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【発明の名称】 ガス徴検知
【発明者】 【氏名】ロバート エル. クラインバーグ

【氏名】ニール ダブリュ. ボストローム

【氏名】ダグラス ディー. グリフィン

【氏名】ピーター ジー. ブリュワー

【要約】 【課題】海洋ガス徴を検知する改良した技術を提供する。

【解決手段】本発明によれば海洋ガス徴を検知する方法が提供され、その方法は、海底上又はその近くに局所的プローブを配置し、該局所的プローブの近く又はその中における水中にバブルを発生し、該バブルを検知し、該水中に溶解しているガスの相対的濃度を表わすデータを発生させることを包含している。本発明の別の側面によれば、上述した方法を実施する構成とした装置が提供される。好適には、バブルを発生し且つバブルを検知するために超音波変換器を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海洋ガス徴を検知する方法において、海底上又はその近くに局所的プローブを配置し、前記局所的プローブを使用して水中にバブルを発生させ、前記バブルを検知し、前記水中における溶解ガスの相対的濃度を表わすデータを発生させる、ことを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1において、前記局所的プローブが前記バブルを発生するために音響変換器を使用することを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項2において、更に、バブル発生を開始させるため又は終了させるために前記局所的プローブの付勢を変化させることを包含していることを特徴とする方法。
【請求項4】 請求項3において、バブルの発生が開始するか又は終了する前記局所的プローブの付勢レベルを使用して前記水中における溶解ガスの相対的濃度を計算することを特徴とする方法。
【請求項5】 請求項1において、前記局所的プローブを海底堆積物内に埋設することによって前記局所的プローブを配置させることを特徴とする方法。
【請求項6】 請求項1において、前記局所的プローブが前記バブルを検知するために音響変換器を使用することを特徴とする方法。
【請求項7】 請求項6において、前記音響変換器の電気的応答特性における変化を使用して前記バブルを検知し、且つ前記電気的応答特性における変化が共振周波数、電圧、電圧の平方、電流、電流の平方、電流と電圧との間の位相角、電力散逸、及び電気的インピーダンスのうちの1つ又はそれ以上に対する変化を包含していることを特徴とする方法。
【請求項8】 請求項6において、前記バブルの発生が前記音響変換器を使用して高調波の存在を観察することによって検知されることを特徴とする方法。
【請求項9】 請求項1において、前記バブルの発生が前記局所的プローブ内に位置されている変換器の電気的応答特性における変化を観察することによって検知することを特徴とする方法。
【請求項10】 請求項1において、前記バブルの発生がバブルの出現を視覚的に又は光学的に検知することによって検知することを特徴とする方法。
【請求項11】 請求項1において、更に、前記バブルが発生され且つ検知される圧力を測定することを包含していることを特徴とする方法。
【請求項12】 請求項1において、更に、前記バブルが発生され且つ検知される温度を測定することを包含していることを特徴とする方法。
【請求項13】 請求項1において、前記局所的プローブが遠隔操作型ビークル(ROV)又は自立型水中ビークル(AUV)上に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項14】 請求項1において、更に、高い溶解ガス濃度を近くの海洋ガス徴の存在と関連付けさせることを包含していることを特徴とする方法。
【請求項15】 海洋ガス徴を検知する装置において、その内部又はそれに隣接する水中にバブルを発生する手段を具備している局所的プローブ、前記バブルを検知する手段、海底上又はその近くに前記局所的プローブを配置する手段、前記水中における溶解ガスの相対的濃度を表わすデータを発生する手段、を有していることを特徴とする装置。
【請求項16】 請求項15において、更に、高い溶解ガス濃度を近くの海洋ガス徴の存在と関連付けする手段を有していることを特徴とする装置。
【請求項17】 海洋ガス徴を検知する装置において、変換器、前記変換器へ結合されており、前記変換器を動作させ且つ前記変換器によって発生されるバブルを検知する制御及び採取回路、前記変換器を海底上又はその近くに配置させる手段、を有していることを特徴とする装置。
【請求項18】 請求項17において、前記変換器が超音波変換器であることを特徴とする装置。
【請求項19】 請求項18において、前記制御及び採取回路が信号位相を解析し且つその共振周波数で前記超音波変換器を駆動するためのフィードバック信号を発生することを特徴とする装置。
【請求項20】 請求項19において、前記制御及び採取回路のフィードバックシステム制御ループが約1秒の時定数を有していることを特徴とする装置。
【請求項21】 請求項17において、更に、温度センサーを有していることを特徴とする装置。
【請求項22】 請求項17において、前記制御及び採取回路が前記変換器をパルスモードで動作させることを特徴とする装置。
【請求項23】 請求項17において、更に、高い溶解ガス濃度を近くの海洋ガス徴の存在と関連付けさせる手段を有していることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地質的特徴の検知に関するものであって、更に詳細には、海洋ガス徴の検知に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然ガス徴は世界の大海及び海洋の下側に広く存在している。殆どメタンであるガスは浅い堆積物内の有機物質のバクテリアによる分解によって発生される。より深い深さにおける炭化水素の熱分解もガスを発生する。海底の深さが海面より約500mより大きなものであり、且つ温度が充分に低い場合には、このガスは水と結合してガス水和物を形成する。ガス水和物は氷の1つの形態であり、その中には固体水によって形成される結晶カゴ内にかなりの量の天然ガスがトラップされている。水和物は、典型的に、海底より数百メートルの厚さの帯域内に検出される。
【0003】石油業界はガス水和物の存在を検知することに非常に興味を有している。水和物が存在する大陸棚及び大陸斜面上に穿孔をドリリング即ち穿設(掘削)することに関してかなりの技術的な問題が存在している。固体水和物はその中にそれが存在する堆積物を固化すべく作用し且つこの半固化された物体は水和物安定ゾーンのより低い境界下側に存在する高度に流動的な非固化堆積物の上側に存在する場合がある。これは雪がかぶった斜面上に雪崩を発生させる条件に非常に類似している。実際に、水和物がかなり蓄積していると知られている区域において大掛かりな海中スランプの証拠が存在している。このようなスランプは石油及びガス探査及び生産作業にとって極めて危険なものである場合がある。
【0004】ガス水和物は、又、将来において石化燃料の顕著な供給源となる場合がある。海底のすぐ下側の水和物貯蔵部内に巨大な量の天然ガスがトラップされている。これらの堆積物の多くはエネルギの消費者に比較的近いアメリカ合衆国、カナダ、日本、ロシアの独占的経済圏において見出される。地震探査は多くのこのような堆積物を見つけ出しているが、この方法は相当程度の蓄積物をミスしていることが判明している。
【0005】石油及びガス徴の存在及び分布をマッピングし且つ石油が埋蔵されている高い可能性がある区域を識別することを助けるために地球化学探査が使用されている。例えば、テキサス州ヒューストンのエクスプロレーションテクノロジーズ(Exploration Technologies)インコーポレイテッドは、堆積物コアリング、地球化学ドリリング(掘削)、底層水サンプリング、表面スリックサンプリング、及びスニッファー(Sniffer)システムを包含する広範な海洋地球化学サンプリングツールを開発したことを宣伝している。報告されているところによれば、該スニッファーシステムは海底より約10メートルの高さから連続的な海水のストリーム即ち流れを船上に位置されている1つ又はそれ以上のガスクロマトグラフへポンピングして、メタン乃至ブタンの軽炭化水素に対してストリッピングしたガスを連続的に解析する。このスニッファーシステムの欠点としては明らかに以下のようなものを包含している。それは約600フィート又はそれ以下の水中深さに制限されており、それを空間が制限されている地震探査容器内に配置させることが困難な場合があり、それは、通常、軽炭化水素の解析に制限されており、非常に低い浸透率を有する区域において信頼性のある結果を得ることが不可能な場合があり、且つその使用可能性が制限されていることである。海底近くから水面へサンプルを輸送する解析方法の場合には潜在的なサンプル処理問題を導入し且つサンプルの回収と解析との間の遅延時間を増加させる。海洋ガス徴を探すための改良した方法及び装置が所望されている。
【0006】海底から上昇するメタンのバブルを深海装置が観察することは珍しいことではない。上昇するバブルが明白でない場合に、堆積物を掻き回すと、時々、ガスが解放されることも観察されている。更にその他の場合において、海水のサンプルが水柱において上方へ輸送される場合にガスを放出する。これらの観察は、多くの場所において海水内のバブル点において又はその近くにおいてメタンが存在していることを表わしている。
【0007】例えメタンがその飽和濃度において水中に溶解している場合であっても、バブルの発生が起こらない場合がある。ガス相は与えられた温度及び圧力において熱力学的に安定な場合があるが、その表面自由エネルギがバルク相の自由エネルギ差を超えるものでないためにガスのバブルを形成することが不可能である。この減少は一次相転移において一般的に観察される過冷却、過熱、又は過飽和を説明するものであり、古典的な核生成理論によって記述される。例えば、A.W.Adamson著「表面の物理化学(Physical Chemistryof Surafaces)」、第3版、ワイリー出版社、1976年第8章を参照すると良い。
【0008】二酸化炭素、窒素、硫化水素等のその他のタイプのガスが海洋ガス徴によって解放される場合がある。改良した海洋ガス徴検知システムに対する1つの潜在的な適用例は、二酸化炭素が隔離されているか又は天然ガスが貯蔵されている海中貯蔵物をモニタすることである。
【0009】これらの理由により、海底上又はその近くに配置させることが可能な局所的プローブでガス徴を識別することが可能であることは極めて有益的なものとなる場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に鑑みなされたものであって、上述した如き従来技術の欠点を解消し、海洋ガス徴を検知する改良した技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、海洋ガス徴(gas seep)を検知する方法が提供され、その方法は、海底上又はその近くに局所的プローブを配置させ、該局所的プローブを使用して水中にバブルを発生させ、該バブルを検知し、且つ水中における溶解ガスの相対的濃度を表わすデータを発生させることを包含している。本発明の別の側面によれば本方法を実施する装置が提供される。本発明の好適実施例ではバブルを発生させること及びバブルを検知することの両方のために超音波トランスデューサ(変換器)を使用する。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例に基づく海洋ガス徴の検知に関連する装置を示している。図1において、船舶10が遠隔操作型ビークル12を制御するために使用されており、そのビークル12には局所的プローブ14が装着されている。ある深さにある根源岩からの天然ガスが海底18下側に一連のガス水和物の堆積物16を形成している。このガス水和物の堆積物16を形成しているガスの一部は、地質断層又は割れ目20に沿って海底18に向かって上方へ移動する。ガスが堆積物を通り抜け且つ水中に入る区域はガスシープ(gas seep)即ちガス徴22と呼ばれる。図1において、地下から逃げるガスの量は非常に大きく、ガス徴22上方の海中にはバブル(泡)24が形成される。
【0013】海底における興味のあるあらかじめ選択した区域を探査するために、図2に示したように、該局所的プローブを遠隔操作型ビークル上に配置させることが可能である。一方、自立型水中ビークルはより広い興味のある区域を探査することが可能であり、且つ地表又は回収場所へ帰還した後にその発見した事項を報告することが可能である。該局所的プローブは石油又はガス探査、ドリリング(掘削)又は生産活動に関連する海底構造物上又は海底に永久的に据え付けることも可能である。該局所的プローブは、例えば、水和物が存在することが既知であるか又は疑われる区域においてのドリリング即ち掘削に関連する潜在的な問題を回避することを助けるため、又は二酸化炭素隔離又は天然ガス貯蔵のために使用される海洋貯蔵物の完全性をモニタするために探査又は生産ドリリング(掘削)動作期間中においての局所的な溶解ガスの濃度をモニタするために使用することが可能である。
【0014】海洋ガス徴を検知する本発明方法は、海底18上又はその近くに局所的プローブ14を配置させ、該プローブの近く又はその中の水中にバブルを発生し、これらのバブルを検知し、水中に溶解しているガスの相対的濃度を表わすデータを発生させることを包含している。オプションとして、局所的に高い溶解ガス濃度が近くの海洋ガスシープ(gas seep)即ちガス徴22の存在と関連付けることが可能である。水中における溶解ガスの相対的濃度を表わすデータ(それは二進データとすることが可能であり、即ち「高い濃度の溶解ガスが検知された」又は「高い濃度の溶解ガスが検知されなかった」とすることが可能であり)は、例えば、局所的に溶解しているガス濃度及び疑われる海洋ガス徴の位置を表わす海底のマップ即ち地図を生成するために使用することが可能である。
【0015】深水において及び海底堆積物における探査のために、バブルを発生すると同時にバブルを検知することが可能なピストン型の超音波トランスデューサ(変換器)が最も便利である。このタイプの変換器の1つの例は高パワー超音波ホモジェナイザー(homogenizer)である。このタイプの変換器の照射及び感度パターンは1つの方向に収束される。このタイプの変換器は、例えば、海底表面下側のメタンを検知するために堆積物内に押込むことが可能である。
【0016】図2は局所的プローブ回路の実施例と関連する電気的コンポーネントを例示している。トランスデューサ即ち変換器をその共振周波数に維持するため及びそのパワー出力が一定であることを確保するためにフィードバックシステムを使用している。この制御ループの時定数(約1秒)はバブルに関連した変動(約0.001秒)の特性時間と比較して長い。図2は、電気的駆動を発生し、キャビテーション信号を検知し且つ超音波変換器のパワー出力を安定化させるシステムをブロック線図の形態で例示している。このタイプのシステムの1つの利点は、1個の変換器でキャビテーションを発生すると共に検知する能力である。
【0017】オシレータ30は制御システム28によって設定される可変周波数において動作する。約20kHzの音響周波数が便宜的なものであることが判明した。オシレータ30は変換器を駆動するためのエネルギを供給するために増幅器32へ信号を供給する。変換器26への駆動信号は一定の大きさの単調cw波形とすることが可能である。キャビテーションが存在する場合には、バブルが形成し且つ崩壊しそれにより照射効率を変化させ且つ増幅器出力電圧及び電流を変調させる。
【0018】最も効率的な動作のために、変換器26の自然振動周波数及び送信器エレクトロニクスの周波数は一致すべきである。変換器動作周波数及び電気的特性は環境及び負荷条件と共に変化する。従って、電流及び電圧検知回路34は変換器26の供給線をモニタする。電流及び電圧信号が処理のためにデータ採取デジタイザー28へ供給される。制御システム28がこれらの信号の位相を解析し且つ変換器26をその共振周波数で駆動するためのフィードバック信号を発生する。このことはシステムのエネルギ効率を最大化させる。変換器26への一定のパワーを維持するために電流及び電圧がフィードバックにおいて使用される。
【0019】同相及び異相の電流及び電圧成分を抽出するためにデジタル処理を使用することが可能である。これらは、変換器26の動作周波数及び送信されたパワーを計算するために使用される。一方、電流及び電圧信号を、例えば、ロックイン増幅器を具備するアナログ回路で処理することが可能である。デジタル及びアナログの両方の制御方法が成功裡に使用されている。変換器動作に対するフィードバックシステムは1Hzの周波数応答を有することが可能である。
【0020】変換器26近くにガスバブルが存在しない場合には、その照射効率は比較的一定である。変換器の電流及び電圧の変動をモニタすることによってバブルが検知される。バブル運動と関連する音響信号は少なくとも100Hz乃至3000Hzの周波数範囲において発生することが判明した。
【0021】増幅器出力電圧の平方は復調及び測定するための1つの簡単且つ有用なパラメータである。キャビテーションによって誘起された変調は採取システム28によって又は適宜のアナログ復調器でデジタル的に検知することが可能である。このフィードバックシステムは、キロヘルツ周波数範囲における電気的変動をゼロとさせるのには遅過ぎる。適切に設計されたシステムにおいては、電気的測定値の統計的偏差はバブルが存在する場合に3桁又はそれ以上の大きさ増加する場合がある。
【0022】変換器の近傍における加熱を制限することが必要とされる場合には、パルスモード動作を使用することが可能である。パルス幅及びデューティサイクルの選択は加熱及び単位時間当たりに蓄積することが可能なデータの量との間の妥協である。高パワー音波パルスは、例えば、0.1秒の長さである。この期間中多くの時間において、照射効率の1つ又はそれ以上のインジケータが瞬間的に検知され且つ記録される。これらのインジケータの各々の統計的特性が1つ又はそれ以上のパルスの期間にわたってデジタル的に計算される。オプションとして、低パワーが高パワーパルスの間において変換器へ印加される。
【0023】所望により、局所的プローブの圧力(又は深さ)及び温度を測定し且つ、夫々、圧力センサー36及び温度センサー38によって制御及び採取システム28へ送ることが可能である。海洋ガス徴は、しばしば、海底温度における局所的変化と関連しているので、温度測定値は特に役立つものである場合がある。
【0024】図2に示した線図におけるブロックは1つの機能分割を示唆しているが、当業者にとって、これらの機能はその他の態様で容易に結合させたり分割させたりすることが可能であることは明らかである。
【0025】この局所的プローブ設計の実施例の基礎となる理論的背景について説明し且つその理論的背景の実験的確認についても説明する。
【0026】背景理論超音波変換器はキャビテーションによってガスバブルを発生することが可能である。キャビテーションは、通常、流体圧力が数百大気圧を超えて高いものである場合には不可能なものであると考えられていた。海底における圧力は100気圧又はそれより高いものである場合があるので、キャビテーションは排除されるように思われる。然しながら、バブル点におけるか又はその近くの流体に対しては、音波によって発生されるような中程度の局所化された圧力減少が効率的なバブルの発生を起こすことが可能である。例えば、本願出願人に譲渡されている発明者R.L. Kleinbergの「検層方法における相変化解析(Phase Change Analysis in Logging Method)」という名称の米国特許第6,128,949号を参照すると良く、尚この特許を引用によって本明細書に取込む。
【0027】例えばプロペラ等の種々のその他の手段をキャビテーションを誘起させるために使用することが可能である。然しながら、プロペラ又はその他の稼動物体は典型的に動作することがない海底下側の堆積物内におけるメタンを検知するためには超音波方法が特に適切なものである。
【0028】バブルを発生させるのと同じくバブルの存在を検知することも重要である。理想的には、バブルが発生される箇所において、即ちキャビテーションのために使用される超音波変換器においてバブルを検知すべきである。幾つかの方法を使用することが可能である。超音波変換器の照射効率はバブルの存在に極めて敏感である。従って、非常に高い信頼性を持ってバブルを同じ個所において発生させ且つ検知することが可能である。照射効率における変化は変換器において行われる電気的測定における変化に反映される。
【0029】1つの媒体(例えば、変換器の固体表面)から第二の媒体(例えば、テスト中の流体)への音の伝達は、部分的に、流体の音響インピーダンスによって制御される。1つの媒体の音響インピーダンスZはその密度ρとその中における音波速度νとの積によって定義される。海水等の単相液体媒体内へ効率的に照射を行う超音波変換器をどのように設計するかは公知である。
【0030】バブルの存在は音波速度及び液体の密度の両方を変化させる。従って、バブルが発生される場合には変換器の照射効率における急激な変化が存在する。更に、変換器の照射パターンはその感度パターンと同一であり、相反原理の結果である。従って、バブルが最も容易に発生される位置(最も高い音響振幅の箇所)は該変換器が流体の音響特性における変化に対して最も感度の高い同一の位置である。従って、非常に高い信頼性をもって同一の個所においてバブルが発生され且つ検知される。
【0031】変換器を駆動しながら変換器の電気的特性を測定することによって照射効率をモニタすることが可能である。我々が知得したところによれば、検知するための電気的パラメータの最も適切な選択はドライバ回路の構成に依存する。共振周波数、電圧、電圧の平方、電流、電流の平方、電流と電圧との間の位相角度、電力散逸、電気的インピーダンス、これらの組合わせ、又はその他の電気的表示における変化は、全て、バブルの存在の有用なインジケータとなることが可能である。1つの例示的な具体例においては、変換器を横断しての電圧をモニタし且つ平方回路へ印加させる。高パワーパルス期間中の時間の関数として復調器及びデジタイザーを使用してV2を記録する。別の具体例においては、パルス期間中に電気的パラメータV・I・sinφをモニタし、尚φは電圧Vと電流Iとの間の位相角である。注意すべきことであるが、時間遅延された音響波形は検知されない。
【0032】この技術は同軸シリンダー型超音波レゾネーターによって取囲まれているモデルフローライン装置におけるメタンとnヘプタンの混合物に対して適用した。その実験結果を図3に示した電圧平方波形表示40に示してある。単相領域におけるV2の時間記録は図3に示した平坦な線42である。圧力が低下され且つバブルが発生された後に、ノイズが存在する線44によって示されるように電圧が増加した。この増加は変換器の音響照射効率における変化に起因するものであった。換言すると、変換器近くにバブルが存在しない場合には、超音波変換器を横断しての平方し且つ復調した電圧は高パワーパルス期間中静かである(平坦な線42)。バブルが存在する場合には、V2はより高く且つ不規則的である(ノイズのある線44)。
【0033】温度及び圧力変化等の種々の環境条件も変換器の音響的及び電気的特性を変化させる場合がある。バブルの存在の明確なインジケータは電気的特性の変動である。バブルが存在しない場合には、変換器の音響的及び電気的特性は、存在するとしても、ゆっくりと変化する。一方、バブルがキャビテーションによって形成される場合には、バブルは迅速に崩壊し、振動又は移動する場合がある。これらのバブル運動のうちのいずれかは変換器の音響場に影響を与える。我々が知得したところによれば、小さく及び/又は過渡的なバブルであっても共振周波数、電圧、電圧の平方、電流、電流の平方、電流と電圧との間の位相角、電力散逸、電気的インピーダンス、これらの組合わせ及びその他の電気的表示において大きな変動を発生する。
【0034】該変動の周波数スペクトルはバブルが音響変換器の電気的特性に影響を与えるプロセスの内容を明らかとさせる。図3の時間記録のフーリエ変換を周波数スペクトル表示46として図4に示してある。バブルが存在しない場合には、周波数スペクトルは平坦であり且つ測定値のノイズ基準を反映している(図4におけるバブル無しの線48)。バブルが存在する場合には、スペクトルは低周波数においてより高いパワーを有しており、且つバブルのダイナミックスの結果として迅速に約500Hzの上において降下する(図4におけるバブルの線50)。このことは、変動するバブルプロセスがミリ秒のタイムスケールにおいて発生していることを示唆している。
【0035】背景理論の実験的確認高圧セルにおいてピストン型超音波変換器を使用して室温及び現実的な圧力において溶解ガス検知器をテストした。テレビカメラが該セルの内部を撮像し、ガスバブルの存在を独立的に確認することを可能とした。
【0036】高圧において水中に窒素ガスを溶解させることによって溶液を用意した。窒素は水溶液におけるメタンの良好な類推である。変換器をその共振周波数及び予め設定したピークのパワーで活性化させ、且つ水溶液の圧力をキャビテーションが発生するまでゆっくりと減少させた。
【0037】上昇させた圧力においての窒素バブルを発生させ且つ検知するための超音波変換器の能力を検証する典型的な実験室結果を第一実験表示52として図5に示してある。流体圧力を窒素飽和圧力へ減少させると、圧力対体積曲線54の勾配(即ち、圧縮性)が変化し、変換器の電気的インピーダンス曲線56の変化の振幅が数桁の大きさだけジャンプし、見ることのできるバブルが出現する。該流体のバブル点を3つの態様で検知した。即ち、(1)ビデオ画像におけるバブルの可視的出現により、(2)圧縮性の急激な変化により、(3)バブルの存在の電気的表示による3つの態様である。これら3つの方法はテスト装置におけるバブル形成の一貫性のあるインジケータであった。
【0038】フィールド即ち現場での使用においては、検知器は場所が移動される場合があり、それによりサンプリングを行う領域は異なる程度のガス飽和を有している場合がある。多くの場合において、例えば海底下側の堆積物を探査する場合に、バブルの存在を検知するために圧縮性を測定すること又はビデオカメラを使用することが不向きであるか又は不可能である場合がある。バブル形成の電気的表示は、典型的に、これらの困難な条件においてバブルの存在を検知するためにより良好である。
【0039】周囲圧力がバブル点圧力より幾分高い場合であっても音響方法はバブル点を推定するために使用することが可能である。音波圧力レベルが増加すると、圧力のピークからピークへの変動が増加する。希薄半サイクルにおける圧力がバブル圧力より下側に降下すると、過渡的なキャビテーションが発生する場合がある。この希薄圧力は次式によって変換器パワーに関連している。
【0040】W=p2AF/2ρcE尚、W=変換器へ供給される電力(ワット)
p=音波圧力(N/m2
A=変換器面の面積(ピストンモデル)(m2
ρ=流体密度(kg/m3)(水=1000)
c=流体の音速(m/s)(水=1500)
E=変換器効率F=周波数係数この周波数係数は高周波数においての減少されたキャビテーション効率を考慮に入れるものであり、Burdicの「水中音響システム解析(Underwater Acoustic System Analysis)」、1991年を参照すると良い。10kHz未満においては、それは約1である。
【0041】図6は周囲圧力がバブル圧力よりもかなり高い場合であってもキャビテーションによってバブル形成を誘起させることが可能であることを示す結果を提示している。水中に溶解している窒素はピストン変換器からの53kHz音響エネルギの30Wパルスによって照射させた。30Wパルスの間において、0.5Wの連続波エネルギを印加させた。該ピストン変換器は1cmの直径、0.9の効率、及び約10の周波数係数を有していた。バブルの形成はビデオカメラによって及びパワーを印加している間に変換器の電気的特性の変化を測定することによってモニタした。第二実験表示58において、圧力対体積曲線60及び変換器の電気的インピーダンス曲線62の変化を図5に示したように重ねてある。
【0042】30ワットを印加した場合に、約150psig、この溶液に対するバブル点より約65psi高い圧力において視覚的に及び電気的の両方においてバブルが検知された。その変化の測定値は数桁の大きさだけ増加した。ビデオの観察では、バブルが過渡的なものであることを示唆しており、変換器によって高パワーが照射される場合にのみ表われていた。0.5ワットを印加した場合には、バブル点より約10psi高い圧力において視覚的及び電気的にバブルが検知された。
【0043】一連の実験は、バブルの最初の出現の圧力は予測されたパワー依存性に従うものであることを示していた。図7に示したバブル点対パワー表示64は、バブルの視覚的検知(黒塗り三角形)及び変換器の電気的特性における増加された変化(白抜き正方形)の両方によって決定されたバブル点圧力は計算された全圧力線66(バブル点圧力(88psi)と計算された音波圧力レベルの和)にほぼ従うものであることを示している。パワーが増加するに従い、バブルはより高い周囲圧力において見られる(視覚的及び電気的)。理論との一致(調節可能なパラメータ無し)は妥当である。従って、真のバブル圧力(ここでは88psig)は、変換器特性の知識と共に、上昇されたパワーにおいて単一の測定から推定することが可能である。
【0044】別の方法及び装置本発明方法及び装置の多数の別の実施例が可能である。1つの別の具体例においては、メタンが存在する海水を、例えば、同軸円筒状変換器を包含する任意の構成の音響変換器へ管を介して指向させる。該管は、例えば、コイル型の管系の一部とすることが可能である。バブルの形成を検知するための視覚的又は光学的システムを使用することが可能である。
【0045】バブルの存在を検知するためにその他の物理的な現象を使用することが可能である。液体中におけるガスバブルの存在は音の速度及び減衰の両方に大きな影響を有している。例えば、A.L. Anderson及びL.D. Hampton著「ガスを担持する堆積物の音響学I.背景(Acoustics ofGas−Bearing Sediments I. Background)」、ジャーナル・オブ・ジィ・アクスティカル・ソサエティ・オブ・アメリカ67:1865−1889(1980);A.L. Anderson及びL.D. Hampton著「ガスを担持する堆積物の音響学II.測定及びモデル(Acoustics of Gas−Bearing Sediments II. Measurements and Models)」、ジャーナル・オブ・ジィ・アクスティカル・ソサエティ・オブ・アメリカ67:1890−1903(1980)を参照すると良い。従って、変換器の音響的照射を受信器として作用する第二変換器によって検知する場合には、バブルが存在する場合には送信時間が増加し且つ受信した振幅は減少する。
【0046】バブルの存在の更により敏感なインジケータは高調波及び低調波の発生である。液体及び固体はリニア即ち線形的な弾性媒体である。音波がそれらを介して伝達される場合には、速度、波長及び振幅が変化される場合があるが、音波の周波数は変化されない。然しながら、バブルは非線形的な要素である。バブルが特定の周波数において音波によって励起されると、それらの運動はその他の周波数において音波を発生することが可能である。このことについてはより詳細にT.G. Leighton著「音響的バブル(The Acoustic Bubble)」、サンディエゴ:アカデミックプレス、1994、4.4.7章においてより詳細に説明されている。従って、高調波の出現は間違うことのないバブルのインジケータである。
【0047】53kHzの周波数で連続的に動作する1cm直径のピストン変換器で音波が発生されるセルを構成した。この変換器を流体と接触させ且つバブル点近くにおいてガスバブルを発生させるために使用した。クランプで高帯域受信器を該セルの外側へ固定し、グリースで良好な音響的結合を確保した。該セル内側のビデオカメラを使用してバブルの発生を視覚的にモニタした。バブル点より高い圧力において、該受信器は53kHzにおいてのみ音波を検知した(不図示)。バブルが存在していた場合には、図8に示したスペクトル解析器表示68に示したように、基本の53kHz信号70に加えて、該受信器における連続的な波形信号のスペクトルにおいて多数の倍音が観察された。
【0048】以上、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、本発明は、これら具体例にのみ制限されるべきものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱することなしに種々の変形が可能であることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】500017863
【氏名又は名称】シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Schlumberger Holdings Limited
【出願日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【代理人】 【識別番号】100076185
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 正明
【公開番号】 特開2003−194957(P2003−194957A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2002−279152(P2002−279152)