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【発明の名称】 情報収集システムおよび地震予知方法
【発明者】 【氏名】松下 律男
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内

【氏名】馬渕 哲也
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内

【要約】 【課題】磁気センサを搭載した携帯端末を情報源として各地の地磁気情報を収集し、その情報をもとに地震予知を行い、さらにその地震予知情報を携帯端末へ配信する地震予知・広報システムを提供する。

【解決手段】磁気センサを搭載した携帯端末1から発信された地磁気情報を基地局3及び回線網5を介して地磁気情報処理センタ6に集め、地磁気情報DB9を構築する。その地磁気情報は地磁気マップ作成手段8により地磁気マップに加工される。その地磁気マップは地震予知機関10において地震予知の判断材料とされ、必要があれば地震予知情報(警戒宣言)を携帯端末へ配信する。このように、各地の携帯端末から地磁気情報を収集し、それをもとに地震予知を行い、各携帯端末へ予知情報を配信する地震予知・広報システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の携帯端末と、これら携帯端末から情報を収集するとともに加工する情報処理センタと、前記携帯端末と前記情報処理センタとの通信を行う通信網と、を具備する情報収集システムにおいて、前記携帯端末は、磁気センサと、自己の所在位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段から出力された位置データおよび前記磁気センサから得られた地磁気データを前記情報処理センタへ送信する送信手段とを具備し、前記情報処理センタは、入出力情報を管理するサーバと、前記携帯端末からの前記位置データおよび前記地磁気データを蓄積管理する情報データベースと、前記情報データベース内の情報を加工処理して地磁気マップを作成する手段と、を具備することを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】 前記位置特定手段は、前記携帯端末の現在の所在位置を経度データ、緯度データとして測定することを特徴とする請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】 前記情報処理センタは、外部の地震予知機関より得られた地震予知情報を、地震予知に該当する地域にある前記携帯端末またはすべての前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項4】 前記携帯端末は、電源が切られている状態でも前記地震予知情報を受信可能な手段を具備することを特徴とする請求項3に記載の情報収集システム。
【請求項5】 前記携帯端末は、電源が切られている状態で前記地震予知情報を受信した場合、受信したことを前記携帯端末の所有者に知らせる手段を具備することを特徴とする請求項4に記載の情報収集システム。
【請求項6】 前記情報処理センタは、前記携帯端末へ前記情報データベース内の情報または前記地磁気マップを送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の情報収集システム。
【請求項7】 前記携帯端末は、前記位置特定手段から出力された前記位置データおよび前記磁気センサから得られた前記地磁気データ、または請求項6において得られた情報または地磁気マップを、他の携帯端末との間で送受信可能な手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の情報収集システム。
【請求項8】 地震予知を行う地震予知機関が、位置データと地磁気データまたは地磁気マップを判断材料として行う地震予知方法において、前記位置データと前記地磁気データは、自己の所在位置を特定する位置特定手段と磁気センサとを具備する複数の携帯端末より取得され、前記地磁気マップは、前記複数の携帯端末より取得した前記位置データと前記地磁気データを加工処理した後、前記地磁気マップを作成する手段を具備する情報処理センタより取得されることを特徴とする地震予知方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯端末とその通信網を用いて、地域的、あるいは広範囲の地磁気情報を収集し、その情報を元に地震予知を行い、その予知情報を該当する地域の携帯端末へ送信するサービスを行う情報収集・配信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地殻の変動が起こることで地磁気が乱れるという現象が、地震の前兆となることが知られている。そして、この現象を利用して地震予知に役立てようと、各種研究機関が全国に地磁気観測所を設置し、地磁気の観測を行っている。しかし、全国を網羅する地磁気データを収集し、それらを統合して地震予知するためには、多数の観測機器や通信設備の設置、及びそれらの維持管理が必要であり、莫大な費用がかかるものであった。
【0003】また、地震予知による警戒宣言が発令された場合、迅速に該当する地域の人々に報知する必要があるため、従来はテレビ、ラジオ等によるニュース速報等にて行われることになっていた。しかし、すべての人々が常にテレビ、ラジオの側にいるわけではなく、必ずそれらの情報を即座に取得できるわけではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、全国を網羅するような地磁気データを取得するためには、莫大な費用が必要となり、また、現状の警戒宣言発令時の広報システムについても十分と言えるものではなかった。
【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は大別すると2通りとなる。その一つは、安価な費用で全国を網羅する地磁気データを収集し、地震予知に役立てようとするものである。現在、携帯電話に代表される携帯端末に方位を検知するための磁気センサを搭載することが検討されているが、この磁気センサを利用することによって前記目的が比較的容易に実現可能となる。二つ目の目的は、地震予知による警戒宣言が発令された時に、携帯端末にその情報を配信し、迅速に多くの人々に知らせようとするものである。現在、携帯電話等の携帯端末は急激に普及しつつあり、その端末は全国各地あらゆる地域に存在していると思われる。そのため、それらを利用して上記のような広域的な情報を取得し、また反対に有用な情報を多くの人々へ供給することは、安価に実現可能な有効な手段であると考えられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を解決すべくなされたもので、請求項1に記載の発明は、複数の携帯端末と、これら携帯端末から情報を収集するとともに加工する情報処理センタと、前記携帯端末と前記情報処理センタとの通信を行う通信網と、を具備する情報収集システムにおいて、前記携帯端末は、磁気センサと、自己の所在位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段から出力された位置データおよび前記磁気センサから得られた地磁気データを前記情報処理センタへ送信する送信手段とを具備し、前記情報処理センタは、入出力情報を管理するサーバと、前記携帯端末からの前記位置データおよび前記地磁気データを蓄積管理する情報データベースと、前記情報データベース内の情報を加工処理して地磁気マップを作成する手段と、を具備することを特徴とする情報収集システムである。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、前記位置特定手段は、前記携帯端末の現在の所在位置を経度データ、緯度データとして測定することを特徴とする請求項1に記載の情報収集システムである。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、前記情報処理センタは、外部の地震予知機関より得られた地震予知情報を、地震予知に該当する地域にある前記携帯端末またはすべての前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報収集システムである。
【0009】また、請求項4に記載の発明は、前記携帯端末は、電源が切られている状態でも前記地震予知情報を受信可能な手段を具備することを特徴とする請求項3に記載の情報収集システムである。
【0010】また、請求項5に記載の発明は、前記携帯端末は、電源が切られている状態で前記地震予知情報を受信した場合、受信したことを前記携帯端末の所有者に知らせる手段を具備することを特徴とする請求項4に記載の情報収集システムである。
【0011】また、請求項6に記載の発明は、前記情報処理センタは、前記携帯端末へ前記情報データベース内の情報または前記地磁気マップを送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の情報収集システムである。
【0012】また、請求項7に記載の発明は、前記携帯端末は、前記位置特定手段から出力された前記位置データおよび前記磁気センサから得られた前記地磁気データ、または請求項6において得られた情報または地磁気マップを、他の携帯端末との間で送受信可能な手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の情報収集システムである。
【0013】また、請求項8に記載の発明は、地震予知を行う地震予知機関が、位置データと地磁気データまたは地磁気マップを判断材料として行う地震予知方法において、前記位置データと前記地磁気データは、自己の所在位置を特定する位置特定手段と磁気センサとを具備する複数の携帯端末より取得され、前記地磁気マップは、前記複数の携帯端末より取得した前記位置データと前記地磁気データを加工処理した後、前記地磁気マップを作成する手段を具備する情報処理センタより取得されることを特徴とする地震予知方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態は個々人の所有する磁気センサ付の携帯端末から地磁気情報を収集し、収集された情報を元に「地磁気マップ」を作成し、地震予知機関はそのマップを判断材料の1つとして地震予知を行い、必要に応じて該当する地域にある携帯端末またはすべての携帯端末へ送信する地震予知・広報システムである。
【0015】図4に本実施形態のシステムの概略を示し、図1に詳細なブロック図を示す。図1において、符号1は個々人の所有する磁気センサ付携帯端末、符号3は携帯端末の為の無線基地局、符号5は電話局等を含む通信回線網である。符号6は本実施形態における地磁気情報に関する各種処理を行う地磁気情報処理センタである。符号7は地磁気情報処理センタ6に設置されている地磁気情報収集・配信サーバである。符号9は収集された地磁気情報と携帯端末の位置情報を分類格納する地磁気情報DB(データベース)である。この地磁気情報DB9には、上述の地磁気センサ付携帯端末1から発信された各地の地磁気情報が収集されている。各発信地点は経度、緯度で表現されるので本実施形態で使用される携帯端末1は携帯端末の現在所在位置を特定できるGPS(グローバル・ポジショニング・システム)機能付きであることが前提である。
【0016】さらに、図1に示す符号8は地磁気情報DB9の情報に後述する外来データ(図示略)を参照して地磁気マップを作成する手段である。本手段は、作成者が直接地磁気データや位置データを見てマップを作成する形態でも良いし、マップ作成ソフトを搭載したコンピュータにそれらのデータを入力することで地磁気マップを作成する形態でも良い。符号10は地磁気マップ作成手段8により作成された地磁気マップを、判断材料の1つとして地震予知を行う機関である。また、地震予知機関10はその地震予知情報を必要に応じて地磁気情報処理センタ6に送り、地磁気情報収集・配信サーバ7を通して各携帯端末へ送信する。
【0017】図2に本実施形態において使用される磁気センサ付携帯端末(携帯電話)のブロック図を示す。符号11は各部を制御するCPU、12はCPUのプログラムが記憶されたROM、13はデータ記憶用のRAM、14はテンキー、ファンクションキーを含む操作入力部、15は携帯端末の現在位置(経度、緯度)を測定するGPS、16は地磁気を測定する磁気センサ、17は外部のパソコンあるいは他の携帯電話等と接続する際に使用されるインターフェイス回路、18は液晶表示器である。19は通信部であり、アンテナを介して受信された変調音声信号を復調して音声処理部20へ出力し、また、音声処理部20から供給される符号化された音声信号を変調し、アンテナから送信する。また、アンテナを介して受信した発信元の電話番号やその他のデータを、バスライン22を介してCPU11へ出力する。音声処理部20は、通信部19から出力される音声信号を復号してイヤスピーカへ出力し、また、マイクロホンからの音声信号を符号化し、通信部19へ出力する。21は楽曲再生部であり、バスライン22を介して供給される楽音データに基づいて着信音の楽音信号を生成し、スピーカへ出力する。
【0018】次に、上述した実施形態の動作を図3の(A)、(B)に示すフローチャートを参照して説明する。地磁気情報処理センタ6の収集・配信サーバ7は、ある決まった時刻において地磁気情報の入手を行う(ステップS1)。すなわち、収集・配信サーバ7は、自らが保持している磁気センサ付携帯端末の電話番号を読み出し、該電話番号の携帯端末へ地磁気情報送信指令を送信する。この送信指令が携帯端末1の通信部19において受信されると、通信部19が受信した地磁気情報送信指令をCPU11へ出力する。CPU11は、この地磁気情報送信指令を受け、まず、GPS15から出力される経度データおよび緯度データを、通信部19を介して収集・配信サーバ7へ送信する。次いで、RAM13に記憶されている地磁気データを、通信部19を介して収集・配信サーバ7へ送信する。次に、収集・配信サーバ7は、携帯端末1から送信された各データを地磁気情報DB9に書き込む(ステップS2)。ところで、携帯端末1では、常時磁気センサ16からのデータを取得し、時間変化データとしてRAM13に記憶させている。しかし、RAM13の記憶容量には限界があるため、収集・配信サーバ7は定期的に、RAM13の記憶容量が限界に達する前にそのデータをすべて収集する。そして、RAM13は記憶していたデータが送信された後、そのデータをクリアし、引き続きデータの取得と記憶を行う。また、もしデータをRAM13に記憶している時間帯に携帯端末がある一定距離以上移動した場合は、GPS15がそれを検知しその時間帯のデータは使用不可データとして送信しない。以上により、地磁気情報DB9には、取得した携帯端末1の位置と、その位置・時間帯における地磁気の時間変化データが記録される。
【0019】以下同様にして、収集・配信サーバ7は各地の磁気センサ付携帯端末に順次地磁気情報送信指令を送信して、各携帯端末の経度データ、緯度データ、地磁気データを取得し、地磁気情報DB9に書き込む。こうして、ある時間帯における各地の地磁気の情報が収集されたことになる。尚、DB9には携帯端末所持者がいつどの場所にいたのかが保管されることになり、そのような個人情報が流出、他用されないように厳重な管理が必要である。
【0020】前述した全ての磁気センサ付携帯端末からの経度データ、緯度データ、地磁気データの入手およびDB9への蓄積が終了すると、地磁気情報処理センタ6は、地磁気マップ作成のために、別に取得した外来データを参照してDB9内のデータの解析を行う(ステップS3)。そして、その解析の結果、地磁気強度を各地域毎に記入した地磁気マップを作成し、更新を行う(ステップS4)。ところで、前記外来データの内容及び地磁気情報の解析方法については後述する。
【0021】地磁気情報処理センタ6はステップS4にて更新された地磁気マップをDB9に蓄積する(ステップS5)。ここで、収集配信サーバ7はステップS2にて蓄積された位置データ及び地磁気のデータと、ステップS4にて作成された地磁気マップを配信可能な状態になる。各携帯端末1では、希望する場合は収集配信サーバ7にダウンロードを要求することで、これら蓄積されている情報を得ることができる。しかし、地磁気マップやこれらの情報が広く世間に流布されることで弊害が生ずることが予想されるため、地磁気情報処理センタ6はダウンロードを可能とする端末や配信する情報自体に制限を付ける場合があることは言うまでもない。好ましくは、それらのデータを正確に判断し、取り扱うことができる大学等の研究機関または特定の地震研究家に限るべきであろう。
【0022】地磁気マップが更新されると、そのマップは地震予知機関10へ送られる(ステップS5)。地震予知機関10では、地磁気マップを入手すると(ステップS6)、それを地震予知のための1つの判断材料として地震予知を行い、警戒宣言発令が必要かどうかを判断する(ステップS7)。警戒宣言発令が必要ない(被害を及ぼすような地震は起こらない)と判断された場合は、地震予知機関10はその情報を地磁気情報処理センタ6へ送信する(ステップS8)。地磁気情報処理センタ6ではその情報を入手した後(ステップS10)、ステップS1に戻り通常どおり地磁気情報の入手を続ける。警戒宣言発令が必要と判断された場合は、地震予知機関10は地磁気情報処理センタ6に警戒宣言の発令を指示するとともに、その該当する地域、予想される地震規模等を伝える(ステップS9)。地磁気情報処理センタ6ではその情報を入手し(ステップS10)、収集・配信サーバ7より、該当する地域の各携帯端末へ送信する(ステップS11)。また、この警戒宣言は、同時に他のメディア(テレビ、ラジオ等)にも伝えられ、ニュース速報等にて報知されることは言うまでもない。
【0023】ステップS11にて各携帯端末へ警戒宣言が送信されると、携帯端末の所持者は受信を確認し、内容を表示器に表示させることができる。従って、所持者の側にテレビ、ラジオがない場合でも、確実にそれらの情報を即座に取得できる。
【0024】もし、携帯端末の電源を切っている場合でも確実にそれらの情報を取得できるようにするには、いわゆる「待機モード」として、緊急通報を受けた場合、電源OFF時でも特別なアラームを鳴らす等の構成を取れば問題はない。このアラームは、ラジオと同じように、基地局との通信経路を確保出来たことを基地局に知らせることなく発音するようにしておけば、電波を受けただけでアラームが鳴るので、例えば病院内で携帯端末の電源を切っていても緊急通報が届いたことだけは知ることが出来る。その後、緊急通報の内容を確認する場合は、病院を出て携帯端末の電源を入れ、情報を受信すればよい。
【0025】次に、地磁気センサによって得られる地磁気データとその解析方法について説明する。ここで利用する磁気センサは、携帯端末(携帯電話)1の内部に搭載され、図9の概略正面図に示されるY軸の磁気成分を検出するセンサであると仮定する。そのため、このセンサの出力は携帯端末の向いている方向により変化することになる。つまり、携帯端末のY軸が北を向いているときに正方向に最大の出力になるとすると、東または西を向いているときは0、南を向いているときは負方向に最大となる。また、実際に使用するデータはその出力そのものではなく、出力の絶対値とする。つまり、携帯端末が北または南を向いていればその値は正方向に最大となり、東または西を向いていれば0になる。なお、出力を絶対値とするために、CPU11は磁気センサ16により取得されたY軸成分の磁気出力が負である場合は、正側へ反転してRAM13に記憶することとする。絶対値とした理由は、地磁気データ解析の際に多数の携帯端末のデータを加算して処理するのであるが、その時に反対方向を向いた地磁気データがお互いに打ち消しあうのを防ぐためである。この点については後に詳しく説明する。
【0026】ところで、通常携帯端末は個々人が身に付けている場合が多く、その場合、携帯端末は一定の方向を向いていることはなく、常に激しく動いていることが考えられる。そのため、地磁気センサ出力の絶対値を、横軸を時間にして表すと、図6のように、上下に激しく変化するような場合が多いと思われ、携帯端末の単体情報では役に立たない。しかし、ある特定地域において多量のデータを加算することで、個々の単独情報(端末自体が動いている、回転している等の磁気変化情報)は平均化されある一定レベルに落ち着き、逆に不特定多数の端末に対して同時に発生した磁気変化は、同じ時間帯でのデータとして強調される。
【0027】これを、図7を用いて説明する。図7の(A)、(B)、(C)はそれぞれ(A):あまり動いてない端末、(B):かなり激しく動いている端末、(C):人が持っていない(どこかに置かれている)端末、における地磁気出力の絶対値の時間変化を示した例であり、ある特定地域の同時刻のデータである。これらの図において、実は図中の丸印の部分に同時刻の同じ変化データが含まれているのであるが、個々のデータだけでは目立った変化になっておらず、区別は非常につきにくい。しかし、不特定多数の携帯端末が東西南北を向く確率は常に等しくなると考えられるため、それらのデータを加算することによってその加算値はほぼ一定レベルになる。そして、この変化データが地殻の変動によるものであれば同時刻にその地域のすべての端末に発生しているはずであり、多数のデータを加算することによってその変化データは強調される。そうすれば、図8のようにはっきりと変化がわかるデータが得られる。ところで、もし磁気センサの出力を絶対値としないとすると、例えば地磁気の変化が発生したときに、北を向いている携帯端末の出力が正側へ変化しても、南を向いている携帯端末の出力は負側へ変化することになり、加算することで0になってしまう。しかし、絶対値であれば南を向いている携帯端末も正側へ変化することになり、加算することで打ち消されることなく強調される。
【0028】さらに別の考え方として、仮に単一の携帯端末のデータであるとしても、実際に地磁気の変化が発生していない場合は、携帯端末のY軸が正確に北もしくは南を向いている時が最大のレベルを示すはずである。従って、もしそのレベルを超えるような出力が生じた場合は、実際の地磁気に変化があったと想定できる。この方法は、例えば磁気センサ付き携帯端末の数が少なく、上記の加算する方法では良い結果が得られないような地域においては有効であると考えられる。これらの方法を組み合わせることにより、より正しい地磁気マップが作成される。
【0029】次に、地磁気マップを作成する際に参照される外来データについて説明する。外来データとは、本来の地磁気を乱す様々な影響がいつどこで発生したのかをデータとして取得したものである。その影響を及ぼすものとしては、例えば、近くを電車が通る、上空を飛行機が飛ぶ、高圧送電線の電力伝送の停止・開始といったものである。これらにより、その特定地域においては地磁気が乱れる場合がある。しかし、これらについては、その状況が発生した時にどの程度の地磁気の乱れが発生するのかを必要に応じてあらかじめデータとして取っておき、実際の地磁気情報の解析の際(図3におけるステップS3)、別に取得した外来データ(それらがいつどこで起こったのか、交通機関や電力会社からの情報)を照合することで、本来のデータと混同することなく利用できる。また、太陽風等の地球外からの外来電磁波によっても地磁気は乱れるが、これも電波天文台等の観測データと照合し、その影響を除外することで、問題はなくなる。
【0030】図5が仮想の地磁気マップの一例である。この例は、上述したような地磁気情報の解析方法によって正確に各地域の地磁気を求め、通常の地磁気とは異なるデータを示した地域を丸印で示したものである。その丸で示す一つの地域は、個々の携帯端末のデータを平均化するために、上述したデータ加算処理を行った集合を一単位としたものである。異常が観測されなかった地域は示していないため、実際はその単位は地図上のほとんどに分布している。このような地磁気マップを判断材料として、地震予知機関は地震予知をするのである。
【0031】以上が本発明の実施の形態であるが、本形態は一実施例であり、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態の携帯端末はGPS付であり、位置特定手段としてこれを使用していたが、GPSを持たない端末であってもこのシステムは達成される。例えば、その端末からの情報送信を最初に受け取った基地局の位置、すなわちその携帯端末に最も近い位置にある基地局の位置をその携帯端末の位置とみなすという方法もある。また、携帯端末が地磁気情報を送信する際、その所有者が現在の緯度・経度または居所を端末に入力し、その情報に付加することでも可能である。
【0032】また、地磁気情報処理センタ6が作成したすべての地磁気マップが、必ず地震予知機関10に送られる必要は無い。地磁気情報処理センタ6の判断で、特別地磁気に異常が見られない場合は、マップを蓄積するのみとし、異常がみられる時のみ地震予知機関10へ送る方法もある。また、作成された地磁気マップがある一定の条件を満たした場合に自動的に地震予知機関10へ送るシステムとする方法もある。
【0033】さらに、本実施形態では、地震予知機関10は地磁気情報処理センタ6を介して情報収集、警戒宣言発令を行っていたが、これに限らず、地震予知機関10が直接回線網5から地磁気情報その他を収集し、情報配信等のサービスを行っても良い。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、携帯端末に自己の所在位置を特定する位置特定手段と、その場所の地磁気を測定する磁気センサを搭載し、これらを情報源として地磁気情報処理センタが地磁気情報を集め、地磁気マップを作成するので、従来の方法にはなかった、安価で広域的な地震予知のための情報を提供することが出来る。
【0035】また、請求項3、4、5の発明によれば、地磁気情報処理センタは、警戒宣言等の地震予知情報を携帯端末へ送信し、さらに携帯端末は電源が切られている状態でも受信し、所有者に受信を知らせる機能を有するため、迅速に確実に緊急情報を知らせることができる効果がある。
【0036】また、請求項6、7の発明によれば、携帯端末は地磁気情報処理センタから地磁気情報や地磁気マップを受け取ることが可能であり、また携帯端末同士でもそれらの情報を送受信することで、各地の携帯端末所有者においてもそれらの地磁気データを利用して、地震研究等に役立てることが出来る。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号
【出願日】 平成14年1月22日(2002.1.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−215259(P2003−215259A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−13560(P2002−13560)