トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 共振体マーカー探査装置
【発明者】 【氏名】早川 秀樹
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

【氏名】古川 泰成
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

【氏名】川口 圭史
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

【氏名】久保田 兼士
【住所又は居所】東京都千代田区神田和泉町1番11号 フジテコム株式会社内

【氏名】清家 正行
【住所又は居所】東京都千代田区神田和泉町1番11号 フジテコム株式会社内

【氏名】綱崎 勝
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

【氏名】畑中 芳紀
【住所又は居所】広島県広島市西区上天満町10番33号 株式会社三宅内

【要約】 【課題】送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑制しつつ、受信アンテナの受信感度を高くして、小型で安価な共振体マーカーに対しても十分な探査距離を確保することが可能となる共振体マーカー探査装置を提供する。

【解決手段】共振体マーカー1に対し、所定周波数の送信信号を磁界の時間的変化を媒介させて断続的に送信アンテナ3から送信し、共振体マーカー1が送信信号に感応して発信する応答信号を磁界の時間的変化を媒介させて受信アンテナ4で受信し、受信した応答信号に基づいて共振体マーカー1の探査を行う共振体マーカー探査装置において、受信アンテナ4のコイル径を送信アンテナ3のコイル径よりも大に形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 共振体マーカーに対し、所定周波数の送信信号を磁界の時間的変化を媒介させて断続的に送信アンテナから送信し、前記共振体マーカーが前記送信信号に感応して発信する応答信号を磁界の時間的変化を媒介させて受信アンテナで受信し、受信した応答信号に基づいて前記共振体マーカーの探査を行う共振体マーカー探査装置であって、前記受信アンテナのコイル径を前記送信アンテナのコイル径よりも大に形成している共振体マーカー探査装置。
【請求項2】 前記送信アンテナのコイル径を前記受信アンテナのコイル径の半分よりも大に形成している請求項1記載の共振体マーカー探査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共振体マーカーに対し、所定周波数の送信信号を磁界の時間的変化を媒介させて断続的に送信アンテナから送信し、前記共振体マーカーが前記送信信号に感応して発信する応答信号を磁界の時間的変化を媒介させて受信アンテナで受信し、受信した応答信号に基づいて前記共振体マーカーの探査を行う共振体マーカー探査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の共振体マーカー探査装置を用いて地中埋設物等の埋設位置を探査する場合、例えばコイルとコンデンサーを組み合せて共振回路を形成してなる共振体マーカーを予め埋設物に直接或いはその近傍に配置しておき、埋設物の上方に位置する媒質表面から共振体マーカーに交流磁界を与え、共振体マーカーの共振回路の電磁誘導作用によって発振する2次磁界を媒質表面において検出することにより、埋設物の埋設位置を間接的に検出していた。ここで、共振体マーカー探査装置の基本構成を図1に示し、その信号波形を図2に示す。
【0003】次に、図1及び図2に従って共振体マーカー探査装置の動作について具体的に説明する。先ず、送信回路2は共振体マーカー1の共振回路の共振周波数に等しい送信信号を発振して、コイルからなる送信アンテナ3を励起し、共振体マーカー1に対して、所定周波数即ち上記共振周波数の交流磁界を所定時間発生させる(図2(イ))。共振体マーカー1では、この磁界を受けて共振回路に誘導電流が流れる(図2(ロ))。この誘導電流は送信信号の停止後も一定時間だけ指数関数的に減衰しながらも流れ続け、共振体マーカー1の周囲に同周波数の交流磁界を発生して応答信号を発信し、この応答信号がコイルからなる受信アンテナ4で受信される(図2(ハ))。受信アンテナ4に接続された受信回路5では、送信信号の停止後の応答信号のみを検出し(図2(ニ))、その信号強度に基づいて共振体マーカー1の埋設位置の探査を行う。上記送信回路2と受信回路5の動作の切り替えは送受信切替回路6によって行われ、共振体マーカー1からの応答信号の有無は指示器7によって確認することができる。
【0004】従来の共振体マーカー探査装置では、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑えるために、例えば、送信アンテナとして外径30cm巻数3の空芯コイルを用い、受信アンテナとして外径20cm巻数5の空芯コイルを用いて、送信アンテナのコイル径を受信アンテナのコイル径よりも大に形成し、相互インダクタンスを小さくするようにしていた。尚、送信アンテナから出力する磁界強度を、電波法の制限内で送信アンテナに流す電流を増加させることによって調整して、マーカーの探査のために必要な磁界強度を確保するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、送信アンテナからの磁界を受けて共振体マーカーが電磁誘導により発生する2次磁界を受信アンテナで受ける際に、従来では、送信アンテナとの直接結合を抑制するために、受信アンテナのコイル径を小さくしていたので、受信コイルの面積が小さくなり、受信感度が低くなっていた。その結果、小型で安価な共振体マーカーを検出対象とする場合には、共振体マーカーのコイル面積が小さくなり2次磁界の信号強度が微弱なることから、十分な探査距離を確保することが難しくなるため、かかる小型で安価な共振体マーカーを使用した埋設位置探査は普及していなかった。さらに、従来では、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑える上で、両者のコイル径をどの位の違いにすればよいかについて、適切な指針が示されていなかった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑制しつつ、受信アンテナの受信感度を高くして、小型で安価な共振体マーカーに対しても十分な探査距離を確保することが可能となる共振体マーカー探査装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る共振体マーカー探査装置の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、前記受信アンテナのコイル径を前記送信アンテナのコイル径よりも大に形成している点にある。
【0008】同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記送信アンテナのコイル径を前記受信アンテナのコイル径の半分よりも大に形成している点にある。
【0009】以下、本発明の作用並びに効果について説明する。本発明の第一の特徴構成によれば、受信アンテナのコイル径を送信アンテナのコイル径よりも大に形成しているので、両アンテナのコイルの径を違えて、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑制することができ、しかも、受信アンテナのコイル径を大きくすることで受信コイルの面積を大きくして、受信感度を高くすることができる。その結果、小型で安価な共振体マーカーから発生する微弱な2次磁界でも、より遠方で受信することが可能となる。なお、送信アンテナのコイル径は逆に小さくなり、同じ電流値では出力磁界強度が低下するが、その低下分は送信アンテナへの電流を増加させることによって十分に補うことができる。従って、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑制しつつ、受信アンテナの受信感度を高くして、小型で安価な共振体マーカーに対しても十分な探査距離を確保することが可能となる共振体マーカー探査装置が提供される。
【0010】同第二の特徴構成によれば、上述のように受信アンテナのコイル径を送信アンテナのコイル径よりも大に形成すると、送信アンテナのコイル径は相対的に小さくなるが、その小さくする限界として、送信アンテナのコイル径を受信アンテナのコイル径の半分よりも大に形成する。即ち、受信感度を向上させるために、受信アンテナのコイル径を送信アンテナのコイル径よりも大に形成すると、一方で、送信アンテナのコイル径が小さくなり、送信アンテナを励起するために必要な電力が増大するので、送信アンテナのコイル径を受信アンテナのコイル径の半分よりも大に形成することで、送信電力の増大を許容限度に抑えることができる。従って、送信アンテナのコイル径を小さくし過ぎることがなくなるので、受信アンテナの受信感度について改善効果を維持しつつ、送信アンテナを励起する電力の増大を抑制することができ、しかも、送信アンテナと受信アンテナ間の直接結合を抑える上で、両方のコイル径の違いについての適切な指針が得られ、共振体マーカー探査装置を実施するための好適な実施形態が示される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る共振体マーカー探査装置の実施形態について、以下、図面に基づいて説明する。なお、共振体マーカー探査装置の基本構成及び基本動作については、図1及び図2に示したものと同様であり説明は省略する。
【0012】先ず、本実施形態では、説明を判りやすくするために、図3に示すように、共振体マーカー1、送信アンテナ3及び受信アンテナ4の各コイルをすべて1巻きとし、送信アンテナ3と受信アンテナ4の両コイルが共軸でコイル中心が一致し、且つ、送信アンテナ3及び受信アンテナ4の両コイルと、共振体マーカー1のコイルとが共軸となるように3つのコイルを配置し、共振体マーカー1からの応答信号の受信強度が最大になるようにしている。
【0013】図4に、受信アンテナ4のコイル径を30cm、共振体マーカー1のコイルを15cm×5cmの矩形に固定した(但し、共振体マーカー1までの距離は変化させる)状態で、送信アンテナ3のコイル径を変化させたときの、送信アンテナ3と、受信アンテナ4のコイル及び共振体マーカー1のコイルとの間の各相互インダクタンスの変化を示す。なお、図の縦軸は相対値で表わしている。図4より、相互インダクタンスの値は、送信アンテナ3のコイルに最も近い受信アンテナ4のコイルとの値が最も大きく、距離が離れている共振体マーカー1のコイルとの値が小さくなり、共振体マーカー1の中では離間距離が大きいほど小さくなり、また、送信アンテナ3のコイル径を小さくするほど、相互インダクタンスの値が小さくなっていることが判る。
【0014】次に、図4の結果から、送信アンテナ3のコイル径を5cm小さくする毎のマーカー信号/送信信号の改善比率Kを求めた結果を図5に示す。ここで、改善比率Kを下式にて定義する。
【0015】
【数1】K=(送受信信号の振幅変化率)/(直接結合信号の振幅変化率)
【0016】上式の分母は、送信アンテナ3と受信アンテナ4間の直接結合信号の振幅変化率であり、具体的には、図4における受信アンテナ4のコイルと送信アンテナ3のコイルとの間の相互インダクタンスの変化率によって表わされる。上式の分子は、送信アンテナ3と共振体マーカー1間の送受信信号の振幅変化率であり、具体的には、図4における送信アンテナ3のコイルと共振体マーカー1のコイルとの間の相互インダクタンスの変化率によって表わされる。従って、送信アンテナ3のコイル径を減少させたときに、上記直接結合信号の振幅が上記送受信信号の振幅の減少率よりも大なる率で減少すると、上記改善比率Kは1以上の値になり、S/Nが改善されたことを表わす。
【0017】具体的に示すと、図4より、例えば、送信アンテナ3のコイル径を30cmから25cmに変化させた場合に、受信アンテナ4のコイルと送信アンテナ3のコイルとの相互インダクタンスの変化率は、10分の1程度であり、送信アンテナ3のコイルと離間距離25cmの共振体マーカー1のコイルとの相互インダクタンスの変化率は、1.5分の1程度である。したがって、この場合のマーカー信号/送信信号の改善比率Kとして、(1/1.5)/(1/10)=約6.7の値が得られる。図5には、送信アンテナ3のコイル径を30cmから25cmに、25cmから20cmに、20cmから15cmに、15cmから10cmに、10cmから5cmに、5cmから1cmに変化させたときの改善比率Kを夫々プロットしている。
【0018】図5には、送信アンテナ3のコイル径を5cm小さくする毎の、送信に要する電力の電力増分比の変化も併記している(尚、電力増分比の目盛は改善比率Kの目盛を兼用する)。例えば、送信アンテナ3のコイル径を30cmから25cmに変化させた場合の電力増分比は約1.4(40%増加)である。ここで、バッテリー等の駆動電源の必要電力量の増加と検出距離の改善効果とのバランスを考慮して、電力増分比が2倍以下、マーカー信号/送信信号の改善比率Kが1.2(20%改善、検出距離で3%改善)以上を許容範囲であると考えると、送信アンテナ3のコイル径を小さくすることができる限界は、受信アンテナ4のコイル径の半分(図5では、15cm)位までであると判断できる。即ち、送信アンテナ3のコイル径を受信アンテナ4のコイル径の半分よりも大に形成することが望ましい。
【0019】次に、送信アンテナ3及び受信アンテナ4の各コイルが1巻きでない例について説明する。先ず、従来、送信アンテナ3としていた外径30cm、巻数3の空芯コイルと、受信アンテナ4としていた外径20cm、巻数5の空芯コイルを入れ替えた場合、送信アンテナ3の径は2/3倍、巻数は5/3倍となるので、下式より、同一の磁界強度を得るには、電流値は約1.35(27/20)倍必要となる。なお、式中、aはコイル径、nは巻数、Iは電流値、xはマーカーまでの距離を夫々表わす。
【0020】したがって、電力の増分は、コイル線長がほぼ同じで抵抗値が一定と考えられ、電流値の2乗に比例するので、1.83倍になる。一方、受信アンテナ4のコイル面積は9/4倍、巻数は3/5倍となり、受信強度はコイル面積と巻数に比例するため1.35倍(検出距離で約5%)改善される。
【0021】
【数2】

【0022】さらに、送信アンテナ3を外径15cm、巻数5の空芯コイルとし、受信アンテナ4を外径30cm、巻数3の空芯コイルとした場合、従来技術に対して、電力の増分は4.8倍になるが、受信強度の改善が前記の1.35倍になるのに加えて、マーカー信号/送信信号の改善比率Kが1.3倍向上するため、1.35倍×1.3倍より、受信強度が約1.8倍(検出距離で約10%)改善される。
【0023】〔別実施形態〕以下に別実施形態を説明する。上記実施形態では、共振体マーカー1を、コイルとコンデンサーを組み合せて共振回路を形成したが、この他に、共振体マーカー1を、コイルと圧電共振子を組み合せて共振回路を形成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
【識別番号】000112691
【氏名又は名称】フジテコム株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田和泉町1番地11
【識別番号】000144452
【氏名又は名称】株式会社三宅
【住所又は居所】広島県広島市西区上天満町10番33号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2003−107166(P2003−107166A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−297540(P2001−297540)