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【発明の名称】 共重合体
【発明者】 【氏名】藤原 匡之
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社中央技術研究所内

【氏名】桑野 英昭
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社中央技術研究所内

【氏名】脇阪 幸也
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社中央技術研究所内

【要約】 【課題】193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性を有する上に、有機溶媒に対する溶解性、特には、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性にも優れた、ArFエキシマレーザーリソグラフィー用レジスト樹脂として、より適する新規な共重合体の提供。

【解決手段】三種の単量体をラジカル重合して得られる三元系共重合体で、第1の単量体として脂環式骨格を有する単量体、第2の単量体としてラクトン骨格を有する単量体、第3の単量体として、水/オクタノール分配係数が1以下であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下である、ビニル系単量体を用いる共重合体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 三種の単量体をラジカル重合して得られる三元系共重合体であって、前記三種の単量体は、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更に脂環式骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第1の単量体と、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更にラクトン骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第2の単量体と、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団に加えて、更に鎖式炭素骨格を該重合に係わらない原子団として有してもよい第3の単量体であり、前記第3の単量体として、水/オクタノール分配係数が1以下で、少なくとも0以上であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下、−100℃以上であり、前記第3の単量体が、前記第1の単量体と前記第2の単量体の合計100モル当たり3〜30モルである、ビニル系単量体を用いてなることを特徴とする共重合体。
【請求項2】 脂環式骨格を有する前記第1の単量体は、前記脂環式骨格がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステルである、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ならびに、前記脂環式骨格上にさらに置換基を有する、これら鎖式不飽和カルボン酸エステルの置換体とからなる群から選択される、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の共重合体。
【請求項3】 ラクトン骨格を有する前記第2の単量体は、ラクトン環がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステルである、無置換またはその環上にさらに置換基を有するδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリレート、および、無置換またはその環上にさらに置換基を有するγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリレートからなる群から選択される、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルあることを特徴とする請求項1または2に記載の共重合体。
【請求項4】 レジスト樹脂成分として、共重合体樹脂を用い、その露光光波長は、250nm以下に設定されるレジスト組成物であって、前記共重合体樹脂として、請求項1〜3のいずれかに記載される共重合体を含んでなることを特徴とするレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レジスト樹脂成分として利用可能な共重合体、ならびに、かかる共重合体をレジスト樹脂成分とするレジスト組成物に関し、より具体的には、エキシマレーザーを露光光源とするフォトリソグラフィーに利用可能な化学増幅型レジスト組成物と、そのレジスト組成物中のレジスト樹脂成分として好適な共重合体に関する。あるいは電子線を使用する微細加工に好適な化学増幅型レジスト用共重合体およびレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子あるいは液晶素子の分野では、素子構造自体の更なる微細化・集積化に伴い、その微細加工工程に利用するレジストマスクなどを所望の極めて微細なパターンに形成する必要性から、リソグラフィー技術も急速に進歩を遂げつつある。一般に、微細化の手法としては、要求される最小線幅に応じて、リソグラフィーに用いる露光光源の短波長化を図ることが必須であり、具体的には、水銀ランプを用い、その輝線スペクトルのg線、i線と称される紫外線(近紫外線)を用いた時代から、DUV(Deep UV)と称される遠紫外線域の光源を用いる時代へと変化してきている。
【0003】現状では、KrFエキシマレーザー(248nm)リソグラフィー技術は、既に市場に導入され、さらに、短波長化を計ったArFエキシマレーザー(193nm)リソグラフィー技術の導入も進みつつある。さらに、次世代の技術として、F2エキシマレーザー(157nm)リソグラフィー技術が、その実用化研究が行われている。また、これら遠紫外線域の光源を利用する方法とは若干異なるタイプのリソグラフィー技術として、電子線リソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
【0004】このような短波長の光源あるいは電子線を利用した細密なパターンの露光に適する、高解像度のレジストとして、インターナショナル・ビジネス・マシーン(IBM)社より「化学増幅型レジスト」が提唱された。上記の露光光波長の一層の短波長化に併せて、現在、この化学増幅型レジストも、より短波長の光源に対しても、十分な露光特性を達成できるような光酸発生剤の改良および開発が精力的に進められている。
【0005】また、光源の短波長化にともない、光酸発生剤のみならず、レジストに使用される樹脂もその分子構造を変更する必要が生じてくる。具体的には、KrFエキシマレーザーリソグラフィーにおいては、248nmに対して透明性の高いポリヒドロキシスチレンやその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護したものが用いられている。しかし、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいては、前記ポリヒドロキシスチレン樹脂類は、193nmにおける透明性が不十分であり、ほとんど使用不可能となる。そのため、193nmにおいて透明なアクリル系樹脂あるいはシクロオレフィン系樹脂が、ArFエキシマレーザーリソグラフィー用レジスト樹脂として注目されている。この波長域に高い透明性を示す樹脂として、アクリル系樹脂が、特開平4−39665号公報、特開平10−207069号公報などに提案されており、同じく、シクロオレフィン系樹脂は特開平10−153864号公報などに提案されている。確かに、これら提案されている樹脂は、193nmにおいて高い透明性を示すものであるが、エッチングマスクとして利用する上では、なお性能的には不十分であり、より高いドライエッチング耐性が求められている。
【0006】193nmにおける透明性に加えて、高いドライエッチング耐性を達成する手段としては、5−(メタ)アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトンを単量体単位として共重合させた共重合体樹脂が、特開2000−26446号公報において提案されている。
【0007】前記のラクトン環を含む(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含む共重合体は、レジスト用樹脂として、193nmにおける透明性とドライエッチング耐性に関しては、優れた性能を発揮するものの、5−(メタ)アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトンを共重合させて得られるレジスト用樹脂は有機溶媒に対する溶解性に劣る。特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性が悪いことが、その課題となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、上記のラクトン環を含む(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含む共重合体の示す、193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性を保持しつつ、その有機溶媒に対する溶解性を改善すること手段が望まれている。特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナー、その主体は、溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いるものに対する溶解性を改善すること手段が望まれている。
【0009】本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性を有する上に、有機溶媒に対する溶解性、特には、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性にも優れた、ArFエキシマレーザーリソグラフィー用レジスト樹脂として、より適する新規な共重合体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題を解決すべく、鋭意研究と検討を進め、種々の構造を有する共重合体を新たに創製し、その特性を鋭意検討した結果、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更に脂環式骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第1の単量体と、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更にラクトン骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第2の単量体と、加えて、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団に加えて、更に鎖式炭素骨格を該重合に係わらない原子団として有してもよい第3の単量体との、三種の単量体をラジカル重合して得られる三元系共重合体とし、なかでも、前記第3の単量体として、水/オクタノール分配係数が1以下であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下である、ビニル系単量体を用いると、193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性を有する上に、前記第1の単量体と第2の単量体の二元系共重合体では、達成できない程度に優れた有機溶媒に対する溶解性をも示す三元系共重合体が得られることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、かかる特定の単量体単位三種を含む三元系共重合体をレジスト用樹脂とし、化学増幅型レジスト組成物を調製すると、樹脂自体の193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性、ならびに、特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性も優れたものであり、遠紫外光エキシマレーザーリソグラフィーや電子線リソグラフィー等に好適な化学増幅型レジスト組成物が得られることを検証し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の共重合体は、三種の単量体をラジカル重合して得られる三元系共重合体であって、前記三種の単量体は、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更に脂環式骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第1の単量体と、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と、更にラクトン骨格を該重合に係わらない原子団として有してなる第2の単量体と、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団に加えて、更に鎖式炭素骨格を該重合に係わらない原子団として有してもよい第3の単量体であり、前記第3の単量体として、水/オクタノール分配係数が1以下で、少なくとも0以上であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下、−100℃以上であり、前記第3の単量体が、前記第1の単量体と前記第2の単量体の合計100モル当たり3〜30モルである、ビニル系単量体を用いてなることを特徴とする共重合体である。
【0012】本発明の共重合体においては、脂環式骨格を有する前記第1の単量体は、前記脂環式骨格がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステルである、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ならびに、前記脂環式骨格上にさらに置換基を有する、これら鎖式不飽和カルボン酸エステルの置換体とからなる群から選択される、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする共重合体とすることが好ましい。
【0013】加えて、ラクトン骨格を有する前記第2の単量体は、ラクトン環がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステルである、無置換またはその環上にさらに置換基を有するδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリレート、および、無置換またはその環上にさらに置換基を有するγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリレートからなる群から選択される、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルあることを特徴とする共重合体とすることがより好ましい。
【0014】本発明は、上記の構成を有する共重合体をレジスト用樹脂として利用するレジスト組成物をも提供し、すなわち、本発明のレジスト組成物は、レジスト樹脂成分として、共重合体樹脂を用い、その露光光波長は、250nm以下に設定されるレジスト組成物であって、前記共重合体樹脂として、上記の構成のいずれかを有する共重合体を含んでなることを特徴とするレジスト組成物である。より具体的には、前記共重合体樹脂をレジスト樹脂成分とし、前記250nm以下の露光光波長に対して利用可能な、光酸発生剤を含有してなる化学増幅型レジスト組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の共重合体は、上記する特定の部分構造を内部に有する三種の単量体を用いて、各単量体単位が有する、その特徴的な部分構造を維持しつつ、それぞれの単量体相互をラジカル重合により連結した三元系共重合体であり、第1の単量体に由来する脂環式骨格は、共重合体に疎水性と耐熱性を付与し、第2の単量体に由来するラクトン骨格は、極性の高い表面への密着性を付与し、第3の単量体は、共重合体全体の有機溶媒、特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性を高める機能を示す。従って、第1の単量体と第2の単量体の使用による、極性の高い表面への密着性と高いドライエッチング耐性の特長を維持しつつ、その特長に影響を及ぼさない範囲で、有機溶媒、特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性を向上する機能を有する第3の単量体をも含有する構成としたものである。なお、かかる三元系共重合体を構成する単量体単位は、いずれも、250nm以下、ArFエキシマレーザーのレーザー波長193nmにおいても、光吸収の要因となる原子団を有しないものである。従って、露光光波長が、250nm以下、より具体的には、150nm〜250nmの波長範囲の露光光を利用する際、本発明の共重合体は、より好適なレジスト用樹脂として利用することができる。
【0016】前記の有機溶媒、特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーに対する溶解性を高める機能を有する第3の単量体として、本発明では、水/オクタノール分配係数が1以下で、少なくとも0以上であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下である、ビニル系単量体を用いているが、その分子内に、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団に加えて、更に鎖式炭素骨格を該重合に係わらない原子団として有してもよい。
【0017】以下に、本発明をより詳しく説明する。
【0018】本発明において、前記第3の単量体を特徴付ける特性である、水/オクタノール分配係数(LogP)は、J. Computational Chem.,9(1),80−90(1988)に記載の構造活性相関の関係式によって求められる指標値である。具体的には、対象となる塩基性化合物などについて、先ず、非経験的分子軌道法「RHF/STO−3G」、半経験的分子軌道法「AM1」または「PM3」を用いて、その化合物の分子構造のエネルギー的な最適化を行う。次いで、その最適化された構造を用いて、J. Computational Chem.,9(1),80−90(1988)記載の構造活性相関の関係式を用いて、水/オクタノール分配係数(LogP)を求めることができる。この水/オクタノール分配係数(LogP)は、その値が小さいほど水の方に多く、大きいほどオクタノールの方に多く分配されることを表す。より具体的には、負であれば水の方に多く、正であればオクタノールの方に多く分配されることを表す。例えば、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの水/オクタノール分配係数(LogP)は0.79、4−ヒドロキシブチルアクリレートの水/オクタノール分配係数(LogP)は0.58である。
【0019】本発明の共重合体において、第3の単量体として利用するビニル系単量体は、第1の単量体、第2の単量体とラジカル共重合体の形成に用いられる炭素−炭素二重結合(ビニル構造)を有し、このビニル系単量体自体、そのポリマーTgが30℃以下、より具体的には、平均分子量が100,000であるホモポリマーとした際のポリマーTgが、30℃以下、−100℃以上であり、かつ水/オクタノール分配係数が1以下である単量体であれば、特に限定はされない。前記の特性を有するビニル系単量体としては、例えば、エステルの炭化水素基上に水酸基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステルやエステルの炭化水素基上にアルコキシ基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。より具体的には、エステルの鎖式炭化水素基上に水酸基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステルである、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなど、ならびに、エステルの鎖式炭化水素基上にアルコキシ基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステル2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのビニル系単量体は、必要に応じて単独で、あるいは二種以上を組み合わせて、第3の単量体として、用いることができる。
【0020】また、第3の単量体として用いる上記のビニル系単量体は、単量体成分全体に対して、0.5〜25モル%が好ましい。第3の単量体のビニル系単量体の含有比率が、0.5モル%未満では、得られる共重合体の有機溶剤への溶解性の向上は十分になされなくなる。そのため、レジスト用樹脂に利用した際、露光工程後、有機溶媒、特に、半導体素子の製造工程で使用されるリンス用シンナーを用いて、選択的に溶解除去を行う際、不溶分が増加するため、含有させる目的が十分に達成できず、好ましくない。一方、第3の単量体として用いる上記のビニル系単量体の含有比率が、25モル%を超えると、溶解性は格段に高くなるものの、得られる共重合体のドライエッチング耐性は、次第に損なわれるため、過度に高い含有比率とすることは好ましくない。
【0021】本発明の共重合体において、第1の単量体として利用する、脂環式骨格を有する単量体は、重合して得られる共重合体に対して、疎水性と耐熱性を付与するものである。ならびに、本発明の共重合体をレジスト用樹脂として用いるレジスト組成物において、露光、現像後に得られるレジストパターンの疎水性と耐熱性を優れたものとする。
【0022】第1の単量体として利用する、脂環式骨格を有する単量体は、第2の単量体、第3の単量体とラジカル共重合体の形成に用いられる炭素−炭素二重結合を有し、これ以外に、更に脂環式骨格を該重合に係わらない原子団として有しているものである限り、特に限定されない。この第1の単量体としては、脂環式骨格がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステル、具体的には、ラジカル重合を起こす炭素−炭素二重結合は鎖式不飽和カルボン酸部分であり、一方、脂環式骨格は、それとエステル結合で連結されているエステル型単量体が利用できる。例えば、脂環式骨格をエステル結合を介して含む、(メタ)アクリル酸エステルである、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデシル(メタ)アクリレートならびに、これら(メタ)アクリル酸エステルに更に置換がなされた置換体からなる群から選ばれる、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。より好適な、脂環式骨格を有する単量体としては、より具体的に、1−イソボニルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、テトラシクロドデシルアクリレートなどを例示できる。本発明においては、第1の単量体として、これらから、必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、用いることができる。さらに、前記脂環式骨格上に置換基が存在してもよく、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1〜4のアルコキシ基やヒドロキシ基など、少なくとも、波長150〜250nmの範囲において吸収を生じさせないものが、付加的な置換基として好適に利用できる。より具体的には、ArFエキシマレーザーのレーザー波長193nmにおいて光吸収の要因となる原子団、例えば、芳香族環などはかかる置換基中に含まれないことが好ましい。
【0023】また、第1の単量体として用いる上記脂環式骨格を有する単量体は、その含有比率は、単量体成分全体に対して、10〜85モル%の範囲が好ましい。第1の単量体の含有比率が、10モル%未満では、得られる共重合体は、第1の単量体に由来する脂環式骨格によりもたらされる疎水性と耐熱性は十分なものでない。そのため、レジスト用樹脂に利用した際、露光・現像工程後、得られるレジストマスクも、その疎水性と耐熱性は十分なものとならず、本来の用途・目的が十分に達成できず、好ましくない。一方、第1の単量体の含有比率が、高くなると、疎水性と耐熱性はより優れたものとなるものの、85モル%を超えると、残る必須単量体成分である第2の単量体のラクトン骨格を有する単量体の含有比率が、前記第3の単量体の含有比率によっては、著しく低いものとなる場合が生じるので、85モル%以下の範囲とすることが好ましい。
【0024】本発明の共重合体において、第2の単量体として利用するラクトン骨格を有する単量体は、得られる共重合体、ならびに、それを用いるレジスト樹脂組成物において、金属表面等の極性の高い表面に対する密着性を付与するものである。
【0025】第2の単量体として利用する、ラクトン骨格を有する単量体は、第1の単量体、第2の単量体とラジカル共重合体の形成に用いられる炭素−炭素二重結合を有し、これ以外に、更にラクトン骨格を該重合に係わらない原子団として有しているものである限り、特に限定されない。この第2の単量体としては、ラクトン骨格がエステル結合を介して、ラジカル重合に供せられる炭素−炭素二重結合を有する原子団と連結されている鎖式不飽和カルボン酸エステル、具体的には、ラジカル重合を起こす炭素−炭素二重結合は鎖式不飽和カルボン酸部分であり、一方、ラクトン骨格は、それとエステル結合で連結されているエステル型単量体が利用できる。例えば、ラクトン骨格をエステル結合を介して含む、(メタ)アクリル酸エステルである、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。より好適な、ラクトン骨格を有する単量体としては、より具体的に、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、2−(1−メタクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリドなどが例示できる。本発明においては、第2の単量体として、これらから、必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、用いることができる。さらに、前記ラクトン骨格脂上に置換基が存在してもよいが、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1〜4のアルコキシ基やヒドロキシ基など、少なくとも、波長150〜250nmの範囲において吸収を生じさせないものが、付加的な置換基として好適に利用できる。より具体的には、ArFエキシマレーザーのレーザー波長193nmにおいて光吸収の要因となる原子団、例えば、芳香族環などはかかる置換基中に含まれないことが好ましい。
【0026】また、第2の単量体として用いる上記ラクトン骨格を有する単量体は、その含有比率は、単量体成分全体に対して、10〜85モル%の範囲が好ましい。第2の単量体の含有比率が、10モル%未満では、得られる共重合体は、第2の単量体に由来するラクトン骨格によりもたらされる密着性は十分なものでない。そのため、レジスト用樹脂に利用した際、露光・現像工程の際、塗布される金属表面などの極性の高い表面に対する密着性が不足し、目的とするレジストマスクが、表面と密着しない箇所が生じ易くなり、本来の用途・目的が十分に達成できず、好ましくない。一方、第2の単量体の含有比率が、高くなると、表面に対する密着性はより優れたものとなるものの、85モル%を超えると、残る必須単量体成分である第1の単量体の脂環式骨格を有する単量体の含有比率が、前記第2の単量体の含有比率によっては、著しく低いものとなる場合が生じるので、85モル%以下の範囲とすることが好ましい。
【0027】上記の三種の単量体を用いて、ラジカル重合させて得られる本発明の共重合体は、本発明のレジスト組成物、より具体的には、化学増幅型レジスト組成物用樹脂として利用される。この化学増幅型レジスト組成物用樹脂の用途に対して、本発明の共重合体の重量平均分子量は、レジスト調製用の溶媒に溶解可能な範囲である限り、特には限定されない。一般には、本発明の共重合体においても、従前のレジスト用樹脂に利用される共重合体と同様に、好ましくは、重量平均分子量を1,000〜100,000の範囲に選択することが望ましい。本発明の共重合体において、その重量平均分子量が大きい程、ドライエッチング耐性が向上して、レジストマスク性能・形状が良くなり、また、小さい程、レジスト樹脂の溶媒に対する溶解性が優り、微細なレジスト開口部の形成が可能となる結果、解像度の向上に貢献する。従って、重量平均分子量、ならびに、上記三種の単量体成分の含有比率は、先に述べた範囲内において、目標とするレジスト組成物の性能、解像度とドライエッチング耐性の選択に応じて、より適する範囲に選択することが望ましい。
【0028】本発明の共重合体は、化学増幅型レジスト組成物用樹脂として利用する際には、先に説明した通り、三種の単量体成分の含有比率を予め定め、その所定の組成とする調製方法により製造することが好ましい。従って、製造される共重合体の組成を、用いる原料単量体成分の仕込み量比により制御可能な方法として、例えば、予め単量体、重合開始剤を有機溶剤に溶解させた単量体溶液を、一定温度に保持した有機溶剤中に滴下する、いわゆる滴下重合法が簡便で好適である。例えば、用いる原料単量体成分の仕込み量比は、得られる共重合体の主成分は、第1の単量体と第2の単量体であり、この第1の単量体と第2の単量体の合計100モル当たり、副次的成分である、第3の単量体は、好ましくは、3〜30モル、より好ましくは、5〜20モルの範囲で含有される比率となるように選択することが望ましい。なお、主成分である、第1の単量体と第2の単量体の共重合体中における含有比率は、モル比として、好ましくは、20:80〜80:20の範囲、より好ましくは、40:60〜60:40の範囲に選択して、それに見合った仕込み量を決定することが望ましい。
【0029】この滴下重合法に用いられる有機溶剤は、少なくとも、単量体、重合開始剤を溶解できる限り、特に限定されないが、好ましくは、単量体のみならず、最終的に得られる共重合体も、その重合反応温度では、均一に溶解できる溶剤が好ましい。本発明においては、三種の単量体成分は、いずれも、不飽和カルボン酸エステル体、より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルの形態である場合、得られる共重合体に対しても、その溶解が可能な有機溶媒として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0030】滴下重合法においては、用いられる重合開始剤は、反応を行わせる一定温度において、三種の単量体成分いずれに対しても、ラジカル重合を開始させることができる限り、特に限定されない。本発明において、三種の単量体成分が、いずれも、不飽和カルボン酸エステル体、より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルの形態である場合、上記の有機溶媒中に溶解し、また、その重合開始能が三種の単量体成分間で本質的に差異がないものがより好適な重合開始剤であり、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。また、重合反応において、得られる共重合体の平均分子量を調整する目的で、n−ブタンチオール、n−オクタンチオール等のチオール類を連鎖移動剤として用いてもよい。
【0031】滴下重合法を利用する際、その重合温度は、得られる共重合体の平均分子量が所望のものに制御可能な限り、特に限定はされない。また、重合温度は、用いる重合開始剤の種類、その添加比率に応じて、適宜選択するものであるが、例えば、上記のアゾ化合物や有機過酸化物を用いる際には、一般に、50〜150℃の範囲とすることが好ましい。一方、滴下時間は、重合開始剤の種類、その添加比率、ならびに重合温度に応じて、適宜選択するもので、特に限定されない。得られる共重合体の平均分子量を所望の範囲で均一化する上では、重合温度をある程度低く設定し、それに伴い、滴下時間を、通常6時間以上とし、さらに滴下終了後2時間程度、その温度を保持し、重合を完結させる手順を採用することが好ましい。
【0032】滴下重合法によって調製された、共重合体溶液は、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の良溶媒を用いて、適当な溶液粘度に希釈した後、ヘプタン、メタノール、水等の多量の貧溶媒中に、希釈済みの共重合体溶液を滴下して、共重合体を析出させる。その後、その析出物を濾別し、付着する溶媒を除去するため、十分に乾燥する。
【0033】更に、乾燥した析出物を再び少量のテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の良溶媒に溶解し、ヘプタン、メタノール、水等の多量の貧溶媒中に、希釈済みの共重合体溶液を滴下して、共重合体を再析出させる。その後、その再析出物を濾別し、付着する溶媒を除去するため、十分に乾燥する。この工程は再沈澱と呼ばれ、場合により不要となることもあるが、通常、重合溶液中には、未反応の単量体、あるいは重合開始剤等が若干量残留しており、共重合体から未反応の単量体、あるいは重合開始剤等を取り除くために、非常に有効な処理である。
【0034】これら残存している未反応物等を含んだ共重合体をレジスト組成物の調製に利用すると、混入した未反応物等がレジスト性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、予め取り除くことが好ましい。特に、露光波長が、250nm以下の範囲に設定する際には、上記のアゾ化合物や有機過酸化物などは、不要な光反応を誘起する可能性が高く、前記の再沈澱の処理を施すことが望ましい。
【0035】本発明のレジスト組成物は、いわゆる化学増幅型レジスト組成物であり、前述の方法等により得られた本発明の共重合体を、レジスト用樹脂として用い、それに対して、所定の光酸発生剤を加えて、レジスト溶剤に溶解したものである。その露光光波長は、250nm以下、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、さらには、次世代の技術として、F2エキシマレーザー(157nm)を利用するリソグラフィー技術にも、適用できるものである。すなわち、露光光波長は、250nm以下、150nm以上の、酸素による吸収が顕著に起こらない遠紫外線域と真空紫外線域に掛かる波長域を用いるものである。
【0036】用いるレジスト溶剤は、目的に応じて任意に選択されるが、溶剤の選択は、レジスト用樹脂として多量に含有される本発明の共重合体の溶解性、ならびに、光酸発生剤の溶解性を満足することは勿論であるが、これ以外の理由、例えば、レジスト塗膜の均一性、外観、あるいは、溶剤自体の安全性等からも、その種類が制約を受けることがある。
【0037】通常使用されるレジスト溶剤としては、例えば、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖状ケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、シクロヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール類、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】光酸発生剤は、露光光波長に応じて、化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤として使用可能なものの中から、レジスト塗膜の厚さ範囲、それ自体の光吸収係数を考慮した上で、適宜選択することができる。光酸発生剤は、単独あるいは2種以上を組合せて使用することができる。
【0039】遠紫外線領域において、利用可能な光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物およびジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、ArFエキシマレーザーのレーザー波長193nmに対しては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物が好適である。
【0040】ArFエキシマレーザーのレーザー波長193nmに対して、好適に利用可能な光酸発生剤として、具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
【0041】本発明のレジスト組成物における、光酸発生剤の使用量(添加比率)は用いる光酸発生剤の種類等に応じて、適宜決定されるが、レジスト用樹脂の本発明の共重合体100質量部に対し、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の範囲に選択することが望ましい。光酸発生剤の使用量(添加比率)は多いほど、露光により発生した酸の触媒作用による化学反応を十分に生起させることができ、少ないほど、レジスト組成物の安定性が向上し、例えば、レジスト組成物を塗布する際の塗布むらや現像時のスカム等の発生が少なくなる。従って、露光条件、露光光強度、レジスト塗膜の膜厚、プレベーキングなどの加熱条件を、考慮した上で、前記の添加比率範囲内で、レジスト組成物の使用目的に応じて、光酸発生剤の使用量(添加比率)を選択するとよい。
【0042】さらに、本発明のレジスト組成物でも、必要に応じて、従来の化学増幅型レジスト組成物においても利用されていた種々の添加成分、例えば、界面活性剤、クエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含有させることもできる。
【0043】利用可能な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下の商品名で市販されている界面活性剤、ポリフローNo.75(共栄社油脂化学工業社製)、メガファックスF173(大日本インキ化学工業社製)、サーフロンSC−105(旭硝子社製)、L−70001(信越化学社製)等を挙げることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって、本発明をより具体的に説明する。実施例は、本発明の最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明は、実施例に記載する具体的な構成によって、なんら限定されるものではない。ここで「部」は、特に断りがない限り、「質量部」を意味する。
【0045】また、共重合体の物性測定、およびレジスト組成物の特性評価は以下の方法で行った。
【0046】<重量平均分子量>共重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(以下GPCという。)により、ポリメタクリル酸メチル換算で求めた。溶剤には、クロロホルムあるいはテトラヒドロフランを使用した。
【0047】<共重合体の平均共重合組成(モル%)>共重合体の1H−NMRの測定結果を、原料の単量体の1H−NMRスペクトルを参照して解析し、その平均含有比率(モル%)を求めた。溶剤には、重クロロホルムあるいは重アセトンを使用した。
【0048】<感度>シリコンウエハー上に形成したレジスト膜を露光した後、直ちに露光後ベークを行い、次いでアルカリ現像液で現像し、水洗し、乾燥してレジストパターンを形成した。露光光波長193nm(ArFエキシマレーザーのレーザー波長)、レジスト膜膜厚0.5μmの条件において、線幅0.18μm以上のライン・アンド・スペースパターン(ライン/スペース=1/1)を1/1の線幅に形成する露光量(mJ/cm2)を感度として測定した。
【0049】<解像度>上記感度の評価で定まる露光量で露光したとき、解像されるレジストパタンの最小寸法(μm)を解像度とした。
【0050】<ドライエッチング耐性>シリコンウエハー上に露光・現像して形成したレジスト膜マスク(ポスト・ベーキング済み)をエッチングし、その膜厚の減少から各レジストのエッチング速度(ノボラック樹脂のエッチング速度を1として規格化)を測定した。エッチング条件は、東京エレクトロン社製エッチングマシーンを用いて、ガスはC48/Ar/O2混合ガスで、2000W,50mTorrで50秒間実施した。
【0051】<リンス用シンナー溶解性>OK73シンナー(東京応化工業製)に、共重合体を、溶解すれば、10wt%の濃度になる比率で添加し、所定の溶媒リンスの条件を施した。その際、完全に溶解したものを「○」、完全には溶解しないものを「×」として評価した。
【0052】(実施例1)2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、4−ヒドロキシブチルアクリレートの三種の単量体からなる三元系共重合体、具体的には、下記式(1)で示される目標組成の三元系ランダム共重合体(x=0.35、y=0.55、z=0.10)の製造【0053】
【化1】

【0054】本発明の三元系共重合体として、第1の単量体として、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン33.7モル%、第2の単量体として、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン56モル%、第3の単量体として、4−ヒドロキシブチルアクリレート(LogP=0.58)10.3モル%の原料組成から、下記する手順で、下にその物性値を示す共重合体を調製した。
【0055】窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で乳酸エチル30.0部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン9.38部、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(以下、MAdMAという。)15.43部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.74部、乳酸エチル30.0部、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル0.21部を混合した単量体溶液を、一定速度で6時間かけて、前記80℃に保持したフラスコ中に滴下した。その後、反応溶液を80℃で2時間保持した。次いで、得られた反応溶液をメタノール800部に攪拌しながら滴下し、白色の析出物の沈澱を得た。沈澱した白色の析出物を濾別し、減圧下60℃で約10時間乾燥した。この白色の析出物をテトラヒドロフラン45部に溶解させ、メタノール800部に攪拌しながら滴下し、得られた沈澱物を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。
【0056】得られた再沈澱処理済みの三元系共重合体について、各物性を測定したところ、GPC分析による重量平均分子量(以下、Mwという。)は6500、別途求めた数平均分子量(以下、Mnという。)により、重量平均分子量を除した値である分散度(以下、Mw/Mnという。)は1.44であった。また、共重合組成比は1H−NMRの積分比から、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン:MAdMA:4−ヒドロキシブチルアクリレート=35:55:10であった。
【0057】(比較例1)5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトンと2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタンの共重合体の製造。
【0058】本発明の三元系共重合体における、第1の単量体に相当する2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン38.5モル%、第2の単量体に相当する5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン61.5モル%の原料組成から、下記する手順で、下にその物性値を示す二元系共重合体を調製した。
【0059】窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でアセトニトリル30.0部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン21.31部とMAdMA33.70部、アセトニトリル60.0部、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル0.86部を混合した単量体溶液を、一定速度で6時間かけて、前記80℃に保ったフラスコ中に滴下した。その後、液を80℃で2時間保持した。単量体溶液の滴下開始から2時間を経過した時点より、白色の重合物の沈澱が反応溶液中に観察された。得られた反応溶液に、テトラヒドロフラン1750部を加え、白色の沈澱を再溶解した。その溶液を、メタノール4000部に攪拌しながら滴下し、白色の析出物の沈澱を得た。得られた沈澱物を濾別し、減圧下60℃で約10時間乾燥した。乾燥した白色の析出物をテトラヒドロフラン2000部に再溶解し、メタノール5000部に攪拌しながら滴下し、得られた再沈澱物を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。
【0060】得られた再沈澱処理済みの二元系共重合体について、各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは7200、Mw/Mnは1.49であった。また、共重合組成比は1H−NMRの積分比から5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシリック−6−ラクトン:MAdMA=40:60であった。
【0061】(実施例2)実施例1および比較例1で調製した各共重合体について、各共重合体100部とトリフェニルスルホニウムトリフレート2部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500部にそれぞれ溶解して均一溶液とした。その後、テフロン(登録商標)フィルターを用いて濾過し、各レジスト組成物溶液を調製した。
【0062】この各レジスト組成物溶液を3インチシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて、120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.5μmの薄膜を形成した。次に、ArFエキシマレーザー露光機を使用して露光し、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークを行った。2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で現像し、純水で洗浄し、乾燥してレジストパターンを形成した。
【0063】表1に、得られたレジスト組成物の特性評価の結果を示す。また、各レジストのドライエッチング耐性(エッチング速度)、シンナー溶解性を評価した結果を表1に併せて示した。
【0064】
【表1】

【0065】表1に示す対比から、本発明の三元系共重合体を用いた化学増幅型レジスト組成物は、三元系共重合体中に第3の単量体をも含有しているものの、対比させた二元系共重合体を用いた化学増幅型レジスト組成物と比較しても、全く遜色のない十分な感度および解像度を備えた上に、優れたドライエッチング耐性を維持している。加えて、本発明の三元系共重合体を用いた化学増幅型レジスト組成物では、三元系共重合体中に第3の単量体をも含有していることによって、リンス用シンナーに対する溶解性は有意に優るものとなっていることが判る。
【0066】
【発明の効果】本発明の共重合体は、三種の単量体をラジカル重合して得られる三元系共重合体で、第1の単量体として脂環式骨格を有する単量体、第2の単量体としてラクトン骨格を有する単量体、第3の単量体として、更に鎖式炭素骨格を該ラジカル重合に係わらない原子団として有してもよい単量体、なかでも、前記第3の単量体として、水/オクタノール分配係数が1以下であり、また、その単重合体とした際、該単重合体が示すポリマーTgが30℃以下である、ビニル系単量体を用いることで、193nmにおける透明性と高いドライエッチング耐性を有する上に、前記第1の単量体と第2の単量体の二元系共重合体では、達成できない程度に優れた有機溶媒に対する溶解性をも示す三元系共重合体となっている。従って、本発明の共重合体は、その遠紫外線域における透明性、ドライエッチング耐性、有機溶媒に対する溶解性、特にリンス用シンナーに対する溶解性に優れている利点から、例えば、ArFエキシマレーザー露光に利用する化学増幅型レジスト組成物用樹脂として好適である。加えて、本発明の共重合体を、レジスト樹脂に用いた本発明のレジスト組成物は、化学増幅型レジスト組成物に必要とされるドライエッチング耐性が高く、また、有機溶媒に対する溶解性が良好である。加えて、レジスト樹脂自体の高い透明性により、この化学増幅型レジスト組成物は高い感度および解像度を有するものとなる。その結果、本発明による化学増幅型レジスト組成物を用いると、例えば、ArFエキシマレーザー露光に利用するパターン形成方法によって、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成することができる。加えて、本発明による化学増幅型レジスト組成物は、特にArFエキシマレーザーを使用するリソグラフィーに適するが、それ以外に、光酸発生剤を各露光光波長に適合するものを選択することにより、各種の遠紫外光エキシマレーザーリソグラフィーや電子線リソグラフィーにおいても、好適な化学増幅型レジスト組成物を与える。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目6番41号
【出願日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−122014(P2003−122014A)
【公開日】 平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願番号】 特願2001−322533(P2001−322533)