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【発明の名称】 地震観測システム
【発明者】 【氏名】鈴木 良昭
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日立製作所産業機械システム事業部内

【氏名】戸井田 滋
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日立製作所産業機械システム事業部内

【氏名】今野 隆雄
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日立製作所産業機械システム事業部内

【要約】 【課題】複数の地震観測施設に設置された地震計の観測するデータを短時間で編集処理して送信し、また、一地域の地震観測施設が当該地域の地震情報の編集処理、情報送信を行うことができなくても、当該地域の地震情報を推測できる地震観測システムを提供する。

【解決手段】複数に分けられた地域の各々に地震観測施設2A〜2Hを設置し、地震を観測する地震観測システムにおいて、地震観測施設2A〜2Hは、当該地域の地震計が観測するデータを蓄積し、編集処理する機能を備え、各地震観測施設は互いに通信回線4で接続され、各地震観測施設2A〜2Hが蓄積し、編集処理したデータ情報を蓄積し、統括編集処理する統括地震観測施設5を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数に分けられた地域の各々に地震観測施設を設置し、この地震観測施設に地震計を備えて地震を観測する地震観測システムにおいて、前記地震観測施設は、当該地域の地震計が観測するデータを蓄積し、編集処理する機能を備え、各地震観測施設は互いに通信回線で接続され、前記各地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を蓄積し、統括編集処理する統括地震観測施設を備えることを特徴とする地震観測システム。
【請求項2】前記地震観測施設は、地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を通信回線を介して利用者へ送信する機能を備え、前記統括地震観測施設は、統括地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を通信回線を介して利用者へ送信できる機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の地震観測システム。
【請求項3】前記統括地震観測施設は、前記各地震観測施設の観測するデータが送信不能になった場合に、送信不能になった地震観測施設周辺の地震観測施設の送信する観測データから当該送信不能になった地域の地震情報を推測する機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の地震観測システム。
【請求項4】前記統括地震観測施設は、隣接する地震観測施設の境界付近にある観測データから境界領域のデータを推測する機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の地震観測システム。
【請求項5】複数に分けられた地域の各々に地震観測施設を設置し、この地震観測施設に地震計を備えて地震を観測する地震観測システムにおいて、前記地震観測施設は、当該地域の地震計が観測するデータを蓄積し、編集処理し、各地震観測施設は互いに通信回線で接続されており、この地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を通信回線を介して利用者へ送信する機能を備え、前記各地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を蓄積し、統括編集処理する統括地震観測施設を備え、この統括地震観測施設は、前記各地震観測施設の観測するデータが送信不能になった場合に、送信不能になった地震観測施設周辺の地震観測施設の送信する観測データから当該送信不能になった地域の地震情報を推測する機能と、統括地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を通信回線を介して利用者へ送信する機能とを備えていることを特徴とする地震観測システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の地震計の観測データを地震情報として編集し、利用者に送信するための地震観測システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の地震計の観測データを地震情報として利用者に送信するためのシステムとして、図4に示すものが知られている。このシステムは、日本全国の複数の地震観測点1に設置された地震計の観測データが、一般電話回線の通信端末を介して地震観測施設2のデータ収録装置に記録され、この記録したデータを順次データベースサーバに取り込み、演算装置、WWW(分散データベース・システム)サーバなどを利用して編集処理を行い、インターネット8を利用して利用者7へ情報を送信するものである。なお、この種の関連する技術として、たとえば特開平10−253765号公報に記載されるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このシステムは、情報の処理が1つの地震観測施設に集中してしまうため、地震が広範囲にわたって観測された場合、地震計で観測したデータが多くなり、全てのデータを取り込むのに時間がかかってしまう。また、取り込むデータの数が多くなれば編集処理にも時間がかかり、地震情報の送信までに時間を要する。さらに、特定地域の電話回線に情報が集中するため、一般電話回線が混雑したり、一般電話回線に被害が及んだ場合、データの送信が不能となってしまう。
【0004】さらにまた、複数の地震観測点に設置された地震計の観測データを、ISDN(サービス統合ディジタル網)回線を用いて複数の地震観測施設(受信局)のデータサーバに取り込み、並列に編集処理を行ってインターネット上で情報送信するものも報告されている。この方法は、地震計を備えた地震観測施設で1次データ処理を行ない、処理したデータは複数の地震観測施設に送信されるため、各地震観測施設は複数回の処理を行うことになる。この方法では、1回目のデータで初期地震情報を短時間で送信できるものの全地震情報を送信するまでには時間を要する。また、地震観測施設の上位施設(上位局)が存在しないため、たとえば震源地を担当する地震観測施設がダメージを受けて編集処理を行えない場合は、当該震源地の情報が欠落してしまう。
【0005】本発明の目的は、複数の地震観測施設に設置された地震計の観測するデータを短時間で編集処理し、かつ、地震情報を送信する地震観測システムを提供することにある。また本発明の他の目的は、送信不能になった一地域の地震観測施設の地震情報を推測することのできる機能を備える統括地震観測施設を設けることで、一地域の地震観測施設が当該地域の地震情報の記録、編集処理、情報送信を行うことができなくなっても、当該地域の地震情報を推測できる地震観測システムを提供することにある。さらに本発明の他の目的は、隣接する地域間の境界領域のデータ精度を向上できる地震観測システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る地震観測システムは、複数に分けられた地域の各々に地震観測施設を設置し、この地震観測施設に地震計を備えて地震を観測する地震観測システムにおいて、前記地震観測施設は、当該地域の地震計が観測するデータを蓄積し、編集処理し、各地震観測施設は互いに通信回線で接続され、前記各地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を蓄積し、統括編集処理する統括地震観測施設を備えるものである。
【0007】複数の地域に地震観測施設を置き、各地域の地震計とこれを担当する地震観測施設とをそれぞれ通信回線で接続すれば、観測データの記録を並列で行うことができ、記録時間を短縮することができる。また、各地震観測施設が編集処理機能を備えることで、地震情報の編集を各地域ごとに分散して行うことができ、編集時間を短縮することができる。詳しくは、前記地震観測施設は、地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を通信回線を介して利用者へ送信する機能を備えることで、各地震観測施設が、担当地域の利用者に地震情報をいち早く送信することができる。
【0008】また、前記各地震観測施設が蓄積し、編集処理したデータ情報を蓄積し、統括編集処理する統括地震観測施設を設けることで、各地震観測施設と並列で統括編集を行うことができる。さらに、前記統括地震観測施設は、送信不能になった地震観測施設の地震情報を推測する機能を備えていることで、1つの地震観測施設が記録、編集処理、情報送信を行うことができなくなっても、当該地域の地震情報を推測することが可能となる。また、境界領域のデータ精度が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】図1は、本発明に係る地震観測システムの概要システム図、図2は、概要ブロック図、図3は詳細ブロック図である。
【0011】図1の右下方は、日本全国を模式的に示す図であって、図では日本全国を概ね8つの地域すなわち地域A〜Hに分けられて、それぞれの地域に地震計11(図3参照)を備える地震観測点1(●印で示す)が設置されている。この地震計11には、たとえばサーボ型加速度タイプのものが設置され、南北方向(x軸)、東西方向(y軸)、上下方向(z軸)の3成分を検出する。各地域A〜Hごとに地震観測施設(観測局)2A〜2Hが設置され、各地域内の複数の地震観測点1と当該地震観測施設2A〜2Hとは、通信回線3で接続され、各地震観測施設2A〜2H間も通信回線4で接続されている。地震観測施設2A〜2Hの上位施設(上位局)として、統括地震観測施設5が設けられ、この統括地震観測施設5と地震観測施設2A〜2Hとは通信回線6で接続されている。各地震観測施設2A〜2Hと利用者7、および統括地震観測施設5と利用者7はインターネット6を介して接続されている。
【0012】図3に示すように、地震観測点1は地震計11、アンプ12、A/Dコンバータ13、および通信装置14から構成されており、地震計11の検出したデータはデジタルデータに変換され通信回線3を通して観測データを各地震観測施設2A〜2Hへ送信される。この地震観測点1は各地域A〜H内に広範囲に設置され、本実施例では、地域A〜Hの8つのグループに分けられている。
【0013】地震観測施設2A〜2Hは、通信端末21、データベースサーバ22、演算装置23、およびWWWサーバ24から構成されている。各地域A〜Hの地震観測点1の送信した観測データを、複数ある通信端末21が順次受信してデータベースサーバ22に保存される。データベースサーバ22に保存された観測データは、演算装置23で必要な地震情報に編集処理され、編集された地震情報はデータベースサーバ22に保存される。同時に、観測データおよび地震情報はWWWサーバ24にアップされる。インターネット8を利用して利用者7は地震情報を短時間で入手することができる。
【0014】地域A〜Hに地震観測施設2A〜2Hをそれぞれ設置し、演算装置23を備えたことで、観測データの受信と編集処理とを並列に行うことができ、短時間で地域A〜Hの地震情報をWWWサーバ24に配信することが可能となる。また、地震観測施設2A〜2Hは通信回線4で接続されており、また統括地震観測施設5通信回線6に接続されている。
【0015】統括地震観測施設5は通信端末21、データベースサーバ22、演算装置23、およびWWWサーバ2から構成されている。統括地震観測施設5では、地震観測施設2A〜2Hの編集したデータを通信端末21が順次受信して、演算装置23で統括的な地震情報に編集処理される。統括編集された地震情報はデータベースサーバ22に保存されるとともに、同時に統括地震情報はWWWサーバ24にアップされる。利用者7は、インターネット8を利用して統括地震情報を短時間で入手することができる。
【0016】統括地震観測施設5は、隣接する地域の観測データを用いて推測することで、地域間の境界領域のデータ精度を向上できる。たとえば、地域Eの地域C側周辺に設置された地震計が震度「5」を観測し、地域Cの地域E側周辺に設置された地震計が震度「3」を観測したような場合、統括地震観測施設5によって特別な理由がなければ概略、震度「4」として推測される。このような推測は、地域A〜Hの周辺に設置された地震計の観測するデータから、全ての境界領域において行うことができる。
【0017】また、たとえば地域Eの地震観測施設2Eが何らかの事情によって記録、編集処理、情報送信を行うことができなくなった場合でも、統括地震観測施設5に推測機能を設けておくことで、隣接する地域C,D,Fなどからの情報を用いて地域Eの地震情報を推測することが可能である。推測機能は、たとえば地域データ、過去の地震観測データとその被害状況等をデータベースに持ち、ニューラルネットワークやカオス理論等を用いて地震の発生状況を予測することができる機能である。
【0018】さらに、通信回線6またはインターネット8を地域の役所、警察署、消防署、病院、各種放送局等の主要施設に接続しておけば、地震観測施設2A〜2Hから編集処理完了直後に主要施設に向けて地震情報を送信することで、迅速な災害対策・災害救助を行うことが可能となる。なお、本発明の実施形態では、地域AからHに分けたことで、地震観測施設は8箇所となったが、地域(地震観測施設)の数は任意である。また、データの通信手段として記載した通信回線3および通信回線6は特定するものではなく、大容量のデジタルデータを高速に送受信することができる通信回線であれば他の方法でもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明の地震観測システムによれば、複数の地震観測施設に設置された地震計の観測するデータを短時間で編集処理し、かつ、地震情報を送信することができる。また、送信不能になった一地域の地震観測施設の地震情報を推測して補完することのできる機能を備える統括地震観測施設を設けることで、一地域の地震観測施設が当該地域の地震情報の記録、編集処理、情報送信を行うことができなくなっても、その地域の地震情報を推測することができる。さらに、隣接する地域間の境界領域のデータ精度を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男 (外2名)
【公開番号】 特開2003−167063(P2003−167063A)
【公開日】 平成15年6月13日(2003.6.13)
【出願番号】 特願2001−369523(P2001−369523)