トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 近接スイッチおよび物体検出装置
【発明者】 【氏名】小林 正
【住所又は居所】東京都町田市旭町1丁目23番19号 株式会社本田電子技研内

【要約】 【課題】ケーブル長や設置場所の環境などに影響されることがなく、動作がきわめて安定しており、ほとんどメンテナンスフリーで使用することができるようにする。

【解決手段】物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極20と、直流電源301を有する充電系30と、電流検出手段を有する放電系40と、検出電極20に対して充電系30と放電系40とを所定の切換周波数で交互に切り換えるスイッチS1とを含み、被検出物体Hと検出電極20との間の静電容量Csを放電系40に流れる電流Isとして検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記検出電極に対して上記充電系と上記放電系とを所定の切換周波数で交互に切り換えるスイッチとを含み、被検出物体と上記検出電極との間の静電容量を上記放電系に流れる電流Isとして検出することを特徴とする近接スイッチ。
【請求項2】 接地されたグランド電極を上記検出電極と対向して配置するとともに、上記グランド電極と上記検出電極間の静電容量に起因して上記放電系に流れる増加分の電流Ioを吸い込む電流源を上記電流検出手段に対して並列に設けることを特徴とする請求項1に記載の近接スイッチ。
【請求項3】 接地されたグランド電極を上記検出電極と対向して配置するとともに、上記放電系には、上記グランド電極と上記検出電極間の静電容量と同容量のキャパシタと、上記充電系の直流電源と逆極性の第2直流電源と、上記キャパシタに対して上記第2直流電源と上記放電系とを上記スイッチと同期して交互に切り換える第2スイッチとを設けることを特徴とする請求項1に記載の近接スイッチ。
【請求項4】 上記キャパシタとして、上記検出電極と上記グランド電極と同一の組み合わせからなる一対の電極板を用いることを特徴とする請求項3に記載の近接スイッチ。
【請求項5】 物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極と、同検出電極と対向的に配置される接地されたグランド電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、中心導体の周りに内皮シールドおよび外皮シールドを有する2重シールド線とを含み、上記検出電極を上記中心導体の一端に接続し、その他端側に同中心導体に対して上記充電系と上記放電系とを所定の切換周波数で交互に切り換える第1スイッチを設けるとともに、上記内皮シールドに上記第1スイッチと同期して同内皮シールドを上記充電系と接地とに交互に切り換える第2スイッチを設け、上記グランド電極を上記外皮シールドに接続してなることを特徴とする近接スイッチ。
【請求項6】 上記検出電極と上記グランド電極との間にガード電極を配置し、上記ガード電極を上記内皮シールドに接続してなることを特徴とする請求項5に記載の近接スイッチ。
【請求項7】 ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記第1および第2検出電極をともに所定の切換周波数で上記充電系と上記放電系とに交互に切り換えるスイッチ手段とを備えていることを特徴とする近接スイッチ。
【請求項8】 上記第1および第2検出電極をともに上記充電系に接続する際、一方の検出電極は直流電源の正極側に接続され、他方の検出電極は直流電源の負極側に接続され、上記第1および第2検出電極をともに上記放電系に接続する際、上記一方の検出電極から得られる電流Isaと上記他方の検出電極から得られる電流Isbとが上記放電系内で加算されることを特徴とする請求項7に記載の近接スイッチ。
【請求項9】 上記第1および第2検出電極をともに上記充電系に接続する際、その各検出電極は直流電源の同一極側に接続され、上記第1および第2検出電極をともに上記放電系に接続する際、一方の検出電極から得られる電流Isaと他方の検出電極から得られる電流Isbとが上記放電系内で相対的に減算されることを特徴とする請求項7に記載の近接スイッチ。
【請求項10】 ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記第1および第2検出電極をともに所定の切換周波数で上記充電系と上記放電系とに交互に切り換える主スイッチ手段とを含み、上記放電系は、上記主スイッチ手段と上記電流検出手段との間に並列的に設けられていて、上記第1検出電極側に接続される第1放電回路と、上記第2検出電極側に接続される第2放電回路とを備え、上記いずれか一方の放電回路には、キャパシタと、同キャパシタの両端を交代的に同放電回路から切り離して接地端子に接続する副スイッチとからなる信号反転回路が設けられており、上記主スイッチ手段が切り替えられるごとに、上記副スイッチにより上記キャパシタの極性が反転されることを特徴とする近接スイッチ。
【請求項11】 ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、これら検出電極の各々に共通として対向的に配置される駆動電極と、直流電源を有する充電系と、コンデンサおよび電流検出手段を有する放電系と、上記直流電源の少なくとも一方の極を上記駆動電極に所定の切替周波数をもって選択的に接続する第1スイッチと、同第1スイッチと同期して上記検出電極の各々をともに上記直流電源の上記同極と上記コンデンサとに交代的に接続する第2スイッチと、上記各スイッチと同期して上記コンデンサを上記各検出電極と上記電流検出手段とに交代的に接続する第3スイッチとを備えていることを特徴とする近接スイッチ。
【請求項12】 上記第1および第2検出電極と上記駆動電極との間に、上記検出電極と同一サイズの金属板からなる第1および第2ガード電極が配置されており、上記第1検出電極と上記第1ガード電極、上記第2検出電極と上記第2ガード電極とがそれぞれ増幅率1倍のオペアンプを介して接続されている請求項11に記載の近接スイッチ。
【請求項13】 ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、これら検出電極の各々に共通として対向的に配置される駆動電極と、直流電源を有する充電系と、第1,第2コンデンサおよび電流検出手段を有する放電系と、上記直流電源の少なくとも一方の極を上記駆動電極に所定の切替周波数をもって選択的に接続する第1スイッチと、同第1スイッチと同期して上記検出電極の各々を上記第1コンデンサの両極に交互に入れ替えて接続する同期検波用の第2スイッチと、上記各スイッチと同期して上記第2コンデンサを上記第1コンデンサと上記電流検出手段とに交代的に接続する第3スイッチとを備えていることを特徴とする近接スイッチ。
【請求項14】 上記第3スイッチの切替周波数が、上記第1および第2スイッチの切替周波数の2倍に設定されている請求項13に記載の近接スイッチ。
【請求項15】 上記充電系と上記放電系とを切り替えるスイッチの切替周波数は、複数の異なる周波数を含む複合周波数であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の近接スイッチ。
【請求項16】 請求項7ないし15のいずれか1項に記載の近接スイッチを複数組み備え、隣接する組みの各検出電極を所定の平面もしくは曲面に沿って交互に配置してなることを特徴とする物体検出装置。
【請求項17】 請求項7ないし15のいずれか1項に記載の近接スイッチを複数組み備え、隣接する組みの各検出電極を所定の平面もしくは曲面に沿って交互に配置するとともに、その奇数番目と偶数番目とでは異なる極性の駆動電圧を印加することを特徴とする物体検出装置。
【請求項18】 請求項7ないし15のいずれか1項に記載の近接スイッチを複数組み備え、隣接する組みの各検出電極を自動ドアの戸先に沿って交互に配置してなることを特徴とする自動ドア開閉制御用の物体検出装置。
【請求項19】 請求項7ないし15のいずれか1項に記載の近接スイッチを複数組み備え、隣接する組みの各検出電極を自動ドアの出入り口床面に交互に配置してなることを特徴とする自動ドア開閉制御用の物体検出装置。
【請求項20】 同一平面上に行方向および列方向に沿って並設された複数の検出電極を含むセンサ面と、誘電体層を介して上記センサ面の背面側のほぼ全面にわたって配置された駆動電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記駆動電極の反センサ面側で上記センサ面の行方向もしくは上記列方向のいずれか一方に沿って配線された複数の充電用配線およびいずれか他方に沿って配線された複数の放電用配線と、上記各検出電極を個別的に上記充電用配線もしくは上記放電用配線のいずれかに選択的に接続する検出電極切換スイッチと、上記各充電用配線を上記充電系の直流電源に順次接続する第1スキャナスイッチと、上記各放電用配線を上記放電系の電流検出手段に順次接続する第2スキャナスイッチと、上記駆動電極を上記充電系の直流電源もしくは接地のいずか一方に選択的に接続する駆動電極切換スイッチと、上記各スイッチを制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記第1スキャナスイッチを切り換えて上記充電用配線を一つずつ上記直流電源に接続するごとに、上記駆動電極切換スイッチを上記直流電源側に切り換えるとともに、上記第1スキャナスイッチにて選択された上記充電用配線に沿って存在する上記検出電極切換スイッチを同充電用配線側に切り換える第1ステップと、上記第1ステップ後において、上記駆動電極切換スイッチを上記接地側に切り換えるとともに、上記第1ステップで上記充電用配線側に切り換えられた上記検出電極切換スイッチを上記放電用配線側に切り替える第2ステップと、上記第2ステップ後において、上記第2スキャナスイッチを一巡するように順次切り換える第3ステップとを実行することを特徴とする物体検出装置。
【請求項21】 検出対象の物体が、人の指紋であることを特徴とする請求項20に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接スイッチおよびこれを応用した物体検出装置に関し、さらに詳しく言えば、設置場所の環境や引き回しケーブルなどによって検出感度が左右されず、また、ほとんど無調整で使用できる近接スイッチに関するものである。本発明は、自動ドアの開閉制御センサを初めとして種々の分野の物体検出装置として適用される。
【0002】
【従来の技術】近接スイッチの多くは高周波発振型であって、例えば自動ドアの出入り口や駐車場などに設置される金属製の一対の検知板からなる静電容量性のセンサ部と、同軸ケーブルを介してセンサ部に接続され、アナログ電圧を生成する発振検波部とを備え、発振検波部からのアナログ電圧とセンサ部から得られる検知信号とを比較することにより、人や自動車などの物体を検知するようにしている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−29467号公報【特許文献2】特開平7−287793号公報【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高周波近接スイッチには、実用上次のような課題がある。すなわち、センサ部の静電容量は、設置場所の温度や湿度(水分)、それに周辺に存在する金属物などの影響を受けて変化するが、この他にセンサ部と発振制御部とをつなぐケーブルの引き回し配線長によっても、そのケーブルに寄生するインピーダンス成分の影響を受けて検出感度が微妙に変化してしまう。
【0005】したがって、工場出荷段階でセンサ部と発振制御部のマッチングを採ったとしても、多くの場合、設置場所ごとにケーブルの引き回し配線長が異なるため、その都度、再調整を必要とする。また、往々にして設置場所の環境変化(温度や湿度など)により、動作点が経時的に変化するため、定期的、不定期的にかかわらずメンテナンスを必要とする。
【0006】特に、自動ドア用にあっては検出対象が人であるため、安全性の面からメンテナンスは事欠かせない。このような理由により、高周波近接スイッチの提案は多くなされているが、実用化されたものは数少ないのが実情である。
【0007】したがって、本発明の課題は、ケーブル長や設置場所の環境などに影響されることがなく、動作がきわめて安定しており、ほとんどメンテナンスフリーで使用することができる近接スイッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するため、本発明は、物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記検出電極に対して上記充電系と上記放電系とを所定の切換周波数で交互に切り換えるスイッチとを含み、被検出物体と上記検出電極との間の静電容量を上記放電系に流れる電流Isとして検出することを特徴としている。
【0009】本発明の好ましい態様として、スイッチの切替周波数foは、例えば数10kHz〜数100kHz程度に設定される。直流電源の電圧をVo,検出電極と物体(例えば、人)との間の静電容量をCsとすると、検出電極に供給される電荷Q(単位;クーロン)は、Q=Cs・Vo×foで表される。
【0010】一方、時間をtとして、検出電極から放電系に放出される電荷Qは、Q=Is・tで表される。したがって、Is=(Cs・Vo×fo)/tなる式が成り立ち、電流を考えるときt=1secであるから、Is=Cs・Vo×foとなる。
【0011】すなわち、本発明の基本原理は検出電極の静電容量Csの充放電であり、放電系に流れる電流Isは、もっぱら検出電極の静電容量Csのみに依存するため、物体検出感度は検出電極と検出回路(制御部)とをつなぐケーブルの配線長などに影響されない。
【0012】実際の使用においては、検出電極と周囲のグランドとの間の浮遊容量の変化が誤検出の原因となることがあるため、検出電極の裏面側にグランド電極が設けられるが、そうすると、上記静電容量Csに対してグランド電極によるきわめて大きな静電容量Coが並列に接続されることになる。
【0013】このグランド電極を設けることによって発生する静電容量Coの検出感度に対する影響を排除するには、第1の方法として、そのグランド電極と検出電極間の静電容量に起因して放電系に流れる増加分の電流Ioを吸い込む電流源を電流検出手段に対して並列に設ければよい。
【0014】また、グランド電極を設けることによって発生する静電容量Coの検出感度に対する影響を排除する第2の方法として、放電系に、グランド電極と検出電極間の静電容量Coと同容量のキャパシタと、充電系の直流電源と逆極性の第2直流電源と、上記キャパシタに対して第2直流電源と放電系とを上記スイッチと同期して交互に切り換える第2スイッチとを設けてもよい。その場合、上記キャパシタの代替として、検出電極とグランド電極と同一の組み合わせからなる一対の電極板を用いてもよい。
【0015】検出電極と、充電系および放電系は、同軸ケーブルによってつながれるため、そのケーブル長や屈曲状態によっては、そのケーブルが有する静電容量の変化が、時には物体の接近による静電容量変化分より大きく現れることが想定される。
【0016】これを防止するため、本発明では、物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極と、同検出電極と対向的に配置される接地されたグランド電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、中心導体の周りに内皮シールドおよび外皮シールドを有する2重シールド線とを含み、上記検出電極を上記中心導体の一端に接続し、その他端側に同中心導体に対して上記充電系と上記放電系とを所定の切換周波数で交互に切り換える第1スイッチを設けるとともに、上記内皮シールドに上記第1スイッチと同期して同内皮シールドを上記充電系と接地とに交互に切り換える第2スイッチを設け、上記グランド電極を上記外皮シールドに接続することを特徴としている。
【0017】これによれば、内皮シールドと中心導体とが常に同電位に保たれるため、その間に静電容量は発生しない。より好ましくは、上記検出電極と上記グランド電極との間にガード電極を配置し、上記ガード電極を上記内皮シールドに接続することが推奨される。
【0018】次に、接近する物体を高感度に検出するため、本発明は、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記第1および第2検出電極をともに所定の切換周波数で上記充電系と上記放電系とに交互に切り換えるスイッチ手段とを備えていることを特徴としている。
【0019】例えば、一方の検出電極に正極電圧を供給するとともに、他方の検出電極に負極電圧を供給すると、一方の検出電極から上記放電系に流れる電流は+Isa,他方の検出電極から上記放電系に流れる電流は−Isbとなり、各検出電極の静電容量がバランスしていれば、上記放電系に流れる電流は0となる。物体が近づいて、そのバランスが崩れると、上記放電系には静電容量の差に応じた電流が流れ、これにより物体を検知できる。
【0020】なお、第1および第2検出電極に、同極電圧を供給する場合には、放電系内において、減算器により一方の検出電極から得られる電流Isaと他方の検出電極から得られる電流Isbとを減算すればよい。
【0021】次に、外来誘導雑音を除去するため、本発明は、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記第1および第2検出電極をともに所定の切換周波数で上記充電系と上記放電系とに交互に切り換える主スイッチ手段とを含む近接スイッチにおいて、上記放電系は、上記主スイッチ手段と上記電流検出手段との間に並列的に設けられていて、上記第1検出電極側に接続される第1放電回路と、上記第2検出電極側に接続される第2放電回路とを備え、上記いずれか一方の放電回路には、キャパシタと、同キャパシタの両端を交代的に同放電回路から切り離して接地端子に接続する副スイッチとからなる信号反転回路が設けられており、上記主スイッチ手段が切り替えられるごとに、上記副スイッチにより上記キャパシタの極性が反転されることを特徴としている。
【0022】また別の形態として、本発明には、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、これら検出電極の各々に共通として対向的に配置される駆動電極と、直流電源を有する充電系と、コンデンサおよび電流検出手段を有する放電系と、上記直流電源の少なくとも一方の極を上記駆動電極に所定の切替周波数をもって選択的に接続する第1スイッチと、同第1スイッチと同期して上記検出電極の各々をともに上記直流電源の上記一方の極と上記コンデンサとに交代的に接続する第2スイッチと、上記各スイッチと同期して上記コンデンサを上記各検出電極と上記電流検出手段とに交代的に接続する第3スイッチとを備えている近接スイッチが含まれる。
【0023】この場合、上記第1および第2検出電極と上記駆動電極との間に、上記検出電極と同一サイズの金属板からなる第1および第2ガード電極が配置され、上記第1検出電極と上記第1ガード電極、上記第2検出電極と上記第2ガード電極とがそれぞれ増幅率1倍のオペアンプを介して接続されていることが好ましく、これによれば、物体検出感度をより高めることができる。
【0024】さらに別の形態として、本発明には、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極と、これら検出電極の各々に共通として対向的に配置される駆動電極と、直流電源を有する充電系と、第1,第2コンデンサおよび電流検出手段を有する放電系と、上記直流電源の少なくとも一方の極を上記駆動電極に所定の切替周波数をもって選択的に接続する第1スイッチと、同第1スイッチと同期して上記検出電極の各々を上記第1コンデンサの両極に交互に入れ替えて接続する同期検波用の第2スイッチと、上記各スイッチと同期して上記第2コンデンサを上記第1コンデンサと上記電流検出手段とに交代的に接続する第3スイッチとを備えている近接スイッチが含まれる。
【0025】なお、上記第3スイッチの切替周波数は、上記第1および第2スイッチの切替周波数の2倍に設定されることが好ましい。また、周辺に存在するラジオ受信機などに対する妨害を少なくするうえで、上記充電系と上記放電系とを切り替えるスイッチの切替周波数は、複数の異なる周波数を含む複合周波数であることが好ましい。
【0026】本発明には、上記各近接スイッチを複数組み備え、隣接する組みの各検出電極を所定の平面もしくは曲面に沿って交互に配置することを基本的な構成とする物体検出装置が含まれる。
【0027】この物体検出装置において、不感帯をなくすとともに、放射雑音を低減するため、各検出電極の奇数番目と偶数番目とでは異なる極性の駆動電圧が印加されることが好ましい。この物体検出装置は、特に自動ドアの戸先センサや自動ドアの出入り口床面に配置されるマットセンサに好適である。
【0028】また、本発明には、別の応用例として被検出物体からその個々の検出情報を得ることができる物体検出装置が含まれる。この物体検出装置は、同一平面上に行方向および列方向に沿って並設された複数の検出電極を含むセンサ面と、誘電体層を介して上記センサ面の背面側のほぼ全面にわたって配置された駆動電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記駆動電極の反センサ面側で上記センサ面の行方向もしくは上記列方向のいずれか一方に沿って配線された複数の充電用配線およびいずれか他方に沿って配線された複数の放電用配線と、上記各検出電極を個別的に上記充電用配線もしくは上記放電用配線のいずれかに選択的に接続する検出電極切換スイッチと、上記各充電用配線を上記充電系の直流電源に順次接続する第1スキャナスイッチと、上記各放電用配線を上記放電系の電流検出手段に順次接続する第2スキャナスイッチと、上記駆動電極を上記充電系の直流電源もしくは接地のいずか一方に選択的に接続する駆動電極切換スイッチと、上記各スイッチを制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記第1スキャナスイッチを切り換えて上記充電用配線を一つずつ上記直流電源に接続するごとに、上記駆動電極切換スイッチを上記直流電源側に切り換えるとともに、上記第1スキャナスイッチにて選択された上記充電用配線に沿って存在する上記検出電極切換スイッチを同充電用配線側に切り換える第1ステップと、上記第1ステップ後において、上記駆動電極切換スイッチを上記接地側に切り換えるとともに、上記第1ステップで上記充電用配線側に切り換えられた上記検出電極切換スイッチを上記放電用配線側に切り替える第2ステップと、上記第2ステップ後において、上記第2スキャナスイッチを一巡するように順次切り換える第3ステップとを実行することを特徴している。
【0029】この物体検出装置によれば、例えば検出電極を床面に敷き並べることにより、人の存在はもとより、その移動方向までをも検出することができる。また、個々の検出電極をCCDカメラの画素程度の大きさとすることにより、例えば人の指紋などをも検出することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】まず、図1を参照して、本発明に係る近接センサ10Aの基本的な構成について説明する。
【0031】この近接センサ10Aは、物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる検出電極20と、直流電源301を有する充電系30と、例えば電流−電圧変換器からなる電流検出手段41を有する放電系40と、検出電極20に対して充電系30と放電系40とを所定の切換周波数で交互に切り換えるスイッチS1とを含み、人などの被検出物体Hと検出電極20との間の静電容量を放電系に流れる電流Isとして検出する。
【0032】この例において、スイッチS1はアナログ式スイッチであり、その切替周波数foは例えば数10kHz〜数100kHz程度に設定される。直流電源301の電圧をVo,検出電極20と被検出物体Hとの間の静電容量をCsとすると、検出電極に供給される電荷Q(単位;クーロン)は、Q=Cs・Vo×foで表される。なお、1秒間に1クーロンの電荷が運ばれるときの電流が1Aである。
【0033】一方、時間をtとして、検出電極から放電系に放出される電荷Qは、Q=Is・tで表される。したがって、Is=(Cs・Vo×fo)/tなる式が成り立ち、電流を考えるときt=1secであるから、Is=Cs・Vo×foとなる。
【0034】このように、本発明の基本原理は検出電極20が有する静電容量Csの充放電であり、放電系に流れる電流Isは、もっぱら検出電極20の静電容量Csのみに依存するため、理論上、物体検出感度は検出電極と検出回路(制御部)とをつなぐケーブルの配線長などに影響されない。
【0035】しかしながら、実際の使用においては、検出電極20と周囲のグランドとの間の浮遊容量の変化が誤検出の原因となることがあるため、図2に示すように、検出電極20の裏面側にグランド電極21が設けられるが、そうすると、上記静電容量Csに対してグランド電極21によるきわめて大きな静電容量Coが並列に接続されることになる。実験によれば、静電容量Csが0.1pF程度であるのに対して、静電容量Coは100pF程度の値を示す。
【0036】このグランド電極21を設けることによって発生する静電容量Coの検出感度に対する影響を排除するため、この実施形態では、上記静電容量Coに起因して放電系40に流れる増加分の電流Ioを吸い込む電流源401を放電系40に対して並列に設け、上記静電容量Csによる電流Isのみを放電系40の電流検出手段41で検出するようにしている。
【0037】静電容量Coによる電流Ioを除去する別の方法として、図3に示すように、放電系40に、グランド電極21と検出電極20間の静電容量Coと同容量のキャパシタ401と、充電系30の直流電源301と同電圧かつ逆極性である第2の直流電源402と、キャパシタ401に対して直流電源402と放電系40とを上記スイッチS1と同期して交互に切り換える第2のスイッチS2とを設けてもよい。
【0038】スイッチS2は、スイッチS1が放電系40側に切り替えられるに伴って放電系40側に切り替えられ、これにより電流Ioの電荷がキャパシタ401に蓄電される。次に、スイッチS2は、スイッチS1が充電系30側に切り替えられるに伴って直流電源402側に切り替えられる。これにより、キャパシタ401に逆電圧がかけられるため、キャパシタ401に蓄電された電荷が消失する。
【0039】このようにして、静電容量Coによる電流Ioがキャンセルされ、静電容量Csによる電流Isのみが放電系40の電流検出手段41で検出されるが、図4に示すように、キャパシタ401に代えて、検出電極20とグランド電極21と同一の組み合わせからなる静電容量Coを有する一対の電極板403,403を用いてもよい。
【0040】次に、図5に示すように、検出電極20と充放電系30,40とは、ケーブル50によってつながれるが、そのケーブル長や屈曲状態、また周囲温度などによっては、そのケーブルが有する静電容量の変化が、時には被検出物体Hの接近による静電容量変化分より大きく現れ、誤検出や感度低下をきたすことがある。そこで、この実施形態では、ケーブル50に二重シールド線を用い、次のような対策を講じている。
【0041】二重シールド線50の中心導体51の一端に検出電極20を接続する。中心導体51の他端は、スイッチS1を介して充電系30と放電系40とに交代的に接続可能とする。また、二重シールド線50の中シールド52をスイッチS1aを介して充電系30と別に用意された放電系40aとに交代的に接続可能とする。グランド電極21は二重シールド線50の外シールド53に接続する。なお、外シールド53は接地する。
【0042】スイッチS1とスイッチS1aは同期して切り替える。すなわち、スイッチS1が充電系30の直流電源301に接続されるとき、スイッチS1aも直流電源301に接続されるようにし、また、スイッチS1が放電系40側に切り替えられるとき、スイッチS1aも放電系40a側に切り替えられるようにする。
【0043】これにより、中心導体51と中シールド52は常に同電位に保たれるため、二重シールド線50の静電容量の影響を受けることなく、検出電極20の静電容量Csによる電流Isのみを正確に測定することができる。このことは、設置場所に応じて異なるケーブルの静電容量分を、その都度調整する必要がなくなることを意味する。
【0044】より好ましい実施形態として、図6に示すように、検出電極20とグランド電極21との間にガード電極22を配置し、このガード電極22を中シールド52に接続する。他の構成は図5と同じであってよい。これによれば、検出電極20とガード電極22とが常に同電位に保たれ、グランド電極21による静電容量Coの影響も排除することができるため、各電極板間の間隔を狭めて電極全体の厚みをきわめて薄くできる。
【0045】次に、図7を参照して、本発明による別の近接スイッチ10Bについて説明する。この近接スイッチ10Bは、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2検出電極201,202を備えている。なお、この例では各検出電極201,202の裏面側に、それらに共通なグランド電極21が配置されている。
【0046】この近接スイッチ10Bにおいても、充電系30および放電系40を有しているが、この実施形態では、充電系30には電圧(絶対値)が同一の正極電源301と負極電源302とが設けられている。また、放電系40は各検出電極201,202に対して共通となっており、この放電系40には、出力手段としてオペアンプよりなる電流検出手段としての電流−電圧変換器41が接続されている。
【0047】第1検出電極201はスイッチS11により正極電源301と放電系40とに切り替えられ、また、第2検出電極202はスイッチS12により負極電源302と放電系40とに切り替えられる。スイッチS11とスイッチS12は同期して切り替えられる。
【0048】すなわち、第1検出電極201が正極電源301に接続されるとき、第2検出電極202も同時に負極電源302に接続され、また、第1検出電極201が放電系40に接続されるとき、第2検出電極202も同時に放電系40に接続される。
【0049】ここで、第1検出電極201から放電系40に供給される電流をIsa,第2検出電極202から放電系40に供給される電流をIsbとすると、電流−電圧変換器41には、それらの加算電流Isa+Isbが流れる。なお、この例において、電流極性はIsaが(+)で、Isbは(−)である。
【0050】例えば周辺に被検出物体Hが存在しないか、または、被検出物体Hが検出電極201,202の間の中央に存在して、第1検出電極201の静電容量Cs1と、第2検出電極202の静電容量Cs2とがバランスしているとき、加算電流Isa+Isb=0となり、したがって出力電圧も0となる。
【0051】これに対して、例えば被検出物体Hが接近して、静電容量Cs1と静電容量Cs2のバランスが崩れると、加算電流Isa+Isb≠0となり、その差分の電流をId,オペアンプの帰還(増幅)抵抗値をRとして、電流−電圧変換器41からId×Rなる電圧が出力される。なお、オペアンプの−入力端子はイマジナリショートが成立しているため、その入力インピーダンスは0である。
【0052】なお、この近接スイッチ10Bを複数組み用いる場合、図8に示すように、各組みの正極側検出電極201と負極側検出電極202を交互に配置することにより、各組みの出力電圧が0Vを中心に±に変化する。例えば、被検出物体Hの接近により100mVの変化があったとき、0V中心の変化であるならば、安価な8ビットA/D変換器で対応可能である。また、交互配列により不感帯もなくすことができる。
【0053】上記実施形態では、第1検出電極201と第2検出電極202とに異なる極性の電源を用いているが、同極電源としてもよく、その場合には、一方の検出電極201から得られる電流Isaと他方の検出電極202から得られる電流Isbとを減算して、電流−電圧変換器41に通せばよい。
【0054】ところで、近接スイッチ10Bでは、第1検出電極201と第2検出電極202とを同一平面上に並置しているため、例えば蛍光灯などから発せられる外来誘導雑音が各検出電極201,202に同相として入る。その外来誘導雑音により放電系40に現れる一つの検出電極あたりの電流をIiとすると、電流−電圧変換器41にはIi+Ii=2Iiの誘導雑音電流が流れることになる。
【0055】この誘導雑音電流を打ち消すには、図9に示すように、放電系40に信号反転回路42を設ければよく、次にこれについて説明する。近接スイッチ10Bにおいて、その放電系40には、第1検出電極201側のスイッチS11から電流−電圧変換器41に至る第1放電回路40aと、第2検出電極202側のスイッチS12から電流−電圧変換器41に至る第2放電回路40bとが並列的に含まれているが、この実施形態では、その内の第2放電回路40b側に信号反転回路42が設けられている。
【0056】この信号反転回路42はキャパシタ421を有し、このキャパシタ421の一方の極側には、同キャパシタ421を第2放電回路40bから切り離して接地に接続するスイッチ422が設けられている。また、キャパシタ421の他方の極側にも、同キャパシタ421を第2放電回路40bから切り離して接地に接続するスイッチ423が設けられている。
【0057】スイッチ422,423は、スイッチS11,S12と同期して交代的に切り替えられる。すなわち、スイッチS11,S12がともに充電系30側に切り替えられたとき、例えば一方のスイッチ422が第2放電回路40b側に切り替えられるとすると、他方のスイッチ423は接地側に切り替えられる。
【0058】これに対して、スイッチS11,S12がともに放電系40側に切り替えられたとき、一方のスイッチ422が接地側に切り替えられ、他方のスイッチ423は第2放電回路40b側に切り替えられ、この切替動作が繰り返される。
【0059】これによると、例えばスイッチS11,S12がともに放電系40側に切り替えられ、それに伴って一方のスイッチ422が第2放電回路40b側に切り替えられ、他方のスイッチ423が接地側に切り替えられるとすると、キャパシタ421には、第2検出電極202側からの誘導雑音電流Iiによる電荷が蓄積される。なお、第1放電回路40aには誘導雑音電流Iiがそのまま現れる。
【0060】次に、スイッチS11,S12がともに充電系30側に切り替えられると、今度は、一方のスイッチ422が接地側、他方のスイッチ423が第2放電回路40b側に切り替えられてキャパシタ421の極性が反転するため、第1放電回路40aの誘導雑音電流Iiがキャパシタ421に吸い込まれる。このようにして、第1検出電極201と第2検出電極202に同相として入り込む外来誘導雑音が打ち消されることになる。
【0061】なお、スイッチS11,S12がともに放電系40側に切り替えられとき、一方のスイッチ422が接地側に、他方のスイッチ423が第2検出電極202側に切り替えられる場合、キャパシタ421には、第1検出電極201側からの誘導雑音電流Iiによる電荷が蓄積される。
【0062】そして、次にスイッチS11,S12がともに充電系30に切り替えられるとき、一方のスイッチ422が第2検出電極202側に、他方のスイッチ423が接地側に切り替えられることにより、キャパシタ421の極性が反転されるとともに、第2検出電極202側からの誘導雑音電流Iiにより、キャパシタ421の電荷が打ち消しにより0となる。
【0063】なお、検出電極201,202の寸法誤差や配置誤差などにより、外来誘導雑音を完全に除去し切れない場合には、図10(a)に示すように、放電系40に+,−電源と可変抵抗からなるDCバイアス回路43を設けるとよい。この場合、電流−電圧変換器41の入力側はイマジナリアースとされているため、DCバイアス回路43を付加しても感度低下は生じない。
【0064】また、別の方法として、図10(b)に示すように、電流−電圧変換器41の出力側と入力側との間にDCサーボ回路44を設けてもよい。DCサーボ回路44は、電流−電圧変換器41の出力を反転する反転回路441と、サーボ信号を電流−電圧変換器41の入力側に帰還する積分回路442と、反転回路441と積分回路442との間に並列的に設けられた抵抗R,R(R≪R)およびこれらを選択する2つのスイッチ443,444とを備えている。
【0065】低抵抗R側のスイッチ443が、電源投入時に応答を速くするスイッチで通常動作時はオフに設定される。高抵抗R側のスイッチ444は、オフセットを0にするためのスイッチで、図示しない制御手段により必要に応じてオンにされる。いずれにしても、電流−電圧変換器41の入力側が例えば−側にずれると、積分回路442からそれを+側に持ち上げようにする電圧が出力され、これによりオフセットが打ち消される。
【0066】上記近接スイッチ10A,10Bは、いずれも検出電極が有する静電容量の充放電をその基本的な動作原理としているが、次に、コンデンサの平衡回路に基づく本発明の近接スイッチの実施形態について説明する。
【0067】まず、図11を参照して、この近接スイッチ10Cは、同一平面上に配置される同一の大きさの金属板からなる第1および第2検出電極61a,61bと、その裏面側に各検出電極61a,61bに共通として配置される駆動電極63とを備えるが、この実施形態では、駆動電極63の裏面側にさらにグランド電極64が配置されている。なお、駆動電極63を2枚として、各検出電極61a,61bの裏面側に配置してもよい。
【0068】このほかに、この近接スイッチ10Cは直流電源65およびその電源ライン65aと、各検出電極61a,61bの静電容量の差分の電荷を蓄電するためのコンデンサ66と、同コンデンサ66から供給される電流を電圧として検出する電流−電圧変換器41と、5つのスイッチS6a〜S6eとを備えている。
【0069】この実施形態において、直流電源65は片電源として用いられ、電源ライン65aはスイッチ6aを介して直流電源65の+E(正極側)とアース(0電位)とに交代的に接続され、電源ライン65aには駆動電極63が接続されている。第1検出電極61aは、スイッチ6bを介して電源ライン65aとコンデンサ66の一方の極66aとに交互に切り換え接続される。
【0070】また、第2検出電極61bも、スイッチ6cを介して電源ライン65aとコンデンサ66の他方の極66bとに交互に切り換え接続される。コンデンサ66の両極66a,66bは、スイッチ6d,6eを介して検出電極61a,61b側と電流−電圧変換器41側とに交互に切り換え接続される。なお、この実施形態では、コンデンサ66と電流−電圧変換器41との間に、平滑コンデンサ661が接続されている。
【0071】スイッチS6a〜S6eは、所定の切替周波数で同期的に切り替えられる。すなわち、図示実線で示すように、スイッチS6aが直流電源65の+E側に接続されるとき、これと同期してスイッチ6b,6cは、ともに電源ライン65a側に接続され、スイッチ6d,6eは、ともに電流−電圧変換器41側に接続される。これにより、検出電極61a,61bおよび駆動電極63には、直流電源65から同電圧が印加される。
【0072】これに対して、図示鎖線で示すように、スイッチS6aが直流電源65のアース側に接続されるとき、これと同期してスイッチ6b,6cは、ともにコンデンサ66側に接続され、スイッチ6d,6eは、ともに検出電極61a,61b側に接続される。
【0073】次に、図12を参照して、この近接スイッチ10Cの動作について説明する。まず、各スイッチS6a〜S6eを図11の実線で示す切替状態として、検出電極61a,61bおよび駆動電極63を直流電源65の+Eに接続すると、図12(a)に示すように、検出電極61a,61bと駆動電極63は同電位となり、それらの間の静電容量Coは0となる。また、検出電極61a,61bには印加電圧+Eにより、それぞれCsa,Csbなる電荷が蓄積される。
【0074】次に、各スイッチS6a〜S6eを図11の鎖線で示す切替状態として、検出電極61a,61bを直流電源65から切り離してコンデンサ66に接続するとともに、駆動電極63をアースに落とすと、図12(b),(c)に示すように、検出電極61aにはCo:Csaの比に分圧された電圧Vaが現れ、同様に、検出電極61bにもCo:Csbの比に分圧された電圧Vbが現れる。すなわち、Csa:Csb=Va:Vbなる関係となる。
【0075】ここで、検出電極61a,61bに人などが近づいて、Csa≠CsbすなわちVa≠Vbであったとすると、図12(d)に示すように、検出電極61a,61bに蓄電された電荷の差分Cxがコンデンサ66に転送される。なお、コンデンサ66の静電容量は上記静電容量Coよりも十分大きなものとする。
【0076】再び、各スイッチS6a〜S6eを図11の実線で示す切替状態とすると、図12(d)に示すように、コンデンサ66に蓄電された電荷Cxが電流−電圧変換器41に供給され、コンデンサ66の電荷が0になる。これが繰り返されることにより、電流−電圧変換器41には各検出電極61a,61bの静電容量Csa,Csbの差に応じた出力が現れる。
【0077】この近接スイッチ10Cによれば、回路が対称であるため電気的なバランスがよい。電流−電圧変換器41の検出側には、検出電極61a,61b間の電荷の差分に応じた微小電流しか流れないため、S/N比がよい。回路基板の一方の面に検出電極61a,61bを設け、他方の面に駆動電極63を配置することにより、引き回しケーブルが不要で検出部をユニット化できる、という利点が得られる。
【0078】なお、スイッチS6a〜S6eはアナログスイッチであってもよいし、FETやCMOSなどの電子スイッチであってもよい。直流電源65に関して、上記実施形態では+E−アースの片電源としているが、当然に−E−アースの片電源であってもよく、さらには±Eのバイポーラ電源としてもよい。
【0079】この近接スイッチ10Cには、次のような変形例が含まれる。すなわち、図13に示すように、検出電極61aと駆動電極63との間、また、検出電極61bと駆動電極63との間に、検出電極61a,61bと同一サイズの金属板からなる第1および第2ガード電極611,621をそれぞれ配置する。
【0080】そして、第1検出電極61aと第1ガード電極611を増幅率1倍のオペアンプ612を介して接続し、また同じく、第2検出電極61bと第2ガード電極621とを増幅率1倍のオペアンプ622を介して接続する。
【0081】これによれば、引き回しケーブルの影響をほぼ完全に除去することができる。なお、この変形例において、駆動電極63はなくてもよいが、安定性の面からすれば、駆動電極63はあった方が好ましい。
【0082】また、図14に示すように、スイッチS6b,S6cを介して得られる検出電極61a,61bの出力を差動増幅器70で受けるようにしてもよい。なお、差動増幅器70の入力端子間には、スイッチS6b,S6cの接点抵抗などのばらつきを補正するための可変抵抗71が接続されている。
【0083】次に、図15に示す近接スッチ10Dについて説明する。この近接スッチ10Dは、図11で説明した近接スッチ10Cと技術的に同列に位置するもので、したがって近接スッチ10Cの構成要素と同一もしくは同一と見なされてよい構成要素には同じ参照符号を用いている。
【0084】この近接スッチ10Dにおいては、直流電源65を例えば+Eと−Eのパイポーラ電源として用いる。また、上記コンデンサ66を第1コンデンサとして、この第1コンデンサ66の入力側(検出電極側)に設けられ、スイッチ6d,6eを介して第1コンデンサ66に並列に接続される第2コンデンサ67を備える。
【0085】この近接スッチ10Dでは、駆動電極63のみがスイッチS6aを介して直流電源65に接続されるようになっており、検出電極61a,61bは、スイッチS6b,S6cを介して第2コンデンサ67の一方の極67aと他方の極67bとに交代的に切替接続される。
【0086】スイッチS6a〜S6eは、所定の切替周波数で同期的に切り替えられるが、この場合、スイッチS6aの切替周波数がfであるとすると、スイッチS6b,S6cは同じ切替周波数fで切り替えられ、スイッチS6d,S6eは好ましくはその2倍の周波数2fで切り替えられる。
【0087】図16を参照して、直流電源65より駆動電極63に印加される電圧をVo,駆動電極63と各検出電極61a,61bとの間に発生する静電容量をCo,検出電極61a,61bと例えば接地間の静電容量をそれぞれCsa,Csbとすると、検出電極61a,61bの誘導電圧Va,Vbと電圧Voは次のような比例関係となる。
Co:Csa=Vo:(Vo−Va)
Co:Csb=Vo:(Vo−Vb)
【0088】次に、この近接スイッチ10Dの動作の一例について説明する。まず、図17(a)に示すように、駆動電極63がスイッチS6aにより直流電源65の+E側に接続されるとき、検出電極61aはスイッチS6bにより第2コンデンサ67の一方の極67aに接続され、検出電極61bはスイッチS6cにより第2コンデンサ67の他方の極67bに接続される。なお、第1コンデンサ66は第2コンデンサ67から切り離され、スイッチS6d,S6eにより電流−電圧変換器41側に接続される。
【0089】次に、図17(b)に示すように、駆動電極63がスイッチS6aにより直流電源65の−E側に接続されるとき、検出電極61aはスイッチS6bにより第2コンデンサ67の他方の極67bに接続され、検出電極61bはスイッチS6cにより第2コンデンサ67の一方の極67aに接続される。このときにも、第1コンデンサ66は電流−電圧変換器41側に接続されたままの状態とされる。
【0090】このようにして、駆動電極63に対する電源の切替と同期して同期検波が行われる。図18に一方の検出電極61aの同期検波波形を示す。これにより、第2コンデンサ67には、検出電極61a,61bの誘導電圧Va,Vbの差分の電荷Cxが蓄電される。
【0091】そして、再び駆動電極63が直流電源65の+E側に接続されるとき、スイッチS6d,S6eが第2コンデンサ67側に切り替えられて、その電荷Cxが第1コンデンサ66に転送され、その後の所定のタイミング時点で、スイッチS6d,S6eが電流−電圧変換器41側に切り替えられる。
【0092】なお、第1コンデンサ66の前段に第2コンデンサ67があるため、スイッチS6d,S6eの切替周波数を他のスイッチS6a〜S6cと同じとしてもよく、その場合には、近接スイッチ10Dの回路を図19に示すように組み替えてもよい。
【0093】上記近接スイッチ10C,10Dは最小単位として一対の検出電極61a,61bを有し、その各々に駆動電極63が設けられるが、複数対の検出電極を並べて使用する際には、その駆動電極63から放射される雑音を低減するため、図20に示すように、検出電極611aと611bが対、検出電極612aと612bが対であるとして、それらを交互に配置し、かつ、それらの各駆動電極631と駆動電極632に印加する電圧の極性を交互に入れ替えることが好ましい。
【0094】本発明には、上記近接スイッチ10B,10C,10Dのいずれかを複数組み所定の平面もしくは曲面に沿って交互に配置してなる物体検出装置が含まれ、その用途としては、例えば、図21(a)に示すように、自動ドア700の戸先センサ701がある。また、図21(b)に示すように、自動ドア700のマットセンサ702としても使用できる。
【0095】さらには、図21(c)に示すように、各検出電極をマトリクス状に並べて平面センサ800とすることも可能である。特に、この平面センサ800によれば、単なる物体検知だけでなく、その物体がどの位置に存在しているかまで検知することができる。
【0096】次に、図22の模式的な斜視図および図23の配線図を参照して、図21(c)に示す平面センサ800の構成をその駆動系を含めてさらに詳しく説明する。この平面センサ800は、同一平面上に行方向(X方向)および列方向(Y方向)に沿ってマトリクス状に並設された複数の検出電極811を含むセンサ面810を備えている。
【0097】なお、行数がX1〜Xn,列数がY1〜Ym(m,nは2以上の任意に選択される整数)であるとして、以下の説明において、個々の検出電極を指す必要がある場合にはその位置を表すため符号X,Yを用い、各検出電極の共通事項を説明する場合には総称としての符号811を用いる。
【0098】各検出電極811には平板状の金属板が用いられ、その大きさはこの平面センサ800の用途に応じて適宜選択される。例えば、人の存在や歩く方向を検出するため室内の床面に配置される場合には、人の足の大きさ程度であってよい。
【0099】別の例として、人の指紋の検出に用いられるならば、平面センサ800自体がいわゆる切手サイズとされることから、各検出電極811はミクロン(μm)オーダーの大きさとされる。図22には詳しく示されていないが、各検出電極811の支持板には例えばガラス板や合成樹脂板が用いられ、その支持板上に各検出電極811が上記したようにマトリクス状に配置される。なお、指紋センサなどの小型センサとする場合には、例えば蒸着法もしくはスパッタ法によりシリコンウェハに検出電極としての金属膜を形成すればよい。
【0100】センサ面810の背面側には、図示しない所定の誘電体層を介して駆動電極820が配置される。駆動電極820にも、平板状の金属板が用いられるが、その大きさはセンサ面810と同じかそれよりも大きい。センサ面810と駆動電極820との間に介在される誘電体層は、センサ面810の支持板である例えば合成樹脂板やガラス板などとなるが、それに加えてさらに別の合成樹脂板もしくは空気層を介在させてもよい。
【0101】この平面センサ800においても、直流電源831を有する充電系830と、電流検出手段としての電流−電圧変換器(電流検出手段)841を有する放電系840とを備えるが、個々の検出電極811から検出情報が得られるようにするため、次のような手段を講じている。
【0102】すなわち、センサ面810の行方向(X方向)に沿って、その行数と同数の充電用配線850(850〜850)が設けられており、また、センサ面810の列方向(Y方向)に沿って、その列数と同数の放電用配線860(860〜860)が設けられている。充電用配線850および放電用配線860は、ともに駆動電極820の反センサ面側(図22において下側)に配置される。
【0103】充電用配線850と充電系830との間には、各充電用配線850〜850を充電系830の直流電源931に順次接続するための第1スキャナスイッチ871が設けられ、また、放電用配線860と放電系840とのとの間には、各放電用配線860〜860を放電系840の電流−電圧変換器841に順次接続するための第2スキャナスイッチ872が設けられる。
【0104】各検出電極811は、駆動電極820を電気絶縁的に貫通して下方に引き出される引出線812を備え、引出線812の各々には充電用配線850と放電用配線860とに選択的に切り換えられる検出電極切換スイッチ813が設けられている。検出電極(X1Y1)を例にして説明すると、この検出電極(X1Y1)は、検出電極切換スイッチ813により、充電用配線850もしくは放電用配線860のいずれかに選択的に接続される。
【0105】また、この平面センサ800は、駆動電極切換スイッチ821と、放電系840の電流−電圧変換器841の出力側にA/D変換器871を介して接続される制御手段(CPU)870とを備えている。駆動電極切換スイッチ821は、駆動電極820を充電系830の直流電源831と接地とに選択的に接続する。
【0106】CPU870は、放電系840から得られる各検出電極811の検出情報を受けて各種の判定を行う。例えば、この平面センサ800が指紋センサである場合には、あらかじめ登録されている指紋データと検出指紋データとを照合したり、あるいはその検出指紋データにより指紋を再現して図示しないプリンタやディスプレイなどに表示する。また、CPU870は、各検出電極811から検出情報を収集するにあたって、各スイッチを次のように制御する。
【0107】第1スキャナスイッチ871は、各充電用配線850〜850を直流電源931に順次切り換え接続するが、例えば1番目の充電用配線850が選択されると、これと同期して駆動電極切換スイッチ821を直流電源931側に切り換えるとともに、1行目の検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)の各検出電極切換スイッチ813を充電用配線850側に切り換える。
【0108】これにより、1行目の検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)と駆動電極820とが同電位となり、駆動電極820が一種のアクティブシールドプレートとして作用するため、反センサ面側(回路側)からのノイズの影響を受けることなく、各検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)と被検出物体との間で生ずる静電容量を正確に検出できる。
【0109】また、各検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)と反センサ面側の回路との間の静電容量が実質的に0になるので、不要な容量に対する給電がなくなり、S/N比が大幅に向上する。さらには、S/N比の向上に伴ってセンサ表面の保護層を厚くでき機械的な強度も高めることができる。
【0110】上記のようにして所定時間充電(給電)した後、駆動電極切換スイッチ821を接地側に切り換え、また、1行目の検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)の各検出電極切換スイッチ813を放電用配線860に切り換える。しかる後、第2スキャナスイッチ872を放電用配線860〜860まで一巡するように順次切り換える。
【0111】これにより、1行目の検出電極(X1Y1)〜(X1Ym)の各静電容量に基づく電流が電流−電圧変換器841およびA/D変換器871を介してCPU870に順次取り込まれる。
【0112】続いて、第1スキャナスイッチ871が2番目の充電用配線850→3番目の充電用配線850→…→n番目の充電用配線850へと順次切り換えられるごとに、駆動電極切換スイッチ821,検出電極切換スイッチ813および第2スキャナスイッチ872が上記のように切り換えられ、検出電極811の各々からCPU870に検出情報が取り込まれる。
【0113】なお、上記の例においては、行方向(X方向)に充電用配線850を配線し、列方向に放電用配線860を配線するようにしているが、これとは逆に、行方向(X方向)に放電用配線860を配線し、列方向に充電用配線850を配線してもよい。
【0114】また、各スイッチは機械式スイッチ,電子式スイッチのいずれであってもよいが、上記した各実施形態において、充電系と放電系とを切り換えるスイッチの切替周波数を固定した場合、その高調波がラジオ受信機などに妨害を与えるおそれがある。
【0115】例えば、スイッチの切替周波数を64kHzの矩形波とした場合、これには多くの高調波が含まれ、そのうちの10次成分は640kHzで、これが常時出力されることになる。したがって、ラジオ受信機などの受信周波数に640kHzが含まれている場合には妨害波となる。
【0116】これを防止するには、図24に示すように、充電系と放電系を切り替えるスッチの切替周波数を、例えば4つの異なる周波数T1〜T4を含む複合周波数TAとし、これを繰り返して用いることが好ましい。
【0117】一例として、複合周波数TAを64,65,66,67(kHz)の組み合わせとした場合、10次成分については640,650,660,670(kHz)が交代的に出力されることになるため、ラジオ受信機などに対する妨害を少なくすることができる。
【0118】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来のように高周波発振によらないため、ケーブル長や設置場所の環境などに影響されることがなく、動作がきわめて安定しており、ほとんどメンテナンスフリーで使用することができる近接スイッチが提供される。また、この近接スイッチを応用した各種の物体検出装置が提供される。
【出願人】 【識別番号】390002668
【氏名又は名称】株式会社本田電子技研
【住所又は居所】東京都町田市旭町1丁目23番19号
【出願日】 平成14年10月15日(2002.10.15)
【代理人】 【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
【公開番号】 特開2003−202383(P2003−202383A)
【公開日】 平成15年7月18日(2003.7.18)
【出願番号】 特願2002−300193(P2002−300193)