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【発明の名称】 感光性ペースト、それを用いた回路基板およびセラミック多層基板の製造方法
【発明者】 【氏名】久保田 正博
【住所又は居所】京都府長岡京市天神ニ丁目26番10号 株式会社村田製作所内

【氏名】安部 良夫
【住所又は居所】京都府長岡京市天神ニ丁目26番10号 株式会社村田製作所内

【要約】 【課題】焼成時にパターン縁端部が基板から剥離することがない感光性ペーストを提供する。また、その感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により配線パターンやビアホールを形成した回路基板およびセラミック多層基板の製造方法を提供する。

【解決手段】無機粉末、感光性有機成分、感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質、および4価以上の多価アルコールを含有する感光性ペーストにおいて、前記酸化硼素を遊離する物質として硼酸エステルを用い、その硼酸エステルからの酸化硼素遊離量が、無機粉末の0.5重量%以上、5重量%以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無機粉末、感光性有機成分、感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質、および4価以上の多価アルコールを含有することを特徴とする感光性ペースト。
【請求項2】 前記酸化硼素を遊離する物質からの酸化硼素遊離量は、無機粉末の0.5重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の感光性ペースト。
【請求項3】 前記酸化硼素を遊離する物質が、硼酸エステルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性ペースト。
【請求項4】 前記硼酸エステルは、多価アルコールと硼酸を反応させて得られるものであることを特徴とする請求項3に記載の感光性ペースト。
【請求項5】 前記無機粉末の主成分が導電性金属粉末であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の感光性ペースト。
【請求項6】 前記無機粉末が絶縁性無機粉末であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の感光性ペースト。
【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを基板に塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記基板上に所定のパターンを形成する工程と、前記パターンを焼付ける工程と、を備えることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを支持体上に塗布する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記支持体上に所定のパターンを形成する工程と、前記支持体上に形成された前記パターンを基板上に転写する工程と、前記パターンを焼付ける工程と、を備えることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項9】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストをセラミックグリーンシートに塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記セラミックグリーンシート上に所定のパターンを形成する工程と、前記パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を焼付ける工程と、を備えることを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
【請求項10】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを支持体に塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記支持体上に所定のパターンを形成する工程と、前記支持体上に形成された前記パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、前記パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を焼付ける工程と、を備えることを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】基板表面や、多層基板を構成する各基板上に、所望のパターンを形成する際などに用いられる感光性ペーストと、該感光性ペーストを用いた回路基板およびセラミック多層基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信機器、衛星放送受信機器、コンピュータ等に用いられる高周波電子部品は、小型かつ高性能であることが強く求められている。また、高周波電子部品の配線パターンに関しても、その高密度化及び信号の高速化への対応が要求されており、その高密度化や信号の高速化を達成するためには、配線パターンの微細化及び厚膜化、ビアホールの微細化が必要である。
【0003】従来より、高周波電子部品の配線パターンやビアホールの形成には、スクリーン印刷法が用いられる。すなわち、配線パターンは、有機バインダや有機溶媒からなる有機ビヒクルと導電性金属粉末などを混合した導体ペーストを所定のスクリーンマスクを介して印刷し、焼付けることにより形成される。また、ビアホールは、有機ビヒクル中にガラス等の絶縁性無機粉末を混合した絶縁体ペーストを所定のスクリーンマスクを介して印刷した後、形成されたビアホール用孔に導体ペーストを充填し、焼付けることにより形成される。
【0004】しかし、上記のスクリーン印刷法では、にじみやかすれ等により、配線パターンやビアホールの微細化に対応しきれないという問題があった。また、スクリーン印刷法では、レベリング時にパターン縁端部がダレて、パターン中央部よりも厚みが薄い状態となる。高周波では、パターン縁端部に電流が集中する、いわゆる縁端効果が顕著なため、パターン縁端部の厚みが薄いことは、高周波における信号の高速化に不利に働くという問題もあった。
【0005】そこで、感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法が提案されている。これは、無機粉末(配線パターン形成には導電性金属粉末、ビアホール形成にはガラス粉末)に、アクリル系共重合体、光反応性化合物、光重合開始剤などからなる感光性有機成分を含有させた感光性ペーストを基板上に塗布し、乾燥後、マスクを当接し、露光、現像して所定形状の配線パターンまたはビアホールを形成するというものである。
【0006】上記の感光性ペーストによるフォトリソグラフィ法によれば、微細かつ厚膜の配線パターン、および微細なビアホールを形成することができる。また、パターン中央部とパターン縁端部との厚みがほとんど変わらない均一な膜厚のパターンを形成することができる。したがって、スクリーン印刷法に比べて、高周波における高密度化や信号の高速化に有利な配線パターンやビアホールを得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記フォトリソグラフィ法で配線パターンやビアホールを形成する場合、焼成時に縁端部が基板から剥離するという問題が発生する。これは、パターンを焼成すると、パターン中の無機粉末が焼結することにより収縮応力が発生し、この収縮応力が、パターン縁端部を基板から剥離させようとする方向に働くからである。
【0008】これは、スクリーン印刷法によるパターンでは発生せず、フォトリソグラフィ法によるパターンに特有のものである。スクリーン印刷法によるパターンは、パターン縁端部の厚みが薄いため、パターン縁端部での収縮応力がパターン中央部に比べて小さく、実際にパターン縁端部が基板から剥離することはない。しかし、フォトリソグラフィ法によるパターンは、パターン縁端部とパターン中央部で厚みがほとんど変わらないため、基板とパターンを密着させていたパターン中の有機成分が焼失すると、収縮応力により縁端部が基板から剥離してしまう。
【0009】本発明の目的は、焼成時にパターン縁端部が基板から剥離することがない感光性ペーストを提供することである。さらに、該感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により配線パターンやビアホールを形成した回路基板およびセラミック多層基板の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、感光性ペーストの感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質を所定量含有させることにより、パターン縁端部が剥離するのを有効に防止できることを見出した。
【0011】すなわち、本発明の請求項1の感光性ペーストは、無機粉末、感光性有機成分、感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質、および4価以上の多価アルコールを含有することを特徴とする。
【0012】本発明の感光性ペーストによれば、遊離した酸化硼素(融点は450℃)は、パターン中の有機成分が焼失する温度(約500℃)で、溶融した状態となってパターン中に存在する。この遊離した酸化硼素は、パターン中の有機成分が焼失した後も、該有機成分の代わりにパターンと基板との密着力を保ち、パターン縁端部が基板から剥離するのを防止する。
【0013】さらに、本発明の感光性ペーストは、酸化硼素を遊離する物質とともに4価以上の多価アルコールが存在しているので、酸化硼素を遊離する物質の酸性が高まり、酸化硼素を遊離する物質が無機粉末表面に吸着しやすくなる。そのため、無機粉末表面に感光性有機成分が吸着することを妨げ、ゲル化の発生が抑制され、感光性ペーストの粘度安定が高まる。
【0014】なお、前記4価以上の多価アルコールとしては、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールなどが挙げられる。
【0015】一方、前記4価以上の多価アルコールとして、側鎖にヒドロキシル基のあるポリマーを使用することは好ましくない。側鎖にヒドロキシル基のあるポリマーと硼酸は、3次元的な構造を形成してゲル化しやすく、感光性ペーストの粘度安定性を低下させるからである。このことは、ポバールショックとして有名な、ポリビニルアルコールと硼酸の反応において、きわめてゲル化した物質が得られることからも明らかである。
【0016】なお、本発明の感光性ペーストにおいて使用される感光性有機成分とは、従来から公知の光重合性、若しくは光変性化合物のことであって、例えば、(1)有機バインダーと不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤の混合物、(2)芳香族ビスアジドとホルムアルデヒドの縮合体等のいわゆるジアゾ樹脂、(3)エポキシ化合物等の付加重合性化合物とジアリルヨウドニウム塩等の光酸発生剤の混合物、(4)ナフトキノンジアジド系化合物、等が挙げられる。
【0017】これらの感光性有機成分のうち、特に好ましいのは、(1)の有機バインダと、不飽和基等の反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物等の光ラジカル発生剤の混合物である。
【0018】前記有機バインダとしては、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体であることが望ましい。このような有機バインダを使用することによりアルカリ系又は水系の現像液で現像処理を容易に行うことができる。
【0019】なお、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含む前記有機バインダは、例えば、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させることにより製造することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸及びこれらの無水物等が挙げられる。一方、エチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、フマル酸モノエチル等のフマル酸エステル等が挙げられる。
【0020】また、前記アクリル系共重合体は、以下のような形態の不飽和結合を導入したものを使用してもよい。
(1)前記アクリル系共重合体の側鎖のカルボキシル基に、これと反応可能な、例えばエポキシ基等の官能基を有するアクリル系モノマーを付加したもの。
(2)側鎖のカルボキシル基の代わりにエポキシ基が導入されてなる前記アクリル系共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和多価カルボン酸無水物を導入したもの。
【0021】また、前記反応性官能基含有モノマー・オリゴマーとしては、ヘキサンジオールトリアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1、3−ブチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0022】また、前記光ラジカル発生剤としては、ベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルジメチルケタール、2−n−ブトキシ−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2、4−ジメチルチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0023】本発明の感光性ペーストには、さらに紫外線吸収剤が含まれていることが望ましい。紫外線吸収剤を含むことによって、露光光線の吸収性を向上できると同時に光散乱による露光不良を最小限に抑えることができる。紫外線吸収剤としては、アゾ系赤色顔料、アミン系赤色染料等が挙げられる。
【0024】また、本発明の感光性ペーストには、チキソトロピック剤、ゲル化防止剤、可塑剤のほか、消泡剤、分散剤、染料、顔料、界面活性剤、重合禁止剤、剥離剤などをさらに適宜添加することができる。
【0025】前記チキソトロピック剤としては、一般に「増粘・ダレ止・沈降防止剤」や「ダレ止・沈降防止剤」、「顔料湿潤・分散・沈降防止剤」と言われているものを使用でき、「増粘・ダレ止・沈降防止剤」としては、植物重合油系、ポリエーテル・エステル型界面活性剤、水添ひまし油系、水添ひまし油系とアマイド系の混合物、脂肪酸アマイドワックス系等が挙げられる。また、「ダレ止・沈降防止剤」としては、特殊脂肪酸系、硫酸エステル型・アニオン系界面活性剤、酸化ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系とアマイド系の混合物等を使用でき、「顔料湿潤・分散・沈降防止剤」としては、脂肪酸系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩、ポリエーテル・エステル型アニオン系界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、長鎖ポリアミノアマイドと高分子酸ポリエステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドとリン酸の塩、特殊変性ポリアマイド系、リン酸エステル系界面活性剤、高分子ポリエステル酸のアマイドアミン塩を使用できる。
【0026】また、その他、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、カゼイン、カゼイン酸ソーダ、キサンタンガム、ポリエーテルワレン変成物、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、モンモタロナイト、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸アルミニウム、デキストリン脂肪酸エステル、ジベンジリデンソルビトール、植物系重合油、表面処理炭酸カルシウム、有機ベントナイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナなどの微粉末をチキソトロピック剤として使用することが可能である。
【0027】また、前記ゲル化防止剤としては、アニオン吸着性物質や沸点178℃以上のアルコールなどを使用することができる。前記アニオン吸着性物質は、無機微粒子や有機微粒子の形態をとるものであってよい。前記無機微粒子としては、ハイドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、リン酸ジルコニウム、含水酸化アンチモン等が好適である。
【0028】また、前記有機微粒子としては、アニオン交換性樹脂等を用いることができ、例えば、(1)ジビニルベンゼンと、アクリレート、メタクリレート又はアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級又は4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、(2)トリビニルベンゼンと、アクリレート、メタクリレート又はアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級又は4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、(3)トリメチロールプロパントリメタクリル酸エステルと、アクリレート、メタクリレート又はアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級又は4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、(4)エチレングリコールジメタクリル酸エステルと、アクリレート、メタクリレート又はアクリロニトリルとの共重合体を母体に、1級、2級、3級又は4級アミノ基をイオン交換基として導入したもの、等が挙げられる。
【0029】前記沸点178℃以上のアルコールとしては、モノオール化合物、多価アルコールいずれのアルコールを使用することも可能である。モノオール化合物としては、1−オクチルアルコール、2−オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、トリメチルヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、クレゾール、乳酸ブチル、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、フェネチルアルコール、メルカプトブタノール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルピペラジン、シクロヘキサノンオキシム、ヒドロキシメトキシアリルベンゼン、ヒドロキシメトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルピペラジン、ヒドロキシプロピオニトリル、ヒドロキシアセトナフトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾイミダゾール、フェニルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイン、チモール、ヒドロキシメトキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、ヒドロキシメチルピロン、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシナフトキノン、ヒドロキシノルボルネンジカルボキシイミド、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルグリシン、ヒドロキシフタルイミド、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシこはく酸イミド、ヒドロキシトルイル酸、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート若しくはその混合物等が挙げられる。
【0030】また、前記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレートなどのノルマルアルキルフタレート類、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸エステル類、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−アルキルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル類、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼテート、ジメチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルマレート、アセチル−トリ−(2−エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコール−ジ−(2−エチルヘキソエート)、ポリグリコールエーテルなどのグリコール誘導体、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセチルモノラウレートなどのグリセリン誘導体、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などからなるポリエステル類、分子量300〜3000の低分子量ポリエーテル、同低分子量ポリ―α―スチレン、同低分子量ポリスチレン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどの正リン酸エステル類、メチルアセチルリシノレートなどのリシノール酸エステル類、ポリ−1,3−ブタンジオールアジペートなどのポリエステル、エポキシ化大豆油などのエポキシ化エステル類、グリセリントリアセテート、2−エチルヘキシルアセテートなどの酢酸エステル類などが挙げられる。
【0031】また、請求項2の感光性ペーストは、前記酸化硼素を遊離する物質からの酸化硼素遊離量が、無機粉末の0.5重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする。前記酸化硼素遊離量とは、この感光性ペーストをパターン化し、焼付けるときに発生する遊離量のことである。
【0032】酸化硼素遊離量が無機粉末の0.5重量%未満であると、パターン縁端部の剥離を防止できない。また、酸化硼素遊離量が無機粉末の5重量%を超えると、焼成中に発生する酸化硼素の蒸発・昇華が激しくなり、かえってパターン縁端部の剥離が発生してしまうことがある。
【0033】また、請求項3の感光性ペーストは、前記酸化硼素を遊離する物質が、硼酸エステルであることを特徴とする。
【0034】硼酸エステルは感光性有機成分に溶解しやすいため、パターン中に均一に存在させることができるからである。なお、前記硼酸エステルは、感光性有機成分への溶解のしやすさから、室温で液体であることが好ましい。
【0035】前記酸化硼素を遊離する物質としては、硼酸など各種無機硼素化合物も考えられる。また、酸化硼素そのものを感光性ペーストに含有させる方法も考えられる。しかし、これらの無機硼素化合物は、感光性有機成分に溶解しにくいためにパターン中に均一に存在しにくく、パターン縁端部の基板からの剥離を防止する効果が低い。さらには、凝集しやすいために感光性ペーストをゲル化させることがある。
【0036】また、請求項4の感光性ペーストは、前記硼酸エステルが、多価アルコールと硼酸を反応させて得られるものであることを特徴とする。
【0037】一分子中に1個だけヒドロキシル基を有するモノオール化合物を使用して得られた硼酸エステルは、揮発性が高いために高温では消失しやすく、パターン中に酸化硼素を遊離する役割を果たせないことがある。対して、一分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する多価アルコールを使用して得られた硼酸エステルは、硼酸と多価アルコールが数個結合してオリゴマーのような構造となっているため揮発しにくく、高温で消失することがないからである。
【0038】図1、図2に、それぞれモノオール化合物(一分子中に1個ヒドロキシル基を有するアルコール)、ジオール化合物(一分子中に2個ヒドロキシル基を有するアルコール)と硼酸を反応させて得られた硼酸エステルの構造を示す。
【0039】なお、前記硼酸エステルを得るために使用されるアルコールは、常温で液体であることが好ましい。常温で固体のアルコールから硼酸エステルを得るには、アルコールを別の有機溶剤に溶解するという工程を経てから、硼酸と反応させる必要がある。しかし、常温で液体のアルコールを用いれば、アルコールに直接硼酸を混合させて溶解するだけで、硼酸エステルを得ることができるからである。
【0040】なお、硼酸エステルを得るための多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ブテンジオール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、アドニトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトール、マリトール、ペルセイトール、ボレミトールなどが挙げられる。
【0041】一方、前述の4価以上の多価アルコールと同様、硼酸エステルを得るための多価アルコールとして、側鎖にヒドロキシル基のあるポリマーを使用することは好ましくない。
【0042】また、請求項5の感光性ペーストは、前記無機粉末の主成分が導電性金属粉末であることを特徴とする。なお、ここで「無機粉末の主成分が導電性金属粉末である」とは、無機粉末に占める導電性金属粉末の体積分率が50%を超えることをいう【0043】前記無機粉末の主成分が導電性金属粉末である場合には、焼成時の収縮応力が大きいために、パターン縁端部の基板からの剥離が特に顕著となるが、感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質を感光性ペーストに含有させることにより、パターン縁端部の基板からの剥離を防止することができるので、特に有効である。
【0044】なお、前記導電性金属粉末は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0045】さらに、前記無機粉末の主成分が導電性金属粉末である場合焼成後における、基板との密着力を向上する目的で、ガラス粉末やセラミック粉末等を導電性金属粉末と混合して無機粉末としてもよい。
【0046】前記ガラス粉末としては、ホウ珪酸系ガラス粉末等の公知のガラス粉末を使用できる。より具体的にはSiO2−PbO系、SiO2−ZnO系、SiO2−Bi23系、SiO2−K2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−PbO−B23系、SiO2−ZnO−B23系、SiO2−Bi23−B23系、SiO2−K2O−B23系、SiO2−Na2O−B23系等のものを使用することができる。
【0047】また、前記セラミック粉末としては、結晶化ガラス系、ガラス複合系、非ガラス系の公知のセラミック粉末を使用できる。より具体的にはAl、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、Mn、Co、Ni、Fe、Y、Nb、La及びRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属の酸化物、硼化物、窒化物、ケイ化物等を使用することができる。
【0048】また、請求項6の感光性ペーストは、前記無機粉末が絶縁性無機粉末であることを特徴とする。前記絶縁性無機粉末としては、ガラス粉末やセラミック粉末などがある。前記ガラス粉末およびセラミック粉末としては、前記導電性金属粉末と混合するガラス粉末およびセラミック粉末と同様のものを使用することができる。
【0049】また、本発明の感光性ペースト中の焼成残存物の体積分率は、感光性ペーストの焼結性等を向上できることから、30%以上、89%以下であることが望ましい。体積分率が30%未満であると、焼成時に体積収縮が激しくなり、例えば、パターンを形成した時には断線が発生することがある。他方、体積分率が89%を超えると、形成した構造物自体の強度が極めて弱くなり、焼成時に構造物が壊れてしまうことがある。なお、本発明において、前記焼成残存物の体積分率は、感光性ペーストのうち、乾燥時に除去される成分(有機溶剤など)を除いた固形分中に含まれる、焼成後に残存する無機成分の体積分率を意味する。
【0050】また、本発明の請求項7の回路基板の製造方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを基板に塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記基板上に所定のパターンを形成する工程と、前記パターンを焼付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0051】また、本願発明の請求項8の回路基板の製造方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを支持体上に塗布する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記支持体上に所定のパターンを形成する工程と、前記支持体上に形成された前記パターンを基板上に転写する工程と、前記パターンを焼付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0052】また、本願発明の請求項9のセラミック多層基板の製造方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストをセラミックグリーンシートに塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記セラミックグリーンシート上に所定のパターンを形成する工程と、前記パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を焼付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0053】また、本願発明の請求項10のセラミック多層基板の製造方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを支持体に塗付する工程と、前記感光性ペーストを露光、現像して、前記支持体上に所定のパターンを形成する工程と、前記支持体上に形成された前記パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、前記パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を焼付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0054】本発明の回路基板およびセラミック多層基板の製造方法によれば、請求項1から請求項6のいずれかに記載の感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ法によりパターンを形成するので、パターン縁端部の基板からの剥離を防止した、微細かつ厚膜の配線パターン、および微細なビアホールを形成できる。よって、高速信号化、高密度配線化に十分に対応した回路基板およびセラミック多層基板が得られる。
【0055】
【発明の実施の形態】[実施形態1(配線パターンの形成方法)]以下、本発明の感光性ペースト(無機粉末として導電性金属粉末を含む)を用いた配線パターンの形成方法を、図3を参照しつつ、具体的に説明する。なお、ここでは、感光性ペーストがネガ型である場合を例にとって説明するが、フォトマスクパターンを明暗反転させることにより、ポジ型の感光性ペーストを用いることも可能である。
【0056】まず、スピンコーター、スクリーン印刷、ドクターブレード法等により、図3(a)に示すように、本発明の感光性ペーストを支持体1上に塗布し、40〜100℃、10分〜2時間の条件で乾燥して感光性ペーストによる塗膜2を形成する。
【0057】次に、図3(b)に示すように、支持体1上の塗膜2に、所望のパターンが描画されたマスク3を介して、高圧水銀灯等からの活性光線4を、20〜5000mJ/cm2の露光量で照射し、塗膜2を所定のパターンに露光する。すると、光線の照射された部分(露光部)2a及び2bは硬化し、後の現像処理によって現像されない領域となる。
【0058】次に、露光部2a、2b及び未露光部2c、2d、2eからなる塗膜2に、炭酸ナトリウム水溶液等の汎用のアルカリ水溶液をスプレーシャワー等によって作用させ、未露光部2c、2d、2eを前記アルカリ水溶液に溶け出させる(すなわち現像する)ことにより、図3(c)に示すように、支持体1上に配線パターン5a、5bを形成する。
【0059】次に、図3(d)に示すように、支持体1上の配線パターン5a、5bを、一般的な熱プレス装置を用いて1〜200MPa、50〜150℃の条件下で5秒〜5分の時間をかけて基板6上へ熱転写する。
【0060】そして、基板6から支持体1を剥離することにより、図3(e)に示すように、基板6上に微細かつ高精細の配線パターン5a、5b(未焼成)が形成される。
【0061】この未焼成のパターン配線5a、5bを所定の温度で焼成する。これにより、本発明の感光性ペーストを用いて配線パターン5a、5bを形成した基板6を製造することができる。
【0062】なお、転写用の支持体1としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等のフィルム状支持体を好適に用いることができる。なお、基板6との剥離性が低い場合があるので、そのような場合は、シリコンコート、ワックスコート、メラミンコート等の離型処理など、支持体1に適宜、公知の表面処理を施してもよい。
【0063】なお、基板6としては、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混合したスラリーをシート状に成形したセラミックグリーンシートなどが挙げられる。前記セラミックグリーンシートは、ガラス粉末が混合されたものであってもよい。
【0064】さらに、前記セラミックグリーンシートは、有機ビヒクルに感光性有機成分を混合した感光性セラミックグリーンシートであって、フォトリソグラフィ法によって微細なビアホールなどを形成したものであってもよい。
【0065】さらに、具体的には、前記セラミックグリーンシートとしては、Al23等の絶縁性セラミック粉末、BaTiO3等の誘電体セラミック粉末、ニッケル亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛銅フェライト等のフェライト系粉末、RuO2、Pb2Ru27、Bi2Ru27、Mn・Co・Niの複合酸化物等の導電性セラミック粉末、PZT等の圧電体セラミック粉末等を有するセラミックグリーンシートなどが適宜使用できる。
【0066】なお、上記例では、パターンを形成する基板として、セラミックグリーンシートを挙げたが、その他、絶縁体セラミック層や誘電体セラミック層上へのパターン形成など、種々の用途に適用できる。
【0067】また、図3に示した支持体1を用いるパターン形成方法のほか、支持体1を絶縁性基板とすることによって、転写工程を介さずに、基板に直接本発明の感光性ペーストを塗付した後、フォトリソグラフィにより微細なパターンを形成することも可能である。
[実施形態2(ビアホールの形成方法/回路基板の製造方法)]次に、本発明の感光性ペースト(無機粉末として絶縁性無機粉末を含む)を用いたビアホールの形成方法を、図4の回路基板(チップコイル)を例にとり、具体的に説明する。
【0068】図4の分解斜視図に示すチップコイル11は、内部電極12a、12b、12c、12dがそれぞれ形成されたアルミナなどからなる絶縁体層13a、13b、13c、13d、13eが順次積層された積層体であり、図示していないが、両端部に外部電極が配設されている。
【0069】すなわち、チップコイル11の内部には、コイルパターンを形成する内部電極12a、12b、12c、12dが、絶縁体層13a、13b間、絶縁体層13b、13c間、絶縁体層13c、13d間、絶縁体層13d、13e間にそれぞれ設けられており、絶縁体層13a、13b間に設けられる内部電極12aと、絶縁体層13d、13e間に設けられる内部電極12dとは、外部電極にそれぞれ接続される。
【0070】さらに、絶縁体層13a、13b間に設けられる内部電極12aは、絶縁体層13bに形成されたビアホール(図示せず)を介して、絶縁体層13b、13c間に設けられた内部電極12bと電気的に接続されており、同様に、内部電極12b、12c、および内部電極12c、12dとが、それぞれ絶縁体層13c、13dに形成されたビアホール(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0071】このチップコイル11の製造方法について説明する。チップコイル11において、内部電極12a、12b、12c、12dは、実施形態1の本発明の感光性(導体)ペーストを用いた配線パターン形成方法により形成され、絶縁体層13b、13c、13dに形成されるビアホールは、本発明の感光性(絶縁体)ペーストを用いたフォトリソグラフィ法によりパターン形成される。
【0072】まず、無機粉末の主成分として導電性金属粉末を用いた感光性導体ペーストを用い、実施形態1の感光性パターンを用いた配線パターン形成方法により、アルミナなどの絶縁体層13a上に所望の配線パターンを形成する。次に、脱脂処理後、例えば空気中、850℃で1次間程度焼成して、スパイラル状の内部電極12aを形成する。
【0073】次に、無機粉末としてガラス粉末などの絶縁性無機粉末を使用した感光性絶縁体ペーストを用い、実施形態1の感光性パターンを用いた配線パターン形成方法を援用して、内部電極12aの形成された絶縁体層13aの上に、ビアホール用孔を有する絶縁体層13bを形成する。
【0074】詳しく説明すると、内部電極12aの形成された絶縁体層13aの上に、感光性絶縁体ペーストを塗付し、所定のマスクを当てて、現像、露光し、ビアホール用孔を有する絶縁体ペースト層を形成する。さらに、前記絶縁体ペースト層を大気中、所定温度で焼成して、ビアホール用孔を有する絶縁体層13bを形成する。
【0075】さらに、絶縁体層13bのビアホール用孔に導体ペーストを充填し、乾燥し、内部電極12aの一端と内部電極12bの一端とを接続するためのビアホールを形成する。
【0076】その後、上記の内部電極12aを形成したのと同じようにして、絶縁体層13b上にスパイラル状の内部電極12bを形成する。ついで、同様にして、絶縁体層13c、内部電極12c、絶縁体層13d、内部電極12dを設けることにより、内部電極12a、12b、12c、12dと絶縁体層13a、13b、13c、13d、13eが積層された構造を有するチップコイル11を得ることができる。
【0077】なお、本発明の回路基板は、チップコイルの他、チップコンデンサ、チップLCフィルタ等の回路素子用基板や、VCO(Voltage Controlled Oscillator)やPLL(Phase Locked Loop)等のモジュール用基板であってよい。
【0078】また、本発明の感光性ペーストを用いて支持体1や基板6に微細パターンを形成した後、機能性有機バインダを含む混合物を塗布して積層構造を形成し、焼成等の熱処理を施すことによって、多層回路基板もしくは多層回路素子を製造することもできる。機能性有機バインダを含む混合物としては、前記セラミック粉末と有機バインダを混合したものや銅、銀等の導電性金属粉末に有機バインダを混合したもの、また、さらにガラス粉末を混合したものなどが挙げられる。
[実施形態3(セラミック多層基板の製造方法)]次に、本発明のセラミック多層基板の製造方法について、図5を参照しつつ説明する。
【0079】セラミック多層基板21は、絶縁体層22a、22b、22c、22d、22eと、誘電体層23a、23bとを積層してなる多層回路基板である。セラミック多層基板21の内部には、内層パターン24a、24b、24cやビアホール25によって、コンデンサパターン、コイルパターン、ストリップライン等が形成されている。さらに、セラミック多層基板21の一方主面上には、チップコンデンサ等のチップ部品26、厚膜抵抗体27、半導体IC28等が設けられており、表層パターン29や内層パターン24a、24b、24c等にそれぞれ接続されている。
【0080】次に、このセラミック多層基板21の製造方法について説明する。まず、ガラス粉末、セラミック粉末及び有機ビヒクルを混合して、絶縁体セラミックグリーンシート用スラリーを調製する。また、同様にして、誘電体セラミックグリーンシート用スラリーを調製する。次いで、得られた各スラリーをドクターブレード法等によってシート状に成形し、50〜150℃の温度で乾燥させて、絶縁体セラミックグリーンシート及び誘電体セラミックグリーンシートを作製する。
【0081】そして、得られた絶縁体セラミックグリーンシート及び誘電体セラミックグリーンシート上に、実施形態1の本発明の感光性ペーストを用いた配線パターンの形成方法にて、コンデンサパターンやコイルパターン等となる内層パターン24a、24b、24cを形成する。また、絶縁体セラミックグリーンシート及び誘電体セラミックグリーンシートには、必要に応じてビアホール25を形成する。
【0082】次に、内層パターン24やビアホール25が形成された各セラミックグリーンシートを、積み重ね、圧着した後、所定温度にて焼成する。
【0083】さらに、得られた焼成体の外表面に、実施形態1の本発明の感光性ペーストを用いたパターンの形成方法を適用して、表層パターン29を形成し、所定温度にて焼成する。
【0084】さらに、チップ部品26、半導体IC28を搭載し、厚膜抵抗体27を印刷する。これにより、図5に示すようなセラミック多層基板21が形成される。
【0085】
【実施例】以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
【0086】次に、ホウ珪酸系ガラス粉末37.3g、アルミナ粉末24.9g、メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合割合が重量基準で25/75の共重合体(重量平均分子量=50,000)6.2g、エタノール3.1g、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル0.5gを混合して得られたスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、100℃下、1時間乾燥させてシート厚み30μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0087】さらに、硼酸30.0gをペンタメチレングリコール200.0gに溶解して、硼酸ペンタメチレングリコールエステルのペンタメチレングリコール溶液(以降硼酸エステル溶液Aと略する)を用意した【0088】そして、下記組成、配合量の各種成分を混合後、3本ロールミルによる混練を行い、感光性ペーストを作製した。
〈無機粉末〉銅粉末:10.0g、SiO2−B23−BaO系ガラス粉末:0.3g〈有機バインダ〉アクリル系共重合体(重量平均分子量=20,000):1.0gこの実施の形態では、メタクリル酸/メタクリル酸メチル(共重合割合が重量基準で25/75)を共重合させたのち、メタクリル酸に対して0.2倍モル量のエポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを付加反応させたアクリル系共重合体(重量平均分子量=20,000)を有機バインダとして用いた。
〈反応性官能基含有モノマー〉トリメチロールプロパントリアクリレート:1.0g〈光重合開始剤〉2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:0.1g2,4−ジエチルチオキサントン:0.1g〈硼酸エステル〉前記硼酸エステル溶液A:2.27g(酸化硼素遊離量:無機粉末に対して1.6重量%)
〈4価以上の多価アルコール〉グルシトール(6価の多価アルコール):0.1g〈紫外線吸収材〉アゾ系赤色顔料:0.1g次に、上記組成の感光性ペーストを、用意したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にスピンコーターによって塗布し、これを100℃にて1時間乾燥して、20μm厚の塗膜を形成した。
【0089】次に、得られた塗膜に露光処理を行った。ここでは、ライン/スペース(L/S)=20/20(μm)のパターンが描画されたマスクを通して、高圧水銀灯からの活性光線を、250mJ/cm2の露光量で照射した。
【0090】その後、炭酸ナトリウム水溶液による現像処理を行うことにより、前記PETフィルム1上にL/S=20/20(μm)のパターンを形成した。
【0091】さらに、PETフィルムのパターン形成面を、用意したセラミックグリーンシートと重ね合わせ、10MPa、60℃の条件下で1分間熱プレスを行った。
【0092】その後、セラミックグリーンシートからPETフィルムを剥離し、セラミックグリーンシート上にパターンを転写、形成した。
【0093】さらに、同様の方法でパターン形成されたセラミックグリーンシートを5枚作成した。次いで、これらのセラミックグリーンシートを重ね合わせ、200MPa、60℃の条件下で1分間熱プレスを行った。そして、脱脂処理を施した後、900℃下、N2中で焼成し、L/S=10/30(μm)のパターンが表層、内層に形成された多層アルミナ基板を得た。
【0094】得られたパターンを光学顕微鏡で観察したが、パターン縁端部の剥離は認められなかった。
[実施例2〜実施例5および比較例1、2]実施例1の感光性ペーストの硼酸エステル溶液Aの添加量および無機粉末に対する酸化硼素遊離量を表1のように変化させ、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、それぞれの感光性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法で多層アルミナ基板を作製し、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。
【0095】なお、実施例2〜実施例5は、無機粉末に対する酸化硼素遊離量が請求項2の範囲である0.5重量%以上、5重量%以下となるように、硼酸エステル溶液A添加量を設定したものである。対して、比較例1は、酸化硼素遊離量が無機粉末の0.5重量%未満になるように、比較例2は酸化硼素遊離量が無機粉末の5重量%を超えるように、硼酸エステル添加量を設定したものである。
【0096】
【表1】

【0097】[比較例3]実施例1の感光性ペーストの硼酸エステル溶液A2.27gに代えてエチルカルビトールアセテート1.0gを添加し、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、その感光性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法で多層アルミナ基板を作製し、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。比較例3は、酸化硼素を遊離する物質である硼酸エステルを含まないものである。
[比較例4]硼酸30.0gをエチルアルコール300.0gに混合・溶解させて、硼酸エステル溶液Bを作製した。次に、実施例1の感光性ペーストの硼酸エステル溶液A2.27gに代えて硼酸エステル溶液B3.27gを添加し、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、その感光性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法で多層アルミナ基板を作製し、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。
【0098】比較例4は、硼酸エステルを得るためのアルコールに多価アルコール(一分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する)ではなく、モノオール化合物(一分子中に1個だけヒドロキシル基を有する)を使用したものである。
[比較例5]実施例1の感光性ペーストの硼酸エステル溶液A2.27gに代えて硼酸0.30gとエチルカルビトールアセテート1.0gを添加し、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、その感光性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法で多層アルミナ基板を作製し、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。比較例5は、酸化硼素を遊離する物質として、硼酸エステルではなく、硼酸を含有させたものである。
[比較例6]実施例1の感光性ペーストの硼酸エステル溶液A2.3gに代えて酸化硼素0.17gとエチルカルビトールアセテート1.0gを添加し、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、その感光性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法で多層アルミナ基板を作製し、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。比較例6は、酸化硼素を遊離する物質として、硼酸エステルではなく、酸化硼素を含有させたものである。実施例1〜実施例5、および比較例1〜6におけるパターン縁端部剥離の状態を、表2に示す。表2中の「パターン縁端部剥離」という欄において、「○」はパターン縁端部の剥離がまったく認められないことを意味し、「△」はパターン縁端部の剥離が若干発生していることを意味し、「×」はパターン縁端部の剥離が広範囲にわたって発生していることを意味する。
【0099】
【表2】

【0100】表2に明らかなように、酸化硼素遊離量が無機粉末の0.5重量%以上、5重量%以下となるように硼酸エステル溶液A添加量を設定した、実施例1〜実施例5においては、パターン縁端部の剥離がないパターンを形成できた。一方、酸化硼素遊離量が無機粉末の0.5重量%未満になるように、もしくは5重量%を超えるように硼酸エステル添加量を設定した、比較例1、比較例2においては、パターン縁端部の剥離が若干認められた。さらに、硼酸エステル溶液Aをまったく添加していない比較例3においては、パターン縁端部の剥離が広範囲にわたっていた。さらにまた、硼酸エステル溶液Aに代えて硼酸エステル溶液Bを使用した比較例4においては、硼酸エステルを得るためのアルコールに、モノオール化合物(一分子中に1個だけヒドロキシル基を有する)であるエチルアルコールを使用しているため、パターン縁端部の剥離が若干認められた。さらにまた、硼酸エステル溶液Aに代えて硼酸や酸化硼素そのものを使用した比較例5、比較例6においては、パターン縁端部の剥離が若干認められた。
[比較例7]実施例1の感光性ペーストからグルシトールを除き、実施例1と同様の方法で感光性ペーストを作製した。次いで、温度20℃下、空気中にて、作製直後、1日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後の各時点で、その保存状態を測定した。実施例1についても、同様に保存状態を測定した。その結果を表3に示す。なお、下記表3中の「○」は、感光性ペーストがゲル化しておらず、塗布可能な状態であったことを意味する。また、表3中の「×」は、感光性ペーストがゲル化し、ペーストを塗布できなかったことを意味する。
【0101】
【表3】

【0102】表3に明らかなように、4価以上の多価アルコールであるグルシトールが添加されている実施例1の感光性ペーストは、1ヶ月後でもゲル化しておらず、1ヶ月以上にわたって塗布可能な状態であったが、比較例7の感光性ペーストは、約3週間でゲル化し、ペーストを塗布することができなかった。
【0103】
【発明の効果】本発明の感光性ペーストによれば、該感光性ペースト焼付け時に、感光性有機成分が焼失する温度以下で酸化硼素を遊離する物質を含有しているので、焼付け時のパターン縁端部の基板からの剥離を防止した微細かつ厚膜のパターンを形成できる。さらに、前記酸化硼素を遊離する物質とともに4価以上の多価アルコールを含有しているので、粘度安定性が高く、ゲル化しにくい。
【0104】さらに、本発明の回路基板およびセラミック多層基板の製造方法によれば、本発明の感光性ペーストを用い、スクリーン印刷法、スピンコート法等の方法によって基板(もしくは支持体)上に塗布し、これを乾燥後、フォトリソグラフィ法により露光・現像し、所定のパターン(未焼成)を形成した後、焼付けなどの熱処理を施すので、焼付け時のパターン縁端部の剥離を防止することができ、かつ、従来のスクリーン印刷法では得られない、微細で均一な膜厚の配線パターンやビアホールを形成できる。よって、高周波特性に優れた小型の回路基板もしくは回路素子を製造できる。したがって、高密度化や信号の高速化に十分に対応できる高周波チップ電子部品やセラミック多層基板を製造できる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市天神二丁目26番10号
【出願日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−122017(P2003−122017A)
【公開日】 平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願番号】 特願2001−321413(P2001−321413)