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【発明の名称】 能動型赤外線センサ
【発明者】 【氏名】岩沢 正仁
【住所又は居所】滋賀県大津市におの浜4丁目7番5号 オプテックス株式会社内

【要約】 【課題】能動型赤外線センサに対し、複雑な電気回路を必要とすることなしに投光出力を可変とし、それによって投光出力の調整が多数段階で行えるようにする。

【解決手段】複数種類の投光パターンが予め記憶された投光パルス変調部23を投光器2に備えさせる。記憶された各投光パターンは赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率が互いに異なっている。これら複数種類の投光パターンのうちから選択された一つの投光パターンで赤外線出力期間中に赤外線パルスが出力されることにより、投光器2からの赤外線信号の投光出力が可変とされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 検知対象領域に向けて赤外線信号を投光する投光手段を備え、この投光手段から投光された赤外線信号が遮断された際に上記検知対象領域への物体の侵入を検知する能動型赤外線センサにおいて、上記投光手段からの赤外線信号の投光動作として、赤外線出力期間と赤外線非出力期間とが交互に繰り返され、赤外線出力期間中において複数の赤外線パルスが出力されるようになっており、上記赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変にする投光パルス変調手段を備えていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項2】 請求項1記載の能動型赤外線センサにおいて、投光パルス変調手段は、赤外線出力期間を一定として、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするよう構成されていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項3】 請求項1または2記載の能動型赤外線センサにおいて、投光パルス変調手段は、赤外線出力期間を一定として、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス幅を変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするよう構成されていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項4】 請求項1、2または3記載の能動型赤外線センサにおいて、投光パルス変調手段は、赤外線出力期間の長さを変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするよう構成されていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項5】 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の能動型赤外線センサにおいて、投光パルス変調手段には、赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率が互いに異なる複数種類の投光パターンが予め記憶されており、これら複数種類の投光パターンのうちから選択された一つの投光パターンで赤外線出力期間中に赤外線パルスが出力されることにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力が可変とされる構成となっていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項6】 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の能動型赤外線センサにおいて、投光パルス変調手段は、赤外線出力期間中における赤外線パルスの周波数を決定する第1発信回路と、赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間の長さを決定する第2発信回路とを備えており、これら発信回路からの制御信号がAND出力され、その周波数及びON時間長さで赤外線出力期間中に赤外線パルスが出力されることにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力が可変とされる構成となっていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項7】 請求項1〜6のうち何れか一つに記載の能動型赤外線センサにおいて、投光手段から投光された赤外線信号は、その光軸上に配置された受光手段に受光されるようになっており、上記投光手段及び受光手段の少なくとも一方には、投光パルス変調手段による投光出力の変更動作を起動するための起動手段が設けられていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【請求項8】 請求項1〜6のうち何れか一つに記載の能動型赤外線センサにおいて、投光手段から投光された赤外線信号は、その光軸上に配置された受光手段に受光されるようになっており、上記受光手段には、投光パルス変調手段による投光出力の変更動作を要求するための要求信号を投光手段に向けて発信する要求発信手段が設けられていることを特徴とする能動型赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セキュリティシステム等に使用される能動型赤外線センサに係る。特に、本発明は、投光手段の投光出力を可変にするための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開2001−188970号公報に開示されているように、セキュリティシステムに適用され警戒エリア内への人の侵入を検知するための能動型赤外線センサが知られている。この種のセンサは、一般には、投光素子を内蔵した投光器と受光素子を内蔵した受光器とを備えている。この投光器と受光器とが警戒エリアを挟んで対向配置され、投光器からの赤外線が受光器に向けて投光される。そして、この投光器から受光器への赤外線が侵入者によって遮断されて受光素子の受光量が変化すると、例えば防犯カメラの作動を開始させたり警備会社への通報が行われる。
【0003】ところで、この種の赤外線センサにあっては、その使用状態や環境の変化によって受光素子が飽和してしまって良好な検知動作が行えなくなる可能性がある。以下、具体的に説明する。この種の赤外線センサとしては、適用される警戒エリアの広さに応じて種々のタイプがある。例えば、投光器と受光器との間隔距離を100m程度として使用するものや、その距離を20m程度として使用するものなどがある。前者のものは後者のものに比べて投光器の投光出力は予め高く設定されている。
【0004】そして、前者の間隔距離100m用の赤外線センサを比較的狭い警戒エリアに適用した場合であって例えば投光器と受光器との間隔距離が20m程度であった場合には、センサ付近の非検知対象物体(壁面や地面)によって反射した赤外線が受光器に照射される所謂回り込み光線が比較的高い光度となってしまう。このため、投光器と受光器との間を侵入者等が通過して赤外線を遮断したとしても、この回り込み光線が受光器に照射されているため、受光器では侵入者等が赤外線を遮断したことを検知できず、所謂失報が発生してしまう。特に、降雨によって地面に水が溜まっている場合や降雪によって積雪がある場合には、この回り込み光線の光度が高くなりやすく失報が発生してしまう可能性が高くなる。また、この降雨時や降雪時には、警戒エリアの広さに適応したタイプの赤外線センサを使用した場合(例えば、間隔距離20m用の赤外線センサの投光器と受光器とを間隔距離20m程度に設置した場合)であっても、回り込み光線の光度が高くなって失報が発生してしまう可能性がある。
【0005】この不具合を解決するために、例えば特開平5−174260号公報に開示されているように投光器からの投光出力を可変にすることが提案されている。つまり、投光回路に電流制限回路を備えさせ、この電流制限回路に備えられた可変抵抗器の抵抗値を必要に応じて変更して投光出力を調整可能とした構成である。例えば、上述の回り込み光線の光度が高くなってしまう状況にあっては、可変抵抗器の抵抗値を高くして投光出力を低減させるようにしている。これにより、回り込み光線の光度を低く抑え、上記侵入者等が通過したことによる赤外線の遮断を正確に検知できるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に開示されている投光出力を可変とするための手段は、複雑な電気回路を必要とするため、実際には、投光出力は2段階程度の切り換えしか行うことができていないのが実情である。
【0007】ところが、このような2段階程度の切り換えしか行えないものでは、赤外線センサの使用状態や環境によっては上記回り込み光線による不具合を完全に解消することができない可能性がある。
【0008】このため、投光出力の多数段階の切り換えを可能とする構成が望まれているが、上述した如く電気回路の更なる複雑化を招いてしまうため実用化することは困難である。
【0009】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、能動型赤外線センサに対し、複雑な電気回路を必要とすることなしに投光出力を可変とし、それによって投光出力の調整が多数段階で行えるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】−発明の概要−上記の目的を達成するために、本発明は、赤外線出力期間中の投光エネルギの積算値によって決まる投光出力を、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整することによって変更できるようにしている。つまり、各赤外線パルスそれぞれの出力値を一定としながらも赤外線信号の投光出力を可変にしている。
【0011】−解決手段−具体的には、検知対象領域に向けて赤外線信号を投光する投光手段を備え、この投光手段から投光された赤外線信号が遮断された際に上記検知対象領域への物体の侵入を検知する能動型赤外線センサを前提とする。この能動型赤外線センサに対し、投光手段からの赤外線信号の投光動作として、赤外線出力期間と赤外線非出力期間とが交互に繰り返され、赤外線出力期間中において複数の赤外線パルスが出力されるようになっている。そして、赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変にする投光パルス変調手段を備えさせている。
【0012】この特定事項により、赤外線パルスのON時間に対するOFF時間の比率を大きく設定すれば、赤外線出力期間中の投光エネルギの積算値が小さくなって投光手段からの赤外線信号の投光出力は小さくなる。逆に、赤外線パルスのON時間に対するOFF時間の比率を小さく設定すれば、赤外線出力期間中の投光エネルギの積算値が大きくなって投光手段からの赤外線信号の投光出力は大きくなる。つまり、赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整するといったソフトウェア上の制御のみによって投光出力を可変とすることが可能となり、複雑な電気回路といったハードウェア構成を必要とすることなしに投光出力の調整を多数段階で行うことができる。
【0013】投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするための具体的な手法としては以下のものが掲げられる。
【0014】先ず、赤外線出力期間を一定として、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするものである。
【0015】また、赤外線出力期間を一定として、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス幅を変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするものである。
【0016】更に、赤外線出力期間の長さを変更することにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするものである。
【0017】これらの手法を個別に採用したり、互いに組み合わせたりすることによって投光出力を多数段階に切り換えることが可能になる。
【0018】赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整するための具体的な手法としては以下のものが掲げられる。
【0019】先ず、投光パルス変調手段に、赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率が互いに異なる複数種類の投光パターンを予め記憶させ、これら複数種類の投光パターンのうちから選択された一つの投光パターンで赤外線出力期間中に赤外線パルスを出力させることにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするものである。
【0020】また、投光パルス変調手段に、赤外線出力期間中における赤外線パルスの周波数を決定する第1発信回路と、赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間の長さを決定する第2発信回路とを備えさせる。そして、これら発信回路からの制御信号をAND出力させ、その周波数及びON時間長さで赤外線出力期間中に赤外線パルスを出力させることにより、投光手段からの赤外線信号の投光出力を可変とするものである。
【0021】これらの手法により、選択または成形された投光パターンで赤外線出力期間中に赤外線パルスが出力され、これによって投光手段からの赤外線信号の投光出力が可変となる。特に、上記各発信回路によって決定された周波数及びON時間長さで赤外線パルスを出力させるものでは、複数の投光パターンを予め作成してそれを記憶させておく必要がなく、必要記憶容量の削減を図ることができる。
【0022】また、投光手段及び受光手段の少なくとも一方に、投光パルス変調手段による投光出力の変更動作を起動するための起動手段を設けた場合には、赤外線信号の投光出力の変更が自動的に行われる。つまり、赤外線センサの使用状態や環境に応じてユーザが投光出力の変更操作を行う必要が無くなる。
【0023】また、受光手段に、投光パルス変調手段による投光出力の変更動作を要求するための要求信号を投光手段に向けて発信する要求発信手段を設けた場合にも、赤外線信号の投光出力の変更が自動的に行われることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、オフィスや工場等の夜間警戒を行うために設置されるセキュリティシステム等に適用され、警戒エリア(検知対処領域)内への人の侵入を検知するためのセンサとして本発明を適用した場合について説明する。
【0025】(第1実施形態)先ず、第1実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る能動型赤外線センサ1の構成を示すブロック図である。この能動型赤外線センサ1は、所定の警戒エリアに設置され、この警戒エリア内への人の侵入を検知した際に、防犯カメラ(図示省略)の作動を開始させたり、警備会社への通報を行う図示しないセキュリティシステム制御盤に対してアラーム出力を行うものである。
【0026】図1に示すように、この能動型赤外線センサ1は投光手段としての投光器2と受光手段としての受光器3とが警戒エリア内に所定間隔を存して対向配置されている。
【0027】投光器2は、投光素子21及びこの投光素子21を駆動させるための投光駆動回路22を備えている。投光素子21は、近赤外線ビームの赤外線パルス(パルス光)を投光するものである。この赤外線パルスの投光タイミングは投光駆動回路22によって設定される。具体的な赤外線パルスの投光動作としては、赤外線出力期間と赤外線非出力期間とが交互に繰り返され、赤外線出力期間中において複数の赤外線パルスが出力されるようになっている。この赤外線出力期間における複数の赤外線パルスの出力タイミングの詳細については後述する。
【0028】一方、受光器3は、受光素子31、アラーム出力部32を備えている。このアラーム出力部32は、受光素子31による赤外線パルスの受光の有無を認識しており、この赤外線パルスが受光されない状態または赤外線パルスの受光量が減少した状態が所定時間継続した場合に、近赤外線ビームが侵入者によって遮断されて受光素子31の受光量が変化したと判断して、防犯カメラの作動を開始させたり、警備会社への通報を行うための図示しないセキュリティシステム制御盤に対してアラーム出力を行うようになっている。
【0029】そして、本形態の特徴は、上記投光器2に投光パルス変調手段としての投光パルス変調部23が設けられていることにある。以下、この投光パルス変調部23について説明する。
【0030】この投光パルス変調部23は、上記赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整するための制御信号を投光駆動回路22に出力し、これによって投光素子21からの赤外線信号の投光出力を可変にするものである。具体的には、この投光パルス変調部23には、複数種類の赤外線パルスの投光パターンが予め記憶されている。そして、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて一つの投光パターンが選択され、この投光パターンで近赤外線ビームが受光器3に向けて投光されるようになっている。
【0031】図2〜図8における(a)は、この投光パルス変調部23に記憶されている投光パターンの例を示している。また、図2〜図8における(b)は、上記各投光パターンにおいて近赤外線ビームを受光器3に向けて投光した場合に、受光器3に受光されるパルス波形を示している。尚、この図2〜図8における(b)の破線は赤外線パルスの出力に伴う実際の受光パルス波形であり、実線はそれを平均化した受光パルス波形である。ここで示した受光パルス波形の高さは、投光素子21からの赤外線信号の投光出力によって決定される。つまり、それぞれの投光パターンに応じて投光素子21からの赤外線信号の投光出力は互いに異なったものとなっている。
【0032】以下、それぞれの投光パターンについて説明する。図2に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を1:3に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「4」に設定したものである。具体的には、赤外線出力期間A1を130μsec、赤外線非出力期間B1を500μsec、赤外線パルスのON時間T1を10μsec、赤外線パルスのOFF時間T2を30μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV1となる。
【0033】図3に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を1:5に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「3」に設定(図2に示すものよりも1パルス少なく設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A1を130μsec、赤外線非出力期間B1を500μsec、赤外線パルスのON時間T1を10μsec、赤外線パルスのOFF時間T3を50μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV2であり、上記図2に示すものよりも低くなる。
【0034】図4に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を1:2に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「5」に設定(図2に示すものよりも1パルス多く設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A1を130μsec、赤外線非出力期間B1を500μsec、赤外線パルスのON時間T1を10μsec、赤外線パルスのOFF時間T4を20μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV3であり、上記図2に示すものよりも高くなる。
【0035】図5に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を5:2に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「4」に設定(図2に示すものと同じパルス数に設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A1を130μsec、赤外線非出力期間B1を500μsec、赤外線パルスのON時間T5を25μsec、赤外線パルスのOFF時間T6を10μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV4であり、上記図2に示すものよりも高くなる。
【0036】図6に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を約1:7に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「4」に設定(図2に示すものと同じパルス数に設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A1を130μsec、赤外線非出力期間B1を500μsec、赤外線パルスのON時間T7を5μsec、赤外線パルスのOFF時間T8を約37μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV5であり、上記図2に示すものよりも低くなる。
【0037】図7に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を2:1に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「4」に設定(図2に示すものと同じパルス数に設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A2を55μsec、赤外線非出力期間B2を500μsec、赤外線パルスのON時間T9を10μsec、赤外線パルスのOFF時間T10を約5μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV6であり、上記図2に示すものよりも高くなる。
【0038】図8に示すものは、所定の赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を1:4に設定し、且つこの赤外線出力期間中における赤外線パルスのパルス数を「4」に設定(図2に示すものと同じパルス数に設定)したものである。具体的には、赤外線出力期間A3を160μsec、赤外線非出力期間B3を500μsec、赤外線パルスのON時間T11を10μsec、赤外線パルスのOFF時間T12を約40μsecにそれぞれ設定している。この場合の赤外線信号の投光出力はV6であり、上記図2に示すものよりも低くなる。
【0039】以上のような赤外線パルスの投光パターンが投光パルス変調部23には予め記憶されている。そして、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて一つの投光パターンが選択され、この投光パターンで近赤外線ビームが受光器3に向けて投光される。
【0040】例えば、降雨時や降雪時であって、上述した回り込み光線の光量が高くなりやすい状況の場合には、赤外線信号の投光出力が低く設定される投光パターン(例えば、図3,6,8に示す投光パターン)が選択され、この投光パターンで近赤外線ビームが受光器3に向けて投光される。また、投光器2と受光器3との間隔距離が比較的短く設定されている(例えば10m程度)場合にも、同様に、赤外線信号の投光出力が低く設定される投光パターンが選択される。逆に、投光器2と受光器3との間隔距離が比較的長く設定されている(例えば100m程度)場合には、赤外線信号の投光出力が高く設定される投光パターン(例えば、図4,5,7に示す投光パターン)が選択される。
【0041】このような投光パターンの選択は、ユーザによる手動操作によって行われるようにしてもよいし、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて自動的に行われるようにしてもよい。例えば、自動選択を行う一例としては、投光器と受光器との間隔距離を情報として入力または自動検出することで、それに応じて投光パターンが自動選択されて、制御信号が投光パルス変調部23から投光駆動回路22に出力される。
【0042】以上説明したように、本形態では、投光パルス変調部23に予め記憶された複数種類の赤外線パルスの投光パターンのうちから、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて一つが選択され、その選択された投光パターンによって近赤外線ビームが受光器3に向けて投光される。このため、複雑な電気回路を必要とすることなしに投光出力を可変とすることが可能となり、それによって投光出力の調整を多数段階で行うことができる。その結果、赤外線センサ1の使用状態や環境によって変化する上記回り込み光線による不具合を完全に解消することが可能になる。
【0043】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態のものでは、各投光パターンを予め投光パルス変調部23に記憶させていた。本形態では、投光パルス変調部23において所望の投光パターンを成形するようにしている。その他の構成は第1実施形態のものと同様であるので、ここでは投光パターンを成形するための構成についてのみ説明する。
【0044】図9に示すように、本形態の投光パルス変調部23には、第1及び第2の発信回路23A,23Bが備えられている。第1の発信回路23Aは、赤外線出力期間中における赤外線パルスの周波数を決定する回路である。第2の発信回路23Bは、赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間の長さ、つまりパルス幅を決定する回路である。
【0045】そして、これら各発信回路23A,23Bによって決定された赤外線パルスの周波数とパルス幅とが投光駆動回路22に向けてAND出力されることによって所望の投光パターンが成形されるようになっている。
【0046】例えば、図2(a)に示す投光パターンに対して、第1の発信回路23Aによって決定される赤外線パルスの周波数を低く設定すれば図3(a)に示す投光パターンとなり、逆に、赤外線パルスの周波数を高く設定すれば図4(a)に示す投光パターンとなる。
【0047】一方、図2(a)に示す投光パターンに対して、第2の発信回路23Bによって決定される赤外線パルスのON時間の長さを長く設定すれば図5(a)に示す投光パターンとなり、逆に、赤外線パルスのON時間の長さを短く設定すれば図6(a)に示す投光パターンとなる。
【0048】このように、本形態では、各発信回路23A,23Bによって決定される赤外線パルスの周波数とパルス幅とを組み合わせることで、任意の形状の投光パターンを成形することができる。このため第1実施形態のものに比べて、大きな記憶容量を必要としない投光パルス変調部23によって赤外線信号の投光出力を多数段階に切り換えることが可能になる。
【0049】(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態について説明する。本形態は、赤外線信号の投光出力の変更を自動的に行うための構成に関するものである。その他の構成は上記第1実施形態のものと同様であるので、ここでは投光出力の変更を自動的に行うための構成についてのみ説明する。
【0050】図10に示すように、本形態の投光器2には、投光パルス変調部23による投光出力の変更動作を起動するための起動手段としての起動回路24が設けられている。上述の如く選択されている投光パターンが、この起動回路24の作動によって、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて再度選択され、この選択された投光パターンによって近赤外線ビームが受光器3に向けて投光されるようになっている。
【0051】この起動回路24の作動タイミングとしては、予め所定時間毎、環境温度の変化、環境照度の変化などに応じて決定される。
【0052】これにより、赤外線信号の投光出力の変更を自動的に行うことができ、赤外線センサの使用状態や環境変化に応じてユーザが投光出力の変更操作を行うといったことは必要無くなる。
【0053】また、この起動回路24は、投光器2に代えて受光器3に備えさせてもよい。また、投光器2及び受光器3の両方に備えさせてもよい。
【0054】また、本形態の起動回路24は、上記第2実施形態における投光器2及び受光器3の少なくとも一方に設けることも可能である。
【0055】(第4実施形態)次に、本発明の第4実施形態について説明する。本形態も、赤外線信号の投光出力の変更を自動的に行うための構成に関するものである。その他の構成は上記第1実施形態のものと同様であるので、ここでは投光出力の変更を自動的に行うための構成についてのみ説明する。
【0056】図11に示すように、本形態の受光器3には、投光パルス変調部23による投光出力の変更動作を要求するための要求信号を投光器2に向けて発信する要求発信手段としての要求発信回路33が設けられている。選択されている投光パターンが、この要求発信回路33の作動によって、赤外線センサ1の使用状態や環境状態に応じて選択され、この選択された投光パターンによって近赤外線ビームが受光器3に向けて投光されるようになっている。
【0057】この要求発信回路33の作動タイミングは、予め設定された所定時刻などに応じて決定される。
【0058】本形態によっても、赤外線信号の投光出力の変更を自動的に行うことができ、赤外線センサの使用状態や環境に応じてユーザが投光出力の変更操作を行う必要が無くなる。
【0059】尚、本形態において、要求発信回路33から投光器2への要求信号の発信は、無線または有線の何れで行うようにしてもよい。
【0060】また、本形態の要求発信回路33は、上記第2実施形態における受光器3に設けることも可能である。
【0061】−その他の実施形態−上述した各実施形態では、セキュリティシステムに適用されるセンサに本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、銀行等に設置されるATM(現金自動預け払い機)の起動用センサとして適用するなど、種々の用途に適用可能である。
【0062】また、本発明に係る能動型赤外線センサが検知する対象物としては人に限られるものではない。
【0063】
【発明の効果】以上のように、本発明では、赤外線出力期間と赤外線非出力期間とが交互に繰り返され、赤外線出力期間中において複数の赤外線パルスが出力されるように構成された能動型赤外線センサに対し、赤外線出力期間中の投光エネルギの積算値によって決まる投光出力を、この赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間とOFF時間との比率を調整することによって変更できるようにしている。このため、ソフトウェア上の制御のみによって投光出力を可変とすることが可能となり、複雑な電気回路といったハードウェア構成を必要とすることなしに投光出力の調整を多数段階で行うことができる。
【0064】また、赤外線出力期間中における赤外線パルスの周波数を決定する第1発信回路と、赤外線出力期間中における赤外線パルスのON時間の長さを決定する第2発信回路とを備えさせ、これら発信回路からの制御信号をAND出力させて赤外線パルスを出力するようにした場合には、複数の投光パターンを予め作成してそれを記憶させておく必要がないため、必要記憶容量の削減を図ることができ、赤外線センサのコストの高騰を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000103736
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
【住所又は居所】滋賀県大津市におの浜4丁目7番5号
【出願日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開2003−222679(P2003−222679A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−23104(P2002−23104)