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【発明の名称】 物体検出装置
【発明者】 【氏名】西田 孝一
【住所又は居所】兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番27号 株式会社ワイヤーデバイス内

【氏名】萱野 早衛
【住所又は居所】兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番27号 株式会社ワイヤーデバイス内

【要約】 【課題】マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部が存在する導波管で接続して構成される物体検出装置において、簡素な構造により、湾曲部を伝搬する際にマイクロ波の電界が変化することに起因して起こる検出誤作動を防止する。

【解決手段】マイクロ波送・受信器10とアンテナ30とを湾曲部Aを有する円形導波管20で接続してなるマイクロ波による物体検出装置において、マイクロ波送・受信器10と円形導波管20との間に偏波補正器100を挿入し、偏波補正器100とマイクロ波発振器11が励振するときの直線偏波の方向とのなす角度を調整して、円形導波管20は楕円波としてマイクロ波を伝播させ、かつアンテナ30からは円偏波としてマイクロ波を発射させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部を有する導波管で接続してなるマイクロ波による物体検出装置であって、マイクロ波送・受信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波管内を伝搬させてアンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波をアンテナで受信し、再び前記導波管内を伝搬させてマイクロ波送・受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、マイクロ波送・受信器は、マイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向と、マイクロ波検波器が受波する直線偏波の方向とが直交するように構成されており、かつ、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、マイクロ波送・受信器と導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつアンテナからは電界がある方向に円状に回転する円偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】 マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部を有する導波管で接続してなるマイクロ波による物体検出装置であって、マイクロ波送・受信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波管内を伝搬させてアンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波をアンテナで受信し、再び前記導波管内を伝搬させてマイクロ波送・受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、マイクロ波送・受信器は、マイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向と、マイクロ波検波器が受波する直線偏波の方向とが同一となるように構成されており、かつ、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、マイクロ波送・受信器と導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつアンテナからは電界が一方向を向いた直線偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置。
【請求項3】 マイクロ波送信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を送信側導波管内を伝搬させて送信側アンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波あるいは透過波を受信側アンテナで受信し、受信側導波管内を伝搬させてマイクロ波受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、少なくとも送信側導波管が湾曲部を有し、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、少なくともマイクロ波送信器と送信側導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつ送信側アンテナからは電界がある方向に円状に回転する円偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置。
【請求項4】 マイクロ波送信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を送信側導波管内を伝搬させて送信側アンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波あるいは透過波を受信側アンテナで受信し、受信側導波管内を伝搬させてマイクロ波受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、少なくとも送信側導波管が湾曲部を有し、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、少なくともマイクロ波送信器と送信側導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつ送信側アンテナからは電界がある方向を向いた直線偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置。
【請求項5】 偏波補正器が、突出片または平板部材が導波管の軸線を中心として回転自在に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の物体検出装置。
【請求項6】 偏波補正器が、外筒と内筒との二重筒構造からなり、かつ内筒がその周方向に回転自在に設けられた本体と、本体の外筒を導波管と、マイクロ波送・受信器またはマイクロ波送信器またはマイクロ波受信器とに接続するための接続部と、内筒の内壁から軸線に向かって突出する突出片または内筒の内部を直径に沿って設けられる平板部材とを備えることを特徴とする請求項5記載の物体検出装置。
【請求項7】 偏波補正器が、円筒状の本体と、本体の内壁から軸線に向かって突出する突出片または本体の内部を直径に沿って設けられる平板部材と、本体を周方向に回転自在に導波管と、マイクロ波送・受信器またはマイクロ波送信器またはマイクロ波受信器とに接続するための接続部とを備えることを特徴とする請求項5記載の物体検出装置。
【請求項8】 マイクロ波の受信信号レベルを表示する手段を備え、受信信号レベルを基に偏波補正器の突出片または平板部材の回転角度を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波を検出媒体として物体の位置や有無、物体までの距離を検出するための物体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、工場生産現場や作業現場において、加工品等の物体の存在やその位置を検出するために、レーザ光や赤外線等を用いた物体検出装置が使用されている。また、容器内の貯蔵物体の所蔵量を検出する、所謂「レベル計」等にもレーザ光や赤外線等を用いた物体検出装置が使用されている。
【0003】しかし、このような光を検出媒体に用いた物体検出装置では、例えば高温多湿で、水蒸気やオイルミスト等が存在したり、低温で結露や氷結が起こる使用環境では検出が困難になるという欠点があった。
【0004】そこで、このような悪環境下での物体検出には、検出媒体としてマイクロ波を使用した物体検出装置が使用されることが多い。このマイクロ波による物体検出置は、種々の検出原理のものが知られているが、例えば図9に示されるような構成のものがある。即ち、マイクロ波送・受信器10のマイクロ波発振器11から発振されたマイクロ波Moを、円形導波管20の内部を伝搬させてアンテナ30から被検出物体40に向けて発射し、この被検出物体40よる反射波Mrをアンテナ30で受信し、円形導波管20の内部を伝搬させてマイクロ波送・受信器10に入射させ、マイクロ波検波器12でこの入射波を検波することにより、被検出物体40の有無やアンテナ30からの距離を検出している。マイクロ波は水蒸気やオイルミスト等を透過するため、アンテナ30と被検出物体40との間にそれらが存在していても被検出物体40からの反射波Mrのみを検出する。また、マイクロ波は赤外線等と異なり熱による影響も受けないため、被検出物体40がスラブ等の高温物体であっても精度良く検出することができる。
【0005】しかし、工場内の作業現場では、空間的な事情から、もしくはスラブ等の高温物体を検出する場合には、アンテナ30のみを被検出物体40の近傍に配置し、マイクロ波送・受信器10をアンテナ30から離して配置することが一般的である。また、それに伴って、図9に示されるように、円形導波管20にも通常、数多くの湾曲部Aが形成される。
【0006】一方において、マイクロ波送・受信器10のマイクロ波発振器11はガンダイオード等のマイクロ波発信ダイオードと空洞共振器とで構成されており、発振されるマイクロ波Moは、符号Eoで示されるようにマイクロ波発信ダイオードの電流印加方向と平行な電界を有する直線偏波となる。そして、この発振マイクロ波Moは、この電界を維持して円形導波管20の内部を伝搬し、アンテナ30から発射される。
【0007】そして、この反射波Mrは、その電界を維持してアンテナ30で受信され、更に円形導波管20の内部を伝搬してマイクロ波送・受信器10のマイクロ波検波器12に入射される。マイクロ波検波器12は、ミキサダイオード等のマイクロ波検波ダイオードと、そのダイオードが励振され、円形導波管20と接続されるキャビティーとで構成されており、そのダイオードの電流印加方向(以下、「検波方向」と呼ぶ)は反射波Mrの電界の向きと一致するように設定されている。
【0008】ところが、円形導波管20に湾曲部Aが存在すると、湾曲部Aを通過する毎に電界が一方向に回転する成分を持ったマイクロ波(以下、「楕円偏波」と呼ぶ)となってアンテナ30から発射されたり、マイクロ波検波器12に入射する。しかし、マイクロ波検波器12の検波方向は、上記したように規定されており、この検波方向と一致しない電界を有するマイクロ波は検波しにくくなることから、正常な物体検出動作が行われなくなる。そこで、従来では、物体検出装置の設置に際して、マイクロ波送信器11及びマイクロ波検波器12の円形導波管20への取付角度の調整を慎重に行い、より感度の高い位置を求めている。
【0009】また、上記の物体検出装置において、マイクロ波として円偏波を用いたものも知られている。図10にこの円偏波を用いた物体検出装置の構成を示すが、マイクロ波送信器11からは上記と同様に電流印加方向に一致する電界Eoを有するマイクロ波(以下、「直線偏波」と呼ぶ)Moが発振されるが、この直線偏波Moは円形導波管20の内部に設けられた円偏波器50を通過する際に、例えば符号Roで示されるように電界が右旋性円偏波となるマイクロ波(以下、「発振円偏波」と呼ぶ)Mo'に偏波される。この円偏波器50は円形導波管20の内径を全幅とする樹脂製の平板であり、直線偏波Moの電界の向きに対して45°の角度で交差するように規制されて円形導波管20の内部に挿入される。そして、発振円偏波Mo'は、円形導波管20の内部をその回転方向を維持したまま伝搬し、アンテナ30から発射される。また、この発振円偏波Mo'は、被検出物体40による反射を受けると電界の回転方向が反転する性質があり、その反射波Mr'は符号Rrで示される左旋性円偏波(以下、反射円偏波と呼ぶ)としてアンテナ30に受信される。受信された反射円偏波Mr'は、その回転方向を維持したまま円形導波管20の内部を伝搬し、円偏波器50を通過する際に電界が一方向に振動する直線偏波となる。但し、反射円偏波Mr'は、発振円偏波Mo'とは電界の回転方向が異なるため、偏波後は符号Erで示されるようにマイクロ波発振器11から発振される直線偏波Moの電界分布Eoと直交する電界を有する。
【0010】従って、この円偏波を用いた物体検出装置においても、マイクロ波送・受信器10において、マイクロ波発振器11とマイクロ波検波器12とを、両者のダイオードの電流印加方向が直交するように構成しておけば、理論上は良好な物体検出を実現できる。しかし、円形導波管20に湾曲部Aが存在すると、発振円偏波Mo'及び反射円偏波Mr'がこの湾曲部Aを通過する際に、電界の回転方向はそのままでも電界の偏波状態は当初の円状(円偏波)から楕円状(楕円偏波)、更には長楕円状にまで歪んでしまう。反射円偏波Mr'は円偏波器50により直線偏波としてマイクロ波検波器12に入射されなければならないが、反射円偏波Mr'の電界が歪んでいると、この円偏波器50による直線偏波への偏波に際してマイクロ波検波器12の検波方向と一致しない楕円偏波となり、結果としてマイクロ波検波器12による検出ができなくなる。
【0011】このような不具合を解決するために、本出願人は先に特願2000−125995において、図11及び図12(図11のBB断面図)に示すように、円形導波管20の湾曲部A、もしくはこの湾曲部Aのマイクロ波送・受信器側またはアンテナ側の少なくとも一カ所において、円形導波管20の内壁に、これら各部の投影面の中心線Cに沿って、円形導波管20の軸線C'に向かって延びる金属製平板からなるフィン1(または1a,1b)を備える物体検出装置を提案している。
【0012】この物体検出装置では、マイクロ波がフィン1を通過する都度、その電界が修正され、常に一定の電界を有するマイクロ波による送受信を実現できるようになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本出願人による上記物体検出装置では、パイプを曲げ加工することにより湾曲部Aを作製する場合、湾曲部Aの断面を正確に円形のまま、かつ曲げ角度、曲げ半径を精度良く加工することが要求されるが、それを実現するのは困難であった。また、フィン1を形成するための加工が必要であり、しかも湾曲部A毎に設けなければならず、湾曲部Aの数に比例してコストが上昇するという問題がある。更に、湾曲部Aの曲がりの大きさ(角度)により、最適なフィン1、凹部2または楕円部3の寸法があるため、個別の設計や加工も必要となる。また、アンテナ30と被検出物体40との間に存在する構造物によりマイクロ波の偏波の状態に影響を与え、マイクロ波検波器12で検出し難くなることもある。
【0014】本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部が存在する導波管で接続して構成される物体検出装置において、湾曲部を伝搬する際やアンテナと被検出物体との間にある構造物等によりマイクロ波の電界が変化することに起因して起こる検出誤作動を防止することを目的とするものであり、特に確実な検出を実現する方法の容易化とその装置構成の簡素化とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は以下の各物体検出装置を提供する。
(1)マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部を有する導波管で接続してなるマイクロ波による物体検出装置であって、マイクロ波送・受信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波管内を伝搬させてアンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波をアンテナで受信し、再び前記導波管内を伝搬させてマイクロ波送・受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、マイクロ波送・受信器は、マイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向と、マイクロ波検波器が受波する直線偏波の方向とが直交するように構成されており、かつ、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、マイクロ波送・受信器と導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつアンテナからは電界がある方向に円状に回転する円偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置(以下、「第1の物体検出装置」という)
(2)マイクロ波送・受信器とアンテナとを湾曲部を有する導波管で接続してなるマイクロ波による物体検出装置であって、マイクロ波送・受信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波管内を伝搬させてアンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波をアンテナで受信し、再び前記導波管内を伝搬させてマイクロ波送・受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、マイクロ波送・受信器は、マイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向と、マイクロ波検波器が受波する直線偏波の方向とが同一となるように構成されており、かつ、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、マイクロ波送・受信器と導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつアンテナからは電界が一方向を向いた直線偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置(以下、「第2の物体検出装置」)
(3)マイクロ波送信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を送信側導波管内を伝搬させて送信側アンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波あるいは透過波を受信側アンテナで受信し、受信側導波管内を伝搬させてマイクロ波受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、少なくとも送信側導波管が湾曲部を有し、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、少なくともマイクロ波送信器と送信側導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつ送信側アンテナからは電界がある方向に円状に回転する円偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置(以下、「第3の物体検出装置」という)
(4)マイクロ波送信器のマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を送信側導波管内を伝搬させて送信側アンテナから被検出物体に向けて発射し、被検出物体により反射された反射波あるいは透過波を受信側アンテナで受信し、受信側導波管内を伝搬させてマイクロ波受信器のマイクロ波検波器で検波することにより被検出物体の有無又は被検出物体までの距離を検出する検出装置において、少なくとも送信側導波管が湾曲部を有し、筒状物の内部に、金属または誘電体からなり、軸線に向かって突出する突出片または直径に沿って設けられる平板部材を備える偏波補正器を、少なくともマイクロ波送信器と送信側導波管との間に挿入して備えるとともに、偏波補正器の突出片または平板とマイクロ波発振器が励振するときの直線偏波の方向とがなす角度を調整して、導波管内は電界が楕円状に偏波された楕円偏波としてマイクロ波を伝播させ、かつ送信側アンテナからは電界がある方向を向いた直線偏波としてマイクロ波を発射させることを特徴とする物体検出装置(以下、「第4の物体検出装置」という)
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0017】(第1の物体検出装置)図1は、本発明の第1の物体検出装置を示す概略構成図であり、円偏波を用いて検出を行う場合を示すものである。物体検出装置としての構成は、マイクロ波送・受信器10、偏波補正器100、円形導波管20、マイクロ波送・受信器10と偏波補正器100及び偏波補正器100と円形導波管20を接続するためのユニオン105a,105b、及びアンテナ30を備えている。
【0018】円形導波管20はその複数箇所に湾曲部Aが形成されている。マイクロ波送・受信器10は、円形導波管20へ励振するための励振導体を含むマイクロ波発振器11と。円形導波管20からのマイクロ波を受波するための受波導体を含むマイクロ波検波器12とを備える。このマイクロ波発振器11は、励振導体方向と平行な電界E0を有する直線偏波M0となるマイクロ波を出力する。また、マイクロ波検波器12は、受波導体方向と平行な電界Erを有するマイクロ波を検波することができる。
【0019】このマイクロ波送・受信器10は、マイクロ波発振器11の励振導体方向とマイクロ波検波器12の受波導体方向とが直交するように配置されている。即ち、マイクロ波発振器11から送信するマイクロ波の偏波面と、マイクロ波検波器12が受信するマイクロ波の偏波面が直交するように構成されている。
【0020】偏波補正器100の一例を図2に図1のCC断面図として示すが、この偏波補正器100は、円形導波管20と同一内径の金属筒状のハウジング102と、ハウジング102の内壁から軸線に向かって突出する突出片101を設けて構成される。突出片101は、ハウジング102と同様に金属製であり、例えば幅W、厚さT、長さLの金属板をその長さ方向がハウジング102の軸線方向となるよに取り付けたものである。尚、突出片101からの不要反射を防ぐため、通常突出片101の長さ方向の角は斜めにカットされる。この突出片101としての金属板のサイズは、一般的に直線偏波を円偏波に変換するための円偏波発生器で用いられるものとほぼ同サイズのものが適当である。また、この偏波補正器100は、ユニオン105a,105bを緩めることにより、円形導波管20の軸線を中心に自在に回転できる構成となっている。
【0021】本発明の第1の物体検出装置においては、全ての機器を設置した後、設置箇所にてユニオン105a,105bを緩めて偏波補正器100を回転させ、アンテナ30から真円状に回転する電界Roを有する発振円偏波Mo'が発射されるように調整する。このとき、図示されるように、マイクロ波発振器11から発振された直線偏波Moは、偏波補正器100を通過することにより、突出片101とマイクロ波発振器11の励振導体方向とのなす角度に従って楕円状もしくは長楕円状の電界Ro'を有する楕円偏波となって円形導波管20を伝搬する。偏波補正器100からアンテナ30までの間のマイクロ波は、円形導波管20に存在する湾曲部Aに応じて電界の形状が変化し、円形導波管20のアンテナ30と接続される部分では電界が真円状になって伝播する。よって、機能的には偏波補正器100及び円形導波管20により円偏波発生器を構成しているともいえる。従って、偏波補正器100は、円形導波管20を伝搬するときのマイクロ波の電界モードを不問とし、アンテナ30から発射されるマイクロ波の電界モードを検出に最適なものに調整する部材である。
【0022】上記したように、アンテナ30からは真円状に回転する電界Roを有する発振器円偏波Mo'が発射されるため、被検出物体40で反射された反射波Mr'は、真円状で、回転方向が反転した電界Rrを有するものとなり、従来のように反射波Mr'の電界が楕円状に歪むことに起因する不具合が起こることはない。
【0023】そして、アンテナ30で受信された反射波Mr'は、円形導波管20を伝搬し、偏波補正器100を通過した後、マイクロ波検波器12へと入射するが、アンテナ30から偏波補正器100までの間は、電界が楕円状や長楕円状に逐次変化しながら円形導波管20を伝搬する。更に、偏波補正器100を通過することにより偏波の状態が変化する。ここで、この反射波Mr'は円偏波であったが、発振円偏波Mo'とは逆の順序にて同一の経路を伝搬するため、偏波補正器100を通過した場所での反射波Mrは直線偏波になっている。また、発振円偏波Mo´と反射波Mr´は回転方向が反対であるため、マイクロ波発振器11から発振されるマイクロ波Moと電界の向きが直交する電界Erを有する直線偏波Mrとなってマイクロ波検波器12に入射する。
【0024】マイクロ波検波器12とマイクロ波発振器11とは、励振導体方向と受波導体方向とが直交するように構成されているため、偏波補正器100を通過した後の反射波Mrの電界の向きとマイクロ波検波器12の検波方向とが一致し、高い感度で受信される。
【0025】第1の物体検出装置は種々の変更が可能であり、例えば偏波補正器100を図3及び図4(A:軸線Cに沿った側断面図、B:軸線Cと直交する断面図)に示すような構成とすることができる。ここでは、偏波補正器100は、円形導波管20と同一径の外筒となるハウジング102の肉厚部分に所定の深さで円筒状に凹部が形成され、この凹部に金属製の内筒103が回転可能に内嵌させた二重筒状構造となっており、更に内筒103に、その内部を直径に沿って2分する平板部材110を固定して構成となっている。内筒103は、同図(B)に示すように、軸線Cと直交する方向にハウジング102に設けられた貫通スリットを通じてナット104により固定される。平板部材110は突出片101に相当する部材であり、フッ素樹脂やセラミックス等の誘電材料からなり、誘電体材料からの反射を極力抑えるために、同図(A)に示すように、両端部から軸線Cに向かって略V字状に欠切している。また、この偏波補正器100は、一方がマイクロ波送・受信器10に固定され、他方がユニオン105bを介して円形導波管20に接続されている。そして、平板部材110の角度調整は、ナット104を緩め、内筒103を回転させて行う。
【0026】また、上記した偏波補正器100の突出片101あるいは平板部材110の角度調整をより容易に、かつ正確に行うために、図5にブロック図で示すような補助手段を付設することが好ましい。
【0027】この補助手段は、三角波形発生回路60、増幅回路61、A/D変換器62、CPU63及び表示部64を付加した構成となっている。マイクロ波送・受信器10のマイクロ波発信器11は電圧制御型で構成されており、この電圧制御型マイクロ波発振器11に三角波形発生回路60からの三角波形出力が入力される。マイクロ波送・受信器10では、マイクロ波発振器11からの出力の一部と、アンテナ30から発射され、被検出物体40で反射されてアンテナ30で受信されたマイクロ波とがマイクロ波検波器12により混合され、マイクロ波発振器11の発振周波数と受波される受波周波数との差であるビート信号が出力される。このビート信号は増幅回路61で増幅され、その増幅された信号がA/D変換器62によりデジタル信号に変換されてCPU63に取り込まれる。CPU63は、取り込んだデータを用いてFFT処理を行い、ビート信号を構成している周波数成分を分析し、その周波数成分から被検出物体40までの距離を算出する。表示部64では、算出された距離と、ビート信号レベルである受信信号レベルとを表示する。
【0028】上記において、受信信号レベルは、アンテナ30から発射される発振円偏波Mo´がより真円に近いほど強くなる。従って、表示部64の受信信号レベルが最大になるように、偏波補正器100の突出片101または平板部材110の回転角度を調整するだけで、直線偏波用のアンテナとマイクロ波パワーメーター等の測定機器を用いることなく、確実にアンテナ30から真円状の発振円偏波Mo´を発射できるようになる。
【0029】また、アンテナ30と被検出物体40との間に構造物がある場合、この構造物による影響で円偏波の状態が変化すると、アンテナ30で受信された被検出物体40からの反射波Mr´が楕円偏波となり、受信し難くなる。この問題も、表示部64の受信信号レベルが最大になるように偏波補正器100を調整すれば、構造物の影響を加味した偏波状態でアンテナ30から送受信できるようになる。
【0030】(第2の物体検出装置)本発明の第2の物体検出装置は、図6に示されるように、上記した第1の物体検出装置において、アンテナ30から直線偏波Mo´を発射させる構成にしたものである。この第2の物体検出装置は、偏波補正器100を含めて装置全体の構成は第1の物体検出装置と同様であるが、マイクロ波送・受信器10において、マイクロ波発振器11の励振導体方向でもある受波導体方向とマイクロ波検波器12の検波方向とを同一方向に一致させている。
【0031】この第2の物体検出装置でも同様に、偏波補正器100を回転させてマイクロ波発振器11から発振されたマイクロ波Moを楕円状もしくは長楕円状の電界Ro'を有する楕円偏波とするとともに、アンテナ30からはマイクロ波発振器11の励振導体方向に一致する電界Roを有する直線偏波Mo´が発射されるように調整する。被検出物体40からの反射波Mr´は、発振された直線偏波Mo´とは逆の経路を辿って偏波補正器100に到達するが、このとき突出片101に対して、マイクロ波発振器11から発振され偏波補正器100を通過した直後のマイクロ波の電界Ro'と同一の電界を有するマイクロ波となって入射する。そして、偏波補正器100を通過することにより、マイクロ波検波器12の検波方向に一致した電界を有するマイクロ波となってマイクロ波検波器12に入射し、高い感度で受信される。
【0032】尚、第2の物体検出装置においても、図7に示すように、第1の物体検出装置と同様に、図3及び図4に示した偏波補正器100を使用することも可能である。その場合、偏波補正器100と接続するためのユニオンを円形導波管側の一方(105b)のみとすることが可能である。また、第1の物体検出装置と同様に、図5に示した補助手段を付設することもできる。
【0033】(第3の物体検出装置)本発明の第3の物体検出装置は、上記した第1の物体検出装置において、マイクロ波送・受信器10をマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とに分け、それぞれに円形導波管20及びアンテナ30を接続した構成である。即ち、図8に示すように、マイクロ波送信器10aに送信側円形導波管20aを介してアンテナ30aを接続し、マイクロ波受信器10bに受信側円形導波管20bを介してアンテナ30bを接続し、両アンテナ30a,30bを被検出物体40に向けて配置されている。また、マイクロ波発振器11の励振導体方向と、マイクロ波検波器12の受波導体方向とは直交するように構成されている。
【0034】送信側円形導波管20aには湾曲部Aが形成されており、この湾曲部Aでの伝搬状態を補正するために、偏波補正器100がマイクロ波送信器10aと送信側円形導波管20aとの間に挿入されている。偏波補正器100は、変更例を含めて第1の物体検出装置と同様で構わず、更に補助手段が付設されていてもよい。そして、偏波補正器100の突出片101(または平板部材110)の角度を調整して、マイクロ波送信器10aのマイクロ波発振器11から発振された直線偏波Moを、送信側円形導波管20aは楕円偏波として伝搬させるとともに、アンテナ30aからは真円状の発振円偏波Mo´を発射させる。
【0035】被検出物体40で反射された反射波Mr´は、アンテナ30bで受信された後、受信側円形導波管20bを伝搬してマイクロ波検波器12で検波される。マイクロ波受信器10bと送信側導波管20bとの間にも同様の偏波補正器100が挿入されており、突出片101(または平板部材110)の角度を調整して、偏波後の反射波Mr´の電界をマイクロ波検波器12の検波方向に一致させることにより、正確な物体検出を行うことができる。
【0036】図8では送信側円形導波管20aと受信側円形導波管20bは同一個数の湾曲部Aを持ったものとして示されているが、同じでなくともよい。この場合、送信側の偏波補正器と受信側の偏波補正器の突出片101(または平板部材110)の角度は一致しなくなるだけである。この場合、受信側の偏波補正器の突出片101(または平板部材110)の角度は、受信信号レベルが最大になるように調整すればよい。
【0037】また、図8では被検出物体40からの反射波を捕らえるような構成であるが、送信側のアンテナ30aと受信側のアンテナ30bを対向して配置し、その間の被検出物体40を検出できるようにするため、送信側のアンテナ30aからの透過波を受信側のアンテナ30bにより検知するようにしてもよい。
【0038】(第4の物体検出装置)本発明の第4の物体検出装置は、図示は省略するが、上記した第3の物体検出装置において、アンテナ30aから直線偏波を発射する構成としている。ここで、マイクロ波送信器10aのマイクロ波発振器11の励振導体方向と、マイクロ波受信器10bのマイクロ波検波器12の検波方向とが同一方向になるように設定されている以外は、第3の物体検出装置と同様に構成することができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の物体検出装置は、導波管の軸線を中心に回転可能な偏波補正器を備え、その回転角度を調整するだけで、極めて正確かつ安定に物体の検出を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】593207271
【氏名又は名称】株式会社ワイヤーデバイス
【住所又は居所】兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番27号
【出願日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平 (外4名)
【公開番号】 特開2003−177182(P2003−177182A)
【公開日】 平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願番号】 特願2001−376981(P2001−376981)