まず、製品形状データ記憶部に格納された製品の形状データ、及び前記素材データ記憶部に格納された素材形状データを基に、加工を要する部位の形状を抽出,認識し、認識した各加工部位についてその加工順序を決定する。
【0028】次に、設定した加工順序に従って、各加工部位毎に、その形状及び前記素材データ記憶部に格納された素材材質データを基に、前記工具データ記憶部に記憶されたデータを参照して、当該加工で使用する工具を設定する。
【0029】ついで、前記加工条件データ記憶部に格納されたデータを参照して、各加工部位毎に、設定工具に応じた加工条件を設定し、設定した加工条件を基に、当該工具の回転速度及び送り速度に関するデータを生成するとともに、ワーク座標系における工具の移動位置データを生成して、前記CLデータとする。
【0030】この際、CLデータ生成処理部は、当該加工部位に関する前記形状データと相互に関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された許容精度に関するデータを読み出し、読み出した許容精度データ、並びに前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された素材材質及び使用工具に関する各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して、前記送り速度を設定する。尚、形状データと関連付けられた許容精度データが存在しない場合には、荒加工,仕上加工といった加工工程に応じて、前記送り速度を設定する。
【0031】そして、上記の如くして、CLデータ生成処理部により生成されたCLデータを基に、NCプログラム生成処理部は、CLデータに係るワーク座標系の移動位置を絶対座標系の移動位置に変換してNCプログラムを生成する。
【0032】尚、前記絶対座標系は、工作機械に対して設定される固有の座標系であり、前記ワーク座標系は、工作機械上で固定された素材に対し設定される座標系である。
【0033】このように、この自動プログラミング装置によれば、製品に要求される許容精度を考慮し、これに応じた工具送り速度を設定するようにしているので、後に、修正を加えるまでも無く、当初から精度の高いNCプログラムを自動的に生成することができる。したがって、上記従来の自動プラミング装置に比べて、NCプログラムの作成を短時間で行うことができ、その作成効率を高めることができる。
【0034】また、上記自動プログラミング装置は、前記許容精度を、その精度の高低に応じて段階的に設定された等級に分類するための基準データを記憶した基準データ記憶部を更に備えるとともに、前記加工条件データ記憶部が、前記素材諸元,工具諸元及び等級に応じて設定された加工条件に関するデータを記憶するように構成され、前記CLデータ生成処理部が、前記送り速度の設定に当たり、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータを基に、前記基準データ記憶部に格納された基準データを参照して、該許容精度に関するデータを前記等級別に分類し、分類した等級、並びに前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定するように構成されていても良い。
【0035】この自動プログラミング装置よれば、前記CLデータ生成処理部において、CLデータの送り速度を設定する際に、対象の加工部位に関する前記形状データと相互に関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された許容精度に関するデータを読み出し、前記基準データ記憶部に格納された基準データを参照して、前記読み出した許容精度を等級別に分類し、分類した等級、並びに素材材質及び使用工具に関する各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定する。尚、上記と同様に、形状データと関連付けられた許容精度データが存在しない場合には、荒加工,仕上加工といった加工工程に応じて、前記送り速度を設定する。
【0036】このように、この自動プログラミング装置によっても、上記のものと同様に、製品に要求される許容精度を考慮し、これに応じた工具送り速度を設定するようにしているので、後に、修正を加えるまでも無く、当初から精度の高いNCプログラムを自動的に生成することができる。したがって、上記従来の自動プラミング装置に比べて、NCプログラムの作成を短時間で行うことができ、その作成効率を高めることができる。
【0037】また、この自動プログラミング装置では、許容精度の等級に応じて加工条件を設定するようにしているので、全ての許容精度に対して加工条件を設定する場合に比べて、加工条件に関するデータ量が少なくなり、そのデータ入力の手間を省くことができる。
【0038】また、上記自動プログラミング装置は、前記加工条件データ記憶部が、前記許容精度と無関係に設定された加工条件データを記憶するように構成されるとともに、前記CLデータ生成処理部が、前記送り速度の設定に当たり、前記素材データ記憶部及び工具データ記憶部に格納された各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照し、参照した加工条件データを、前記形状データと関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された前記許容精度に関するデータに応じて変更し、変更した加工条件データを基に前記送り速度を設定するように構成されていても良い。
【0039】この自動プログラミング装置よれば、まず、前記加工条件データ記憶部に、前記許容精度と無関係に設定された加工条件データが格納される。加工条件データは、上記のように、工具の送り量や切削速度などに関するデータであり、前記許容精度とは無関係に、荒加工,仕上加工といった加工工程、前記素材材質や前記工具材質に応じて、工具毎に設定される。
【0040】そして、前記CLデータ生成処理部において、CLデータの送り速度を設定する際に、対象の加工部位に関する前記形状データと相互に関連付けられて前記製品形状データ記憶部に格納された許容精度に関するデータを読み出すとともに、素材材質及び使用工具に関する各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データを参照、即ち検索して、当該加工部位における工具の送り速度及び回転速度を設定する。
【0041】次に、設定した工具の送り速度を、前記読み出した許容精度に応じて変更し、変更した送り速度を最終的な送り速度とする。尚、この送り速度の変更は、許容精度に応じて予め設定された倍率を乗じることなどによって行われる。
【0042】このように、この自動プログラミング装置によっても、上記のものと同様に、製品に要求される許容精度を考慮し、これに応じた工具送り速度を設定するようにしているので、後に、修正を加えるまでも無く、当初から精度の高いNCプログラムを自動的に生成することができる。したがって、上記従来の自動プログラミング装置に比べて、NCプログラムの作成を短時間で行うことができ、その作成効率を高めることができる。
【0043】また、この自動プログラミング装置では、荒加工,仕上加工といった加工工程、素材材質や工具材質など基本的な項目について、予めこれに応じた加工条件を設定しておき、許容精度に応じてこれを変更するようにしているので、許容精度に応じて加工条件を設定する場合に比べて、加工条件に関するデータ量が少なくてすみ、そのデータ入力の手間を大幅に省くことができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動プログラミング装置の概略構成を示したブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る自動プログラミング装置1は、上記従来の自動プログラミング装置50を改良したものであり、従って、従来の自動プログラミング装置50の構成と同じ構成部分については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0045】本例の自動プログラミング装置1は、CPU,RAM,ROMやハードディスクなどから構成され、図1に示すように、製品形状データ記憶部11,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,基準データ記憶部12,標準加工条件データ記憶部13,等級別加工条件データ記憶部14,CLデータ生成処理部15,CLデータ記憶部56,工作機械データ記憶部57,NCプログラム生成処理部58,NCプログラム記憶部59などの各部からなる。
【0046】そして、前記製品形状データ記憶部11及び素材データ記憶部52にはCAD装置21が接続され、前記素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,基準データ記憶部12,標準加工条件データ記憶部13,等級別加工条件データ記憶部14及び工作機械データ記憶部57には、入力装置62が接続され、前記NCプログラム記憶部59には、出力装置63が接続されている。
【0047】前記製品形状データ記憶部11には、CAD装置21を用いて生成された製品の形状データと、許容精度データとが相互に関連付けられて格納される。
【0048】形状データは、製品の形状を定義するためのデータであり、3次元空間内の座標値で表される頂点データ、2つの頂点を結んで構成される稜線の方程式データ、前記稜線と前記2つの頂点とを関連付けた稜線データ、稜線により囲まれて形成される面の方程式データ、前記面と前記稜線とを関連付けた面データなどから構成され、例えば、製品が図2に示すような形状の場合、図3に示すようなデータテーブルとして前記製品形状データ記憶部11に格納される。
【0049】また、前記許容精度に関するデータは、寸法特性,幾何特性に関する公差や面精度(表面粗さ、表面うねりなど)など、加工精度に対し許容される範囲を示すものであり、例えば、製品が図2に示すような許容精度を求められる場合、当該許容精度データが図4に示すようなデータテーブルとして前記製品形状データ記憶部11に格納される。具体的には、図2に示した製品では、許容精度として、面番号F1と面番号F2との間に寸法公差±0.02が設定され、面番号F3と稜線E14との間に寸法公差±0.05が設定されているが、これらの許容精度値(この場合公差幅)が面番号,稜線番号や頂点番号と関連付けられて、図4に示したデータテーブルとして、前記製品形状データ記憶部11に格納される。即ち、図4では、面番号F1と面番号F2との相互間に、許容精度値0.04が格納され、稜線番号E14と、この稜線に関係する面番号F5及びF6、並びに面番号F3との相互間に許容精度値0.1が格納されている。
【0050】特に例示しないが、平面度,平行度,直角度といった幾何特性に関する公差や面精度(表面粗さ、表面うねりなど)についても同様に、関係する面番号,稜線番号や頂点番号と関連付けられて、前記製品形状データ記憶部11に格納される。
【0051】また、前記基準データ記憶部12には、前記許容精度を、その精度の高低に応じて段階的に設定された等級に分類するための基準データが格納されている。この基準データは、例えば、図5に示したようなデータテーブルから構成され、前記入力装置62を介して前記基準データ記憶部12に格納される。尚、図5に示したデータテーブルでは、寸法公差幅,幾何公差幅,表面粗さに関し、各許容精度がそれぞれ1〜4等級の4段階に分類される。
【0052】前記標準加工条件データ記憶部13には、前記許容精度と無関係に設定された加工条件データが格納される。この加工条件データは、工具の送り量や切削速度などに関するデータであり、荒加工,仕上加工といった加工工程、素材材質や工具材質に応じて工具毎に設定され、前記入力装置62を介して前記標準加工条件データ記憶部54に格納される。
【0053】一方、前記等級別加工条件データ記憶部14には、許容精度の等級に応じて設定された加工条件データが格納される。この加工条件データは、上記と同様に、工具の送り量や切削速度などに関するデータであり、許容精度の等級,素材材質や工具材質に応じて工具毎に設定され、前記入力装置62を介して前記等級別加工条件データ記憶部14に格納される。
【0054】前記CLデータ生成処理部15は、前記製品形状データ記憶部11,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,基準データ記憶部12,標準加工条件データ記憶部13及び等級別加工条件データ記憶部14に格納された各データを基に、CLデータを生成する。このCLデータは、少なくともワーク座標系における工具の移動位置、その送り速度及び回転速度を含むデータからなる。
【0055】具体的には、CLデータ生成処理部15は、図6及び図7に示した処理を実行する。尚、以下の説明では、図2に示した製品を加工する場合を一例として説明する。
【0056】まず、CLデータ生成処理部15は、前記製品形状データ記憶部11に格納された製品の形状データを読み込むとともに(ステップS1)、素材データ記憶部52から素材の形状データと材質データを読み込む(ステップS2)。
【0057】次に、読み込んだ製品形状データ及び素材形状データを基に、加工を要する部位の形状を抽出,認識し、認識した各加工部位について、荒加工,仕上加工といった加工工程の別を含めてその加工順序を決定する(ステップS3)。
【0058】次に、カウンタnを1にセットした(ステップS4)後、1番目の加工部位の形状を認識し(ステップS5)、認識した加工形状及び前記素材材質データを基に、前記工具データ記憶部53に記憶されたデータを参照して、当該加工で使用する工具を設定する。例えば、図2に示した、面番号がF1の面を加工する場合には、使用工具としてフェイスミルやエンドミルなどが選定される。
【0059】ついで、当該加工が荒加工かどうかを判別して(ステップS7)、荒加工である場合には後述のステップS12に進み、仕上加工である場合には、当該加工部位の形状データを基に前記製品形状データ記憶部11を検索して、関連する許容精度データを読み出す(ステップS8)。例えば、上記面番号がF1の面を加工する場合、この面番号F1を基に、図3に示したデータテーブルが検索され、これに関連する稜線番号E1,E2,E3,E4,E5及び頂点番号V1,V2,V3,V4,V5が抽出され、これら面番号F1、稜線番号E1,E2,E3,E4,E5及び頂点番号V1,V2,V3,V4,V5を基に、前述のデータテーブル4が検索され、これらに関連する許容精度データとして、寸法公差幅0.04が読み出される。
【0060】次に、前記ステップS8において許容精度データが読み出されたか否かが確認され(ステップS9)、許容精度データが読み出されなかった場合には、後述のステップS12に進み、許容精度データが読み出さた場合には、読み出した許容精度データを基に前記基準データ記憶部12を検索して、当該許容精度を前記基準データ記憶部12に記憶された基準データに従って等級別に分類する。尚、複数の許容精度データが読み出された場合には、各許容精度が等級別に分類され、その中の最も精級のものが代表等級として選定される。
【0061】このようにして、許容精度を等級別に分類すると、次に、分類した等級、素材材質及び使用工具の材質を基に、前記等級別加工条件データ記憶部14に格納されたデータを参照して、許容精度の等級,素材材質及び使用工具の材質に応じた加工条件を設定する(ステップS11)。
【0062】一方、前記ステップS7において荒加工であると判別された場合、及びステップS9において許容精度データが読み出されなかった場合には、素材材質及び使用工具の材質を基に、前記標準加工条件データ記憶部13に格納されたデータを参照して、荒加工,仕上加工の別、並びに素材材質及び使用工具材質に応じた加工条件を設定する(ステップS12)。
【0063】そして、上記のようにして加工条件を設定した後、設定した加工条件を基に、当該工具の回転速度及び送り速度に関するデータを生成するとともに、ワーク座標系における工具の移動位置データを生成する(ステップS13)。
【0064】以後、上記ステップS5〜S13の処理を繰り返して、全ての加工部位について、CLデータを生成した後(ステップS14,S15)、生成したCLデータをCLデータ記憶部56に格納した後、処理を終了する(ステップS16)。
【0065】斯くして、以上の構成を備えた本例の自動プログラミング装置1によれば、製品形状データ記憶部11,素材データ記憶部52,工具データ記憶部53,標準加工条件データ記憶部13及び等級別加工条件データ記憶部14に格納された各データを基にCLデータが生成される。
【0066】そして、CLデータの送り速度を設定する際に、対象の加工部位に関する形状データと相互に関連付けられて製品形状データ記憶部11に格納された許容精度に関するデータが読み出され、基準データ記憶部12に格納された基準データを参照して、前記読み出した許容精度が等級別に分類され、分類された等級、並びに素材材質及び使用工具材質に関する各データを基に、前記加工条件データ記憶部に格納された加工条件データが参照され、前記許容精度に応じた送り速度が設定される。
【0067】そして、このようにして生成され、CLデータ記憶部56に格納されたCLデータが、前記NCプログラム生成処理部58によって、NCプログラムに変換されて前記NCプログラム記憶部59に格納され、前記出力装置63から適宜出力される。
【0068】このように、本例の自動プログラミング装置1によれば、製品に要求される許容精度を考慮し、これに応じた工具送り速度を設定することができるので、後に、修正を加えるまでも無く、当初から精度の高いNCプログラムを自動的に生成することができる。したがって、上記従来の自動プラミング装置50に比べて、NCプログラムの作成を短時間で行うことができ、その作成効率を高めることができる。
【0069】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の取り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0070】例えば、上例では、許容精度を等級別に分類し、この等級に応じて工具の送り速度を設定するように構成したが、これに限るものではなく、上記基準データ記憶部12を除いて構成され、上記等級別加工条件データ記憶部14に代えて、素材材質,工具材質及び許容精度に応じて設定された加工条件に関するデータを記憶する記憶部を備えて構成されるとともに、前記CLデータ生成処理部15が、工具送り速度の設定の際に、形状データと関連付けられて製品形状データ記憶部11に格納された許容精度に関するデータ、並びに素材材質及び使用工具材質に関する各データを基に、前記記憶部に格納された加工条件データを参照して前記送り速度を設定するように構成されたものであっても良い。このような構成によっても、上記と同様の効果が奏される。
【0071】また、上記基準データ記憶部12及び等級別加工条件データ記憶部14を除いて構成されるとともに、前記CLデータ生成処理部15が、工具送り速度の設定の際に、素材材質及び使用工具材質に関する各データを基に、前記標準加工条件データ記憶部13に格納された加工条件データを参照し、参照した加工条件データを、形状データと関連付けられて製品形状データ記憶部11に格納された許容精度に関するデータに応じて変更し、変更した加工条件データを基に前記送り速度を設定するように構成されたものであっても良い。このような構成によっても、上記と同様の効果が奏される。
【出願人】 【識別番号】000146847
【氏名又は名称】株式会社森精機製作所
【住所又は居所】奈良県大和郡山市北郡山町106番地
【出願日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【代理人】 【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
【公開番号】 特開2003−140717(P2003−140717A)
【公開日】 平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願番号】 特願2001−337452(P2001−337452)