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【発明の名称】 地震予測方法、地震予測システム及び地震予測プログラム
【発明者】 【氏名】山口 範洋

【氏名】荒木 春視

【要約】 【課題】精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うこと。

【解決手段】地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測システムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する距離測定部11と、距離測定部11により観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する伸縮率演算部30と、伸縮率演算部30により演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う判定部40とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測方法において、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うことを特徴とする地震予測方法。
【請求項2】 GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、該観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することを特徴とする請求項1に記載の地震予測方法。
【請求項3】 前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする請求項2に記載の地震予測方法。
【請求項4】 地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測システムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する測定手段と、前記測定手段により観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する演算手段と、前記演算手段により演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う判定手段と、を有することを特徴とする地震予測システム。
【請求項5】 前記測定手段は、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記演算手段は、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することを特徴とする請求項4に記載の地震予測システム。
【請求項6】 前記判定手段は、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする請求項5に記載の地震予測システム。
【請求項7】 地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行うための地震予測プログラムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する第1のステップと、前記第1のステップにより観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する第2のステップと、前記第2のステップにより演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う第3のステップと、をコンピュータに実行させるための地震予測プログラム。
【請求項8】 前記第1のステップでは、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記第2のステップでは、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することを特徴とする請求項7に記載の地震予測プログラム。
【請求項9】 前記第3のステップでは、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする請求項8に記載の地震予測プログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測方法、地震予測システム及び地震予測プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、地殻の変動を地表における距離の変動として把握し、その距離の変動を地図上の水平変動として解析し、その解析結果に基づいて地震予測を行っていた。また、従来の地震予測方法では、地殻変動の測定にGPSを用いて地表面の距離の変動を観測していたが、その際に、観測データとして得られるGPS座標を地図座標に変換してデータの解析を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の地震予測方法では、地殻の変動を地表における水平変動、すなわち、2次元における変動として把握していたが、地殻プレートの微小部分において、XYZ直交座標系で考えると、例えば、Z方向に応力が加わると、その微小部分はX方向、またはY方向に変位する。したがって、地殻変動を漏れなくチェックするには、XYZ直交座標系で地殻の変動を観測する場合には、X方向、Y方向、Z方向の各座標について観測する必要があるが、従来方法では、実際に大きい地殻変動が生じてもそれを見落とす虞が有った。
【0004】また、従来の地震予測方法では、地殻変動の測定にGPSを用いて地表面の距離の変動を観測していたが、その際に、観測データとして得られるGPS座標を地図座標に変換していたために、地下での微小な動きが誤差に埋もれてしまい、精密に地殻変動を把握することができないという問題が有った。さらに、プレート境界で地殻変動が生じた場合において、同一プレート上に基準点と測定点とが設定されている場合には、測定点において得られるデータから、移動がプレート自体か、あるいは測定点のみの移動であるのか判別が困難であるという問題が有った。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことが可能な地震予測方法、地震予測システム及び地震予測プログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測方法において、地殻プレート境界(地上及び地下)での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うことを特徴とする。
【0006】請求項1に記載の発明によれば、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うようにしたので、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地震予測方法において、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、該観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することにより行うことを特徴とする。
【0008】請求項2に記載の発明によれば、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、該観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することにより行うようにしたので、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる。
【0009】また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の地震予測方法において、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする。
【0010】請求項3に記載の発明によれば、X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うようにしたので、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0011】また、請求項4に記載の発明は、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測システムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する測定手段と、前記測定手段により観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する演算手段と、前記演算手段により演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う判定手段とを有することを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の発明によれば、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する測定手段と、前記測定手段により観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する演算手段と、前記演算手段により演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う判定手段とを有するので、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0013】また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の地震予測システムにおいて、前記測定手段は、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記演算手段は、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することを特徴とする。
【0014】請求項5に記載の発明によれば、前記測定手段は、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記演算手段は、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出するので、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる。
【0015】また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の地震予測システムにおいて、前記判定手段は、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする。
【0016】請求項6に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地殻変動を把握し、地震発生時期の予測を行うので、精確に、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0017】また、請求項7に記載の発明は、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行うための地震予測プログラムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する第1のステップと、前記第1のステップにより観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する第2のステップと、前記第2のステップにより演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う第3のステップとをコンピュータに実行させるための地震予測プログラムを要旨とする。
【0018】請求項7に記載の発明によれば、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行うための地震予測プログラムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する第1のステップと、前記第1のステップにより観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する第2のステップと、前記第2のステップにより演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う第3のステップとをコンピュータに実行させるための地震予測プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる地震予測システムの機能を実現することができる。
【0019】また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第1のステップでは、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記第2のステップでは、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することを特徴とする。
【0020】請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第1のステップでは、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記第2のステップでは、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出するようにしたので、この地震予測プログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる地震予測システムの機能を実現することができる。
【0021】また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第3のステップでは、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うことを特徴とする。
【0022】請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第3のステップでは、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うので、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明の実施の形態に係る地震予測システムの構成を示す。この地震予測システムは、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行う地震予測方法において、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うことを特徴とする地震予測方法を実施するためのシステムである。
【0024】同図において、本実施の形態に係る地震予測システムは、システム全体に各種指示を行うための操作部10と、観測基準点と測定点との間の距離を観測する距離測定部11と、記憶部20と、伸縮率演算部30と、判定部40と、表示部50と、プリンタ60とを有している。距離測定部11は、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際にGPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する。また、観測基準点及び測定点の位置を測定する位置測定装置12と、位置測定装置12により測定された測定データを記憶するメモリ13と、メモリ13に記憶された観測基準点及び測定点の位置データに基づいて該観測基準点及び測定点の2点間の距離を演算する距離演算部14とを有している。
【0025】また、記憶部20には、距離演算部14により演算された距離データ及び伸縮率演算部により演算された観測基準点及び測定点の2点間の距離の伸縮率を示すデータが格納される。さらに、記憶部20には、測定点における地殻プレートに加わっていた引張応力による上記2点間の距離の伸縮率の時間変化率の大きさに対する地震発生時期との関係を示す伸縮率の時間変化率/地震発生時期テーブル、地図データ等の固定データが格納されている。
【0026】伸縮率演算部30は、距離測定部11により観測された観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に上記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する。ここで、距離の伸縮率とは、基準となる2点間の距離に対する距離の変化分の割合を意味し、例えば、PPMで表される。また、判定部40は、伸縮率演算部30により演算された上記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う。
【0027】すなわち、判定手段は、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに上記観測点における地殻プレートに加わっていた引張応力による上記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて記憶部20に格納されている伸縮率の時間変化率/地震発生時期テーブルを参照して地震発生時期の予測を行う。
【0028】表示部50は、判定部40により予測された地震予測情報を表示する。また、プリンタ60は、判定部40により出力された地震予測情報を印字出力する。
【0029】次に、位置測定装置12による観測基準点及び測定点の位置測定方法を図2及び図3を参照して説明する。図2は、時空間三角網平均による宇宙測量法を説明するためのGPSシステムの概要図である。図2において、1a、1b、1cはそれぞれ異なるGPS衛星であり、地上約2万キロメートルの円軌道を周回しながら2周波の測距用電波を連続的に送信している。2a、2b、2cは、地盤等の変位を測定する地上の観測基準点または測定点に設置され、GPS衛星1a、1b、1cから送信される電波を受信するGPS受信機である。
【0030】3は、GPS衛星1a、1b、1cと地上面との間を飛行する飛行機に搭載されたGPS受信機である。また、GPS受信機2a、2b、2c、3には、GPS衛星1a、1b、1cから受信した信号を位置データとして記録する記録装置が接続されているとする。さらに、12はGPS受信機2a、2b、2c、3で受信した位置データに基づいて、観測規準点または測定点の位置情報を確定するための位置測定装置である。
【0031】図3は、位置測定装置12の構成を示すブロック図である。図3において、121および122はそれぞれ地上の測定点におけるGPS受信機2a、2b、2cで受信した位置データを入力する入力手段、および飛行機に搭載したGPS受信機3で受信した位置データを入力する入力手段である。123は、入力手段121、122から入力したGPS受信機2a、2b、2c、3の位置データを記憶する記憶手段である。124は、記憶手段123に記憶された位置データを取り出す取出手段である。
【0032】125は、取り出した位置データに基づいて、ある時刻における測定点のGPS受信機2a、2b、2cおよび飛行機に搭載されたGPS受信機3の位置を頂点として三角錐を構成する三角網構成手段である。三角網構成手段125では、測定点を多数設けることによって多くの三角錐を構成することができ、3次の三角網を構成することができる。126は、三角網構成手段125で構成した3次元の三角網を網平均計算することによってGPS受信機2a、2b、2c、3の位置データを調整する調整手段である。また、127は調整手段126で調整した位置データを出力する出力手段である。
【0033】次に、時空間三角網平均による宇宙測量法の手順について説明する。本実施の形態では、GPS受信機3を搭載した飛行機にGPS受信機2a、2b、2cの上空を飛行させる。このとき、地上の観測規準点または測定点のGPS受信機2a、2b、2cおよび飛行機に搭載したGPS受信機3は、複数のGPS衛星1a、1b、1cから送信される信号を受信する。そして、その受信信号は位置データとしてGPS受信機に接続されたそれぞれの記録装置に記録される。
【0034】次に、GPS受信機2a、2b、2c、3に接続されている記録装置からそれぞれの位置データを取り出し、入力手段121および122から位置測定装置12に入力する。入力されたそれぞれの位置データは記憶手段123に一旦記憶される。そして、記憶手段123から取出手段124によって取り出され、三角網構成手段125によって3次元の三角網を構成する。
【0035】一般に、地形等の測量においては実際に測定した測定点の位置データを測定点全体の関係から調整して確定する。このために、測定点の位置データから三角網を構成し、網平均計算を行う。ここで三角網とは、測定点を三角形の頂点として互いに直線で結ぶことによって構成される三角形の集合体である。また、網平均計算とは、この三角形の頂点の位置を角条件や辺条件といった制約条件の下で最小二乗法を行うことによって位置データを確定する計算方法である。このような網平均計算については、例えば「最小二乗法の理論とその応用」(田島稔他著、東洋書店)等に詳述されている。
【0036】このような計算を調整手段126で行うことによって、三角網構成手段125で構成した3次元の三角網を用いて、GPS受信機2a、2b、2c、3の位置データを確定する(ステップS5)。本実施形態のように、網平均計算において地上の観測基準点または測定点となるGPS受信機2a、2b、2cだけでなくGPS受信機3の位置データを三角網に含めることによって、水平方向だけでなく垂直方向の測定精度を高くすることができる。このようにして求めた位置データを出力手段127から取り出すことができる。
【0037】上述した手法で、GPSを用いて用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について位置測定装置12により地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設置された観測基準点と複数の測定点の位置が測定される。次に、図1に示した本実施の形態に係る地震予測システムの動作を図4のフローチャートを参照して説明する。同図において、操作部10を操作することにより地震予測システムの動作が開始され、まず、位置測定装置12を含むGPSシステム(図2)により観測基準点及び測定点の位置が測定され、位置測定装置12より観測基準点及び測定点の位置データが出力される。この位置データはメモリ13に取り込まれ、記憶される(ステップ200、201)。
【0038】次いで、距離演算部14により、メモリ13に記憶された観測基準点及び測定点の位置データに基づいて該観測基準点及び測定点の2点間の距離が演算され(ステップ202)、この演算された距離データは記憶部20に格納される(ステップ203)。上述したステップ200からステップ203に至る処理は定期的に行われ、観測基準点と各測定点との間の距離は定期的に演算される。伸縮率演算部30では、観測基準点と各測定点との間の距離の伸縮率をX,Y,Z座標について各々、一定期間毎に演算し、その演算結果を記憶部20に格納する(ステップ204)。
【0039】判定部40では、記憶部20に格納されている観測基準点と測定点との間の距離の伸縮率の経時変化特性に基づいて各測定点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化したか否かを判定する(ステップ205)。各測定点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化していないと判定した場合には、ステップ200に戻り、既述した処理を繰り返す。
【0040】また、各測定点のいずれかにおいて地殻プレートに加わる応力が図5に示すように引張応力から圧縮応力に変化したと判定した場合には、判定部40は記憶部20に格納されている伸縮率の時間変化率/地震発生時期テーブルを参照し、該当する測定点において地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化した時点までの引張応力による伸縮率の時間変化率の大きさに応じて地震発生時期の予測を行う。
【0041】図5では、ある年の1月から3月まで測定点が設定された地殻プレートに引張応力が加わり、伸縮率は+方向、すなわち伸びる方向に変化し、3月から4月にかけて急激に引張応力から圧縮応力が加わり、伸縮率が−方向、すなわち縮む方向に変化している状態を示している。この例では、判定部40は、引張応力が測定点における地殻プレートに作用していた1月から3月までの期間における伸縮率の時間変化率、すなわち直線Qの傾きに応じて、この変化が生じた該当する測定点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化した時点(3月)を起点として一定期間後に、例えば、6ヶ月後に地震が発生する可能性があることを予測する。
【0042】判定部40で予測された地震予測情報は例えば、図6に示すように地図上に地震発生時期を数値化して地震発生時期が同一時期と予測される点を線で結ぶことにより等高線と同様に表示している。ここで数値は測定点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化した時点を起点として月数を表示している。また図6では観測基準点を高松とし、その他の点は測定点(白丸)を示している。
【0043】次に、図7にGPSを用いた日本列島の各地における地殻変動(伸縮率)の測定例を示す。こ測定例は、地球の重心を原点としたX,Y,Z直交座標系で示している。複数の測定点の各々おける伸縮率を、同図(A)はX座標について、同(B)はY座標について、同図(C)はZ座標について、それぞれ観測基準点(基点)を高松として測定した結果を示している。同図から明らかなように、各座標(X、Y、Z)について測定することにより、各測定点での地殻変動を漏れなくチェックできることが判る。
【0044】なお、図1に示した地震予測システムの機能を、図4に示す処理内容の地震予測プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0045】また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可般媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0046】さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの(伝送媒体ないしは伝送波)、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0047】以上、本実施の形態に係る地震予測システムによれば、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うようにしたので、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0048】また、本実施の形態に係る地震予測システムによれば、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、該観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することにより行うようにしたので、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる。
【0049】さらに、本実施の形態係る地震予測システムによれば、X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うようにしたので、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に観測基準点と測定点とを設定し、該観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測し、該定期的に観測された前記観測基準点と測定点との2点間における距離から、該距離の伸縮率を求め、該伸縮率の経時変化に基づいて地震予測を行うようにしたので、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0051】請求項2に記載の発明によれば、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、該観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出することにより行うようにしたので、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる。
【0052】請求項3に記載の発明によれば、X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うようにしたので、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0053】請求項4に記載の発明によれば、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する測定手段と、前記測定手段により観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する演算手段と、前記演算手段により演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う判定手段とを有するので、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0054】請求項5に記載の発明によれば、前記測定手段は、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記演算手段は、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出するので、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる。
【0055】請求項6に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地殻変動を把握し、地震発生時期の予測を行うので、精確に、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【0056】請求項7に記載の発明によれば、地殻変動の観測結果に基づいて地震発生の予測を行うための地震予測プログラムであって、地殻プレート境界での地殻変動を観測する際に前記地殻プレート境界における異なる地殻プレート上に設定された観測基準点と測定点との2点間における距離を定期的に観測する第1のステップと、前記第1のステップにより観測された観測結果に基づいて前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出する第2のステップと、前記第2のステップにより演算された前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて地震発生時期の予測を行う第3のステップとをコンピュータに実行させるための地震予測プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、プレート境界での地殻変動が発生した場合に、観測対象としているプレート自体が移動したのか、測定点のみが移動したのかを明確に判別でき、それゆえ精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる地震予測システムの機能を実現することができる。
【0057】請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第1のステップでは、GPSを用いて地球の重心を原点とするX,Y,Z座標について、前記観測基準点と測定点との間の距離を定期的に観測し、前記第2のステップでは、前記測定手段の観測結果に基づいてX,Y,Z座標毎に前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率を算出するようにしたので、この地震予測プログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、地殻プレート境界での地殻変動を漏れなくチェックすることができる地震予測システムの機能を実現することができる。
【0058】請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の地震予測プログラムにおいて、前記第3のステップでは、前記X,Y,Z座標毎に求めた前記観測基準点と測定点との2点間における距離の伸縮率の経時変化に基づいて観測点における地殻プレートに加わる応力が引張応力から圧縮応力に変化する時点を求め、該時点を基準に、その時点までに前記観測点における地殻プレートに加わっていた前記引張応力による前記距離の伸縮率の時間変化率の大きさに基づいて地震発生時期の予測を行うので、精確に地殻変動を把握でき、かつ的確に地震予測を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【識別番号】501078421
【氏名又は名称】株式会社日豊
【識別番号】398002488
【氏名又は名称】有限会社環境地質研究室
【識別番号】501451831
【氏名又は名称】株式会社 土木情報サービス
【出願日】 平成13年11月21日(2001.11.21)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
【公開番号】 特開2003−156568(P2003−156568A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−356660(P2001−356660)