| 【発明の名称】 |
学習制御空調装置の教師データ作成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】一志 好則 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
|
| 【要約】 |
【課題】ニューラルネットワークにより空調制御を行う空調装置において、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データを作成できるようにする。
【解決手段】ニューラルネットワークの出力を汎用コンピュータ20でシフトさせ、シフトされた出力と、その出力に対応する入力とを反映して教師データ21をコンピュータ20に作成させる。これにより、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データ21を作成することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、前記ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データ(21)の作成方法であって、前記ニューラルネットワークの出力をコンピュータ(20)でシフトさせ、前記シフトされた出力と、その出力に対応する入力とを反映して前記教師データ(21)を前記コンピュータ(20)に作成させることを特徴とする教師データ作成方法。 【請求項2】 ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、前記ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データ(21)の作成方法であって、前記ニューラルネットワークの出力項目毎に、その出力をコンピュータ(20)でシフトさせることを特徴とする教師データ作成方法。 【請求項3】 前記コンピュータは、前記学習制御空調装置と通信可能な外部のコンピュータ(20)であることを特徴とする請求項1または2に記載の教師データ作成方法。 【請求項4】 作成した教師データ(21)の内容を前記コンピュータ(20)で確認可能としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の教師データ作成方法。 【請求項5】 前記シフトされた出力が前記空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、前記急激になった部分の変化が緩やかになるように補正して教師データ(21)を作成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の教師データ作成方法。 【請求項6】 前記シフトされた出力が前記空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、前記急激になった部分付近の教師データ数を増やして教師データ(21)を作成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の教師データ作成方法。 【請求項7】 ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、前記ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データ(21)の作成をコンピュータ(20)に実行させるためのプログラムであって、前記ニューラルネットワークの出力を前記コンピュータ(20)でシフトさせ、前記シフトされた出力と、その出力に対応する入力とを反映して前記教師データ(21)を前記コンピュータ(20)に作成させることを特徴とするプログラム。 【請求項8】 ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、前記ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データ(21)の作成をコンピュータ(20)に実行させるためのプログラムであって、前記ニューラルネットワークの出力項目毎に、その出力を前記コンピュータ(20)でシフトさせることを特徴とするプログラム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ニューラルネットワークによって学習制御される空調装置において、教師データを作成する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】特開平11−301239号公報では、上記学習制御空調装置を車両用の空調装置に適用したものが記載されている。この空調装置は、乗員の設定温度操作等に基づいて学習するニューラルネットワークを備えており、このニューラルネットワークにより算出された空調制御量に基づいて空調制御を行うものである。 【0003】このような学習制御空調装置では、空調装置を市場に出荷する前段階において、数万点〜数十万点からなる教師データによりニューラルネットワークを学習させて、ニューラルネットワークの結合係数を予め初期設定しておくといったチューニング作業が必要となる。ここで、上記教師データに不具合があると、空調装置の作動に対する乗員の温感、音感等の不満が多くなってしまう。そこで従来では、以下の手順で教師データの良否を評価しつつ、チューニング作業を行うようにしている。 【0004】初めに、所定の教師データに基づいて学習したニューラルネットワークを用いて空調装置を実際に作動させる。そして、この作動に対する温感、音感等の評価を、環境条件(例えば外気温度、日射量等)や乗員操作(例えば設定温度等)の設定毎に行う(■空調評価)。なお、上記評価は、ニューラルネットワークの出力項目(例えばフェイス吹出温度、風量、吹出口モード)毎に行う。 【0005】その後、上記評価に基づいて、温感、音感等の評価に不満があったポイントを抽出し、教師データをどのように変更したら不満が解消されるかを検討する(■空調評価結果検討)。そして、上記検討に基づいて前記所定の教師データを変更して作成する(■教師データ作成)。 【0006】そして、変更作成された教師データに基づいて再度ニューラルネットワークを学習させる(■学習)。そして、再度学習したニューラルネットワークの出力と教師データの出力データとの誤差が、所定の誤差範囲に収まっているか否かを検証する(■学習誤差検証)。なお、所定誤差範囲に収まっていない場合には、再度■教師データ作成および■学習の作業を行い、所定誤差範囲に収まるようにする。 【0007】そして、所定誤差範囲に収まった状態のニューラルネットワークをROMに搭載し(■ROM搭載)、ROMに搭載されたニューラルネットワークにより実際に空調装置を作動させてみて不具合の有無をチェックする(■ROMチェック)。その後、上記■空調評価の作業を再度行う(■再空調評価)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手番■〜■のうち、手番■の空調評価結果検討の作業は、手作業で評価結果を解析して教師データ改良ポイントを割り出す作業となるため、非常に繁雑な作業であり、人的ミスが発生しやすい。 【0009】さらに、手番■の空調評価において、環境条件や乗員操作の設定を変えると、1つの出力項目(例えばフェイス吹出温度)のみならず、他の出力項目(例えば風量や吹出口モード)も変化してしまうため、最適な出力を探すのが困難であり、作業時間も増大する。 【0010】本発明は、上記点に鑑み、ニューラルネットワークにより空調制御を行う空調装置において、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データを作成できるようにすることを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データの作成方法であって、ニューラルネットワークの出力をコンピュータ(20)でシフトさせ、シフトされた出力と、その出力に対応する入力とを反映して教師データ(21)をコンピュータ(20)に作成させることを特徴とする。 【0012】これにより、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データ(21)を作成することができる。 【0013】請求項2に記載の発明では、ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データの作成方法であって、ニューラルネットワークの出力項目毎に、その出力をコンピュータ(20)でシフトさせることを特徴とする。 【0014】これにより、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データ(21)を作成することができる。 【0015】請求項3に記載の発明では、コンピュータは、学習制御空調装置と通信可能な外部のコンピュータ(20)であることを特徴とする。これにより、例えば、フェイス目標吹出温度や日射補正量などのように、通常の学習制御空調装置では操作できない空調制御量をも外部のコンピュータ(20)を用いてシフト操作できる。 【0016】請求項4に記載の発明では、作成した教師データ(21)の内容をコンピュータ(20)で確認可能としたことを特徴とする。これにより、シフト操作した結果、教師データ(21)の変更度合がどのくらいの範囲に影響したかを確認することができる。 【0017】ところで、空調制御量の変化が急激である部分の学習は困難である。これに対し、請求項5に記載の発明では、シフトされた出力が空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、急激になった部分の変化が緩やかになるように補正して教師データ(21)を作成することを特徴とするので、学習の困難な、空調制御量の変化が急激な部分を、教師データ(21)作成時点で無くすことができる。よって、学習を容易に行える。 【0018】また、請求項6に記載の発明では、シフトされた出力が空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、急激になった部分付近の教師データ数を増やして教師データ(21)を作成することを特徴とするので、学習の困難な、空調制御量の変化が急激な部分の教師データ(21)の数を増やして、学習時になるべく学習結果が教師データ(21)にフィットするようにできる。 【0019】請求項7に記載の発明では、ニューラルネットワークによって算出された空調制御量に基づいて空調制御を行う学習制御空調装置において、ニューラルネットワークの結合係数を計算するために用いる教師データ(21)の作成をコンピュータ(20)に実行させるためのプログラムであって、ニューラルネットワークの出力をコンピュータ(20)でシフトさせ、シフトされた出力と、その出力に対応する入力とを反映して教師データ(21)をコンピュータ(20)に作成させることを特徴とする。これにより、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果をコンピュータに発揮させることができる。 【0020】また、請求項8に記載の発明では、ニューラルネットワークの出力項目毎に、その出力を前記コンピュータ(20)でシフトさせることを特徴とする。これにより、請求項2に記載の発明の効果と同様の効果をコンピュータに発揮させることができる。 【0021】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。 【0023】(第1実施形態)本実施形態は、ニューラルネットワークによって学習制御される空調装置のうち車両用空調装置に、本発明の教師データの作成方法を適用したものである。図1は、車両用空調装置に備えられた空調用電子制御装置(以下、エアコンECUという)10および本実施形態の教師データ作成方法を行うための汎用コンピュータ20等のハード構成を示す模式図であり、前記車両用空調装置は特開平11−301239号公報に記載の車両用空調装置と同様のものである。 【0024】このエアコンECU10は、乗員の設定温度操作等に基づいて学習するニューラルネットワークを備えており、このニューラルネットワークにより算出された空調制御量に基づいて車両用空調装置の空調制御を行うものである。なお、エアコンECU10は、特開平11−301239号公報に記載のECUと同様のものであり、周知のマイクロコンピュータ(空調用コンピュータ)とその周辺回路との組み合わせからなるものである。 【0025】なお、この車両用空調装置には、車室内の設定温度tsetを設定する温度設定器が設けられている。この温度設定器は車両計器盤の空調操作パネルに設けられ、手動操作される温度設定手段である。また、車両用空調装置には、車室内の内気温trを検出する内気センサと車室外の外気温tamを検出する外気センサが設けられ、さらに、車室内への日射量tsを検出する日射センサ、エバポレータの冷却温度(吹出空気温度)teを検出するエバポレータ温度センサ、およびヒータコアに流入する温水の温度Twを検出する水温センサが設けられている。 【0026】そして、エアコンECU10は、温度設定信号tset、内気温センサ信号tr、および外気温センサ信号tam等を入力とし、ニューラルネットワークにより目標吹出温度tao、ブロワ電圧VM等を算出する算出手段として機能する。 【0027】次に、ニューラルネットワークの概要について簡単に説明すると、ニューラルネットワークは、ある入力信号(例えば、tset、tam、tr)を与えたときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師データ)になるように、ニューラルネットワークの結合係数(シナプス荷重)を修正するという誤差逆伝播学習機能(バックプロパーゲーション機能)を備えた階層構造のネットワークである。 【0028】そして、教師データを変更した場合は、再び、ある入力信号に対する出力が変更後の教師データとなるように、繰り返し「学習」させることにより、結合係数(シナプス荷重)を修正する。つまり、多量のデータ(教師データ)からその相関関数(結合係数)を自動生成する特徴を持っている。 【0029】ところで、このような学習制御機能を有する車両用空調装置では、空調装置を市場に出荷する前段階において、数万点〜数十万点からなる教師データによりニューラルネットワークを学習させて、ニューラルネットワークの結合係数を予め初期設定しておくといったチューニング作業が必要となる。ここで、上記教師データに不具合があると、空調装置の作動に対する乗員の温感、音感等の不満が多くなってしまう。 【0030】そこで本実施形態では、図2のフローチャートに示す手順で、教師データの良否を評価しつつチューニング作業を行っている。 【0031】初めに、所定の教師データに基づいて学習したニューラルネットワークを用いて空調装置を実際に作動させる。そして、この作動に対する温感、音感(例えば送風機の騒音に対する音感)等の評価を、環境条件(例えば、tam、tr、ts等)や乗員操作(例えばtset等)の設定毎に行う(空調評価(ステップS10))。 【0032】その後、上記評価に基づいて、温感、音感等の評価に不満があったポイントを抽出し、教師データをどのように変更したら不満が解消されるかを検討する(空調評価結果検討(ステップS20))。 【0033】そして、汎用コンピュータ20を用いて、上記検討に基づいて前記所定の教師データを、後に詳述する方法で変更して作成する(教師データ作成(ステップS30))。なお、図1の符号21は、ステップS30で変更作成された教師データ群を示しており、汎用コンピュータ20のディスプレイ(表示装置)22に表示されている。 【0034】また、この教師データ21の入力値は、車室内温度trと設定温度tsetdとの差から決定される偏差値tdd、外気温度tam、日射量tsであり、出力値(空調制御量)はブロワ電圧VMである。なお、本実施形態の車両用空調装置は車室内の運転席側と助手席側とを左右独立に空調可能なものであり、前記偏差値tddは、運転席側の前席設定温度tsetdと前席車室内温度trとの偏差値tdである。 【0035】ところで、エアコンECU10は、当該車両に搭載された他のECUと通信線Wにより接続されており、所定の通信プロトコル(例えばCAN)により通信可能になっている。そして、汎用コンピュータ10には通信線Wを接続するための通信線接続用カード22が備えられており、このカード22に通信線Wを接続することにより、エアコンECU10と汎用コンピュータ20とが、上記通信プロトコルで通信可能になっている。 【0036】これにより、ステップS30では、エアコンECU10からtr、tam、ts等のデータを汎用コンピュータ20に入力し、これらの入力データを用いて教師データ21を作成することができる。そして、車両にもともと存在する通信線Wおよび通信プロトコルを利用することにより、空調用コンピュータのハード改造を無くすことができる。或いは、このようなハード改造を最小限に抑えることができる。よって、学習制御空調装置の設計費のコストダウンを図ることができる。 【0037】次に、変更作成された教師データ21の入力値と出力値とをデータ補間(例えば線形補間、最近傍点補間、キュービック補間等)して最適化関数を計算し、空調装置作動中の入力値(この場合はtdd、tam、ts)に対する最適化関数の演算値を出力値(この場合はVM)とする(エミュレータ組み込み(ステップS40))。本実施形態ではデータ補間として線形補間を採用しているため、最適化関数を計算する時間は、従来の手番■によりニューラルネットワークを学習させる時間に比べて極めて短時間で済む。 【0038】なお、汎用コンピュータ10には上記のようにデータ補間して最適化関数を計算するアプリケーションソフト(例えばMATLAB)がインストールされている。 【0039】次に、最適化関数の演算値である出力値(taod)をエアコンECU10に送信し、この送信された出力値(taod)に基づいて、実際に車両用空調装置を作動させてみる。そして、通信入出力値、演算値に不具合がないかを検証する(作動チェック(ステップS50))。 【0040】ここで、このように検証するにあたり、空調装置の作動が教師データ21のうちいずれの部分のデータに基づくものかを、図1の符号22aに示すようにディスプレイ22に表示するようにしている。これにより、空調内容に不満があった時、教師データ21が悪いのか、ニューラルネットワーク以外の制御が悪いのかが判断しやすくなる。 【0041】次に、空調の再評価を行い、ステップS20での不満が軽減されているかを確認する(再空調評価(ステップS60))。 【0042】なお、入出力値はセンサ信号等をそれぞれ0〜1に規格化(正規化)されたものであり、実際に出力された値は、0〜1から逆変換する作業が必要である。例えば、内気センサにより検出される内気温Trの実際の検出範囲は、通常、0℃〜50℃であり、この検出値を規格化部で0〜1に割り当て、ニューラルネットワークの入力層に入力する。出力層からの出力結果も0〜1の値が出力されるので、出力変換部において予め設定された変換マップによってセンサ信号等に対応する実際の値に逆変換される。 【0043】次に、本発明の要部である、ステップS30における教師データ21の作成方法を説明する。 【0044】図3は、汎用コンピュータ20により教師データ21を作成させる作動を示すフローチャートであり、初めに、ステップS10で用いた所定の教師データ21を汎用コンピュータに読み込む(ステップS310)。 【0045】次に、専用プログラムを用いて、読み込んだ所定の教師データ21を線形補間して制御パターンを作成する(ステップS320)。以下にその作成手順を説明すると、図4は、ブロワ電圧VMの制御パターンを示す、偏差値tddとブロワ電圧VMとの特性図であり、この特性図は、図1に示すように汎用コンピュータ20のディスプレイ22に表示される。 【0046】また、ディスプレイ22には、空調装置の作動が教師データ21のうちいずれの部分のデータに基づくものかが、図1の符号22aに示すように表示される。これにより、空調内容に不満があった時、教師データ21が悪いのか、ニューラルネットワーク以外の制御が悪いのかが判断しやすくなる。 【0047】さらに、ディスプレイ22には、ブロワ電圧VMの制御パターンをシフトさせるツールバーAと、フェイス吹出温度TAVの制御パターンをシフトさせるツールバーBとが表示される。ここで、図4(a)に示す特性図中の点線は、ステップS10で用いた所定の教師データ21によるオリジナル制御パターンを示しており、上記ツールバーA、Bを操作することにより、制御パターンをシフトさせることができる。 【0048】具体的には、ツールバーAを用いて、オリジナル制御パターン上のデータD1をデータD2に変更する1回目の操作を行うと、データD2を通るようにオリジナル制御パターンの傾斜の部分が平行移動(シフト)する。この1回目の変更操作を学習した後のブロワ電圧特性VMは図4(a)の実線に示す制御パターンとなる。 【0049】次に、ステップS320にて上記ツールバーAの操作によりブロワ電圧VMの制御パターンが変更されているか否かを判定する(ステップS330)。そして、変更があったと判定されればステップS340に進み、上記ツールバーAの操作を学習し、制御パターンを変更する。 【0050】この変更の具体例を以下に説明すると、図4(b)に示す特性図中の一点鎖線は、1回目の学習後の制御パターンを示しており、1回目学習後制御パターン上のデータD3をデータD4に変更する2回目の操作を行うと、データD2およびデータD4を通るように1回目学習後制御パターンの傾斜の傾きを変更する。この2回目の変更操作を学習した後のブロワ電圧特性VMは図4(b)の実線に示す制御パターンとなる。 【0051】図4(c)に示す特性図中の二点鎖線は、2回目の学習後の制御パターンを示しており、2回目学習後制御パターン上のデータD5をデータD6に変更する3回目の操作を行うと、2回目学習後制御パターンを、データD2、データd4、データD6を最小二乗近似する傾きに変更して線形補間する。この3回目の変更操作を学習した後のブロワ電圧特性VMは図4(c)の実線に示す制御パターンとなる。 【0052】そして、3回目以上の変更操作に対しては、変更後の各データを最小二乗近似する傾きを求めて制御パターンを作成する。そして、以上の学習が終了した場合およびステップS330にて変更がなかったと判定された場合には、ステップS350に進む。 【0053】そして、ステップS350にて評価試験が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS330に戻り、終了していればステップS360に進み、ステップS340で学習した制御パターンから、所定間隔でデータをサンプリングし、これらのサンプリングデータに基づいて教師データ21を専用プログラムを用いて作成する。 【0054】以上により本実施形態によれば、ステップS30において、シフトされた出力であるブロワ電圧VMと、そのブロワ電圧VMに対応する偏差値tdd等とを反映して最終的な教師データ21を汎用コンピュータ20に作成させて、その教師データ21を用いてニューラルネットワークを学習させることができる。よって、人的ミスが無く、かつ、早く、容易に教師データ21を作成することができる。 【0055】また、本実施形態によれば、作成した教師データ21の内容を汎用コンピュータ20のディスプレイ22で確認可能となるので、シフト操作した結果、教師データ21の変更度合がどのくらいの範囲に影響したかをディスプレイ22上で確認することができる。 【0056】また、本実施形態によれば、学習制御空調装置と通信可能な外部の汎用コンピュータ20を用いて教師データ21を作成するので、例えば、フェイス目標吹出温度TAVや日射補正量tsなどのように、通常の学習制御空調装置では操作できない空調制御量をも、汎用コンピュータ20を用いてシフト操作できる。 【0057】また、本実施形態によれば、汎用コンピュータ20におけるツールバーBを用いて、フェイス吹出温度TAVの制御パターンを設定できるので、通常、車両計器盤の空調操作パネルからは設定操作できない空調制御量(TAV)を設定でき、教師データ21の作成を容易にできる。 【0058】また、本実施形態によれば、ステップS40がエミュレート手段として機能し、教師データ21を用いて、エアコンECU10に代わって汎用コンピュータ20が出力値(VM)を直接算出することができる。よって、従来膨大な時間がかかっていた手番■の学習作業を省いて教師データ21の良否を評価できるとともに、時間のかからない簡易な手法で出力値(VM)を直接算出できるので、教師データ21の評価日数を短縮することができ、ひいては学習制御空調装置の設計費のコストダウンを図ることができる。 【0059】(第2実施形態)図5は、本実施形態のエアコンECU10および汎用コンピュータ20等のハード構成を示す模式図であり、ハード構成は第1実施形態と同様である。そして、第1実施形態ではディスプレイ22に、ブロワ電圧VMの制御パターンをシフトさせるツールバーAと、フェイス吹出温度TAVの制御パターンをシフトさせるツールバーBとを表示させていたが、本実施形態では、これらのツールバーA、Bに加え、ツールバーC、D、E、Fをも表示させている。 【0060】これらのツールバーA〜Fは、ニューラルネットワークの出力項目毎に、その出力をコンピュータ20でシフトさせるものであり、具体的には、ツールバーCは運転席側の目標吹出温度taodの制御パターンを、ツールバーDは助手席側の目標吹出温度taopの制御パターンを、ツールバーEは日射量tsの制御パターンを、ツールバーFは吹出口モード算出値sの制御パターンを、それぞれシフトさせるものである。 【0061】図6は、本実施形態に係る、汎用コンピュータ20により教師データ21を作成させる作動を示すフローチャートであり、第1実施形態の図3に示すフローチャートのステップS330を図6に示すステップS331に変更したものであり、その他のステップは第1実施形態と同様である。 【0062】そして、ステップS320ではツールバーA〜Fの操作により各制御パターンを変更できるようになっており、ステップS331にて、これらのツールバーA〜F操作により制御パターンの変更がなされたか否かを判定するようになっている。 【0063】(第3実施形態)図7は、本実施形態に係る、汎用コンピュータ20により教師データ21を作成させる作動を示すフローチャートであり、第1実施形態の図3に示すフローチャートのステップS340を図7に示すステップS341、S342、S343に変更したものである。 【0064】ステップS341では、第1実施形態の図4に示す要領で制御パターンを変更させたのと同じように制御パターンを変更させる。そして、この変更によりシフトされた制御パターンがブロワ電圧VMの変化を急激にさせたか否かを、ステップS342にて判定する。本実施形態では、偏差値tdd1℃当たりのブロワ電圧VMの変化が1.6Vより大きいか否かにより上記判定を行うようにしている。 【0065】そして、ステップS342にて、ブロワ電圧VMの変化が急激に変化する制御パターンであると判定した場合には、図7のステップS343に示すように、ステップS343にて急激になった部分の変化が緩やかになるように補正する。その後、第1実施形態の図3に示すステップS350に進み、以降、第1実施形態と同様のフローチャートで作動する。 【0066】以上により、本実施形態によれば、シフトされた出力が空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、急激になった部分の変化が緩やかになるように補正して教師データ21を作成するので、学習の困難な、空調制御量の変化が急激な部分を、教師データ21作成時点で無くすことができる。よって、学習を容易に行える。 【0067】(第4実施形態)図8は、本実施形態に係る、汎用コンピュータ20により教師データ21を作成させる作動を示すフローチャートであり、第3実施形態の図7に示すフローチャートのステップS342、S343を廃止し、第1実施形態の図3に示すフローチャートのステップS350とステップS360との間に、図8に示すステップS351およびS352を追加したものである。 【0068】ステップS351では、図7に示すステップS342と同様にして、ステップS341にて変更された制御パターンがブロワ電圧VMの変化を急激にさせたか否かを判定する。 【0069】そして、ステップS352にて、ブロワ電圧VMの変化が急激に変化する制御パターンであると判定した場合には、図8のステップS352に示すように、ステップS343にて急激になった部分付近の教師データ数を増やす。なお、図中のアンダーラインに示す教師データが増加されたデータである。 【0070】これにより、シフトされた出力が空調制御量の変化を急激にさせるものとなった場合には、急激になった部分付近の教師データ数を増やして教師データ21を作成するので、学習の困難な、空調制御量の変化が急激な部分の教師データの数を増やして、学習時になるべく学習結果が教師データ21にフィットするようにできる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
|
| 【出願日】 |
平成13年11月5日(2001.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100022 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−140708(P2003−140708A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月16日(2003.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願2001−339454(P2001−339454) |
|