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【発明の名称】 磁性体検出ゲートシステム
【発明者】 【氏名】本蔵 義信

【氏名】毛利 佳年雄

【氏名】長尾 知彦

【氏名】加古 英児

【氏名】鷲見 和正

【要約】 【課題】植込み型の各種装置を利用している人のゲートを通過する時の電磁干渉を防止して健康への影響を防止し、コイルを巻く工数が不要とし、小型化を実現し、搬送および設置の面における労力を最小限にすること。

【解決手段】人が通過するゲート4に配設され、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する磁場状態検出器1と、該磁場状態検出器1によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲート4を通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置2と、前記ゲート4を通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示する表示装置3とから成る磁性体検出ゲートシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人が通過するゲートに配設された磁気インピーダンスセンサより成り、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する磁場状態検出器と、磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置と、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示する表示装置とから成ることを特徴とする磁性体検出ゲートシステム。
【請求項2】 ゲートを通過する人の身体部位に対応してゲートに配設された複数の磁気インピーダンスセンサより成り、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する複数の磁場状態検出器と、該複数の磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動の周波数成分のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置と、前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の所持されている身体部位を判定する身体部位判定装置と、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかおよび所持している場合は所持している身体部位を表示する表示装置とから成ることを特徴とする磁性体検出ゲートシステム。
【請求項3】 請求項2において、前記ゲートを通過する人のゲートへの接近および離隔を検出する超音波センサと、ゲートへ接近する人の姿を撮影するビデオカメラを備えるとともに、前記磁場変動抽出装置が、前記各種磁性体を所持している人が前記ゲートを通過する時に生ずる局所的な磁場変動の周波数成分のみを抽出する移動信号抽出回路とから成ることを特徴とする磁性体検出ゲートシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲートを通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出して、前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出することにより、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示する磁性体検出ゲートシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁性体検出装置(特開平5−52962)は、図9に示されるように磁性体検出のため人が通過する空間を取り囲む大きさの磁界形成コイルJ1、J2およびセンサコイルS1、S2、S3が複数個配設され、該磁界形成コイルに電流を流して人工的に磁界を形成するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の磁性体検出装置は、植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置を利用している人が、前記磁界形成コイルによる磁場内を通過する場合には、かかる装置に電磁干渉を及ぼし、患者の健康に影響することが心配されるという問題があった。
【0004】また、複数の各コイルは300回巻きであり多数の工数が必要であり、これらを製作するとき寸法・重量などの観点から大型になるとともに、搬送および設置の面においても大きな労力を必要とする問題点があった。
【0005】そこで上記従来装置の問題点を解決するために、本発明者は、以下に述べるように検討した。ナイフや鋏の材料である鉄は磁性体である。この他コバルト, ニッケルも磁性体であるがこのような磁性体は、一般的性質として必ず地球磁場あるいは各種機器において使用数が急増しているモータ等に用いられる永久磁石や電磁石による磁場に暴露されることにより人工環境によって着磁しており、人工的に消磁しないかぎり着磁状態が維持されいる。また磁気式磁気テープ、磁気カードなどの情報媒体などは、その目的に応じて人工的に着磁されている。
【0006】着磁されればその物体は一種の磁石となりN極からS極へ向かう局部的な磁場が発生する。着磁されたものが人により持ち運ばれたりして移動するとその周辺の磁場が変動する。
【0007】しかるに本発明者は、地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気を検知可能な高感度の磁気センサにより、たとえばゲートにおいて着磁した磁性体を所持する人が通過することに対応する磁場変動を磁気信号として捉えることで磁性体の移動を検知するという第1の技術的思想に着眼したものである。
【0008】また本発明者は、ゲートにおいて着磁した磁性体を所持する人が移動する速さに対応する周波数領域の磁場変動を磁気信号として捉えることで磁性体の移動を検知するという第2の技術的思想に着眼したものである。
【0009】すなわち従来磁気センサとしては、フラックスゲート、ホール素子、MR( 磁気抵抗) 素子等が一般的であるが、これらは感度が低いため地球磁場などによる自然の着磁による磁性体の磁気を離れた位置から精度良く検出することはできなかった。
【0010】本発明は、磁気センサとして従来のセンサよりも格段に高感度で1/1000ガウス以下の磁場を検出できる高感度なMI磁気センサ( 磁気インピーダンスセンサ) を用いることで、自然の着磁による磁性体の微弱な磁気を捉えることを可能にする技術である。
【0011】通常このような自然着磁からなる磁性体の磁気は周辺の磁場( たとえば地球磁場は0.3 〜0.4 ガウス) よりもきわめて小さいため、磁性体の着磁によるものと周辺の磁場よるものとを十分な精度でより分け分離することは難しい問題である。
【0012】そこで本発明者は、人が磁性体を所持して移動するときに生じる局所的な磁場変動の周波数成分のみを抽出し周囲磁場信号成分を除去することができる移動信号抽出回路を用いることにより、磁性体の移動に伴う局所的な磁場変動を抽出できるようにすることによって、前記高感度磁気センサが検出する磁場信号から磁場変動抽出装置により磁場の変動信号を抽出することで地球磁場などの周囲の磁場に埋もれたわずかな変動信号から磁性体の存在を十分な精度で得検知することを可能にするものである。
【0013】また本発明者は、ゲートを通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出して、前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出することにより、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、植込み型の各種装置を利用している人のゲートを通過する時の電磁干渉を防止して健康への影響を防止し、コイルを巻く工数が不要であり、小型化を実現し、搬送および設置の面における労力を最小限にするという目的を達成する本発明に到達した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載の第1発明)の磁性体検出ゲートシステムは、人が通過するゲートに配設された磁気インピーダンスセンサより成り、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する磁場状態検出器と、磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置と、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示する表示装置とから成るものである。
【0015】本発明(請求項2に記載の第2発明)の磁性体検出ゲートシステムは、ゲートを通過する人の身体部位に対応してゲートに配設された複数の磁気インピーダンスセンサより成り、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する複数の磁場状態検出器と、該複数の磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動の周波数成分のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置と、前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の所持されている身体部位を判定する身体部位判定装置と、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかおよび所持している場合は所持している身体部位を表示する表示装置とから成るものである。
【0016】本発明(請求項3に記載の第3発明)の磁性体検出ゲートシステムは、前記第2発明において、前記ゲートを通過する人のゲートへの接近および離隔を検出する超音波センサと、ゲートへ接近する人の姿を撮影するビデオカメラを備えるとともに、前記磁場変動抽出装置が、前記各種磁性体を所持している人が前記ゲートを通過する時に生ずる局所的な磁場変動の周波数成分のみを抽出する移動信号抽出回路とから成るものである。
【0017】
【発明の作用および効果】上記構成より成る第1発明の磁性体検出ゲートシステムは、人が通過するゲートに配設された磁気インピーダンスセンサより成る前記磁場状態検出器が、ゲートを通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出し、前記磁場変動抽出装置が、磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出し、前記表示装置が、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示するので、植込み型の各種装置を利用している人のゲートを通過する時の電磁干渉を防止して健康への影響を防止し、コイルを巻く工数が不要であり、小型化を実現し、搬送および設置の面における労力を最小限にするという効果を奏する。
【0018】上記構成より成る第2発明の磁性体検出ゲートシステムは、ゲートを通過する人の身体部位に対応してゲートに配設された複数の磁気インピーダンスセンサより成る複数の磁場状態検出器が、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出し、前記磁場変動抽出装置が、該複数の磁場状態検出器によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動の周波数成分のみを選択的に抽出し、前記身体部位判定装置が、前記ゲートを通過する人が所持している前記各種磁性体の所持されている身体部位を判定し、前記表示装置が、前記ゲートを通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかおよび所持している場合は所持している身体部位を表示するので、植込み型の各種装置を利用している人のゲートを通過する時の電磁干渉を防止して健康への影響を防止し、コイルを巻く工数が不要であり、小型化を実現し、搬送および設置の面における労力を最小限にするという効果を奏するとともに、磁性体を所持している身体部位の表示を可能にするという効果を奏する。
【0019】上記構成より成る第3発明の磁性体検出ゲートシステムは、前記第2発明において、前記磁場変動抽出装置を構成する前記移動信号抽出回路が、前記各種磁性体を所持している人が前記ゲートを通過する時に生ずる局所的な磁場変動の周波数成分のみを抽出するので、前記各種磁性体の所持を確実に検出するとともに、前記超音波センサが、前記ゲートを通過する人のゲートへの接近および離隔を検出するので、人のゲートへの接近を予め知ることが出来るとともにゲートを通過した後ゲートからの離隔を検出することが出来るとともに、ビデオカメラが、ゲートへ接近する人の姿を撮影するので、ゲートへ接近する人の姿を直視することが出来るという効果を奏する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0021】(第1実施形態)本第1実施形態の磁性体検出ゲートシステムは、図1ないし図3に示されるように人が通過するゲート4に配設され、通過する人が所持している刃物その他の磁性体の自然着磁による地磁気その他の周辺の磁場より低いレベルの磁気、あるいは磁気情報媒体または商品に貼付された磁性体片のような磁性体の磁気に基づく磁場変動を含む磁場状態を検出する磁場状態検出器1と、該磁場状態検出器1によって検出された磁場状態信号の中から前記ゲート4を通過する人が所持している前記各種磁性体の磁気に基づく磁場変動のみを選択的に抽出する磁場変動抽出装置2と、前記ゲート4を通過する人が前記各種磁性体を所持しているかどうかを表示する表示装置3とから成る。
【0022】前記磁場状態検出器1は、磁性体片が貼付された多数の商品が陳列された店の出入口40に設置された人が通過するゲート4に配設された磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)10から成る。
【0023】すなわち前記磁気インピーダンスセンサ10を含む前記磁場状態検出器1は、図2に示される電気回路により構成され、直径20〜30μm 、長さ1 〜2mm 程度のMI素子といわれるアモルファスワイヤ11の周囲に検出コイル12および負帰還コイル13を巻回した小型のセンサ部と周辺の電子回路からなり、これらをひとつの電子回路として構成することで超小型のMI素子より成る磁気センサを実現した。
【0024】このMI素子にパルス電源30の一方の出力端子にからパルスが印加される。検出コイル12は、MI素子に流れる周辺磁場に対応した電流の大きさを電圧に変換する。この電圧は前記パルス電源30のもう一方の出力によって駆動されるアナログスイッチからなるサンプルホールド回路40によって増幅回路66に伝達され、出力端子OUT から磁場の大きさに対応する電圧として取り出される。
【0025】さらに該出力端子OUT に接続している抵抗R6および可変抵抗R5を通して負帰還コイル13に電流負帰還を行い、前記MI素子の内部磁場をつねにゼロに保っている。これにより地磁気の磁場で飽和することもなく、かつ微弱な磁場信号を高感度で捉えることができ高精度な磁場の測定を可能にしている。
【0026】人が徒歩で移動する速度は、10cm/ 秒から2 m/ 秒が最も一般的であり、さらにこの範囲を拡大して1cm/秒から10m/秒を徒歩による人の移動速度範囲として取り扱えば十分であることを実験および公表されている各種統計データの解析によりに結論付けた。
【0027】そこで着磁された磁性体が人に所持されて移動するときに磁気センサに及ぶ変動磁場信号の周波数成分は、人の移動速度を1cm/秒から10m/秒の範囲とすれば、0.01Hz から10Hzの範囲になることを実験的に求めた。すなわち移動信号抽出回路は、図3のごとく0.01Hzおよび10Hzをカットオフとする帯域通過特性を持たせることで実現できる。
【0028】前記磁場変動抽出装置2は、オペアンプ OP71 からなる帯域通過濾波器20によって構成され、コンデンサC71 および抵抗R71 の設定により、図3に示されるように0.01Hzの低周波域のカットオフ周波数を決定し、コンデンサC72 および抵抗R72 により10Hzの高周波側のカットオフ周波数を決定する。抵抗R73 および抵抗R74 からなる回路は、電子回路を単電源で動作させるためオペアンプOP71に基準電位を与えるためのものである。該磁場変動抽出装置2の出力端子は、前記表示装置3に接続される。
【0029】前記表示装置3は、オペアンプOP81トランジスタTr81からなる電子回路と前記ゲート4の上部に配設された警報装置38としての警報ランプ381およびブザー382から成る。
【0030】前記表示装置3において、前記磁場変動抽出装置2から出力された信号が、抵抗R81 、R83 および可変抵抗R82 で決定される所定の電圧と比較される。人が前記ゲート4に配設された前記磁気センサ1の近傍を通過する時、磁性体を持っていないときは磁場の変動が生じないから磁場変動抽出装置2の出力端子には変化が生じないが、人が磁性体を所持して前記センサ1の近傍を通過するときには磁場変動抽出装置2の信号に変化が生じ前記R81 、R82 、R83 により決定される電圧よりも大となると、OP81は負に反転しトランジスタTr81がonになり警報ランプ381(L81 )が点灯するとともに、ブザー382(Bz81)が警報音を発する。なお抵抗R84 およびR85 はTr81のバイアス抵抗である。
【0031】上記構成より成る本第1実施形態の磁性体検出ゲートシステムは、磁性体を所持する人が通過する店の入口に配設されたゲート4の内側に設置した磁気インピーダンスセンサ10からの信号が、前記磁場変動抽出装置2に入力され、地球磁場などの周囲磁場成分が排除される。これにより不要成分が排除された磁性体を所持する人が通過したことに伴う磁場変動信号が、所定の大きさ以上になるので、前記表示装置3がたとえば警告ランプ381およびブザー382により店員に報知するのである。
【0032】上記作用を奏する本第1実施形態の磁性体検出ゲートシステムは、上述したようにMI 素子は外部磁界の大きさに対応してそのインピーダンスが変化し高感度の磁気センサを実現できるので、自然着磁した磁性体の微弱な磁場変動も高精度に検出することができるという効果を奏する。
【0033】本第1実施形態の磁性体検出ゲートシステムにおいては、コンビニエンスストアなどの商店で、店舗の入り口の両側に設置された2本の前記ゲート4に磁場状態検出器1としてのMIセンサからなる2台の磁気インピーダンスセンサ10がそれぞれ配設されているので、客が刃物その他の凶器となり得るものを所持しているか否かを検出することを可能にするとともに、磁性体片が貼付された商品を消磁しないで無断で持ち出すことを防止することが出来るものである。
【0034】本第1実施形態は、用いているMIセンサ10が磁性体のみに反応するため、従来の金属探知装置に見られるように非磁性の金属すなわち硬貨にも反応するようなことがないという利点を有する。
【0035】また本第1実施形態は、前記センサ部が、前記のごとく超小型であるので、これを設置するにはゲートとして簡単な支柱があればよく、従来の金属探知装置のようにコイルなどの大掛かりな構えで店舗の美観を損ねることがない。
【0036】さらに本第1実施形態は、磁性体検出のために強制的に強力な磁界を作る必要がないので、心臓ペースメーカなど植え込み型の機器および利用者の健康に影響を与えることを防止するものである。
【0037】(第2実施形態)本第2実施形態の磁性体検出ゲートシステムは、図4ないし図7に示されるように磁性体を所持している部位である身体の部位を判定するコンピュータプログラムによる身体部位判定装置および身体部位ならびに前記各磁気センサの出力量を表示する表示装置において、前記第1実施形態と相違するシステムを提供するものであり、以下相違点を中心に説明する。
【0038】磁場状態検出器1は、磁性体の移動に伴う磁場変動をより高精度で検出するために磁場変動抽出装置2を構成する移動信号抽出回路として、図2に示された前記磁気センサ10のための電子回路の負帰還回路中に図5に示されるように新たに低周波濾波器を組み込むことにより、前記磁場変動抽出装置2の帯域濾波特性における低周波側のカットオフ機能を実現し、また高周波側のカットオフ機能特性を2次の低周波濾波器で構成した。
【0039】前記磁場状態検出器1は、前記磁気インピーダンスセンサ10およびその電気回路と前記磁場変動抽出装置2の2次の低周波濾波器とを同一のプリント電子回路基板に実装した磁場変動検出器sによって構成され、これを複数個用いて磁性体検出ゲートシステムを構成した。
【0040】前記磁場変動検出器sは、図5に示されるように前記磁気センサ10の電気回路をベースとし、オペアンプOP5,OP6 を含んだ2つの低周波通過フィルタを追加して構成している。
【0041】第1の低周波フィルタは、OP5 および抵抗R51 、コンデンサC51 からなりオペアンプOP2 から負帰還コイル13へ負帰還するフィードバックパスの中に挿入されている。
【0042】前記検出コイル12で検出された地磁気のような直流あるいは非常に低い低周波信号成分は、オペアンプOP1,0P2 で増幅されるとともにこの第一の低周波通過フィルタを通り前記負帰還コイル13にフィードバックされる。したがって前記MI素子11の内部磁場はほぼゼロとなり、オペアンプOP2 の出力信号端子における地磁気信号成分は非常に小さくなる。一方磁性体の移動に伴う磁場変動信号は交流信号のためこの第一の低周波通過フィルタにより減衰され負帰還コイルへフィードバックされることはない。したがって前記オペアンプOP1,OP2 からなる回路による増幅作用を受けOP2 の出力端子に表れる。
【0043】このようにフィードバックパスの中に低周波通過フィルタが挿入されると、OP2 の出力端子の信号は、MI素子11が検出した信号に低周波除去フィルタを施したことと等価になるり、また通過させるべき交流信号は増幅され高レベルで出力されるのでノイズの混入に対して影響を受けず高精度な磁場検出が可能である。この第一の低周波除去フィルタのカットオフ周波数はR51 とC51 の積で決まるが、ここでは0.003Hz とした。前記第1実施形態において人の移動に伴う周波数成分は0.01Hz以上に設定したが、故意に非常にゆっくりと移動することも考慮して周波数の低域限界を広く設定した。
【0044】第2の低周波フィルタは、OP6 、抵抗R61 、R62 およびコンデンサC61 、C62からなる2次の低周波通過濾波器である。このフィルタはオペアンプOP2 の出力端子に接続されており前記MI素子の信号から前記抵抗R61,62およびコンデンサC61 、C62 により決まるカットオフ周波数を10Hzとした。すなわち10Hz以下の信号成分のみを通過させることにより高周波領域の不要成分を除去し、磁性体が移動することによる変動磁場信号のみを出力する。なおこのフィルタを2 次特性としたのは商用電源や電子機器のような高周波電磁界の影響を極力排除するためである。以上2つのフィルタにより前記磁場変動抽出装置2の機能を実現した。この第2のフィルタの出力端子すなわちオペアンプOP6 の出力端子が、ここで実現した磁場変動検出器sの出力端子OUT である。
【0045】本第2実施形態においては、図4に示されるように前記ゲート4は、人が通過できる幅と高さを持つアルミニウム製の矩形のゲート枠45から成り、該矩形枠45の内側に前記磁場変動検出器sを所定間隔で複数例えば24個(s1 〜s24)配設して、磁性体検出磁気ゲートシステムが構成されている。なお24個の各磁場変動検出器は、図4において理解を助けるため前記アルミニウム製の枠から空間的に突出して描いてあるが、実際に各枠から突出しても良く、また各枠内に収納しても良い。
【0046】前記磁性体検出ゲートシステムは、人の接近を検知する超音波センサ41および人の離隔を検知する超音波センサ42と前記超音波センサ41の報知により接近する人の姿を撮影するビデオカメラ43が、ゲート4の矩形枠45の上枠451の上面に取り付けられる。
【0047】本第2実施形態においては、前記磁場状態検出器1を構成する前記24個の磁場変動検出器s1〜s24 の出力信号を順次時系列的に出力するためのマルチプレクサM1および変動磁場信号の大きさから磁性体を所持している身体部位をプログラムに従い判定するコンピュータC1から成る身体部位判定装置8および身体部位ならびに各磁気センサの信号の大きさをが所定の大きさ以上であるか否かを表示するディスプレイ3から構成されている。
【0048】次に本第2実施形態の磁性体検出ゲートシステムの動作について、図6に示されるコンピュータプログラムのフローチャートに従い説明する。
【0049】図4において人は矢印の方向へ進むものとする。人が接近すると、ステップ101において、約1m 手前で超音波センサ41が発報し、その信号がコンピュータC1に伝達される。これによりコンピュータC1がビデオカメラ43に人の姿を撮影する指令を与えることによりステップ102において、ビデオカメラ43が撮影して、その画像データを取り込みディスプレイ3の表示画面の例を示す図7のディスプレイD1の所定の位置D10 に表示する。
【0050】次にステップ103において、前記コンピュータC1は、たとえば磁気情報媒体あるいは刃物のような磁性体を所持して人が前記アルミ枠45内を通り過ぎる期間磁場変動検出器のs1 からs24 までの各時系列的な信号をマルチプレクサM1を介して順次取り込み記憶するとともに、ステップ104において、各磁場変動検出器s1〜s24 の信号の振幅値を求めてその数値をディスプレイD1上の所定の位置の表示窓d1 〜d24に表示する。なおディスプレイD1上の前記表示窓d1 〜d24の位置と前記ゲート4上の前記磁場変動検出器s1〜s24 の位置とは対応している。
【0051】さらにステップ105および106において、身体部位判定装置はあらかじめ設定した基準の大きさV1およびV2(V1 <V2) と比較して3段階に分類し、大きな基準値V2(図7中しきい値2)を超える信号を出力した例えば磁場変動検出器s5の取り付け位置近傍に磁性体が存在する可能性が高いと判断して、それに対応する表示窓d5において磁場の大きさを表示する数字0.806 の背景色を白から赤(図7中灰色で示す)に変化させて注目を促す表示をする。またその次の大きさのV1(図7中しきい値1)を超える例えば表示窓d3,d4,d6に対しては要注意の意味で黄色(図7中灰色で示す)の背景色とする。
【0052】ステップ107において、この処理をs1からs24 まで24回繰り返し、ステップ108において、その後もっとも大きな振幅値に対しては数字を太字化しで表現する。人がアルミニウム枠を通過し所定の距離以上に遠ざかると超音波センサ42の発報によりコンピュータはこれらの信号処理を終了する。
【0053】従来、金属探知機により刃物などの危険な所持物の検査が行われているが、銅やアルミニウムのような導電体の硬貨に対しても反応し誤報を引き起こすトラブルがよく報告されている。また、このような従来の検査手段では警報が発報されても身体のどの部位の物に反応が出たのか分からず、ポケットから物を取り出したり着衣を脱いだりしてゲートを通りなおすなど能率が悪くまた顧客サービスの低下も招きかねなかった。
【0054】上述の本第2実施形態による磁性体検出ゲートシステムは、磁性体にのみ反応し硬貨に反応することがないので、反応が出た場合身体のどの部位が原因であるかを直感的に表示して知らせることが出来、非常に高精度かつ高能率な検査、管理が可能であり、空港ゲートのみならず病院、各種店舗におけるゲートシステムとして適用可能であるという効果を奏する。
【0055】上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0056】次に前記第2実施形態における前記表示装置のディスプレイD1に替えて、ランプあるいはLED などの発光体を用いる変形例について、図8を用いて説明する。本変形例は、s1〜s24 の各磁場変動検出器に対応した位置に発光体L1〜L24 を配設するものであり、前記基準値V1あるいはV2を超えたら発光させるようにしたものである。図8の例は、基準値V1を超えたときのみ赤色発光ランプを点灯させるようにしたものであるが、V2を超えるものに対応して黄色の点灯をすることも考えられるとともに、レベルに応じて赤その他の同一色の輝度を徐々に変化させたり、または青から緑、黄、橙、赤と色を徐々に変えても良い。本変形例は、表示結果が検査される人にも同時に視認出来、またどの辺りに磁性体があるかを直感的に知ることができるというメリットがある。
【0057】上述の第2実施形態においては、一例としてコストの観点よりコンピュータを用いてプログラムに従い切替え処理して表示する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、磁場状態検出器および表示装置がそれ程多くない場合はそれぞれ処理判定回路(ハード)を配設する変形例も採用可能である。
【出願人】 【識別番号】501034106
【氏名又は名称】アイチ・マイクロ・インテリジェント株式会社
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】 【識別番号】100083046
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 克彦
【公開番号】 特開2003−185759(P2003−185759A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−383750(P2001−383750)