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【発明の名称】 多重露光描画方法及び多重露光描画装置
【発明者】 【氏名】奥山 隆志
【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光学工業株式会社内

【要約】 【課題】マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて描画面上に所定のパターンを多重露光により描画する。

【解決手段】マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニット(181、…188;201、…207)を用いて所定パターンを描画面上に多重露光により描画する。露光ユニットは描画面に対して該露光ユニットの変調素子の一方の配列方向に沿って所定の一定速度で相対的に連続的に移動する。配列方向に配列された変調素子のうちの等間隔に配置された一連の変調素子が描画面に対して相対的に所定距離だけ移動する度毎にその変調素子は同一のビットデータで順次動作させられてそこに入射する光を変調する。変調素子による変調時間については該変調素子によって描画面上に得られるべき一画素露光領域のサイズ以下の距離を露光ユニットが描画面に対して移動する間の時間とされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて所定パターンを描画面上に多重露光により描画する多重露光描画方法であって、前記露光ユニットを前記描画面に対して該露光ユニットの変調素子の一方の配列方向に沿って所定の一定速度で相対的に連続的に移動させる移動段階と、前記配列方向に配列された前記変調素子のうちの等間隔に配置された一連の変調素子が前記描画面に対して相対的に所定距離だけ移動する度毎にその変調素子を同一のビットデータで順次動作させてそこに入射する光を変調させる変調段階とより成り、前記変調段階での変調時間については該変調素子によって前記描画面上に得られるべき一画素露光領域のサイズ以下の距離を前記露光ユニットが前記描画面に対して相対的に移動する間の時間とされることを特徴とする多重露光描画方法。
【請求項2】 請求項1に記載の多重露光描画方法において、前記所定距離が前記一画素露光領域のサイズの前記配列方向に沿う長さの整数倍とされることを特徴とする多重露光描画方法。
【請求項3】 請求項2に記載の多重露光描画方法において、前記所定パターンを多重露光により描画する際の露光回数が前記露光ユニットの前記配列方向に配列された変調素子の配列長さを前記所定距離で除した数値に一致することを特徴とする多重露光描画方法。
【請求項4】 マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて描画面上に所定パターンを多重露光により描画する多重露光描画装置であって、前記露光ユニットを前記描画面に対して該露光ユニットの変調素子の一方の配列方向に沿って所定の一定速度で相対的に連続的に移動させる移動手段と、前記配列方向に配列された前記変調素子のうちの等間隔に配置された一連の変調素子が前記描画面に対して相対的に所定距離だけ移動する度毎にその変調素子を同一のビットデータで順次動作させてそこに入射する光を変調させる変調手段と、前記変調手段による変調時間については該変調素子によって前記描画面上に得られるべき一画素露光領域のサイズ以下の距離を前記露光ユニットが前記描画面に対して相対的に移動する間の時間となるように前記変調手段を制御するための制御手段とを具備して成る多重露光描画装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて描画面上に所定のパターンを描画する描画方法及び描画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上述したような描画装置は一般的には適当な被描画体の表面に微細なパターンや文字等の記号を光学的に描画するために使用される。代表的な使用例としては、フォトリゾグラフィ(photolithography)の手法によりプリント回路基板を製造する際の回路パターンの描画が挙げられ、この場合には被描画体はフォトマスク用感光フィルム或いは基板上のフォトレジスト層となる。
【0003】近年、回路パターンの設計プロセスから描画プロセスに至るまでの一連のプロセスは統合されてシステム化され、描画装置はそのような統合システムの一翼を担っている。統合システムには、描画装置の他に、回路パターンの設計を行うためのCAD(Computer Aided Design)ステーション、このCADステーションで得られた回路パターンデータ(ベクタデータ)に編集処理を施すCAM(Computer Aided Manufacturing)ステーション等が設けられる。CADステーションで作成されたベクタデータ或いはCAMステーションで編集処理されたベクタデータは描画装置に転送され、そこでラスタデータに変換された後にビット・マップ・メモリに格納される。
【0004】露光ユニットは、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)或いはLCD(liquid crystal display)アレイ等から構成され得る。周知のように、DMDの反射面には、マイクロミラーがマトリックス状に配列され、個々のマイクロミラーの反射方向が独立して制御されるようになっており、このためDMDの反射面の全体に導入された光束は個々のマイクロミラーによる反射光束として分割されるようになっており、このため各マイクロミラーは変調素子として機能する。また、LCDアレイにおいては、一対の透明基板間に液晶が封入され、その双方の透明基板には互いに整合させられた多数対の微細な透明電極がマトリックス状に配列され、個々の一対の透明電極に電圧を印加するか否かにより光束の透過及び非透過が制御されるようになっており、このため各一対の透明電極が変調素子として機能する。
【0005】描画装置には被描画体の感光特性に応じた適当な光源装置(例えば、LED(light emitting diode)、超高圧水銀灯、キセノンランプ、フラッシュランプ等)が設けられ、また露光ユニットには結像光学系が組み込まれる。光源から射出した光束は適当な照明光学系を通して露光ユニットに導入させられ、露光ユニットの個々の変調素子はそこに入射した光束を回路パターンデータ(ラスタデータ)に従って変調し、これにより回路パターンが被描画体(フォトマスク用感光フィルム或いは基板上のフォトレジスト層)上に露光されて光学的に描画される。この場合、描画回路パターンの画素のサイズは変調素子のサイズに対応したものとなり、例えば、上述した結像光学系の倍率が等倍であるとき、描画回路パターンの画素のサイズと変調素子のサイズとは実質的に等しくなる。
【0006】通常、被描画体に描画されるべき回路パターンの描画面積は露光ユニットによる露光面積よりも遥かに大きく、このため被描画体上に回路パターンの全体を描画するためには、被描画体を露光ユニットで走査することが必要となる。即ち、被描画体に対して露光ユニットを相対的に移動させつつ回路パターンを部分的に描画してその全体の回路パターンを得ることが必要となる。そこで、従来では、描画装置には、例えば、所定の走査方向に沿って移動可能な描画テーブルが設けられ、この描画テーブルの移動経路の上方に露光ユニットが固定位置に配置される。描画テーブル上には被描画体が所定位置に位置決めされ、描画テーブルを走査方向に沿って間欠的に移動させつつ回路パターンを部分的に順次描画して継ぎ足すことにより、全体の回路パターンが得られることになる。なお、このような露光方式についてはステップ・アンド・リピート(Step & Repeat)方式と呼ばれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明したように、従来の場合にあっては、全体の回路パターンを描画するためには、描画テーブルを間欠的に移動させることが必要である。従って、全体の回路パターンの描画に要する全描画時間は描画テーブルを間欠的に移動させる際の移動時間の総計と描画テーブルを停止させる度毎に行われる露光作動の時間の総計とを合算したものとなり、このため全体の回路パターンの描画には多大な時間が掛かるという点が問題となる。
【0008】また、描画テーブルを間欠的に移動させるということは該描画テーブルを頻繁に加速及び減速しなければならいということを意味し、このような描画テーブルの加速及び減速時には描画テーブルの駆動系に大きな負担が掛かり、このため該駆動系が故障を受け受け易いという点も問題点となる。
【0009】更に、従来の露光方式(即ち、ステップ・アンド・リピート方式)に伴う固有な問題点の1つとして、露光ユニット内の変調素子が1つでも正常に機能しなくなったとき、描画回路パターン中にその変調素子に対応した箇所が画素欠陥として現れることが挙げられる。勿論、露光ユニット内の多数の変調素子のうちの1つでも正常に機能しなくなったとき、画素欠陥のない回路パターンの描画を保証するためには、その露光ユニットの全体を新たなものと交換することが必要となる。
【0010】従って、本発明の目的は、マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて描画面上に所定のパターンを描画する描画方法及び描画装置であって、上述した種々の問題点を解消し得るように構成された描画方向及び描画装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による描画方法はマトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて所定パターンを描画面上に多重露光により描画する多重露光描画方法とされる。この多重露光描画方法には、露光ユニットを描画面に対して該露光ユニットの変調素子の一方の配列方向に沿って所定の一定速度で相対的に連続的に移動させる移動段階と、該配列方向に配列された変調素子のうちの等間隔に配置された一連の変調素子が描画面に対して相対的に所定距離だけ移動する度毎にその変調素子を同一のビットデータで順次動作させてそこに入射する光を変調させる変調段階とが含まれる。変調段階での変調時間については該変調素子によって描画面上に得られるべき一画素露光領域のサイズ以下の距離を露光ユニットが該描画面に対して移動する間の時間とされる。
【0012】このような多重露光描画方法においては、上述の所定距離については一画素露光領域のサイズの配列方向に沿う長さの整数倍とされる。また、所定パターンを多重露光により描画する際の露光回数については露光ユニットの配列方向に配列された変調素子の配列長さを上述の所定距離で除した数値に一致させられる。
【0013】本発明による描画装置はマトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて描画面上に所定パターンを多重露光により描画する多重露光描画装置とされる。この多重露光描画装置には、露光ユニットを描画面に対して該露光ユニットの変調素子の一方の配列方向に沿って所定の一定速度で相対的に連続的に移動させる移動手段と、該配列方向に配列された変調素子のうちの等間隔に配置された一連の変調素子が描画面に対して相対的に所定距離だけ移動する度毎にその変調素子を同一のビットデータで順次動作させてそこに入射する光を変調させる変調手段と、この変調手段による変調時間については該変調素子によって描画面上に得られるべき一画素露光領域のサイズ以下の距離を露光ユニットが該描画面に対して移動する間の時間となるように変調手段を制御する制御手段とが包含される。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して、本発明による描画装置の一実施形態について説明する。
【0015】先ず、図1を参照すると、本発明による描画装置が斜視図として概略的に示され、この描画装置はプリント回路基板を製造するための基板上のフォトレジスト層に回路パターンを直接描画するように構成されているものである。
【0016】図1に示すように、描画装置は床面上に据え付けられる基台10を具備し、この基台10上には一対のガイドレール12が平行に敷設される。一対のガイドレール12上には描画テーブル14が搭載され、この描画テーブル14は図1には図示されない適当な駆動機構例えばボール螺子等をステッピングモータ等の駆動モータで駆動することにより一対のガイドレール12に沿って移動し得るようになっている。描画テーブル14上にはフォトレジスト層を持つ基板即ち被描画体が設置され、このとき該被描画体は図示されない適当なクランプ手段によって描画テーブル14上で適宜固定され得るようになっている。
【0017】図1に示すように、基台10上には一対のガイドレールを跨ぐようにゲート状構造体16が設けられ、このゲート状構造体16の上面には複数の露光ユニットが描画テーブル14の移動方向に対して直角方向に二列に配列される。第1列目には8つの露光ユニットが含まれ、これら露光ユニットは参照符号181、182、183、184、185、186、187及び188で示される。また、第2列目には7つの露光ユニットが含まれ、これら露光ユニットは201、202、203、204、205、206及び207で示される。第1列目の露光ユニット(181、…188)と第2列目の露光ユニット(201、…207)とは所謂千鳥状に配置される。即ち、第1列目及び第2列目の露光ユニット(181、…188;201、…207)の配列ピッチは共に等しく露光ユニットのほぼ2つ分の幅とされるが、第2列目の露光ユニット(201、…207)の配列ピッチは第1列目の露光ユニット(181、…188)の配列ピッチに対して半ピッチだけずらされている。
【0018】本実施形態では、各露光ユニット(181、…188;201、…207)はDMDユニットとして構成され、このDMDユニットの反射面は例えば1024×1280のマトリックス状に配列されたマイクロミラーから形成される。各DMDユニットの設置については、描画テーブル14の移動方向に沿って1024個のマイクロミラーが配列されるように行われる。換言すれば、描画テーブル14の移動方向に対して直角方向に1280個のマイクロミラーが配列されることになる。
【0019】図1に示すように、ゲート状構造体16の上面の適当な箇所には光源22が設けられ、この光源22には複数のLED(light emitting diode)が設けられ、これらLEDから得られる光は集光されて平行光束として光源22の射出口から射出されるようになっている。光源22の射出口には15本の光ファイバケーブル束が接続され、個々の光ファイバケーブルは15個のDMDユニット(181、…188;201、…207)のそれぞれに対して延設され、これにより光源22から各DEDユニットに対して光が導入されるようになっている。なお、図1では、図示の複雑化を避けるために光ファイバケーブルは図示されていない。
【0020】図2を参照すると、DMDユニット(181、…188;201、…207)の機能が概念図として図示されている。同図において、参照符号24は各DMDユニットの反射面を示し、この反射面24は既に述べたように1024×1280のマトリックス状に配列されたマイクロミラーから形成される。また、図2に示すように、各DMDユニットには、参照符号26で全体的に示す照明光学系と、参照符号28で全体的に示す結像光学系とが組み込まれる。
【0021】照明光学系26は凸レンズ26A及びコリメートレンズ26Bを含み、凸レンズ26Aは光源22から延設された光ファイバケーブル30と光学的に結合される。このような照明光学系26により、光ファイバケーブル30から射出した光束はDMDユニット(181、…188;201、…207)の反射面24の全体を照明するような平行光束LBに成形される。結像光学系28には第1の凸レンズ28Aと、リフレクタ28Bと、第2の凸レンズ28Cが含まれ、この結像光学系28の倍率は例えば等倍(倍率1)とされる。
【0022】各DMDユニット(181、…188;201、…207)に含まれる個々のマイクロミラーはそこに入射した光束を結像光学系28に向けて反射させる第1の反射位置と該光束を結像光学系28から逸らすように反射させる第2の反射位置との間で回動変位するように動作させられる。図2では、任意のマイクロミラーが第1の反射位置に置かれたとき、そこから反射されて結像光学系28に入射された光束の光軸が参照符号LB1で示され、同マイクロミラーが第2の反射位置に置かれたとき、そこから反射されて結像光学系28から逸らされた光束の光軸が参照符号LB2で示されている。
【0023】図2において、描画テーブル14上に設置された被描画体の描画面が参照符号32で示され、この描画面32上には、結像光学系28に入射された光束(LB1)によってマイクロミラーの反射面が結像される。例えば、各DMDユニット(181、…188;201、…207)に含まれる個々のマイクロミラーのサイズが20μm×20μmであるとすると、結像光学系28の倍率は等倍であるから、マイクロミラーの反射面は描画面32上の20μm×20μmの露光領域として結像され、この露光領域が被描画体上に回路パターンを描画する際の一画素となる。要するに、本実施形態では、回路パターンの描画は20μm×20μmの画素サイズで行われる。
【0024】各描画ユニット(181、…188;201、…207)では、個々のマイクロミラーは通常は第2の反射位置即ち非露光位置に置かれているが、露光作動を行うとき、マイクロミラーは第2の反射位置(非露光位置)から第1の反射位置即ち露光位置に回動変位させられる。マイクロミラーの非露光位置から露光位置への回動変位の制御については、後述するように回路パターンデータ(ラスタデータ)に従って行われる。なお、図2においては、図示の都合上、結像光学系28から逸らされた光束(LB2)も描画面32に向けられているが、しかし実際にはそのような光束(LB2)については描画面32に到達しないように処理されることは言うまでもない。
【0025】各DMDユニット(181、…188;201、…207)に含まれる全てのマイクロミラーが第1の反射位置即ち露光位置に置かれたときは、全てのマイクロミラーから反射された全光束(LB1)が結像光学系28に入射させられ、このため描画面32上にはDMDユニットの反射面による全露光領域が得られ、その全露光領域のサイズについては(1024×20)μm×(1280×20)μmとなり、そこに含まれる総画素数は勿論1024×1280個となる。
【0026】ここで以下の説明の便宜上、図3に示すように、被描画体の描画面32を含む平面上にX−Y直交座標系を定義する。なお、同図において、参照符号Z181ないしZ188で示される斜線領域は第1列目の8つの露光ユニット(181、…188)のそれぞれによってX−Y平面上で得られる全露光領域であり、参照符号Z201ないしZ207で示される斜線領域は第2列目の7つの露光ユニット(201、…207)のそれぞれによってX−Y平面上で得られる全露光領域であり、またX−Y直交座標系に対する描画テーブル14の相対位置を明らかにするために該描画テーブル14は想像線(二点鎖線)で図示されている。図3から明らかなように、X−Y直交座標系のX軸は描画テーブル14の移動方向に平行であり、そのY軸は露光ユニット(181、…188;201、…207)の配列方向に平行とされ、しかも第1列目の露光ユニット(181、…188)による全露光領域(Z181、…Z188)の境界に接している。
【0027】描画装置による描画作動時、描画テーブル14はX軸の負側に一定速度で移動させられ、これにより描画テーブル14上の被描画体は露光ユニット(181、…188;201、…207)の個々のマイクロミラーからの反射光束でもって走査され得る。従って、描画テーブル14の移動中、先ず、第1列目のDMDユニット(181、…188)を露光作動させて8つの全面露光領域(Z181、…Z188)を描画面32上に形成した後に所定のタイミングだけ遅れて第2列目の露光ユニット(201、…207)を露光動作させて7つの全面露光領域(Z201、…Z207)を描画面32上に形成することにより、8つの全面露光領域(Z181、…Z188)と7つの全面露光領域(Z201、…Z207)とを描画面32上でY軸方向に沿って整列させることが可能であり、このときY軸方向に沿うそれぞれの一ラインに含まれる総画素数は1280×15個となる。
【0028】本発明による描画装置にあっては、描画テーブル14を所定の一定速度で連続的に移動させつつ、回路パターンデータ(ラスタデータ)に従って回路パターンを多重露光により描画する描画法が採られ、このような描画法の原理について以下に説明する。
【0029】先ず、図4及び図5を参照して、本発明による描画法での一画素の定義について説明する。図4には、DMDユニット(181、…188;201、…207)の任意のマイクロミラーが第2の反射位置即ち非露光位置から第1の反射位置即ち露光位置に回動変位させられた際に、該マイクロミラーの反射面から反射された光束によって被描画体上に投影(結像)された一画素露光領域が斜線領域として示され、この一画素露光領域のサイズはC×Cとされる。なお、本実施形態では、上述したように、C=20μmである。本発明による描画法にあっては、描画テーブル14は一定速度で連続的に移動させられ、描画テーブル14がX軸の負側に向かってC(20μm)以下の距離dだけ移動した後、上述のマイクロミラーは露光位置(第1の反射位置)から非露光位置(第2の反射位置)に戻される。要するに、マイクロミラーが露光位置に留められる時間が露光時間となり、この露光時間は描画テーブル14がX軸の負側に向かって距離d(d<C)だけ移動する時間に一致する。
【0030】換言すれば、そのような露光時間中に、一画素露光領域は図5に示すようにその初期露光位置(破線で示す)から距離dだけX軸の正側に描画面32上を移動することになり、このとき一画素露光領域のX軸方向に沿う全露光区間TEの露光量の分布は図6のグラフに示すようなものとなる。即ち、一画素露光領域がX軸の正側に向かって移動するものとすると、その後続縁の移動距離区間(d)にわたって露光量は零から最大露光量pに向かって次第に増大し、次いで最大露光量区間MEにわたって最大露光量pが維持され、続いて該一画素露光領域の先導縁の移動距離区間(d)にわたって露光量は最大露光量pから零に向かって次第に減少する。
【0031】このような露光量分布について露光量p/2以上の露光量区間C′とすると、この露光量区間C′は一画素露光領域のX軸方向に沿うサイズCに一致する。かくして、図7に示すように、露光量p/2以上の露光量領域(斜線領域)は当初の一画素露光領域に等しいサイズ(C′×C)を持つこととなり、本発明による描画法では、そのような露光量領域が一画素露光領域として定義される。なお、露光量p/2の具体的な数値については被描画体(フォトレジスト層等)の感度に基づいて設定されるものであって、そのような設定数値の露光量が得られるように光源装置の光強度、露光時間(距離d)等のパラメータが決定される。
【0032】次に、以上のように定義される一画素露光領域によって回路パターンを実際に描画する際の描画法について具体的に説明する。
【0033】先ず、図8を参照すると、ビット・マップ・メモリ上に展開された回路パターンデータ(ラスタデータ)の一部が模式的に示されている。同図に示すライン番号Nは描画面32上にY軸に沿って順次描画されるべき描画ラインの番号に対応し、各ラインは1280×15個のビットデータから構成される。図8に示すように、各ラインに含まれる1280×15個のビットデータは1280ビット毎に第1番目ないし第15番目のグループに分けられ、第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)の露光作動はそれぞれ奇数番目のグループのビットデータに従って行われ、第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)の露光作動はそれぞれ偶数番目のグループのビットデータに従って行われる。
【0034】図8に示すように、本発明による描画法に従ってDMD181を露光作動させる際の以下の例示的な説明のために、第1番目のグループのライン番号1ないし9のそれぞれの上位4ビットには“1”が与えられ、残りの1276ビットには“0”が与えられる。なお、図8では、その他のビットデータについてはすべてDで示され、このDには“1”か“0”のうちのいずれかの値が与えられる。
【0035】図9を参照すると、第1番目のグループのビットデータに従ってDMDユニット181によって描画を行う際の手順が模式的に示されている。なお、描画作動中、描画テーブル14が実際にはX軸に沿ってその負側に向かって移動させられることになるが、ここでは、説明の便宜上、DMDユニット181がX軸に沿ってその正側に向かって移動するものとされる。
【0036】DMDユニット181が被描画体の描画面32上の描画開始位置に到達したとき(即ち、描画面32上の描画開始位置がY軸に到達したとき)、DMDユニット181のY軸に沿う第1ライン目の1280個のマイクロミラーのそれぞれが第1番目のグループのライン番号1に含まれる1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、これによりDMDユニット181の第1回目露光作動が行われる。即ち、第1番目のグループのライン番号1の1280個のビットデータ[11110…00000]のうちの上位4ビットデータ“1”にそれぞれ対応した4つのマイクロミラーだけが非露光位置(第2の露光位置)から露光位置(第1の反射位置)に回動変位させられる。各マイクロミラーが露光位置に留められる時間即ち露光時間については、図4ないし図7を参照して説明したように、DMDユニット181がX軸の正側に向かって距離d(d<C)だけ移動する時間とされる。かくして、図9に示すように、第1回目露光作動時に、被描画体の描画面32上には上述の4つのマイクロミラーにより4画素分の一画素露光領域(斜線領域)が得られる。第1回目露光作動によって4画素分の一画素露光領域(斜線領域)が形成された後、DMDユニット181が描画開始位置からX軸の正側に向かって画素サイズ(C)の整数倍の距離例えば画素サイズの4倍の距離Aだけ移動させられると、第2回目露光作動が開始される。
【0037】第2回目露光作動時、図9に示すように、DMDユニット181のY軸に沿う第1ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号5の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第2ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号4の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第3ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号3の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられる。同様に、DMDユニット181のY軸に沿う第4ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号2の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第5ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号1の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられる。
【0038】勿論、第2回目露光作動時の露光時間も第1回目露光作動時の露光時間と同じとされ、このとき第1番目のグループのライン番号1ないし5の各ライン番号に含まれる上位4ビットデータ“1”にそれぞれ対応した4つのマイクロミラーにより被描画体の描画面32上には4画素分の一画素露光領域(斜線領域)が得られる。ここで注目すべきことは、第1回目露光作動時に得られた4画素分の一画素露光領域(斜線領域)が第2回目露光作動時に第1番目のグループのライン番号1の上位4ビットデータ “1”に従って二重露光されるということである。第2回目露光作動の開始後、DMDユニット181がX軸の正側に向かって再び距離A(=4C)だけ移動させられると、第3回目露光作動が開始される。
【0039】第3回目露光作動時、図9に示すように、DMDユニット181のY軸に沿う第1ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号9の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第2ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号8の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第3ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号7の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作せられる。同様に、DMDユニット181のY軸に沿う第4ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号6の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第5ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号5の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第6ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号4の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられる。更に、DMDユニット181のY軸に沿う第7ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号3の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第8ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号2の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられ、DMDユニット181のY軸に沿う第9ラインの1280個のマイクロミラーのそれぞれは第1番目のグループのライン番号1の1280個のビットデータ[11110…00000]に従って動作させられる。
【0040】第3回目露光作動時の露光時間も第1回目露光作動時の露光時間と同じであり、このとき第1番目のグループのライン番号1ないし9の各ライン番号に含まれる上位4ビットデータ“1”にそれぞれ対応した4つのマイクロミラーにより被描画体の描画面32上には4画素分の一画素露光領域(斜線領域)が得られることになる。上述の場合と同様に、第1回目露光作動時に得られた4画素分の一画素露光領域(斜線領域)は第2回目露光作動時と第3回目露光作動時とで第1番目のグループのライン番号1の上位4ビットデータ “1”に従って三重露光され、また第2回目露光作動時にライン番号2ないし5のそれぞれの上位4ビットデータ“1”によって得られた4画素分の一画素露光領域(斜線領域)は第3回目露光作動時にライン番号2ないし5のそれぞれの上位4ビットデータ“1”によって二重露光される。
【0041】以上述べようたように、DMDユニット181が描画開始位置からX軸の正側に向かって距離A(=4C)だけ移動させられる度毎に露光作動が繰り返される。DMDユニット181のY軸に沿うラインの本数は1024本であるから、上述の例では、露光作動の繰返し数は1024/4=256となる。従って、例えば、第1番目のグループのライン番号1に含まれる上位4ビットデータ“1”によって得られる4画素分の一画素露光領域の各々は256回にわたって多重露光されることになる。図10を参照すると、上述の一画素露光領域のうちの1つが6回の多重露光作動によって得られた際の多重露光量がグラフ化して図示され、その多重露光量の総計は勿論6pとなる。もし256回の多重露光作動が行われれば、その多重露光量の総計は256pとなる。
【0042】第1列目に含まれるその他のDMDユニット182ないし188の露光作動のそれぞれについても、上述の場合と同様な態様で、第3番目、第5番目、第7番目、第9番目、第11番目、第13番目及び第15番目のグループのビットデータに従って行われ、そのいずれかのビットデータDに“1”が与えられるているとき、そのビットデータに対応した一画素露光領域についても256回にわたって多重露光が行われる。また、第2列目に含まれるDMDユニット201ないし207の露光作動のそれぞれについても、上述の場合と同様な態様で、第2番目、第4番目、第6番目、第8番目、第10番目、第12番目及び第14番目のグループのビットデータに従って行われるが、しかし第2列目のDMDユニット201ないし207の作動タイミングについては第1列目のDMDユニット181ないし188に対する2列目のDMDユニット201ないし207のX軸方向のシフト距離sだけ遅らされる(図3)。即ち、第2列目のDMDユニット201ないし207が被描画体の描画面32上に描画開始位置に到達したとき、第2列目のDMDユニット201ないし207による露光作動が開始される。
【0043】上述の例では、距離Aを画素サイズ(C)の4倍とすることで多重露光回数については256回とされているが、このような露光回数(即ち、距離A)は被描画体(本実施形態では、フォトレジスト層)の感度、光源22の光強度及び描画テーブル14の速度等に基づいて決められ、これにより各一画素露光領域について所望の露光量が得られるようにされる。
【0044】図11を参照すると、本発明による描画装置の制御ブロック図が示される。同図に示すように、本発明による描画装置にはシステムコントロール回路34が設けられ、このシステムコントロール回路34は例えばマイクロコンピュータから構成される。即ち、システムコントロール回路34は中央演算処理ユニット(CPU)、種々のルーチンを実行するためのプログラム、定数等を格納する読出し専用メモリ(ROM)、データ等を一時的に格納する書込み/読出し自在なメモリ(RAM)及び入出力インターフェース(I/O)から成り、描画装置の作動全般を制御する。
【0045】システムコントロール回路34はLAN(local area network)を介してCADステーション或いはCAMステーションに接続され、CADステーション或いはCAMステーションからはそこで作成処理された回路パターンデータ(ベクタデータ)がシステムコントロール回路34に転送される。システムコントロール回路34にはデータ格納手段としてハードディスク装置36が接続され、CADステーション或いはCAMステーションから回路パターンデータ(ベクタデータ)がシステムコントロール回路34に転送されると、システムコントロール回路34は回路パターンデータ(ベクタデータ)を一旦ハードディスク装置36に書き込んで格納する。また、システムコントロール回路34には外部入力装置としてキーボード38が接続され、このキーボード38を介して種々の指令信号や種々のデータ等がシステムコントロール回路34に入力される。
【0046】図11において、参照符号40はラスタ変換回路を示し、参照符号42はビット・マップ・メモリを示す。描画作動に先立って、ハードディスク装置36から回路パターンデータ(ベクタデータ)が読み出されてラスタ変換回路40に出力され、この回路パターンデータ(ベクタデータ)はラスタ変換回路40によってラスタデータに変換される。このように変換された回路パターンデータ(ラスタデータ)はビット・マップ・メモリ42に書き込まれる。ラスタ変換回路40でのデータ変換処理及びビット・マップ・メモリ42でのデータ書込みについてはキーボード38を介して入力される指令信号により行われる。
【0047】勿論、ビット・マップ・メモリ42に展開された回路パターンデータ(ラスタデータ)は図8に模式的に示すようなものとなる。即ち、図8を参照して説明したように、各ライン番号Nによって示される一ラインには、1280×15個のビットデータが含まれ、これら1280×15個のビットデータは1280ビット毎に第1番目ないし第15番目のグループに分けられる。先に説明したように、第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)の露光作動はそれぞれ奇数番目のグループのビットデータに従って行われ、また第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)の露光作動はそれぞれ偶数番目のグループのビットデータに従って露光作動が行われる。
【0048】図11において、参照符号44はDMD駆動回路を示し、このDMD駆動回路44により、第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)と第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)との露光作動が制御される。このような露光動作は勿論ビット・マップ・メモリ42から各ライン番号毎に読み出されるビットデータに従って行われ、このときビットデータの読み出されるライン番号は描画テーブル14の移動量に応じて規則的に変化させられる。なお、図11では、第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)と第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)との露光作動が破線矢印で模式的に図示されている。
【0049】第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)の露光作動をDMD駆動回路44によって制御する際にビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからビットデータを読み出すべきライン番号について説明すると、DMDユニット(181、…188)が被描画体の描画面32上の描画開始位置に到達したとき、第1回目露光作動が開始され、このときビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからライン番号1のビットデータが読み出され(図9)、このライン番号1のビットデータに従って第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)のY軸に沿う第1ラインの1280個のマイクロミラーが動作させられる。
【0050】DMDユニット(181、…188)が描画開始位置からX軸の正側に距離Aだけ移動したとき、第2回目露光作動が開始され、このときビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからはライン番号1からライン番号(A/C+1)までのビットデータが読み出される。上述した例では、A=4Cであるので、第2回目露光作動時にはビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからはライン番号1からライン番号5(=4C/C+1)までのビットデータが読み出され(図9)、これらビットデータに従って第1列目の8つのDMDユニット(181、…188)のY軸に沿う第5ラインないし第1ラインの各ラインの1280個のマイクロミラーが動作させられる。
【0051】上述したように、DMDユニット(181、…188)の露光作動は描画開始位置からX軸の正側に距離Aずつ移動する度毎に繰り返されるので、DMDユニット(181、…188)が描画開始位置からX軸の正側に距離Sだけ移動した際の露光回数iは以下の式で表せる。
i=INT[S/A]+1ここで、演算子INT[S/A]は除算S/Aの商を表し、S<Aであるとき、INT[S/A]=0として定義される。
【0052】従って、第i回目露光作動時、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出されるべきビットデータの最終ライン番号Nは以下の式で表せる。
N=((i-1)*A/C+1)
【0053】また、本実施形態においては、各DMDユニット(181、…188)のY軸に沿う総ライン数は1024であるから、最終ライン番号((i-1)*A/C+1)が1024を越えたとき、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出されるべきビットデータの最大ライン数は1024本となる。例えば、上述の例(A=4C)において、露光回数が257回目になったとき、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出されるべきビットデータの最終ライン番号N(=256*4C/C+1)は1025となり、この場合にはライン番号2からライン番号1025までの1024本のラインのビットデータが読み出されることになる。
【0054】一般的に言うと、以下の演算結果に基づいて、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出されるべきビットデータのライン数を確定することができる。
((i-1)*A/C+1)−1024=I【0055】即ち、I≦0のときは、ライン番号1からライン番号((i-1)*A/C+1)までのビットデータがビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出される。また、I>0であるときには、ライン番号(I+1)からライン番号((i-1)*A/C+1)までのビットデータがビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループから読み出される。なお、ライン番号(I+1)からライン番号((i-1)*A/C+1)までのラインの総本数は1024本となる。
【0056】なお、第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)の露光作動をDMD駆動回路44によって制御する際にビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループからビットデータを読み出すべきライン番号の説明についても上述した場合と同様なことが言える。即ち、第2列目の7つのDMDユニット(201、…207)による露光作動時、ビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループのそれぞれの該当ラインからビットデータを読み出す際のタイミングが第1列目のDMDユニット181ないし188に対する第2列目のDMDユニット201ないし207のX軸方向のシフト距離sだけ遅らされるだけである(図3)。
【0057】図11において、参照符号46は描画テーブル14をX軸方向に沿って駆動させるための駆動モータを示す。勿論、描画テーブル14と駆動モータ46との間には先に述べたようにボール螺子等を含む駆動機構が介在させられるが、そのような駆動機構については図11では破線矢印で象徴的に示されている。駆動モータ46は例えばステッピングモータとして構成され、その駆動制御は駆動回路48から出力される駆動パルスに従って行われる。
【0058】駆動回路48はX軸制御回路50の制御下で動作させられ、このX軸制御回路50は描画テーブル14に設けられたX位置検出センサ52に接続される。X位置検出センサ52は描画テーブル14の移動経路に沿って設置されたX軸リニアスケール54からの光信号を検出して描画テーブル14のX軸方向に沿うその位置を検出するものである。なお、図11では、X軸リニアスケール54からの光信号の検出が破線矢印で象徴的に示されている。
【0059】描画テーブル14の移動中、X位置検出センサ52はX軸リニアスケール54から一連の光信号を順次検出して一連の検出信号(パルス)としてX軸制御回路50に対して出力する。X軸制御回路50では、そこに入力された一連の検出信号が適宜処理され、その検出信号に基づいて一連の制御クロックパルスが作成される。X軸制御回路50からは一連の制御クロックパルスが駆動回路48に対して出力され、駆動回路48ではその一連の制御クロックパルスに従って駆動モータ46に対する駆動パルスが作成される。要するに、X軸リニアスケール54の精度に応じた正確さで描画テーブル14をX軸方向に沿って移動させることができる。なお、このような描画テーブル14の移動制御自体は周知のものである。
【0060】図11に示すように、X軸制御回路50はシステムコントロール回路34に接続され、これによりX軸制御回路50はシステムコントロール回路34の制御下で行われる。一方、X位置検出センサ52から出力される一連の検出信号(パルス)はX軸制御回路50を介してシステムコントロール回路34にも入力され、これによりシステムコントロール回路34では描画テーブル14のX軸に沿う移動位置を常に監視することができる。
【0061】図12ないし図14を参照すると、システムコントロール回路34で実行される描画ルーチンのフローチャートが示され、この描画ルーチンの実行は描画装置の電源スイッチ(図示されない)をオンすることにより開始される。
【0062】ステップ1201では、キーボード38上に割り当てられた描画開始キーが操作されたか否かが判断される。なお、描画開始キーの操作前には、回路パターンデータ(ベクタデータ)からラスタデータへの変換処理が行われていてビット・マップ・メモリ42には回路パターンデータ(ラスタデータ)が既に展開されているものとされ、また描画ルーチンの実行に必要な種々のデータ、例えば距離A、描画時間、描画テーブル14の移動速度等のデータはキーボード38を介して入力されてシステムコントロール回路34のRAMに既に格納されているものとする。
【0063】ステップ1201で描画開始キーの操作が確認されると、ステップ1202に進み、そこでフラグF1及びF2は“0”に初期化され、またカウンタi及びjは“1”に初期化される。
【0064】フラグF1は第1列目のDMDユニット(181、…188)の描画作動が完了したか否かを指示するためのフラグである。第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動が完了すると、フラグF1は“0”から“1”に書き換えられる。
【0065】フラグF2は第2列目のDMDユニット(201、…207)が画体の描画面32上の描画開始位置に到達したか否かを指示するためのフラグである。第2列目のDMDユニット(201、…207)が描画開始位置に到達したとが確認されると、フラグF2は“0”から“1”に書き換えられる。
【0066】カウンタiは第1列目のDMDユニット(181、…188)によって行われる露光作動の回数をカウントするものであり、またカウンタjは第2列目のDMDユニット(201、…207)によって行われる露光作動の回数をカウントするもである。従って、カウンタi及びjのそれぞれには初期値として“1”が設定される。
【0067】ステップ1203では、駆動モータ46が始動されて描画テーブル14がその原点位置からX軸の負側に向かって所定の一定速度で移動させられる。換言すれば、第1列目のDMDユニット(181、…188)及び第2列目のDMDユニット(201、…207)が描画テーブル14に対してX軸の正側に移動することとなる。なお、ここでは、描画テーブル14上には被描画体が所定位置に設置されていて、その被描画体の描画面上の描画開始位置は描画テーブル14の原点位置でX−Y座標系に対して特定されているものとされる。
【0068】ステップ1204では、第1列目のDMDユニット(181、…188)が描画開始位置に到達したか否かが監視される。描画開始位置への第1列目のDMDユニット(181、…188)の到達が確認されると、ステップ1205に進み、そこでフラグF1が“0”であるか“1”であるかが判断される。初期段階では、F1=0であるので、ステップ1206に進み、そこで以下の演算が行われる。
I←((i-1)*A/C+1)−1024【0069】ステップ1207では、Iが“0”以下であるか否かが判断される。上記演算式の意味は既に述べた通りであり、第1列目のDMDユニット(181、…188)による第1回目露光作動時には、I<0であるので、ステップ1208に進み、そこでビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループのライン番号1からライン番号((i-1)*A/C+1)までのビットデータが読み出されるが、しかしi=1のとき、((i-1)*A/C+1)=1となるので、この場合には該奇数番目の各グループのライン番号1からビットデータが読み出される。
【0070】ステップ1210では、第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動が開始され、この露光作動は第1回目露光作動となる(i=1)。要するに、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループのライン番号1から読み出されたビットデータに従って第1列目のDMDユニット(181、…188)のY軸に沿う第1ラインの1280個のマイクロミラーが動作させられ、これにより第1回目露光作動が開始される。第1回目露光作動の開始後、ステップ1211に進み、そこでカウンタiのカウント数が“1”だけインクレメントされ、第1列目のDMDユニット(181、…188)による第2回目露光作動に備える。
【0071】ステップ1212では、フラグF2が“0”であるか“1”であるかが判断される。初期段階では、F2=0であるので、ステップ1213に進み、そこで第2列目のDMDユニット(201、…207)が描画開始位置に到達したか否かが判断される。この初期段階では、第2列目のDMDユニット(201、…207)は描画開始位置に到達していなので、ステップ1221にスキップし、第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動が完了したか否かが判断される。
【0072】この初期段階では、第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動は完了していないので、ステップ1221からステップ1222に進み、そこで第1列目のDMDユニット(181、…188)が露光作動開始時から距離dだけ移動したか否かが監視される。勿論、先に述べたように、距離dは一画素露光領域のサイズC(20μm)以下の距離となる。ステップ1222で第1列目のDMDユニット(181、…188)による距離dの移動が確認されると、ステップ1223に進み、そこで第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動が停止される。
【0073】ステップ1224では、第1列目のDMDユニット(181、…188)が描画開始位置から距離Aの倍数だけ移動したか否かが監視される。第1列目のDMDユニット(181、…188)の描画開始位置から距離Aの倍数までの移動が確認されると、ステップ1205に戻る。即ち、第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動が繰り返されて(ステップ1210)、カウンタiのカウント数が“1”ずつインクレメントとされる(ステップ1211)。
【0074】先に述べたように、A=4Cの例では、一画素露光領域については256回にわたって多重露光が行われる。このような例においては、カウンタiのカウント数が256に到達するまでは、I<0であるので、256回目までの露光作動では、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループのライン番号1からライン番号((i-1)*A/C+1)までのビットデータが読み出されることになる(ステップ1208)。しかしながら、カウンタiのカウント数が257以上になると、I>0となり、このときステップ1207からステップ1209に進み、そこでビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからビットデータが読み出されるべきライン番号は(I+1)から((i-1)*A/C+1)までとなる。勿論、この場合には、ビット・マップ・メモリ42の奇数番目の各グループからビットデータが読み出されるラインの総数は1024本となる。
【0075】第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動中に、ステップ1213で描画開始位置への第2列目のDMDユニット(201、…207)の到達が確認されると、ステップ1213からステップ1214に進み、そこでフラグF2が“0”から“1”に書き換えられる。次いで、ステップ1215に進み、そこで以下の演算が行われる。
J←((j-1)*A/C+1)−1024【0076】ステップ1216では、Jが“0”以下であるか否かが判断される。上記演算式の意味は既に述べた通りであり、第2列目のDMDユニット(201、…207)による第1回目露光作動時には、J<0であるので、ステップ1217に進み、そこでビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループのライン番号1からライン番号((j-1)*A/C+1)までのビットデータが読み出されるが、しかしj=1のとき、((j-1)*A/C+1)=1となるので、この場合には該偶数番目の各グループのライン番号1からビットデータが読み出される。
【0077】ステップ1219では、第2列目のDMDユニット(201、…207)による露光作動が開始され、この露光作動は第1回目露光作動となる(j=1)。要するに、ビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループのライン番号1から読み出されたビットデータに従って第2列目のDMDユニット(201、…207)のY軸に沿う第1ラインの1280個のマイクロミラーが動作させられ、これにより第1回目露光作動が開始される。第1回目露光作動の開始後、ステップ1220に進み、そこでカウンタjのカウント数が“1”だけインクレメントされ、第2列目のDMDユニット(201、…207)による第2回目露光作動に備える。
【0078】ステップ1220でカウンタjのカウント数が“1”だけインクレメントされた後に、ステップ1221に進み、そこで第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動が完了したか否かが判断される。第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動が完了していないとき、ステップ1222に進み、そこで第1列目のDMDユニット(181、…188)と第2列目のDMDユニット(201、…207)とが露光作動開始時から距離dだけ移動したか否かが監視される。ステップ1222で第1列目のDMDユニット(181、…188)と第2列目のDMDユニット(201、…207)とによる距離dの移動が確認されると、ステップ1223に進み、そこで第1列目のDMDユニット(181、…188)と第2列目のDMDユニット(201、…207)とによる露光作動が停止される。
【0079】ステップ1224では、第1列目のDMDユニット(181、…188)と第2列目のDMDユニット(201、…207)とが描画開始位置から距離Aの倍数だけ移動したか否かが監視される。ステップ1224で第1列目のDMDユニット(181、…188)と第2列目のDMDユニット(201、…207)との描画開始位置から距離Aの倍数までの移動が確認されると、ステップ1205に戻る。即ち、第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動と第2列目の第2列目のDMDユニット(201、…207)による露光作動とが繰り返されて(ステップ1210及びステップ1219)、カウンタi及びjのカウント数が“1”ずつインクレメントされる(ステップ1211及びステップ1220)。なお、この時点では、F2=1となっているために、ステップ1212からステップ1213及び1214を迂回してステップ1215に進むことになる。
【0080】第1列目のDMDユニット(181、…188)による露光作動の場合と同様に、第2列目のDMDユニット(201、…207)による露光作動の場合においても、A=4Cの例では、一画素露光領域については256回にわたって多重露光が行われる。従って、カウンタjのカウント数が256に到達するまでは、J<0であるので、256回目までの露光作動では、ビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループのライン番号1からライン番号((j-1)*A/C+1)までのビットデータが読み出されることになる(ステップ1217)。しかしながら、カウンタjのカウント数が257以上になると、J>0となり、このときステップ1216からステップ1218に進み、そこでビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループからビットデータが読み出されるべきライン番号は(J+1)から((j-1)*A/C+1)までとなる。勿論、この場合には、ビット・マップ・メモリ42の偶数番目の各グループからビットデータが読み出されるラインの総数は1024本となる。
【0081】ステップ1221で第1列目のDMDユニット(181、…188)による描画作動が完了したことが確認されると、ステップ1221からステップ1225に進み、そこでフラグF1が“0”から“1”に書き換えられる。次いで、ステップ1226では、第2列目のDMDユニット(201、…207)による描画作動が完了したか否かが判断される。第2列目のDMDユニット(201、…207)による描画作動が完了していないとき、ステップ1226からステップ1222に進み、そこで第2列目のDMDユニット(201、…207)が露光作動開始時から距離dだけ移動したか否かが監視される。第2列目のDMDユニット(201、…207)による距離dの移動が確認されると、ステップ1223に進み、そこで第2列目のDMDユニット(201、…207)による露光作動が停止される。
【0082】ステップ1224では、第2列目のDMDユニット(201、…207)が描画開始位置から距離Aの倍数だけ移動したか否かが監視される。第2列目のDMDユニット(201、…207)の描画開始位置から距離Aの倍数までの移動が確認されると、ステップ1205に戻るけれども、このときF1=1となっているので、ステップ1205からステップ1212までスキップし、このため第2列目のDMDユニット(201、…207)による露光作動だけが繰り返されて(ステップ1219)、カウンタjのカウント数が“1”ずつインクレメントされる(ステップ1220)。
【0083】ステップ1226で第2列目のDMDユニット(201、…207)による描画作動が完了したことが確認されると、ステップ1226からステップ1227に進み、そこで駆動モータ46が逆駆動させられて描画テーブル14はその原点位置に向かって戻される。次いで、ステップ1228では、描画テーブル14が原点位置に到達したか否かが監視され、描画テーブル14の原点位置への到達が確認されると、駆動モータ46の駆動が停止されて、本ルーチンの実行が終了する。
【0084】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明にあっては、マトリックス状に配列された多数の変調素子を持つ露光ユニットを用いて行う従来の露光方式、即ちステップ・アンド・リピート方式とは異なって、該露光ユニットを描画テーブルに対して相対的に一定速度で連続的に移動させつつ描画を行うことができるので、回路パターンの全体の描画に必要とされる時間を短縮し得るという作用効果が得られる。なお、双方の全体の描画時間についての具体的な比較はないが、しかしステップ・アンド・リピート方式では、露光時間と描画テーブルの移動時間とは別々のものであるのに対して、本発明による多重露光描画方法では、露光時間が描画テーブルの移動時間中に含まれるということから、本発明による全体の描画時間の短縮化については明らかである。
【0085】また、本発明にあっては、従来のステップ・アンド・リピート方式のように、描画テーブルが間欠的に繰り返し移動させられることはないので、描画テーブルを頻繁に加速及び減速させる必要はなく、このため描画テーブルの駆動系が故障し難いという作用効果も得られる。
【0086】本発明により得られる特徴的な作用効果の1つとして、露光ユニット内の変調素子の幾つかが正常に機能しなくなったとしても、画素欠陥を生じさせることなく回路パターンの描画を適正に行い得るという点も挙げられる。というのは、描画回路パターンの個々の一画素露光領域は数百回以上の露光作動にわたる多重露光によって得られるので、そのうちの数回程度の露光作動が正常に行われなかったとしても、その一画素露光領域の総露光量は十分に得られるからである。
【0087】また、本発明により得られる特徴的な別の作用効果として、個々の露光ユニットに組み込まれる結像光学系に起因する露光むらがあったとしても、その露光むらの影響は数百回以上の多重露光のために小さくされるという点も挙げられる。
【0088】本発明により得られる特徴的な更に別の作用効果として、光源装置の出力が低くても、数百回以上の多重露光のために十分な露光量が確保し得る点も挙げられる。換言すれば、本発明による多重露光描画方法及び多重露光描画装置に用いれる光源装置については安価に構成し得ることになる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号
【出願日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【代理人】 【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
【公開番号】 特開2003−15309(P2003−15309A)
【公開日】 平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願番号】 特願2001−198375(P2001−198375)