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【発明の名称】 ダイポールダイポール配置によるインピーダンス法電気探査
【発明者】 【氏名】吉田 紘彬

【要約】 【課題】地下構造の電気探査に置いて、測定のスピードアップを図り、地下水脈の規模を直接的に知る。

【解決手段】地表の測線上に予め等間隔に接地した複数の電極の内、ダイポールダイポール配置とする4電極を切替スイッチで選択して間隔と位置を切替え、比抵抗を測定する。前記測定を1〜6Hと10〜60Hの周波数を組み合わせて行い、夫々測定した比抵抗の比が1.0以上を示す範囲から地下水脈の存在を、値から地下水脈の規模を知る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地表の測線上に、予め等間隔に接地した複数の金属電極の内、4電極をダイポールダイポール配置(C1・C2・P2・P1…C1C2=P2P1=a…C2P2=n*a)とし、電極間隔(a・na)と連続する電極間の移動を切替スイッチで行いながら、地盤の見掛け比抵抗(ρa)を測定し、その値をC1P1の中心点直下でa(n+1)/2の深度にプロットして等比抵抗線図を描くと、地質断面図に似た模様になる。見掛け比抵抗測定の際1〜6Hzとその約10倍(10〜60Hz)の周波数を組み合わせて行い、各比抵抗比を同様にプロットして等比抵抗比線図を描き前記等比抵抗線図と見比べ、インピーダンス効果(高周波による見掛け比抵抗/低周波による見掛け比抵抗=ρH/ρL)が1.0以上を示す範囲から地下水脈の存在を、値の大きさから地下水脈の規模(地下水開発では概略取水量)を知る方法。
【請求項2】 ダイポールダイポール配置による電気探査を1〜6Hzと約10倍(10〜60Hz)の2周波数を使って行い、それぞれの電極間隔と位置で測定した見掛け比抵抗の比ρH/ρLをC1P1の中心点直下a(n+1)/2の深度にプロットして等比抵抗比線図を描き、インピーダンス効果ρH/ρL>1.0の範囲から地下水脈の存在を、その大きさから地下水脈の規模(地下水開発では概略取水量)を知る方法。
【請求項3】 測定器は、トランジスター低周波インバーターの一次側に固定的に使われるコンデンサーを、容量が異なる他のコンデンサーと切り替えて、1〜6Hzとその約10倍(10〜60Hz)の2周波数で測定を可能にした装置。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】地質調査法に、地質の物理的性質を利用した物理探査の分野があり、その中に電気的性質を利用した電気探査がある。電気探査の中で地盤の比抵抗を利用した比抵抗法に地層の垂直変化を捉える垂直探査と、鉱脈や断層などの水平異常を捉える水平探査がある。特許申請する探査は水平探査に近いが、密な測定数により垂直探査を合わせた効果が発揮でき、映像によりわかりやすく、さらに地下水の有無や取水量の多少までの判定を可能とするものである。
【従来の技術】電気探査比抵抗法:電気探査では2つの電流電極(C1・C2)間に電流(I)を流し、その電流で発生する電位差(V)を他の2極(P1・P2)で測定して、抵抗(R=V/I)を求めた後に比抵抗(ρa)を求めるため、必ず4電極を使用する。これら4電極の配置や間隔を違えることで、異なった細分類の名称(ウェンナー法・シュランベルジャー法等)が付けられている。

垂直探査:地表で電極間隔(a)を変えて測定する見掛け比抵抗(ρa)は、各地層の層厚(t1〜n)と比抵抗(ρ1〜n)を合成したもので、電極間隔と見掛け比抵抗を両対数方眼紙にプロットし、標準曲線や補助曲線を用いて、各地層の比抵抗と深度(地層の垂直変化)を求めるのが垂直探査である。近年は各地層の比抵抗と層厚を想定し、実測した電極間隔と見掛け比抵抗に一致させるようなコンピューター解析が可能となっている。
水平探査:一定の電極間隔で水平に移動しながら測定すると、ある深度までの地層の水平異常を捉えることができる。電極間隔を何種類か変えて実施し、電極間隔と同じ深度に見かけ比抵抗をプロットして、等比抵抗線図を描くと地質断面図に似た模様になる。このとき採用する電極配置によって地質断面の判読精度が異なる。特に水平異常を捉えるためにはウェンナー配置(等間隔4極法)などより、一組の電流電極(C)と電位電極(P)を遠距離(ほぼ∽)に接地し、他の2極の電極間隔を変えて移動する2極法が効果的として広く採用されている。

IP法(強制分極法):今回の発明に最も近い方法であり、ダイポールダイポール配置を基本とし、電流電極に電流を流し電位電極で電圧を読み、一度比抵抗を測定した後電流を切り、一定時間後に残留電位を読み、2度目の比抵抗を測定して、両者の関係から水脈等を探す方法である。この方法の中で周波数効果も期待できるとされ、その周波数に数Hzとその1/10の2周波数が採用されている。これらの調査では全て直流が使用され、交換直流の場合も周波数が低いため特殊な電極が使われている。
【発明が解決しようとする課題】垂直探査は地層が水平の場合効果的であるが、断層を含め複雑に交錯する地層の解析は不可能と言える。水平探査は電極間隔と移動量を密にすると、等比抵抗線図で概略地質構造を把握することが可能である。この場合一組の電流電極(C)と電位電極(P)が水平異常を捉えることから、2極法が効果的であることは分かっていたが、ほぼ∽の位置にある固定局が移動局の位置と間隔によっては無視できない状態になるのと、次に記すインピーダンス効果をより高めるためにもダイポールダイポール配置(2極2極法)が優れていることを実験的に知り、予め等間隔に設置した電極を多段切替えスイッチで切替えなから測定することでスピードアップが可能となり、等比抵抗線図から地層の判読がやりやすくなった。インピーダンス効果は、水脈が存在すると、測定する周波数が高い場合(60〜10Hz)の比抵抗が、低い場合(6〜1Hz)の比抵抗より高くなることが実験的に分かったため、これまで水理地質の解析には地質学的考察を加えて間接的に地下水脈を推定していたものを、直接的に知ることができるよう解決したものである。

【課題を解決しようとする手段】電気探査の解析理論は大変複雑であるが、多くの事例と比較して正しい判断ができれば十分目的を達すると考え、水平探査で4極法・2極法・2極2極法をテストし、計算に誤差が入りにくく、水平異常を識別しやすいことで2極2極法(ダイポールダイポール法)を採用した。機械的に周波数を変換できる測定器で、0〜30Hzまでのものは存在したが、測定が不安定であった。実験段階で高い製作費は掛けられず、既存の機種に使われたトランジスター低周波インバーターのコンデンサーを変えることで可能と判断し、計算上400z・40Hz・4Hzが切り替えられる測定器に改良し、実験結果から水脈を捉えるのに効果的な40Hzと4Hzを採用した(但し、本体の仕様で、負荷により多少周波数は変化することが考えられる)。
【発明の実施の形態】
測定機材電気探査器:改良型大地比抵抗測定器…1台 測定周波数……4・40・400Hz(負荷により多少変化する)
測定抵抗範囲…0〜0.3/3/30/300Ω 測定電圧………150/300/600V電 源 :自動車用蓄電池…1個電 極:日動電工(株)B−1型電極…21本(探査深度や精度によって増)
リード線:(160m・145m・130m・115m・90m・85m・70 m・55m・40m・25m)×2組20m×1本(探査深度や精度 によって増)
配電盤 :自社製21極切替スイッチ付き(探査深度や精度によって増)
間 綱 :左右2本(測定深度により測線長50m・100m・200m・3000m)■ 等間隔で連続する接地電極の起点側で、ダイポールダイポール配置となる4極を組合わせ、40Hzと4Hzで測定しながら、切替スイッチで終点側へ進む。一列の測定を終えたら電極間隔(a或いはn)を変えて同様な測定を行う。
■ ダイポールダイポール配置による観測が終わったら、接地電極をそのまま利用し、必要な部分には増接してウェンナー配置或いはシュランベルジャー配置による垂直探査を実施する。
■ ウェンナー法を解析し、概略の地質構造を知る。表層土の比抵抗と深度はそのまま採用し、深い部分は等価の水平層と考える。
■ ダイポールダイポール配置で測定した2周波数値の内、一方で求めた見掛け比抵抗は、中心点直下a(n+1)/2の深度にプロットして等比抵抗線図を描き、ウェンナー法と合わせて地質の判読を行う。
■ インピーダンス効果ρ40/ρ4も中心点直下a(n+1)/2の深度にプロットして等比抵抗比線図を描き水脈の位置を知る。
【実施例】 下図並びに別紙の通り
【発明の効果】同様な調査にIP法(強制分極法)があるが、本来は可充電率法であり、周波数領域での測定は、今回のインピーダンス法に比べて、採用されている周波数は1/10程度と低く、直流の性質が強い。このことから非分極性の電極を使用せねばならず、金属電極では安定した測定値が得られない。安価で取り扱いやすい金属電極によるインピーダンス法は測定自体が非常に効率的である。インピーダンス効果としてρ40/ρ4を採用しているが、水脈は実験的に1以上を示し、その大きさは水脈の規模を表すことが分かったため、これまでの電気探査による地下水調査が解析された地層の比抵抗から間接的に水脈を推定していたのに対し、この調査では直接的に水脈の存在を知ることができるようになった。このインピーダンス法は地下水開発だけでなく、老朽溜池の漏水調査でも成果を上げている。ρ40/ρ4が1以下の部分も存在するが、地表近くで不飽和節理が存在する付近と、1以上の近くでゴースト状に現れる場合があり、未だデーター不足で十分利用しきっていない。
【出願人】 【識別番号】502089637
【氏名又は名称】株式会社応用地研
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−227877(P2003−227877A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−67670(P2002−67670)