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【発明の名称】 プラント制御システム及び制御方法
【発明者】 【氏名】西村 正志
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所情報制御システム事業部内

【氏名】鈴木 修
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所情報制御システム事業部内

【氏名】大西 秀雄
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所情報制御システム事業部内

【要約】 【課題】複数の携帯型操作端末から同一プラント機器に対する操作指令が競合したときの誤動作を回避する。

【解決手段】プラント機器を制御するコントローラ2と、コントローラ2に対してプラント機器に対する操作指令信号を無線で発信する携帯型操作端末1とを備えるプラント制御システムにおいて、コントローラ2は、複数の携帯型操作端末1のいずれか1つに制御権を与え、該制御権を持っている携帯型操作端末1からの操作指令信号にだけ応答して該当するプラント機器を制御する。これにより、複数の操作指令が競合しても、制御権を有さない端末1からの操作指令は無視されるので、プラント機器の誤動作が回避される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラント機器を制御するプラント制御手段と、該プラント制御手段に対して前記プラント機器に対する操作指令信号を無線で発信する携帯操作端末とを備えるプラント制御システムにおいて、前記プラント制御手段は複数の前記携帯操作端末のいずれか1つに制御権を与え、該制御権を持っている携帯操作端末からの前記操作指令信号にだけ応答して該当するプラント機器を制御する手段を備えることを特徴とするプラント制御システム。
【請求項2】 請求項1において、前記携帯操作端末は、制御権を前記プラント制御手段に対して要求する手段を備えることを特徴とするプラント制御システム。
【請求項3】 請求項1において、前記携帯操作端末は、制御権を他の携帯操作端末に委託する手段を備えることを特徴とするプラント制御システム。
【請求項4】 請求項1において、前記携帯操作端末は、制御権が無い場合でもプラント機器の状態監視を行う手段を備えることを特徴とするプラント制御システム。
【請求項5】 請求項1において、前記携帯操作端末は、プラント機器の保守点検時に該プラント機器の操作不可を前記プラント制御手段に要求するメンテナンスボタンを備えることを特徴とするプラント制御システム。
【請求項6】 プラント機器の制御、及びプラント機器からの監視情報の収集を行うプラント制御手段と、このプラント制御手段につながる無線通信手段と、無線にてこの無線通信手段と通信可能であって、制御権の設定要求、制御・監視要求を作成して無線出力可能な複数個の携帯操作端末と、を備えるプラント制御システムにおいて、携帯操作端末のプラント機器への制御権を上記プラント制御手段内のデータテーブルに登録しておき、携帯操作端末からの制御操作要求が発せられて無線制御通信手段を介してプラント制御手段が受信したとき、プラント制御手段内のデータテーブルに制御権を登録している携帯操作端末に対して制御操作を許可し、この携帯操作端末から無線通信端末及びプラント制御手段を介して対応プラント機器の制御操作を行わしめるようにしたプラント制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯型操作端末装置(以下、携帯操作端末と呼ぶ)を用いてプラント機器を制御するプラント制御システムに係り、特に、携帯操作端末の数が増えた場合でも容易且つ的確にプラント制御を行うことが可能なプラント制御システム及び制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、上下水道プラントを制御するプラント制御システムでは、プラント機器の状態情報がコントローラに入力され、コントロールセンタが、接触器の入/切制御を行うことで、プラント機器の駆動モータに電気を供給/遮断する様になっている。また、プラント制御情報は、プラント機器の運転/停止操作や保守,メンテナンスを行う現場設置の現場操作盤より発信される様になっている。
【0003】上下水道プラントは公共性の高いプラントであり、浄水場プラントの異常による断水や、下水処理場プラントの異常による住宅水没などの影響を最小限にしなければならない。このため、他のプラントではあまり重要視されていない現場操作盤とよばれる最終操作端による最低限のバックアップが重要となっている。
【0004】例えば、上下水道プラントでは、プラントに水を取り入れる箇所と、水を出す箇所が基本的に1つづつ存在し、取り込んだ水に含まれる泥等の不純物を一定時間停滞させて沈降させるために沈殿池が設けられている。かかる池は、1つのプラントに複数設けられており、上下水道プラントにおける現場操作盤は、プラント共通機器の他、池ごとに存在する独立した個別機器を分けて操作する必要があり、更に、半年毎の定期点検などで対象機器だけを停止させて確認作業を行う必要がある。
【0005】従来の現場操作盤は、対象機器1つに対して1つしか存在しない構成をとっており、このため、他の作業者が誤って操作する事も少なく、また作業前には操作レバーなどに注意銘板を掲げるなどの安全対策を実施することで、作業者の安全が守られ、またプラント運転事故の回避やプラント異常運転の回避等を容易にはかれる。
【0006】このように従来の現場操作盤は、制御対象となるプラント機器の現場毎に設置されるため、作業の安全性を図ることができるという利点がある。しかし、例えば水害にあったとき、現場に固定設置された現場操作盤が水没してしまうと、プラント制御が不可能になってしまうという欠点がある。
【0007】このため近年では、現場操作盤をプラント機器の近傍に固定設置するのではなく、操作盤を携帯型とすることが望まれている。また、設置コスト等からも、顧客のニーズは現場操作盤を省く方向にあり、操作盤を携帯型とするプラント制御システムが開発され主流になってきている。
【0008】携帯操作端末を持つプラント制御システムでは、コントローラに無線通信可能な伝送インタフェースを設け、携帯操作端末との間で無線通信する構成とすることで、現場操作盤を不要とし、現場操作盤までの直送ケーブルを敷設せずとも、携帯操作端末が現場操作盤と同等の役目を果たすことができる様にしている。
【0009】尚、従来技術に関連するものとして、例えば、特開平10−247291号公報に記載のものがある。この他にも、無線基地局を用い、コントローラと携帯操作端末との間で無線通信を行う従来技術が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】携帯操作端末をプラント機器対応に製造し、別のプラント機器の操作ができない様にすれば、従来の現場操作盤を単に携帯型に置き換えただけとなり、プラント操作の安全性を確保することができる。しかし、携帯操作端末を制御対象機器対応に製造することはコスト的に無理があり、このため、共通構成の携帯操作端末を複数台用意することになる。つまり、1台の携帯操作端末でプラント機器の全てが操作可能になる。
【0011】ここで問題となるのが、ある操作員aがあるプラント機器を操作しようとして操作指令信号を自身の携帯する携帯操作端末から発信し、これに先行して別の操作員bが同じプラント機器に対して別の操作指令を出力しプラント機器が操作員bの操作指令に応答した場合、その応答動作は、操作員aの意図する操作指令とは異なる動作となり、誤操作の恐れがある。
【0012】従来のプラント制御システムは、1つのプラントに対して複数の携帯操作端末が存在しても、その数が少ないため、操作対象機器を間違えてプラント操作を行ってしまったり、別の対象機器に対してコントローラから操作指令信号が発行されるという問題は少なかった。しかし、1つのプラントに対して携帯操作端末の数が増大すると、コントローラ側の制御が複雑となり、操作員の意図とは別のプラント機器が動作してしまう虞もある。
【0013】このような問題に対して、従来は、離れた複数箇所に点在するプラント操作員がトランシーバ等によって通話しながら、事故に結びつかないようにプラント操作を行っているが、プラント操作員の数が増えると相互のコミュニケーションに手間取り、操作員の負担が増大して事故に繋がる虞が生じる。
【0014】本発明の目的は、携帯操作端末を用いて容易且つ安全なプラント操作を可能にするプラント制御システム及び制御方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、プラント機器を制御するプラント制御手段と、該プラント制御手段に対して前記プラント機器に対する操作指令信号を無線で発信する携帯操作端末とを備えるプラント制御システムにおいて、前記プラント制御手段は複数の前記携帯操作端末のいずれか1つに制御権を与え、該制御権を持っている携帯操作端末からの前記操作指令信号にだけ応答して該当するプラント機器を制御する手段を備えることで、達成される。
【0016】好適には、上記において、前記携帯操作端末は、制御権を前記プラント制御手段に対して要求する手段を備え、また、前記携帯操作端末は、制御権を他の携帯操作端末に委託する手段を備え、更に、前記携帯操作端末は、制御権が無い場合でもプラント機器の状態監視を行う手段を備え、更にまた、前記携帯操作端末は、プラント機器の保守点検時に該プラント機器の操作不可を前記プラント制御手段に要求するメンテナンスボタンを備えることを特徴とする。
【0017】複数の携帯操作端末からプラントの共通機器に対して同時に操作指令が発信された場合、そのうちの制御権を有する1台の携帯操作端末からの操作指令だけを受け付けるため、同時操作による共通機器の誤動作を防ぐことが可能となる。
【0018】また、携帯操作端末にメンテナンスボタンが設けられているため、プラント機器の保守点検作業前にメンテナンスボタンを押下しておくことで、保守点検対象とするプラント機器の他の携帯操作端末からの操作が不可となり、他操作員が誤って操作しても、作業中の事故を回避可能となる。更に、制御権を有する携帯操作端末に対し、プラント制御手段を介して、制御権を持たない他の携帯操作端末から制御権を要求できる構成としているため、あるいは、制御権を有する携帯操作端末の制御権が不要になったときに当該携帯操作端末から制御権を他に委託可能としているため、1つの携帯操作端末が制御権を独占する事態を回避できる。
【0019】本発明は、プラント機器の制御、及びプラント機器からの監視情報の収集を行うプラント制御手段と、このプラント制御手段につながる無線通信手段と、無線にてこの無線通信手段と通信可能であって、制御権の設定要求、制御・監視要求を作成して無線出力可能な複数個の携帯操作端末と、を備えるプラント制御システムにおいて、携帯操作端末のプラント機器への制御権を上記プラント制御手段内のデータテーブルに登録しておき、携帯操作端末からの制御操作要求が発せられて無線制御通信手段を介してプラント制御手段が受信したとき、プラント制御手段内のデータテーブルに制御権を登録している携帯操作端末に対して制御操作を許可し、この携帯操作端末から無線通信端末及びプラント制御手段を介して対応プラント機器の制御操作を行わしめるようにしたプラント制御方法を開示する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0021】本発明の一実施例を図を用いて説明する。図1は上下水道プラントの一部の簡単な模式図である。プラントは池1にある水を3台のポンプ21〜23、弁24〜27を用いて川に放流する構成である。図2は川に放流する際、各ポンプ21〜23の監視・操作を行っているプラント制御システムの仕組みを示す図である。プラント制御システムではポンプの運転・停止操作要求および機器の監視操作要求及びそれらの実現が操作者の指示で行える携帯操作端末A1〜A3、前記A1〜A3からの送信データを無線基地局3にて受信し、その受信データを処理するコントローラ2、プラント機器を駆動する各ポンプ21〜23に電気を供給する接触器の入/切を行うコントロールセンタ4で構成されている。コントローラ2は携帯操作端末と通信でき、監視・操作指令を制御する装置、コントロールセンタ4は、現場機器の実際の操作指令を実行(例えば、モータに電気を供給する接触器の入/切等)させる装置であり、この両者によってプラント制御手段を構成する。コントローラ2は、携帯操作端末A1〜A3が、どのポンプ21〜23が制御操作する権利(以下制御権と称す)を持つかおよびメンテナンスしているかの管理用データテーブル(データベース)30(図3)を持つ。コントローラ2は、基地局3とコントロールセンタ4との間に介在して、コントロールセンタ4と携帯操作端末1との間をつなぐ機器である。コントローラ2は、端末1の制御権の管理機能、制御権を持った端末1からの制御操作指令の受信とそれをコントロールセンタ4に送る制御操作管理機能、並びに端末装置1からの監視要求に対するコントロールセンタ4からの監視結果を示すデータの受信とそれを監視要求の端末1に送る送信とより成る監視管理機能、を持つ。
【0022】コントローラ2は、1個の例も、複数個の例もある。複数個の例とは、プラントの捜査対象機器を場所で区分して、その場所対応にコントローラを設ける例や、操作の重要性等で区分して設ける例(例えば、共通設備と個別設備とに分け、それぞれに対応するコントローラを設ける例)、携帯操作端末1をグループ分けしてそのグループ対応に設ける例等である。コントローラ2は、携帯操作端末からの各種の要求信号を受信取り込み、必要な処理(図4や図5)を行う。コントロールセンタ4に処理結果の制御信号を送信する。コントロールセンタ4は、現場機器の操作及び監視を行う部署であり、例えばプラント機器を駆動するモータ5に電気を供給する接触器の入/切の操作やポンプの動作監視等を行う。これにより、プラントの共通設備もしくは個別設備の機器を駆動/停止させる。
【0023】以下では、簡単のため、1個のコントローラ2の例を述べる。コントローラ2は、前述したように制御権の管理用のデータテーブル30を持つ。データテーブル30は、操作機器に対する携帯操作端末の制御権データ、メンテナンスの作業中を示すデータ、制御権委託を示すデータ等、の登録テーブルであり、その一例を図3に示す。図3は1号、2号、3号の3台のポンプに対する例であり、制御権は、1号ポンプには携帯操作端末A、2号ポンプには携帯操作端末A、3号ポンプにはいずれの携帯操作端末にも制御権が未登録の例を示す。これらの制御権の登録は、初期設定の例もあるが、随時、動的に新登録が可能である。例えば、ある時点で1号ポンプの制御権を端末Aに与えたとすると、それからある時刻を過ぎて端末Aが制御権を取消せば或いは端末Aの制御権がなくなれば(操作終了で制御権なくなるとする事例のこと)、その時点から後に制御権を獲得したい端末Aがあれば、その端末Aからの制御権獲得(設定)要求をコントローラ2が受けてデータテーブル上の1号ポンプの制御権Aに与える登録を行う。委託による代行も可能であり、図2では2号ポンプに携帯操作端末Aが委託登録されている例を示している。この委託については後述する。
【0024】一方、制御権を与えた場合、制御内容として、ポンプの起動/停止とかポンプの回転数設定とかの実運転操作制御と、ポンプの点検や修理の権限を与えるメンテナンスのためのメンテ操作制御とがある。このメンテ操作制御中か否かを示すフラグが図3の「メンテナンス」を示す部分であり、“1”で作業中(又は許可)信号、“0”で非作業信号を示す。この実操作とメンテ操作については更に後で詳述する。更に、制御権をある携帯操作端末に与えた場合、その携帯操作端末が別携帯操作端末に制御権を委託する例がある。委託を登録しているデータが図3の「委託」である。1つの携帯操作端末で複数の機器の操作をすることがあるが、機器数が多すぎると逆に操作作業が遅れたり、誤操作の原因にもなる。こうした場合、他の携帯操作端末に制御権を移すやり方もあるが、制御権はそのままにして他の携帯操作端末に制御を一時的に委託させるやり方もある。これが「委託」である。「委託」の利用例はこの他にも種々ありうる。例えば、上長の持つ携帯操作端末には制御権が与えられているがその部下の持つ携帯操作端末には制御権が付与されていないとか、制御権を得た端末使用者が休みとか、遠隔地に出張したりすることがあり、データテーブルに登録したままでは部下等を含む他の端末を持つ者による操作が絶対に不能である。そこで、制御権付与の携帯操作端末の使用者が自分の制御権の取消をコントローラ2に登録すればよいが、そうした取消をしないままで別人に制御権を一時的に与えるとしたものが「委託」である。これには、制御権登録の携帯操作端末の指示で「委託」相手となる携帯操作端末名を登録する。図3の2号ポンプの例では「委託」相手として携帯操作端末Anを設定した例を示してある。また、そうでなく、「委託」データとして、“1”か“0”かとし、“1”であれば委託であり、その委託の携帯操作端末名が図2の「制御権」に書き込む形式の如き例もある。この後者では、委託元の携帯操作端末名を関連づけて登録しておくことが好ましい。尚、「委託」の要求は、制御権を持つ携帯操作端末がコントローラに出すやり方としたが、制御権を持たない携帯操作端末から、制御権を持つ携帯操作端末へと委託要求を出すことも可能にしてある。そして、この委託要求を受けた携帯操作端末が操作者の判断で委託要求を受けるか否か決定し、委託要求を受け入れれば、この制御権を持つ携帯操作端末から上述と同じような委託要求信号をコントローラ2に対して発生して登録を行わせる。
【0025】プラントの監視には制御権は関与しない。監視とはプラントの状態を遠隔にて観察し評価する行為であり、機器操作が不要のため制御権が関知しないのである。従って、すべての携帯操作端末が監視要求を出すことができ、それを実現できる様な仕組みである。
【0026】プラント操作は実運転のための操作が主であるが、この他の操作にはメンテナンスのための点検作業がある。図3のデータベースの「メンテナンス」はそれを意味する。この場合、制御権の付与された携帯操作端末1のみにメンテナンスの実行を可能にさせる。実運転操作もメンテナンスによる保守点検作業も、機器を操作するという点で共通のために制御権を共通に必要とさせたのである。更に、メンテナンスと実運転とを同時に行うことなく、メンテナンス中は実運転をさせないことから、メンテナンスを実運転と区別させるべく、「メンテナンス」フラグを設けて、このフラグが“1”であればメンテナンス許可中(即ち作業中)であることにした。このフラグ“1”の登録は制御権を持つ携帯操作端末がコントローラ2に対して行う。作業終了すれば、再びこの携帯操作端末から作業終了の信号をコントローラ2に送り、“メンテナンス”フラグ“1”を“0”にさせる。
【0027】制御権は登録によって発生するが、その登録取消し(リセット)例を以下に述べる。
・コントロールセンタ等の携帯操作端末以外の部署からの強制的取消。これは、システム全体に異常が発生した場合や事故が発生した場合等に適用するもので、全体の又は異常や事故に関連する携帯操作端末の制御権を、一時的又はそうした異常や事故が解消するまで、強制的に取消そうとする考え方である。
・登録した携帯操作端末自身の申し出による取消。これは操作者が自身で登録取消の手続きをとる例である。
・操作終了による、自動的な携帯操作端末の制御権の取消。これは制御操作が終了すれば制御権を付与する必要はなく、新たな制御操作の要求であればその時点で、その要求先の携帯操作端末に制御権を新たに登録する様にした例である。この自動的な取消は、コントロールセンタ又はコントローラが行う。
【0028】委託設定の取消は、原則として委託元の携帯操作端末が行う。委託相手に勝手な自己取消を許すと、管理が混乱するからであるが、「自己取消付委託」等のオプションデータを付加するシステムであれば事故取消も可能である。メンテナンスの取消は、メンテナンス作業終了によって行う。作業中止の場合でも、当然に取消うる。
【0029】図4は、コントローラ2での処理フローである。フローFでは、携帯操作端末からの要求を受信する。フローFではでその要求の種別及び内容のチェック(デコード及び比較)を行う。携帯操作端末からの要求には、少なくとも下記を含む。
制御権設定要求信号…制御権の設定のための要求信号であり、制御権を取得したい時に、携帯操作端末の自己番号と操作機器番号と共に出力する。同一機器番号に既に制御権が設定されていれば、設定を拒否する。制御権が設定されていなければデータテーブルへ登録する(F)。制御権の設定はコントローラ2の立ち上げ時に、予め制御権を与える携帯操作端末がわかっていれば、コントローラ2自体でイニシャルセットするやり方もある。
委託設定要求信号…制御権を持つ携帯操作端末から出力される信号であって、制御権を持つ携帯操作端末が別の携帯操作端末に一時的に制御権を委託させるときの、委託権の設定の信号である。委託の旨の信号と、自己の機器番号と操作機器と委託相手となる携帯操作端末番号とより成る。かかる要求信号であれば、データテーブルにその旨の設定を行う(F)。
設定取消信号…取消を行う携帯操作端末から出力される、データテーブル上のデータの取消の信号である。このデータには、「制御権」、「メンテナンス」、「委託」があり、これらのデータの取消を示す信号である。これらのデータの取消については前述した。これらの取消要求であれば、該当するデータの取消をデータテーブルに対して行う(F)。
操作要求信号(操作指令信号)…機器操作を行う携帯操作端末からの機器の操作要求信号であり、この他に自己携帯操作端末番号、操作機器番号、操作指令内容を少なくとも含む。この操作要求に対してデータテーブルをみてこの携帯操作端末番号に制御権が与えられているか否かデータテーブル上でチェックする(F)。制御権がない場合には、委託相手となる携帯操作端末番号からの要求であるかチェックし(F)、委託相手でなければ、その操作要求を拒否する(F)。制御権がある場合、委託相手である場合、のいずれでも次に、操作要求がメンテナンス要求か否かチェックする(F)。メンテナンス要求であればデータテーブルにメンテナンス中であることを示すフラグを立てると共にメンテナンス操作を行わせる(F10)。メンテナンス要求でなければ、実操作を行わせる(F)。この処理F9、F10はコントロールセンタ4を介して行う処理である。尚、メンテナンス要求は、操作要求の中に区別して入れておいてもよく、操作要求とは別に、且つ操作要求の次にメンテナンス要求を出力させる仕組みでもよい。
監視要求信号…現場機器の作動状況の監視を要求する信号であり、自己携帯操作端末番号、監視対象機器番号、監視対象項目を少なくとも含む。監視対象機器番号の指定の代わりに、機器の集合体としてのあるシステムの運転状況等を指定する例もある。かかる監視要求信号は、制御権の有無には関係ない。従って、監視要求信号を受信した場合、コントローラ2はデータテーブルを参照することなく、監視要求に応答して、監視要求に合ったデータを、コントロールセンタ4を介して取込み、監視要求相手となる携帯操作端末へと送る。
【0030】図5は、メンテナンス時でのデータテーブルへの動的登録の他の処理フローを示す。ここでメンテナンス時とは、時期(時間)と対象を明らかにした上でのその時期でのその対象へのメンテナンス作業中であることを示す。このメンテナンス時にあっては複数の携帯操作端末から複数の機器へのメンテナンス作業を行うが、そのメンテナンス作業を次々に行うに際し、制御権等のデータを動的に登録する処理を図5に示した。
【0031】特に、図5はメンテナンス作業(機器点検)(F)のもとで、3台の携帯操作端末A、A、Aが1号〜3号ポンプに対して適宜点検操作を要求する事例を扱っている。例えば、携帯操作端末Aが1号ポンプ、携帯操作端末Aが2号ポンプ、携帯操作端末Aが3号ポンプを操作する場合は、携帯操作端末A〜Aの互いの操作対象機器が違うためデータ衝突は起こりえないが、1号ポンプを携帯操作端末Aが運転操作、携帯操作端末Aが停止操作を行った場合はデータ衝突や機器故障が発生する可能性を有する。また、保守点検時においてどちらか一方の操作端末がポンプを停止させていても、あとから他の携帯操作端末がこの停止中ポンプを運転操作した場合、保守員にとって危険なことが発生する可能性もある。このようなことを事前に防ぐために携帯操作端末Aが制御権登録設定要求信号をコントローラ2に送り、他の携帯操作端末よりも先に通信成立した場合(F)、コントローラ2のデータテーブルにある携帯操作端末Aとして登録される(F)。一方、携帯操作端末Aから、携帯操作端末Aの後に制御権設定要求の通信をしたとすると、制御権の取得は、Aが先登録しているため不可で、コントローラ2のデータテーブルには登録されない(F、F)。従って、1号ポンプ21に対する操作(制御権獲得)が不可能となる。次に、操作対象機器をメンテナンスするのだが、携帯操作端末Aは機器点検のためF12に進みF13にてコントローラ2のデータテーブルに1号ポンプをメンテナンスするためのフラグを1(メンテナンス状態を意味する)にする。このときの操作は、図6に記載の保守画面にて携帯操作端末Aより操作員が携帯操作端末の操作画面上の保守ボタンを押し画面のアナウンスに対してOKを押す。
【0032】ここで、図6の操作画面(広義)について述べる。これは携帯操作端末自体の表示部での表示例である。30が電池表示ラベルである。画面内容には、初期画面31、操作画面32(狭義)、委託画面33、保守画面34があり、いずれかを選択可能となっている。タッチで画面操作を行う。例えば、制御権を有する携帯操作端末であれば1号〜3号のポンプ操作のための初期画面31を表示しておき、ポンプ選択(例えば1号)、「操作」ボタンONで初期画面31から操作画面32へと切り替わる。ここで、「保守」ボタンONで保守画面34へと切り替わる。また「委託」の求めが他の携帯操作端末からあれば、画面33へと切り替わる。尚、機器メンテナンス終了後、携帯操作端末Aよりメンテナンスフラグを0(メンテナンス終了を意味する)にすることにより、1号ポンプの運転操作を再開することができる。以上により、コントローラ2にて1号ポンプが運転操作不可能となり、誤操作による操作者への危険性の防止や機器の破壊の防止ができる。しかし、制御権を有する携帯操作端末Aが故障やバッテリ切れにより使用不能となった場合、コントローラ2が通信不成立と判断した時点でデータテーブルの1号ポンプに対する携帯操作端末Aが消え、通信成立している携帯操作端末Aを新たな携帯操作端末として登録する。しかし、これでは非常に時間がかかってしまう。そこで、バッテリ切れになる前に、予め制御権を他の携帯操作端末に痛くできることも本発明の特徴である。例えば、携帯操作端末Aの画面上にあるバッテリが消えて充電が必要となった際、F14のように携帯操作端末Aから携帯操作端末Aに対し制御権を委託することにより(F15)、短い時間でコントローラ2のデータテーブルにある1号ポンプに対する携帯操作端末をAに切り替えることができる(F16)。
【0033】携帯操作端末は、汎用の携帯電話機を使用するものでなく、プラント操作専用の端末である。携帯電話機は通話やモバイル通信には適するが、ある特定のプラントの操作のための特定指令や特定操作には適さない。また万が一、プラント操作に関連のない一般人から操作された場合、大変な事故にもなる。従って、プラント操作専用の携帯操作端末を使用する。
【0034】かかる携帯操作端末の実施の態様も図7に示す。携帯操作端末2は、受信部10、送信部11、メモリ12、ICカード13、CPU14、表示部15、キー群16、画面例データテーブル17、操作機器一覧テーブル18、操作内容一覧テーブル19とを持ち、いずれも共通バス20に接続した。この他に電源21やアンテナ(図示せず)を持つ。受信部10、送信部11とは基地局との間で無線通信を行う。メモリ12は、各種のデータ及び機器操作のためのプログラムを格納し、CPU14は機器操作の処理、及び携帯操作端末自体の管理を行う。ICカード13は、プログラムの入力及び操作データベースの入力を行う。この入力により、プログラムはメモリ12に送られ、データベースはテーブル17、18、19に送られる。
【0035】表示部15は液晶等より成り、キー群16は数字キー、ファンクションキー、文字入力キー等より成る。テーブル17、18、19は、ICカード13からの操作データベースの中の、画面例データベース、操作機器一覧データベース、操作内容一覧データベースを取り込み、画面操作、機器操作用に使用する。画面例データベースの一例は図6に示した。テーブル18の操作機器一覧テーブルとは、プラントの操作対象の機器の一覧を示し、これらは機種別、制御別、配置別、操作目的別等で索引可能である。テーブル19の操作内容一覧テーブルとは、機器対応の操作事例(ON/OFF、開度50%、出力70%とか)を示すと共にプラントの全体的又は局所的な操作目的に応じた操作内容をも格納する。操作画面に対する操作は、画面タッチ方式としたが、カーソル式の例もありうる。尚、テーブル17、18、19は、最初から組み込んでおく例もある。また、コントローラ2から転送格納する例もある。
【0036】以上で、保守点検時におけるポンプの一連の操作説明を終了するが、上下水道プラントの特徴として前述したように共通設備と個別設備と呼ばれる設備がある。共通設備はプラントの運用に携わっており、プラントの核となる設備であり、公共機関への影響は多大なものとなるため前記共通設備が停止するとプラント停止につながる。個別設備は各プラント要素(例えば上下水道プラントでは、複数の池が存在するが、その各池毎)の設備であって、個別設備の停止の際はプラント全体への影響を最小限にするようになっている。そこで、携帯操作端末の操作対象を共通設備と個別設備との両者とするか、個別設備を介しての共通設備の操作を認めるか、個別設備のみの操作だけを認めるか等の問題が生ずる。これらのどれを採用するかはプラント規模や内容によって定める。
【0037】更に、携帯操作端末を共通設備専用、個別設備専用の如く区別するか、両者区別なく操作できるように携帯操作端末を構成しておくか、の問題もある。どちらも採用可能である。また、共通設備と個別設備とで、相互に相手を通して操作制御を許すか否という問題がある。このための有力なやり方としては、共通設備から個別設備への操作制御を許し、逆の個別設備から共通設備への操作制御は許さないとするやり方がある。共通設備から個別設備への操作制御を許すとするのは、共通設備の携帯操作端末はいわばプラント管理者であるためプラント全体を見渡せないと、操作制御による運用・保守・メンテナンスにおける緊急時の対処ができなくなるためである。一方、逆の個別設備から共通設備への操作制御は、個別設備の携帯操作端末はいわばプラントを運用する各設備の担当者であるため、禁止させることとしたのである。
【0038】尚、個別設備の操作を行う携帯操作端末と、共通設備の操作を行う携帯操作端末とから同時に、共通設備の機器に対して操作指令が送信された場合において、受信側である共通設備のコントローラにて、上述したようにして制御権とメンテナンスフラグを確認することにより、個別設備にある携帯操作端末からの操作指令を制御不可とし、共通設備機器の誤動作を防ぐことができる。また、共通設備の機器を保守,メンテナンスしている最中は、共通設備のコントローラにてメンテナンスフラグを確認し、制御権を有する携帯操作端末からの誤操作による事故を防ぐことができる。更に、個別設備にある携帯操作端末に対して共通設備機器の制御権を委託したい場合は、共通設備のコントローラにて操作機器番号を書換える処理を行うことにより、個別設備の携帯操作端末に共通設備機器を制御する権利が与えられるため、他設備からの遠隔操作を行うことができ、操作員の移動時間による無駄を省くことが可能となる。
【0039】尚、本発明のプラント制御システムは、上下水道プラントは勿論、それ以外の各種プラントにも適用できることはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、1つの操作対象機器に対して複数の携帯操作端末からの操作指令が競合した場合でも、制御権のある携帯操作端末からの操作指令に対してだけ対象機器が動作するため、誤操作に起因する事故等を回避することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年8月28日(2001.8.28)
【代理人】 【識別番号】100093872
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 芳紘
【公開番号】 特開2003−67002(P2003−67002A)
【公開日】 平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願番号】 特願2001−257214(P2001−257214)